JP2016038312A - 時計 - Google Patents

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照彦 藤澤
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Abstract

【課題】環状のアンテナ体に切り欠き部を設ける場合でも、アンテナ体の性能を劣化させることのないアンテナ体を備えた電子時計を提供する。
【解決手段】円環状の一部に切り欠き部112aを有する無給電素子としての第1アンテナ素子112と、第1アンテナ素子112と電磁的に結合し、第1アンテナ素子112よりも短く、第1アンテナ素子112よりも内周側で第1アンテナ素子112に沿った形状で第1アンテナ素子112と所定の間隙を有して対向するように配置された第2アンテナ素子113とを、アンテナ基材109上に設けてアンテナ体110を構成する。第2アンテナ素子113は、アンテナ基材109の内周に設けられた切り欠き部111を含む領域に設けられ、第1アンテナ素子112の切り欠かれた一部と、アンテナ基材109の内周に設けられた切り欠き部111とは、平面視において少なくとも一部が対向するように配置される。
【選択図】図6

Description

本発明は、リング状のアンテナを備えた電子時計に関する。
GPS衛星からの電波情報を取得し正確な時刻を表示するGPS時計において、電波を受信するためリング状のアンテナを用いた時計が提案されている(例えば、特許文献1)。リング状のアンテナは、アンテナ体上に円弧状のパターンから成るアンテナ素子が設けられており、棒状のアンテナや円弧状のアンテナに比べて、アンテナ受信面積が大きくなり、より良好に電波を受信することができる。
特開2013−183437号公報
しかしながら、時計の文字板やソーラーパネルを固定するために地板には凸部が複数位置に設けられるが、これらの複数の凸部との干渉を防ぐために、アンテナ体には切り欠き部を設ける必要がある。その結果、アンテナ体上におけるアンテナ素子の配置が制約されることになり、アンテナの性能が劣化する場合があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、アンテナ体に切り欠き部を設ける場合でも、アンテナ体の性能を劣化させることのないアンテナ体を備えた電子時計を提供することを解決課題としている。
以上の課題を解決するため、本発明に係る電子時計は、時計の表示部周囲に設けられた環状のアンテナ基材であって、構造体を固定する固定部を収容するために設けられた切り欠き部が内周に設けられたアンテナ基材と、前記アンテナ基材の表面に設けられ、環状のパターンの一部が切り欠かれたアンテナ素子とを備えるアンテナ体と、前記アンテナ体が取り付けられる地板とを備え、前記アンテナ素子の前記切り欠かれた一部と、前記アンテナ基材の前記内周に設けられた切り欠き部とは、平面視において少なくとも一部が対向するように配置されることを特徴とする。
本発明によれば、アンテナ体を地板に取り付ける際に、地板には構造体を固定する固定部が設けられているが、円環状または多角形の環状のアンテナ基材の内周には、固定部を収容するための切り欠き部が設けられている。したがって、アンテナ基材と固定部との干渉を生じることなく、アンテナ体を地板に取り付けることができる。アンテナ基材の表面には、円環状または多角形の環状のパターンの一部が切り欠かれたアンテナ素子が設けられており、アンテナ素子の切り欠かれた一部と、アンテナ基材の内周に設けられた切り欠き部とは、平面視において少なくとも一部が対向するように配置される。したがって、アンテナ基材に上述のような切り欠き部を設ける場合でも、アンテナ素子が設けられる領域の幅が狭くなることによる弊害を解消し、アンテナの性能を劣化させることがない。なお、本発明において、環状とは、全体がつながって切れ目がなく輪になっていることをいい、例えば、円環状だけではなく、切れ目がない多角形の形状等を含む。例えば、時計の外形形状に沿った形状であると、アンテナ内部の空間を有効に活用できて好ましい。
上述した電子時計において、前記構造体として文字板を備え、前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部には、前記文字板を前記地板に固定するための前記固定部としての凸部が配置されるようにしてもよい。この場合には、文字板を地板に固定するための凸部が、アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部に収容されるので、文字板とアンテナ基材との干渉を防ぎ、電子時計の小型化が図られる。
上述した電子時計において、ソーラーパネルを備え、前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部には、前記ソーラーパネルを前記地板に固定するための凸が配置されるようにしてもよい。この場合には、ソーラーパネルを地板に固定するための凸部が、アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部に収容されるので、ソーラーパネルとアンテナ基材との干渉を防ぎ、電子時計の小型化が図られる。
上述した電子時計において、ソーラーパネルを備え、前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部には、前記ソーラーパネルを接続させる導通端子が配置されるようにしてもよい。この場合には、ソーラーパネルを接続させる導通端子が、アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部に収容されるので、ソーラーパネルとアンテナ基材との干渉を防ぎ、電子時計の小型化が図られる。
上述した電子時計において、前記アンテナ素子は、第1アンテナ素子と、第2アンテナ素子とを備え、前記第1アンテナ素子は、無給電素子であり、前記第2アンテナ素子は、前記第1アンテナ素子と電磁的に結合し、前記第1アンテナ素子よりも短く、前記第1アンテナ素子よりも内周側で前記第1アンテナ素子に沿った形状の給電素子であり、前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、所定の間隙を有して対向するように配置されており、前記第2アンテナ素子は、前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部を含む領域に設けられているようにしてもよい。この場合には、第2アンテナ素子は、アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部を含む領域に設けられるので、切り欠き部により幅が狭くなったアンテナ基材においては、第2アンテナ素子の幅も狭くなる。しかしながら、第1アンテナ素子の切り欠かれた一部と、アンテナ基材の内周に設けられた切り欠き部とは、平面視において少なくとも一部が対向するように配置される。したがって、第2アンテナ素子の幅が狭くなった部分と、第1アンテナ素子の切り欠かれた一部とが対向することになり、第2アンテナ素子の幅が狭くなって第1アンテナ素子との間隙の最適値を確保できない場合でも、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との電磁的結合が強くなり過ぎることによる悪影響を最小限に抑え、電子時計の小型化を図りながらもアンテナ特性を維持することができる。
本発明の実施形態に係る電子時計を含むGPSの全体図である。 電子時計の外観を示す平面図である。 電子時計の外観を示す斜視図である。 電子時計の概略を示す部分断面図である。 電子時計の電気制御ブロック図である。 アンテナ体の外観を示す平面図である。 アンテナ体、文字板、ソーラーパネル、地板、及び地板受けリングを示す展開斜視図である。 地板受けリングにおけるアンテナ体の設置部にアンテナ体を設置した状態を示す展開斜視図である。 図8に示す状態から、ソーラーパネルを地板に取り付けた状態を示す展開斜視図である。 ソーラーパネルの固定部とアンテナ体の切り欠き部の周辺の拡大斜視図である。 図9に示す状態から、文字板を地板に取り付けた状態を示す展開斜視図である。 文字板を地板に取り付けた状態を示す平面図である。 文字板の固定部とアンテナ体の切り欠き部の周辺の拡大斜視図である。 ダイヤルリングの外観を示す平面図である。 (A)は電子時計のアンテナ体の形状及びアンテナ体に形成されたアンテナ素子を説明するための斜視図、(B)は電子時計のアンテナ体の形状及びアンテナ体に形成されたアンテナ素子を説明するための平面図である。 アンテナ体の指向性を示す図である。 切り欠き部が設けられていない部分のアンテナ基材、第1アンテナ素子、及び第2アンテナ素子を示す断面図である。 切り欠き部が設けられた部分のアンテナ基材、第1アンテナ素子、及び第2アンテナ素子を示す断面図である。 変形例におけるアンテナ体の外観を示す平面図である。 変形例におけるアンテナ体の外観を示す平面図である。 変形例におけるアンテナ体の外観を示す平面図である。 比較例におけるアンテナ体の外観を示す平面図である。
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<A:電子時計の概要>
図1乃至図18を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子時計を含むGPSの全体図である。まず、電子時計が、外部信号としての電波を用いて、現在地の位置情報と、時刻情報とを求めるGPSの概要を説明する。
電子時計10は、GPS衛星8からの電波(衛星信号)を受信して内部時刻を修正する腕時計であり、腕と接触する側の面(以下、裏面)の反対側の面(以下、表面という)に時刻を表示する。GPS衛星8は、地球の滋養空において、所定の軌道上を周回する航法衛星であり、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。以降の説明では、航法メッセージが重畳された1.57542GHzの電波を衛星信号という。衛星信号は、右旋偏波の円偏波である。
現在、約31個のGPS衛星8(図1においては、4個のみを図示)が存在しており、衛星信号がどのGPS衛星8から送信されたかを識別するために、各GPS衛星8はC/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1、または−1のいずれかであり、ランダムパターンのように見える。したがって、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星8は原子時計を搭載しており、衛星信号は原子時計で計時された極めて正確なGPS時刻情報が含まれている。また、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星8に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、衛星信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメータも含まれている。電子時計10は、1つのGPS衛星8から送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と時刻補正パラメータとを使用して得られた正確な時刻(時刻情報)を内部時刻とする。
衛星信号にはGPS衛星8の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。電子時計10は、GPS時刻情報と軌道情報とを使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、電子時計10の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、電子時計10の三次元の位置を特定するためのx,y,zパラメーターに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、電子時計10は、一般的には4つ以上のGPS衛星8からそれぞれ送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行い、現在地の位置情報を求める。
次に、電子時計10の概略構成について説明する。図2は電子時計の外観を示す平面図、図3は電子時計の外観を示す斜視図、図4は電子時計の断面図である。図2ないし図4に示すように、電子時計10は、外装ケース30と、カバーガラス33と、裏蓋34とを備えている。外装ケース30は、金属で形成されていた円筒状のケース31に、セラミックで形成されたベゼル32が嵌合されて構成されている。このベゼル32の内周側に、プラスチックで形成されたリング状のダイヤルリング40を介して、円盤状の文字板11が時刻表示部分として配置されている。
文字板11には、指針21.22,23が備えられている。また、文字板11には、中心より、2時方向に円形の第1小窓70と指針71とが、10時方向に円形の第2小窓80と指針81とが、6時方向に円形の第3小窓90と指針91とが、4時方向に矩形のカレンダー小窓15とが、設けられている。文字板11、指針21,22,23、第1小窓70、第2小窓80、第3小窓90及びカレンダー小窓15などは、カバーガラス33を透かして、視認可能となっている。
第3小窓90の7時方向から9時方向までの範囲の外周には、円周に沿って、9時方向の基端が太く、7時方向の先端が細い三日月鎌状の記号92が表記されている。この記号92は二次電池130(図4参照)のパワーインジケーターであり、電池の残量に応じて、指針91が基端、先端、中間のいずれかを指し示す。第3小窓90の9時方向から10時方向までの範囲の外周には、飛行機形状の記号93が表記されている。この記号は、機内モードを表す。航空機の離着陸時は、航空法によって衛星信号の受信が禁止されている。使用者はAボタン61を操作し、指針91で記号93(機内モード)を選択することで、電子時計10の衛星信号の受信を停止させることができる。
外装ケース30の側面には、文字板11の中心により、8時方向の位置にAボタン61と、10時方向の位置にBボタン62と、2時方向の位置にCボタン63と、4時方向の位置にDボタン64と、3時方向の位置にリュウズ50とが、設けられている。これらのAボタン61、Bボタン62、Cボタン63、Dボタン64及びリュウズ50が操作されることにより、操作に応じた操作信号が出力される。
図4に示すように、電子時計10は、金属製の外装ケース30の2つの開口のうち、表面側の開口は、ベゼル32を介してカバーガラス33で塞がれており、裏面側の開口は金属で形成された裏蓋34で塞がれている。
外装ケース30の内側には、ベゼル32の内周に取り付けられているダイヤルリング40と、光透過性の文字板11と、文字板11を貫通した指針軸25と、指針軸25を中心に周回する指針21,22,23と、指針21,22,23を駆動する駆動機構140などとが備えられている。
指針軸25は、外装ケース30の平面視中心を通り、表裏方向に延在する中心軸に沿って設けられている。
ダイヤルリング40は、外周端が、ベゼル32の内周面に接触しているとともに、一面がカバーガラス33と平行な平板部分と、内周端が文字板11に接触するように、文字板11側へ傾斜した傾斜部分を備えている。ダイヤルリング40は、平面視においてはリング形状となっており、断面視においてはすり鉢形状となっている。ダイヤルリング40の平板部分と、傾斜部分と、ベゼル32の内周面と、によりドーナツ形状の収納空間が形成されており、この収納空間内には、リング状のアンテナ体110が収納されている。
このアンテナ体110は、リング形状の誘電体をアンテナ基材として、これにアンテナ素子としての金属のアンテナパターンをメッキや銀ペースト印刷などにより形成したものである。このアンテナ体110は、文字板11の外周に配置されており、ベゼル32の内周面側に配置され、さらにプラスチックで形成されたダイヤルリング40、及びカバーガラス33で覆われているため、電波を遮ることがなく、良好な受信を確保することが可能となっている。誘電体としては、酸化チタンなどの高周波で使える誘電材料を樹脂に混ぜて成形することができ、これにより誘電体の波長短縮と相俟ってアンテナをより小型化できる。
文字板11は、外装ケース30の内側で時刻を表示する円形の板材であり、プラスチックなどの光透過性の材料で形成され、カバーガラス33との間に指針21,22,23などを備え、ダイヤルリング40の内側に配置されている。
文字板11と、駆動機構140が取り付けられている地板125との間には、光発電を行ソーラーパネル135が備えられている。ソーラーパネル135は、光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する複数のソーラーセル(光発電素子)を直列接続した円形の平板である。また、ソーラーパネル135は、太陽光の検出機能も有している。文字板11、ソーラーパネル135及び地板125には、指針軸25と、第1小窓70の指針71、第2小窓80の指針81及び第3小窓90の指針91の指針軸(図示せず)とが貫通する孔が形成されているとともに、カレンダー小窓15の開口部が形成されている。
駆動機構140は、地板125に取り付けられ、回路基板120で裏面側から覆われている。駆動機構140は、ステップモーターと歯車などの輪列とを有し、当該ステップモーターが当該輪列を介して指針軸25を回転させることにより、指針21,22,23が駆動する。また、図2、図3に示す第1小窓70の指針71、第2小窓80の指針81及び第3小窓90の指針91も同様の駆動機構(図示せず)を有し、各指針71,81,91が駆動する。
回路基板120は、受信部(GPSモジュール)122、制御部150及びリチウムイオン電池などの二次電池130を備えている。二次電池130は、ソーラーパネル135が発電した電力で充電される。また、この回路基板120とアンテナ体110とは、アンテナ接続ピン115を用い接続されている。なお、回路基板120の下方には、回路押え123が設けられている。回路基板120と回路押え123との間には、耐磁板160が設けられている。
アンテナ体110は、給電点を通じて給電され、この給電点には、アンテナ体110の裏面側に配置されたアンテナ接続ピン115が接続されている。アンテナ接続ピン115は金属で形成されたピン状のコネクターであり、回路基板120に突設されて、地板受けリング126に開口された挿通孔を貫通されて収納空間内へ挿通されている。これにより、回路基板120と、収納空間内部のアンテナ体110とが、アンテナ接続ピン115で接続されている。
<B:電子時計の表示機能>
次に、電子時計10の表示機能について説明する。図2に示すように、文字板11の最外周には、外周を6分割から60分割する目盛と、さらに、その目盛を5分割にする1/5目盛とが、表記されている。この目盛を用いて、指針21はクロノグラフ機能の「秒」を表示し、指針22は内部時計の「分」を表示し、指針23は内部時計の「時」を表示する。なお、クロノグラフ機能は、Cボタン63と、Dボタン64との操作で、使用することができる。
文字板11に設けられている、円形の第1小窓70の外周には、外周を60分割にする目盛と、「10」から「60」までの10刻みの数字が表記されている。指針71は、この目盛を用いてクロノグラフ機能の「分」を表示する。
文字板11に設けられている円形の第2小窓80の外周には、外周を60分割にする目盛と、「0」から「11」までの数字が表記されている。指針81は、この目盛を用いて内部時計の「秒」を表示する。
第2小窓80の52秒の位置にアルファベットの「Y」と、38秒の位置にアルファベットの「N」の英字が表記されている。この英字は、衛星信号の受信結果(Y:受信成功、N:受信失敗)と、衛星信号の自動受信(Y:自動受信ON、N:自動受信OFF)の設定とを表す。使用者がBボタン62を操作することにより、指針81が「Y」または「N」のいずれか一方を指示し、衛星信号の受信結果を表示する。また、使用者がAボタン61とBボタン62とを操作して、指針81を「Y」または「N」に合わせることで、衛星信号の自動受信のON/OFFを設定することができる。また、使用者がBボタン62を操作して、電子時計10に衛星信号を手動受信させた時、指針71は、衛星の捕捉数量を表示する。
なお、本実施形態では、52秒の位置に「Y」の表記が、38秒の位置に「N」の表記が、設けられているが、これに限定されるものではない。「Y」と「N」との表記は、受信結果表示83を含む小窓が設けられる位置に応じて、視認しやすい位置に設けることが好ましい。
文字板11に設けられている円形の第3小窓90の外周について説明する。以下の外周の範囲の説明において、「n時方向」(nは任意の自然数)とあるが、これは第3小窓90の中央から円形の外周をみたときの方向である。
第3小窓90の12時方向から6時方向までの範囲の外周には、この範囲を6分割する目盛と「0」から「5」までの数字が表記されている。指針91は、この目盛を用いて、クロノグラフ機能の「時」を表示する。なお、クロノグラフ機能では、指針21,71,91を使用して5時間59分59秒までの計時が可能となっている。
第3小窓90の6時方向から7時方向の範囲の外周には、「DST」の英字と「○」の記号が表記されている。DST(daylight saving time)は夏時間を意味する。これらの英字と記号とは、夏時間(DST:夏時間ON、○:夏時間OFF)の設定を表す。使用者がリュウズ50とBボタン62を操作して、指針91を「DST」または「○」に合わせることで、電子時計10に夏時間のON/OFFを設定することができる。
第3小窓90の7時方向から9時方向までの範囲の外周には、円周に沿って、9時方向の基端が太く、7時方向の先端が細い三日月鎌状の記号92が表記されている。この記号92は二次電池130(図4参照)のパワーインジケーターであり、電池の残量に応じて、指針91が基端、先端、中間のいずれかを指し示す。
第3小窓90の9時方向から10時方向までの範囲の外周には、飛行機形状の記号93が表記されている。この記号は、機内モードを表す。航空機の離着陸時は、航空法によって衛星信号の受信が禁止されている。使用者はAボタン61を操作し、指針91で記号93(機内モード)を選択することで、電子時計10の衛星信号の受信を停止させることができる。
第3小窓90の10時方向から12時方向までの範囲の外周には、「1」の数字と「4+」の記号が表記されている。これらの数字と記号は、衛星信号の受信モードを表す。「1」はGPS時刻情報を受信し内部時刻が修正されたことを、「4+」はGPS時刻情報と軌道情報とを受信し、内部時刻と後述するタイムゾーンとが修正されたことを意味する。使用者がBボタン62を操作することで、指針91が「1」または「4+」のいずれかを指示し、電子時計10が直前に受信した衛星信号の受信モードを表示する。
カレンダー小窓15は、文字板11を矩形状に開口した開口部に設けられており、開口部から数字が視認可能となっている。この数字は、年月日の「日」を表す。
ここで、協定世界時(UTC)と、時差と、標準時と、タイムゾーン(Time zone)との関係を説明する。
タイムゾーンとは、共通の標準時を使用する地域のことであり、現在、40種類のタイムゾーンが存在している。各タイムゾーンは、標準時とUTCとの時差で区別され、例えば、日本は、UTCより9時間進んだ標準時を使用する、+9時間のタイムゾーンに属している。各タイムゾーンで使用されている標準時は、UTCと、UTCとの時差とで求めることができる。
上述したように、文字板11には、60分割された分及び秒を表示する目盛が刻まれ、文字板11の外周部を囲むダイヤルリング40には、この目盛に沿って、UTCとの時差を表す時差情報45が数字と、数字以外の記号と、で表記されている。数字の時差情報45は整数の時差であり、記号の時差情報45は整数以外の時差であることを表している指針22,23,81で表示されて内部時刻と、UTCとの時差は、リュウズ50の操作により指針21の指し示す時差情報45で確認することができる。
電子時計10は、文字板11に設けられている60分割された目盛の一目盛に一時差を割り当てることで最大60個までの異なる時差に対応した内部時刻を表すことができる。なお、本実施形態では、「UTC」記号の時差情報45は時差の基準である世界協定時を表し、「・」記号の時差情報45は整数以外の時差を表しているが、他の記号を用いて表記をしてもよい。
本実施形態では、ダイヤルリング40の「8」と「9」との数字の間に表記されている「・」記号の時差情報45は、+8.75時間(+8時間45分)の時差を表し、UTC+8.75時間を標準時として使用するタイムゾーンを意味する。現在この標準時を含め、全世界では40種類のタイムゾーンが存在し、電子時計10のダイヤルリング40には、40種類のタイムゾーンを表す時差が時差情報45として表記されている。また、タイムゾーンの表示は60種類以内とすることが好適である。60種類を超えると表示が小さくなり、判別することが困難になる可能性がある。
ダイヤルリング40の周囲に設けられているベゼル32には、ダイヤルリング40に表記されている時差情報45の時差に対応した標準時を使用しているタイムゾーンの代表都市名を表す都市情報35が、時差情報45に併記されている。本実施形態では、都市名を三文字のアルファベットで略したスリーレターコードを使用して都市情報35が表記されている。例えば、「TYO」のコードは東京を表し、このコードに対応してダイヤルリング40に併記されている時差情報45の数字「9」より、東京はUTC+9時間の標準時を使用していることを容易に判断することができる。また、「CXI」のコードはキリスィマスィ島を表し、このコードに対応してダイヤルリング40に併記されている時差情報45の数字「14」より、キリスィマスィ島はUTC+14時間の標準時を使用していることを容易に判断することができる。なお、本実施形態では、表示スペースの制約と視認性の向上とのため、一部の時差情報45の時差に対応する代表都市名の表記は省略されている。また、代表都市名の表記方法は一例であり、他の方法で表記してもよい。時差情報45と都市情報35との表記をタイムゾーン表示46という。本実施形態では、全世界で使用されているタイムゾーンの数と等しいタイムゾーン表示46が表記されている。
<C:電子時計の電気的構成>
次に、電子時計10の電気的構成について説明する。図5は、電子時計10の回路構成を示すブロック図である。図5に示すように、電子時計10は、受信部122及び制御表示部155を含む。受信部122は、衛星信号の受信、GPS衛星8の捕捉、位置情報の生成、時刻修正情報の生成等の処理を行う。制御表示部155は、内部時刻情報の保持及び内部時刻情報の修正等の処理を行う。ソーラーパネル135は、充電制御回路29を通じて二次電池130を充電する。電子時計10はレギュレータ162及び163を備え、二次電池130は、レギュレータ162を介して制御表示部155に、レギュレータ163を介して受信部122に駆動電力を供給する。また電子時計10は、二次電池130の電圧を検出する電圧検出回路164を備える。なお、レギュレータ163に代えて、例えば、RF部170(詳細は後述)に駆動電力を供給するレギュレータ163−1と、ベースバンド部180(詳細は後述)に駆動電力を供給するレギュレータ163−2(ともに図示せず)とに分けて設けてもよい。レギュレータ163−1は、RF部170の内部に設けてもよい。
また電子時計10は、アンテナ体110、及びSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ190を含む。アンテナ体110は、図1に関連して説明したように、複数のGPS衛星8からの衛星信号を受信する。ただし、アンテナ体110は衛星信号以外の不要な電波も若干受信してしまうため、SAWフィルタ190は、アンテナ体110が受信した信号から衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルタ190は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルタとして構成される。
また、受信部122は、RF(Radio Frequency:無線周波数)部170とベースバンド部180を含む。以下に説明するように、受信部122は、SAWフィルタ32が抽出した1.5GHz帯の衛星信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。
RF部170は、LNA(Low Noise Amplifier)171、ミキサ172、VCO(Voltage Controlled Oscillator)173、PLL(Phase Locked Loop)回路174、IFアンプ175、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタ176、ADC(A/D変換器)177等を含む。
SAWフィルタ190が抽出した衛星信号は、LNA171で増幅される。LNA171で増幅された衛星信号は、ミキサ172でVCO173が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯の信号にダウンコンバートされる。PLL回路174は、VCO53の出力クロック信号を分周したクロック信号と基準クロック信号を位相比較してVCO173の出力クロック信号を基準クロック信号に同期させる。その結果、VCO173は基準クロック信号の周波数精度の安定したクロック信号を出力することができる。なお、中間周波数として、例えば、数MHzを選択することができる。
ミキサ172でミキシングされた信号は、IFアンプ175で増幅される。ここで、ミキサ172でのミキシングにより、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も生成される。そのため、IFアンプ175は、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も増幅する。IFフィルタ176は、中間周波数帯の信号を通過させるとともに、この数GHzの高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルタ176を通過した中間周波数帯の信号はADC(A/D変換器)177でデジタル信号に変換される。
ベースバンド部180は、DSP(Digital Signal Processor)181、CPU(Central Processing Unit)182、SRAM(Static Random Access Memory)183、RTC(リアルタイムクロック)184を含む。また、ベースバンド部180には、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)185やフラッシュメモリ186等が接続されている。
温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)185は、温度に関係なくほぼ一定の周波数の基準クロック信号を生成する。フラッシュメモリ186には、例えば時差情報が記憶されている。時差情報は、時差データ(座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられたUTCに対する補正量等)が定義された情報である。
ベースバンド部180は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードに設定されると、RF部170のADC177が変換したデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
また、ベースバンド部180は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードに設定されると、後述する衛星検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、ベースバンド部180は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星8に同期(すなわち、GPS衛星8を捕捉)したものと判断する。ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星8が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。したがって、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星8を検索することができる。
また、ベースバンド部180は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードにおいて、捕捉したGPS衛星8の衛星情報を取得するために、当該GPS衛星8のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。ミキシングされた信号には、捕捉したGPS衛星8の衛星情報を含む航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド部180は、航法メッセージの各サブフレームのTLMワード(プリアンブルデータ)を検出し、各サブフレームに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する(例えばSRAM63に記憶する)処理を行う。ここで、GPS時刻情報は、週番号データ(WN)及びZカウントデータであるが、以前に週番号データが取得されている場合にはZカウントデータのみであってもよい。そして、ベースバンド部180は、衛星情報に基づいて、内部時刻情報を修正するために必要な時刻修正情報を生成する。
時刻情報取得モードの場合、より具体的には、ベースバンド部180は、GPS時刻情報に基づいて測時計算を行い、時刻修正情報を生成する。時刻情報取得モードにおける時刻修正情報は、例えば、GPS時刻情報そのものであってもよいし、GPS時刻情報と内部時刻情報との時間差の情報であってもよい。
一方、位置情報取得モードの場合、より具体的には、ベースバンド部180は、GPS時刻情報や軌道情報に基づいて測位計算を行い、位置情報(より具体的には、受信時に電子時計10が位置する場所の緯度及び経度)を取得する。さらに、ベースバンド部180は、フラッシュメモリ66に記憶されている時差情報を参照し、位置情報により特定される電子時計10の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを取得する。このようにして、ベースバンド部180は、時刻修正情報として衛星時刻データ(GPS時刻情報)及び時差データを生成する。位置情報取得モードにおける時刻修正情報は、上記の通り、GPS時刻情報と時差データそのものであってもよいが、例えば、GPS時刻情報の代わりに内部時刻情報とGPS時刻情報の時間差のデータであってもよい。
なお、ベースバンド部180は、1つのGPS衛星8の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよいし、複数のGPS衛星8の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよい。
また、ベースバンド部180の動作は、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)185が出力する基準クロック信号に同期する。RTC184は、衛星信号を処理するためのタイミングを生成するものである。このRTC184は、TCXO185から出力される基準クロック信号でカウントアップされる。
制御表示部155は、制御部150、駆動回路154及び水晶振動子153を含む。
制御部150は、記憶部151およびRTC(Real Time Clock)152を備え、各種制御を行う。制御部150は、例えばCPUで構成することが可能である。制御部150は、制御信号を受信部122に送り、受信部122の受信動作を制御する。また制御部150は、電圧検出回路164の検出結果に基づいて、レギュレータ162及びレギュレータ163の動作を制御する。また制御部150は、駆動回路154を介してすべての指針13の駆動を制御する。
記憶部151には受信データが記憶されている。制御部150はその受信データに基づいて内部時刻情報を修正する。内部時刻情報は、電子時計10で計時される時刻の情報であり、常時駆動されているRTC152でカウントされており、水晶振動子153によって生成される基準クロック信号によって更新される。したがって、受信部122への電力供給が停止されていても、内部時刻情報を更新して指針の運針を継続することができるようになっている。
制御部150は、時刻情報取得モードに設定されると、受信部122の動作を制御し、GPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶部151に記憶する。より具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報にUTCオフセットを加算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。また、制御部70は、位置情報取得モードに設定されると、受信部122の動作を制御し、衛星時刻データ(GPS時刻情報)及び時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶部151に記憶する。
<D:電子時計におけるアンテナ体の切り欠き部の構成>
次に、電子時計10におけるアンテナ体110の切り欠き部の構成について説明する。図6は、アンテナ体110の平面図である。図6に示すように、本実施形態のアンテナ体110はリング状に形成され、アンテナ体110の内周には、4箇所の位置に、切り欠き部111が備えられている。図6に示すように、アンテナ体110の半径方向における切り欠き部111の奥行きW1は、アンテナ体110の半径方向における幅W2の1/2以内になるように設定されている。切り欠き部111の奥行きW1をこのように設定するのは、アンテナ体110の上面に設けられる無給電素子としての第1アンテナ素子112の幅を確保するためである。本実施形態では、第1アンテナ素子112の幅を確保しているため、電波を良好に受信することができる。
第1アンテナ素子112は、金属またはその他の導電性材料を用いてメッキまたはペースト印刷等を行うことにより形成する。図6に示すように、第1アンテナ素子112は、リング状に形成されたパターンの一部に切り欠き部112aを有しており、C形状に形成されている。第1アンテナ素子112は、無給電素子として機能する。また、アンテナ体110の内周側の側面には、第2アンテナ素子113が形成されている。第2アンテナ素子113は、第1アンテナ素子112と同様に、金属またはその他の導電性材料を用いてメッキまたはペースト印刷等を行うことにより形成する。第2アンテナ素子113は、図6に示すように、第1アンテナ素子112よりもアンテナ体110の内周側で第1アンテナ素子112に沿った円弧状の素子であり、第1アンテナ素子112と一定の間隔を保つように形成されている。第2アンテナ素子113の一方の端部には、当該端部と接触するように給電板114が配置されており、給電板114は、後述するように、アンテナ体110の底面側でアンテナ接続ピンと接触する。したがって、給電板114と接触する第2アンテナ素子113の端部は、アンテナ接続ピン及び給電板114を介して給電が行われる給電位置となる。このように、第2アンテナ素子113は、給電素子として機能する。この給電位置から図6に示す左回転方向側には、第2アンテナ素子113を所定長さ分だけ確保する必要があるため、第2アンテナ素子113は、切り欠き部111を含む領域に設けられている。
以上のようなアンテナ体110の切り欠き部111には、複数の構造体の固定部が収納される。以下、図7乃至図14を参照しつつ、アンテナ体110の切り欠き部111と、複数の構造体の固定部との位置関係について説明する。図7は、アンテナ体110、文字板11、ソーラーパネル135、地板125、及び地板受けリング126を示す展開斜視図である。
図7に示すように、アンテナ体110の外周には、切り欠き部110aが3箇所に形成されており、切り欠き部110aにはフランジ部110bが設けられている。フランジ部110bと、後述する地板受けリング126のフック部126bとが係合することにより、アンテナ体110は地板受けリング126に固定される。
文字板11には、文字板11を地板125に固定するための固定用凸部11a,11bが4箇所に形成されている。また、ソーラーパネル135には、ソーラーパネル135を地板125に固定するための固定用凸部135a,135bが4箇所に形成されている。さらに、ソーラーパネル135には、ソーラーパネル135を地板125に固定するためのフランジ135cが2箇所に形成されている。また、ソーラーパネル135には、ソーラーパネル135と回路基板120とを電気的に接続させる導通端子135dが設けられている。
地板125には、第1固定用凸部125a及び第2固定用凸部125bの組が、アンテナ体の切り欠き部111が設けられた4箇所の位置に対して、4箇所に形成されている。第2固定用凸部125bは、3箇所においては、それぞれ2つずつ設けられ、第1固定用凸部125aを中心として地板125の周方向の両側に、第1固定用凸部125aと所定の間隔を有して配置されている。図7において手前側に図示された残りの1箇所においては、1つの第2固定用凸部125bのみが、第1固定用凸部125aを中心として地板125の周方向の一方の側に第1固定用凸部125aと所定の間隔を有して配置されている。そして、第3位置R3では、ダイヤルリング40の固定用ピン125cが設けられたフランジ部125dが、地板125の周方向に延びて形成されている。フランジ部125dの端部は、第1固定用凸部125aを中心として地板125の周方向の第2固定用凸部125bが配置されていない他方の側において第1固定用凸部125aと所定の間隔を有する位置に設けられている。したがって、前記フランジ部125dの端部は、もう1つの第2固定用凸部125bとしての機能を有している。固定用ピン125cは、後述するダイヤルリング40の孔部と嵌め合わされ、ダイヤルリング40を固定する。また、地板125には、アンテナ接続ピン115のケース116を収容するケース収容部125eが形成されている。
地板受けリング126は、ソーラーパネル135を固定するためのパネルフック部126aと、アンテナ体110を固定するためのアンテナ体フック部126bと、アンテナ接続ピン115のケース116が挿入されるケース孔127とを備えている。地板125に地板受けリング126を嵌め合わせることにより、地板受けリング126のパネルフック部126aも、地板125の周方向において第1固定用凸部125a及び第2固定用凸部125bと並ぶようになる。
地板受けリング126及び地板125に収容されたアンテナ接続ピン115の先端は、地板受けリング126におけるアンテナ体110の設置部に位置することとなり、当該設置部にアンテナ体110を設置することにより、アンテナ体110に取り付けた給電板114(図6参照)とアンテナ接続ピン115の先端とが接触するようになる。
図8は、図7に示す状態から、地板受けリング126におけるアンテナ体110の設置部に、アンテナ体110を設置した状態を示す展開斜視図である。図8に示すように、アンテナ体110の外周の切り欠き部110aに設けられたフランジ部110bと、地板受けリング126のフック部126bとが係合することにより、アンテナ体110は地板受けリング126に固定される。
地板受けリング126におけるアンテナ体110の設置部は、地板125の周方向の全域に亘って設けられているが、アンテナ体110の切り欠き部111が設けられた4箇所の位置に対応する位置には、第1固定用凸部125a、第2固定用凸部125b、固定用ピン125c、及びパネルフック部126aが設けられている。
したがって、図8に示すように、第1固定用凸部125a、第2固定用凸部125b、固定用ピン125c、及びパネルフック部126aは、切り欠き部111に収容され、アンテナ体110の設置の妨げにはならない。
図9は、図8に示す状態から、ソーラーパネル135を地板125に取り付けた状態を示す展開斜視図である。図10は、ソーラーパネル135の固定用凸部135a,135bと、地板125の第1固定用凸部125a、第2固定用凸部125bとの嵌め合わせ部周辺の拡大斜視図である。図9に示すように、アンテナ体110の切り欠き部111は、アンテナ体110の半径方向及び周方向に切り欠きが形成されているだけでなく、アンテナ体110の上下方向にも切り欠きが形成されている。つまり、切り欠き部は、アンテナ体110の上面から下面までを貫通する切り欠き部となっている。したがって、図9に示すように、地板受けリング126上にアンテナ体110を先に取り付けた状態であっても、上方向からソーラーパネル135を地板125に取り付けることができる。したがって、部品の取り付け順序に対する自由度が高く、生産効率を向上させることができる。また、電子時計においては、電波受信の検査工程が必要になるが、本発明によれば、アンテナ体を早めに取り付けることができ、電波受信の検査工程を早い段階で実施できるという利点がある。
ソーラーパネル135を地板125に取り付ける際には、地板125の第1固定用凸部125aに、ソーラーパネル135の固定用凸部135aと固定用凸部135bの間の凹部を嵌め合わせる。この際、ソーラーパネル135の固定用凸部135aは、地板125の第1固定用凸部125aと第2固定用凸部125bに嵌め合わされ、ソーラーパネル135の固定用凸部135bは、地板125の第1固定用凸部125aと第2固定用凸部125bに嵌め合わされることになる。このようにして、ソーラーパネル135の周方向の移動が規制されることになる。
このように、ソーラーパネル135を地板125に取り付けるために、ソーラーパネル135の外周に固定用凸部135aと固定用凸部135bを突出させ、固定用凸部135aと固定用凸部135bと嵌め合わすための第1固定用凸部125aと第2固定用凸部125bとを地板125に設けている。そして、これらの固定用凸部135a、固定用凸部135b、第1固定用凸部125a、及び第2固定用凸部125bにより構成されるソーラーパネル135の固定部は、図10に示すように、アンテナ体110の切り欠き部111に収納される。したがって、ソーラーパネル135を地板125に取り付けると、アンテナ体110はソーラーパネル135と同平面に並ぶことになるが、アンテナ体110の最内周位置を、固定用凸部135aと固定用凸部135bの先端よりもソーラーパネル135の中心部側、すなわち、固定用凸部135aと固定用凸部135bが突出形成されたソーラーパネル135の外周に近接させることができ、電子時計10の平面方向のサイズを小さくすることができる。
図7に示すソーラーパネル135に形成されたフランジ135cは、地板受けリング126に形成されたパネルフック部126aと係合し、ソーラーパネル135の上方向への移動が規制される。また、図示を省略するが、フランジ135cとパネルフック部126aとにより構成されるソーラーパネル135の固定部も、アンテナ体110の切り欠き部111に収納されるため、上述の場合と同様に電子時計10の平面方向のサイズを小さくすることができる。また、図7及び図8に示すソーラーパネル135に形成された導通端子135dも、アンテナ体110の切り欠き部111に収納されるため、上述の場合と同様に電子時計10の平面方向のサイズを小さくすることができる。
図11は、図9に示す状態から、文字板11を地板125に取り付けた状態を示す斜視図である。図17は図11の状態の平面図である。図13は文字板11の固定用凸部11aおよび固定用凸部11bと、地板125の第1固定用凸部125aとの嵌め合わせ部周辺の拡大斜視図である。
アンテナ体110の切り欠き部111は、アンテナ体110の半径方向及び周方向に切り欠きが形成されているだけでなく、アンテナ体110の上下方向にも切り欠きが形成されている。したがって、地板受けリング126上にアンテナ体110を先に取り付け、地板125にソーラーパネル135を取り付けた状態であっても、図11及び図12に示すように、上方向から文字板11を地板125に取り付けることができる。したがって、部品の取り付け順序に対する自由度が高く、生産効率を向上させることができる。また、電子時計においては、電波受信の検査工程が必要になるが、本発明によれば、アンテナ体を早めに取り付けることができ、電波受信の検査工程を早い段階で実施できるという利点がある。
文字板11を地板125に取り付ける際には、地板125の第1固定用凸部125aに、文字板11の固定用凸部11aと固定用凸部11bの間の凹部を嵌め合わせる。このようにして、文字板11の周方向の移動が規制されることになる。
このように、文字板11を地板125に取り付けるために、文字板11の外周に固定用凸部11aと固定用凸部11bを突出させ、固定用凸部11aと固定用凸部11bの間の凹部を嵌め合わせるための第1固定用凸部125aを地板125に設けている。しかしながら、これらの固定用凸部11a、固定用凸部11b、及び第1固定用凸部125aにより構成される文字板11の固定部は、図11乃至図13に示すように、アンテナ体110の切り欠き部111に収納される。したがって、文字板11を地板125に取り付けると、アンテナ体110は文字板11と同平面に並ぶことになるが、アンテナ体110の最内周位置を、固定用凸部11aと固定用凸部11bの先端よりも文字板11の中心部側、すなわち、固定用凸部11aと固定用凸部11bが突出形成された文字板11の外周に近接させることができ、電子時計10の平面方向のサイズを小さくすることができる。
以上のように、本発明においては、第1の構造体としてのソーラーパネル135と、第2の構造体としての文字板11とを備え、第1の構造体としてのソーラーパネル135を固定する第1固定部として、固定用凸部135a、固定用凸部135b、第1固定用凸部125a、及び第2固定用凸部125bを備えている。また、第2の構造体としての文字板11を固定する第2固定部として、固定用凸部11a、固定用凸部11b、及び第1固定用凸部125aとを備えている。つまり、第1固定用凸部125aが、第1の構造体と第2の構造体の固定部として共通して用いられる。そして、これらの第1固定部及び第2固定部は、アンテナ体110の内周に備えられた切り欠き部111に収納される。したがって、アンテナ体110の形状を単純化することができ、電子時計10を小型化することができる。また、ソーラーパネル135とアンテナ体110、及び文字板11とアンテナ体110が同平面に並ぶ場合でも、アンテナ体110の最内周位置を、第1固定部及び第2固定部の先端よりも第1の構造体及び第2構造体の中心部側に近接させることができ、電子時計10の平面方向のサイズを小さくすることができる。
図14は、ダイヤルリング40を示す平面図である。図14に示すように、ダイヤルリング40には、2つの孔部40aが形成されている。ダイヤルリング40を地板125にと付ける場合には、ダイヤルリング40の孔部40aを、図11乃至図13に示す地板125に形成された固定用ピン125cに嵌め合わす。このようにして、ダイヤルリング40の周方向への移動が規制される。
図11および図12に示すように、ダイヤルリング40の固定部となる固定用ピン125cは、アンテナ体110の切り欠き部111に収納される。したがって、固定用ピン125cとアンテナ体110が同平面に並ぶ場合でも、電子時計10の平面方向のサイズを小さくすることができる。
本発明においては、ソーラーパネル135及び文字板11の固定部だけでなく、第3の構造体としてのダイヤルリング40の固定部(第3固定部)も同じ切り欠き部111に収納に収納するので、多数の部品が取り付けられる電子時計10の平面方向のサイズを小さくすることができる。
以上のように、アンテナ体110は、構造体であるソーラーパネル135、文字板11およびダイヤルリング40を固定する固定部としての第1固定用凸部125a、第2固定用凸部125bおよび固定用ピン125cを収容するために、切り欠き部111がアンテナ基材の内周に設けられている。したがって、アンテナ体110と固定部との干渉を防ぐことができる。しかしながら、アンテナ基材の内周に切り欠き部111を設けることにより、アンテナ基材の表面に設けられるアンテナ素子の配置が制約されることになる。以下、本実施形態におけるアンテナ体110のアンテナ基材の表面に設けられるアンテナ素子について詳しく説明する。
<E:アンテナ体のアンテナ素子および切り欠き部の構成>
図15を参照しつつ、アンテナ体110の詳細について説明する。図15(A)はアンテナ体110の斜視図であり、図15(B)はアンテナ体110の平面図である。なお、図15においては、アンテナ素子の機能についての理解を容易にするために、アンテナ体110の切り欠き部111については図示を省略している。
アンテナ体110は、誘電材料を含む樹脂で形成された環状のアンテナ基材109と、アンテナ基材109に形成された第1アンテナ素子112及び第2アンテナ素子113を有する。第1アンテナ素子112および第2アンテナ素子113は、金属またはその他の導電性材料から形成されている。またアンテナ体110には、金属またはその他の導電性材料から形成された給電板114が取り付けられている。第1アンテナ素子112および第2アンテナ素子113並びに給電板114は、例えばメッキまたは銀ペースト印刷等により形成することができる。アンテナ基材109は、セラミックあるいは酸化チタンなどの高周波で使用可能な誘電材料を樹脂に混ぜることで、比誘電率εrが6〜15程度、好ましくは8となるように形成されている。
図15(B)に示すように、第1アンテナ素子112は、切り欠き部112aを有し、環の一部を切り欠いたC形状に形成されている。また、第1アンテナ素子112は、GPS衛星からの電波(衛星信号)に共振するようなアンテナ長を有している。
図15(B)に示すように、第2アンテナ素子113は、平面視して、円弧状の素子であり、第1アンテナ素子112と一定の間隔を保つように形成されている。これら2つの第1アンテナ素子112および第2アンテナ素子113は、互いに電磁的に結合し、電磁波を電流に変換する素子として機能する。第2アンテナ素子113は、給電板114で給電される導電性材料から形成された部分であり、給電素子あるいは励振素子とも呼ばれる。第2アンテナ素子113の長さを適宜設定することによって、アンテナ体110に電気的に接続された回路のインピーダンスとアンテナ体110のインピーダンスを整合させることが可能となる。
GPS衛星8からの電波の周波数は約1.575GHzであり、1波長は約19cmとなる。円偏波を受信するためには、波長の1.0〜1.2倍程度のアンテナ長が必要であるため、GPS衛星8からの電波を受信するためには、約19〜24cmのループアンテナが必要となる。このようなアンテナ長のループアンテナを腕時計の内部に収める場合、腕時計が大型化してしまう。
これに対して、本実施形態では、比誘電率εrが6〜15程度の材料から形成されたアンテナ基材109をアンテナ体110が有している。比誘電率εrのアンテナ基材109を用いる場合、当該アンテナ基材109による波長短縮率は一般的に(εr)−1/2となる。つまり、比誘電率がεrの誘電体を用いることで、アンテナ体の受信する電波の波長を短縮することができる。すなわち、本実施形態に係るアンテナ体110は、比誘電率εrのアンテナ基材109を備えるため、このようなアンテナ基材109を備えない場合に比べて、アンテナ体110のアンテナ長を短縮することができ、アンテナの小型化を図ることができる。
第2アンテナ素子113の素子長は波長の約0.25倍であり、第2アンテナ素子113と第1アンテナ素子112との間隔は波長の約0.01〜0.05倍である。また、給電板114と、第1アンテナ素子112の切り欠き部112aとの角度は約35°〜45°に設定されている。このようなアンテナエレメント構成とすることで、第1アンテナ素子112に発生する定在波からの放射と、第2アンテナ素子113からの放射が合成されて、円偏波を効率よく発生させることができる。図16に本実施形態のアンテナの指向性を示す。図16においては、0°が時計の文字板の正面方向(天頂方向)であり、1目盛りは3dBである。図16に示すように、本実施形態のアンテナは、時計の文字板の天頂方向にアンテナ指向性のピークを持つため、GPS受信に最適である。
上述したように、アンテナ体110のアンテナ基材の内周に切り欠き部111を設けることは、アンテナ体110の小型化には有効ではあるが、第2アンテナ素子113を素子長を上述したように波長の約0.25倍とするには、第2アンテナ素子113は切り欠き部111を含む領域に設ける必要がある。その結果、図6に示すように、第2アンテナ素子113のうち、切り欠き部111により幅が狭くなったアンテナ基材の表面に設けられた部分113aは、他の部分よりもパターンの幅が狭くなり、抵抗値が大きくなって損失が増えることでアンテナ利得が低下してしまう。アンテナ素子のメッキは無電解メッキで銅、ニッケル、金からなり、メッキの厚みは十数μm程度と薄く、抵抗値を下げるには、アンテナ素子の幅は0.5mm程度は必要となる。本実施形態でも、第2アンテナ素子113の幅は、細い部分113aでも0.5mm程度、その他の部分は1.0mm以上に設定されている。
また、アンテナ利得の低下を防ぐためには、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との間隔を波長の約0.01〜0.05倍に保つことが重要となっている。図17に示すように、切り欠き部111が設けられていない部分のアンテナ基材109の内周面は、十分な幅を有しているため、第2アンテナ素子113の幅を1.0mm以上に設定したとしても、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との間隔は波長の約0.01〜0.05倍に設定することが可能となる。
しかし、図18に示すように、切り欠き部111が設けられた部分のアンテナ基材109の内周面は、幅が狭くなっており、この部分に幅0.5mm程度の第2アンテナ素子113を設けると、第2アンテナ素子113と第1アンテナ素子112との間隙が狭くなってしまい、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との間隔を最適値である波長の約0.01〜0.05倍に保つことが困難となる。その結果、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との電磁的結合が強くなり過ぎ、アンテナ利得の低下を招くことになる。
そこで、本実施形態においては、図6に示すように、第1アンテナ素子112の切り欠き部112a(幅W3)と、第2アンテナ素子113の幅が細くなった部分113aに対応するアンテナ基材109の切り欠き部111(幅W4)とを、平面視において対向するように構成した。つまり、時計の中心と第1アンテナ素子の始端とを結ぶ第1の線と、時計の中心と第1アンテナ素子の終端とを結ぶ第2の線を考慮し、第1アンテナ素子の切り欠き部112aが平面視で第1及び第2の線で囲まれる領域に入っているとする。そして、アンテナ基材109の切り欠き部111も、平面視で当該領域に入っている。このように構成することにより、第2アンテナ素子113の幅が細くなった部分113aと対向する第1アンテナ素子112の部分を減少させることができ、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との最適値の間隔を保つことができない場合でも、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との電磁的結合が強くなり過ぎることによる悪影響を最小限に抑えることができる。
図22に比較例を示す。図22に示す比較例では、アンテナ体110の切り欠き部111がアンテナ基材109の3箇所に設けられた例である。切り欠き部111が3箇所であれば給電素子としての第2アンテナ素子113へ影響を与えない部分に切り欠き部111を配置することが可能であるが、文字板11、ソーラーパネル135、ダイヤルリング40を浮きなく安定して地板125に固定するには、上述したように4箇所の固定部が必要であり、3箇所では安定して固定することができない。図22に示す比較例では、不安定な固定により部品の浮きが発生することで例えば、アンテナ体110と周囲部材との距離が変わり、アンテナ同調周波数のシフトが発生し、アンテナ特性の劣化につながる。
一方、上述した本発明においては、アンテナ体110の切り欠き部111はアンテナ基材109の4箇所に形成されているため、文字板11、ソーラーパネル135、ダイヤルリング40を浮きなく安定して地板125に固定することができ、アンテナ体110と周囲部材との距離が変わることによるアンテナ同調周波数のシフトの発生を防止できる。しかも、上述したように、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との電磁的結合が強くなり過ぎることによる悪影響を最小限に抑えることができるので、アンテナ特性の劣化を確実に抑えることができる。
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様は、任意に選択された一または複数を、適宜に組み合わせることもできる。
<変形例1>
図19は、変形例に係るアンテナ体110の外観を示す平面図である。第1アンテナ素子112の切り欠き部112aは、幅W3のうちの全ての部分が、アンテナ基材109の切り欠き部111の幅W4内に含まれるように対向している必要はない。例えば、図19に示すように、第1アンテナ素子112の切り欠き部112aは、幅W3のうちの一部が、アンテナ基材109の切り欠き部111の幅W4の範囲内に入るように対向していればよい。つまり、アンテナ素子112の切り欠き部112aと、アンテナ基材109の内周に設けられた切り欠き部111とは、平面視において少なくとも一部が対向するように配置されていればよい。言い換えれば、時計の中心と第1アンテナ素子の始端とを結ぶ第1の線と、時計の中心と第1アンテナ素子の終端とを結ぶ第2の線を考慮し、第1アンテナ素子の切り欠き部112aが平面視で第1及び第2の線で囲まれる領域に入っているとする。そして、アンテナ基材109の切り欠き部111のうち少なくとも一部も、平面視で当該領域に入っている。このように構成した場合でも、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との電磁的結合が強くなり過ぎることによる悪影響を最小限に抑えることができる。
<変形例2>
図20に示すように、この変形例においては、リング状に形成されたパターンの一部に切り欠き部112dを有してC形状に形成されたアンテナ素子112cに給電を行い、給電素子または励振素子として用いる。つまり、この変形例では、無給電素子は設けられていない。このような構成でも、円偏波受信を行うことが出来る。また、この場合においても、アンテナ素子112cの切り欠き部112dと、アンテナ基材109の内周に設けられた切り欠き部111とは、平面視において対向するように配置される。
このような構成の場合には、無給電素子を使うタイプよりアンテナ素子の調整個所が減るため最適化を図ることが難しくなるが、構造がシンプルなのでアンテナ素子の加工が容易で生産性が高い。一般的にアンテナ素子の幅を太くした方がアンテナ帯域幅が広がるため、素子長や材料誘電率によるバラツキに強くなり安定したアンテナ特性を得ることが出来る。この変形例では、アンテナ素子112cの切り欠き部112dと、アンテナ基材109の内周に設けられた切り欠き部111とは、平面視において対向するように配置することで、アンテナ素子幅を最も太くすることができる。本例のように給電素子だけのアンテナの場合でも、アンテナ素子幅を太くすることでアンテナの広帯域化を図ることができ、アンテナ特性を向上できる。
<変形例3>
図21に示すように、この変形例のアンテナ体110は、四角形の環状のアンテナ基材109の内周に切り欠き部111が4箇所に設けられており、アンテナ基材109の表面には、四角形の環状のパターンの一部に切り欠き部112aを有する第1アンテナ素子112と、第1アンテナ素子112よりも短く、第1アンテナ素子112よりも内周側で第1アンテナ素子112に沿った形状の給電素子としての第2アンテナ素子113が設けられている。この場合においても、第1アンテナ素子112の切り欠き部112aと、アンテナ基材109の内周に設けられた切り欠き部111とは、平面視において少なくとも一部が対向するように配置される。このように構成した場合でも、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子113との電磁的結合が強くなり過ぎることによる悪影響を最小限に抑えることができる。
なお、この変形例では、四角形の環状のアンテナ基材109と、四角形の環状のパターンの一部に切り欠き部112aを有する第1アンテナ素子112とを用いたが、四角形以外の多角形の環状のアンテナ基材109と、多角形の環状のパターンの一部に切り欠き部112aを有する第1アンテナ素子112とを用いてもよい。
(変形例4)
上述した実施形態及び各変形例においては、本発明をアナログ式の電子時計に適用したが、本発明は、デジタル式の電子時計、クオーツウォッチ、置き時計、あるいは、掛け時計等に適用可能である。
(変形例5)
上述した実施形態及び各変形例においては、GPS衛星の電波を受信するアンテナ体を備えた電子時計に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこのような例に限定されるものではなく、例えば、Bluetooth(登録商標)、あるいは、Wi−Fi(登録商標)等の規格に対応した通信部とアンテナ体を備え、他の機器との通信機能を有する時計にも適用可能である。
10…電子時計、11…文字板、11a,11b…固定用凸部、40…ダイヤルリング、40a…孔部、109…アンテナ基材、110…アンテナ体、111…切り欠き部、112…第1アンテナ素子、112a…切り欠き部、112c…アンテナ素子、112d…切り欠き部、113…第2アンテナ素子、114…給電板、125…地板、126…地板受けリング。

Claims (5)

  1. 時計の表示部周囲に設けられた環状のアンテナ基材であって、構造体を固定する固定部を収容するために設けられた切り欠き部が内周に設けられたアンテナ基材と、前記アンテナ基材の表面に設けられ、環状のパターンの一部が切り欠かれたアンテナ素子とを備えるアンテナ体と、
    前記アンテナ体が取り付けられる地板とを備え、
    前記アンテナ素子の前記切り欠かれた一部と、前記アンテナ基材の前記内周に設けられた切り欠き部とは、平面視において少なくとも一部が対向するように配置される、
    ことを特徴とする電子時計。
  2. 前記構造体としての文字板を備え、
    前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部には、前記文字板を前記地板に固定するための前記固定部としての凸部が配置される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
  3. 前記構造体としてのソーラーパネルを備え、
    前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部には、前記ソーラーパネルを前記地板に固定するための前記固定部としての凸が配置される、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子時計。
  4. 前記構造体としてのソーラーパネルを備え、
    前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部には、前記ソーラーパネルを接続させる導通端子が配置される、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子時計。
  5. 前記アンテナ素子は、第1アンテナ素子と、第2アンテナ素子とを備え、
    前記第1アンテナ素子は、無給電素子であり、
    前記第2アンテナ素子は、前記第1アンテナ素子と電磁的に結合し、前記第1アンテナ素子よりも短く、前記第1アンテナ素子よりも内周側で前記第1アンテナ素子に沿った形状の給電素子であり、
    前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、所定の間隙を有して対向するように配置されており、
    前記第2アンテナ素子は、前記アンテナ基材内周に設けられた切り欠き部を含む領域に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電子時計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2018016574A1 (ja) * 2016-07-20 2019-05-09 シチズン時計株式会社 携帯型電波時計
CN112782963A (zh) * 2019-11-06 2021-05-11 精工爱普生株式会社 电子钟表

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