以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。ただし、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<第1実施形態>
図1〜図12を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。
<A:電子時計の概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る電子時計を含むGPSの全体図である。まず、電子時計が、外部信号としての電波を用いて、現在地の位置情報と、時刻情報とを求めるGPSの概要を説明する。
電子時計10は、GPS衛星8からの電波(衛星信号)を受信して内部時刻を修正する腕時計であり、腕と接触する側の面(以下、裏面)の反対側の面(以下、表面という)に時刻を表示する。GPS衛星8は、地球の上空において、所定の軌道上を周回する航法衛星であり、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。以降の説明では、航法メッセージが重畳された1.57542GHzの電波を衛星信号という。衛星信号は、右旋偏波の円偏波である。
GPS衛星8は、約30個が存在する(図1においては、4個のみを図示)。衛星信号がどのGPS衛星8から送信されたかを識別するために、各GPS衛星8はC/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1、または−1のいずれかであり、ランダムパターンのように見える。したがって、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星8は原子時計を搭載しており、衛星信号は原子時計で計時されたGPS時刻情報が含まれている。電子時計10は、1つのGPS衛星8から送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報を使用して得られた時刻(時刻情報)を内部時刻とする。
衛星信号にはGPS衛星8の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。電子時計10は、GPS時刻情報と軌道情報とを使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、電子時計10の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、電子時計10の三次元の位置を特定するためのx,y,zパラメーターに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、電子時計10は、一般的には4つ以上のGPS衛星8からそれぞれ送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行い、現在地の位置情報を求める。
次に、電子時計10の概略構成について説明する。図2は、電子時計の外観を示す斜視図であり、図3は、電子時計の外観を示す6面図である。図4は、電子時計の概略を示す断面図である。
なお、図3(a)は電子時計を表面側から見た平面図である。図3(b)は3時方向から9時方向を見た側面図である。図3(c)は12時方向から6時方向を見た側面図である。図3(d)は9時方向から3時方向を見た側面図である、図3(e)は6時方向から12時方向を見た側面図である。図3(f)は裏面側からみた平面図である。また、本実施形態の電子時計は、ワールドタイム機能とクロノグラフ機能を備えている。
図2および図3に示すように、電子時計10は、外装ケース30と、カバーガラス33と、裏蓋34とを備えている。外装ケース30は、金属で形成されていた円筒状のケース31に、セラミックで形成されたベゼル32が嵌合されて構成されている。ベゼル32の内周側に、樹脂で形成されたリング状のダイヤルリング40が配置され、円盤状の文字板11が時刻表示部分として配置されている。
文字板11には、指針21,22,23が備えられている。また、文字板11には、中心より、2時方向に円形の第1小窓70と指針71とが、10時方向に円形の第2小窓80と指針81とが、6時方向に円形の第3小窓90と指針91とが、4時方向に矩形のカレンダー小窓15とが、設けられている。文字板11、指針21,22,23、第1小窓70、第2小窓80、第3小窓90およびカレンダー小窓15などは、カバーガラス33を透かして、視認可能となっている。
外装ケース30の側面には、文字板11の中心により、8時方向の位置にAボタン61と、10時方向の位置にBボタン62と、2時方向の位置にCボタン63と、4時方向の位置にDボタン64と、3時方向の位置にリュウズ50とが、設けられている。これらのAボタン61、Bボタン62、Cボタン63、Dボタン64およびリュウズ50が操作されることにより、操作に応じた操作信号が出力される。
図4に示すように、電子時計10は、金属製の外装ケース30の2つの開口のうち、表面側の開口は、ベゼル32を介してカバーガラス33で塞がれており、裏面側の開口は金属で形成された裏蓋34で塞がれている。
外装ケース30の内側には、ベゼル32の内周に取り付けられているダイヤルリング40と、光透過性の文字板11と、文字板11を貫通した指針軸25と、指針軸25を中心に周回する指針21,22,23と、太陽電池135と、アンテナ体110と、文字板受けリング126と、地板125と、日車130と、日車押さえ131と、指針21,22,23を駆動する駆動機構140などとが備えられている(収容されている)。
指針軸25は、外装ケース30の平面視における中心を通り、表裏方向に延在する中心軸に沿って設けられている。
ダイヤルリング40は、外周端が、ベゼル32の内周面に接触しているとともに、一面がカバーガラス33と平行な平板部分と、内周端が文字板11に接触するように、文字板11側へ傾斜した傾斜部分を備えている。ダイヤルリング40は、平面視においてはリング形状となっており、断面視においてはすり鉢形状となっている。
文字板11は、外装ケース30の内側で時刻を表示する円形の板材であり、樹脂などの光透過性の材料で形成され、カバーガラス33との間に指針21,22,23などを備え、ダイヤルリング40の下側に配置されている。
文字板11は、外光が入射する一方の面11aと外光が射出する他方の面11bを備える。文字板11に対して垂直な方向(指針軸25の軸方向に対して平行な方向)から電子時計10を構成する部材を見ることを、平面視と称する。文字板11に対して垂直な方向を、厚さ方向とも称する。文字板11に対して平行な方向(指針軸25の軸方向に対して垂直な方向、厚さ方向に対して垂直な方向)から、電子時計10を構成する部材の断面を見ることを、断面視と称する。文字板11に対して裏蓋34側を、厚さ方向の下方とし、裏蓋34に対して文字板11側を、厚さ方向の上方とする。図4に、厚さ方向をz方向(上方が正側)としたxyz直交座標系を示す。
文字板11に対して外光が射出する方向に(文字板11に対して下方に)、太陽電池(光電池)135が備えられている。太陽電池135は、文字板11と地板125との間に配置されている。太陽電池135は、文字板11から射出した光が入射し当該光の光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する光発電を行うソーラーセル(光発電素子)を有する。また、太陽電池135は、太陽光の検出機能も有している。
文字板11に対して外光が射出する方向に(文字板11に対して下方に)、電波を受信するアンテナ体110が備えられている。アンテナ体110は、太陽電池135に対して下方に配置されている。アンテナ体110としては、例えばパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナとも呼ばれる)が用いられる。
詳細は後述するように、太陽電池135のソーラーセルが、平面視でアンテナ体110と重なりを有すると、アンテナ体110が受信すべき電波がシールドされる。このようなシールドを抑制するために、太陽電池135は、切欠き部135gを有する。アンテナ体110は、切欠き部135gに対し下方に配置されて、平面視において太陽電池135と(少なくともソーラーセルと)と重ならない部分を有して配置されている。
文字板11が光透過性であるため、太陽電池135の切欠き部135gは、文字板11を介して視認されやすい。そこで、電子時計10は、切欠き部135gを充填することで切欠き部135gを目立ちにくくするカバー部材200を備える。カバー部材200は、切欠き部135gを充填する部分である主カバー部210(第1の部分)を有する。
主カバー部210は、文字板11とアンテナ体110との間に配置されており、平面視において、アンテナ体110と重なりを有し、断面視において、主カバー部210が厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有するように、配置されている。主カバー部210は、切欠き部135gが目立ちにくくなるように、適宜着色されていてよい。主カバー部210は、上述のようなシールドを抑制するために、樹脂等の、金属元素を含有しない材料で形成されていることが好ましい。アンテナ体110は、主カバー部210に対して下方に配置されている。
文字板11に対して外光が射出する方向に(文字板11に対して下方に)、文字板11を保持する文字板受けリング126(第1の保持部材)が備えられている。文字板受けリング126は、樹脂で形成されている。文字板受けリング126は、外装ケース30の(ケース31の)内周面30aに沿って配置され、平面視において外装ケース30の内側に張り出した張り出し部126g(第1の張り出し部)を有する。
張り出し部126gは、太陽電池135の切欠き部135gを充填するように張り出し、平面視においてアンテナ体110と重なりを有するように設けられ、カバー部材200の主カバー部210として機能する。張り出し部126gは樹脂で形成されているため、張り出し部126gがアンテナ体110と重なりを有しても、上述のようなシールドは問題とならない。文字板受けリング126は、主カバー部210として機能する張り出し部126gを有することで、カバー部材200としても用いられる。
地板125上に、日車130と、日車130を保持する日車押さえ131(第2の保持部材)とが備えられている。日車130および日車押さえ131は、樹脂で形成されている。日車130および日車押さえ131は、太陽電池135、および、文字板受けリング126の張り出し部126gと、地板125との間に配置されている。
文字板11、太陽電池135、日車押さえ131および地板125には、指針軸25と、第1小窓70の指針71、第2小窓80の指針81および第3小窓90の指針91の指針軸(図示せず)とが貫通する孔が形成されている。文字板11および太陽電池135には、カレンダー小窓15の開口部が形成されている。
地板125は、樹脂で形成されており、駆動機構140の取り付け部を有している。アンテナ体110は、厚い方が(体積が大きい方が)受信性能が向上する。このため、本例では、地板125に切欠き部125gを設け、アンテナ体110が厚さ方向に配置されている範囲を、地板125が厚さ方向に配置されている範囲と重ならせることで(すなわち、アンテナ体110を地板125と同じ高さまで配置することで)、アンテナ体110の厚みを確保している。
駆動機構140は、地板125に取り付けられ、回路基板120で裏面側から覆われている。駆動機構140は、ステップモーターと歯車などの輪列とを有し、当該ステップモーターが当該輪列を介して指針軸25を回転させることにより、指針21,22,23が駆動する。また、図2、図3に示す第1小窓70の指針71、第2小窓80の指針81および第3小窓90の指針91も同様の駆動機構(図示せず)を有し、各指針71,81,91が駆動する。
回路基板120は、受信部(GPSモジュール)122、制御部150およびアンテナ体110を備えている。回路基板120は、太陽電池135が発電した電力で充電されるリチウムイオン電池などの二次電池(図示せず)に接続されている。回路基板120の下方には、回路押え123が設けられている。
<B:電子時計の表示機能>
次に、電子時計10の表示機能について説明する。図5は、電子時計の外観を示す概略平面図である。
図5に示すように、文字板11の最外周には、外周を6分割から60分割する目盛と、さらに、その目盛を5分割にする1/5目盛とが、表記されている。この目盛を用いて、指針21はクロノグラフ機能の「秒」を表示し、指針22は内部時計の「分」を表示し、指針23は内部時計の「時」を表示する。なお、クロノグラフ機能は、Cボタン63と、Dボタン64との操作で、使用することができる。
文字板11に設けられている、円形の第1小窓70の外周には、外周を60分割にする目盛と、「10」から「60」までの10刻みの数字が表記されている。指針71は、この目盛を用いてクロノグラフ機能の「分」を表示する。
文字板11に設けられている円形の第2小窓80の外周には、外周を60分割にする目盛と、「0」から「11」までの数字が表記されている。指針81は、この目盛を用いて内部時計の「秒」を表示する。
第2小窓80の52秒の位置にアルファベットの「Y」と、38秒の位置にアルファベットの「N」の英字が表記されている。この英字は、衛星信号の受信結果(Y:受信成功、N:受信失敗)と、衛星信号の自動受信(Y:自動受信ON、N:自動受信OFF)の設定とを表す。使用者がBボタン62を操作することにより、指針81が「Y」または「N」のいずれか一方を指示し、衛星信号の受信結果を表示する。また、使用者がAボタン61とBボタン62とを操作して、指針81を「Y」または「N」に合わせることで、衛星信号の自動受信のON/OFFを設定することができる。また、使用者がBボタン62を操作して、電子時計10に衛星信号を手動受信させた時、指針71は、衛星の捕捉数量を表示する。
なお、本実施形態では、52秒の位置に「Y」の表記が、38秒の位置に「N」の表記が、設けられているが、これに限定されるものではない。「Y」と「N」との表記は、受信結果表示を含む小窓が設けられる位置に応じて、視認しやすい位置に設けることが好ましい。
文字板11に設けられている円形の第3小窓90の外周について説明する。以下の外周の範囲の説明において、「n時方向」(nは任意の自然数)とあるが、これは第3小窓90の中央から円形の外周をみたときの方向である。
第3小窓90の12時方向から6時方向までの範囲の外周には、この範囲を6分割する目盛と「0」から「5」までの数字が表記されている。指針91は、この目盛を用いて、クロノグラフ機能の「時」を表示する。なお、クロノグラフ機能では、指針21,71,91を使用して5時間59分59秒までの計時が可能となっている。
第3小窓90の6時方向から7時方向の範囲の外周には、「DST」の英字と「○」の記号が表記されている。DST(daylight saving time)は夏時間を意味する。これらの英字と記号とは、夏時間(DST:夏時間ON、○:夏時間OFF)の設定を表す。使用者がリュウズ50とBボタン62を操作して、指針91を「DST」または「○」に合わせることで、電子時計10に夏時間のON/OFFを設定することができる。
第3小窓90の7時方向から9時方向までの範囲の外周には、円周に沿って、9時方向の基端が太く、7時方向の先端が細い三日月鎌状の記号92が表記されている。この記号92はパワーインジケーターであり、電池の残量に応じて、指針91が基端、先端、中間のいずれかを指し示す。
第3小窓90の9時方向から10時方向までの範囲の外周には、飛行機形状の記号93が表記されている。この記号は、機内モードを表す。航空機の離着陸時は、航空法によって衛星信号の受信が禁止されている。使用者はAボタン61を操作し、指針91で記号93(機内モード)を選択することで、電子時計10の衛星信号の受信を停止させることができる。
第3小窓90の10時方向から12時方向までの範囲の外周には、「1」の数字と「4+」の記号が表記されている。これらの数字と記号は、衛星信号の受信モードを表す。「1」はGPS時刻情報を受信し内部時刻が修正されたことを、「4+」はGPS時刻情報と軌道情報とを受信し、内部時刻と後述するタイムゾーンとが修正されたことを意味する。使用者がBボタン62を操作することで、指針91が「1」または「4+」のいずれかを指示し、電子時計10が直前に受信した衛星信号の受信モードを表示する。
カレンダー小窓15は、文字板11を矩形状に開口した開口部に設けられており、開口部から数字が視認可能となっている。この数字は、年月日の「日」を表す。
ここで、協定世界時(UTC)と、時差と、標準時と、タイムゾーン(Time zone)との関係を説明する。
タイムゾーンとは、共通の標準時を使用する地域のことであり、現在、40種類のタイムゾーンが存在している。各タイムゾーンは、標準時とUTCとの時差で区別され、例えば、日本は、UTCより9時間進んだ標準時を使用する、+9時間のタイムゾーンに属している。各タイムゾーンで使用されている標準時は、UTCと、UTCとの時差とで求めることができる。
上述したように、文字板11には、60分割された分および秒を表示する目盛が刻まれ、文字板11の外周部を囲むダイヤルリング40には、この目盛に沿って、UTCとの時差を表す時差情報45が数字と、数字以外の記号と、で表記されている。数字の時差情報45は整数の時差であり、記号の時差情報45は整数以外の時差であることを表している指針22,23,81で表示されて内部時刻と、UTCとの時差は、リュウズ50の操作により指針21の指し示す時差情報45で確認することができる。
電子時計10は、文字板11に設けられている60分割された目盛の一目盛に一時差を割り当てることで最大60個までの異なる時差に対応した内部時刻を表すことができる。なお、本実施形態では、「UTC」記号の時差情報45は時差の基準である世界協定時を表し、「・」記号の時差情報45は整数以外の時差を表しているが、他の記号を用いて表記をしてもよい。
本実施形態では、ダイヤルリング40の「8」と「9」との数字の間に表記されている「・」記号の時差情報45は、+8.75時間(+8時間45分)の時差を表し、UTC+8.75時間を標準時として使用するタイムゾーンを意味する。タイムゾーンは、約40種類が存在する。本実施形態による電子時計10のダイヤルリング40には、40種類のタイムゾーンを表す時差が時差情報45として表記されている。また、タイムゾーンの表示は60種類以内とすることが好適である。60種類を超えると表示が小さくなり、判別することが困難になる可能性がある。
ダイヤルリング40の周囲に設けられているベゼル32には、ダイヤルリング40に表記されている時差情報45の時差に対応した標準時を使用しているタイムゾーンの代表都市名を表す都市情報35が、時差情報45に併記されている。本実施形態では、都市名を三文字のアルファベットで略したスリーレターコードを使用して都市情報35が表記されている。「LON」はロンドン、「PAR」はパリ、「CAI」はカイロ、「JED」はジッダ、「DXB」はドバイ、「KHI」はカラチ、「DEL」はデリー、「DAC」はダッカ、「BKK」はバンコク、「BJS」北京、「TYO」は東京、「ADL」はアデレード、「SYD」はシドニー、「NOU」はネーメア、「WLG」はウェリントン、「TBU」はヌクアロファ、「CXI」はキリスィマスィ島、「MDY」はミッドウェー島、「HNL」はホノルル、「ANC」はアンカレッジ、「LAX」はロサンゼルス、「DEN」はデンバー、「CHI」はシカゴ、「NYC」はニューヨーク、「CCS」はカラカス、「SCL」はサンティアゴ、「RIO」はリオデジャネイロ、「FEN」はフェルナンド・デ・ノローニャ諸島、「PDL」はアゾレス諸島をそれぞれ表している。例えば、「TYO」のコードは東京を表し、このコードに対応してダイヤルリング40に併記されている時差情報45の数字「9」より、東京はUTC+9時間の標準時を使用していることを容易に判断することができる。また、「CXI」のコードはキリスィマスィ島を表し、このコードに対応してダイヤルリング40に併記されている時差情報45の数字「14」より、キリスィマスィ島はUTC+14時間の標準時を使用していることを容易に判断することができる。なお、本実施形態では、表示スペースの制約と視認性の向上とのため、一部の時差情報45の時差に対応する代表都市名の表記は省略されている。また、代表都市名の表記方法は一例であり、他の方法で表記してもよい。時差情報45と都市情報35との表記をタイムゾーン表示46という。本実施形態では、全世界で使用されているタイムゾーンの数と等しいタイムゾーン表示46が表記されている。なお、上述の都市名の表記は一例であり、都市名は、タイムゾーンの変更に応じて適宜変更されることがある。
<C:電子時計の電気的構成>
次に、電子時計10の電気的構成について説明する。
図6は、電子時計の電気制御ブロック図である。図6に示すように、電子時計10は、CPU(中央処理装置)153、RAM(Random Access Memory)154、ROM(Read Only Memory)155を基本構成とする制御部150と、受信部(GPSモジュール)122、入力装置157、駆動機構140の周辺装置とを備えている。これらの各装置は、データバス159を介してデータを送受信する。入力装置157は、図5に示すリュウズ50、Aボタン61、Bボタン62、Cボタン63、Dボタン64である。なお、電子時計10は、電源となる充電可能な二次電池(図示せず)を内蔵している。
受信部122は、アンテナ体110を備え、アンテナ体110を介して受信した衛星信号を処理してGPS時刻情報や位置情報を取得する。アンテナ体110は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星8(図1参照)から送信され、図4に示すカバーガラス33を通過した衛星信号の電波を受信する。
そして、受信部122は、図示を略すが、通常のGPS装置と同様に、GPS衛星8(図1参照)から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を実行して航法メッセージを復調するBB部(ベースバンプ部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)からGPS時刻情報や位置情報(測位情報)を取得して出力する情報取得部とを備えている。つまり、受信部122は、GPS衛星8から送信される衛星信号を受信し、受信結果に基づいてGPS時刻情報と位置情報とを出力する受信部として機能する。
RF部は、バンドパスフィルター、PLL回路、IFフィルター、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、ADC(A/D変換器)、ミキサー、LNA(Low Noise Amplifier)、IFアンプ等を備えている。バンドパスフィルターで抜き出された衛星信号は、LNAで増幅された後、ミキサーでVCOの信号とミキシングされ、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)にダウンコンバートされる。ミキサーでミキシングされたIFは、IFアンプ、IFフィルターを通り、ADCでデジタル信号に変換される。
BB部は、GPS衛星8で送信時に使用されたものと同一のC/Aコードからなるローカルコードを生成するローカルコード生成部と、ローカルコードとRF部から出力される受信信号との相関値を算出する相関部とを備える。そして、相関部で算出された相関値が所定の閾値以上であれば、受信した衛星信号に用いられたC/Aコードと、生成したローカルコードとが一致していることになり、衛星信号を捕捉(同期)することができる。このため、受信した衛星信号を、ローカルコードを用いて相関処理することで、航法メッセージを復調することができる。
情報取得部は、BB部で復調した航法メッセージからGPS時刻情報や位置情報を取得する。航法メッセージには、プリアンブルデータおよびHOWワードのTOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)、各サブフレームデータが含まれている。サブフレームデータは、サブフレーム1からサブフレーム5まであり、各サブフレームには、例えば、週番号データや衛星健康状態データを含む衛星補正データ等や、エフェメリス(GPS衛星8毎の詳細な軌道情報)や、アルマナック(全GPS衛星8の概略軌道情報)などのデータが含まれている。したがって、情報取得部は、受信した航法メッセージから所定のデータ部分を抽出することにより、GPS時刻情報や航法情報を取得することができる。
RAM154とROM155とは、電子時計10の記憶部である。
ROM155には、CPU153に実行されるプログラムやタイムゾーン情報等が記憶される。タイムゾーン情報とは、共通の標準時を使用する地域(タイムゾーン)の位置情報(緯度・経度)と、UTCに対する時差と、を管理するデータである。
CPU153は、RAM154を作業領域として使用し、ROM155に記憶されたプログラムを実行することにより、各種の演算、制御および計時を行う。この計時は、例えば、図示しない発振回路からの基準信号のパルス数を計数することによって行われる。
CPU153は、GPS時刻情報と時刻補正パラメーターとから算出した時刻情報と、GPS時刻情報と軌道情報とから算出した現在地の位置情報(緯度、経度)と、ROM155(記憶部)に記憶されたタイムゾーン情報とに基づいて内部時計を修正する。CPU153は、内部時刻が表示されるように、駆動機構140を駆動する制御を行う。これにより、電子時計10には、指針22,23,81(図5参照)により内部時刻が表示される。
<D:カバー部材の構成>
次に、電子時計10の備えるカバー部材200について、より詳しく説明する。
まず、太陽電池135およびアンテナ体110の平面視における配置について説明する。図7は、太陽電池135の外観を示す平面図である。図7には、アンテナ体110の輪郭も示す。以下、矩形の平面形状を有するアンテナ体110が、12時位置に配置されている場合を例示する。
太陽電池135は、ソーラーフィルム135bを有する。太陽電池135は、ソーラーフィルム135bに加えて、太陽電池135を他の部材(例えば地板125、また例えば文字板受けリング126等)に取り付ける際の位置決め部が設けられた案内板を有してもよい。
ソーラーフィルム135bは、基板135eと、ソーラーセル135cとを有する。基板135eは、例えば樹脂のフィルムにより形成されており、ソーラーセル135cは、基板135e上に形成されている。ソーラーセル135cは、半導体部と電極部とを有する。半導体部は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電を行う。電極部は、半導体部を挟んで配置された電極を有する。光が入射する側の電極として、光透過性の電極を用いることができる。
太陽電池135は、概略的に円形の外形を有する。複数個(本例では8個)のソーラーセル135cが、当該円形の周方向に並んで配置され、直列接続されている。アンテナ体110が、平面視において太陽電池135と(少なくともソーラーセル135cと)重ならない部分を有して配置されるように、太陽電池135は、12時位置に矩形状の切欠き部135gを有する。切欠き部135gにおいて、基板135eおよびソーラーセル135cが切り欠かれている。
ソーラーセル135cの電極部が、平面視でアンテナ体110と重なりを有すると、アンテナ体110が受信すべき衛星信号の電波がシールドされる。アンテナ体110が平面視でソーラーセル135cと重ならない部分を有することで、このようなシールドを抑制することができる。
なお、アンテナ体110が平面視でソーラーセル135cと重ならない部分を設けるために、太陽電池135の外周部が切り欠かれた切欠き部135gを設ける場合を例示しているが、その他例えば、太陽電池135の内部に開口部(貫通部)を設けることによって、アンテナ体110が平面視でソーラーセル135cと重ならない部分を設けてもよい。
なお、平面視においてアンテナ体110の全部がソーラーセル135cと重なりを有さないことが最も好ましいが、アンテナ体110の一部がソーラーセル135cと重なりを有する場合であっても、アンテナ体110の全部がソーラーセル135cと重なりを有する場合と比べて、上述のシールドを抑制することができる。
基板135eの外周部には、案内用タブ135b−1および案内用タブ135b−2と、導通部135dとが設けられている。案内用タブ135b−1および案内用タブ135b−2は、太陽電池135を地板125に対して位置決めする際の、位置決め部として用いられる。導通部135dは、太陽電池135を回路基板120と電気的に接続する導通バネの配置部として用いられる。
次に、文字板受けリング126およびアンテナ体110の平面視における配置について説明する。図8は、文字板受けリング126の外観を示す平面図である。図8には、アンテナ体110の輪郭も示す。
文字板受けリング126は、外装ケース30の内周面30aに沿って配置されてリング形状を有するリング部126hと、リング部126hから外装ケース30の内側に張り出した張り出し部126gとを有する。
張り出し部126gは、平面視でアンテナ体110と重なる部分を有するように、12時位置に矩形形状を有して配置されている。張り出し部126gは、上述のように、カバー部材200の主カバー部210として機能する。張り出し部126gの詳細については、後述する。
リング部126hには、太陽電池フック部126aと、地板受け部126fと、突状部126mとが設けられている。太陽電池フック部126aは、文字板受けリング126に対して太陽電池135を固定するために用いられる。上述の案内板に設けられた係合部(図示せず)が、フック部126aに係止される。地板受け部126fは、後述の、地板125が有する庇125fに対応する位置に設けられ、庇125fが嵌め合わされる。突状部126mは、文字板受けリング126の底面から裏蓋34側に突出しており、文字板受けリング126を外装ケース30に収納した際に、裏蓋34に当たることにより、文字板受けリング126の厚さ方向への移動を規制する。
次に、地板125およびアンテナ体110の平面視における配置について説明する。図9は、地板125の外観を示す平面図である。図9には、アンテナ体110の輪郭も示す。
上述のように、アンテナ体110を地板125と同じ高さまで配置して、アンテナ体110の厚みを確保できるように、地板125は、12時位置に矩形状の切欠き部125gを有する。
なお、アンテナ体110を地板125と同じ高さまで配置しなくても、十分な受信性能を有するアンテナ体110の厚みが得られる場合は、地板125に切欠き部125gを設けなくてもよい。地板125は、必要に応じて金属で形成されていてもよい。地板125が金属で形成されている場合、切欠き部125gが設けられていることで、上述のようなシールドを抑制することもできる。なお、本例の切欠き部125gは、アンテナ体110の全体が平面視で地板125と重ならないように設けられているが、切欠き部125は、必要に応じて、アンテナ体110の一部が平面視で地板125と重なるように設けられていてもよい。
地板125には、案内用凸部125aと、文字板高さ決め用凸部125bと、固定用ピン125cと、固定用ピン125cが設けられたフランジ部125dとが設けられている。太陽電池135の案内用タブ135b−1と案内用タブ135b−2とが、案内用凸部125aを挟むように配置されることで、地板125に対して太陽電池135が位置決めされるとともに、周方向への移動が規制される。文字板高さ決め用凸部125bおよびフランジ部125dは、文字板11が乗る文字板乗り面を構成する。固定用ピン125cは、ダイヤルリング40の孔部と嵌め合わされ、ダイヤルリング40を固定する。
地板125には、また、貫通孔125eと、庇125fと、庇125fの先端部に設けられた突起125kとが設けられている。貫通孔125eには、太陽電池135と回路基板120とを導通させるための導通バネが配置される。庇125fが、文字板受けリング126の地板受け部126fに嵌め合わされることで、地板125と地板受けリング126とが係合する。突起125kは、地板125を外装ケース30に収納した際に、ケース31の内周面に当たることにより、地板125の平面方向への移動を規制する。
次に、太陽電池135、文字板受けリング126、日車130、日車押さえ131およびアンテナ体110の平面視における配置、および、断面視における配置について説明し、カバー部材200、および、主カバー部210として機能する張り出し部126gについて、さらに説明する。
平面視において指針軸25を通る方向として、径方向を定義する。径方向に関し、指針軸25側を内周側と称し、内周側と反対側を外周側と称する。
図10は、太陽電池135および文字板受けリング126が重なった状態の外観を示す平面図である。図10には、日車130、日車押さえ131およびアンテナ体110の輪郭も示す。
図11は、図10のAA方向に沿った断面図(第1実施形態による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向に沿った部分的な断面図)である。図12は、図10のBB方向に沿った断面図(第1実施形態による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向と直交する方向に沿った部分的な断面図)である。
上述のように、電子時計10はカバー部材200を備え、カバー部材200は、主カバー部210を有する部材である。主カバー部210は、平面視において、アンテナ体110と重なりを有し、断面視において、主カバー部210が厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有するように配置された部分である。すなわち、主カバー部210と太陽電池135とは、同じ高さに配置された部分を有する。アンテナ体110は、平面視において太陽電池135と(少なくともソーラーセル135cと)と重ならない部分を有して配置される。
カバー部材200を用いることで、以下のよう効果を得ることができる。主カバー部210が、平面視において、アンテナ体110上で太陽電池135の配置されない部分と重なって配置されることで、当該部分を目立ちにくくすることができる。また、断面視において、第1の部分が厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有することで、当該部分を目立ちにくくする部材を太陽電池135と厚さ方向に重ねて配置しなくてもよくなり、電子時計10の厚みの増加を抑制できる。また、主カバー部210の厚さ方向の位置と、太陽電池135の厚さ方向の位置との差を抑制して段差を生じにくくできるため、当該部分を、より効果的に目立ちにくくすることができる。
文字板受けリング126は、平面視において外装ケース30の内側に張り出した張り出し部126gを有する。張り出し部126gは、平面視において、アンテナ体110と重なりを有し、断面視において、張り出し部126gが厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有するように、設けられている。張り出し部126gは、このように設けられていることで、主カバー部210として機能する。文字板11を保持する部材として用いられる文字板受けリング126は、張り出し部126gを有することで(張り出し部126gが主カバー部210の少なくとも一部を含むことで)、アンテナ体110上で太陽電池135の配置されない部分を目立ちにくくするカバー部材200としても用いることができる。文字板受けリング126がカバー部材200としても用いられるため、カバー部材200を設けることに伴う部品点数の増加を抑制できる。以上説明したように、カバー部材200は、文字板受けリング126を含んで構成することができる。なお、後述の第3実施形態が、カバー部材200が文字板受けリング126および日車押さえ131を含む態様であるのに対し、第1実施形態は、カバー部材200が文字板受けリング126を含むが日車押さえ131は含まない態様である。
図10および図11から理解されるように、日車130および日車押さえ131は、平面視においてアンテナ体110と重なりを有して配置されている。日車130に対して、日車押さえ131は、内周側に配置されている。日車130の厚さに対して日車押さえ131の厚さは厚く、日車押さえ131の外周側の端部は、日車130の内周側の端部に対して庇状に乗り上げ、日車130の上下方向の遊びの範囲を規定している。日車押さえ131は、このようにして、日車130を保持する。
文字板受けリング126の張り出し部126gは、アンテナ体110と文字板11との間に配置されている。張り出し部126gは(主カバー部210は)、厚さが互いに異なる部分である、アンテナ体上部126g−1と、日車上部126g−2と、日車押さえ上部126g−3とを有する。
アンテナ体上部126g−1、日車上部126g−2、および、日車押さえ上部126g−3のうち、アンテナ体上部126g−1は、最も外周側に配置された部分である。アンテナ体上部126g−1は、アンテナ体110と文字板11との間の、日車130および日車押さえ131が介在しない部分に、アンテナ体110と文字板11との間を充填するように配置され、アンテナ体上部126g−1、日車上部126g−2、および、日車押さえ上部126g−3のうち、最も厚い部分である。
アンテナ体上部126g−1、日車上部126g−2、および、日車押さえ上部126g−3のうち、日車上部126g−2は、2番目に外周側に配置された部分である。日車上部126g−2は、アンテナ体110と文字板11との間の、日車130は介在するが日車押さえ131は介在しない部分に、日車130と文字板11との間を充填するように配置され、アンテナ体上部126g−1、日車上部126g−2、および、日車押さえ上部126g−3のうち、2番目に厚い部分である。
アンテナ体上部126g−1、日車上部126g−2、および、日車押さえ上部126g−3のうち、日車押さえ上部126g−3は、最も内周側に配置された部分である。日車押さえ上部126g−3は、アンテナ体110と文字板11との間の、日車130および日車押さえ131、または、日車押さえ131が介在する部分に、日車押さえ131と文字板11との間を充填するように配置され、アンテナ体上部126g−1、日車上部126g−2、および、日車押さえ上部126g−3のうち、最も薄い部分である。
このように、張り出し部126gは(主カバー部210は)、厚さが互いに異なる複数の部分を有するように設けられてもよい。張り出し部126gを(主カバー部210を)、アンテナ体110と文字板11との間の空間に配置された他の部材(本例では、日車130および日車押さえ131)に応じて、厚さが互いに異なる部分を有するように設けることで、当該空間の充填性を向上させることが容易になる。
図10および図12から理解されるように、張り出し部126gは(カバー部材200は)、平面視において太陽電池135と重なる部分である庇部126g−4を有する。庇部126g−4は、張り出し部126gの張り出し方向に延在する一対の縁部に設けられ、張り出し部126gのうち下方部分に設けられており、太陽電池135の切欠き部135gを画定する縁部の下方に入り込んで配置されている。平面視において、庇部126g−4が、太陽電池135と重なることで、張り出し部126gと(カバー部材200と)太陽電池135との間に、視認されやすい隙間が形成されることを抑制できる。カバー部材200のうち、平面視において太陽電池135と重なる部分を、以下、オーバーラップ部220(第2の部分)と称する。
なお、本例では、張り出し部126gの張り出し方向と直交する方向に延在する縁部には、オーバーラップ部220を設けていないが、当該縁部の下方には、日車押さえ131が配置されている。このため、当該縁部にはオーバーラップ部220を設けなくとも、張り出し部126gと太陽電池135との間の隙間が視認されにくい。なお、必要に応じて、当該縁部にオーバーラップ部220を設けてもよい。この場合は、日車押さえ131に、当該オーバーラップ部220を収容できる溝(逃げ形状)を形成するとよい。
以上説明した第1実施形態では、カバー部材200として、文字板受けリング126を用いる例について説明した。カバー部材200は、この態様に限定されず、以下に説明するような様々な態様で構成してもよい。
<第2実施形態>
次に、図13を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、カバー部材200として、日車押さえ131を用いる例について説明する。
図13は、第2実施形態による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図11に対応する断面図)である。
第2実施形態において、文字板受けリング126は、張り出し部126gを有さない。日車押さえ131は、平面視において外装ケース30側に張り出した張り出し部131a(第2の張り出し部)を有する。張り出し部131aは、日車130に対して外周側まで(外装ケース30に近い側まで)張り出している。
日車押さえ131の張り出し部131aは、平面視において、アンテナ体110と重なりを有し、断面視において、張り出し部131aが厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有するように、設けられている。張り出し部131aは、このように設けられていることで、主カバー部210として機能する。日車130を保持する部材として用いられる日車押さえ131は、張り出し部131aを有することで(張り出し部131aが主カバー部210の少なくとも一部を含むことで)、アンテナ体110上で太陽電池135の配置されない部分を目立ちにくくするカバー部材200としても用いることができる。
日車押さえ131は、以下のような特徴を有するということもできる。日車押さえ131は、平面視において太陽電池135と重なって配置された(太陽電池135の下方に配置された)部分である太陽電池下部131b(第3の部分)と、平面視において太陽電池135と重ならずに配置され(太陽電池下部131bに対して外周側に配置され)、アンテナ体110と重なる部分であるアンテナ体上部131c(第4の部分)とを有する。アンテナ体上部131cは、太陽電池下部131bに対し、厚さ方向について太陽電池135の方向へ(上方へ)突き出している。
アンテナ体上部131cは、平面視において、アンテナ体110と重なりを有し、断面視において、アンテナ体上部131cが厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有するように、設けられている。アンテナ体上部131cは、このように設けられていることで、主カバー部210として機能する。日車130を保持する部材として用いられる日車押さえ131は、アンテナ体上部131cを有することで(アンテナ体上部131cが主カバー部210の少なくとも一部を含むことで)、アンテナ体110上で太陽電池135の配置されない部分を目立ちにくくするカバー部材200としても用いることができる。
第2実施形態では、日車130を保持する日車押さえ131がカバー部材200としても用いられるため、カバー部材200を設けることに伴う部品点数の増加を抑制できる。以上説明したように、カバー部材200は、日車押さえ131を含んで構成することができる。なお、後述の第3実施形態が、カバー部材200が文字板受けリング126および日車押さえ131を含む態様であるのに対し、第2実施形態は、カバー部材200が日車押さえ131を含むが文字板受けリング126は含まない態様である。
<第3実施形態>
次に、図14を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、カバー部材200として、文字板受けリング126および日車押さえ131を用いる例(カバー部材200が、文字板受けリング126および日車押さえ131を含む態様)について説明する。
図14は、第3実施形態による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図11に対応する断面図)である。
本例では、第1実施形態における文字板受けリング126の張り出し部126gのうち、日車押さえ上部126g−3の内周側の端部を短くしている。そして、これにより生じる空隙部分を、日車押さえ131により充填している。
より具体的に説明すると、日車押さえ131の太陽電池135に対して外周側に配置された部分であるアンテナ体上部131cを、当該空隙部分で上方に突き出すように厚く設けている。このようにして、当該空隙部分では、日車押さえ131のアンテナ体上部131cにより、主カバー部210が構成されている。そして、当該空隙部分に対して外周側では、第1実施形態と同様に、文字板受けリング126の張り出し部126gにより、主カバー部210が構成されている。
このように、主カバー部210は、一部が文字板受けリング126に含まれ、他の一部が日車押さえ131に含まれるように、構成されてもよい。主カバー部210を、複数の部材により構成することで、個々の部材の主カバー部210として機能する部分の構造の自由度を高めることができる。例えば、本例では、第1実施形態と比べて、文字板受けリング126の張り出し部126gを短くすることができ、これに伴い、張り出し部126gの反りを生じにくくすることができる。
なお、張り出し部126gの内周側の端部は、日車押さえ131の外周側の端部に乗り上げるように配置されている。これにより、文字板受けリング126と日車押さえ131との間に平面視で隙間が形成されることが抑制される。
<第4実施形態>
次に、図15および図16を参照して、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、カバー部材200として、文字板受けリング126および日車押さえ131とは別体の部材を用いる例について説明する。
図15は、第4実施形態による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図11に対応する断面図)である。図16は、第4実施形態による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向と直交する方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図12に対応する断面図)である。
第4実施形態では、文字板受けリング126および日車押さえ131が、主カバー部210(平面視において、アンテナ体110と重なりを有し、断面視において、主カバー部210が厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有するように、配置されている部分)を含まない。主カバー部210を有するカバー部材200は、文字板受けリング126および日車押さえ131とは別体の部材として設けられている。
カバー部材200を、文字板受けリング126および日車押さえ131とは別体の部材により構成することで、文字板受けリング126および日車押さえ131の構造を変更することなく、カバー部材200を設けることができる。
図15から理解されるように、第4実施形態によるカバー部材200は、日車押さえ131に対して外周側に配置された外周側部分201と、外周側部分201に対して内周側に配置された内周側部分202とを有する。内周側部分202は日車押さえ131に乗り上げて配置されており、内周側部分202の厚さは、太陽電池135の厚さとほぼ同等である。外周側部分201は、太陽電池135よりも下方側に厚くなっている。図16から理解されるように、外周側部分201の縁部には、太陽電池135の縁部の下方に入り込んで配置されて、オーバーラップ部220となる庇部203が設けられている。カバー部材200は、上述のような形状に成型された樹脂の板材で一体的に形成されている。
なお、文字板受けリング126の内周面には、内周側に突出した突出部126iが設けられており、カバー部材200の外周側部分201の外周側の端部が、突出部126iに乗り上げて配置されている。これにより、文字板受けリング126とカバー部材200との間に平面視で隙間が形成されることが抑制される。
<第4実施形態の第1変形例>
次に、図17および図18を参照して、第4実施形態の第1変形例(以下、第1変形例と呼ぶ)について説明する。図17は、第1変形例による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図11に対応する断面図)である。図18は、第1変形例による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向と直交する方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図12に対応する断面図)である。
第4実施形態は、カバー部材200が樹脂の板材で形成された例であるのに対し、第1変形例は、カバー部材200が樹脂のフィルムで形成された例である。
図17から理解されるように、第1変形例によるカバー部材200は、一様な厚さのフィルムにより形成されている。カバー部材200は、内周側で日車押さえ131に乗り上げて配置されており、カバー部材200の厚さは、太陽電池135の厚さとほぼ同等(太陽電池135の厚さ以下)である。図18から理解されるように、カバー部材200の縁部204を、太陽電池135の縁部の下方に入り込むように、厚さ方向に変形させる(たわませる)ことで、オーバーラップ部220が形成されている。
第1変形例では、カバー部材200の厚さが太陽電池135の厚さとほぼ同等であっても、樹脂のフィルムが有する可とう性によりカバー部材200を容易に変形させて(たわませて)、オーバーラップ部220を形成することができる。
<第4実施形態の第2変形例>
次に、図19および図20を参照して、第4実施形態の第2変形例(以下、第2変形例と呼ぶ)について説明する。図19は、第2変形例による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図11に対応する断面図)である。図20は、第2変形例による電子時計10の、アンテナ体110を通り径方向と直交する方向に沿った部分的な断面図(第1実施形態の図12に対応する断面図)である。
第1変形例は、カバー部材200が1層の樹脂のフィルムで形成された例であるのに対し、第2変形例は、カバー部材200が2層の樹脂のフィルムで形成された例である。
図19から理解されるように、第2変形例によるカバー部材200は、内周側で日車押さえ131に乗り上げて配置された第1のフィルム205(第1の部材)と、日車押さえ131に対し外周側に配置され、第1のフィルム205の下方に重なった第2のフィルム206(第2の部材)とにより形成されている。図20から理解されるように、第2のフィルム206の縁部207は、太陽電池135の縁部の下方に入り込んで配置されて、オーバーラップ部220を形成している。
第1のフィルム205は、平面視において、アンテナ体110と重なりを有し、断面視において、第1のフィルム205が厚さ方向に配置されている範囲と、太陽電池135が厚さ方向に配置されている範囲とが重なりを有するように設けられていることで、カバー部材200の主カバー部210として機能する(主カバー部210を含む)。第2のフィルム206は、平面視において太陽電池135と重なりを有し、カバー部材200のオーバーラップ部220として機能する(オーバーラップ部220を含む)。
第2変形例では、第1のフィルム205と第2のフィルム206とを重ねてカバー部材200を形成することで、第1変形例のようにフィルムを変形させる(たわませる)ことなく、オーバーラップ部220を形成することができる。また、主カバー部210とオーバーラップ部220とを有するカバー部材200を、第1のフィルム205と第2のフィルム206とを重ねた簡便な構造により、容易に作製することができる。なお、第1のフィルム205および第2のフィルム206のそれぞれは、例えば、樹脂で形成された板状の部材であってもよい。
なお、第4実施形態およびその第1、第2変形例において、カバー部材200を、オーバーラップ部220を介して太陽電池135に接着し、太陽電池135と一体化した部材として構成してもよい。カバー部材200が太陽電池135と一体化されるので、電子時計10の組み立てが容易になる。
以上、本発明を実施形態および変形例に沿って説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
例えば、カバー部材200の主カバー部210が、平面視において、アンテナ体110を完全には覆わず、部分的に覆うようにしてもよい。このような場合であっても、カバー部材200を設けない場合と比べて、アンテナ体110上で太陽電池135の配置されない部分を目立ちにくくすることができる。また例えば、主カバー部210の少なくとも一部を、地板125で構成するようにしてもよい。つまり、部材を保持する保持部材を、主カバー部210の少なくとも一部を含むように構成しカバー部材200としても用いる態様として、文字板受けリング126、日車押さえ131以外の保持部材を用いてもよく、例えば地板125を用いてもよい。