JP2021092747A - エレクトロクロミック素子及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光素子、エレクトロクロミック調光レンズ、及びエレクトロクロミック装置 - Google Patents

エレクトロクロミック素子及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光素子、エレクトロクロミック調光レンズ、及びエレクトロクロミック装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021092747A
JP2021092747A JP2020064004A JP2020064004A JP2021092747A JP 2021092747 A JP2021092747 A JP 2021092747A JP 2020064004 A JP2020064004 A JP 2020064004A JP 2020064004 A JP2020064004 A JP 2020064004A JP 2021092747 A JP2021092747 A JP 2021092747A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrochromic
gel electrolyte
layer
electrochromic device
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020064004A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7480561B2 (ja
Inventor
圭一郎 油谷
Keiichiro Yutani
圭一郎 油谷
史育 金子
Fuminari Kaneko
史育 金子
悠斗 松岡
Yuto Matsuoka
悠斗 松岡
彼野人 大屋
Kanoto Oya
彼野人 大屋
八代 徹
Toru Yashiro
徹 八代
福田 智男
Tomoo Fukuda
智男 福田
筒井 隆司
Takashi Tsutsui
隆司 筒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to US17/105,888 priority Critical patent/US11630365B2/en
Priority to EP20210482.4A priority patent/EP3835859A1/en
Publication of JP2021092747A publication Critical patent/JP2021092747A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7480561B2 publication Critical patent/JP7480561B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

【課題】熱熱成形によるゲル電解質の相分離を防ぐことができるエレクトロクロミック素子の提供。【解決手段】樹脂製の支持体11と、第1の電極層12と、エレクトロクロミック層13と、第2の電極層15とを順に設けてなる積層体を有するエレクトロクロミック素子10であって、第1の電極層12と第2の電極層14との間にゲル電解質13を有し、ゲル電解質13の相分離温度が支持体11の軟化点より高いエレクトロクロミック素子10である。【選択図】図1C

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子及びエレクトロクロミック素子の製造方法、並びにエレクトロクロミック調光素子、エレクトロクロミック調光レンズ、及びエレクトロクロミック装置に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。前記エレクトロクロミズムを利用した素子がエレクトロクロミック素子である。前記エレクトロクロミック素子は、透明性が高く、発色すれば濃い発色濃度が実現できるという特徴があり、調光素子としての応用が期待されている。
また基材に樹脂製基板を用いることで、フィルム状のエレクトロクロミック素子を作製することができる。それによって、曲げることや立体的な形状をもったエレクトロクロミック素子を作製することができる。
以上のようなエレクトロクロミック素子の応用が特に期待される分野の一例として、眼鏡用の調光レンズがある。従来の調光レンズは、紫外線にて着色を呈するフォトクロミックレンズが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら光で色が変わるため、ユーザーが調色できない、紫外線をカットされる自動車では着色効果が低下する、応答時間が長いといった問題があった。
エレクトロクロミック素子を応用した調光レンズを実現できれば、これらの課題が克服できるとして、これまで多くの研究開発が行われてきた。例えば、メガネレンズ上にエレクトロクロミック素子を直接形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
エレクトロクロミック素子を眼鏡用レンズに応用するための課題として、生産性の課題がある。眼鏡用のレンズというのは、装用者の必要とする度数に応じて、レンズの曲面形状が異なるため、製膜プロセスの調整が必要となり、安定した生産が困難になるという課題が生じる。更に、光学レンズ上にエレクトロクロミック素子を直接形成する場合、高価なレンズを基板として真空成膜やウェットコーティングを何度も繰り返す必要があり、不良発生時のコストが高くなってしまう。
そこで、平面状に作製したエレクトロクロミック素子が熱成形によって所望の曲面を形成し、一方の表面に光学レンズを有するエレクトロクロミック素子が提案されている(例えば、特許文献3参照)。このようなプロセスに適したエレクトロクロミック素子は、支持体として樹脂基板を用いて、エレクトロクロミック材料を対向する2つの電極間に形成した後、イオン伝導可能な電解質層を介して貼合せることで作製される。その後、樹脂基板の軟化点又はガラス転移温度に近い温度に加熱した凹凸の金型などの間にエレクトロクロミック素子を入れ、熱成形することで、曲面形状や3次元形状に加工することが可能となる。レンズ化の方式としては、溶融したレンズ用樹脂に包埋して硬化させる方式や、エレクトロクロミック素子を直接レンズに貼合する方式が提案されている。この方式によれば、形状の自由度が高く、少量多品種のレンズ生産を低コストで実現することが可能となる。
本発明は、熱成形によるゲル電解質の相分離を防ぐことができるエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のエレクトロクロミック素子は、樹脂製の支持体と、第1の電極層と、エレクトロクロミック層と、第2の電極層とを順に設けてなる積層体を有するエレクトロクロミック素子であって、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間にゲル電解質を有し、前記ゲル電解質の相分離温度が前記支持体の軟化点より高い。
本発明によれば、熱成形によるゲル電解質の相分離を防ぐことができるエレクトロクロミック素子を提供することができる。
図1Aは、第1の実施の形態に係る熱成形前のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図1Bは、第1の実施の形態に係る熱成形後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図1Cは、第1の実施の形態に係る光学レンズを接着後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図2Aは、第1の実施の形態の変形例1に係る熱成形前のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図2Bは、第1の実施の形態の変形例1に係る熱成形後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図2Cは、第1の実施の形態の変形例1に係る光学レンズを接着後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図3Aは、第1の実施の形態の変形例2に係る熱成形前のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図3Bは、第1の実施の形態の変形例2に係る熱成形後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図3Cは、第1の実施の形態の変形例2に係る光学レンズを接着後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図4Aは、第1の実施の形態の変形例3に係る熱成形前のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図4Bは、第1の実施の形態の変形例3に係る熱成形後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図4Cは、第1の実施の形態の変形例3に係る光学レンズを接着後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図5は、第1の実施の形態の変形例4に係る光学レンズを接着後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図6は、第1の実施の形態の変形例5に係る光学レンズを接着後のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。 図7は、本発明のエレクトロクロミック調光素子を有するエレクトロクロミック調光眼鏡の一例を示す斜視図である。
(エレクトロクロミック素子)
本発明のエレクトロクロミック素子は、樹脂製の支持体と、第1の電極層と、エレクトロクロミック層と、第2の電極層とを順に設けてなる積層体を有するエレクトロクロミック素子であって、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間にゲル電解質を有し、前記ゲル電解質の相分離温度が前記支持体の軟化点より高く、更に必要に応じてその他の層を有する。
従来の技術では、エレクトロクロミック素子に使用される電解質層の耐熱性が悪く、ある温度以上の熱をかけると電解質層内の液体成分と固体成分が相分離を起こし、デバイスの信頼性を損なうという問題があり、また、光学的歪みや剥離が発生して光学品質を損なうなどの問題があった。更には、熱成形による所望の曲面形状を形成するには、樹脂基板の軟化点に近い温度あるいは、軟化点より高い温度をかけるため、これらの問題がより顕著に発生しうるという問題があった。本発明は、これらの知見に基づくものである。
本発明において、支持体の軟化点とは、支持体を構成する樹脂が変形し始める温度を意味する。
前記支持体の軟化点は、例えば、TMA(熱機械分析)装置(株式会社コベルコ科研製)により、針入プローブを用いて、支持体に熱をかけていき、支持体を構成する樹脂の変位量を測定することにより、軟化点を求めることができる。
ここで、ゲル電解質の相分離温度とは、マトリクスポリマーと液体とが分離する温度を意味する。本発明においては、特にゲル電解質を形成し、例えば、加熱した際に液体がゲル電解質層の表面に浮き出てくる様子を観察し、その温度を相分離温度とした。前記エレクトロクロミック素子のゲル電解質の相分離温度を超えた温度で加熱すると、素子内部での液体の流動が活発になり、ゲル電解質とエレクトロクロミック層との界面、あるいはゲル電解質と電極との界面、あるいはゲル電解質と保護層との界面などにおける密着が低下し、光学的歪みの発生や、剥離などの問題が発生することがある。このような問題は、特に樹脂基板の軟化点に近い温度、あるいは、軟化点より高い温度にエレクトロクロミック素子を加熱すると顕著に発生しうるため、ゲル電解質の相分離温度を高くすることで、このような課題を抑制し、素子の信頼性を高めることが可能となる。
ゲル電解質の相分離温度は、例えば、ゲル電解質層をホットプレート上に置き、加熱処理し、その際の膜表面を目視観察し、ゲル電解層の表面に液体が発生した際の温度を測定し、これを相分離温度とする。
本発明の実施形態においては、前記積層体が熱成形による所望の曲面形状を有することが好ましい。
前記熱成形としては、支持体端部を固定することなく、所望の3D形状を有する凸金型と凹金型により積層体を加熱成形する方法が用いられる。更に、熱成形と真空成形を組み合わせてもよい。
前記「所望の曲面形状」とは、曲率をもった曲面で構成された形状であり、例えば、球状、円筒状、円錐状、各種三次元(3D)形状などが挙げられる。なお、前記「所望の曲面形状」は、前記積層体の少なくとも一部であればよく、全部であっても構わない。
前記熱成形の工程では、支持体を構成する材料の軟化点に近い温度あるいは、軟化点より高い温度に加熱することが好ましい。その際、ゲル電解質の相分離温度を支持体の材料の軟化点より高くすることによって、前記熱成形工程でのゲル電解質の相分離の問題を解決することが可能となることを見出した。
本発明の実施形態におけるゲル電解質は、後述するバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂がウレタン樹脂ユニットを含むことが好ましい。ウレタン樹脂ユニットを含むことによって、ゲル電解質の相分離温度を飛躍的に高めることが可能となる。また膜の強度を向上させるなどゲル電解質に求められる物理的特性を備えることが可能となる。
本発明の実施形態におけるゲル電解質は、後述するバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂がポリエチレンオキシド(PEO)鎖及びポリメチルメタリクレート(PMMA)鎖から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これによって、液体である電解質との相溶性を高めることが可能となり、相分離温度を高めることが可能となる。ウレタン樹脂ユニットと併用することによっても相分離温度を高めることが可能である。
本発明の実施形態においては、ゲル電解質の固形分が50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。前記ゲル電解質の固形分が50%以下であると、イオン伝導度を十分高くすることが可能となり、エレクトロクロミック素子の応答時間を短くすることができる。なお、前記ゲル電解質の固形分の下限値としては、相分離温度の点から、10質量%程度である。
本発明の実施形態におけるゲル電解質は、イオン液体を含むことが好ましい。イオン液体は幅広い温度範囲で安定であり、不揮発性で化学的に安定な材料であるため、エレクトロクロミック素子の信頼性向上を実現する。また、ウレタン樹脂ユニットと混合することで、相分離温度が高く、熱的に安定なゲル電解質を得ることが可能となる。また、ポリエチレンオキシド(PEO)鎖あるいはポリメチルメタリクレート(PMMA)鎖を含む樹脂と混合することで、相分離温度が高く、熱的に安定なゲル電解質を得ることが可能となる。
前記ゲル電解質の相分離温度としては、160℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。前記ゲル電解質の相分離温度が160℃以上であると、熱成型時の温度を高くすることが可能となるため、より基材の材料選択の自由度が増えることができる。なお、前記ゲル電解質の相分離温度の上限値としては、エレクトロクロミック層などの耐熱性の点から、250℃程度である。
前記支持体の軟化点は200℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。これによって、エレクトロクロミック素子に含まれるエレクトロクロミック材料やゲル電解質バインダーなどの熱による劣化を抑制することができる。なお、前記支持体の軟化点の下限値としては、保管環境などを含む実用上の安定性の点から、100℃程度である。
前記ゲル電解質の相分離温度と、前記支持体の軟化点との差分は、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。前記ゲル電解質の相分離温度と、前記支持体の軟化点との差分が50℃以上であると、熱成形による金型の再現度が高められたりすることができる。なお、前記ゲル電解質の相分離温度と、前記支持体の軟化点との差分の上限値としては、支持体の材料選択自由度とエレクトロクロミック材料の劣化抑制の点から、80℃程度である。
前記エレクトロクロミック素子においては、前記支持体が樹脂製基板からなることが好ましい。平面形状の前記樹脂製基板上に各層を形成した積層体を熱成形することで所望の曲面形状を形成するため、コーティング膜形成の生産性に優れるエレクトロクロミック素子を提供することができる。
また、前記支持体としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの中でも、成形性及びコーティング膜の製膜性の点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂が好ましい。
また、前記ゲル電解質が層状のゲル電解質層となった場合、その厚みとしては、30μm以上150μm以下の間であることが好ましい。前記ゲル電解質層の厚みがこの範囲内であると、ゲル電解質層の硬化収縮時の膜厚ムラによる光学品質の低下が発生しにくくなるとともに、ゲル電解質層の材料費が高くなる問題が生じにくい。また、エレクトロクロミック素子の電極間の短絡などが発生しにくくなり、信頼性が向上する。
本発明においては、前記積層体が、少なくとも一方の表面に光学レンズを有することが好ましい。これにより、機械的強度が強く、熱成形による所望の曲面形状を有し、レンズ等の光学用途に好適なエレクトロクロミック素子を提供することができる。
前記光学レンズは、前記積層体の一方の表面に形成されるだけでなく、前記積層体を埋抱するように形成されていてもよい。
前記光学レンズとしては、ポリカーボネート樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂、ジアリルカーボネート樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、及びシクロオレフィン樹脂から選択される少なくとも1種の透明材料を含むことが好ましい。これらの中でも、機械的強度の点から、ポリカーボネート樹脂、チオウレタン樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂が好ましい。
前記透明材料を、前記積層体の一方の表面に接するようにして、溶融後再硬化させるか、光又は熱を加えることにより硬化させることで、光学レンズを接着形成することができる。また、前記積層体と前記光学レンズを、接着層を介して接着することもできる。
前記接着層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の透明材料などが挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
前記積層体における他方の表面が前記支持体であることが、耐擦傷性の点から好ましい。
前記エレクトロクロミック素子は、少なくとも一つの支持体を有し、前記支持体が一つであっても、二つの支持体を有する構成であっても構わない。一つの支持体から構成される場合には、部材コストの低減効果が得られる。
(エレクトロクロミック素子の製造方法)
本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法は、本発明の前記エレクトロクロミック素子を製造する方法であって、作製した積層体を所望の曲面形状を有するように熱成形する工程と、前記積層体に光学レンズを接着する工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記熱成形としては、支持体端部を固定することなく、所望の3D形状を有する凸金型と凹金型により積層体を加熱成形する方法が好適である。
前記熱成形における加熱温度は、支持体を構成する材料の軟化点以上であることが好ましく、例えば、支持体としてポリカーボネート樹脂を用いた場合には加熱温度は130℃以上190℃以下がより好ましい。
前記積層体に光学レンズを接着する工程では、光学レンズの透明材料を、前記積層体の一方の表面に接するようにして、溶融後再硬化させるか、光又は熱を加えることにより硬化させることで、光学レンズを接着形成することができる。また、前記積層体と前記光学レンズを、接着層を介して接着することもできる。
前記エレクトロクロミック素子の製造方法においては、前記支持体の外側表面に接着する光学レンズは、仮の度数と仮の厚みを持つことが好ましい。前記接着後の光学レンズを切削加工することにより、所望の曲面形状を形成できるので、ユーザー固有の条件に合わせた精度の良いレンズ加工(度数加工など)が可能になる。即ち、製品形状ごとに金型や部材を準備することが不要となり、多品種少量生産が容易になる。
ここで、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部品には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
<第1の実施の形態のエレクトロクロミック素子及びその製造方法>
図1A、図1B及び図1Cは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子10の一例を示す概略断面図である。図1Aは熱成形前、図1Bは熱成形後、図1Cはレンズ接着後である。この図1A、図1B及び図1Cを参照すると、エレクトロクロミック素子10は、第1の支持体11と、前記第1の支持体11上に、順次積層された第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、及び第2の支持体16と、第2の支持体16上に、順次積層された第2の電極層15、対向する電極間に形成されたゲル電解質層14、外周部を封止した保護層17を有する。
前記エレクトロクロミック素子10において、第1の支持体11上には第1の電極層12が設けられ、第1の電極層12に接してエレクトロクロミック層13が設けられている。前記エレクトロクロミック層13上には、ゲル電解質層14を介して、第1の電極層12に対向するように第2の電極層15が設けられている。
なお、便宜上、第1の電極層12と第2の電極層15の各々において、互いに対向する面を内面と称し、各々の内面とは反対側の面を外面と称する。本実施の形態では、第1の電極層12の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層12の外面は第1の支持体11と接している。また、第2の電極層15の内面はゲル電解質層14と接しており、第2の電極層15の外面は第2の支持体16と接している。図1A、図1B及び図1C中17は保護層、21は光学レンズである。
前記第1の実施の形態のエレクトロクロミック素子10の製造方法は、第1の支持体11上に第1の電極層12、及びエレクトロクロミック層13を順次積層する工程と、第2の支持体16上に第2の電極層15を形成する工程と、前記2つの支持体間にゲル電解質層14を形成後硬化させ、更に外周部を保護層17で封止する工程、その後、熱成形により、曲面形状を形成する工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
また、前記第1の実施の形態のエレクトロクロミック素子10の製造方法は、第1の支持体11上に第1の電極層12、及びエレクトロクロミック層13を順次積層する工程と、エレクトロクロミック層13上にゲル電解質層14を形成後硬化させ、第2の電極層15を積層する工程と、第2の電極層15上に硬化樹脂からなる第2の支持体16を形成する工程と、更に外周部を保護層17で封止する工程と、その後、熱成形により、曲面形状を形成する工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
なお、図1Bでは、エレクトロクロミック層13側の支持体が凸球面に加工された図を示しているが、同様に凹球面状の加工も可能である。
エレクトロクロミック素子10において、第1の電極層12と第2の電極層15との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック層13が電荷の授受により酸化還元反応して発消色する。
このように、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子では、熱成形により、所望の3D形状の曲面を形成することができるので、生産性(大型化)に優れたエレクトロクロミック素子を提供できる。
更に、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子は、有機エレクトロクロミック材料を用いることで色彩特性にも優れたエレクトロクロミック素子を実現できる。
以下、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子10を構成する各構成要素について詳細に説明する。
[支持体]
第1及び第2の支持体11、16は、第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、ゲル電解質層14、第2の電極層15、及び保護層17を支持する機能を有する。
第1及び第2の支持体11、16としては、これらの各層を支持できれば、周知の熱成形可能な樹脂材料をそのまま用いることができる。
第1及び第2の支持体11、16としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
なお、エレクトロクロミック素子10が第2の電極層15側から視認する反射型表示素子である場合は、第1及び第2の支持体11、16のどちらかの透明性は不要である。また、第1及び第2の支持体11、16の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
第1及び第2の支持体11、16の平均厚みは、熱成形を容易に行える点から、0.2mm以上1.0mm以下が好ましい。
[第1の電極層、第2の電極層]
第1の電極層12及び第2の電極層15の材料としては、透明導電性酸化物材料が好適であり、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)などが挙げられる。これらの中でも、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、「In酸化物」と称する)、スズ酸化物(以下、「Sn酸化物」と称する)、及び亜鉛酸化物(以下、「Zn酸化物」と称する)のいずれか1つを含む無機材料が好ましい。
前記In酸化物、Sn酸化物、及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnO、InZnOが特に好ましい。更に、前記電極層は結晶性が低いほど好ましい。結晶性が高いと熱成形により電極層が分断されやすいためである。この点から、アモルファス膜で高い導電性を示すIZO、AZOが好ましい。これらの電極層材料を用いる場合は、熱成形後における積層体の曲面での支持体の最大長軸長さが、熱成形前における積層体の平面での支持体の最大長軸長さに対して120%以下になるように熱成形することが好ましく、103%以下になるように熱成形することがより好ましい。
また、透明性を有する銀、金、銅、アルミニウムを含有する導電性金属薄膜、カーボンナノチューブ、グラフェンなどのカーボン膜、更に、導電性金属、導電性カーボン、導電性酸化物等のネットワーク電極、又はこれらの複合層も有用である。前記ネットワーク電極とは、カーボンナノチューブや他の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して透過率を持たせた電極である。前記ネットワーク電極は熱成形時に分断されにくく、好ましい。
更に、電極層をネットワーク電極と前記導電性酸化物の積層構成、又は前記導電性金属薄膜と前記導電性酸化物の積層構成とすることがより好ましい。積層構成にすることにより、エレクトロクロミック層をムラなく発消色させることができる。なお、導電性酸化物層はナノ粒子インクとして塗布形成することもできる。前記導電性金属薄膜と前記導電性酸化物の積層構成とは、具体的には、ITO/Ag/ITOなどの薄膜積層構成にて導電性と透明性を両立させた電極である。
第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の厚みは、エレクトロクロミック層13の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
第1の電極層12及び第2の電極層15の材料としてITO真空製膜を用いた場合、第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の厚みは、20nm以上500nm以下が好ましく、50nm以上200nm以下がより好ましい。
前記導電性酸化物層はナノ粒子インクとして塗布形成する場合の厚みは、0.2μm以上5μm以下が好ましい。また、ネットワーク電極の場合の厚みは0.2μm以上5μm以下が好ましい。
更に、調光ミラーとして利用する場合には、第1の電極層12及び第2の電極層15のいずれかが反射機能を有する構造であってもよい。その場合には、第1の電極層12及び第2の電極層15の材料として金属材料を含むことができる。前記金属材料としては、例えば、Pt、Ag、Au、Cr、ロジウム、Al又はこれらの合金、あるいはこれらの積層構成などが挙げられる。
第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法などが挙げられる。
[エレクトロクロミック層]
エレクトロクロミック層13は、エレクトロクロミック材料を含む層である。
前記エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物及び有機エレクトロクロミック化合物のいずれであっても構わない。また、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子を用いてもよい。
前記無機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。
前記導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
エレクトロクロミック層13としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いることが好ましい。具体的には、電極層表面に粒径5nm以上50nm以下の微粒子を結着し、前記微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造である。
前記構造は、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して高速応答が可能となる。更に、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック化合物の高い発色濃度を得ることができる。また、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。更に導電性粒子は電極層としての導電性を兼ねることができる。
具体的には、ポリマー系及び色素系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、ベンジジン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、発消色電位が低く良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物、ジピリジン系化合物が好ましく、例えば、下記一般式(1)で表されるジピリジン系化合物がより好ましい。
[一般式(1)]
Figure 2021092747
ただし、前記一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、及びアリール基のいずれかを表し、R1及びR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、及びSi(OC2k+1(ただし、kは、1〜20を表す)から選択される置換基を有する。
前記一般式(1)において、Xは、一価のアニオンを表す。前記一価のアニオンとしては、カチオン部と安定に対をなすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Brイオン(Br)、Clイオン(Cl)、ClOイオン(ClO )、PFイオン(PF )、BFイオン(BF )などが挙げられる。
前記一般式(1)において、n、m、及びlは、それぞれ独立に0、1、又は2を表す。
前記一般式(1)において、A、B、及びCは、各々独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、及び複素環基のいずれかを表す。
また、金属錯体系及び金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機エレクトロクロミック化合物を用いることができる。
前記エレクトロクロミック化合物を担持する導電性又は半導体性微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属酸化物を用いることが好ましい。
前記金属酸化物の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、及び酸化タングステンから選択される少なくとも1種が好ましく、より発消色の応答速度に優れた色表示が可能である点から、酸化チタン又は酸化スズが特に好ましい。
また、導電性又は半導体性微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下、比表面積という)が大きい形状が用いられる。例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比が優れる。
エレクトロクロミック層13及び導電性又は半導体性微粒子層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。
エレクトロクロミック層13の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm以上5.0μm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.2μm以上5.0μm以下であると、優れた発色濃度が得られ、着色によって視認性が低下することがなく、良好である。
[ゲル電解質層]
ゲル電解質層は、バインダー樹脂と、電解質とからなる。
前記バインダー樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合膜としての相分離温度、膜強度の点で、ウレタン樹脂ユニットを含むことが好ましい。またポリエチレンオキシド(PEO)鎖を含むことで、電解質との相溶性が向上し、相分離温度を高めることができる。また、ポリメチルメタリクレート(PMMA)鎖を含むことで、PEO鎖を含むのと同様に、電解質との相溶性が向上し、相分離温度を高めることができる。
前記ゲル電解質層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、イオン液体等の液体電解質、又は固体電解質を溶媒に溶解した溶液が用いられる。
前記イオン液体は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、使用温度付近で液体状態であるものが挙げられる。なお、前記イオン液体とは、塩が溶解し、常温で液体状態を示す液体を意味する。
前記イオン液体としては、カチオン、及びアニオンを含む。
前記カチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩、N,N−メチルブチルイミダゾール塩、N,N−アリルブチルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;N,N−ジメチルピロリジニウム塩、N−エチル−N−メチルピロリジニウム塩、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム塩、N−ブチル−N−メチルピロリジニウム塩、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウム塩、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウム塩等のピロリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系塩に由来するカチオンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アニオンとしては、例えば、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、BF 、BFCF 、BF 、PF 、NO 、CFCO 、CFSO 、(CFSO、(FSO、(CFSO)(FSO)N、(CN)、(CN)、(CN)、(CFSO、(CSO、(CPF 、AlCl 、AlCl などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イオン液体としては、例えば、エチルメチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIMTCB、メルク社製)、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(EMIMTFSI、関東化学株式会社製)、エチルメチルイミダゾリウムトリペンタフルホロエチルトリフロオロホスフェート(EMIMFAP、メルク社製)、アリルブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(ABIMBF4、関東化学株式会社製)、メチルプロピルピロリジニウムビスフルオロスルホンイミド(P13FSI、
関東化学株式会社製)等を溶解した液体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イオン液体の含有量としては、ゲル電解質層全量に対して、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、50質量%以上であると、イオン伝導度を向上できる。
前記固体電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。
[ゲル電解質層の製造方法]
本発明におけるゲル電解質層としては、まず組成物溶液を作製し、作製した組成物溶液を型やフィルムに挟んで重合させるキャスト重合法等を用いた重合反応により製造することができる。
前記組成物溶液は、前記イオン液体あるいは固体電解質を溶媒と混合した電解液と、重合性材料と、必要に応じて、前記重合開始剤、及びその他の成分を混合することができる。
前記重合性材料としては、例えば、ウレタンアクリレートモノマー、PEO鎖を有するアクリレートモノマー、PMMA鎖を有するアクリレートモノマーが挙げられる。
前記型としては、ガラス、樹脂製等の容器、離型剤付のフィルムなどが挙げられる。電気化学デバイスの空セルを型として組成物溶液を充填して、デバイス中で直接重合させることもできる。
前記重合反応としては、ラジカル重合反応が好ましく、熱ラジカル重合反応、光ラジカル重合反応がより好ましい。また、ラジカル重合を行う際には予め組成物溶液を脱酸素しておくことが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はそれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ化合物;2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のケタール系光重合開始剤;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、全モノマー成分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下が好ましく、0.01質量部以上2質量部以下がより好ましく、0.01質量部以上1質量部以下が特に好ましい。
前記ゲル電解質層のその他の作製方法としては、これに限定されず、重合前の組成物溶液を、前記エレクトロクロミック層上に塗布し、紫外線照射や加熱によって重合させる方法も用いることができる。また、前記エレクトロクロミック層を形成した前記支持体を5μm〜150μm程度のギャップを保持した状態で対向させ、組成物溶液を充填した後で紫外線照射や加熱によって重合させる方法も用いることができる。
図1Aには、便宜的に各層が完全に分離しているように図示されているが、前記ゲル電解質層の組成物や、作製方法によれば、ゲル電解質の組成物がエレクトロクロミック層に一部浸透した構造を取りうる。
[保護層]
保護層17は、エレクトロクロミック素子の側面部を物理的及び化学的に保護するように形成されている。保護層17は、例えば、紫外線硬化性や熱硬化性の絶縁性樹脂等を、側面及び/又は上面を覆うように塗布し、その後硬化させることにより形成できる。また、硬化樹脂と無機材料とを積層した保護層とすることが好ましい。前記無機材料との積層構造にすることで、酸素や水に対するバリア性が向上する。
前記無機材料としては、絶縁性、透明性、耐久性が高い材料が好ましく、具体的な材料としては、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、錫などの酸化物又は硫化物、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの膜はスパッタ法や蒸着法などの真空製膜プロセスで容易に形成することができる。
保護層17の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上100μm以下が好ましい。更に、保護層は熱成形後に形成してもよい。
本発明のエレクトロクロミック素子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下の特性を有することが好ましい。
前記支持体の屈折率n1と、前記光学レンズの屈折率n2と、前記接着層の屈折率n3とが、次式、n1≦n3≦n2、を充たすことが、接着界面での反射の低減、ひいては透明性の点から好ましい。
あるいは、前記支持体の屈折率n1と、前記光学レンズの屈折率n2と、前記接着層の屈折率n3とが、次式、n2≦n3≦n1、を充たすことが、接着界面での反射の低減、ひいては透明性の点から好ましい。
前記屈折率は、例えば、多波長アッベ屈折計(株式会社アタゴ製、DR−M2)により測定することができる。
前記支持体の線膨張係数α1と、前記光学レンズの線膨張係数α2と、前記接着層の線膨張係数α3とが、次式、α1≦α3≦α2、を充たすことが、熱的安定性及び機械的安定性の点から好ましい。
前記支持体の線膨張係数α1と、前記光学レンズの線膨張係数α2と、前記接着層の線膨張係数α3とが、次式、α2≦α3≦α1、を充たすことが、熱的安定性及び機械的安定性の点から好ましい。
前記線膨張係数は、例えば、TMA(熱機械分析)装置(株式会社コベルコ科研製)により測定することができる。
前記支持体のアッベ数ν1と、前記光学レンズのアッベ数ν2とが、次式、ν1≦ν2、を充たすことが、色収差低減の点から好ましい。
前記アッベ数は、例えば、多波長アッベ屈折計(株式会社アタゴ製、DR−M2)により測定することができる。
<第1の実施の形態のエレクトロクロミック素子>
ここで、図1Cは、光学レンズを接着後の第1の実施の形態のエレクトロクロミック素子を例示する断面図である。図1Cを参照すると、積層体(エレクトロクロミック素子10)の一方の外側表面に光学レンズ21が接着されており、かつ他方の外側表面に第1の支持体11を有している。
光学レンズ21の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂、ジアリルカーボネート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン系樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、メタクリレート樹脂、シクロオレフィン樹脂などの透明材料が好適に用いられる。
前記透明材料を、一方の外側表面に接するようにして、溶融後再硬化させるか、光又は熱を加えることにより硬化させることで、光学レンズ21を接着形成している。ただし、光学レンズ21を接着形成する方法については、これらの方法に限定されるものではない。
硬化後の曲率半径を硬化収縮などよる変形を考慮しつつ設定することで、光学レンズ21の入射面の曲率及び出射面の曲率の少なくともいずれかを調整することにより、エレクトロクロミック素子に任意の度数を持たせることが可能である。
また、光学レンズ21を形成後、切削加工にて所望の曲面形状を形成することで、ユーザー固有の条件に合わせたレンズ加工(度数加工など)が可能になる。即ち、製品形状ごとに金型や部材を準備することが不要となり、高精度な製品を多品種少量生産することが容易になる。
<第1の実施の形態の変形例1のエレクトロクロミック素子>
第1の実施の形態の変形例1は、第1の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック素子を例示する。なお、第1の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図2A、図2B、及び図2Cは、第1の実施の形態の変形例1を例示する断面図である。
図2A、図2B、及び図2Cを参照すると、第1の実施の形態の変形例1のエレクトロクロミック素子20は、ゲル電解質層14と第2の電極層15に接して、劣化防止層18が形成されている点が、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子10(図1A、図1B、及び図1C参照)と相違する。
この第1の実施の形態の変形例1では、第2の電極層15の電気化学反応による劣化を防止するために、劣化防止層18が形成される。これにより、第1の実施の形態の変形例1に係るエレクトロクロミック素子では、第1の実施の形態の効果に加えて、更に繰り返し特性に優れたエレクトロクロミック素子が提供できる。
前記劣化防止層18の役割としては、エレクトロクロミック層13と逆反応をし、電荷のバランスをとって第2の電極層15が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制する。結果としてエレクトロクロミック素子20の繰り返し安定性が向上する。なお、前記逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
劣化防止層18の材料は、第1の電極層12及び第2の電極層15の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。劣化防止層18の材料としては、例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。更に、前記劣化防止層の着色が問題にならない場合は、前記エレクトロクロミック材料と同じものを用いることができる。
これらの中でも、透明性が要求されるレンズのような光学素子としてエレクトロクロミック素子を作製する場合は、劣化防止層18として、透明性の高い材料を用いることが好ましい。このような材料としては、n型半導体性酸化物微粒子(n型半導体性金属酸化物)を用いることが好ましい。前記n型半導体性金属酸化物としては、100nm以下の一次粒子径粒子からなる、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、又はそれらを複数含む化合物粒子、あるいは混合物を用いることができる。
更に、劣化防止層18を有する場合には、エレクトロクロミック層13が酸化反応により色彩変化する材料であることが好ましい。その結果、エレクトロクロミック層が酸化反応すると同時にn型半導体性金属酸化物が還元(電子注入)され易く、駆動電圧が低減できるからである。
このような形態において、特に好ましいエレクトロクロミック材料としては、有機高分子材料である。塗布形成プロセス等により容易に製膜できるとともに、分子構造により色の調整や制御が可能となる。これらの有機高分子材料の具体例としては、「Chemistry of Materials review 2011.23,397−415 Navigating the Color Palette of Solution−Processable Electrochromic Polymers(Reynolds)」、「Macromolecules 1996.29 7629−7630(Reynolds)」、「Polymer journal, Vol.41, No.7,Electrochromic Organic Matallic Hybrid Polymers」などに報告されている。
これらの有機高分子材料としては、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)系材料、ビス(ターピリジン)類と鉄イオンの錯形成ポリマーなどが挙げられる。
一方、劣化防止層18として、透明性の高いp型半導体性層の材料としては、ニトロキシルラジカル(NOラジカル)を有する有機材料などであり、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)の誘導体、又は誘導体のポリマー材料などが挙げられる。
なお、劣化防止層18としては、特に制限はなく、ゲル電解質層14に劣化防止層用材料を混合して、ゲル電解質層14に劣化防止機能を付与することもできる。その場合の層構成は図1A、図1B、及び図1Cの第1の実施の形態のエレクトロクロミック素子10と同様になる。
劣化防止層18の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、劣化防止層18の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法などが挙げられる。
<第1の実施の形態の変形例2のエレクトロクロミック素子>
第1の実施の形態の変形例2のエレクトロクロミック素子は、第1の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック素子を例示する。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図3A、図3B、及び図3Cは、第1の実施の形態の変形例2のエレクトロクロミック素子30を例示する断面図である。図3A、図3B、及び図3Cを参照すると、第1の実施の形態の変形例2のエレクトロクロミック素子30は、第2の支持体16が省略され、第2の電極層15の上に保護層17が形成されている点が、第1の実施の形態の変形例1に係るエレクトロクロミック素子20(図2A、図2B、及び図2C参照)と相違する。
第2の電極層15上に形成される保護層17は側面部に形成される保護層17で挙げた材料と同じものを用いることができる。ただし、第2の電極層15上に形成される保護層17の材料は側面部に形成される保護層17の材料と同一であっても異なってもよい。この第3の実施の形態のエレクトロクロミック素子30は一つの支持体から構成されるため、薄型化と共に、低コストでの生産が可能となる。
図3Cは、第1の実施の形態の変形例2のエレクトロクロミック素子30の光学レンズを接着後の状態を示す断面図である。
この第1の実施の形態の変形例2のエレクトロクロミック素子30は、積層体(エレクトロクロミック素子30)の一方の外側表面に光学レンズ21が接着されており、かつ他方の外側表面に第1の支持体11を有している以外は、第1の実施の形態の変形例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
<第1の実施の形態の変形例3のエレクトロクロミック素子>
第1の実施の形態の変形例3のエレクトロクロミック素子は、第1の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック素子を例示する。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図4A、図4B、及び図4Cは、第1の実施の形態の変形例3のエレクトロクロミック素子40を例示する断面図である。図4A、図4B、及び図4Cを参照すると、第1の実施の形態の変形例3のエレクトロクロミック素子40は、エレクトロクロミック層13と劣化防止層18の配置が逆転している点が第1の実施の形態の変形例2に係るエレクトロクロミック素子30(図3A、図3B、及び図3C参照)と相違する。
この第1の実施の形態の変形例3のエレクトロクロミック素子40では、構成層の配置が異なるが、第1の電極層12と第2の電極層15との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック層13が電荷の授受により酸化還元反応して発消色することができる。
図4Cは、第1の実施の形態の変形例3のエレクトロクロミック素子40の光学レンズを接着後の状態を示す断面図である。
この第1の実施の形態の変形例3のエレクトロクロミック素子40は、積層体(エレクトロクロミック素子40)の一方の外側表面に光学レンズ21が接着されており、かつ他方の外側表面に第1の支持体11を有している以外は、第1の実施の形態の変形例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
<第1の実施の形態の変形例4のエレクトロクロミック素子>
第1の実施の形態の変形例4では、第1の実施の形態である図1Bで例示した、エレクトロクロミック素子を埋抱するように光学レンズ21が形成されているエレクトロクロミック素子を例示する。なお、第1の実施の形態の変形例4において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図5は、第1の実施の形態の変形例4のエレクトロクロミック素子50を例示する断面図である。図5を参照すると、エレクトロクロミック素子50を埋抱するように光学レンズ21が形成されている。
エレクトロクロミック素子50は溶融状態にある透明樹脂中に浸すように設置され、その状態を保持したまま溶融樹脂を冷却後再硬化させるか、光又は熱を加えることにより硬化させることで、エレクトロクロミック素子50を埋抱するように光学レンズ21を形成することができる。
<第1の実施の形態の変形例5のエレクトロクロミック素子>
第1の実施の形態の変形例5では、第1の実施の形態である図1Bで例示した、エレクトロクロミック素子と光学レンズ21を、接着層19を介して接着したエレクトロクロミック素子60を例示する。なお、第1の実施の形態の変形例5において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図6は、第1の実施の形態の変形例5のエレクトロクロミック素子60を例示する断面図である。図6を参照すると、第2の支持体16に光学レンズ21が接着層19を介して接着されている。これにより、光学レンズ21はエレクトロクロミック素子60の製作工程とは独立して作製することが可能となり、光学レンズとして最適な作製方法を用いることができるため、高精度な製品を生産することが容易になる。また、在庫管理も独立して行うことができるため、多品種少量生産することが容易になる。
接着層19の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、変性ポリマー系等の透明材料などが挙げられる。
前記接着層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上200μm以下が好ましい。
<第2の実施の形態のエレクトロクロミック素子>
第2の実施の形態は、第1の実施の形態である図1Aで例示したエレクトロクロミック素子において、エレクトロクロミック層にゲル電解質がしみ込んでいる形態である。エレクトロクロミック層は多孔質である場合があり、この孔の部分にゲル電解質がしみ込む場合がある。
(エレクトロクロミック調光素子)
本発明のエレクトロクロミック調光素子は、本発明の前記エレクトロクロミック素子を有する。
前記エレクトロクロミック調光素子としては、例えば、防眩ミラー、調光ガラスなどが挙げられる。
(エレクトロクロミック装置)
本発明のエレクトロクロミック装置は、本発明のエレクトロクロミック素子又は本発明のエレクトロクロミック調光素子を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
その他の手段としては、特に制限はなく、用途に応じて適宜選択することができ、例えば、電源、固定手段、制御手段などが挙げられる。
エレクトロクロミック装置としては、例えば、調光眼鏡、双眼鏡、オペラグラス、自転車用ゴーグル、時計、電子ペーパー、電子アルバム、電子広告板などが挙げられる。
ここで、図7は、本発明のエレクトロクロミック調光素子を有するエレクトロクロミック調光眼鏡を示す斜視図である。図7を参照するに、エレクトロクロミック調光眼鏡150は、エレクトロクロミック調光素子51と、眼鏡フレーム52と、スイッチ53と、電源54とを有する。エレクトロクロミック調光素子51は、本発明の前記エレクトロクロミック調光素子を所望の形状に加工したものである。
2つのエレクトロクロミック調光素子51は、眼鏡フレーム52に組み込まれている。眼鏡フレーム52には、スイッチ53及び電源54が設けられている。電源54は、スイッチ53を介して、図示しない配線により、第1の電極及び第2の電極と電気的に接続されている。
スイッチ53を切り替えることにより、例えば、第1の電極と第2の電極との間にプラス電圧を印加する状態、マイナス電圧を印加する状態、電圧を印加しない状態の中から1つの状態を選択可能である。
スイッチ53としては、例えば、スライドスイッチやプッシュスイッチ等の任意のスイッチを用いることができる。ただし、少なくとも前述の3つの状態を切り替え可能なスイッチに限る。
電源54としては、例えば、ボタン電池、太陽電池等の任意の直流電源を用いることができる。電源54は、第1の電極と第2の電極との間にプラスマイナス数V程度の電圧を印加可能である。
例えば、第1の電極と第2の電極との間にプラス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光素子51が所定の色に発色する。また、第1の電極と第2の電極との間にマイナス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光素子51が消色し透明となる。
ただし、エレクトロクロミック層に使用する材料の特性により、第1の電極と第2の電極との間にマイナス電圧を印加することにより発色し、プラス電圧を印加することにより消色し透明となる場合もある。なお、一度発色した後は、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加しなくても発色は継続する。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<エレクトロクロミック素子の作製>
実施例1は、図1A、図1B、及び図1Cに示すエレクトロクロミック素子10を作製する例を示す。なお、実施例1で作製したエレクトロクロミック素子10は、調光レンズ素子としても使用できる。
−第1の電極層、及びエレクトロクロミック層の形成−
まず、第1の支持体11として最大長軸長さ80mm×最大短軸長さ55mm、厚み0.5mmの楕円ポリカーボネート樹脂基板(AD5503、軟化点145℃、帝人株式会社製)を準備した。
前記第1の支持体上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第1の電極層12を形成した。
次に、前記ITO膜の表面に酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
続いて、下記構造式Aで表されるエレクトロクロミック化合物を1.5質量%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布した後、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、前記酸化チタン粒子膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層13を形成した。
[構造式A]
Figure 2021092747
続いて、前記エレクトロクロミック層13上に、平均一次粒径20nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8質量%、ポリビニルアルコール1.2質量%、及び水74質量%)をスピンコートし、厚み2μmの絶縁性無機微粒子層を形成した。
−第2の電極層の形成−
第2の支持体16として前記第1の支持体11と同形状及び同厚みのポリカーボネート樹脂基板を準備した。
第2の支持体16上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第2の電極層15を形成した。
−ゲル電解質層の作製−
離形処理したPETフィルム(NP75C、パナック株式会社製)表面に、重合性材料(V3877、大同化成工業株式会社製)と、電解質(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラシアノボレート、EMIMTCB)とを質量比(20:80)で混合し、光重合開始剤(irgacure184、日本化薬株式会社製)を前記重合性材料に対して0.5質量%混合した溶液を塗布し、離形処理したPETフィルム(NP75A パナック製)と貼り合わせて、紫外線(UV)硬化させてゲル電解質層を作製した。
−積層体の作製−
作製したゲル電解質層について、離形フィルムを剥離し、前記絶縁性無機微粒子層の表面に貼合処理し、その後第2の支持体の第2の電極層表面とゲル電解質層の表面とを合わせて貼合し、積層体を作製した。
−保護層の形成−
次に、貼り合せた前記積層体の側面部に、紫外線硬化接着剤(商品名:KARAYAD R604、日本化薬株式会社製)を滴下し、紫外線照射により硬化させることで保護層17を3μmの厚みに形成した。
以上により、図1Aに示す熱成形前のエレクトロクロミック素子10を作製した。
−3D熱成形−
作製した熱成形前のエレクトロクロミック素子を曲率半径約130mmの凸金型と凹金型に135℃で加熱しながら挟み込むことで、図1Bに示すような3D球面形状を有する熱成形後のエレクトロクロミック素子10を作製した。金型の温度は146℃とした。
金型温度は各支持体材料の軟化温度に近い温度に設定する必要があり、それより低いと十分な賦形ができない。また高すぎると、冷却までの温度に時間がかかり、生産性が低下する。
−光学レンズの接着形成−
作製したエレクトロクロミック素子に接着する光学レンズの材料として、ポリカーボネート樹脂(ユーピロンCLS3400、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)を用い、前記熱成形後のエレクトロクロミック素子をモールド内にインサートし、射出成形によりレンズ形状に一体成形した(図1C参照)。
その後、エレクトロクロミック素子に接着して形成した光学レンズ部の表面を切削加工して、曲率をもたせることができた。更に、エレクトロクロミック素子と光学レンズを共に切削加工し、メガネフレームに収まる大きさに加工することができた。
<評価>
−ゲル電解質層の相分離温度−
前記ゲル電解質層をホットプレート上に置き、加熱処理した。その際の膜表面を目視観察し、ゲル電解層の表面に液体が発生した際の温度を記録し、これを相分離温度とした。実施例1で作製したゲル電解質層の相分離温度を測定したところ、200℃を超えたため、測定を止めた。結果を表1に示す。
−剥離−
光学レンズが接着されたエレクトロクロミック素子に対し、剥離の有無を目視観察し、下記の評価基準により評価した。結果を表1に示す。
〇:視認できる剥離が発生しない
×:視認できる剥離が発生する
(実施例2〜27及び比較例1〜12)
実施例1において、ゲル電解質層に用いる重合性材料として、表1に記載の組成及び質量比に基づき作製した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜27及び比較例1〜12のエレクトロクロミック素子を作製した。なお、電解質としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラシアノボレート(EMIMTCB)を、光重合開始剤としては、irgacure184(日本化薬株式会社製)をアクリレートの総量に対して0.5質量%混合処方した。
次に、作製した実施例2〜27及び比較例1〜12のエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、ゲル電解質層の相分離温度と剥離を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021092747
表1中の略号の詳細については、以下に示すとおりである。
−その他(樹脂)−
・V3877(大同化成工業株式会社製)
−ウレタンアクリレート−
・UXF4002(日本化薬株式会社製)
・UV3000B(三菱ケミカル株式会社製)
・UN9200A(根上工業株式会社製)
・UV3200B(三菱ケミカル株式会社製)
・UN350(根上工業株式会社製)
・UXT6100(日本化薬株式会社製)
・UX5000(日本化薬株式会社製)
・UX4101(日本化薬株式会社製)
−PEOアクリレート(ポリエチレンオキシド(PEO)鎖を有する樹脂)−
・PEG400(日本化薬株式会社製)
・A400(新中村化学工業株式会社製)
・A600(新中村化学工業株式会社製)
・A1000(新中村化学工業株式会社製)
・AM−90G(新中村化学工業株式会社製)
・AM−130G(新中村化学工業株式会社製)
・AM−230G(新中村化学工業株式会社製)
・TA−210(第一工業製薬株式会社製)
−PMMAアクリレート(ポリメチルメタクリレート(PMMA)鎖を有する樹脂)−
・AA−6(東亜合成株式会社製)
(実施例28〜71及び比較例13)
実施例1において、ゲル電解質層に用いる重合性材料として、表2に記載の組成及び質量比に基づき作製し、ゲル電解質層に用いる電解質として、表2に記載の電解質を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例28〜71及び比較例13のエレクトロクロミック素子を作製した。なお、光重合開始剤としては、irgacure184(日本化薬株式会社製)をアクリレートの総量又はその他の重合性材料(V3877)の添加量に対して0.5質量%混合処方した。
次に、作製した実施例28〜71及び比較例13のエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、ゲル電解質層の相分離温度と剥離を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2021092747
なお、支持体として用いたAD5503(帝人株式会社製)の軟化点は145℃であり、熱成形の金型の温度は146℃とした。
支持体の軟化点とは、支持体を構成する樹脂が変形し始める温度を意味する。支持体の軟化点は、TMA(熱機械分析)装置(株式会社コベルコ科研製)により、針入プローブを用いて、支持体に熱をかけていき、支持体を構成する樹脂の変位量を測定することにより、軟化点を求めた。
表2中の略号の詳細については、以下に示すとおりである。
−電解質−
・EMIMTCB(エチルメチルイミダゾリウムテトラシアノボレート、メルク社製)
・EMIMTFSI(エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、関東化学株式会社製)
・EMIMFSI(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビスフルオロスルホニルイミド、関東化学株式会社製)
・EMIMBF4(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、東京化成工業株式会社製)
・EMIMDCA(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ジシアナミド、東京化成工業株式会社製)
・BMIMTFSI(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビストリフルオロメタンスルホニルイミド、東京化成工業株式会社製)
・BMIMFSI(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビスフルオロスルホニルイミド、関東化学株式会社製)
(実施例72〜92)
実施例1において、ゲル電解質層に用いる重合性材料として、表3に記載の組成及び質量比に基づき作製し、ゲル電解質層に用いる電解質として、EMIMTFSI(エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、関東化学株式会社製)を用いるとともに、支持体として、表3に記載の樹脂を用いて、表3の成形温度で熱成形した以外は、実施例1と同様にして、実施例72〜92のエレクトロクロミック素子を作製した。なお、光重合開始剤としては、irgacure184(日本化薬株式会社製)をアクリレートの総量又はその他の重合性材料(V3877)の添加量に対して0.5質量%混合処方した。
次に、作製した実施例72〜92のエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、ゲル電解質層の相分離温度と剥離を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2021092747
表3中の略号の詳細については、以下に示すとおりである。
−支持体−
・SP5570、SP5571、SP5572、SP5573(ポリカーボネート樹脂基板、軟化点142℃、帝人株式会社製)
・SH1126、SH1127、SH1128、SH1129(ポリカーボネート樹脂基板、軟化点131℃、帝人株式会社製)
・APL5013VH、APL5014VH、APL5015VH、APL5016VH(環状オレフィンコポリマー樹脂基板、軟化点129℃、三菱ケミカル株式会社製)
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 樹脂製の支持体と、第1の電極層と、エレクトロクロミック層と、第2の電極層とを順に設けてなる積層体を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間にゲル電解質を有し、
前記ゲル電解質の相分離温度が前記支持体の軟化点より高いことを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
<2> 前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に、さらに劣化防止層を有する前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<3> 前記ゲル電解質がバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂がウレタン樹脂ユニットを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<4> 前記ゲル電解質がバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂がポリエチレンオキシド(PEO)鎖及びポリメチルメタクリレート(PMMA)鎖から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<5> 前記ゲル電解質の固形分が50質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<6> 前記ゲル電解質が、イオン液体を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<7> 前記ゲル電解質が、イオン液体を50質量%以上含む前記<6>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<8> 前記ゲル電解質の相分離温度が160℃以上である前記<1>から<7>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<9> 前記ゲル電解質の相分離温度と、前記支持体の軟化点との差分が10℃以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<10> 前記支持体の軟化点が200℃以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<11> 前記支持体が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<12> 前記ゲル電解質が層状のゲル電解質層であって、その厚みが30μm以上150μm以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<13> 前記積層体が、少なくとも一方の表面に光学レンズを有する前記<1>から<12>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<14> 前記積層体が、熱成形による所望の曲面を有する前記<1>から<13>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子を製造する方法であって、
作製した積層体を所望の曲面形状を有するように熱成形する工程と、
前記積層体に光学レンズを形成する工程と、を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法である。
<16> 前記熱成形における加熱温度が、前記積層体の支持体の軟化点以上である前記<15>に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法である。
<17> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子を有することを特徴とするエレクトロクロミック調光素子である。
<18> 前記<17>に記載のエレクトロクロミック調光素子を有することを特徴とするエレクトロクロミック調光レンズである。
<19> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子又は前記<17>に記載のエレクトロクロミック調光素子を有することを特徴とするエレクトロクロミック装置である。
<20> 前記エレクトロクロミック装置が、調光眼鏡、双眼鏡、オペラグラス、自転車用ゴーグル、時計、電子ペーパー、電子アルバム、又は電子広告板である前記<19>に記載のエレクトロクロミック装置である。
前記<1>から<14>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子、前記<15>から<16>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子の製造方法、前記<17>に記載のエレクトロクロミック調光素子、前記<18>に基材のエレクトロクロミック調光レンズ、及び前記<19>から<20>のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
10 エレクトロクロミック素子
11 第1の支持体
12 第1の電極層
13 エレクトロクロミック層
14 ゲル電解質層
15 第2の電極層
16 第2の支持体
17 保護層
18 劣化防止層
19 接着層
20 エレクトロクロミック素子
21 光学レンズ
30 エレクトロクロミック素子
40 エレクトロクロミック素子
50 エレクトロクロミック素子
51 エレクトロクロミック調光素子
150 エレクトロクロミック調光眼鏡
特表2005−514647号公報 特開平07−175090号公報 特開2018−10106号公報

Claims (20)

  1. 樹脂製の支持体と、第1の電極層と、エレクトロクロミック層と、第2の電極層とを順に設けてなる積層体を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間にゲル電解質を有し、
    前記ゲル電解質の相分離温度が前記支持体の軟化点より高いことを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に、さらに劣化防止層を有する請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記ゲル電解質がバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂がウレタン樹脂ユニットを含む請求項1から2のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記ゲル電解質がバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂がポリエチレンオキシド(PEO)鎖及びポリメチルメタクリレート(PMMA)鎖から選択される少なくとも1種を含む請求項1から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記ゲル電解質の固形分が50質量%以下である請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記ゲル電解質が、イオン液体を含む請求項1から5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 前記ゲル電解質が、イオン液体を50質量%以上含む請求項6に記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 前記ゲル電解質の相分離温度が160℃以上である請求項1から7のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 前記ゲル電解質の相分離温度と、前記支持体の軟化点との差分が10℃以上である請求項1から8のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  10. 前記支持体の軟化点が200℃以下である請求項1から9のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  11. 前記支持体が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1から10のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  12. 前記ゲル電解質が層状のゲル電解質層であって、その厚みが30μm以上150μm以下である請求項1から11のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  13. 前記積層体が、少なくとも一方の表面に光学レンズを有する請求項1から12のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  14. 前記積層体が、熱成形による所望の曲面を有する請求項1から13のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子を製造する方法であって、
    作製した積層体を所望の曲面形状を有するように熱成形する工程と、
    前記積層体に光学レンズを形成する工程と、を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
  16. 前記熱成形における加熱温度が、前記積層体の支持体の軟化点以上である請求項15に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  17. 請求項1から14のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子を有することを特徴とするエレクトロクロミック調光素子。
  18. 請求項17に記載のエレクトロクロミック調光素子を有することを特徴とするエレクトロクロミック調光レンズ。
  19. 請求項1から14のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子又は請求項17に記載のエレクトロクロミック調光素子を有することを特徴とするエレクトロクロミック装置。
  20. 前記エレクトロクロミック装置が、調光眼鏡、双眼鏡、オペラグラス、自転車用ゴーグル、時計、電子ペーパー、電子アルバム、又は電子広告板である請求項19に記載のエレクトロクロミック装置。
JP2020064004A 2019-11-29 2020-03-31 エレクトロクロミック素子及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光素子、エレクトロクロミック調光レンズ、及びエレクトロクロミック装置 Active JP7480561B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US17/105,888 US11630365B2 (en) 2019-11-29 2020-11-27 Electrochromic element and production method thereof, electrochromic light-adjusting element, electrochromic light-adjusting lens, and electrochromic device
EP20210482.4A EP3835859A1 (en) 2019-11-29 2020-11-27 Electrochromic element, production method thereof and electrochromic light-adjusting element

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019217187 2019-11-29
JP2019217187 2019-11-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021092747A true JP2021092747A (ja) 2021-06-17
JP7480561B2 JP7480561B2 (ja) 2024-05-10

Family

ID=76312390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020064004A Active JP7480561B2 (ja) 2019-11-29 2020-03-31 エレクトロクロミック素子及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光素子、エレクトロクロミック調光レンズ、及びエレクトロクロミック装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7480561B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114523733A (zh) * 2022-01-19 2022-05-24 东华大学 一种电化学驱动型变色变形双响应致动器及其制备方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000011757A (ja) 1998-06-24 2000-01-14 Toyobo Co Ltd イオン伝導性ゲルおよびその製造方法
JP2001155541A (ja) 1999-11-25 2001-06-08 Canon Inc ゲル電解質
JP2006077107A (ja) 2004-09-09 2006-03-23 Japan Carlit Co Ltd:The ゲル状電解質及びその製造方法
JP2009545015A (ja) 2006-07-28 2009-12-17 クロモジェニクス・アクチボラーグ 湾曲したエレクトロクロミックデバイスの製造方法
US10476104B2 (en) 2014-10-02 2019-11-12 Lg Chem, Ltd. Gel polymer electrolyte and lithium secondary battery comprising the same
JP2018010106A (ja) 2016-07-13 2018-01-18 株式会社リコー エレクトロクロミック装置及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114523733A (zh) * 2022-01-19 2022-05-24 东华大学 一种电化学驱动型变色变形双响应致动器及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7480561B2 (ja) 2024-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6798098B2 (ja) エレクトロクロミック装置及びその製造方法
US10488730B2 (en) Electrochromic device, method for, manufacturing electrochromic device, and electrochromic light control device
JP7274122B2 (ja) 電子デバイス及びその製造方法、並びに、調光レンズユニット
JP6662017B2 (ja) エレクトロクロミック装置、及びエレクトロクロミック調光装置
US10409129B2 (en) Electrochromic element
US10509290B2 (en) Electrochromic apparatus and method for manufacturing electrochromic apparatus
JP6624206B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP2020160439A (ja) エレクトロクロミック装置、ウェアラブルデバイス、及びエレクトロクロミック装置の駆動方法
JP6880584B2 (ja) 調光装置及び調光方法
JP6888321B2 (ja) エレクトロクロミック素子
JP2018005210A (ja) エレクトロクロミック表示素子及びその製造方法、並びに表示装置、情報機器及びエレクトロクロミック調光レンズ
JP2017026750A (ja) エレクトロクロミック素子、調光眼鏡及びエレクトロクロミック素子の製造方法
US11474408B2 (en) Electronic device, method for producing electronic device, and photochromatic lens unit
US11774826B2 (en) Electrochromic element and electrochromic light control device
JP7480561B2 (ja) エレクトロクロミック素子及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光素子、エレクトロクロミック調光レンズ、及びエレクトロクロミック装置
JP6582607B2 (ja) エレクトロクロミック装置及びその製造方法、エレクトロクロミック調光眼鏡
JP6740760B2 (ja) エレクトロクロミック装置
US11630365B2 (en) Electrochromic element and production method thereof, electrochromic light-adjusting element, electrochromic light-adjusting lens, and electrochromic device
JP2020160442A (ja) エレクトロクロミック装置及びその製造方法、調光レンズユニット、並びに、エレクトロクロミック素子
JP5445338B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子の製造方法
WO2016079982A1 (en) Electrochromic device and production method thereof
US20220171230A1 (en) Electrochromic element and electrochromic light control lens
JP7327622B1 (ja) エレクトロクロミックシートおよびエレクトロクロミック装置
JP2018005180A (ja) エレクトロクロミックモジュール、調光フィルム、調光レンズ、及び調光眼鏡

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220601

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230801

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240326

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7480561

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150