JP6880597B2 - 樹脂組成物、該樹脂組成物を成形してなるフィルム、および該フィルムを成形してなる袋 - Google Patents
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Description
コハク酸単位を特定の割合のポリエステル樹脂(A)に対して、特定の構造を持つセルロ
ースエステル(B)を特定量含有することで、引張強度に優れるとともに、引き裂き強度
が格段に向上するフィルムを得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[5]を要旨とする。
[1] 脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを含む脂肪族ポリエステル系樹
脂であって、全脂肪族ジカルボン酸単位中、コハク酸単位を87モル%以上含有するポリ
エステル樹脂(A)と、セルローストリアセテート、及びセルロースアセテートプロピオ
ネートからなる群より選ばれる1種以上のセルロースエステル(B)とを含有するポリエ
ステル樹脂組成物であって、該ポリエステル樹脂(A)及びセルロースエステル(B)の
合計量に対するセルロースエステル(B)の割合が5重量%以上25重量%以下である、
樹脂組成物。
[2] 前記セルロースエステル(B)がセルロースアセテートプロピオネートである[
1]に記載の樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の樹脂組成物を成形して得られるフィルム。
[4] [1]又は[2]に記載の樹脂組成物を成形して得られるマルチフィルム。
[5] [3]に記載のフィルムを成形して得られる袋。
例えば、本発明に係る樹脂組成物をフィルムとしたのち袋に成形した場合、引き裂き強度に優れ、袋の裂けを防止することが可能となる。また、引っ張り強度に優れることで、袋の裂けを防止することが可能となる。さらに、本発明に係る樹脂組成物を成形して得られるマルチフィルムも、引き裂き強度に優れ、好適に使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、以下のポリエステル樹脂(A)とセルロールエステル(B)とを含有する。ポリエステル樹脂(A)とは、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを含む脂肪族ポリエステル樹脂であって、全脂肪族ジカルボン酸由来単位中、コハク酸由来単位を87モル%以上含有するポリエステル樹脂である。
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)とセルロースエステル(B)とを含有
する事を特徴とする樹脂組成物である。
本発明のポリエステル樹脂組成物を用いてフィルムに成形した場合において、フィルムの成形性、引っ張り強度や引き裂き強度を優れたものとすることが可能である。
1.1.ポリエステル樹脂(A)
本発明に用いられるポリエステル樹脂(A)は脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位とを含む脂肪族ポリエステル系樹脂であって、全脂肪族ジカルボン酸由来単位中、コハク酸由来単位を87モル%以上含有する。ポリエステル樹脂(A)は、コハク酸単位の量が異なるポリエステル樹脂の混合物であってもよく、例えば、コハク酸由来以外のジカルボン酸構造単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂と、コハク酸由来以外の構造単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂とをブレンドして、ポリエステル樹脂(A)におけるコハク酸由来の構造単位量を上記所定範囲内に調整して使用する事も可能である。
−O−R1−O− (1)
−OC−R2−CO− (2)
式(1)中、R1は、2価の脂肪族炭化水素基を表す。ポリエステル樹脂(A)が共重合体である場合には、ポリエステル樹脂(A)中に2種以上の式(1)で表される脂肪族ジオール単位が含まれていてもよい。上記式(2)中、R2は、2価の脂肪族炭化水素基を表す。上記式(1)、(2)で表される脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位は、石油から誘導された化合物由来であっても、植物原料から誘導された化合物由来であってもかまわないが、植物原料から誘導された化合物を含む事が望ましい。ポリエステル樹脂(A)が共重合体である場合には、ポリエステル樹脂(A)中に2種以上の式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位が含まれていてもよい。そして、式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位には、コハク酸に由来する構造単位が、全脂肪族ジカルボン酸単位に対して87モル%以上含まれている。ポリエステル樹脂(A)におけるコハク酸由来の構造単位量を所定範囲内とすることで、引っ張り強度に優れた高い弾性率のフィルムを得ることが可能となる。そして同様の理由から、コハク酸に由来する構造単位は、全脂肪族ジカルボン酸単位に対して好ましくは87モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは93モル%以上含まれている。
4以上6以下の脂肪族ジオールが特に好ましい。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。尚、上記脂肪族ジオールは、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂(A)は「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物」または「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合することによって、溶融粘度が高められたものであってもよく、カップリング剤により鎖長延長されたものであってもよい。
3官能の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸またはその酸無水物が挙げられ、4官能の多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸またはその酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
カップリング剤としては、ジイソシアネート、オキサゾリン、ジエポキシ化合物、酸無水物等が挙げられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。これらの添加量はポリエステル樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部である。
本発明で使用するポリエステル樹脂(A)は、公知の方法で製造することができる。例えば、コハク酸を含む上記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
ポリエステル樹脂(A)の融点は70℃以上が好ましく、さらに好ましくは75℃以上であり、170℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは119℃以下、特に好ましくは100℃未満である。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。弾性率は180〜500MPaである事が好ましい。融点が範囲外では成形性に劣り、弾性率が180MPa以下では成形性や製袋性に問題が起こり易く、弾性率は500MPa以上では引き裂き強度や衝撃強度の改良効果が得られにくい。ポリエステル樹脂(A)の融点や弾性率の調整法は特に限定されないが、例えば、コハク酸以外の共重合成分の種類を選択したり、ぞれぞれの共重合比率を調節したり、それらを組み合わせたりすることにより調節することが可能である。
本発明の樹脂組成物にはセルロースエステル(B)が含まれる。
本発明の樹脂組成物に含まれるセルロースエステル(B)は、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)からなる群より選ばれる1種以上ものを挙げることができる。これ
らの中でもセルロースアセテートプロピオネート(CAP)が好ましい。
可塑剤としては、フタル酸エステルを除いたアジペート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤が好ましい。
セルロースエステル(B)の数平均分子量は、流動性(加工性)を維持する観点から、10,000〜100,000の範囲であることが好ましく、15,000〜80,000の範囲であることがより
好ましい。
セルロースエステル(B)の溶融範囲は120℃以上が好ましく、さらに好ましくは130℃以上であり、250℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは240℃以下、特に好ましくは230℃未満である。
、CAB-321-0.1、CAB-171-15などが挙げられ、この中でも、CAP‐480‐20、CAP-482-0.5、CAP-504-0.2が好ましい。
1.3.1.ポリエステル樹脂(C)
本発明の樹脂組成物には、脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、および芳香族ジカルボン酸単位を含む芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂(以下、ポリエステル樹脂(C)と称する。)を含むことが好ましい。
−O−R3−O− (3)
式(3)中、R3は2価の脂肪族炭化水素基を表す。ポリエステル樹脂(C)が共重合体である場合には、ポリエステル樹脂(C)中に2種以上のR3が含まれていてもよい。
式(4)中、R4は2価の脂肪族炭化水素基を表す。ポリエステル樹脂(C)が共重合体である場合には、ポリエステル樹脂(C)中に2種以上のR4が含まれていてもよい。
−OC−R5−CO− (5)
式(5)中、R5は2価の芳香族炭化水素基を示す。ポリエステル樹脂(C)が共重合体である場合には、ポリエステル樹脂(C)中に2種以上のR5が含まれていてもよい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸としては、R5の環構造が2以下であることが好ましく、より具体的には例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、生分解性の観点からR5はフェニレン基であることが好ましく、より具体的には例えばテレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸であってもよい。
ポリエステル樹脂(C)は、脂肪族オキシカルボン酸単位を有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステルまたは分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液の何れであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
また、ポリエステル樹脂(C)は、ポリエステル樹脂(A)と同様、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物」または「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合することによって、溶融粘度が高められたものであってもよく、ジイソシアナートやジエポキシ化合物等のカップリング剤により鎖長延長されたものであってもよい。
造することができる。
ポリエステル樹脂(C)の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することが可能であって、ポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量が、通常5,000以上1,000,000以下であるが、成形性と機械強度の点において有利なため、好ましくは10,000以上500,000以下である。
本発明の樹脂組成物において、脂肪族オキシカルボン酸単位からなるポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂(D)と称する)を含むことが好ましい。
脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシへキサン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸またはグリコール酸であり、乳酸が最も好ましい。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
造単位との合計を100モル%として、下限が、通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(D)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
本発明に係る樹脂組成物には、滑剤、フィラー(充填剤)、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤等の各種添加剤や、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の合成樹脂や、澱粉、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物が「その他の成分」として含まれていてもよい。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に使用できる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これら添加剤の添加量は、通常、生分解性樹脂組成物の物性を損なわないために、混合する物質の総量が、生分解性樹脂組成物の総量に対して、0.01重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
例えば、本発明に係る樹脂組成物に滑剤を含ませると、樹脂組成物をフィルムとしたのち袋に成形する際の成形性を向上させることができる。また、袋の口を開き易くすることができ、袋の使用性を向上させることができる。さらに、袋の口が開き易くなると、袋製造時の検査も容易となる。
本発明に係る樹脂組成物にフィラーを含ませると、樹脂組成物の流動性と結晶化速度の改良によるフィルム成形時の安定化、フィルム機械物性の異方向性の低減にも寄与させることができる。また、樹脂組成物をフィルムとした場合にフィルム同士のブロッキングを防止することができる。或いは、フィルムを袋に成形した場合に袋の口を開き易くすることもできる。さらに、フィルムや袋を着色し、遮光性や光反射性を向上させることもできる。
尚、樹脂組成物の流れ性が悪い場合は、可塑剤を加えるとよい。特に、樹脂組成物にフィラーを含ませた場合、樹脂組成物の粘度が上昇して樹脂組成物の流れ性が悪くなる場合があり、樹脂組成物に可塑剤を加えることによって、これを改善することができる。
可塑剤としては、公知のものを特に限定されることなく用いることができる。例えば、メチルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、ジ−n−プロピルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシレート等の脂肪酸エステル、トリアセチン等のグリセリンエステル、ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジオクチルマレエート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート等のマレイン酸およびフマル酸エステル、アジピン酸−1,3−ブチレングリコール、エポキシ化大豆油等のポリエステル・エポキシ化エステル、トリオクチル
トリメリテート等のトリメリット酸エステル、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、グリセリンジアセトモノプロピオネート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノベヘネート、グリセリンモノアセトモノステアレート等のアセチル化モノグリセライド、ジグリセリンアセテート、デカグリセリンプロピオネート、テトラグリセリンカプリレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンオレート、デカグリセリンベヘネート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ロジン誘導体等が挙げられる。これらの可塑剤は、樹脂組成物中、通常0.05〜10重量%の範囲で使用される。
また、本発明に係る樹脂組成物に帯電防止剤を含ませると、樹脂組成物をフィルムとした後に袋に成形する場合の成形性を向上させることができる。また、フィルムや樹脂の取り扱いも容易となる。帯電防止剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。具体例としては、界面活性剤型のノニオン系、カチオン系、アニオン系が好ましい。
澱粉としては、具体的にはコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉等が挙げられ、これらは未変性品、変性品どちらも使用できる。変性とは化学的、物理的、生物学的等のあらゆる変性方法を含み、化学的変性としては、炭水化物(多糖類)の構成単位の一部または全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性することを示し、特には、水酸基をエーテル化、エステル化することを示す。また、物理的変性は、結晶化度を変化させること等、物理的性質を変化させることを示す。また、生物学的変性は、生物を用いて化学構造等を変化させることを示す。
ロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドトキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系安定剤等があげられる。耐光剤は、紫外線吸収剤と組み合わせて用いることが好ましく、ヒンダードアミン系安定剤と紫外線吸収剤との組み合わせが有効である。
キシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応性生物等のラクトン系熱安定剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;等があげられる。
ポリカルボジイミド化合物の製造原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。
的に入手が容易な3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシドが特に好ましい。
このように、本発明に係る樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)とセルロースエステル(B)とを含んでなるものであり、上記ポリエステル樹脂(A)におけるコハク酸由来の構造単位の量を所定範囲内とするとともに、上記樹脂(A)とセルロースエステル(B)の合計に対するセルロースエステル(B)を所定範囲内としたことに特徴を有する。このような特徴を有する樹脂組成物によってフィルムを成形すると、フィルムの引き裂き強度が向上されたものとなり、また、優れた衝撃強度を有するものとなる。本発明に係る樹脂組成物により得られたフィルムは袋に成形することで、引き裂きによる裂けが生じ難く、且つ、衝撃による裂けも生じ難い袋とすることができる。或いは、本発明に係る樹脂組成物を農業用等のマルチフィルムの材料として用いることも好適である。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法としては、公知の手法を適用することができる。例えば、ブレンドしたポリエステル樹脂(A)の原料チップ及びセルロースエステル(B)を同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。押出機としては、単軸または2軸押出機が利用できる。また、ポリエステル樹脂(A)を加熱溶融させたところに、セルロースエステル(B)を添加して配合することもできる。この際、その他成分を均一に分散させる目的で、ブレンド用オイル等を使用することもできる。ポリエステル樹脂(A)以外の上述のポリエステル樹脂(C)及び又はポリエステル樹脂(D)を含む場合は、ポリエステル樹脂(A)と共に混合して配合すればよい。
本発明に係る樹脂組成物は、汎用プラスチックに適用される各種成形法によりフィルム状に成形することができる。成形法に関しては、特に、押し出し成形やインフレーション成形によって成形すると、本発明の効果が顕著に現れる。より具体的には、例えば、Tダ
イ、Iダイまたは丸ダイ等から所定の厚みに押し出したフィルム状、シート状物または円筒状物を、冷却ロールや水、圧空等により冷却、固化させる方法等が挙げられる。この際、本発明の効果を阻害しない範囲で、数種の組成物を積層させた積層フィルムとすることも可能である。
本発明に係る樹脂組成物を成形して農業用等のマルチフィルムとすると尚好ましい。マルチフィルムの成形については、上記したような公知の方法を用いればよい。本発明に係る樹脂組成物を成形して得られたマルチフィルムは以下の効果を奏する。マルチフィルムにあっては、引き裂き強度に優れるものが好適に用いられると言える。この点、本発明に係る樹脂組成物を成形して得られるマルチフィルムは、引き裂き強度が向上されたものであり、且つ、衝撃強度にも優れている。よって、敷設したマルチフィルムにおいて、フィルムが裂けて欠陥部分が大きくなることを抑制することができ、また、衝撃によってマルチフィルムが裂けることも防止することができる。尚、本発明に係る樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族共重合ポリエステル、脂肪族オキシカルボン酸といった成分を主成分としているため、マルチフィルムを使用後、そのまま土中に埋め込んでも問題がない。
上記のようにして得られるフィルムを成形して袋としてもよい。袋の成形については、公知の方法を適用することができる。例えば、インフレーション成形した筒状体の末端をヒートシールすることによって成形可能である。ここで、上述したように、袋を構成するフィルムは引き裂き強度が向上されるとともに優れた衝撃強度を有している。フィルムが引き裂き強度に優れると、袋の縦裂けを防止することが可能となる。また、衝撃強度に優れることで、袋を開ける際や袋に物を詰める際、袋の裂けを防止することが可能となる。
<脂肪族ポリエステル系樹脂>
・ポリブチレンサクシネート(以下、PBSと略記する) 三菱化学株式会社製 「GsPla(登録商標) FZ91PN」
・ポリブチレンサクシネートアジペート(以下、PBSAと略記する) 三菱化学株式会社製 「GsPla(登録商標) FD92WN」
<セルロースエステル>
・セルロースアセテートプロピオネート(以下、“CAP”と略記する) EASTMAN製 CAP-482-20 Acetyl含量2.5%、Propionyl含量46.0%、Hydroxyl含量1.8%、数平均分子量75,000
[実施例1〜3、比較例1〜7]
樹脂組成物の製造
樹脂としてPBSもしくはPBSAとセルロースエステルとしてCAPを表−1に示す割合(重量部)で(株)日本製鋼所製2軸押出機(TEX30α−59.5AW−15V、L/D=59.5)に仕込み、溶融混練し、該2軸押出機の出口からストランド状に押
し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行い、樹脂組成物を得た。なお、混練時の設定温度は190℃、スクリュー回転数は200rpmとした。
袋を開封して速やかに2軸押出機に仕込み、溶融混練した。
なお、表−1において、「コンパウンド性」の指標は、それぞれの実施例や比較例において、樹脂組成物をコンパウンドする際の、扱いやすさの指標であり、コンパウンド性“○”は、樹脂組成物を問題なく混練出来たもの、コンパウンド性“△”は、ストランドが安定しなかったり、ストランドがカッターで切れなかったりしたものである。
上記の樹脂組成物の製造にて得られた、それぞれの樹脂組成物を有限会社エンプラ産業社製インフレ成形機(エンプラ30、ダイス 口径:75mm、リップ幅:0.8mm)にて、成形温度160℃、ブロー比3.5、厚み50μmのフィルムを作成した。また吐出量8kg/h、エアブロー一定にて、成型性(バブル、フロストの状態)を以下の基準で評価した。以下の評価基準に基づいたそれぞれの樹脂組成物を含むフィルムの評価結果は、表−1の「インフレ成形性」に示した。
○:フロストラインが低く、成型性が良好
△:フロストラインは少し高いが、成型性に問題ない状態
×:バブルが安定しなく成型できない状態、ブツが多く外観が不良な状態
[フィルムの物性評価]
実施例1〜3及び比較例1〜7のそれぞれで得られたについて、以下の評価を実施した。
JIS K7127(1999)に準拠して、フィルム成形時のフィルム流れ方向(MD)のフィルムの弾性率を測定した。結果を表−1の弾性率(MD)に示した。
<フィルムにした時のコシ>
上記弾性率評価において、弾性率が400MPa以上をコシがあるとして○、300〜400MPaを△、0〜300MPaを×とした。結果を表−1の「フィルムにした時のコシ」に示した。
JIS K7128−2(1998)に準拠して、フィルム成形時のフィルム流れ方向(MD)とフィルムの流れ方向に垂直(TD)の引き裂き強度を測定した。結果を表−1の「引裂き(MD)」「引裂き(TD)」にそれぞれに示した。
<打ち抜き衝撃強度>
東洋精機社製フィルムインパクトテスターを用い、直径50mmのフィルムの打ち抜き衝撃強度をJIS P8134(1998)に準じて測定した。尚、インパクトテスター打ち抜き部先端には直径25.4mmの半球状金属製治具を取り付けて評価を行った。結果を表−1のPunctureにそれぞれ示した。
るポリエステル樹脂(A)とセルロースエステル(B)の組成比を、本発明に規定した範囲内にすることで高い衝撃強度および引き裂き強度を有するフィルムが得られることが明らかである。
Claims (5)
- 脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを含む脂肪族ポリエステル系樹脂であ
って、全脂肪族ジカルボン酸単位中、コハク酸単位を87モル%以上含有するポリエステ
ル樹脂(A)と、セルローストリアセテート、及びセルロースアセテートプロピオネート
からなる群より選ばれる1種以上のセルロースエステル(B )とを含有するポリエステル
樹脂組成物であって、該ポリエステル樹脂(A)及びセルロースエステル(B)の合計量
に対するセルロースエステル(B)の割合が5重量%以上25重量%以下である、樹脂組
成物。 - 前記セルロースエステル(B)が、セルロースアセテートプロピオネートである、請求
項1に記載の樹脂組成物。 - 請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物を成形して得られるフィルム。
- 請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物を成形して得られるマルチフィルム。
- 請求項3に記載のフィルムを成形して得られる袋。
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