JP6878967B2 - 負極材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は負極材料を製造する方法に関する。
リチウムイオン二次電池の負極活物質として、リチウムイオン吸蔵能力が高いSiを含有する負極活物質、すなわち、Si含有負極活物質が知られている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、負極活物質がシリコンであるリチウムイオン二次電池が記載されている。特許文献3及び特許文献4には、負極活物質がSiOであるリチウムイオン二次電池が記載されている。
特許文献5には、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料が開示されるとともに、当該シリコン材料を負極活物質として具備するリチウムイオン二次電池が記載されている。
これらのSi含有負極活物質は、理論容量が大きく、リチウムイオン二次電池用の負極活物質として有用である反面、不可逆容量もまた大きい。本発明の発明者は、当該不可逆容量をキャンセルすべく、Si含有負極活物質にリチウムを導入することを検討した。以下、本明細書において、Si含有負極活物質にリチウムを導入することを「リチウムをドープする」、又は、単に「リチウムドープ」という。
Si含有負極活物質にリチウムをドープする方法として、各種の方法が提案されている。例えば、特許文献6には、金属リチウム及び/又は有機リチウム化合物と酸化珪素との混合物を60℃〜100℃の範囲の加熱条件下、ボールミル等の混合装置により機械的に混合し、酸化珪素とリチウムとを反応させて、Si含有負極活物質にリチウムドープする方法が開示されている。特許文献7には水素化リチウムと酸化珪素との混合物を加熱して酸化珪素とリチウムとを反応させ、その後酸処理により特定の成分を除去して、Si含有負極活物質にリチウムドープする方法が開示されている。
特開2014−203595号公報 特開2015−57767号公報 特開2015−185509号公報 特開2015−179625号公報 国際公開第2015/114692号 特許第4985949号公報 特開2015−153520号公報
本発明の発明者は、リチウムドープされた負極材料を製造する方法として、上記した従来の方法とは全く異なる製造方法を開発することを志向した。
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、リチウムドープされた負極材料を製造する新規な方法を提供することを目的とする。
本発明の負極材料の製造方法は、Si含有負極活物質に0価のリチウムガスを接触させるリチウムドープ工程を有する、負極材料の製造方法である。
本発明の負極材料の製造方法は、リチウムドープされた負極材料を製造する新規な方法である。
シリコン材料の状態図である。 実施例1の負極材料の製造方法におけるリチウムドープ工程を模式的に表す説明図である。 実施例1〜実施例9、比較例1及び比較例2の負極材料のXRD分析チャートである。 実施例10及び実施例11の負極材料のXRD分析チャートである。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
Si含有負極活物質に固体状のリチウム源を直接接触させ、その上で両者を反応させる従来の方法によると、反応生成物である負極材料に、未反応のリチウムが多く含まれ得る。このため、Si含有負極活物質に対して最適な量のリチウムをドープし難い問題がある。更に、当該方法によると、酸化リチウム等、リチウム源に由来しかつ電池反応に寄与しないリチウム化合物が負極材料に含まれ得る。
本発明の発明者は、このような従来の方法にかえて、Si含有負極活物質にガス状のリチウムつまり0価のリチウムガスを接触させるという着想を得て、本発明を完成した。
本発明の製造方法は、Si含有負極活物質に0価のリチウムガスを接触させるリチウムドープ工程を有する。以下、必要に応じて、本発明の負極材料の製造方法を単に本発明の製造方法といい、本発明の製造方法で製造される負極材料を本発明の負極材料といい、0価のリチウムガスを単にリチウムガスという。
本発明の製造方法によると、Si含有負極活物質にリチウムドープを行うことで、Si含有負極活物質の不可逆容量をキャンセルでき、リチウムイオン二次電池の初期効率を向上させ得る負極材料が得られる利点がある。また、後述するように、本発明の製造方法によるとSi含有負極活物質に対して最適な量のリチウムをドープすることが可能であり、かつ、未反応のリチウムや酸化リチウム等の負極材料への混入を抑制することも可能である。
リチウムガスは、リチウムガス発生源たる固体状または液体状の金属リチウム(以下必要に応じて単に金属リチウムという)が加熱されることにより生じる。また、0価のガスの状態のリチウムとSi含有負極活物質とが反応して得られた反応生成物、すなわち、本発明の製造方法により得られる負極材料は、冷却されて最終的に固体状になると考えられる。本発明の負極材料の製造方法は、このような反応を生じ得る条件で行えば良い。
例えば、本発明の負極材料の製造方法において、金属リチウムの加熱温度、金属リチウム及びSi含有負極活物質の量、並びに、リチウムガスとSi含有負極活物質との反応を行う反応室の雰囲気温度は、当該反応室の大きさや雰囲気圧等に応じて、金属リチウムからリチウムガスが生じかつ当該リチウムガスがガスの状態のままでSi含有負極活物質に到達するよう、適宜設定すれば良い。
本発明の負極材料の製造方法では、Si含有負極活物質にリチウムガスを接触させれば良く、金属リチウムとSi含有負極活物質との位置関係は特に限定しない。例えば、金属リチウムは、Si含有負極活物質とともに反応室に配置しても良いし、当該反応室の外部に配置するとともにリチウムガスのみを反応室に導入しても良い。但し、金属リチウムに由来する未反応のリチウムが負極活物質や負極材料に付着することを抑制する為には、金属リチウムとSi含有負極活物質との接触を避け、両者を離間させるのが好ましい。つまり、金属リチウムは、リチウムドープ工程においてSi含有負極活物質に非接触であるよう配置されるのが好ましい。
金属リチウムとSi含有負極活物質との接触を避け、かつ、リチウムガスとSi含有負極活物質との接触頻度を高めるためには、Si含有負極活物質は、金属リチウムよりも、反応室におけるガス流通経路の下流側に配置するのが好ましい。
リチウムガスとSi含有負極活物質との反応は、リチウムドープされた負極活物質や金属リチウムの酸化を抑制するとともに、金属リチウムのガス化を促進するため、アルゴンガス等の不活性ガスが存在する不活性雰囲気下、及び/又は、減圧雰囲気下で行うのが好ましい。
反応室を減圧雰囲気にするためには、吸引ポンプ等の減圧装置を用いて、反応室内のガスを外界に排出すれば良い。また、反応室を不活性雰囲気にするためには、外界から反応室に不活性ガスを供給すれば良い。これらのガスの移動により、反応室にはガスが流通し、上記したガス流通経路が形成される。
ところで、金属リチウムが酸化した酸化リチウムは、リチウムガスを生じない。このため、リチウムのロスを低減しつつリチウムドープ負極活物質すなわち本発明の負極材料を歩留まり良く製造するためには、リチウムドープ工程において金属リチウムの酸化を抑制するのが好ましい。
金属リチウムの酸化を抑制するためには、上記したように反応室を減圧及び/又は不活性雰囲気にするだけでなく、金属リチウムの近傍から酸素を除去するのが好ましい。金属リチウムの近傍から酸素を除去するためには、リチウムドープ工程を酸素捕捉材の存在下で行えば良い。酸素捕捉材は、金属リチウムに優先して雰囲気中の酸素と反応する材料を指す。さらに酸素捕捉材は、取り扱い性を考慮すると、金属リチウムがリチウムガスを生じる温度下で固体として存在し得るのが好ましい。
チタン及びジルコニウムは、上記した酸素捕捉材に好適な性質を有するため、本発明の製造方法において、酸素捕捉材として好ましく使用される。酸素捕捉材としては、チタン又はジルコニウムを用いることもできるし、或いは、これらの金属の酸化物を用いることもできる。なお、ここでいう酸化物とは、酸化数の小さな低次酸化物を指す。これらの酸素捕捉材は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
酸素捕捉材を用いて金属リチウムの酸化をより信頼性高く抑制するためには、リチウムドープ工程において金属リチウムが存在する空間に、酸素捕捉材を配置するのが良いと考えられる。また、金属リチウム、当該金属リチウムから生じたリチウムガス、及び、リチウムドープされた負極活物質の全ての酸化を抑制する為には、反応室全体に酸素捕捉材を満遍なく配するのが好ましい。
但し、酸素捕捉材とSi含有負極活物質との反応を回避するために、酸素捕捉材とSi含有負極活物質とは離間させるのが好ましい。
金属リチウムと酸素捕捉材とは非接触であっても良いし、接触しても良い。金属リチウムと酸素捕捉材とを接触させる場合には、酸素捕捉材が、金属リチウムから酸素をうばい得る還元剤としても機能し得る。
反応室内の酸素を効率良く捕捉するためには、酸素捕捉材は比表面積の大きな形状であるのが好ましい。具体的には、酸素捕捉材は多孔材であるのが好ましい。例えばスポンジチタンと呼ばれるチタンの多孔材は、材料および形状の2つの面で、本発明の製造方法における酸素捕捉材として特に好ましく使用される。
多孔材である酸素捕捉材の空隙率は10体積%〜90体積%程度であるのが好ましい。空隙率は、水銀圧入式ポロシメータに代表される公知の測定装置で測定し得る。
本発明の製造方法に用いるSi含有負極活物質としては、Si単体、Si単体とSiOに不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)、Si単体若しくはSiOと炭素系材料を組み合わせた複合体、既述した特許文献5に開示されるシリコン材料を挙げることができる。
以下、特許文献5に開示されているシリコン材料(本明細書においては単に「シリコン材料」という。)について詳細に説明する。シリコン材料は、例えば、CaSiと酸とを反応させて、ポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成する工程、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる工程を経て製造されるものである。
特許文献5に記載のシリコン材料の製造方法を、酸としては塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi+6HCl → Si+3CaCl
Si → 6Si+3H
ただし、ポリシランであるSiを合成する上段の反応では、副生物や不純物除去の観点から、通常、反応溶媒として水が用いられる。そして、Siは水と反応し得るため、上段の反応を含む層状シリコン化合物を合成する工程において、層状シリコン化合物がSiのみを含むものとして製造されることはほとんどなく、層状シリコン化合物はSi(OH)(Xは酸のアニオン由来の元素若しくは基、s+t+u=6、0<s<6、0<t<6、0<u<6)で表されるものとして製造される。なお、上記の化学式においては、残存し得るCaなどの不可避不純物については、考慮していない。そして、当該層状シリコン化合物を加熱して得られるシリコン材料も、酸素や酸のアニオン由来の元素を含む。
シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオン等の電荷担体の効率的な挿入及び脱離反応のためには、板状シリコン体は厚さが10nm〜100nmの範囲内のものが好ましく、20nm〜50nmの範囲内のものがより好ましい。板状シリコン体の長手方向の長さは、0.1μm〜50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長手方向の長さ)/(厚さ)が2〜1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造は走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSiにおけるSi層の名残りであると考えられる。
シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm〜300nmの範囲内が好ましく、1nm〜100nmの範囲内がより好ましく、1nm〜50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm〜10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、350℃〜950℃の範囲内が好ましく、400℃〜900℃の範囲内がより好ましい。
一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で測定した場合における、シリコン材料又は本発明の負極材料の平均粒子径としては、0.6〜30μmの範囲内が好ましく、1〜20μmの範囲内がより好ましく、2〜10μmの範囲内がさらに好ましく、3〜8μmの範囲内が特に好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、50%累積径(D50)を意味する。
上記したSi含有負極活物質には、例えばSiOやシリコン材料のように、ケイ素及び酸素を含有するものがある。この種のSi含有負極活物質にドープされたリチウムは、ケイ素、又はケイ素及び酸素とともに化合物を生成する。Si含有負極活物質が組成式Si0.70.3である場合を例に挙げ、図1に示す負極材料の状態図を基に、当該化合物について説明する。
なお、図1に示す状態図は、状態図計算ソフト(Factsage 株式会社計算力学研究センター)を用いて得た。組成式Si0.70.3は、シリコン材料の代表的な組成式である。
図1に示す負極材料の状態図は、縦軸に温度をとり、横軸にリチウムドープされた負極活物質におけるリチウムのモル比(Li/(Li+O+Si))をとったものである。以下、必要に応じて、「リチウムドープされた負極活物質」を負極材料といい、「リチウムドープされた負極活物質におけるリチウムのモル比」をリチウムドープ量という。
組成式Si0.70.3の負極活物質にリチウムをドープした負極材料の態様は、図1に示すように、シリコンドープ量及び温度に応じて、種々に変化する。例えば、リチウムドープ量の非常に少ない領域においては、リチウムシリケートが生成しかつシリコン単体が多く残存するが、リチウムドープ量の非常に多い領域においては、リチウムシリケートに加えてリチウムシリサイドが生成する。
具体的には、図1に示す状態図においては、室温かつリチウムドープ量0.18未満の領域においては、負極材料は、LiSi+SiO+Si又はLiSi+LiSiO+Siの態様をとる。これに対して、リチウムドープ量0.18以上の領域においては、負極材料は、LiSiO+LiSiO+Si、LiSiO+Li12Si+Si、LiSiO+Li12Si+LiSi、LiSiO+Li13Si+LiSi、LiSiO+Li13Si+Li22Si、又は、LiSiO+Li+Li22Siの態様をとる。
これら負極材料におけるリチウムシリケート及びリチウムシリサイドの態様は、負極材料におけるリチウムドープ量に対応する。
本発明の負極材料におけるリチウムドープ量が過剰であれば、当該負極材料に起因してリチウムイオン二次電池に必要量を超えるリチウムを持ち込んでしまう場合がある。また、本発明の負極材料におけるリチウムドープ量が過小であれば、リチウムイオン二次電池に充分なリチウムを持ち込めない場合がある。したがって、本発明の負極材料のリチウムドープ量には好ましい範囲が存在する。
本発明の負極材料は、リチウムシリケート及びリチウムシリサイドを含有するか、又は、リチウムシリサイドを含有しない場合にはリチウムシリケートとしてLiSiO及びLiSiOを含有するのが好ましい。また、リチウムシリケートとしてLiSiOを含有するとともにリチウムシリサイドとしてLi12Siを含有するのがより好ましい。
これに対応するリチウムドープ量の範囲として、本発明の負極材料のリチウムドープ量は0.18以上であるのが好ましく、0.18以上0.63以下であるのがより好ましく、0.23以上0.58以下であるのが特に好ましい。
なお、上記したリチウムドープ量の好ましい範囲は、組成式がSi0.70.3のSi含有負極活物質を用いる場合における好ましい範囲である。当該範囲はSi含有負極活物質の種類によってやや変化するが、何れの場合にも、本発明の負極材料がリチウムシリケート及びリチウムシリサイドを含有するか、又は、リチウムシリサイドを含有しない場合にはリチウムシリケートとしてLiSiO及びLiSiOを含有するリチウムドープ量を、本発明の製造方法におけるリチウムドープ量の好ましい範囲とする。
本発明の負極材料におけるリチウムドープ量は、反応室におけるSi含有負極活物質と金属リチウムとの相対的な存在量を適宜設定することで、調整可能である。具体的には、Si含有負極活物質に対する金属リチウムの相対量を増大させれば、負極材料におけるリチウム含量が多くなり、リチウムシリサイドを含む負極材料が得られる。これに対して、Si含有負極活物質に対する金属リチウムの相対量を少なくすれば、負極材料におけるリチウム含量が少なくなり、リチウムシリサイドを含まない負極材料が得られる。この場合、Si含有負極活物質に対する金属リチウムの相対量がある程度以上であれば、リチウムシリケートとしてLiSiO及びLiSiOを含有する負極材料が得られ、Si含有負極活物質に対する金属リチウムの相対量が非常に少なければ、リチウムシリケートとしてLiSiのみを含むか、又は、LiSi及びLiSiOのみを含む負極材料が得られる。なお、Si含有負極活物質に対する金属リチウムの相対量が多い場合にも、反応時間を短くすることで、負極材料におけるリチウム含有量を少なくすることが可能である。
なお、Si含有負極活物質に対する金属リチウムの量、反応室の温度、リチウムドープ工程に要する時間等を適宜調整することで、反応室におけるSi含有負極活物質とリチウムガスとの相対量を設定可能である。
更に、リチウムドープ工程後、反応室の温度を下げる前に、反応室に不活性ガスを導入して反応室のアルゴンガスを不活性ガスで置換するのが好ましい。リチウムドープ工程後にそのまま反応室の温度を下げると、負極材料の近傍にリチウムガスが残存していた場合に、当該リチウムガスが冷却されたリチウム粒子が負極材料に混入する可能性があるためである。なお、リチウムガスの温度低下を抑制し、未反応のリチウムの液体化又は固体化を抑制する為に、反応室は、ヒータ等によって加熱するのが好ましい。
本発明の製造方法におけるリチウムドープ工程では、Si含有負極活物質と反応したリチウムガスが負極材料の一部となる。一方、Si含有負極活物質と反応しなかったリチウムガスは、その一部が負極材料に付着し固体状のリチウム粒子となって残存する可能性はあるものの、実質的には負極材料を構成しない。また、リチウムガス発生源である金属リチウムには酸化リチウムが含まれ得るが、酸化リチウムはリチウムに比べると沸点が遙かに高く、かつ、蒸気圧が遙かに低いために、ガス状になり難い。したがって、金属リチウムに含まれる酸化リチウムはリチウムガスを構成せず、当該酸化リチウムも又、実質的に負極材料を構成しない。
よって、当該リチウムドープ工程を有する本発明の製造方法によると、負極材料に含まれる未反応のリチウムや酸化リチウム等の量を大きく低減できる。つまり、本発明の製造方法によると、従来の方法とは異なる新規な方法により、リチウムイオン二次電池用負極活物質として好適な負極材料を製造できる。
なお、本発明の負極材料は、リチウムシリケート及びリチウムシリサイドの両方を含有するものであっても良いし、リチウムシリケートを含有するだけでリチウムシリサイドを含有しないものであっても良い。
つまり、本発明の負極材料においては、リチウムドープ量は特に限定されない。
本発明の負極材料に含有されるリチウムシリケートやリチウムシリサイドは非晶質であっても良いし、結晶状態であっても良いが、これらの少なくとも一部は結晶状態であると推測される。
例えば、リチウムドープ量0.23以上の領域における負極材料は、例えば650℃を超える高温下において、液相及びリチウムシリケートと場合によって更にSiを含むだけであり、リチウムシリサイドを有さない。しかし、同じくリチウムドープ量0.23以上の領域における負極材料は、650℃以下の中温下において、リチウムシリケートとリチウムシリサイドとの両方を含む。
本発明の製造方法によると、ガス状のリチウムとSi含有負極活物質との反応は、リチウムがガス状で存在し得る程度の高温下で生じる。したがって、本発明の製造方法をリチウムドープ量0.23以上となる条件下で実施する場合には、リチウムガスとSi含有負極活物質との反応で生成したリチウムシリサイドは、反応時には結晶相として生成する。リチウムシリケートも同様に、結晶相として生成する。
シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる特殊な構造を有する。このため、Si含有負極活物質としてシリコン材料を選択する場合には、当該構造を維持するために、リチウムドープ工程において、基本的には、シリコン材料は固体状であるのが好ましく、反応室の温度はSiが溶融する温度よりも低温であるのが好ましい。参考までに、Siの融点は1414℃、SiOの融点は1650±75℃である。
Si含有負極活物質は、大容量である反面、黒鉛等の一般的な負極活物質に比べて導電性に劣る。本発明の製造方法においては、リチウムドープ工程後又はリチウムドープ工程前のSi含有負極活物質に更に炭素コート層を形成しても良い。この場合には、本発明の負極材料の導電性を向上させ得るし、また、負極材料に導電材料たる炭素コート層を一体化することで、単に負極材料と導電材料とを混合する場合に比べて、負極材料と導電材料と密着させることができ、本発明の負極材料に優れた導電性を付与し得る。具体的には、化学気相蒸着法等の既知の方法でSi含有負極活物質に炭素コートすれば、Si含有負極活物質の表面に容易に炭素コート層を形成できる。
Si含有負極活物質への炭素コートは、リチウムドープ工程後に行うのが好ましい。Si含有負極活物質の体積は、充放電すなわちリチウムの出入りに伴って変化するところ、リチウムがドープされて体積が増大したSi含有負極活物質に炭素コートを行うことで、充放電に伴いSi含有負極活物質が体積変化しても壊れ難い炭素コート層が得られる。
炭素コートの方法としては、上記した化学気相蒸着法(CVD:chemical vapor deposition)以外にも、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法を採用することもできるし、或いは、その他の方法を採用することもできる。炭素コート層は、Si含有負極活物質の表面の一部にのみ形成しても良いし、Si含有負極活物質の表面全体に形成しても良いし、Si含有負極活物質の内部に部分的に入り込んでも良い。
炭素コート層の材料つまり炭素源は、炭素を含有し、かつ、炭素以外の元素を負極に多く持ち込まないものが好ましく、固体状、気体状等その状態は特に問わない。炭素源としては、例えば炭素単体、炭化水素ガス、有機ポリマー等を例示できる。炭素コート法としてCVD法を採用する場合には、作業効率上、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の炭化水素ガスを選択するのが好ましい。
炭素コート層の厚さは特に問わないが、負極材料の耐久性と導電性を考慮すると厚い方が好ましい。一方、負極材料の容量維持やイオン伝導性を考慮すると、炭素コート層は薄い方が好ましい。負極材料における炭素コート層の量が過大になると、相対的に、Si含有負極活物質の量が低減して、負極材料の容量が低下したりリチウムイオンが通過し難くなったりするためである。これらを勘案すると、炭素コート層の厚さは1〜100nmであるのが好ましく、10〜50nmであるのがより好ましく、5〜50nmであるのが更に好ましい。
炭素コート層は炭素だけを含んでも良いし、それ以外の元素を含んでも良い。例えば、炭素コート層は、遷移金属から選ばれる少なくとも一種の金属原子を含んでもよい。この金属原子によって炭素コート層内における導電性が向上するため、負極におけるリチウムイオンの伝導性が改善される。遷移金属から選ばれる金属原子としては、Cu、Fe、Niなどが好ましく、Cuが特に好ましい。また、炭素コート層における金属原子の含有量は、0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明の負極材料は、リチウムイオン二次電池用の負極に使用することができる。以下、必要に応じて、本発明の負極材料を具備する負極を本発明の負極という。
本発明の負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層とを有する。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
負極活物質層は、上記した負極材料を具備し、当該負極材料は、既述したように、Si含有負極活物質がリチウムドープされたものである。本発明のリチウムイオン二次電池は、負極活物質として、本発明の負極材料すなわちリチウムドープされたSi含有負極活物質のみを含有しても良いし、黒鉛等の公知のその他の負極活物質を本発明の負極材料と併用しても良い。
本発明の負極における負極活物質層は、本発明の負極材料以外にも、必要に応じて導電助剤及び/又は結着剤を含む。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、例えば本発明の負極材料が比較的多くの炭素コート層を有する場合等、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて負極活物質層に添加することができる。
負極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、活物質:導電助剤=1:0.005〜1:0.5であるのが好ましく、1:0.01〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.03〜1:0.1であるのがさらに好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
また、国際公開第2016/063882号に開示される、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーをジアミンなどのポリアミンで架橋した架橋ポリマーを、結着剤として用いてもよい。
架橋ポリマーに用いられるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、活物質:結着剤=1:0.001〜1:0.3であるのが好ましく、1:0.005〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.01〜1:0.15であるのがさらに好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を混合し、スラリーを調製する。上記溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
ところで、リチウムシリサイドを含有する負極材料と、水及び当該水系結着剤とを併用する場合、負極製造時に、負極材料及び結着剤を含有するスラリーの安定性が悪く、当該スラリーを集電体に塗工する作業が困難になる場合がある。したがって、リチウムシリサイドを含有し得る本発明の負極材料には、非水系溶剤及び非水系結着剤を組み合わせるのが好適だと言える。非水系溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトンが挙げられる。非水系結着剤としては、含フッ素樹脂、熱可塑性樹脂、イミド系樹脂、アクリル系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリアミンで架橋した架橋ポリマーから選ばれる結着剤が挙げられる。
その他、本発明の負極材料と組み合わせてリチウムイオン二次電池を構成する正極や電解液等のその他のリチウムイオン二次電池構成要素については、定法に基づいて適宜選択すれば良く、本発明においては特に限定しない。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例及び比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
(負極材料の製造)
(シリコン材料製造工程)
氷浴中の36質量%HCl水溶液に、アルゴンガス雰囲気下、CaSiを加えて撹拌した。反応液を濾過し、残渣を蒸留水及びアセトンで洗浄し、さらに、減圧乾燥して、ポリシランを含む層状シリコン化合物を分離した。層状シリコン化合物をアルゴンガス雰囲気下、900℃で1時間加熱して、シリコン材料を得た。このシリコン材料をジェットミルNJ−30(株式会社アイシンナノテクノロジーズ)で粉砕して、粒子状のシリコン材料を得た。
(リチウムドープ工程)
上記のシリコン材料製造工程で得たシリコン材料をSi含有負極活物質として用い、以下のようにリチウムドープ工程を行った。実施例1の製造方法において用いたリチウムドープ装置を模式的に表す説明図を図2に示す。以下、図2を基に、実施例1の製造方法におけるリチウムドープ工程を説明する。
(装置)
図2に示すように、リチウムドープ装置1は、内部に処理室2が区画された加熱炉3、多数の開口4を有し処理室2を上下に区画する区画壁5、加熱炉3に接続されたガス流入経路部6及びガス流出経路部7、ガス流入経路部6に接続された図略のガスボンベ、ガス流出経路部7に接続された減圧ポンプP、及び、処理室内に配置された第1の容器8及び第2の容器9で構成される。
処理室2は、区画壁5によって上室20及び下室21に区画されている。区画壁5に設けられている多数の開口4によって、上室20と下室21との間のガスの流通は許容される。下室21には管状のガス流入経路部6が接続され、上室20には管状のガス流出経路部7が接続されている。ガス流入経路部6にはアルゴンガスの入った図略のガスボンベが接続されており、アルゴンガスは当該ガス流入経路部6を経て下室21に供給される。一方、ガス流出経路部7には減圧ポンプPが接続されており、図略の電源から給電を受け減圧ポンプPが駆動されると、上室20の内部にあるガスは、ガス流出経路部7及び減圧ポンプPを経て外界に流出する。したがって、処理室2の内部には、下室側21から上室側20に向けたガス流通経路が形成される。上室20にはシリコン材料用の第1の容器8が配置され、下室21には金属リチウム用の第2の容器9が配置されている。上室20は、シリコン材料とリチウムガスとが反応する反応室となる。
(方法)
上室20の第1の容器8にシリコン材料Sを入れ、下室21の第2の容器9に金属リチウムLを入れた。実施例1の製造方法において、金属リチウム及びシリコン材料の量は、金属リチウム:シリコン材料=1:3(質量比)となる量とした。
減圧ポンプPを駆動して、上室20および下室21を1〜10Pa程度の減圧雰囲気とした。処理室2の全体を図略のヒータにより550℃に加熱し、第2の容器9に入れられた金属リチウムLからリチウムガスを生じさせた。下室21で生じたリチウムガスは、区画壁5の開口4を通過し上室20に移動してシリコン材料Sに接触した。この状態を6時間維持した。6時間の経過後、処理室2にアルゴンガスを導入し、処理室2のリチウムガスをアルゴンで置換した。その後、アルゴン雰囲気下で処理室2を室温にまで自然冷却した。以上の工程で、実施例1の負極材料を得た。
(実施例2)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:4(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を600℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例2の負極材料を製造した。
(実施例3)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:2(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を600℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例3の負極材料を製造した。
(実施例4)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:2(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を650℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例4の負極材料を製造した。
(実施例5)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:1(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を650℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例5の負極材料を製造した。
(実施例6)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:2(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例6の負極材料を製造した。
(実施例7)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:1(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例7の負極材料を製造した。
(実施例8)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:2(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を750℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例8の負極材料を製造した。
(実施例9)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:1(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を750℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例9の負極材料を製造した。
(比較例1)
比較例1の負極材料は、実施例1の製造方法におけるシリコン材料製造工程で得たシリコン材料である。
(比較例2)
金属リチウム及びシリコン材料の量を、金属リチウム:シリコン材料=1:2(質量比)となる量としたこと、および、処理室の加熱温度を500℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で比較例2の負極材料を製造した。
(XRD分析1)
実施例1〜実施例9、比較例1及び比較例2の負極材料につき、CuKαによる粉末X線回折装置にて、X線回折測定(X‐ray diffraction、XRD)を行った。図3に、各負極材料、LiSiO、Li12Si、LiSi、及び、Li13SiのX線回折チャートを示す。また、図3により確認された、各負極材料に含まれるリチウムシリケート結晶及びリチウムシリサイド結晶について、表1にまとめた。
Figure 0006878967
図3及び表1に示すように、実施例1〜実施例9の負極材料には、何れもリチウムシリケート結晶に由来するピーク及びリチウムシリサイド結晶に由来するピークが確認された。つまり、実施例1〜実施例9の負極材料は、何れもリチウムドープがなされていた。
図3及び表1に示される結果から、各負極材料に含まれるリチウムシリケート結晶の種類は、リチウムとSi含有負極活物質との量、及び、リチウムドープ工程の温度を適宜設定することで、種々に変更可能であることがわかる。
また、図3に示されるように、反応温度が500℃であった比較例2では、26〜30°付近のシリコン結晶のピークは観察されるものの、その他リチウムシリケート結晶やリチウムシリサイド結晶に特有のピークがみられないことから、1〜10Pa程度の減圧下でリチウムドープ工程を行う場合には、反応温度500℃では、Si含有負極活物質にリチウムドープがなされないことがわかる。さらに、反応温度が700℃以上であった実施例6〜実施例9ではシリコン結晶のピークがシャープであることから、当該温度下でシリコン材料が一部溶融し、その結果、結晶粒の比較的大きなシリコンが生成したと推測される。したがって、1〜10Pa程度の減圧下でリチウムドープ工程を行う場合には、反応温度は500℃を超え700℃未満であるのが好ましいといえる。なお、反応温度は510℃以上690℃以下がより好ましく、525℃以上675℃以下がより好ましく、550℃以上650℃以下であるのが特に好ましいといえる。
(実施例10)
リチウムドープ工程において、金属リチウムを入れた第2の容器とともに下室にスポンジチタンからなる酸素捕捉材を配置したこと、及び、処理室の加熱温度を600℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例10の負極材料を得た。
(実施例11)
スポンジチタンからなる酸素捕捉材を配置しなかったこと以外は、実施例10と同じ方法で実施例11の負極材料を得た。
(XRD分析2)
実施例10及び実施例11の負極材料につき、CuKαによる粉末X線回折装置にて、X線回折測定を行った。図4に、各負極材料のX線回折チャートを示す。
図4に示すように、酸素捕捉材の存在下でリチウムドープ工程を行った実施例10の負極材料では、酸素捕捉材の非存在下でリチウムドープ工程を行った実施例11の負極材料に比べて、LiSiの比率が大きかった。この結果は、実施例10の負極材料は実施例11の負極材料に比べてリチウムドープ量が多いことを意味する。つまり、酸素捕捉材の存在下で行った実施例10のリチウムドープ工程では、酸素捕捉材の非存在下で行った実施例11のリチウムドープ工程に比べてリチウムガスが多く発生したといえる。この結果から、本発明の負極材料の製造方法における酸素捕捉材の有用性が裏付けられる。
1:リチウムドープ装置 2:処理室
3:加熱炉 4:開口
5:区画壁 6:ガス流入経路部
7:ガス流出経路部 P:減圧ポンプ
8:第1の容器 9:第2の容器
S:シリコン材料 L:金属リチウム

Claims (9)

  1. 粉末状のSi含有負極活物質に0価のリチウムガスを接触させ、XRDにおいてLi 12 Si に由来するピークが観測されるまで前記Si含有負極活物質にリチウムをドープするリチウムドープ工程を有する、負極材料の製造方法。
  2. 前記リチウムドープ工程は、1〜10Paの減圧下、500℃を超え700℃未満で行う、請求項1に記載の負極材料の製造方法。
  3. 前記リチウムドープ工程において、前記Si含有負極活物質に非接触であるように配置した固体状の金属リチウムを加熱することで前記0価のリチウムガスを発生させる、請求項1又は請求項2に記載の負極材料の製造方法。
  4. 前記リチウムドープ工程は、酸素捕捉材の存在下で行う、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の負極材料の製造方法。
  5. 前記酸素捕捉材を前記金属リチウム側に配置する、請求項4に記載の負極材料の製造方法。
  6. 前記酸素捕捉材は、チタン、ジルコニウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種である、請求項4又は請求項5に記載の負極材料の製造方法。
  7. 前記酸素捕捉材は多孔材である、請求項4〜請求項6の何れか一項に記載の負極材料の製造方法。
  8. 前記Si含有負極活物質は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料である、請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の負極材料の製造方法。
  9. 前記リチウムドープ工程後の前記負極材料を炭素コートする炭素コート工程を有する、請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の負極材料の製造方法。
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