JP6874888B1 - 尿沈渣用染色液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 尿沈渣検査において、尿試料中に出現する夾雑物の染色を抑制して、目的の成分を効率良く染色できる手法を提供すること。
【解決手段】 アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素を含有する尿沈渣検査用の超生体染色液を使用する。一つの実施形態において、前記トリアリールメタン系色素は水に可溶性の色素であることが好ましい。更に好ましい実施形態では、前記トリアリールメタン系色素と共に細胞質染色成分を組み合わせて使用する。本発明の超生体染色液は上皮細胞、円柱等の希少成分の染色にも優れる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、尿沈渣検査に用いる超生体染色液及びその染色液を用いる方法に関する。特に、本発明は、尿中に含まれ得る夾雑物の染色を抑制する方法、又は尿中に含まれる希少成分の検出率を向上させることができる検出力向上方法等に関する。
尿沈渣検査は、非侵襲的で被験者の負担が少なく頻繁に実施することも可能な形態学的検査として重要である。尿沈渣検査は従来、検査技師による用手での標本作成と検鏡により目視評価することにより行われてきた。しかし、この用手による作業は検鏡に用いる標本作成等が検査技師に大きな負担となるだけでなく、検査技師の技量等により判断にバラつきが生じやすいという問題があった。そこで、そのような検査技師の負担を軽減すると共に、画一的な判断結果を得るための補助として、尿沈査検査において、検体の成分を自動で分析する検体分析装置が提案されている。検体分析装置には、検体容器内で検体および薬剤を混合し、その懸濁液をフローセルに流してレーザー光に対する散乱光や蛍光を測定するフローサイトメーター法によるものや、撮像装置により検体を撮像するものがある。たとえば、特許第3924870号公報(特許文献1)は、検体に薬剤を加えることにより検出用の試料を調製し、それを撮像する分析装置を開示している。また、非特許文献1には種々の尿沈査の染色法が開示されている。
特許第3924870号公報
医学検査 Vol.66 NO.J−STAGE−1 尿沈渣特集2017、18〜50頁
従来の尿沈渣検査では、測定対象の細胞だけでなく、尿中に存在し得る夾雑物も少なからず染色されてバックグラウンドノイズを生じさせ、目的の細胞の検出を困難にする場合があった。特に、有形成分分析装置で尿沈渣検査を行う場合、背景に出現する夾雑物が染色してしまうと、測定すべき成分に重なって撮像されてしまい、分類することが困難になったり、成分を誤った分類で測定してしまい、自動分析装置で有形成分の分析を正確に行うことが困難になったりする場合があることがわかった。更に、従来の尿沈渣検査では、夾雑物が染色される一方で、上皮細胞や円柱等の希少成分が染色されにくい場合があり、これらの希少成分の検出が不十分となる場合があった。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明の一つの目的は、尿沈渣検査において夾雑物の染色を抑制することで、バックグラウンドノイズを抑え、測定対象の細胞の効率的な検出を可能にする手法を提供することである。加えて、尿試料中における上皮細胞や円柱等の希少成分の検出力を高めて、高感度な尿沈渣検査を可能にする手法を提供することを本発明の更なる目的の一つとする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、尿沈渣検査に用いる超生体染色液に特定成分を使用することで、尿試料中の背景に出現する夾雑物を染めずに、目的の成分を効率良く染色できることを見出した。さらに、この超生体染色液と尿試料の混合比率を最適化することで、尿沈査検査における希少成分のより高感度な測定が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[項1] アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素を含有する、尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項2] アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素が水に可溶性の色素である、項1に記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項3] アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素の分子量が700〜900である、項1又は2に記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項4] アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素が、メチルブルー、パテントブルーV、パテントブルーA、ネプチューングリーンSBX、アシランブリリアントブルーR、アシッドファーストバイオレットBG、ブリリアントアシッドブルーB、ブリリアントブルーR、ブリリアントブルーFCF、ブリリアントブルーG、ブリリアントディスチャージブルーG、アシッドブルー、アシッドブルー13、アシッドブルー15、アシッドブルー100、アシッドブルー103、アシッドブルー104、及びアシッドブルー269からなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項5] 更に、細胞質染色成分を含有する、項1〜4のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項6] 細胞質染色成分が、エオシンイエロー、エオシンブルー、ヤヌスグリーン、トリフェニルテトラゾリウムクロライド溶液、ニュートラルレッド、サフラニン、ピロニンB液、ズダンIII、ズダンブラック、オレイルレッド、ラクトフクシン、メチルグリーン、ピロニン、ヨウ化カリウム、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、インジゴカルミン、ニューメチレンブルー、中性赤,及びライトグリーンからなる群より選択される少なくとも1種である、項5に記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項7] アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素に対する細胞質染色成分のモル比が0.5〜8である、項5又は6に記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項8] 更に、キレート剤を含有する、項1〜7のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項9] 有機溶媒を実質的に含有しない、項1〜8のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項10] pH6〜7である、項1〜9のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項11] 尿沈渣検査において夾雑物の染色が抑制される、項1〜10のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項12] 尿沈渣検査が、画像処理方式の尿中有形成分分析装置での尿沈査検査である、項1〜11のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
[項13] 項1〜12のいずれかに記載の超生体染色液により尿検体を染色する工程を包含する、尿沈渣検査方法。
[項14] 超生体染色液と尿検体とを1:3〜1:9となる比率で混合して染色する、項13に記載の尿沈渣検査方法。
[項15] 染色した尿検体を尿中有形成分分析装置において撮像する工程を包含する、項13又は14に記載の尿沈渣検査方法。
[項16] 項1〜12のいずれかに記載の超生体染色液により尿検体を染色する工程を包含する、尿沈渣検査における夾雑物の染色抑制方法。
[項17] 超生体染色液と尿検体とを1:3〜1:9となる比率で混合して染色する、項16に記載の尿沈渣検査における夾雑物の染色抑制方法。
[項18] 染色した尿検体を尿中有形成分分析装置において撮像する工程を包含する、項16又は17に記載の尿沈渣検査における夾雑物の染色抑制方法。
[項19] 項1〜12のいずれかに記載の超生体染色液により尿検体を染色する工程を包含する、尿沈渣検査における希少成分の検出力向上方法。
[項20] 希少成分が、上皮細胞及び円柱からなる群より選択される少なくとも1種である、項19に記載の希少成分の検出力向上方法。
[項21] 超生体染色液と尿検体とを1:3〜1:9となる比率で混合して染色する、項19又は20に記載の尿沈渣検査における希少成分の検出力向上方法。
[項22] 染色した尿検体を尿中有形成分分析装置において撮像する工程を包含する、項19〜21のいずれかに記載の尿沈渣検査における希少成分の検出力向上方法。
本発明により、尿沈渣検査において夾雑物の染色を抑制することができる。また更なる局面において、本発明によれば、尿沈渣検査において上皮細胞や円柱等の希少成分も高感度に検出することが可能になる。よって、例えば、自動分析装置を用いて尿試料中の有形成分を分析する場合に高精度な分析が可能となる。
染色液1を用いた尿沈渣検査の撮像画像を示す図である。 S染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像を示す図である。 SM染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像を示す図である。 PB染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像を示す図である。 H染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像を示す図である。 染色液1を用いた尿沈渣検査の撮像画像の2値化画像を示す図である。 S染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像の2値化画像を示す図である。 SM染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像の2値化画像を示す図である。 PB染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像の2値化画像を示す図である。 H染色液を用いた尿沈渣検査の撮像画像の2値化画像を示す図である。
本発明の実施の形態について詳細に説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
また、本明細書中に記載された非特許文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。本明細書中の「〜」は「以上、以下」を意味し、例えば明細書中で「X〜Y」と記載されていれば「X以上、Y以下」を示す。また本明細書中の「および/または」は、いずれか一方または両方を意味する。また本明細書において、単数形の表現は、他に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。
(1.尿沈渣検査用の超生体染色液)
一つの実施形態において、本発明は、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素を含有する尿沈査検査用の超生体染色液を提供する。
尿沈渣検査とは、例えば、腎臓や泌尿器系の疾患を診断する際などに、その診断の補助として、尿検体中の赤血球や白血球等の有形成分の種類や量を観察・分類・計測する検査である。従来、検査技師が用手で被験者の尿検体に染色液を添加・混合して標本を作製し、顕微鏡下で観察する方法が行われてきたが、検査技師の作業負担を軽減し、画一的な検査結果を提供するために自動化された尿中有形成分分析装置等も近年汎用されている。このような有形成分分析装置を用いた尿沈渣検査としては、顕微鏡下での成分像解析をそのまま自動化した画像処理方式による尿沈渣検査法、尿検体と染色液の懸濁液をフローセルに流してレーザー光に対する散乱光や蛍光なおを測定するフローサイトメーター法による尿沈渣検査法等が知られている。本発明の超生体染色液は、任意の尿沈渣検査において用いることができ、例えば、用手での尿沈渣検査において用いられてもよいし、有形成分分析装置での尿沈渣検査に用いられてもよい。目視によらない機械的な判別において、夾雑物の染色を抑えることでより正確な判定を可能にし、希少成分の検出も可能にできるという観点から、好ましくは、本発明は尿中有形成分分析装置における尿沈渣検査において使用され、なかでも、画像処理方式の尿中有形成分分析装置における尿沈渣検査において使用されることが好ましい。
生体成分を染色する方法は種々知られている。このうち、生体内に色素を投与して細胞を染色する方法が「生体染色」と呼ばれ、生体外に取り出した細胞を生きた状態のまま染色する方法が「超生体染色」と呼ばれる。本発明は、超生体染色のための染色液として用いられるものである。
本発明の超生体染色液は、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素を含有することを1つの特徴とする。トリアリールメタン系色素とは、炭素に3つのベンゼン環が結合したトリアリールメタン構造を基本骨格とする色素の総称である。本発明は、トリアリールメタン系色素の中でも、その構造中にアニオン性官能基を有するものを使用することを特徴とする。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、硫酸エステル基等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、アニオン性官能基としてスルホン酸基を有するトリアリールメタン系色素を用いることで、より高度に本発明の効果を発揮することができる。本発明に用いるトリアリールメタン系色素は、その構造中に1個又は複数(例えば、2個又は3個)のアニオン性官能基を有することができる。また、本発明に用いるトリアリールメタン系色素は、前記のアニオン性官能基に加えてカチオン性官能基を更に有していてもよい。本発明は、このようなアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素を尿沈渣検査の超生体染色液に使用した場合に、尿中夾雑物の染色性は抑えながら、尿中有形成分の細胞核を特異的に染色できるという予想外の知見に基づく。
一つの実施形態において、本発明に用いるアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素は、水に可溶性の色素であることが好ましい。水に可溶性であるとは、例えば、20℃での水に対する溶解度が、100g/L以上であることをいい、好ましくは200g/L以上、より好ましくは250g/L以上(例えば、300g/L以上)であることをいう。上限値は特に限定されないが、例えば、1000g/L以下であり得る。
本発明に用いるアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素の分子量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、約500〜1100、好ましくは約600〜1000、より好ましくは約700〜900であることが好ましい。このような分子量のトリアリールメタン系色素を使用することで安定して高い効果を発揮することができる。
一つの実施形態において、本発明に用いるアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素は、ヒトの尿のpH付近(中性付近)で安定な色素であることが好ましい。この観点から、本発明に用いるアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素は、pH6〜8付近で安定であることが好ましく、pH6〜7付近で安定であることがより好ましく、とりわけpH6〜6.5付近で安定であることが好ましい。また、本発明で用いるアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素は、前記pHの範囲内において呈色するものであることが好ましい。
更に他の局面において、本発明に用いるアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素は、取り扱いを容易にする観点から発がん性が低いか又は無いことが好ましく、また、細菌変性の懸念があるという観点から殺菌性が低いか又は無いことが好ましい。更に、後述のように細胞質染色成分と組み合わせて用いられる場合は、当該細胞質染色成分と異なる色調に呈色する色素であることが好ましい。例えば、細胞質染色成分として、エオシンイエロー等の赤色系に呈色する成分と組み合わせる場合は、青色系に呈色するトリアリールメタン系色素であることが好ましい。
具体的に、本発明に用いられ得るアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素としては、当該分野で公知の任意のものを使用することができるが、例えば、スルホン酸基を有するトリアリールメタン系色素として、メチルブルー(別名:アシッドブルー93)、パテントブルーV(別名:アシッドブルー1)、パテントブルーA(別名:アシッドブルー7)、ネプチューングリーンSBX(別名:アシッドブルー11)、アシランブリリアントブルーR(別名:アシッドブルー24)、アシッドファーストバイオレットBG(別名:アシッドブルー34)、ブリリアントアシッドブルーB(別名:アシッドブルー38)、ブリリアントブルーR(別名:アシッドブルー83)、ブリリアントブルーFCF(別名:アシッドブルー9)、ブリリアントブルーG(別名:アシッドブルー90)、ブリリアントディスチャージブルーG(別名:アシッドブルー91)、アシッドブルー、アシッドブルー13、アシッドブルー15、アシッドブルー100、アシッドブルー103、アシッドブルー104、アシッドブルー269などを好適に用いることができる。好ましくは、本発明では、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素として、メチルブルーを使用することができる。更に本発明では、上記のようなアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素を1種のみ使用しても良いし、2種以上を組み合わせてもよい。
メチルブルー(CAS No.28983−56−4)は、分子式がC3727Naで表され、水への溶解性が高いことが知られている公知の化合物である(水への溶解性:300g/L(20℃)、分子量:799.8)。メチルブルーはこれまでに、中性付近のpHにおいて、膠原繊維等の結合組織やコラーゲンを青く染色する色素として知られており、発がん性も殺菌性も無いことが知られている。メチルブルーは、化学的に合成したものを使用してもよいし、市販品を用いることもできる。例えば、メチルブルーとウォーターブルーとを混合したアニリンブルーや、メチルブルーをフェノール、グリセロール、酪酸溶液中に溶解したラクトフェノールコットンブルー等の混合物もメチルブルーとして本発明に好適に用いられ得る。
本発明の超生体染色液の一つの実施形態としては、染色成分として、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素のみを含有するものであってもよいし、それ以外の染色成分を含有するものであってもよい。より高感度に種々の成分を検出し易くなるという観点から、本発明の超生体染色液は、好ましくは、複数の色素を含むものであるのがよい。例えば、本発明の超生体染色液は、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素と、細胞核染色成分(少なくとも核を染める染色成分)及び細胞質染色成分(少なくとも細胞質類を染める染色成分)からなる群より選択される少なくとも1種の染色成分とを含有するものであることができ、なかでも、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素と細胞質染色成分とを含有する超生体染色液であることが好ましい。
細胞核染色成分は、少なくとも核を染める染色成分であればよく、酢酸オルセイン、酢酸カーミン、メチレンブルー、アルシアンブルー、クリスタルバイオレッド、メチルバイオレッド、ヘマトキシリン、2,7−ジアミノフルオレン、フェロシアン化カリウム、アズールIIなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
細胞質染色成分は、少なくとも細胞質類を染める染色成分であればよく、エオシンイエロー、エオシンブルー、ヤヌスグリーン、トリフェニルテトラゾリウムクロライド溶液、ニュートラルレッド、サフラニン、ピロニンB液、ズダンIII、ズダンブラック、オレイルレッド、ラクトフクシン、メチルグリーン、ピロニン、ヨウ化カリウム、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、インジゴカルミン、ニューメチレンブルー、中性赤,ライトグリーンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の効果がより一層確実に得られ易いという観点から、細胞質染色成分としては、エオシンイエロー、エオシンブルー等のエオシン系色素が好ましく、エオシンイエローがより好ましい。
本発明の超生体染色液に、細胞核染色成分及び/又は細胞質染色成分を組み合わせて用いる場合、細胞核染色成分及び細胞質染色成分はそれぞれ1種類ずつ用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
上記のような染色成分等を混合して用いた試料中の有形成分の識別を助力するための試薬として、一般的に知られているものとしてSternheimer−Malbin染色法(SM染色法)、Sternheimer染色法(S染色法、NS染色法またはSternheimer染色法、の変法)、Prescott−Brodie染色法、Behre−Muhlberg染色法(BM染色法)、SudanIII染色法、Lugol染色法、hemosiderin染色法、Papanicolaou染色法、4−chloro−1−naphthol法、Field染色法、Quaglino−Flemans法、Kaplow法、佐藤・関谷法、ベルリン青法、ギムザ染色法、ライト染色法、パッペンハイム染色法、コンゴー赤染色法、メチル緑・ピロニン染色法、アルシアン青染色法、ショール染色法、フォイルゲン染色法、オイル赤O染色法、Brecker法、ハインツ小体染色法、中性赤・ヤーヌス緑超生体染色法、ブリリアントクレシル青染色法(「臨床検査アトラス1尿沈渣」、「臨床検査技術全書3 血液検査」、「臨床検査法提要」、「染色法のすべて MEDICAL TECHNOLOGY別冊」)等が挙げられる。
本発明者らは、更なる新たな染色法について鋭意検討した結果、尿中有形成分の撮像を行う分析装置において、背景に出現する夾雑物を染めずに染色できる染色成分を見出した。具体的に、核を染色する成分としてアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素を用いることによって、尿沈渣検査において尿中夾雑物の染色が抑制され、目的の細胞の高感度な検出が可能になるという知見を得た。後述の試験例の結果にも示されるように、この効果は、例えば、細胞質類を染色する成分としてエオシンイエローを組み合わせて用いた場合に好ましい結果が得られることが確認できている。更に特定の態様において、本発明の超生体染色液は、従来法では一般に染色され難い傾向があるとされている上皮細胞及び/又は円柱等の希少成分の検出感度も向上させ得ることが明らかになっている。
本発明の超生体染色液が細胞質染色成分を含む場合、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素に対する細胞質染色成分の混合比率は、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。例えば、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素に対する細胞質染色成分(好ましくは、エオシンイエロー等)の好ましい混合比率は、モル比率で、0.2〜10であり、好ましくは0.4〜9であり、より好ましくは0.5〜8であり、さらに好ましくは、1〜4である。
本発明の超生体染色液中におけるアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素の含有量もまた、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。例えば、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素の含有量としては、1.0〜15mmol/Lであり、1.5〜12.0mmol/Lであることが好ましく、さらに好ましくは2.0〜6.0mmol/Lである。
本発明の超生体染色液が、更に細胞質染色成分を含む場合、その含有量もまた、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。例えば、細胞質染色成分(好ましくは、エオシンイエロー等)の含有量としては、0.3〜12.0mmol/Lであり、1.0〜12.0mmol/Lであることが好ましく、さらに好ましくは4.0〜12.0mmol/Lである。
本発明の超生体染色液は、尿検体中に含まれる無晶性の塩類の影響を低減するためにキレート剤を更に含有することが好ましい。このように無晶性の塩類の影響を抑制することで、とりわけ画像処理方式の尿中有形成分分析装置での撮像において、より鮮明な画像を撮像することが可能となり得る。キレート剤は、当該分野で公知の任意のキレート剤を使用することができ、例えば、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DTPA−OH)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)、(S、S)−エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、グルコン酸、O、O’−ビス(2−アミノフェニル)エチレングリコール−N、N、N’−四酢酸、テトラカリウムシオ、水和物(BAPTA)、N、N−ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N、N、N’、N’-四酢酸、一水和物(CyDTA)、イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N、N、N’、N’−テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)、又はそれらの塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸水素三ナトリウム、及びこれらの水和物塩等)等を挙げることができる。このようなキレート剤を添加する場合の含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、1〜50mmol/Lであり、好ましくは5〜30mmol/L、さらに好ましくは10〜25mmol/Lとするのがよい。
本発明の超生体染色液は、前記の染色成分を任意の溶媒に溶解させた溶液であり得る。ここで用いられる溶媒は、本発明の効果を発揮し得る限り特に限定されず、例えば、水や、無機溶媒、有機溶媒等の任意の液体であり得る。観察する細胞成分を委縮させないという観点からは、SM染色法で用いられるエタノール等の有機溶媒ではなく、水又は無機溶媒であることが好ましく、とりわけ水であることが好ましい。
特定の実施形態では、本発明の尿沈渣検査用の超生体染色液は、有機溶媒を実質的に含有しないものであることが好ましい。本明細書において、有機溶媒を実質的に含有しないとは、超生体染色液中における有機溶媒の含有量が、5容量%未満であること、好ましくは3容量%未満であること、より好ましくは1容量%未満であることをいう。
さらに、含有する染色成分の安定化および、試料と染色液を混合した際のpHを調整することを目的として緩衝液を含んでも良い。このような緩衝液としてはトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、GOOD緩衝液などが挙げられるが、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液は濃度、温度によってpHが変動しやすいため、GOOD緩衝液がより好ましい。
GOOD緩衝液とは、両性イオン緩衝液であって、その多くは緩衝剤として両性電解質のアミノ酸、特に置換タウリン類あるいはN−置換グリシン類を用いてなるが、中には、脂肪族アミンや両性イオン緩衝液でないものも一部含まれている。これらのGOOD緩衝剤としては、MES(pKa6.15)、Bis−tris(pKa6.46)、ADA(pKa6.80)、PIPES(pKa6.80)、ACES(pKa6.90)、コラミンクロリド(pKa7.10)、BES(pKa7.15)、MOPS(pKa7.20)、TES(pKa7.50)、HEPES(pKa7.55)、HEPPS(pKa8.00)、Tricine(pKa8.15)、グリシンアミド(pKa8.20)、Bicine(pKa8.35)、TAPS(pKa8.40)、CHES(pKa9.50)およびCAPS(pKa10.40)などが例示される。
本発明に用いる緩衝液としては、染色成分の安定性を高める目的で中性付近のpHで緩衝能をもつGOOD緩衝液が好ましい。より好適にはpH6〜8に緩衝能を持つGOOD緩衝液が好ましい。
さらに好ましくは、健常者の尿のpHは一般に中性付近(通常は、pH6.0〜6.5前後)と言われており、尿検体と染色液を混合した場合に、尿中の有形成分の状態をよりそのままの状態で分析することが可能となる点で、pH6.0〜7.0に緩衝能を持つGOOD緩衝液が好ましい。
具体的には、MES(pKa6.15)、Bis−tris(pKa6.46)、ADA(pKa6.80)、PIPES(pKa6.80)、ACES(pKa6.90)が好ましい。
また、本発明の超生体染色液には、防腐剤、塩類、染色成分安定化剤などを影響を及ぼさない範囲で添加してもよい。
防腐剤としては、プロクリン150、プロクリン200、プロクリン300、プロクリン950、アジ化物、キレート剤、抗生物質、抗菌剤などが挙げられる。
抗生物質としては、ゲンタマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコール等が挙げられる。
抗菌剤としては、メチルイソチアゾリノン、イミダゾリジニルウレア等が挙げられる。
塩類としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。
染色成分安定化剤としては、シクロデキストリン等が挙げられる。
本発明の尿沈渣検査の分析に用いられる試料としては、ヒトを含む哺乳動物から採取した尿に由来する試料(尿検体ともいう)であり得る。例えば、原尿、濃縮尿、遠心分離後の尿沈査等の任意の試料を本発明に用いることができる。更に本発明の超生体染色液は、尿検体だけでなく、例えば、血液、腹水、髄液などの生体の体液や、飲料、食品などの人が摂取するものなどにも用いることができる。
本発明の超生体染色液を用いて尿沈渣検査を行う場合、本発明の超生体染色液と試料との混合比率としては、特に限定されないが、例えば、1:1〜1:10とすることができ、1:3〜1:9であることが好ましく、なかでも1:3〜1:6であることが特に好ましい。後述の試験例の結果に示すように、このような比率で超生体染色液と尿検体とを混合することによって、尿沈渣検査において上皮細胞及び/又は円柱等の希少成分の検出力を向上させることが可能となり得る。
尿沈渣検査において認められる上皮細胞としては、例えば、尿細管上皮細胞、尿路上皮細胞、円柱上皮細胞、扁平上皮細胞、糸球体上皮細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。また尿沈渣検査において認められる円柱としては、硝子円柱、上皮円柱、顆粒円柱、ろう様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱、空胞変性円柱、塩類・結晶円柱、大食細胞円柱、フィブリン円柱、ヘモジデリン円柱、ミオグロビン円柱、Bence Jones蛋白円柱等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の超生体染色液と試料の混合比率を変動させることで、このような上皮細胞及び/又は円柱の希少成分の検出率を向上させることが可能となり得る。
(2.尿沈渣検査方法)
本発明の超生体染色液は、超生体染色を行う任意の尿沈渣検査法において使用され得る。一つの実施形態において、本発明の尿沈渣検査方法は、前述の本発明の超生体染色液により尿検体を染色する工程を包含する尿沈渣検査方法であり得る。ここで、尿沈渣検査方法は、例えば、検査技師が用手で超生体染色を行う尿沈渣検査であってもよいし、超生体染色を自動化で行う尿中有形成分分析装置での尿沈渣検査であってもよい。超生体染色液を用いる尿中有形成分分析装置での尿沈渣検査法としては、フローサイトメーター法による尿沈渣検査であってもよいし、顕微鏡下での尿中有形成分分析をそのまま自動化した画像処理方式の尿中有形成分分析装置での尿沈渣検査であってもよい。尿中夾雑物の染色が抑制されることでバックグラインドノイズが低減し、目的の細胞に焦点が合った撮像が可能となりやすく、尿中有形成分の誤分類の発生を抑制できるという観点から、好ましくは、画像処理方式の尿中有形成分分析装置での尿沈渣検査である。
特定の実施形態において、本発明で行われる尿中有形成分分析装置での尿沈渣検査は、前述の本発明の超生体染色液により尿検体を染色する工程を包含する。この染色工程は、当該分野で公知の任意の方法で行うことができ、例えば、サンプルチューブや反応管等の容器内又は撮像に用いられるスライドガラス(沈査用プレート、検鏡プレート)上に、前述の超生体染色液と尿検体とを所定の割合で添加して混合することにより、尿検体を染色することができる。尿検体は、尿沈渣検査に使用する前に攪拌してから用いることが好ましい。また、尿検体を採取した容器内に、本発明の超生体染色液を添加して混合してもよいし、超生体染色液を予め添加しておいた容器内に尿検体を添加して混合してもよい。
本発明の超生体染色液は、所定の比率で尿検体と混合することにより、上皮細胞及び/又は円柱等の希少成分の検出力が向上することが分かっている。従って、このような希少成分の検出力向上が強く求められる場合は、本発明の超生体染色液と尿検体とは、1:3〜1:9となる比率で混合して染色すること好ましく、1:3〜1:6となる比率で染色することがより好ましい。
一つの実施形態において、本発明で行われる尿中有形成分分析装置での尿沈渣検査は、染色した尿検体を尿中有形成分分析装置において撮像する工程を包含する。撮像工程は、染色した尿検体を顕微鏡下で撮像する手段を備えた尿中有形成分分析装置において実施することができる。例えば、超生体染色液で染色した尿検体中の有形成分を撮像するステージと、尿検体中の有形成分の標本像を拡大する手段と、標本像に焦点を合わせて当該像を撮像する手段と、必要に応じて撮像された画像を処理して各種成分に識別する手段等を備えた尿中有形成分分析装置において実施することが可能である。このような画像処理方式の尿中有形成分分析装置における尿沈渣検査では、上皮細胞や円柱の詳細な分類が機種による差があるものの不十分な場合があることが知られていた(非特許文献1)。本発明によれば、このような上皮細胞や円柱であっても検出力を高めることができるので、画像処理方式の尿中有形成分分析装置での尿沈渣検査に特に有益である。
(3.尿沈渣検査における夾雑物の染色抑制方法)
前述のように、本発明によれば、特定の色素を含有する超生体染色液を使用することにより、尿沈渣検査における夾雑物の染色を高度に抑制することができる。
従って、本発明は更に別の観点から、前述した本発明の尿沈渣検査用の超生体染色液により尿検体を染色する工程を包含する、尿沈渣検査における夾雑物の染色抑制方法を提供する。この方法において使用するアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素の種類や濃度、その他に配合され得る細胞質染色成分等の任意成分の種類や濃度、本発明の超生体染色液と尿検体との混合比率等の使用方法等は、前記「1.尿沈渣検査用の超生体染色液」及び「2.尿沈渣検査方法」における説明と同様である。
(4.尿沈渣検査における希少成分の検出力向上方法)
前述のように、本発明によれば、特定の色素を含有する超生体染色液を使用することにより、そしてさらに当該超生体染色液を特定の混合比率で尿検体と混合することにより、尿沈渣検査における検出が不十分になりやすいことが知られる上皮細胞及び/又は円柱等の希少成分の検出力を向上させることができる。
従って、本発明は更に別の観点から、前述した本発明の尿沈渣検査用の超生体染色液により尿検体を染色する工程を包含する、尿沈渣検査における希少成分の検出力向上方法を提供する。この方法において使用するアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素の種類や濃度、その他に配合され得る細胞質染色成分等の任意成分の種類や濃度、本発明の超生体染色液と尿検体との混合比率等の使用方法等は、前記「1.尿沈渣検査用の超生体染色液」及び「2.尿沈渣検査方法」における説明と同様である。
以下に実施例により本発明の効果を示すが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1)有形成分分析装置に適した染色液の比較
尿を試料として用いて、以下の染色液、装置を用いて有形成分分析装置に適した染色液について検討を行った。なお、染色液と検体は1:4で混合し、測定を実施した。
[染色液の調製]
下記組成からなる染色液を調製した。
(染色液1)
MES−NaOH 100mM pH6.3
メチルブルー 3mmol/L
エオシンイエロー 6mmol/L
比較としてSternheimer 染色液(S染色液)、Sternheimer−Malbin染色液(SM染色液)およびPrescott−Brodie 染色法(PB染色液)、Hansel染色液(H染色液)を用いた。
[測定]
尿中有形成分分析装置USCANNER(登録商標)(E)(東洋紡製)を用いて、上記染色液1およびS染色液、SM染色液、PB染色液、H染色液をそれぞれ用いて、装置の添付文書の測定法に従い、尿試料を測定した。
尿試料の撮像結果を図1〜5に示す。さらに、背景の夾雑物の染色の程度をより明確化するため、それぞれ染色液を用いた場合の2値化画像を図6〜10に示す。図に示す通りS染色液、SM染色液、PB染色液およびH染色液では、背景に出現する夾雑物を染めてしまい、成分の誤認原因となり、装置での正確な分析が困難であったが、染色液1では夾雑物が染色されず、より正確に有形成分の分析ができることを確認した。SM染色液は、95%エタノール中にアニオン性官能基を有さないトリアリールメタン系色素であるクリスタルバイオレットとサフラニンOを混合した染色液であり、H染色液はメタノールとエタノールを含有するリン酸緩衝生理食塩水中にフェノチアジン系色素であるメチレンブルーとエオシンイエローを混合した染色液である。本実施例の結果から、少なくともアニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素(メチルブルー)を含むことが重要であることが分かった。
(実施例2)染色成分の混合比率の検討
染色成分の混合比率を変えた以下の染色液を作製した。実施例1と同様に尿を試料として用いて、USCANNER(登録商標)(E)を用いて測定を実施し、有形成分分析装置に適した染色液染色成分の混合比率の検討を行った。なお、染色液と検体は1:3で混合し、対照として同じ尿試料を目視にて検鏡した。
[染色液の調製]
(染色液2〜8)
PIPES−NaOH 100mM pH6.5
メチルブルー(MB) 以下表1参照
エオシンイエロー(EY) 以下表1参照
Figure 0006874888
尿試料の分析結果を表2に示す。検討した染色液について、染色液2〜6は対照の検鏡結果と同様に良好な分析結果であったが、染色液7、染色液8では正確な成分分析が困難であることを確認した。以上より、メチルブルーに対するエオシンイエローの好ましい混合比率は、モル比率で0.5〜8であることがわかった。
Figure 0006874888
(実施例3)希少成分の分析検討
染色液と検体の混合比率を変え、希少成分の検出が可能か検討を実施した。染色液は以下記載の染色液9を用いて、実施例1と同様に尿を試料として用いて、USCANNER(登録商標)(E)を用いて測定を実施した。対照として染色液:検体=1:4で混合し同じ尿試料を目視にて検鏡した。
[染色液の調製]
下記組成からなる染色液を調製した。
(染色液9)
MES−NaOH 100mM pH6.0
エチレンジアミン四酢酸水素三カリウム 20mmol/L
メチルブルー 2mmol/L
エオシンイエロー 4mmol/L
尿試料の分析結果を表3に示す。検鏡と比較し、染色液:検体の比率を1:9から1:3にするにつれて、より検出できる成分が増えることを確認した。特に上皮細胞(本例では尿細管上皮を確認)、円柱などの希少成分の検出力が向上したことを確認した。また検体の比率が上昇し染色液の比率が下がった場合でも、本発明の染色液を用いることで十分に成分の染色が可能であることがわかった。
Figure 0006874888
本発明により、有形成分分析装置を用いて試料中の有形成分を撮像により分析することにおいて、正確な測定と希少成分のより高度な分析が可能となる。

Claims (22)

  1. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素及び細胞質染色成分を含有する、尿沈渣検査用の超生体染色液であって、アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素に対する細胞質染色成分のモル比が0.5〜8であり、超生体染色液と尿検体とが1:3〜1:9となる比率で混合するように用いられる、尿沈渣検査用の超生体染色液。
  2. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素が水に可溶性の色素である、請求項1に記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  3. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素の分子量が700〜900である、請求項1又は2に記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  4. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素が、メチルブルー、パテントブルーV、パテントブルーA、ネプチューングリーンSBX、アシランブリリアントブルーR、アシッドファーストバイオレットBG、ブリリアントアシッドブルーB、ブリリアントブルーR、ブリリアントブルーFCF、ブリリアントブルーG、ブリリアントディスチャージブルーG、アシッドブルー、アシッドブルー13、アシッドブルー15、アシッドブルー100、アシッドブルー103、アシッドブルー104、及びアシッドブルー269からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  5. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素として、メチルブルー又はブリリアントブルーGを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  6. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素としてメチルブルーを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  7. 細胞質染色成分が、エオシンイエロー、エオシンブルー、ヤヌスグリーン、トリフェニルテトラゾリウムクロライド溶液、ニュートラルレッド、サフラニン、ピロニンB液、ズダンIII、ズダンブラック、オレイルレッド、ラクトフクシン、メチルグリーン、ピロニン、ヨウ化カリウム、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、インジゴカルミン、ニューメチレンブルー、中性赤,及びライトグリーンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  8. 細胞質染色成分として、エオシンイエロー又はエオシンブルーを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  9. 細胞質染色成分としてエオシンイエローを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  10. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素として、メチルブルー又はブリリアントブルーGを含み、且つ、細胞質染色成分として、エオシンイエロー又はエオシンブルーを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  11. アニオン性官能基を有するトリアリールメタン系色素としてメチルブルーを含み、且つ、細胞質染色成分としてエオシンイエローを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  12. 更に、キレート剤を含有する、請求項1〜11のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  13. pH6〜7である、請求項1〜12のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  14. 尿沈渣検査において夾雑物の染色が抑制される、請求項1〜13のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  15. 尿沈渣検査が、画像処理方式の尿中有形成分分析装置での尿沈査検査である、請求項1〜14のいずれかに記載の尿沈渣検査用の超生体染色液。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の超生体染色液により尿検体を染色する工程であって、超生体染色液と尿検体とを1:3〜1:9となる比率で混合して染色する、工程を包含する、尿沈渣検査方法。
  17. 染色した尿検体を尿中有形成分分析装置において撮像する工程を包含する、請求項16に記載の尿沈渣検査方法。
  18. 請求項1〜15のいずれかに記載の超生体染色液により尿検体を染色する工程であって、超生体染色液と尿検体とを1:3〜1:9となる比率で混合して染色する、工程を包含する、尿沈渣検査における夾雑物の染色抑制方法。
  19. 染色した尿検体を尿中有形成分分析装置において撮像する工程を包含する、請求項18に記載の尿沈渣検査における夾雑物の染色抑制方法。
  20. 請求項1〜15のいずれかに記載の超生体染色液により尿検体を染色する工程であって、超生体染色液と尿検体とを1:3〜1:9となる比率で混合して染色する、工程を包含する、尿沈渣検査における希少成分の検出力向上方法。
  21. 希少成分が、上皮細胞及び円柱からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項20に記載の希少成分の検出力向上方法。
  22. 染色した尿検体を尿中有形成分分析装置において撮像する工程を包含する、請求項20又は21のいずれかに記載の尿沈渣検査における希少成分の検出力向上方法。
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