以下、本発明の光配線部品および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<光配線部品>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光配線部品の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光配線部品の第1実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示す光配線部品のうち他の光学部品に対向する面の平面図および図1のA−A線断面図であり、図3は、図2のB−B線断面図である。また、図4は、図1に示す光配線部品に含まれる光コネクターのみを示す斜視図であり、図5は、図4に示す光コネクターのうち他の光学部品に対向する面の平面図および図4のC−C線断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図2、5の上方を「上」、下方を「下」という。
図1に示す光配線部品10は、光導波路1と、光導波路1の端部に設けられた光コネクター5と、を有している。
図1に示す光導波路1は、長尺状をなし、かつ幅よりも厚さが小さい横断面形状を有する帯状(シート状)をなしている。この光導波路1では、長手方向の一端と他端との間で光信号を伝送することができる。
なお、本願の各図では、光配線部品10のうち、光導波路1の一端に対応する部位のみを図示しており、その他の部位の図示は省略している。光配線部品10のうち、光導波路1の一端に対応する部位以外の構成は、特に限定されないが、例えば一端に対応する部位と同様の構成とすることができる。また、本明細書では、図2(b)における光導波路1の左端部を「先端部101」、左端の端面を「先端面102」ともいう。さらには、図2(b)における光導波路1の互いに表裏の関係にある上下面のうち、下面を「下面103(第1主面)」、上面を「上面104(第2主面)」ともいう。
このような光導波路1は、図2(b)に示すように、クラッド層11、コア層13およびクラッド層12が下方からこの順で積層された積層体を備えている。また、コア層13には、図3に示すように、並列に設けられた8本の長尺状のコア部14と、各コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。
これらのコア部14が、光導波路1において光信号を伝送する伝送路として機能する。各コア部14の先端面102は、下面103と上面104とを繋ぐ外側面の一部であり、各コア部14に対して光結合可能な光入出射面でもある。
光導波路1の先端部101には、図2(b)に示すように、この先端部101を覆うようにして光コネクター5が設けられている。すなわち、光コネクター5は、コネクター本体51と、コネクター本体51に形成された貫通孔50と、を備えており、この貫通孔50内に光導波路1の先端部101が挿入されている。
図2(b)および図5(b)におけるこの光コネクター5の左端面は、光配線部品10を他の光学部品と光接続するときにこの光学部品に対向する面となる。本明細書では、図2(b)および図5(b)における光コネクター5の左端面を「対向面52」といい、図2(b)および図5(b)における光コネクター5の右端面を「非対向面53」という。換言すれば、光コネクター5は、コネクター本体51と、コネクター本体51に設けられた対向面52と、コネクター本体51に設けられた非対向面53と、コネクター本体51に形成された貫通孔50と、を備えている。
貫通孔50は、コネクター本体51の対向面52(第1外面)と、非対向面53(第2外面)と、を貫通するように形成されている。また、貫通孔50は、その長手方向に直交する方向に沿って切断されたとき、長方形をなす切断面を有するように構成されている。
貫通孔50の下面501は、光導波路1の下面103を載置する載置面となる。この下面501には、接着剤61を介して光導波路1が接着されている。
一方、貫通孔50の上面502は、接着剤62を介して光導波路1と接着されている。したがって、貫通孔50の上面502も、光導波路1の上面104を載置する載置面となる。
また、本実施形態では、光導波路1の先端面102から下面103および上面104にかけて連続して覆うように、端面保護部7が設けられている。端面保護部7は、透光性を有しており、光入出射面である先端面102を保護する機能を有する。このため、光配線部品10と他の光学部品とを光学的に接続する際、光導波路1の先端面102が大きく傷つくのを防止することができる。加えて、端面保護部7を他の光学部品と接触させたとしても、他の光学部品が傷つき難くなるので、光配線部品10と他の光学部品とを互いに十分な力で押し付け合うことが可能になる。
さらには、端面保護部7が他の光学部品に密着し、その形状に追従して変形し易いため、端面保護部7と他の光学部品との間には隙間が生じ難くなる。その結果、隙間におけるフレネル反射の発生が抑えられることとなり、反射損失による光結合効率の低下を抑制することができる。同様に、端面保護部7と光導波路1との間にも隙間が生じ難くなり、フレネル反射の発生が抑えられる。このため、光配線部品10は、他の光学部品との間で安定した光結合効率を実現し得る。
以下、光配線部品10の構成についてさらに詳述する。
(光コネクター)
光コネクター5は、前述したように、コネクター本体51と、コネクター本体51に形成された貫通孔50と、を備えている。
光導波路1は、前述したように、接着剤61を介して貫通孔50の下面501に接着されているとともに、接着剤62を介して貫通孔50の上面502に接着されている。これにより、光導波路1は、貫通孔50に挿入された状態で固定される。その結果、光導波路1を外力等から保護することができるので、光導波路1を把持し易くなるとともに、光配線部品10と他の光学部品との光結合効率の低下をより確実に抑制することができる。
貫通孔50は、コネクター本体51を貫通するように形成されており、光コネクター5の対向面52(第1外面)内および非対向面53(第2外面)内にそれぞれ開口している。すなわち、貫通孔50は、対向面52と非対向面53とを繋ぐように貫通している。
貫通孔50の横断面形状(開口同士を結ぶ線と直交する方向での切断面形状)は、前述したような長方形に限定されず、正方形であってもよく、平行四辺形、六角形、八角形、長円形のようなその他の形状であってもよい。
また、光導波路1の幅(コア部14の長手方向に直交する方向における長さ)をWとしたとき、貫通孔50の幅W1は、光導波路1の幅Wより広く設定されるのが好ましい。これにより、光導波路1の先端部101の側面と貫通孔50の内面との間に隙間を設けることができる。その結果、この空間に接着剤61や接着剤62のはみ出しを許容することができる。その結果、あふれ出た接着剤61や接着剤62が先端面102に回り込むのを防止することができる。
この場合、貫通孔50の幅W1は、1.01W〜3W程度であるのが好ましく、1.1W〜2W程度であるのがより好ましい。これにより、上述した効果をより高めることができる。また、光配線部品10が置かれた環境の変化によって、接着剤61および接着剤62や光導波路1に体積変化が生じた場合でも、光導波路1と貫通孔50との間の隙間によって、その体積変化を吸収することができる。このため、体積変化に伴って大きな応力が発生するのを防止し、応力集中に伴う光導波路1の伝送効率の低下等を防止することができる。
また、コネクター本体51の外形状は、特に限定されず、図1、4に示すような直方体に準じた形状であっても、それ以外の形状であってもよい。また、コネクター本体51は、各種コネクター規格に準拠した部位を含んでいてもよい。かかるコネクター規格としては、例えば小型(Mini)MTコネクター、JIS C 5981に規定されたMTコネクター、16MTコネクター、2次元配列型MTコネクター、MPOコネクター、MPXコネクター等が挙げられる。
本実施形態に係る光コネクター5のコネクター本体51には、図1、4に示すように、2つのガイド孔511が形成されている。このガイド孔511は、コネクター本体51のうち、対向面52(第1外面)内および非対向面53(第2外面)内にそれぞれ開口している。すなわち、2つのガイド孔511は、それぞれ第1外面と第2外面とを繋ぐように貫通している。
これらのガイド孔511には、光配線部品10を他の光学部品と接続する際、図示しないガイドピンが挿入される。これにより、光配線部品10と他の光学部品とを位置合わせする際に、互いの位置をより正確に合わせることができ、かつ、両者を互いに固定することができる。すなわち、ガイド孔511は、光配線部品10を他の光学部品と接続するための接続機構として機能する。
なお、ガイド孔511は、コネクター本体51を貫通せず、非対向面53を含む平面内に開口していなくてもよい。
また、上記接続機構に代えて、爪による係止を利用した係止機構や接着剤等を用いるようにしてもよい。
また、貫通孔50の形状は、図示した形状に限定されない。例えば、図2に示す光コネクター5では、貫通孔50の高さや幅が一定であるが、対向面52側から非対向面53側に向かうにつれて徐々に高さが高くなるような形状であってもよい。
コネクター本体51の構成材料としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のような各種樹脂材料、ステンレス鋼、アルミニウム合金のような各種金属材料等が挙げられる。
また、光コネクター5は、必要に応じて、図1〜3に示す構成に任意の構成が付加されたものであってもよい。
図6は、図1〜3に示す光配線部品および光コネクターの変形例を示す図である。なお、本変形例は、下記の事項が異なる以外、図1〜3に示す光配線部品および光コネクターと同様である。
変形例に係る光コネクター5は、図6に示すように、コネクター本体51が、基体51aと蓋体51bとを組み立ててなる組立体で構成されている。なお、図6では、図示の便宜上、端面保護部7の図示を省略している。
本変形例では、図6に破線の矢印で示すように、基体51aに設けられた貫通孔50内に蓋体51bが収まるようになっている。すなわち、貫通孔50の上方の開口を蓋体51bによって塞ぐようになっている。このとき、蓋体51bは、端面保護部7と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
蓋体51bが端面保護部7と接触している場合には、基体51aと蓋体51bとが互いに固定されていてもよいし、互いに離間していてもよい。
一方、蓋体51bが端面保護部7と接触していない場合には、基体51aと蓋体51bとを互いに固定するようにすればよい。この固定には、例えば接着剤等を用いることができる。
(光導波路)
図7は、図3に示す光配線部品に含まれる光導波路の一部を示す部分拡大斜視図である。図7では、説明の便宜のため、図3に示す光導波路1のうち、2本のコア部14の近傍を拡大して図示している。
図7に示す2本のコア部14は、それぞれクラッド部(側面クラッド部15および各クラッド層11、12)で囲まれており、コア部14に光を閉じ込めて伝搬することができる。
コア部14の横断面における屈折率分布は、いかなる分布であってもよい。この屈折率分布は、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
また、光導波路1やその中に形成されているコア部14は、それぞれ平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、光導波路1やその中に形成されているコア部14は、それぞれ途中で分岐または交差していてもよい。
なお、コア部14の横断面形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、コア部14を形成し易い利点がある。
コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1の伝送効率の低下を抑えつつコア部14の高密度化を図ることができる。
一方、図7に示すように複数のコア部14が並列しているとき、コア部14同士の間に位置する側面クラッド部15の幅は、5〜250μm程度であるのが好ましく、10〜200μm程度であるのがより好ましく、10〜120μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部14同士の間で光信号が混在(クロストーク)するのを防止しつつコア部14の高密度化を図ることができる。
上述したようなコア層13の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。
また、クラッド層11、12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
なお、光導波路1は、その全体が樹脂材料で構成されているのが好ましい。これにより、光導波路1は、可撓性に富んだものとなり、実装作業の容易化が図られる。
光導波路1の幅は、特に限定されないが、1〜100mm程度であるのが好ましく、2〜10mm程度であるのがより好ましい。
また、光導波路1中に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、1〜100本程度であるのが好ましい。なお、コア部14の数が多い場合は、必要に応じて、光導波路1を多層化してもよい。具体的には、図7に示す光導波路1の上に、さらにコア層とクラッド層とを交互に重ねることにより多層化することができる。
また、図2では図示を省略しているものの、光導波路1は、図7に示すように、さらに、最下層として支持フィルム2を、最上層としてカバーフィルム3を、それぞれ備えている。
支持フィルム2およびカバーフィルム3の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂材料が挙げられる。
また、支持フィルム2およびカバーフィルム3の平均厚さは、特に限定されないが、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、支持フィルム2およびカバーフィルム3は、適度な剛性を有するものとなるため、コア層13を確実に支持するとともに、外力や外部環境からコア層13およびクラッド層11、12を確実に保護することができる。
なお、支持フィルム2やカバーフィルム3は、それぞれ必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
(接着剤)
接着剤61、62としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。
接着剤61、62の硬化物の弾性率は、好ましくは100〜20000MPa程度とされ、より好ましくは300〜15000MPa程度とされ、さらに好ましくは500〜12500MPa程度とされ、特に好ましくは1000〜10000MPa程度とされる。接着剤61、62の硬化物の弾性率を前記範囲内に設定することにより、光コネクター5に対して光導波路1をより確実に固定しつつ、光導波路1中に熱応力等が集中するのを抑制し、伝送損失の増大を抑えることができる。
なお、接着剤61、62の弾性率は、JIS K 7127に規定された方法に準拠し、温度25℃で測定される。
また、接着剤61、62の硬化物のガラス転移温度は、30〜260℃程度であるのが好ましく、35〜200℃程度であるのがより好ましい。接着剤61、62の硬化物のガラス転移温度を前記範囲内に設定することにより、光配線部品10の耐熱性をより高めることができる。
なお、接着剤61、62の硬化物のガラス転移温度は、動的粘弾性測定法(DMA法)により測定することができる。
また、接着剤61、62は、貫通孔50の下面501や上面502のそれぞれ全面に設けられている必要はなく、例えば部分的に接着剤61、62が設けられていない部位があってもよい。
また、接着剤61、62は、硬化前の状態が液状であっても固体状であってもよい。硬化前に固体状である接着剤61、62は、例えば熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を主成分とする。かかる硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂のようなビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のようなノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等のような芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂のほか、ポリイミド、ポリアミドイミドのようなイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、接着剤61、62は、その双方が設けられている必要はなく、いずれか一方が省略されていてもよい。すなわち、上記の説明では、貫通孔50の下面501および上面502がそれぞれ光導波路1を載置する載置面となっているが、いずれか一方が光導波路1から離間していてもよい。その場合、接着剤が省略されている側では、光導波路1と貫通孔50の内面との間に隙間が生じていてもよいし、単に接しているだけであってもよい。
また、接着剤61、62の双方が省略されていてもよい。その場合、光導波路1と貫通孔50の内面との隙間に入り込んだ端面保護部7が接着剤61、62の機能を代替すればよい。すなわち、隙間に入り込んだ端面保護部7によって光導波路1と貫通孔50の内面とが接着されていてもよい。そして、接着剤61、62が省略されたことにより、光配線部品10の構造の簡素化を図ることができる。
一方、接着剤61、62は、端面保護部7と同じ材料で構成されていてもよい。これにより、接着剤61、62や端面保護部7を形成するプロセスの簡略化や光配線部品10の構造の簡略化を図ることができる。
(端面保護部)
端面保護部7は、前述したように、透光性を有し、光導波路1の先端面102から下面103および上面104にかけて連続して覆っている。
ここで、透光性とは、光導波路1に入射される光の波長において、透過性を有する性質のことをいう。本発明では、端面保護部7に対して波長850nmの光を入射させたとき、挿入損失が2dB以下である状態を指して、「透光性を有する」という。
また、端面保護部7は、透光性に加えて弾性を有しているのが好ましい。ここでの弾性とは、外力が与えられたときに変形し、外力が除かれると原形に回復する性質のことをいう。具体的には、引張強さが0.3MPa以上であり、かつ、弾性率が0.01〜1000MPaである状態を指して、「弾性を有する」という。
このように端面保護部7が透光性と弾性とを有していることにより、光配線部品10と他の光学部品とを光学的に接続する際、光導波路1の先端面102が端面保護部7によって保護されることになるので、光導波路1の先端面102が大きく傷つくのを防止することができる。このため、光配線部品10と他の光学部品とを十分な力で互いに押し付け合うことができ、接続の安定性を高めることができる。
また、端面保護部7が他の光学部品に密着し、かつ、その形状に追従して変形し易くなるため、端面保護部7と他の光学部品との間や端面保護部7と光導波路1との間に隙間が生じ難くなる。これにより、隙間におけるフレネル反射の発生が抑えられることとなり、反射損失による光結合効率の低下を抑制することができる。このため、光配線部品10は、他の光学部品との間で安定した光結合効率を実現することができる。
さらに、端面保護部7は、貫通孔50の内面と光導波路1との隙間に入り込んでいてもよい。これにより、端面保護部7と光導波路1との間にはアンカー効果が働き、端面保護部7を光導波路1や光コネクター5に対してより安定的に固定することができる。その結果、外力や環境変化等が付加されたとしても、端面保護部7と光導波路1との間に隙間が生じ難くなり、光配線部品10と他の光学部品との間でより安定した光結合効率が実現される。そして、光配線部品10と他の光学部品との接続体に落下衝撃が加わったり、接続体が温度サイクル試験に供されたりしても、光結合損失が増大し難くなる。
なお、端面保護部7は、図2に示すように、貫通孔50の下面501と光導波路1の下面103との隙間と、貫通孔50の上面502と光導波路1の上面104との隙間の双方に入り込んでいるのが好ましい。これにより、光導波路1を挟むようにして端面保護部7が入り込むことになるので、光導波路1に対して端面保護部7をより確実に固定することができる。
また、端面保護部7は、さらに、貫通孔50の内面と光導波路1の側面との隙間に入り込んでいてもよい。これにより、光導波路1を包み込むように端面保護部7が配置されることになるため、光導波路1に対する端面保護部7の固定がより強固になる。
なお、端面保護部7が入り込んでいる位置は、特に限定されない。例えば、貫通孔50の下面501と光導波路1の下面103との隙間、および、貫通孔50の上面502と光導波路1の上面104との隙間のうち、いずれか一方のみに端面保護部7が入り込んでいてもよい。
端面保護部7の入り込み長さL1(対向面52を含む平面と端面保護部7のうち最も非対向面53側の部分との距離)は、特に限定されないが、光導波路1の厚さの10%以上であるのが好ましく、100%以上であるのがより好ましく、500%以上であるのがさらに好ましい。これにより、端面保護部7が隙間に入り込む長さが必要かつ十分な長さになるため、十分なアンカー効果が発現する。その結果、端面保護部7をより確実に固定することができる。
なお、入り込み長さL1が前記下限値を下回ると、端面保護部7が隙間に入り込む長さが不十分になるため、端面保護部7を固定する効果が十分に得られないおそれがある。
一方、入り込み長さL1の上限値は、特に設定されていなくてもよいが、入り込み長さL1が長くなる分だけ接着剤61、62の面積が小さくなることを考慮すれば、接着剤61、62が併用されている場合においては貫通孔50の長さの70%以下程度に抑えられているのが好ましい。これにより、接着剤61、62による接着力と、端面保護部7の固定と、を両立させることができる。
なお、接着剤61、62が用いられている場合、接着剤61、62と端面保護部7との間は、互いに接していてもよいし、互いに離間していてもよい。
また、端面保護部7が貫通孔50の内面と光導波路1との隙間に入り込むのは、必須ではなく、入り込んでいなくてもよい。
また、端面保護部7は、図2(b)に示すように、コネクター本体51の対向面52を含む平面から突出する(非対向面53とは反対側に突出する)ように成形されているのが好ましい。これにより、端面保護部7は、光配線部品10と他の光学部品とを接続する際、光コネクター5よりも先に他の光学部品と接触することになる。そして、双方の距離を徐々に詰めることで端面保護部7が変形しながら両者の隙間が徐々に埋められていく。このとき、端面保護部7は圧縮され、追従して変形することになるため、接続界面に空気が残存し難くなり、フレネル反射に伴う光結合効率の低下(反射損失の増大)を抑制することができる。
なお、端面保護部7は、その表面が対向面52を含む平面から必ずしも突出していなくてもよく、他の光学部品の形状によっては、対向面52と同一平面内にあってもよく、対向面52を含む平面から非対向面53側に後退していてもよい。これらの場合であっても、端面保護部7は、他の光学部品の形状に追従することによって、上記効果を奏することができる。
また、光配線部品10と他の光学部品とが接続される際、端面保護部7は、必ずしも他の光学部品に接触しなくてもよい。すなわち、光配線部品10と他の光学部品とを接続する際、端面保護部7と他の光学部品とが離間した状態で接続するようにしてもよい。この場合、端面保護部7は、外気との界面の形状によって光学要素として機能する。かかる光学要素としては、例えば凸レンズ等が挙げられる。すなわち、端面保護部7が凸状の湾曲面を有している場合、端面保護部7は、凸レンズの機能を有するものとなる。
このような端面保護部7は、光を集束させることができるため、光配線部品10と他の光学部品との間の光結合効率を高めることに寄与する。これにより、光結合効率をより高めることができる。
端面保護部7の突出長さL2(端面保護部7の先端と対向面52を含む平面との距離)は、特に限定されないが、光導波路1の厚さの0.1〜500%程度であるのが好ましく、0.5〜200%程度であるのがより好ましい。これにより、端面保護部7は他の光学部品に当たったとき、その形状に追従して変化するのに十分な突出長さが確保されることとなる。このため、接続界面に空気が残存するのをより抑制することが可能になり、光結合効率の低下をより確実に抑制することができる。
なお、突出長さL2が前記下限値を下回ると、端面保護部7の突出長さが小さくなるため、他の光学部品へ追従する機能や凸レンズとしての機能が低下するおそれがある。一方、突出長さL2が前記上限値を上回ると、自重の影響によって端面保護部7の形状が不安定化し易くなる。
端面保護部7の構成材料としては、例えば、透明ポリアミド、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリエステル、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネートのような可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、透明ポリイミドのような硬化性樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含む材料が用いられる。
また、端面保護部7の構成材料には、必要に応じて、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが含まれていてもよい。
また、端面保護部7の構成材料には、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂のような硬化性樹脂が好ましく用いられる。このような材料は、端面保護部7を形成する際、短時間で効率よく形成することができる。このため、高温時における寸法精度に優れた端面保護部7が得られる。
端面保護部7の透光性は、前述したように、端面保護部7に対して波長850nmの光を入射させたとき、挿入損失が2dB以下を満足するが、好ましくは1.5dB以下を満足する。このような端面保護部7は、光導波路1と他の光学部品との間に介在した場合でも、伝送効率の低下を抑制することができる。このため、光配線部品10と他の光学部品との間の光結合効率を十分に高めることができる。
なお、端面保護部7の挿入損失は、例えば、社団法人 日本電子回路工業会が作成した規格である高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)における4.6.1挿入損失の測定方法に準じて測定することができる。
また、端面保護部7は、所定の圧力で押圧されたときに所定の変形量を呈するような圧縮変形性を有しているのが好ましい。具体的には、端面保護部7は、常温(25℃)下で圧力2N/mm2で押圧するときの圧縮変形量が0.005mm以上であるという特性を呈するのが好ましい。このような端面保護部7は、光配線部品10を他の光学部品と接続する際、他の光学部品(例えば光ファイバー等)が押し当てられることとなるが、この際、端面保護部7が他の光学部品に追従して凹むことになるため、他の光学部品と端面保護部7との間に隙間がさらに生じ難くなる。その結果、隙間によるフレネル反射の発生が抑えられることとなり、反射損失による光結合効率の低下をさらに抑制することができる。
また、端面保護部7が凹むことによって、先端面102との離間距離が短くなる。これにより、光結合効率の低下をより確実に抑制することができる。
なお、圧縮変形量が前記下限値を下回ると、他の光学部品が押し当てられたとしても、端面保護部7がほとんど凹まないおそれがある。このため、他の光学部品の形状によっては、端面保護部7が他の光学部品に対して追従し難くなり、隙間が生じ易くなったり、光導波路1と他の光学部品との接続距離がばらついたりするおそれがある。
また、圧縮変形量は、好ましくは0.01mm以上とされ、より好ましくは0.015mm以上とされる。
また、圧縮変形量の下限値は、端面保護部7の厚さの5%以上であるのが好ましく、10%以上であるのがより好ましく、15%以上であるのがさらに好ましい。
一方、圧縮変形量の上限値は、特に限定されないものの、端面保護部7の厚さの50%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましく、30%以下であるのがさらに好ましい。圧縮変形量が前記上限値を上回ると、他の光学部品の形状によっては、端面保護部7が変形し過ぎることによって光導波路1と他の光学部品との接続距離が大きくなるため、光結合効率のバラツキが大きくなるおそれがある。
なお、圧縮変形量を測定するとき、前記の圧力は、ステンレス鋼のような鉄系合金製の四角柱棒を用いて加えられる。例えば、端面保護部7が押圧される面は、縦4mm横3mmの長方形である。そして、押圧によって形成される凹部の最大深さを圧縮変形量とする。また、端面保護部7の厚さは、光導波路1と他の光学部品とを繋ぐ光路上における端面保護部7の厚さである。
ここで、端面保護部7では、85℃におけるポアソン比が0.4〜0.5とされる。また、好ましくは0.425〜0.495程度とされる。このような端面保護部7は、いわゆるゴム弾性に近い性質を示すものとなるため、高温時に他の光学部品や光導波路1が押し付けられたときでも、その痕が残り難いものとなる。仮に高温時に痕が残ると、その痕、すなわち凹部が低温時においても残り易くなる。その結果、高温から低温に降温するとともに端面保護部7が熱膨張率に応じて収縮したとき、端面保護部7の形状がその収縮に追従し切れなくなって他の光学部品と端面保護部7との間に隙間が生じてしまう。
これに対し、高温時に痕が残り難くなると、高温の温度履歴を経た後でも、温度変化に伴う隙間の発生が抑制される。その結果、他の光学部品との間で安定した光結合効率を実現することができる。
また、85℃におけるポアソン比が前記下限値を下回ると、端面保護部7に他の光学部品が押し付けられて凹んだとき、付随的に押し付け方向と直交する方向へ膨張し難くなる。このため、内部応力が高くなり、他の光学部品が押し付けられることによる痕が残るおそれがある。
なお、このようなポアソン比は、JIS K 7161−1:2014、JIS K 7161−2:2014およびJIS K 7127:1999に規定されているポアソン比の測定方法に準じて測定される。このとき、試験温度を85±2℃、相対湿度を50±10%とする。
また、端面保護部7のショアD硬度は、特に限定されないが、10〜60程度であるのが好ましく、15〜55程度であるのがより好ましく、20〜50程度であるのがさらに好ましい。ショアD硬度が前記範囲内であることにより、他の光学部品によって端面保護部7が押圧されるとき、形状追従性がより高くなるとともに適度な深さの凹みが形成されることによって、前述したような効果が得られる。すなわち、端面保護部7が他の光学部品に追従して凹むことにより、他の光学部品と端面保護部7との間に隙間が生じ難くなる(反射損失が抑制される)という効果と、端面保護部7が凹むことによって他の光学部品と先端面102との離間距離が短くなり、光結合効率の低下が抑制されるという効果と、をより確実に奏することができる。
なお、端面保護部7のショアD硬度は、例えばJIS K 6253:2012のタイプDデュロメーターやASTM D2240のタイプDデュロメーターにより測定される。
端面保護部7の弾性とは、前述したように、引張強さが0.3MPa以上であり、かつ、弾性率が0.01〜1000MPaを満足する特性のことをいうが、好ましくは引張強さが1MPa以上であり、かつ、弾性率が0.1〜300MPaを満足する特性のことをいい、より好ましくは引張強さが5MPa以上であり、かつ、弾性率が0.5〜100MPaを満足する特性のことをいう。このような端面保護部7は、光導波路1と他の光学部品との間に介在し、双方から圧縮力を受けた場合に、比較的容易に変形して双方の形状に追従するとともに、塑性変形を生じ難いものとなる。
なお、端面保護部7の引張強さが前記下限値を下回ると、端面保護部7に荷重が加わったとき、荷重の大きさによっては端面保護部7が損傷を受けるおそれがある。また、端面保護部7の弾性率が前記下限値を下回ると、端面保護部7が極めて変形し易くなり、自重でも変形してしまうおそれがある。一方、端面保護部7の弾性率が前記上限値を上回ると、端面保護部7が変形し難くなり、他の光学部品に対して形状が追従し難くなるおそれがある。
なお、端面保護部7の引張強さは、例えば、JIS K 7127:1999に規定されたプラスチックの引張特性の試験方法に準じて測定することができる。
また、端面保護部7の弾性率は、例えば、縦20mm×横20mm×厚1mmの試験片を用い、動的粘弾性測定装置により、周波数1Hz、測定温度23℃で測定された貯蔵弾性率E’として求められる。なお、動的粘弾性測定装置としては、例えば、ティー・エイ・インスツルメンツ社製のRSAIIIや、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のDMS210、DMS6100等が挙げられる。
また、接着剤61、62の弾性率は、端面保護部7の弾性率より大きいことが好ましい。これにより、接着剤61、62は相対的に変形し難いものとなる。このため、例えば端面保護部7が圧縮力を受け、その圧縮力が接着剤61、62に波及した場合でも、接着剤61、62は変形し難いため、光導波路1と光コネクター5との位置関係が変化し難くなる。その結果、光コネクター5に対する光導波路1の位置精度を高く維持することができ、光配線部品10と他の光学部品との間の光結合効率を高く維持することができる。
また、端面保護部7の屈折率は、光導波路1のコア部14の屈折率と1.4との間であることが好ましい。端面保護部7の屈折率がこのような範囲内にあることで、光導波路1と端面保護部7との間、および、端面保護部7と他の光学部品(例えば光ファイバー)との間で、屈折率差に伴う反射損失を抑制することができる。これにより、光配線部品10と他の光学部品との間の光結合効率をより高めることができる。
なお、光ファイバーのコアの屈折率は、通常、1.46程度であるので、端面保護部7の屈折率が、好ましくはコア部14の屈折率と1.46との間になるようにすればよい。
さらに、コア部14の屈折率は、1.4より大きいことが好ましい。
また、他の光学部品が光ファイバー以外の場合には、端面保護部7の屈折率が、光導波路1のコア部14の屈折率と他の光学部品の屈折率との間になるようにするのが好ましい。これにより、光配線部品10と他の光学部品との間の光結合効率をより高めることができる。
なお、端面保護部7の表面には、必要に応じて表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理のような表面改質処理、撥液処理、低反射コーティング、保護コーティングのような成膜処理等が挙げられる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光配線部品の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の光配線部品の第2実施形態のうち他の光学部品に対向する面の平面図および断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
第2実施形態に係る光配線部品10は、光コネクター5の形状および光コネクター5に対する光導波路1の配置が異なる以外、第1実施形態に係る光配線部品10と同様である。
具体的には、図8に示すコネクター本体51は、さらに後退面504を備えている。この後退面504は、コネクター本体51の対向面52と貫通孔50の下面501とを繋ぐ面であって、第1実施形態における対向面52と下面501とで形成される稜線が面取りされてなる斜面である。このような後退面504が設けられることにより、後退面504が対向面52を含む平面より後退している(ずれている)分だけ、先端面102の近傍において端面保護部7が溜まることのできる空間が増えることになる。したがって、この空間に端面保護部7が侵入することにより、端面保護部7が十分な体積を有するものとなる。その結果、端面保護部7が光導波路1に対してより強固に固定されることとなり、光配線部品10の信頼性を高めることができる。また、端面保護部7が圧縮変形するときの変形量をより多く確保することができる。このため、光配線部品10と他の光学部品とを接続する際、端面保護部7に大きな外力が加わったときでも、光配線部品10と他の光学部品との間においてより隙間が生じ難くなり、光結合効率の低下を抑制することができる。また、併せて、光導波路1をより確実に保護することができる。
なお、後退面504は、図8に示すような平坦面に限定されず、いかなる形状であってもよい。平坦面に代わる形状としては、例えば、突出あるいは凹没するように湾曲した湾曲面形状や、階段状をなす段差形状等が挙げられる。
また、後退面は、図8に示す位置のみに限定されず、コネクター本体51の対向面52と貫通孔50の上面502とで形成される稜線に設けられていてもよいし、双方に設けられていてもよい。
また、後退面504の後退量L3、すなわち、対向面52を含む平面と後退面504のうち最も非対向面53側の部分を通過し対向面52と平行な平面との距離は、特に限定されないが、光導波路1の厚さの10〜1000%程度であるのが好ましく、30〜500%程度であるのがより好ましい。
これにより、後退面504は十分な量の端面保護部7が入り込むのに必要な体積の空間を作り出すことになるので、端面保護部7をより安定して固定することができる。
すなわち、後退量L3が前記下限値を下回ると、光コネクター5の大きさによっては、十分な体積の空間を確保することができないおそれがある。一方、後退量L3が前記上限値を上回ると、光コネクター5の大きさによっては、後退量L3が長くなる分だけ下面501の面積が減少し、光導波路1が載置される面積が減少するため、光導波路1の載置が不安定になるおそれがある。
さらに、後退面504の厚さL4、すなわち、貫通孔50の下面501を含む平面と後退面504のうち最も対向面52側の部分を通過し下面501と平行な平面との距離は、特に限定されないが、光導波路1の厚さの10〜1000%程度であるのが好ましく、30〜500%程度であるのがより好ましい。この場合も、後退面504は十分な量の端面保護部7が入り込むのに必要な体積の空間を作り出すことになるので、端面保護部7をより安定して固定することができる。
なお、この後退面504は必要に応じて設けられればよい。
また、図8に示す光配線部品10では、光導波路1の先端面102が、対向面52を含む平面よりも非対向面53側へ後退して(ずれて)おり、その分だけ、先端面102の近傍において端面保護部7が溜まることのできる空間が増えている。したがって、この空間に端面保護部7が侵入することにより、端面保護部7が十分な体積を有するものとなる。その結果、端面保護部7が光導波路1に対してより強固に固定されることとなり、光配線部品10の信頼性を高めることができる。また、端面保護部7が圧縮変形するときの変形量をより多く確保することができる。このため、光配線部品10と他の光学部品とを接続する際、端面保護部7に大きな外力が加わったときでも、端面保護部7の形状追従性が高くなるため、光配線部品10と他の光学部品との間においてより隙間が生じ難くなり、光結合効率の低下を抑制することができる。また、併せて、光導波路1をより確実に保護することができる。
光導波路1の先端面102の後退量L5、すなわち、対向面52を含む平面と光導波路1の先端面102を含む平面との距離は、特に限定されないが、コア層13の厚さの10〜400%程度であるのが好ましく、30〜200%程度であるのがより好ましい。これにより、先端面102の近傍には十分な量の端面保護部7が入り込むのに必要な体積の空間を作り出すことになるので、端面保護部7をさらに安定して固定することができる。また、端面保護部7が圧縮変形するときの変形量を必要かつ十分に確保することができる。
なお、後退量L5が前記下限値を下回ると、光コネクター5の大きさによっては、十分な体積の空間を確保することができないおそれがある。一方、後退量L5が前記上限値を上回ると、光導波路1の厚さによっては、端面保護部7の厚さが厚くなり過ぎてしまい、端面保護部7における光の透過損失が増大するおそれがある。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光配線部品の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の光配線部品の第3実施形態を示す断面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図9において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態に係る光配線部品10は、端面保護部7の構成が異なる以外、第1実施形態に係る光配線部品10と同様である。
図9に示す端面保護部7は、弾性を有する保護部本体71と、保護部本体71の表面に設けられ保護部本体71よりも硬度が高い被覆層72と、を備えている。このような端面保護部7によれば、保護部本体71によって全体の弾性が確保され、他の光学部品に対して端面保護部7が追従する一方、被覆層72によって端面保護部7の表面にキズが付き難くなる。その結果、仮に他の光学部品が硬度の高いものであっても、端面保護部7が奏する効果を長期にわたって維持することができる。そして、例えば光配線部品10と他の光学部品とを接続する操作と接続を解除する操作とを繰り返したときでも、光結合損失が増大し難くなる。
被覆層72の構成材料は、被覆層72の硬度が保護部本体71よりも高くなるような材料であれば、特に限定されない。一例として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、各種ガラスのような無機材料が挙げられる。また、無機材料に限定されず、ポリプロピレンのようなポリアルキレン、ポリイミド、フッ化ポリイミド、ポリエステル、ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂のような有機材料であってもよいし、無機材料と有機材料の双方が含まれている材料であってもよい。
被覆層72の硬度は、保護部本体71の硬度より高ければよいが、具体的にはモース硬度が3以上であるのが好ましく、4以上であるのがより好ましく、5以上であるのがさらに好ましい。このような硬度の被覆層72であれば、他の光学部品等が接触したとしても、よりキズが付き難くなる。
また、被覆層72の厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上5μm以下であるのが好ましく、0.1μm以上1μm以下であるのがさらに好ましい。被覆層72の厚さを前記範囲内に設定することにより、保護部本体71に対して被覆層72が追従し易くなる。このため、端面保護部7の表面における他の光学部品の追従性も良好になる。
なお、被覆層72の厚さが前記上限値を上回ると、被覆層72が厚くなり過ぎるため、被覆層72の機械的強度が端面保護部7全体の機械的強度に影響を及ぼし易くなり、端面保護部7の表面における追従性が低下するおそれがある。また、被覆層72が厚くなり過ぎると、被覆層72の構成材料によっては、端面保護部7の透光性が低下するおそれがある。
被覆層72の形成方法は、特に限定されず、例えばスパッタリング法、真空蒸着法のような気相成膜法、ゾルゲル法、塗布法のような液相成膜法等が挙げられる。
一方、保護部本体71の機械的特性等は、第1実施形態における端面保護部7の機械的特性等と同様である。
なお、被覆層72は、保護部本体71の表面全体を覆っている必要はなく、少なくとも光路上に存在していればよい。
また、被覆層72を設けた場合であっても、端面保護部7の表面硬度等の表面に依存するもの以外の特性、例えば圧縮変形量、弾性率、ショア硬度、ポアソン比等の機械的特性や屈折率等の光学的特性は、保護部本体71のそれら特性とほぼ同程度であるため、保護部本体71の特性を端面保護部7の特性としてみなすことができる。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
≪第4実施形態≫
次に、本発明の光配線部品の第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の光配線部品の第4実施形態のうち他の光学部品に対向する面の平面図および断面図である。
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図10において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態に係る光配線部品10は、光コネクター5の構成が異なる以外、第2実施形態に係る光配線部品10と同様である。
すなわち、図10に示す光配線部品10は、図6に示す蓋体51bが省略されてなるものである。この場合、図8(b)に示す貫通孔50の上方が開放されたに等しいので、図8(b)に示す貫通孔50は対向面52と非対向面53とを貫通する溝50’となる。このようにして蓋体51bが省略され、溝50’が形成された基体51aのみで構成された光コネクター5であっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、端面保護部7は、図10(b)に示すように、上方(溝50’の下面501とは反対側)に盛り上がる形状を含むように成形されているのが好ましい。かかる形状を含むことにより、端面保護部7に発生した応力を分散させ易くなるため、光導波路1に対して局所的に大きな応力が加わるのを避けることができる。その結果、応力集中に伴う光導波路1の伝送損失の増大を抑制することができる。
なお、端面保護部7の盛り上がり高さL6(端面保護部7の上面の頂点と光導波路1の上面104との最大距離)は、特に限定されないが、光導波路1の厚さの1〜5000%程度であるのが好ましく、5〜2000%程度であるのがより好ましい。これにより、端面保護部7に発生した応力をより分散させ易くなるため、光導波路1に加わる応力がより小さく緩和されることになり、応力集中に伴う光導波路1の伝送損失の増大をより確実に抑制することができる。
<光配線部品の接続方法>
次に、図1、2に示す光配線部品10を他の光学部品と接続する方法の一例について説明する。
図11は、図1に示す光配線部品10と光ファイバー9(他の光学部品)とを接続する方法の一例を説明するための図である。
本接続方法では、光配線部品10の端面保護部7に対して8本の光ファイバー9を押し付けた状態で、両者を固定する。具体的には、図11(a)に示すように、光導波路1の一端に装着された光コネクター5(図1参照)と、8本の光ファイバー9の一端に装着された光コネクター91とを、互いに近づける。そして、図11(b)に示すように、端面保護部7に対して8本の光ファイバー9を押し付ける。これにより、端面保護部7には光ファイバー9から圧力が付与され、端面保護部7は光ファイバー9の形状に追従して変形する。この状態で、図示しないガイドピンやクリップ等を用いて光コネクター5と光コネクター91とを互いに固定する。これにより、光配線部品10と光ファイバー9とが光学的および機械的に接続される。
なお、光ファイバー9は、他の光学部品の一例である。他の光学部品としては、例えば、光導波路、発光ダイオード、半導体レーザー、レンズ、プリズム等の各種光学要素が挙げられる。
<光配線部品の製造方法>
次に、図1、2に示す光配線部品10を製造する方法の一例について説明する。
図12は、図1、2に示す光配線部品を製造する方法を説明するための図である。なお、図12は、図2(b)と同様の断面図である。また、以下の説明では、説明の便宜上、図12の上方を「上」、下方を「下」という。また、図12において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
光配線部品10の製造方法は、[1]光導波路1と光コネクター5とを備えるコネクター付き光導波路4を準備する準備工程と、[2]樹脂組成物70に対して光導波路1の少なくとも先端面102(光入出射面)を接触させつつ、樹脂組成物70を成形型8で成形する成形工程と、[3]樹脂組成物70を硬化させ、端面保護部7を得る硬化工程と、[4]成形型8を離型する離型工程と、を有する。以下、各工程について詳述する。
[1]準備工程
まず、光導波路1と光コネクター5とを準備する。そして、図12(a)に示すように、接着剤61、62を介して光導波路1と光コネクター5とを接着、固定する。これにより、図12(a)に示すコネクター付き光導波路4を得る。
また、それとともに、図12(a)に示す成形型8を用意する。そして、コネクター付き光導波路4に対して成形型8を配置する。この成形型8は、樹脂組成物70を成形することにより、目的とする形状の端面保護部7を形成するための成形型である。具体的には、図12(a)に示す成形型8は、形成しようとする端面保護部7の形状に対応したキャビティー81を備えている。このキャビティー81は、成形型8の表面の一部を凹没させてなる凹部である。この凹部によって樹脂組成物70が成形されることにより、端面保護部7において突出した形状を形成することができる。
[2]成形工程
次に、図12(b)に示すように、光導波路1の先端面102と成形型8との間に樹脂組成物70を供給する。これにより、樹脂組成物70が光コネクター5の貫通孔50内やキャビティー81内に貯留され成形されるとともに、光導波路1の先端面102に接触する。
なお、樹脂組成物70の供給方法としては、特に限定されないが、例えばディスペンサー等の供給装置を用いる方法が挙げられる。また、供給経路は、特に限定されず、例えば貫通孔50の非対向面53側の開口を介する経路であってもよく、成形型8に設けられた孔を介する経路であってもよい。なお、図12(b)では、一例として、成形型8を貫通する経路を介して樹脂組成物70を供給する様子を図示している。
[3]硬化工程
次に、成形した樹脂組成物70を硬化させる。これにより、図2に示す端面保護部7が得られる。また、樹脂組成物70が光硬化性を有している場合には、図12(c)に示すように、成形型8として光透過性を有するものを使用し、樹脂組成物70に対して成形型8越しに光Lを照射すればよい。これにより、成形型8によって樹脂組成物70を成形した状態を維持しながら、樹脂組成物70を硬化させることができる。その結果、寸法精度の高い端面保護部7を得ることができる。
なお、樹脂組成物70の硬化方法は、上記の方法に限定されず、例えば樹脂組成物70が熱硬化性を有している場合には、加熱により硬化させることができる。
[4]離型工程
次に、端面保護部7から成形型8を離型する。これにより、図2に示す光配線部品10が得られる。
以上のような製造方法によれば、成形型8によって端面保護部7を成形しつつ、同時に端面保護部7と光導波路1との位置合わせを行うことができる。これにより、端面保護部7の成形によって例えばレンズ等の光学要素を形成したとき、その光学要素と光導波路1との光軸を正確に合わせることができる。その結果、他の光学部品との間で安定した光結合効率を実現可能な光配線部品10を効率よく製造することができる。
<電子機器>
上述したような本発明の光配線部品は、前述したように、他の光学部品と接続しても光接続に伴う光結合効率の低下が抑えられる。したがって、本発明の光配線部品を備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
本発明の光配線部品を備える電子機器としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光配線部品を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
また、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
以上、光配線部品および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、光導波路の一端部に光コネクターが装着されているが、他端部にも同様の光コネクターが装着されていてもよく、これとは異なる光コネクターが装着されていてもよい。また、他端部には、光コネクターに代えて、各種の受発光素子が実装されていてもよい。また、前記実施形態に任意の要素が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.光配線部品の製造
(実施例1)
(1)光導波路の作製
まず、クラッド層形成用の組成物としてノルボルネン系樹脂(PNB)を含む組成物を調製した。次いで、この組成物を厚さ25μmのポリイミドフィルム(支持フィルム)上に塗布し、乾燥、硬化させて厚さ10μmのクラッド層を得た。
次いで、得られたクラッド層上に、コア層形成用の組成物としてノルボルネン系樹脂(PNB)を含む組成物を塗布し、乾燥、硬化させて厚さ50μmのコア層を得た。続いて、紫外線を露光し、コア層中にコア部と側面クラッド部とを形成した。なお、形成したコア部の本数は8本、コア部の幅は50μmであった。
一方、別のポリイミドフィルム(カバーフィルム)上に組成物を塗布し、乾燥、硬化させて厚さ10μmのクラッド層を得た。
そして、コア層とクラッド層とが接するように重ねた。これにより、ポリイミドフィルム、クラッド層、コア層、クラッド層およびポリイミドフィルムがこの順で積層されてなる光導波路を得た。なお、光導波路の厚さは120μm、幅は2mm、長さは10cmであった。また、コア部の屈折率は1.55であった。
(2)光コネクターの装着
次に、図1に示す形状のポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂製の光コネクターを用意した。
次いで、光導波路の2つの主面のうち、一方の主面にエポキシ系接着剤を塗布した。
次に、光コネクターの貫通孔内に、エポキシ系接着剤を塗布した光導波路を挿入した。そして、接着剤を介して光導波路と光コネクターとを接着した。
次に、シリコーン系樹脂を含む樹脂組成物を用意し、成形型を利用して樹脂組成物を成形した。これにより、光導波路の先端面を覆うように設けられた端面保護部を得た。なお、光路上における端面保護部の厚さは50μm(0.050mm)であった。
以上のようにして図2に示す光配線部品を得た。
(実施例2〜6)
端面保護部の構成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光配線部品を得た。
(比較例1〜4)
端面保護部の構成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光配線部品を得た。
(実施例7)
光導波路の先端面を光コネクターの対向面を含む平面よりも非対向面側へずらすようにした以外は、実施例1と同様にして図8に示す光配線部品を得た。なお、光配線部品の構成については、表2に示す通りである。
(実施例8〜12)
端面保護部の構成を表2に示すように変更するようにした以外は、実施例7と同様にして光配線部品を得た。
(比較例5〜8)
端面保護部の構成を表2に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして光配線部品を得た。
(実施例13)
以下のようにして保護部本体と被覆層とで構成された端面保護部を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして光配線部品を得た。
まず、実施例1と同様にしてシリコーン系樹脂を含む樹脂組成物を用意し、成形型を利用して樹脂組成物を成形した。これにより、光導波路の先端面を覆うように設けられた保護部本体を得た。
次に、スパッタリング法により、保護部本体の表面に被覆層を形成した。
以上のようにして図9に示す光配線部品を得た。なお、光配線部品の構成については、表3に示す通りである。
(実施例14〜18)
端面保護部の構成を表3に示すように変更した以外は、実施例13と同様にして光配線部品を得た。
(比較例9〜12)
端面保護部の構成を表3に示すように変更した以外は、実施例13と同様にして光配線部品を得た。
2.光配線部品の評価
2.1 温度サイクル試験
まず、各実施例および各比較例で得られた光配線部品と、光コネクター付きの光ファイバーと、を接続し、接続体を得た。
次に、得られた接続体を温度サイクル試験装置に入れた。
次いで、装置内を−40℃で30分間保持した後、20℃で10分間保持した。
次いで、装置内を85℃で30分間保持した後、20℃で10分間保持した。
以上の昇降温を1サイクルとして、かかる温度サイクルを1000サイクル繰り返す試験を行った。
次いで、試験前の接続体の挿入損失と試験後の接続体の挿入損失とを比較し、挿入損失の増分を算出した。なお、これらの挿入損失は、社団法人 日本電子回路工業会が規定した「高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)」の4.6.1挿入損失の測定方法に準拠して測定した。
そして、100サイクル後、500サイクル後、および1000サイクル後における挿入損失の増分をそれぞれ算出し、以下の評価基準に照らして評価した。
<挿入損失の増分の評価基準>
○:挿入損失の増分が0.30dB未満である
×:挿入損失の増分が0.30dB以上である
以上の評価結果を表1〜3に示す。
2.2 着脱試験
まず、各実施例および各比較例で得られた光配線部品と、光コネクター付きの光ファイバーと、を接続し、接続体を得た。
次に、接続状態を解除した。
以上のような接続とその解除とを1サイクルとして、かかる着脱サイクルを5000サイクル繰り返す試験を行った。
次いで、試験前の接続体の挿入損失と試験後の接続体の挿入損失とを比較し、挿入損失の増分を算出した。なお、これらの挿入損失は、社団法人 日本電子回路工業会が規定した「高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)」の4.6.1挿入損失の測定方法に準拠して測定した。
そして、1000サイクル後、3000サイクル後、および5000サイクル後における挿入損失の増分をそれぞれ算出し、以下の評価基準に照らして評価した。
<挿入損失の増分の評価基準>
○:挿入損失の増分が0.30dB未満である
×:挿入損失の増分が0.30dB以上である
以上の評価結果を表1〜3に示す。
2.3 耐衝撃試験
まず、各実施例および各比較例で得られた光配線部品と、光コネクター付きの光ファイバーと、を接続し、接続体を得た。
次に、得られた接続体を1.5mの高さから衝撃板に落下衝突させる試験を行った。
そして、この落下衝撃試験を繰り返し100回行った。
次いで、試験前の接続体の挿入損失と試験後の接続体の挿入損失とを比較し、挿入損失の増分を算出した。なお、これらの挿入損失は、社団法人 日本電子回路工業会が規定した「高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)」の4.6.1挿入損失の測定方法に準拠して測定した。
そして、1回後、10回後、および100回後における挿入損失の増分をそれぞれ算出し、以下の評価基準に照らして評価した。
<挿入損失の増分の評価基準>
○:挿入損失の増分が0.30dB未満である
×:挿入損失の増分が0.30dB以上である
以上の評価結果を表1〜3に示す。
2.4 高温放置試験
まず、各実施例および各比較例で得られた光配線部品と、光コネクター付きの光ファイバーと、を接続し、接続体を得た。
次に、得られた接続体を高温保持オーブン内に入れ、85℃で加熱しつつ、1000時間放置した。なお、オーブン内の雰囲気は空気とした。
加熱終了後、接続体をオーブンから取り出し、2時間以上放置した。
次いで、試験前の接続体の挿入損失と試験後の接続体の挿入損失とを比較し、挿入損失の増分を算出した。なお、これらの挿入損失は、社団法人 日本電子回路工業会が規定した「高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)」の4.6.1挿入損失の測定方法に準拠して測定した。
そして、500時間後および1000時間後における挿入損失の増分をそれぞれ算出し、以下の評価基準に照らして評価した。
<挿入損失の増分の評価基準>
○:挿入損失の増分が0.30dB未満である
×:挿入損失の増分が0.30dB以上である
以上の評価結果を表1〜3に示す。
表1〜3から明らかなように、各実施例の光配線部品では、高温放置試験を経た後でも、挿入損失の著しい増加が抑えられていた。試験前後で光導波路自体の伝送損失がほとんど変化していないことを踏まえると、この試験結果から、端面保護部に対して他の光学部品を高温下で長時間押し付けたとしても、端面保護部に痕が残り難く、端面保護部において良好な形状追従性が維持されていたと認められる。
また、各実施例の光配線部品では、他の光学部品と接続された状態(接続体の状態)で温度サイクル試験や落下衝撃試験に供されたとしても、挿入損失の著しい増加が抑えられていた。このことから、外力や環境変化等が加わったとしても他の光学部品との間で安定した光結合効率を実現し得る光配線部品を得られることが認められた。
また、各実施例の光配線部品では、端面保護部に被覆層を設けることによって、着脱サイクル試験に対する耐性が高まることが認められた。これは、被覆層が設けられることによって、耐摩耗性が向上し、例えば着脱サイクル試験のような端面保護部の摩耗を生じる試験を経た後でも光結合効率の低下が抑えられたことに起因するものと考えられる。