JP6880584B2 - 調光装置及び調光方法 - Google Patents

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Description

本発明は、調光装置及び調光方法に関する。
電気信号により発色濃度を制御する電気調光素子は、紫外線などの光照射によって発色濃度が変化するフォトクロミック現象を利用した調光素子とは異なり、ユーザが自由に発色濃度を制御できるなどのメリットを有している。
前記電気調光素子の応用技術のひとつとして調光眼鏡がある。印加電圧により発色濃度を制御可能なため、ユーザが自由に前記電気調光素子を透過する光量を制御できるというメリットがあるとして眼鏡やサングラスのレンズとしての開発が行われている。
例えば、フレーム内にエレクトロクロミック素子が装着されており、前記エレクトロクロミック素子に電位を印加する電源と、前記エレクトロクロミック素子に印加する電位の極性を切り替えるスイッチとが配設されている調光眼鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照)
また、液晶表示素子を利用した調光眼鏡であって、外光の光量変化が一定の時間以上検出された場合に、前記液晶表示素子における光の透過率を制御するようにした調光眼鏡が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、2つの素子における透過した光量の差を低減可能な調光装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の調光装置は、印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一の素子と、印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二の素子と、前記第一の素子及び前記第二の素子を透過した光量をそれぞれ計測する光量計測手段と、前記光量計測手段により計測された光量の差が所定の範囲外であるとき、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する制御手段と、を有する。
本発明によると、2つの素子における透過した光量の差を低減可能な調光装置を提供することができる。
図1は、本発明の調光装置の一例を示す模式図である。 図2Aは、本発明の調光装置に用いるエレクトロクロミック素子の構成の一例を示す模式図である。 図2Bは、本発明の調光装置に用いるエレクトロクロミック素子の構成の他の一例を示す模式図である。 図2Cは、本発明の調光装置に用いるエレクトロクロミック素子の構成の他の一例を示す模式図である。 図2Dは、本発明の調光装置に用いるエレクトロクロミック素子の構成の他の一例を示す模式図である。 図2Eは、本発明の調光装置に用いるエレクトロクロミック素子の構成の他の一例を示す模式図である。 図3は、本発明の調光装置の一例を示すブロック図である。 図4は、本発明の調光装置を用いて、透過する光量の差を低減するために素子に印加する電圧を調整する流れの一例を示すフローチャートである。 図5Aは、本発明の調光装置に用いる素子における電圧値と光量計測手段の出力電圧との関係の一例を示すグラフである。 図5Bは、本発明の調光装置に用いる素子における電圧値と光量計測手段の出力電圧との関係の他の一例を示すグラフである。 図6Aは、本発明の調光装置に用いる素子における電圧印加時間と光量計測手段の出力電圧との関係の一例を示すグラフである。 図6Bは、本発明の調光装置に用いる素子における電圧印加時間と光量計測手段の出力電圧との関係の他の一例を示すグラフである。
(調光装置及び調光方法)
本発明の調光装置は、印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一の素子と、印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二の素子と、前記第一の素子及び前記第二の素子を透過した光量をそれぞれ計測する光量計測手段と、前記光量計測手段により計測された光量の差が所定の範囲外であるとき、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する制御手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の調光方法は、印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一の素子、及び印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二の素子を透過した光量をそれぞれ計測する光量計測工程と、計測された光量の差が所定の範囲外であると判定したとき、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する制御工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の調光方法は、本発明の調光装置により好適に行うことができる。
以下、本発明の調光装置の説明を通して本発明の調光方法の詳細についても明らかにする。
本発明の調光装置は、特許文献1及び2の前記調光装置では、液晶表示素子やエレクトロクロミック素子などの素子には個体差があるため、同種の2つの前記素子を同じ電圧値及び電圧印加時間で駆動させても発色濃度が異なる場合があるという知見に基づくものである。
本発明の調光装置の用途としては、例えば、前記素子をレンズとして用いることにより、前記素子に印加する電圧に応じて発色濃度を調整可能な調光眼鏡などが挙げられる。
<第一の素子及び第二の素子>
前記第一の素子は、印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する素子である。前記第二の素子は、印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する素子である。
前記光量とは、前記光量計測手段が受けた光束の時間積である。前記素子を透過した前記光量(以下、「透過光量」と称することもある)は、透過した前記第一の素子及び前記第二の素子の発色濃度に応じて減衰し、前記光量計測手段により出力電圧に変換されることにより計測される。
前記第一の素子及び前記第二の素子を透過する光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線、可視光線などが挙げられる。
前記第一の素子及び前記第二の素子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印加される電圧に応じて発色濃度が変化し、可視光線などの光が透過する光量が変化する素子などが挙げられる。これらの中でも、エレクトロクロミック素子(以下、「EC素子」と称することがある)が好ましい。
以下、前記素子が前記エレクトロクロミック素子である場合についてとして説明するが、これに限定されるものではない。
前記素子としてのエレクトロクロミック素子としては、第一の基板と、第一の電極層と、エレクトロクロミック層と、絶縁性無機粒子層と、第二の電極層と、第二の基板と、をこの順で有し、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に電解質を有することが好ましい。
<<第一の基板及び第二の基板>>
前記第一の基板及び前記第二の基板(以下、いずれかを特定しない場合には単に「基板」と称することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜周知の熱成形可能な樹脂材料をそのまま選択することができ、例えば、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板などが挙げられる。
また、前記基板の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、視認性を高めるために透明絶縁性無機粒子層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記基板の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、楕円形状、長方形状などが挙げられる。また、前記調光装置が前記調光眼鏡として用いられる場合には、前記第一の基板をレンズとし、前記第一の基板の外形を前記フレームのリムに応じた形状としてもよい。
<<第一の電極層及び第二の電極層>>
前記第一の電極層及び前記第二の電極層(以下、いずれかを特定しない場合には単に「電極層」と称することがある)の材料としては、透明かつ導電性を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称することもある)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称することもある)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称することもある)などが挙げられる。これらの中でも、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる点から、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、「In酸化物」と称することもある)、スズ酸化物(以下、「Sn酸化物」と称することもある)、及び亜鉛酸化物(以下、「Zn酸化物」と称することもある)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOが特に好ましい。更には、透明性を有する銀、金、カーボンナノチューブ、金属酸化物等のネットワーク電極やこれらの複合層も有用である。
前記電極層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エレクトロクロミックの酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整されることが好ましく、ITOを用いた場合には、50nm以上500nm以下が好ましい。
<<エレクトロクロミック層>>
前記エレクトロクロミック層としては、エレクトロクロミック化合物を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記エレクトロクロミック材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機エレクトロクロミック化合物、有機エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子などが挙げられる。
前記無機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。
前記導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
前記エレクトロクロミック層としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いることが好ましい。
具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の微粒子を焼結し、前記微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造である。
前記構造は、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して高速応答する。
更に、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。
なお、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。
前記エレクトロクロミック材料としては、具体的には、ポリマー系、色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。
これらの中でも、発消色電位が低く、良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物が好ましい。
前記ビオロゲン系化合物としては、例えば、特許第3955641号公報、特開2007−171781号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記ジピリジン系化合物としては、例えば、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報に記載の化合物などが挙げられる。
これらの中でも、良好な発色の色値を示す点から、下記一般式1で表されるジピリジン系化合物が好ましい。
前記ビオロゲン系化合物としては、例えば、特許第3955641号公報、特開2007−171781号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記ジピリジン系化合物としては、例えば、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報に記載の化合物などが挙げられる。
これらの中でも、良好な発色の色値を示す点から、下記一般式1で表されるジピリジン系化合物が好ましい。
[一般式1]
Figure 0006880584
ただし、前記一般式1中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、又はアリール基を表し、R1及びR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、及びSi(OC2k+1(ただし、kは、1から20)から選ばれる置換基を有する。Xは1価のアニオンを表し、例えば、カチオン部と安定に対を成すものであれば特に限定されるものではないが、Brイオン(Br)、Clイオン(Cl)、ClOイオン(ClO )、PFイオン(PF )、BFイオン(BF )などが挙げられる。n、m、及びlは、0、1又は2を表す。A、B、及びCは、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
金属錯体系、金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機系エレクトロクロミック化合物などが挙げられる。
導電性又は半導体性微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属酸化物が好ましい。
前記金属酸化物の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンから選ばれる1種又はそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れた色表示が可能である。
とりわけ、酸化チタンが用いられたとき、より発消色の応答速度に優れた色表示が可能である。
また、導電性又は半導体性微粒子の形状は、特に制限されるものではないが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下、比表面積という)が大きい形状が用いられる。
例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比が優れる。
前記エレクトロクロミック層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm以上5.0μm以下が好ましい。前記エレクトロクロミック層の平均厚みが0.2μm未満であると、発色濃度が得にくくなることがあり、5.0μmを超えると、製造コストが増大すると共に、発色によって視認性が低下しやすいことがある。
前記エレクトロクロミック層及び導電性又は半導体性微粒子層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。
<<絶縁性無機粒子層>>
前記絶縁性無機粒子層は、前記第1の電極層と前記第2の電極層とが電気的に絶縁されるように隔離するための層である。
前記絶縁性無機粒子層の材料としては、特に限定されるものではないが、絶縁性が高く、耐久性が高く、成膜性に優れた有機材料、無機材料、又はこれらの複合体が好ましい。
前記絶縁性無機粒子層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等に添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。
具体的には、金属酸化物微粒子(例えば、SiO粒子、Al粒子等)と樹脂結着剤からなる樹脂混合粒子膜、多孔性有機膜(例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂等)、多孔質膜上に形成した無機絶縁材料膜などが挙げられる。
<<電解質>>
前記電解質は、固体電解質であり、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填される。
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記電解質の平均厚みを制御する無機粒子を含むことが好ましい。
また、予め前記絶縁性無機粒子層を形成した後、前記絶縁性無機粒子層に浸透するように、前記硬化樹脂を混合した溶液としてコートした後、光又は熱で硬化することが好ましい。前記電解質は、前記無機粒子と、前記硬化樹脂とを混合した溶液として前記エレクトロクロミック層上にコートした後、光又は熱で硬化した膜としてもよい。
更に、前記エレクトロクロミック層が導電性又は半導体性ナノ粒子にエレクトロクロミック化合物が担持された層である場合は、前記エレクトロクロミック層に浸透するように、前記硬化樹脂と前記電解質とを混合した溶液としてコートした後、光又は熱で硬化した膜とすることもできる。
前記電解液としては、例えば、イオン液体等の液体電解質、又は固体電解質を溶媒に溶解した溶液などが挙げられる。
電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができ、具体的には、1−エチル−3−メチルイミダゾウム塩、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の光硬化樹脂;熱硬化樹脂などが挙げられる。これらの中でも、前記電解質との相溶性が高い材料が好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエチレングリコールの誘導体がより好ましい。
また、前記硬化樹脂としては、熱重合や、溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できる点から、光硬化樹脂が好ましい。
これらを組み合わせた電解質の中では、硬度と高いイオン伝導度が両立しやすい点から、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖を含有するマトリックスポリマーとイオン液体との固溶体が特に好ましい。特に好ましい組み合わせは、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖を含有するマトリックスポリマーとイオン液体との固溶体で構成されている電解質層である。この構成を用いることにより、硬度と高いイオン伝導度を両立しやすい。
前記無機粒子としては、多孔質層を形成して電解質と硬化樹脂を保持することができる材料であれば特に限定されるものではないが、エレクトロクロミック反応の安定性、視認性の点から、絶縁性、透明性、耐久性が高い材料が好ましい。具体的な材料としては、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、錫等の酸化物又は硫化物、あるいはそれらの混合物などが挙げられる。
前記無機粒子の一次粒子の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm以上10μm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましい。
<<その他の層>>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層などが挙げられる。
前記保護層は、前記エレクトロクロミック素子の側面部を物理的及び化学的に保護するように形成される。
前記保護層は、例えば、紫外線硬化性や熱硬化性の絶縁性樹脂等を、側面及び上面の少なくともいずれかを覆うように塗布し、その後硬化させることにより形成できる。また、硬化樹脂と無機材料との積層保護層とすることが更に好ましい。無機材料との積層構造にすることで、酸素や水に対するバリア性が向上する。
前記無機材料としては、絶縁性、透明性、耐久性が高い材料が好ましく、例えば、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、錫等の酸化物又は硫化物、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの膜はスパッタ法や蒸着法などの真空製膜プロセスで容易に形成することができる。
前記保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上10μm以下が好ましい。
<光量計測手段及び光量計測工程>
前記光量計測手段は、前記第一の素子及び前記第二の素子を透過した光量をそれぞれ計測する手段である。
前記光量計測工程は、印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一の素子、及び印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二の素子を発色させたとき、前記第一の素子及び前記第二の素子を透過した光量をそれぞれ計測する工程であり、前記光量計測手段により好適に行うことができる。
前記光量計測手段は、前記制御手段に電気的に接続され、計測した前記光量に応じた出力電圧を前記制御手段に出力する。前記光量計測手段は、前記第一の素子の前記透過光量を計測する第一の光量計測部と、前記第二の素子の前記透過光量を計測する第二の光量計測部とを有するようにしてもよい。
前記光量計測手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Siフォトダイオード、GaAsPフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、GaPフォトダイオード、Geフォトダイオード、InAsフォトダイオードなどが挙げられる。これらの中でも、測定波長領域が可視域にあり、コストパフォーマンスが高いSiフォトダイオードが好ましい。
本発明の調光装置が調光眼鏡である場合、前記光量計測手段の位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ユーザの視界を遮らないようにレンズとしての前記素子の周縁部が好ましく、前記光量計測手段への配線を引き回しやすいヨロイ付近やブリッジ付近がより好ましい。
<制御手段及び制御工程>
前記制御手段は、前記光量計測手段により計測された光量の差が所定の範囲外であるとき、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する手段である。
前記制御工程は、計測された光量の差が所定の範囲外であると判定したとき、前記光量の差を低減するように前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを調整する工程であり、前記制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段は、演算部と、電圧印加部とを有し、メモリを有することが好ましい。
前記演算部は、前記第一の素子及び前記第二の素子における前記光量の差を求めることができる。
前記電圧印加部は、前記演算部により求めた前記光量の差に応じた前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを印加することができる。
前記メモリは、前記所定の範囲などの情報を記憶することができる。
前記制御手段が行う所定の範囲外であるとの判定は、発色濃度が異なると認識できる光量の差の範囲を所定の範囲としてあらかじめ決めて前記メモリに記憶させておき、前記光量計測手段により計測された前記光量の差と前記所定の範囲とを前記制御手段が比較することにより判定する。
前記光量の差を低減するように前記電圧を調整する処理としては、例えば、以下に説明するような前記素子に印加する電圧の電圧印加条件を補正処理することなどが挙げられる。
電圧の前記電圧印加条件には、電圧値及び電圧印加時間の2つのパラメータがあるため、電圧値及び電圧印加時間のそれぞれの補正処理について説明する。
[電圧値の補正処理]
前記電圧値の補正処理としては、例えば、前記素子を消色状態から発色状態に変化させるときの前記電圧値に対する前記光量計測手段の出力電圧の変動率をΔVon/ΔVとし、前記素子を発色状態から消色状態に変化させるときの前記電圧値に対する前記光量計測手段の出力電圧の変動率をΔVoff/ΔVとすると、それぞれの変動率(ΔVon/ΔV又はΔVoff/ΔV)の逆数に比例する値を補正係数として補正電圧値を決定するようにしてもよい。具体的には、前記第一の素子における前記光量計測部の出力電圧V1と前記第二の素子における前記光量計測部の出力電圧V2との差が|V1−V2|である場合、補正電圧値ΔVcは、前記素子を消色状態から発色状態に変化させるときは、次式、ΔVc=α・(ΔV/ΔVon)・|V1−V2|あるいは前記素子を発色状態から消色状態に変化させるときは、次式、ΔVc=α・(ΔV/ΔVoff)・|V1−V2|とする。これにより、初期の電圧値Vに補正電圧値ΔVcを加えた電圧値V+ΔVcとした電圧印加条件の電圧を前記透過光量が低い前記素子に印加すると、前記透過光量が低い前記素子の前記透過光量を、もう一方の前記素子の前記透過光量に近づけることができる。
αとしては、次式、0<α≦1、が好ましく、次式、0.3<α<0.8がより好ましい。次式、0.3<α<0.8、であると、過補正になりにくく、前記素子に与えるダメージを少なくすることができるとともに、補正回数を少なくすることができる。
なお、ΔVon/ΔV、ΔVoff/ΔV、及びαの情報は、あらかじめ前記メモリ内に保存されており、これらの情報を読み出して前記補正電圧値を算出する。
[電圧印加時間の補正処理]
前記電圧印加時間の補正処理としては、例えば、前記素子を消色状態から発色状態に変化させるときの前記電圧印加時間に対する前記光量計測手段の出力電圧の変動率をΔVon/Δtとし、前記素子を発色状態から消色状態に変化させるときの前記電圧印加時間に対する前記光量計測手段の出力電圧の変動率をΔVoff/Δtとすると、それぞれの変動率(ΔVon/Δt又はΔVoff/Δt)の逆数に比例する値を補正係数として補正電圧値を決定するようにしてもよい。具体的には、前記第一の素子における前記光量計測部の出力電圧V1と前記第二の素子における前記光量計測部の出力電圧V2との差が|V1−V2|である場合、補正電圧印加時間Δtcは、前記素子を消色状態から発色状態に変化させるときは、次式、Δtc=β・(Δt/ΔVon)・|V1−V2|あるいは前記素子を発色状態から消色状態に変化させるときは、次式、Δtc=β・(Δt/ΔVoff)・|V1−V2|とする。これにより、初期の電圧印加時間tに補正電圧印加時間Δtcを加えたt+Δtcとした電圧印加条件の電圧を透過光量が低い素子に印加すると、前記透過光量が低い素子の前記透過光量を、もう一方の前記素子の前記透過光量に近づけることができる。
βとしては、次式、0<β≦1、が好ましく、次式、0.3<β<0.8、がより好ましい。次式、0<β≦1、であると、過補正になりにくく、前記素子に与えるダメージを少なくすることができるとともに、補正回数を少なくすることができる。
なお、ΔVon/Δt、ΔVoff/Δt、及びβの情報は、あらかじめ前記メモリ内に保存されており、これらの情報を読み出して前記補正電圧印加時間を算出する。
前記制御手段は、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかにおける、電圧値及び電圧印加時間の少なくともいずれかを調整することが好ましい。
前記制御手段が、前記第一の素子及び前記第二の素子のうち前記光量が低い前記素子を基準として、前記光量が高い前記素子に印加する前記電圧を調整することが好ましい。前記光量が低く、比較的濃い発色状態の前記素子を基準として、前記光量が高く、比較的淡い発色状態の前記素子の電圧を調整することにより、調整後では消色状態と発色状態での前記光量の差が大きくなり、コントラストが高い調光効果を得ることができる。
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スイッチと、電源と、フレームとを有することが好ましい。
前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<<スイッチ>>
前記スイッチを切り替えることにより、例えば、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間にプラス電圧を印加する状態、マイナス電圧を印加する状態、電圧を印加しない状態の中から1つの状態を選択可能である。更に、前記第一の素子の透過光量及び前記第二の素子の透過光量をそれぞれ計測し、計測結果に基づいて前記電圧印加条件、すなわち電圧値及び電圧印加時間の少なくともいずれかを設定するモードも選択可能としてもよい。
前記スイッチとしては、例えば、スライドスイッチ、プッシュスイッチなどが挙げられ、少なくとも前述の3つの状態を切り替え可能なスイッチとしてもよい。
<<電源>>
前記電源としては、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間にプラスマイナス数V程度の電圧を印加可能であれば任意の直流電源を用いることができ、例えば、ボタン電池、太陽電池などが挙げられる。
<<フレーム>>
前記フレームは、前記素子の周縁を保持し、前記電極パッドと電気的に接続可能な接続部材を有する。本発明の調光装置が調光眼鏡の場合、前記調光眼鏡のフレームとして用いられる。
ここで、本発明における調光装置の一例について図面を参照して説明する。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図1は、本発明の調光装置の一例を示す模式図である。図1には、前記調光装置として調光眼鏡の例を示している。
図1に示すように、調光眼鏡100は、前記エレクトロクロミック素子としての第一の素子11及び第二の素子12、フレーム50と、スイッチ60とを有する。
第一の素子11及び第二の素子12は、フレーム50のリム形状に合わせて形状を加工したものであり、フレーム50に組み込まれている。
フレーム50には、スイッチ60と図示しない前記電源が設けられている。
前記電源は、スイッチ60を介して、図示しない配線により、前記接続部材及び前記電極パッドを介して前記第一の電極層及び前記第二の電極層と、図示しない前記光量計測手段と、前記制御手段とが電気的に接続されている。
例えば、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間にプラス電圧を印加することにより、第一の素子11及び第二の素子12が所定の色に発色する。また、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間にマイナス電圧を印加することにより、第一の素子11及び第二の素子12が消色して透明となる。
ただし、前記エレクトロクロミック層に使用する材料の特性により、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間にマイナス電圧を印加することにより発色し、プラス電圧を印加することにより消色して透明となる場合もある。なお、一度発色した後は、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に電圧を印加しなくても発色状態が継続する。
図2A〜図2Eは、本発明の調光装置に用いるエレクトロクロミック素子の構成の一例を示す模式図である。
図2Aに示すように、第一の基板11a上には、第一の電極層11bと、エレクトロクロミック(EC)層11cと、絶縁性無機粒子層11dとが形成されている。
図2Bに示すように、第二の基板11g上には、第二の電極層11fが形成されている。
絶縁性無機粒子層11dの面と、第二の電極層11fの面とを合わせるように重ね、絶縁性無機粒子層11d及び第二の電極層11fの間に間隙を設け、第一の電極層11bと第二の電極層11fとのの間に電解質層11eを充填して貼りあわせると、図2Cに示すようなエレクトロクロミック素子を作製することができる。
本発明の調光装置が調光眼鏡の場合、前記エレクトロクロミック素子を調光レンズとして用いるときには、図2Dに示すように、前記エレクトロクロミック素子を熱成形により所望の形状に曲げ加工する。その後、図2Eに示すように、曲げ加工されたエレクトロクロミック素子の外側表面に樹脂を追加形成して基板を厚膜化する。厚膜化した前記基板を削加工することにより、所望の曲面を形成し、ユーザ固有の条件に合わせたレンズ加工(度数加工など)して、調光レンズを得ることができる。この方法によれば、製品形状ごとに金型や部材を準備することが不要となり、多品種少量生産が容易になる。
図3は、本発明の調光装置の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、調光装置100は、第一の素子11と、第二の素子12と、光量計測手段20と、制御手段30と、電力を供給する電源40と、を有する。
第一の素子11及び第二の素子12は、前記エレクトロクロミック素子であり、制御手段30の後述する電圧印加部32にそれぞれ接続され、電圧印加部32により前記電圧印加条件に基づいた電圧を印加される。
光量計測手段20は、第一の素子11及び第二の素子12の透過光量をそれぞれ計測する第一の光量計測部21及び第二の光量計測部22を有する。第一の光量計測部21及び第二の光量計測部22は、制御手段30の演算部33にそれぞれ接続され、計測した前記透過光量の情報を演算部33に出力する。
制御手段30は、メモリ31と、電圧印加部32と、演算部33とを有する。
制御手段30は、メモリ31に前記電圧印加条件の読込み及び書込みを行い、読み込んだ前記電圧印加条件に基づいて、電圧印加部32により第一の素子11及び第二の素子12にそれぞれ前記第一の電圧及び前記第二の電圧を印加させる。また、制御手段30は、第一の光量計測部21及び第二の光量計測部22から入力された前記透過光量の情報を演算部33により演算させ、演算した結果に基づいて求めた新たな電圧印加条件をメモリ31に書き込む。
電源40は、調光装置100全体に制御手段30を介して電力を供給する。
次に、本発明の調光装置を調光眼鏡として構成し、左右のレンズとしての第一の素子及び第二の素子をそれぞれ透過する光量の差、即ち発色濃度の差を低減するために前記素子に印加する電圧を調整するフローを、図4に示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1及び図3を参照しながら説明する。
S101では、調光眼鏡100の図示しない電源をオンにし、処理をS102に移行する。
S102では、制御手段30は、第一の素子11を発色させる電圧印加条件D1、及び第二の素子12を発色させる電圧印加条件D2をメモリ31から読み込み、処理をS103に移行する
S103では、制御手段30は、メモリ31から読み込んだ電圧印加条件D1、D2に基づいて、電圧印加部32により第一の素子11及び第二の素子12をそれぞれ発色させる電圧を印加させ、処理をS104に移行する。
S104では、第一の素子11及び第二の素子12をそれぞれ発色させた制御手段30は、第一の素子11における第一の光量計測部21の出力電圧V1と、第二の素子12における第二の光量計測部22の出力電圧V2を出力させ、処理をS105に移行する。
S105では、制御手段30は、演算部33により第一の光量計測部21の出力電圧V1と第二の光量計測部22の出力電圧V2との差の絶対値である|V1−V2|を演算させ、|V1−V2|が所定の値Vsより小さいか否かを判定する。制御手段30は、|V1−V2|がVsより小さいと判定すると処理をS106に移行し、|V1−V2|がVs以上であると判定すると処理をS107に移行する。なお、所定の値Vsは、前記発色濃度が異なると認識される前記光量計測部の出力電圧差であり、あらかじめメモリに記憶させている。
S106では、|V1−V2|がVsより小さいと判定した制御手段30は、電圧印加部32により第一の素子11及び第二の素子12をそれぞれ消色させる電圧を印加させ、本処理を終了する。
S107では、|V1−V2|がVs以上であると判定した制御手段30は、演算部33により次式、V1−V2<0、を演算させ、第一の光量計測部21の出力電圧V1及び第二の光量計測部22の出力電圧V2のいずれかが大きいのかを判定する。制御手段30は、出力電圧V1が出力電圧V2よりも小さいと判定すると処理をS108に移行し、出力電圧V1が出力電圧V2よりも大きいと判定すると処理をS110に移行する。
S108では、出力電圧V1が出力電圧V2よりも小さいと判定した制御手段30は、出力電圧V1と出力電圧V2が同等の出力電圧になるように電圧印加条件D2にΔDを加算して補正し、処理をS109に移行する。
S109では、制御手段30は、電圧印加条件D2を補正した値にメモリ内の電圧印加条件を書き換えて、処理をS201に移行する。
S110では、出力電圧V1が出力電圧V2よりも大きいと判定した制御手段30は、出力電圧V1と出力電圧V2が同等の出力電圧になるように電圧印加条件D1にΔDを加算して補正し、処理をS111に移行する。
S111では、制御手段30は、電圧印加条件D1を補正した値にメモリ内の電圧印加条件を書き換えて、処理をS301に移行する。
S201では、制御手段30は、電圧印加部32により第一の素子11及び第二の素子12にそれぞれ消色させる電圧を印加させ、処理をS202に移行する。
S202では、制御手段30は、電圧印加条件D1、及び補正後の電圧印加条件D2をメモリ31から読み込み、処理をS203に移行する。
S203では、制御手段30は、メモリ31から読み込んだ電圧印加条件D1、D2に基づいて、電圧印加部32により第一の素子11及び第二の素子12に電圧を印加させ、処理をS204に移行する。
S204では、第一の素子11及び第二の素子12にそれぞれ電圧を印加させた制御手段30は、第一の光量計測部21により出力電圧V1と、第二の光量計測部22により出力電圧V2を出力させ、処理をS205に移行する。
S205では、制御手段30は、演算部33により出力電圧V1と出力電圧V2との差の絶対値である|V1−V2|を演算させ、|V1−V2|が所定の値Vsより小さいか否かを判定する。制御手段30は、|V1−V2|がVsより小さいと判定すると処理をS106に移行し、|V1−V2|がVs以上であると判定すると処理をS206に移行する。
S206では、|V1−V2|がVs以上であると判定した制御手段30は、演算部33により次式、V1−V2<0、を演算させ、出力電圧V1及び出力電圧V2のいずれかが大きいのかを判定する。制御手段30は、出力電圧V1が出力電圧V2よりも小さいと判定すると処理をS207に移行し、出力電圧V1が出力電圧V2よりも大きいと判定すると処理をS208に移行する。
S207では、出力電圧V1が出力電圧V2よりも小さいと判定した制御手段30は、出力電圧V1と出力電圧V2が同等の出力電圧になるように電圧印加条件D2にΔDを加算して補正し、処理をS209に移行する。
S208では、出力電圧V1が出力電圧V2よりも大きいと判定した制御手段30は、出力電圧V1と出力電圧V2が同等の出力電圧になるように電圧印加条件D2からΔDを減算して補正し、処理をS209に移行する。
S209では、制御手段30は、電印加条件D2を補正した値にメモリ内の電圧印加条件を書き換えて、処理をS201に戻す。
S301では、制御手段30は、電圧印加部32により第一の素子11及び第二の素子12にそれぞれ消色させる電圧を印加させ、処理をS302に移行する。
S302では、制御手段30は、補正後の電圧印加条件D1、及び電圧印加条件D2をメモリ31から読み込み、処理をS303に移行する。
S303では、制御手段30は、メモリ31から読み込んだ電圧印加条件D1、D2に基づいて、電圧印加部32により第一の素子11及び第二の素子12に電圧を印加させ、処理をS304に移行する。
S304では、第一の素子11及び第二の素子12にそれぞれ電圧を印加させた制御手段30は、第一の光量計測部21により出力電圧V1と、第二の光量計測部22により出力電圧V2を出力させ、処理をS305に移行する。
S305では、制御手段30は、演算部33により出力電圧V1と出力電圧V2との差の絶対値である|V1−V2|を演算させ、|V1−V2|が所定の値Vsより小さいか否かを判定する。制御手段30は、|V1−V2|がVsより小さいと判定すると処理をS106に移行し、|V1−V2|がVs以上であると判定すると処理をS306に移行する。
S306では、|V1−V2|がVs以上であると判定した制御手段30は、演算部33により次式、V1−V2<0、を演算させ、出力電圧V1及び出力電圧V2のいずれかが大きいのかを判定する。制御手段30は、出力電圧V1が出力電圧V2よりも小さいと判定すると処理をS307に移行し、出力電圧V1が出力電圧V2以上であると判定すると処理をS308に移行する。
S307では、出力電圧V1が出力電圧V2よりも小さいと判定した制御手段30は、出力電圧V1と出力電圧V2が同等の出力電圧になるように電圧印加条件D1からΔDを減算して補正し、処理をS309に移行する。
S308では、出力電圧V1が出力電圧V2以上であると判定した制御手段30は、出力電圧V1と出力電圧V2が同等の出力電圧になるように電圧印加条件D1にΔDを加算して補正し、処理をS309に移行する。
S309では、制御手段30は、電印加条件D1を補正した値にメモリ内の電圧印加条件を書き換えて、処理をS301に戻す。
次に、電圧印加条件には、電圧値及び電圧印加時間の2つのパラメータがあるため、電圧値及び電圧印加時間について、図5A、図5B、図6A、及び図6Bを参照しながら説明する。
図5A及び図5Bは、本発明の調光装置に用いる素子における印加電圧と、光量計測手段の出力電圧との関係の一例を示すグラフである。図5Aは、前記電圧値を低くして、前記素子を消色状態から発色状態に変化させたときの図であり、図5Bは、前記電圧値を高くして、前記素子を発色状態から消色状態に変化させたときの図である。
図5A及び図5Bに示すように、前記光量計測手段の出力電圧の変化は,透過光量の変化と対応している。
また、前記素子に印加する電圧に対して前記光量計測手段の出力電圧がほぼ線形に変化する範囲を設定範囲とし、それぞれの変動率、すなわち傾き(ΔVon/ΔV又はΔVoff/ΔV)の逆数に比例する値を補正係数として補正電圧値を決定するようにしてもよい。
図6A及び図6Bは、本発明の調光装置に用いる素子における電圧印加時間と光量計測手段の出力電圧との関係の一例を示すグラフである。図6Aは、前記電圧値を低くして、前記素子を消色状態から発色状態に変化させたときの図であり、図6Bは、前記電圧値を高くして、前記素子を発色状態から消色状態に変化させたときの図である。
図6A及び図6Bに示すように、電圧印加時間に対して前記光量計測手段の出力電圧がほぼ線形に変化する範囲を設定範囲とし、それぞれの変動率、すなわち傾き(ΔVon/Δt又はΔVoff/Δt)の逆数に比例する値を補正係数として補正電圧印加時間を決定するようにしてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<エレクトロクロミック素子の作製>
−第一の基板の作製−
第一の基板として、長軸長さ80mm、短軸長さ55mm、平均厚み0.5mmの楕円形状のポリカーボネイト基板を作製した。
−第一の電極層の形成−
前記第一の基板上に、第一の電極層としてスパッタ法により平均厚み100nmのITO膜を形成した。
−エレクトロクロミック層の形成−
得られた第一の電極層の表面に酸化チタンナノ粒子分散液(SP−210、昭和電工セラミックス株式会社製、平均粒子径20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で5分間アニール処理を行うことにより、平均厚み1.0μmの酸化チタン粒子膜(ナノ構造半導体材料)を形成した。
次に、エレクトロクロミック化合物として、下記構造式(1)で表されるジピリジン系化合物を1.5質量%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、前記酸化チタン粒子膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層を形成した。
[構造式(1)]
Figure 0006880584
−絶縁性無機粒子層の形成−
得られたエレクトロクロミック層上に、一次粒子の個数平均粒径が20nmのSiO粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8質量%、ポリビニルアルコール1.2質量%、及び水74.0質量%)をスピンコート法により塗布し、平均厚み2μmの絶縁性無機粒子層を形成した。
−第二の基板の作製−
第二の基板として、前記第一の基板と同様のポリカーボネイト基板を作製した。
−第二の電極層の形成−
前記第二の基板上に、第二の電極層としてスパッタ法により平均厚み100nmのITO膜を形成した。
−電解質の形成−
前記絶縁性無機粒子層の表面に、ポリエチレンジアクリレートと、光重合開始剤(IRGACURE(登録商標)184、BASF社製)と、電解質(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩)とを100:5:40(質量比)で混合した溶液を塗布し、前記第二の基板の第二の電極層面と貼り合わせてUV硬化させることにより、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に電解質を形成した。
−保護層の形成−
前記絶縁性無機粒子層と前記第二の電極層とを貼り合せたものの側面に、紫外線硬化接着剤(KAYARAD R−604、日本化薬株式会社製)を滴下し、紫外光照射により硬化させて、平均厚み3μmの保護層を形成した。
以上により、図2Cに示すような、熱成形前のエレクトロクロミック素子を2つ作製した。
<調光装置の作製>
−エレクトロクロミック素子の曲げ加工−
金型温度145℃で90秒間加圧して曲率半径を130mmとする曲げ加工を行い、図2Dに示すような前記エレクトロクロミック素子を2つ得た。
−エレクトロクロミック素子の厚膜化−
曲げ加工した前記エレクトロクロミック素子の凸面側を、射出成形用の凹面金型の中央にセットした後、前記凹面金型と対となる凸面金型を前記凹面金型に重ね合わせ、曲率半径90mmの曲面を有する金型として射出成形機の中にセットした。前記射出成形機により前記金型に前記エレクトロクロミック素子にポリカーボネイト樹脂を射出成形し、図2Eに示すような2つの前記エレクトロクロミック素子を厚膜化させた。
−エレクトロクロミック素子の外形加工−
2つの厚膜化させた前記エレクトロクロミック素子を、調光眼鏡のフレームにおけるリムの形状に収まるように玉型加工し、前記エレクトロクロミック素子の長軸方向における両側に幅3mm、長さ5mmの突起部をそれぞれ形成した。
−エレクトロクロミック素子における電極パッドの形成−
2つの前記エレクトロクロミック素子における各々の前記突起部に導電性接着剤としての銀ペースト(ドータイト、藤倉化成株式会社製)を筆又は楊枝を用いて塗布し、この上から銅箔を巻いて60℃で15分間硬化させることによって、前記玉型加工により前記保護層が削られて露出した前記第一の電極層又は前記第二の電極層の端部と、前記銅箔とを前記銀ペーストにより電気的に接続させて電極パッドを形成した。
−調光眼鏡の作製−
次に、第一の光量計測部、第二の光量計測部、スイッチ、電源、及び制御手段が搭載されたフレームのリムに前記エレクトロクロミック素子をそれぞれ装着し、前記電極パッドとフレームに配置されている接続部材と電気的に接続させて、調光装置としての調光眼鏡1を作製した。
なお、以下の実施例1〜4の説明では、調光眼鏡1に装着され、電気的に接続された2つの前記エレクトロクロミック素子を「第一の素子」及び「第二の素子」と称して区別する。
(実施例1)
実施例1では、電圧印加条件のうち電圧値を、所定の補正電圧値により補正して前記第一の光量計測部と前記第二の光量計測部との出力電圧差を低減して、前記第一の素子と前記第二の素子の発色濃度を同一に近づけるようにした。
得られた調光眼鏡1における前記第一の素子及び前記第二の素子に、電圧値を−3.0V、電圧印加時間を3秒間とした電圧印加条件の電圧を、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に、前記第一の電極層がマイナス極となるようにそれぞれ印加して発色状態にさせた。次に、前記第一の素子及び前記第二の素子に標準光源であるD65光源からの光を透過させ、前記第一の光量計測部及び前記第二の光量計測部により前記第一の素子における透過光量及び前記第二の素子における透過光量をそれぞれ計測したところ、前記第二の素子における前記第二の光量計測部の出力電圧は1.3Vであり,前記第一の素子における前記第一の光量計測部の出力電圧は1.2Vであった。
そこで、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第二の素子の電圧印加条件のうち電圧値を、前記第一の光量計測部の出力電圧と前記第二の光量計測部の出力電圧との差である出力電圧差0.1Vに相当する前記電圧値を加えて−3.2Vに変更して補正した。すなわち、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.2V、電圧印加時間3秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、前記第二の光量計測部の出力電圧は前記第一の光量計測部の出力電圧より0.05Vだけ高かった。これにより、前記出力電圧差を低減し、前記第一の素子及び前記第二の素子における透過した光量の差を低減することができた。
(実施例2)
実施例2では、電圧印加条件のうち電圧値を、所定の補正電圧値より小さい値にして補正し、過補正による前記素子へのダメージを抑制しながら前記第一の光量計測部と前記第二の光量計測部との出力電圧差を低減して、前記第一の素子と前記第二の素子の発色濃度を同一に近づけるようにした。
実施例1において、エレクトロクロミック素子を製造ロットが異なるエレクトロクロミック素子に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の調光眼鏡2を作製した。
得られた調光眼鏡2における前記第一の素子及び前記第二の素子に、電圧値を−3.0V、電圧印加時間を3秒間とした電圧印加条件の電圧を、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に、前記第一の電極層がマイナス極となるようにそれぞれ印加して発色状態にさせた。次に、前記第一の素子及び前記第二の素子に前記D65光源からの光を透過させ、前記光量計測手段により前記第一の素子における透過光量及び前記第二の素子における透過光量をそれぞれ計測したところ、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧よりも0.2V高かった。
そこで、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第一の素子の電圧印加条件のうち電圧値を、前記光量計測部の前記出力電圧差0.2Vに相当する前記電圧値を加えて−3.4Vに変更して補正した。すなわち、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.4V、電圧印加時間3秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、過剰に補正されてしまい、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧より0.05Vだけ低かった。これにより、前記出力電圧差を低減し、前記第一の素子及び前記第二の素子における透過した光量の差を低減することができたが、補正電圧値が大きいと過剰に補正されてしまうことが確認できた。
再度、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第一の素子の電圧印加条件のうち電圧値を、前記光量計測部の前記出力電圧差0.05Vに相当する前記電圧値を加えて−3.2Vに変更して補正した。すなわち、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.2V、電圧印加時間3秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧よりも0.07V高かった。これにより、前記出力電圧差を低減できたため、前記第一の素子及び前記第二の素子における透過した光量の差を低減することができた。
続いて、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.3V、電圧印加時間3秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧よりも0.02V高かった。これにより、前記出力電圧差を低減できたため、前記第一の素子及び前記第二の素子における透過した光量の差を低減することができた。
補正回数は、実施例1より増えたが、過補正による前記素子へのダメージを抑制することができた。
(実施例3)
実施例3では、実施例1の調光眼鏡1を用いて、電圧印加条件のうち電圧印加時間を、所定の電圧印加時間により補正して、過補正による素子へのダメージを抑制しながら前記第一の光量計測部と前記第二の光量計測部との出力電圧差を低減して、前記第一の素子と前記第二の素子の発色濃度を同一に近づけるようにした。
調光眼鏡1における前記第一の素子及び前記第二の素子に、電圧値を−3.0V、電圧印加時間を3秒間とした電圧印加条件の電圧を、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に、前記第一の電極層がマイナス極となるようにそれぞれ印加して発色状態にさせた。次に、前記第一の素子及び前記第二の素子に前記D65光源からの光を透過させ、前記光量計測手段により前記第一の素子における透過光量及び前記第二の素子における透過光量をそれぞれ計測したところ、前記第二の光量計測部の出力電圧は前記第一の光量計測部の出力電圧よりも0.1V高かった。
そこで、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3.5秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、前記第二の光量計測部の出力電圧は前記第一の光量計測部の出力電圧よりも0.02V高かった。これにより、前記出力電圧差を低減し、前記第一の素子及び前記第二の素子における透過した光量の差を低減することができた。
(実施例4)
実施例4では、実施例2の調光眼鏡2を用いて、電圧印加条件のうち電圧印加時間を、所定の電圧印加時間より小さい値にして補正し、過補正による素子へのダメージを抑制しながら前記第一の光量計測部と前記第二の光量計測部との出力電圧差を低減して、前記第一の素子と前記第二の素子の発色濃度を同一に近づけるようにした。
得られた調光眼鏡2における前記第一の素子及び前記第二の素子に、電圧値を−3.0V、電圧印加時間を3秒間とした電圧印加条件の電圧を、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に、前記第一の電極層がマイナス極となるようにそれぞれ印加して発色状態にさせた。次に、前記第一の素子及び前記第二の素子に前記D65光源からの光を透過させ、前記光量計測手段により前記第一の素子における透過光量及び前記第二の素子における透過光量をそれぞれ計測したところ、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧よりも0.2V高かった。
そこで、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第一の素子の電圧印加条件のうち電圧印加時間を、前記光量計測部の前記出力電圧差0.2Vに相当する前記電圧印加時間を加えて4.4秒間に変更して補正した。すなわち、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間4.4秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間を3秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、過剰に補正されてしまい、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧よりも0.06V高かった。補正電圧値が大きいと過剰に補正されてしまうことが確認できた。
再度、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第一の素子の電圧印加条件のうち電圧印加時間を、前記光量計測部の前記出力電圧差0.06Vに相当する前記電圧印加時間に0.5を乗じた値を加えて3.7秒間に変更して補正した。すなわち、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3.7秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧よりも0.07V高かった。
続いて、前記第一の素子及び前記第二の素子をいずれも一度消色状態にした後、前記第一の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間4秒間とし、また前記第二の素子の電圧印加条件を、電圧値−3.0V、電圧印加時間3秒間として電圧をそれぞれ印加したところ、前記第一の光量計測部の出力電圧は前記第二の光量計測部の出力電圧よりも0.02V高かった。これにより、前記出力電圧差を低減できたため、前記第一の素子及び前記第二の素子における透過した光量の差を低減することができた。
補正回数は、実施例3より増えたが、過補正による前記素子へのダメージを抑制することができた。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一の素子と、印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二の素子と、前記第一の素子及び前記第二の素子を透過した光量をそれぞれ計測する光量計測手段と、前記光量計測手段により計測された光量の差が所定の範囲外であるとき、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする調光装置である。
<2> 前記制御手段が、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかにおける、電圧値及び電圧印加時間の少なくともいずれかを調整する前記<1>に記載の調光装置である。
<3> 前記制御手段が、前記第一の素子及び前記第二の素子のうち前記光量が低い前記素子を基準として、前記光量が高い前記素子に印加する前記電圧を調整する前記<1>から<2>のいずれかに記載の調光装置である。
<4> 前記制御手段が、前記第一の素子及び前記第二の素子における前記光量の差を求める演算部と、前記演算部により求めた前記光量の差に応じた前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを印加する電圧印加部とを有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の調光装置である。
<5> 前記光量計測手段が、Siフォトダイオードである前記<1>から<4>のいずれかに記載の調光装置である。
<6> 前記素子が、エレクトロクロミック素子である前記<1>から<5>のいずれかに記載の調光装置である。
<7> 前記エレクトロクロミック素子が、第一の基板と、第一の電極層と、エレクトロクロミック層と、絶縁性無機粒子層と、第二の電極層と、第二の基板と、をこの順で有し、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に電解質を有する前記<6>に記載の調光装置である。
<8> 前記エレクトロクロミック層が、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を有する前記<7>に記載の調光装置である。
<9> 前記電解質が、無機粒子を含む前記<7>から<8>のいずれかに記載の調光装置である。
<10> 調光眼鏡である前記<1>から<9>のいずれかに記載の調光装置である。
<11> 前記光量計測手段が、眼鏡のフレームにおけるヨロイ及びブリッジのいずれかに配されている前記<10>に記載の調光装置である。
<12> 印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一の素子、及び印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二の素子を透過した光量をそれぞれ計測する光量計測工程と、計測された光量の差が所定の範囲外であると判定したとき、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する制御工程と、を含むことを特徴とする調光方法である。
<13> 前記制御工程が、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかにおける、電圧値及び電圧印加時間の少なくともいずれかを調整する前記<12>に記載の調光方法である。
<14> 前記制御工程が、前記第一の素子及び前記第二の素子のうち前記光量が低い前記素子を基準として、前記光量が高い前記素子に印加する前記電圧を調整する前記<12>から<13>のいずれかに記載の調光方法である。
<15> 前記制御工程が、前記第一の素子及び前記第二の素子における前記光量の差を求める演算処理と、前記演算処理により求めた前記光量の差に応じた前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを印加する電圧印加処理とを含む前記<12>から<14>のいずれかに記載の調光方法である。
前記<1>から<11>のいずれかに記載の調光装置、及び前記<12>から<15>のいずれかに記載の調光方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
11 第一の素子
12 第二の素子
20 光量計測手段
21 第一の光量計測部
22 第二の光量計測部
30 制御手段
31 メモリ
32 電圧印加部
33 演算部
40 電源
100 調光装置(調光眼鏡)
特開平4−306614号公報 特開平9−179075号公報

Claims (6)

  1. 印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一のエレクトロクロミック素子と、
    印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二のエレクトロクロミック素子と、
    前記第一のエレクトロクロミック素子及び前記第二のエレクトロクロミック素子を透過した光量をそれぞれ計測する光量計測手段と、
    前記光量計測手段により計測された光量の差が所定の範囲外であるとき、前記第一のエレクトロクロミック素子及び前記第二のエレクトロクロミック素子を消色状態とした後、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかにおける、電圧値及び電圧印加時間の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする調光装置。
  2. 前記制御手段が、前記第一のエレクトロクロミック素子及び前記第二のエレクトロクロミック素子のうち前記光量が低い前記エレクトロクロミック素子を基準として、前記光量が高い前記エレクトロクロミック素子に印加する前記電圧を調整する請求項1に記載の調光装置。
  3. 前記制御手段が、前記第一のエレクトロクロミック素子及び前記第二のエレクトロクロミック素子における前記光量の差を求める演算部と、前記演算部により求めた前記光量の差に応じた前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかを印加する電圧印加部とを有する請求項1から2のいずれかに記載の調光装置。
  4. 前記エレクトロクロミック素子が、第一の基板と、第一の電極層と、エレクトロクロミック層と、絶縁性無機粒子層と、第二の電極層と、第二の基板と、をこの順で有し、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に電解質を有する請求項1から3のいずれかに記載の調光装置。
  5. 調光眼鏡である請求項1から4のいずれかに記載の調光装置。
  6. 印加される第一の電圧に応じて透過する光量が変化する第一のエレクトロクロミック素子、及び印加される第二の電圧に応じて透過する光量が変化する第二のエレクトロクロミック素子を透過した光量をそれぞれ計測する光量計測工程と、
    計測された光量の差が所定の範囲外であると判定したとき、前記第一のエレクトロクロミック素子及び前記第二のエレクトロクロミック素子を消色状態とした後、前記第一の電圧及び前記第二の電圧の少なくともいずれかにおける、電圧値及び電圧印加時間の少なくともいずれかを調整して、前記光量の差を低減するように制御する制御工程と、
    を含むことを特徴とする調光方法。
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