JPH06253893A - 動物細胞数の迅速測定方法及び測定キット - Google Patents

動物細胞数の迅速測定方法及び測定キット

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JPH06253893A
JPH06253893A JP6918793A JP6918793A JPH06253893A JP H06253893 A JPH06253893 A JP H06253893A JP 6918793 A JP6918793 A JP 6918793A JP 6918793 A JP6918793 A JP 6918793A JP H06253893 A JPH06253893 A JP H06253893A
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animal cells
filter
cells
hydrophobic filter
suction
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JP6918793A
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Mikio Sato
幹夫 佐藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 試料中の動物細胞数測定にあたり、動物細胞
を吸引ろ過により疎水性フィルターに捕集して染色し、
又は動物細胞を染色したのち吸引ろ過により疎水性フィ
ルターに捕集し、過剰の色素を洗浄除去し、動物細胞の
着色度から試料中の動物細胞数を測定することを特徴と
する動物細胞数の迅速測定方法、並びに疎水性フィルタ
ー,これを装着しうる吸引ろ過具,色素液,洗浄液及び
色対照表よりなる動物細胞数の測定キット。 【効果】 専門的な技術や知識及び特別な機器を必要と
せず、迅速かつ簡便に試料中の動物細胞数を測定でき
る。具体的には尿検査、モノクローナル抗体製造時のハ
イブリドーマの培養状況の判定などに利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料中の動物細胞数を
迅速、かつ、簡便に測定する方法及びその測定キットに
関し、詳しくは尿検査分野(診断分野)、ハイブリドー
マ培養関連分野(モノクローナル抗体製造関連分野)を
はじめ、広汎な分野において適用が可能な動物細胞数の
迅速測定方法及びその際に用いる測定キットに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、尿検査分野やハイブリドーマ培養関連分野では、炎
症の発見やハイブリドーマの培養状況等を判定するため
に、試料中の白血球数の測定やハイブリドーマ数の測定
が行なわれている。例えば、尿中に白血球(白血球の1
種である好中球が主)が多数存在する場合には膿尿と診
断され、尿路に炎症があることが暗示されるが、このよ
うな場合、従来は尿中の白血球数の測定は、尿沈渣(定
量法)又はエステラーゼ活性測定法(定性法)により行
なわれている。尿沈渣法(「尿検査の見方・考え方」、
伊藤 等著、医歯薬出版、1986年4月20日発行)
では、尿を遠心分離器にかけ、通常は、尿を例えば約1
500回転で5分間程度遠心分離器にかけ、濃縮してか
ら、染色液を添加した後、400倍程度の顕微鏡下で細
胞数を測定している。
【0003】この方法は、白血球のみならず他の各種細
胞の観察が可能であり、また膿尿以外の診断にも役立つ
という利点を有するものの、操作が煩雑であり、しかも
顕微鏡観察には熟練した技術と経験に基づく高度の知識
や設備が必要であるという問題があった。また、この方
法は、遠心分離器と顕微鏡がない場所では測定すること
が出来ないなどの問題があった。さらに、この方法は、
設備の整った大病院でのみ実施が可能であり、我が国で
大多数を占める小規模な病院或いは診療所では実際上実
施することが困難であった。しかも判定に20分前後の
時間が必要であった。
【0004】一方、エステラーゼ活性測定法「尿検査マ
ニュアル」、医歯薬出版、1991年発行)は、尿中に
濾紙を浸漬して取り出し、2分後に比色表と比較するも
のである。このエステラーゼ活性測定法は簡便な方法で
あるが、尿の比重が高かったり、或いはブドウ糖,アル
ブミン,食塩,シュウ酸等が所定濃度以上の場合、さら
にはpHが9以上の場合には測定不能であり、全ての尿
に適用できないなどの問題点がある。すなわち、このエ
ステラーゼ活性測定法は尿の比重が1.035以上の場
合や、ブドウ糖の濃度が3g/dl以上の場合、アルブ
ミンの濃度が5g/dl以上の場合、食塩の濃度が8g
/dl以上の場合などには、反応が阻害されるという問
題がある。さらに、ハイブリドーマの培養状況の測定も
顕微鏡下で、その数を計数することにより行なわれてお
り、同様に特殊な技能が必要であるばかりでなく、顕微
鏡がない場所では測定できない等の問題点があった。
【0005】本発明は、このような従来の欠点を解消
し、特別な設備や専門的な知識を必要とせず、しかも迅
速(30秒以内に)、かつ、簡便に、試料中の動物細胞
数を測定する方法及びその測定キットを提供することを
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、試料
中の動物細胞数を測定するにあたり、動物細胞を吸引ろ
過により疎水性フィルターに捕集して染色し、又は動物
細胞を染色したのち吸引ろ過により疎水性フィルターに
捕集し、次いで過剰の色素を洗浄により除去し、動物細
胞の着色度から試料中の動物細胞数を測定することを特
徴とする動物細胞数の迅速測定方法を提供するものであ
る。
【0007】このような本発明の方法は、疎水性フィル
ター,前記フィルターを装着しうる吸引ろ過具,色素
液,洗浄液及び色対照表よりなる動物細胞数の測定キッ
トを用いることにより、容易に実施することができる。
【0008】本発明を適用することができる試料は、そ
の中に動物細胞を含んでいるものであれば特に制限はな
く、例えば動物の体液(血液,リンパ液など),排泄物
(尿など)等を典型的なものとして挙げることができ
る。また、本発明の対象とする動物細胞は特に制限はな
い。例えば、尿中の白血球や血液中の白血球,赤血球,
酵母,カビ等が対象とされる。さらに、細胞融合によっ
て形成される、培養液中のハイブリドーマなども、本発
明の対象とすることができる。なお、対象とする動物細
胞の大きさに合わせて疎水性フィルターの孔径を選択す
ればよいので、これらの動物細胞の大きさは特に限定は
ないが、本発明は、特に直径が5〜15μm程度の細胞
の判定に有効に用いることができる。
【0009】本発明では、まず試料中の動物細胞を吸引
ろ過により疎水性フィルターに捕集したのちに染色する
か、或いは動物細胞を染色したのちに吸引ろ過により疎
水性フィルターに捕集する。すなわち、動物細胞の染色
の前後のいずれかの時期に、疎水性フィルターで捕集を
行なう。操作工程の簡便さから、吸引ろ過条件下で連続
的に、動物細胞の捕集,染色,洗浄の一連の操作ができ
る手法、すなわち疎水性フィルターに捕集後、染色する
手法が好ましい。ここで動物細胞の染色は各種色素を用
い、これを色素液とし、この色素液を、疎水性フィルタ
ーで動物細胞を捕集する前、或いは捕集した後の試料に
添加することにより行なう。染色に用いる色素として
は、動物細胞の染色に使用可能な色素であればよく、例
えばフクシン,サフラニン,クリスタルバイオレット,
ビクトリアブルーなどが挙げられ、特に過剰の色素の除
去のし易さの点より、フクシン,サフラニンが好まし
い。
【0010】上記色素は、水溶液(色素液)として使用
される。色素液とする際、必要に応じて、防腐剤、界面
活性剤等を添加することもできる。色素液の濃度は、通
常、0.0005〜2.0 %、好ましくは 0.002〜1%とする。
ここで色素液の濃度が、0.0005%未満であると着色が不
充分となり、一方、色素液の濃度が2.0 %を超えると過
剰の色素の除去が困難となるため、いずれも好ましくな
い。なお、必要に応じて、上記の色素液に防腐剤として
エタノールを添加する場合には1〜20%添加すればよ
く、また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤
を0.0001〜1%の割合で添加すればよい。上記色素液の
調製にあたっては、予め所定濃度の色素液を作製してお
き、これを後述する如き洗浄液を用いて希釈して、所望
する濃度のものとしてもよい。また、試料液量当たりの
色素液量比は0.2以上、好ましくは1以上とする。こ
こで試料液量当たりの色素液量比が0.2未満である
と、着色が不充分となってしまい好ましくない。
【0011】次に、本発明で用いる疎水性フィルターと
しては、例えばナイロン系、ポリテトラフルオロエチレ
ン(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素系、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン系などの疎水性フィルターが
挙げられる。これらのフィルターの中でも特にポリテト
ラフルオロエチレンやポリプロピレンを材料とする疎水
性フィルターが、過剰の色素の除去が容易であるため好
ましい。また、親水性の材料、例えばニトロセルロース
系フィルターを表面処理により疎水性にすれば、疎水性
フィルターとして使用することができる。ここで表面処
理としてはコーティングなどであり、コーティングに用
いる材料として、前記ナイロン系,フッ素系,ポリオレ
フィン系の材料などを用いることができる。この疎水性
フィルターのろ過孔径は、対象とする動物細胞の種類に
応じて適宜選定すればよく、例えば尿中の白血球(5〜
15μm程度)を前記疎水性材料で捕集する場合には、
3〜7μmのろ過孔径のものを用いることが好ましい。
また、白血球以外の動物細胞(30〜40μm)が多量
に共存した場合には、30μm前後のろ過孔径の疎水性
フィルターで前処理すればよい。また、上記2枚のフィ
ルターを重ねて使用することにより、前処理操作を省略
し、最後の判定の段階で、孔径30μm前後のフィルタ
ーを取り外して測定してもよく、或いは洗浄前に取り外
して洗浄してもよい。特に白血球以外の動物細胞が多量
に存在する場合には後者の方が好ましい。この疎水性フ
ィルターの吸引ろ過面積(着色面積)の大きさは、見や
すければ特に制限はない。吸引ろ過される部分の形は特
に問わないが、見やすさの点で円形が望ましく、その口
径(直径)が2〜6mm程度の円形のものが好ましい。疎
水性フィルター全体の大きさは特に制限はない。疎水性
フィルター全体の形状は見やすさの点で円形が好まし
く、その口径(直径)は10〜15mm程度のものが好
ましい。
【0012】この疎水性フィルターの色としては、用い
る色素を考慮し、判定容易な色を定めればよい。着色の
程度を容易に判定するためには、白色の疎水性フィルタ
ーが好ましい。また、透明,半透明の疎水性フィルター
も用いることができ、白色用紙の上に疎水性フィルター
を載せて判定すると、判定が容易となる。
【0013】上記の如き疎水性フィルターを用いて試料
中の動物細胞を捕集するが、本発明においては試料中の
動物細胞の捕集を吸引ろ過により行なう。通常は、疎水
性フィルターを所定の吸引ろ過具に装着し、この吸引ろ
過具に、事前に染色された試料或いは染色前の試料を入
れ、吸引ろ過することにより、動物細胞を捕集する。染
色前の試料を入れた場合には、ろ過の後に染色するが、
疎水性フィルターに捕集後、染色する方が、吸引条件下
で連続的に一連の操作が行なえるので好ましいことは、
前述した通りである。ここで吸引ろ過具は、通常は、疎
水性フィルターを装着して主にろ過を受け持つろ過具
と、主に吸引を受け持つ吸引具とからなるものであり、
例えば疎水性フィルターを装着しうるロート型ろ過器な
どと、吸引ポンプとを組合せたものを用いることができ
る。より具体的には例えば、上記したようなロート型ろ
過器などのろ過具に疎水性フィルターを装着し、このろ
過具の下部に、吸引ポンプなどの吸引具を配置し、試料
を吸引ろ過すればよい。ここで吸引ろ過方法は、加圧ろ
過方法に比べ、吸引しながら一連の操作で、捕集、染
色、洗浄ができ、加圧ろ過方法のようなフィルターの差
換えなどの操作がない点でより好ましい。
【0014】図1,図2に、本発明におけるろ過具の例
を示す。図1は、ろ過具の一態様、すなわちロート型ろ
過器を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面
図、(c)は前記正面図における一部拡大断面図であ
る。また、図2は、ろ過具の他の態様を示すものであ
り、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は中央部
縦断面図である。図中、符号1がろ過具である。図1に
おいては、疎水性フィルター等も併せて示した。すなわ
ち、符号2はポリエチレンシートであり、符号3は疎水
性フィルターであり、符号4はプレフィルターである。
なお、符号5はポリエチレンシート2に開けられた穴で
ある。また、図2において、符号6はフィルター支持部
材であり、この上に疎水性フィルターが載せられる。
【0015】このようにして染色され、かつ、疎水性フ
ィルターに捕集された試料から、過剰の色素を洗浄によ
り除去する。ここで用いる洗浄液としては、水,各種緩
衝液(pH6〜8程度のもの)を使用することができ
る。さらに、必要に応じて各種界面活性剤を添加したも
のを用いてもよい。界面活性剤は、0.0001〜1.0 %の割
合で添加すればよい。
【0016】洗浄液の使用量は、疎水性フィルターの吸
引ろ過面積(動物細胞捕集面積、すなわち着色面積)に
依存するが、例えば疎水性フィルターの動物細胞捕集面
積の口径が3mmであれば、50〜500μ1(マイクロ
リットル)、好ましくは200〜300μ1とする。こ
の場合、洗浄液の使用量が50μ1未満であると洗浄が
不充分であり、一方、洗浄液の使用量が500μ1を超
えると細胞から色素が漏出する可能性がある。洗浄液の
使用量は、色の対照表や検量線を作成する際の使用量
と、細胞数未知試料を洗浄する使用量とを等量にするこ
とが、誤差を抑える意味で好ましい。過剰の色素の除去
は、具体的には、例えば前記の如く染色されて疎水性フ
ィルターに捕集された試料が入れられた吸引ろ過具に、
上記の如き洗浄液をとり、吸引ろ過によって、除去する
ことにより行なえばよい。このように、本発明において
は、疎水性フィルターへの捕集と過剰の色素の洗浄除去
は、吸引条件下で行なう。さらに、疎水性フィルターへ
の捕集後に染色を行なう場合には、この染色も吸引条件
下で行なうことができる。したがって、操作の連続性、
すなわち吸引ろ過条件下に全ての操作を行なえるという
観点からは、動物細胞を吸引ろ過により疎水性フィルタ
ーに捕集した後に染色し、次いで過剰の色素を吸引ろ過
により洗浄除去する方法がより好ましい。
【0017】このようにして過剰の色素が除去された試
料中の細胞の着色度から、試料中の動物細胞数を測定す
る。この動物細胞数の測定は、(1)色の対照表を用い
て、目視により比較するのが一番簡便であるが、(2)
光学密度(O.D.)測定による比色定量法により行な
うこともできる。目視判定の場合には、疎水性フィルタ
ーの表(おもて)面のみならず、裏面の着色度より、測
定することもできる。これらの場合には、それぞれ用の
色対照表を作成すればよい。
【0018】上記(1)の目視による細胞数の測定は、
具体的には、疎水性フィルター上に存在する動物細胞の
着色度、すなわち色の強度を、既知量の動物細胞数の試
料を用いて予め作成しておいた色の対照表と比較するこ
とにより行なえばよい。色の対照表は、動物細胞数が既
知の試料を用い、本発明の方法で染色,洗浄した疎水性
フィルターをカラー写真に撮ることにより、又は、この
染色された疎水性フィルターと同程度にろ紙等を着色し
たり、或いは同程度の色を紙に印刷することにより、作
成することができる。例えば、尿中の白血球を測定する
場合には、次のようにして色の対照表を作成する。すな
わち、白血球は健常人の尿中にも低濃度〔1ml(ミリ
リットル)当り数千個〕存在する。1ml当り1万個以
上は陽性と判断され、膿尿と診断され、多い場合には1
ml当り10万個以上にもなる。従って、通常、簡易な
測定の場合には、1千個/ml,1万個/ml,10万
個/mlの3点の場合の標準色対照表を作成すればよ
い。
【0019】このように色の対照表を用いる場合には、
これに前記した疎水性フィルター,該フィルターを装着
しうる吸引ろ過具,色素液,洗浄液、必要に応じてさら
に試料採取ピペットを組み合わせて、試料中の動物細胞
数を迅速、かつ、簡便に測定しうる測定キットとするこ
とができる。なお、吸引ろ過具は疎水性フィルターと組
み合わせて吸引ろ過できるものであればよく、特に制限
はない。また、その材質は、ガラス製,プラスチック製
のいずれも使用することができる。さらに、その容量
は、使用する洗浄液等の液量に応じて選択すればよい。
また、疎水性フィルターと、この吸引ろ過具とを一体化
することもできる。
【0020】また、上記(2)の光学密度(O.D.)
測定による比色定量は、疎水性フィルター上に存在する
動物細胞を着色した色素を、有機溶剤を用いて溶出さ
せ、溶出液の着色度を吸光度により測定し、予め作成し
た光学密度(O.D.)と動物細胞数との検量線に当て
はめて定量すればよい。吸光度測定時の波長は、用いる
色素により、適宜定めればよい。ここで有機溶剤として
は、各種アルコール類を使用することができるが、特に
エタノールが好ましい。
【0021】なお、検量線の作成は、例えば次のように
して行なえばよい。即ち、色素としてフクシンを用いた
場合には、各種の濃度に希釈した試料の着色度を、マイ
クロプレートリーダーを用いて、着色度を492nmの
光学密度(O.D.)により測定しておき、一方、各種
の濃度に希釈した試料と同一試料の試料溶液中の動物細
胞数、例えば白血球数を、血球計数板法(「組織培養の
技術」、第2版、25頁、朝倉書店、1988年)によ
り算出しておき、両者の結果から動物細胞数と光学密度
の検量線を作成すればよい。
【0022】叙上のように、本発明の方法は簡単なもの
であるので、測定を自動化することも容易である。具体
的には例えば、放射性同位元素で標識した細胞をろ紙に
集めるセルハーベスターを使用することができ、放射性
同位元素で標識する代わりに色素で染色すること以外
は、ほぼ同様な操作でろ紙に着色された細胞を集めるこ
とができる。96穴フラスコを使用すれば1度に96個
の検体の処理も可能である。また、光学密度で測定する
場合も自動化は可能である。すなわち、マイクロプレー
トリーダー等で光学密度の測定,記録を自動化すれば、
個人差による誤差が少なくなり、管理にも便利である。
さらに、多数のサンプルについて測定しようとする場合
には、従来あるドットブロッターを用い、親水性フィル
ターを疎水性フィルターに変えることにより、測定が可
能となる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1 (1)色の対照表の作成 健常人(男子、53才)の尿(300ml)を、ポリエ
チレン製フィルター(孔径30μm)でろ過したのち、
遠心分離(1500回転、5分間)を行なって白血球を
集め、0.5mlのPBS緩衝液(pH7)に懸濁し
て、以下使用した。白血球は、前記「組織培養の技術」
記載の血球計数板法により算出した。一方、健常人の尿
を採取し、ろ過孔径が3μmのポリテトラフルオロエチ
レン製フィルター(アドバンテック東洋製)でろ過し、
ろ液を白血球希釈用溶液とした。この白血球希釈用溶液
と前記白血球とを用いて、白血球数が1千個/ml、
1万個/ml、10万個/mlの濃度となるよう
に、3種の標準試料を調製した。
【0024】図1に示す如きろ過具とフィルターとを用
いて、白血球の捕集と染色操作を行なった。すなわち、
ロート型ガラス製ろ過器(FNL 51G1)(全長1
00mm、最大径50mm)(ろ過具1)に、直径3m
mの円形の穴5を開けた、直径20mmの円形のポリエ
チレン製の膜(ポリエチレンシート2)を張り、その上
に直径13mmのポリプロピレン製フィルター(ろ過孔
径7μm)(疎水性フィルター3)を前記穴5を塞ぐよ
うに置き、吸引ポンプにより吸引瓶(共に図示していな
い)を介して吸引しながら、疎水性フィルター3へ捕集
し、そして染色操作を行なった。すなわち、上記の如く
して調製された標準試料100μlを上記疎水性フィル
ター3に滴下し、吸引ろ過して上記疎水性フィルター3
に捕集した後、さらにフクシン染色液(濃度 0.01 % ,
W/V ) 100μlを滴下し、吸引ろ過して疎水性フィル
ター3に捕集された標準試料を染色した。次いで、これ
に洗浄液(0.05 %ツイーン20添加PBS緩衝液,pH
7.0)200 μl を滴下して過剰色素を除去した。操作
は全て吸引条件下で行なった。この疎水性フィルター3
上に存在する白血球の着色度( 直径3mmの円の着色度)
を目視により観察した結果、次の通りであった。なお、
尿の代わりに滅菌水を希釈剤として用いた場合も同様の
結果であった。 標準試料 着色の程度 極めて弱い(淡いピンク色) 弱い(薄い赤色) 強い(濃い赤色) 無添加 着色なし これらのフィルターを、標準サンプルとしてカラー写真
にとり、色の対照表とした。
【0025】(2)白血球数の判定 膿尿患者(男性40才),健常人(男性53才)及び健
常人(女性22才)の放出尿を試料として測定した。ま
ず、各試料について、白血球以外の大型の細胞を除去す
るために、直径13mmのポリプロピレン製のプレフィ
ルター4(ろ過孔径30μm)を、細胞捕集用のポリプ
ロピレン製フィルター(ろ過孔径7μm)(疎水性フィ
ルター3)の上に重ねて、上記色対照表の作成時と同様
の操作を行なった。次いで、プレフィルター4を取り外
して除き、疎水性フィルター3上に存在する白血球の着
色度を、目視により観察し、上記(1)で作成した色の
対照表と比較して目視による判定を行なった。血球計数
板法により測定した白血球数と共に、結果を第1表に示
す。なお、健常人の白血球数は少ないため、遠心分離法
(1500rpm,5分間)により100倍に濃縮した
後、顕微鏡下で計数した。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 細胞融合に使用されるマウス親株(SP2/0)のフラ
スコ培養液(GIT培地で3日間培養したもの)をPB
S緩衝液(pH7)で1/10に希釈した。この希釈液
について、プレフィルター4を使用しないこと以外は実
施例1と同様の操作を行ない、色対照表と比較して、目
視による判定を行なった結果、細胞数は10万個/ml
であった。なお、比較のために血球計数板法で求めた細
胞数は、220000個/mlであった。
【0028】
【発明の作用・効果】本発明の方法によれば、専門的な
技術や知識を必要とせず、しかも、迅速、かつ、簡便に
試料中の動物細胞数(例えば、尿中の白血球数)を測定
することができる。本発明の方法によれば、通常、30
秒以内に判定可能である。また、本発明の方法において
は、特別な機器を必要としないので、小規模な病院或い
は診療所でも測定することができる。さらに、本発明の
方法は、疎水性フィルターのろ過孔径を選択することに
より、全ての動物細胞に適用できるので、応用範囲も極
めて広い。また、本発明の測定キットは、極めて簡単、
かつ、安価なものであって、特別な機器を必要としない
ので、どのような現場においても使用することができる
という利点がある。したがって、本発明は、尿検査分野
(診断分野)をはじめ、各種治療に利用されるモノクロ
ーナル抗体を製造するのに有効なハイブリドーマの培養
状況の判定などに、広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ろ過具の一態様を示すものであり、
(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は前記正面図
における一部拡大断面図である。
【図2】図2は、ろ過具の他の態様を示すものであり、
(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は中央部縦断
面図である。
【符号の説明】
符号1はろ過具、符号2はポリエチレンシート、符号3
は疎水性フィルター、符号4はプレフィルター、符号5
はポリエチレンシート2に開けられた穴、符号6はフィ
ルター支持部材である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の動物細胞数を測定するにあた
    り、動物細胞を吸引ろ過により疎水性フィルターに捕集
    して染色し、又は動物細胞を染色したのち吸引ろ過によ
    り疎水性フィルターに捕集し、次いで過剰の色素を洗浄
    により除去し、動物細胞の着色度から試料中の動物細胞
    数を測定することを特徴とする動物細胞数の迅速測定方
    法。
  2. 【請求項2】 動物細胞に着色した色素を溶剤で溶出
    し、溶出液の着色度を比色定量する請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 試料が尿であり、動物細胞が白血球であ
    る請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 疎水性フィルター,前記疎水性フィルタ
    ーを装着しうる吸引ろ過具,色素液,洗浄液及び色対照
    表よりなる動物細胞数の測定キット。
  5. 【請求項5】 疎水性フィルターを装着しうる吸引ろ過
    具が、ろ過具と吸引具とからなるものである請求項4記
    載の測定キット。
JP6918793A 1993-03-05 1993-03-05 動物細胞数の迅速測定方法及び測定キット Withdrawn JPH06253893A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012509489A (ja) * 2008-11-18 2012-04-19 ナイト サイエンティフィック リミテッド 初尿採取器
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