JP5785029B2 - 太陽電池付き電波時計 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池付き電波時計に関する。
時刻情報を含む外部電波を受信し内部に保持している時刻を修正するいわゆる電波時計においても、太陽電池を備えたものが普及している。このような太陽電池付き電波時計は、通常、文字板の裏側に太陽電池が配置されており、文字板を透過した光を太陽電池が受けることにより、動作電力を生成する。
一般的に電波時計が受信する電波は、標準電波と呼ばれる長波である。この標準電波の受信は、地理的な制限を受け、また、低周波の搬送波を用いているため受信に時間がかかる欠点があるため、GPS(Global Positioning System)に代表される全地球測位システムにおいて用いられる極超短波を受信する太陽電池付き電波時計が提案されている。このような極超短波の受信には、長波の電波の受信に用いられるバーアンテナではなく、極超短波の入射方向に受信面を持つ形式のアンテナ、例えば、パッチアンテナ、チップアンテナあるいは板状逆Fアンテナ等の平面アンテナが用いられる。
ところで、極超短波は直進性が高く、金属などの導体により容易に遮蔽されてしまう性質を有する。また、平面アンテナは受信面に電波が入射しなければ受信ができない。このことは、平面アンテナの受信面の直上或いはその周辺に導体が存在しているとその受信感度が著しく低下するということを意味している。そのため、極超短波を受信する太陽電池付き電波時計においては、平面アンテナの直上及びその周辺には太陽電池等に用いられる導体膜をできるだけ形成しないようにすることが好ましいと考えられていた。例えば、特許文献1には、GPS衛星からの衛星信号を受信し、かかる衛星信号に含まれるGPS時刻情報に基づいて時刻を修正するGPS付き腕時計であって、GPSアンテナの受信面の直上及びその近傍の位置に、ソーラーセル又は透明電極及び金属電極が形成されておらず、若しくは、ソーラーセルをメッシュ状に形成してその占有面積を減じたものが記載されている。
特開2010−96707号公報
太陽電池に用いられる導体膜は、基板となるシートに蒸着あるいはスパッタリング等のプロセスにより一括して形成されるため、電極の微細な形状は、形成された導体膜にエッチング等のパターン除去を行うことにより製作される。しかしながら、このパターン除去のプロセスは、除去するパターンの面積が小さい、例えば、線状に導体膜を除去するのは容易であるが、広い面積にわたり面状に導体膜を除去するには時間がかかりその精度も低下するため、製造コストの増加を招く。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、平面アンテナの受信性能の低下が少なく、かつ製造コストの低い導体膜パターンを有する極超短波を受信する太陽電池付き電波時計を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る太陽電池付き電波時計は、受信面を有する平面アンテナと、前記平面アンテナの前記受信面側に配置されており、太陽電池と、前記受信面の直上及びその周辺からなる領域の少なくとも一部配置される導体膜と、を有する太陽電池基板と、を備え、前記受信面の直上及びその周辺からなる領域における前記導体膜は、実質的に電気的に浮遊している浮遊導体膜である
上記本発明によれば、平面アンテナの受信性能の低下が少なく、かつ製造コストの低い導体膜パターンを有する極超短波を受信する太陽電池付き電波時計が提供される。
本発明の第1の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計を示す平面図である。 太陽電池付き電波腕時計の胴の内部に収容される太陽電池基板を示す平面図である。 図1のIII−III線による太陽電池付き電波腕時計の部分断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計の胴の内部に収容される太陽電池基板を示す平面図である。 本発明の第3の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計の胴の内部に収容される太陽電池基板を示す平面図である。 本発明の第4の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計の胴の内部に収容される太陽電池基板を示す平面図である。 本発明の第5の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計の胴の内部に収容される太陽電池基板を示す平面図である。 本発明の第6の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計の胴の内部に収容される太陽電池基板を示す平面図である。 本発明の第7の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計の胴の内部に収容される太陽電池基板を示す平面図である。 太陽電池基板の変形例を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100を示す平面図である。同図には、太陽電池付き電波時計の外装(時計ケース)である胴1、胴1内に配置された文字板2と時刻を示す指針である時針3、分針4、秒針5が示されている。また、胴1の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うための竜頭6、プッシュボタン7が配置されている。胴1の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部8が伸びている。
なお、同図に示し太陽電池付き電波腕時計100のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴1を丸型でなく角型にしてもよいし、竜頭6やプッシュボタン7の有無、数、配置は任意である。また、本実施形態では、指針を時針3、分針4、秒針5の3本としているが、これに限定されず、秒針5を省略しても、あるいは、曜日、タイムゾーンやサマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加したりしてもよい。
なお、本明細書では、前述の通り、太陽電池付き電波腕時計という用語を、太陽電池を備えた電波時計であって、かつ、腕時計であるものを指すものとして用いる。そして、本実施形態では、太陽電池付き電波腕時計100は、GPS衛星などの日付や時刻に関する情報を含む衛星信号を送信する衛星から当該衛星信号を受信し、それに含まれる日付や時刻に関する情報、すなわち基準情報に基づき、腕時計内部に保持している時刻の情報である内部時刻を修正する機能を有している。但し、太陽電池付き電波腕時計100が受信する電波信号は、衛星信号に限らず、基準情報を含む信号であれば特に限定されない。ただし、後述する平面アンテナ14により好適に受信される電波信号であることから、短波から極超短波の高周波信号であることが好ましい。また、本実施形態では太陽電池付き電波腕時計100は腕時計であるが、これに換え、置き時計や掛け時計としてもよい。
なお、太陽電池付き電波腕時計100では、文字板2を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が胴1に取り付けられている。また、風防の反対側においては裏蓋が胴1に取り付けられている。本明細書では、以降、太陽電池付き電波腕時計100は、の風防が配置される方向(図1における紙面手前方向)を表側、裏蓋が配置される方向(図1における紙面奥方向)を裏側と呼ぶ。
文字板2の裏側には、太陽電池が表面に形成された太陽電池基板11が配置され、表側から入光した光により発電がなされる。そのため、文字板2はある程度光線を透過する材質で形成される。図1に示されるように太陽電池基板11は概略円形をなし、6時の位置が矩形状に切りかかれている。そして、文字板2の裏側において、この切りかかれた部分に衛星信号を受信するための平面アンテナ12が配置されている。なお、本明細書では、前述の通り、平面アンテナという用語を電波信号の入射方向に受信面を持つ形式のアンテナを指すものとして用いる。本実施形態では、平面アンテナ12はパッチアンテナであり、それにより受信される電波信号は、GPS衛星からの衛星信号であり、極超短波である。平面アンテナ12には、その厚み方向を貫くように給電ピン12bが設けられ、表側の面が電波信号を受信する受信面12aとなっている。平面アンテナ12の受信面12a、太陽電池基板11上に形成された太陽電池の受光面、文字板2は、互いに平行に設けられており、いずれも表側を向いている。
その他、太陽電池付き電波腕時計100の胴1の内部には、指針を駆動するための機構、太陽電池で発電された電力を蓄積する蓄電池、太陽電池付き電波腕時計100の動作制御のためのコントローラ等の集積回路、受信した衛星信号を処理する受信回路などが収容されている。
なお、文字板2は胴1の表側の開口よりも広く、その周縁部を胴1が覆っている。この
ため、文字板2は、胴1の開口の輪郭線(見切り線)Xよりも内側の領域(露出領域)の
みが風防を介して外部から見えるようになっており、輪郭線Xよりも外側の領域(非露出
領域)は胴1により隠されて外部から見えない。
図2は、太陽電池付き電波腕時計100の胴1の内部に収容される太陽電池基板11を示す平面図である。
図2に示すように、太陽電池基板11は、概略円形から6時の位置を矩形に切り欠いた切欠部11cを有するとともに、太陽電池基板11の周縁には互いに離間した位置に複数の係合部(凹凸形状)が設けられており、これら係合部が胴1自体或いは胴1の内部に収容される図示しない枠体である地板に係合している。これにより、太陽電池基板11は太陽電池付き電波腕時計100内で回動不能に支持される。なお、これら係合部は図1に示す輪郭線Xよりも外側に形成されており、文字板2の表側からは透けて見えないようになっている。さらに、太陽電池基板11の中央には指針軸を挿通するための開口11dが形成されており、表面には電極となる導体膜及び半導体薄膜を備えた発電単位である太陽電池11a及び、導体膜である浮遊導体膜11bが形成されている。そして、浮遊導体膜11bは、電気的に浮遊している導体膜である。すなわち、太陽電池11aや太陽電池付き電波腕時計100が有する電気回路の一部若しくは胴1等の他の導電性部材と電気的に接続されない。なお、本明細書において、ある部材が「電気的に浮遊している」とは、当該部材が何らかの電気回路又はその一部を構成しないことを意味している。そして、上述したように、6時の位置の切欠部11cの内側領域には、受信面12aが風防側を向くようにして平面アンテナ12が配置される。
ところで、図示の例では太陽電池11aは、4つに分割されており、互いに直列に接続されている。また、浮遊導体膜11bは、開口11dの周辺で分割され、2つにわかれている。しかしながら、これらの数や配置、形状は一例を示すものであり、太陽電池11aの数は必要な電圧が得られるよう適宜の数を設けてよく、また、浮遊導体膜11bは、以降説明するようにより多くの数となるよう分割しても、あるいは1つのみとなるように設けてもよい。
そして、浮遊導体膜11bは、平面アンテナ12の受信面の直上13a及びその周辺13bからなる領域の少なくとも一部に設けられる。図2中には、直上13a及び周辺13bの形状を破線で示した。ここで、直上13aは、平面視において、平面アンテナ12の受信面12a(図1参照)と重なり合う領域を指しており、周辺13bは、直上13aと接し、直上13aから所定の距離d以内の領域を指している。ここで、距離dは、電気的に浮遊していない導電性部材(すなわち、何らかの電気回路又はその一部を構成するような導電性部材)が配置されたならば、平面アンテナ12の受信性能に悪影響を及ぼすような値とすることが妥当であり、経験的あるいは実験的に定められる。
この構成が意味するところは次の通りである。すなわち、直上13a及び周辺13bからなる領域に太陽電池11aを含む電気的に浮遊していない導電性部材を配置すると平面アンテナ12の受信性能が低下するため、かかる領域においては電気的に浮遊していない導電性部材をできる限り配置しないようにすることが好ましい。これに対し、浮遊導体膜11bのように、電気的に浮遊している導電性部材は、直上13a及び周辺13bからなる領域に配置しても、平面アンテナ12の受信性能に及ぼす影響が小さい。この理由は、電気的に浮遊している導電性部材中に含まれる電子等のキャリアの移動が幾何学的に制限されるため、入射する電波信号を十分に反射できないためであると推測される。このことは、電気的に浮遊している導電性部材であれば、直上13a及び周辺13bからなる領域内に配置してもよい場合があることを意味している。
そこで、本実施形態では、製造プロセスにおいて残存させておいた方が都合のよい導体膜であって、直上13a及び周辺13bからなる領域の内部に位置するものを電気的に浮遊させることにより、平面アンテナ12の受信性能に及ぼす悪影響を低減しているのである。このことは、直上13a及び周辺13bの双方に必ずしも浮遊している導電性部材、この場合は浮遊導体膜11bが存在していなければならないことを意味しない。直上13aのみ又は周辺13bのみに浮遊導体膜11bを配置してもよいし、それらの一部に配置してもよい。また、浮遊導体膜11bを直上13a及び周辺13b以外の領域にさらに配置しても何ら差し支えない。すなわち、浮遊導体膜11bは、受信面12aの直上13a及びその周辺13bからなる領域の少なくとも一部に配置されることになる。
図3は、図1のIII−III線による太陽電池付き電波腕時計100の部分断面図である。同図に示されるように、平面アンテナ12の表側(すなわち、受信面側)に太陽電池基板11が配置され、さらにその表側に文字板2が配置される。そして、本実施形態では、受信面12aの直上13aには太陽電池基板11は形成されておらず、周辺13bの表側には浮遊導体膜11bが太陽電池基板11の表面に形成されている。そして、周辺13bのさらに外側(図中右側)には、太陽電池11aが太陽電池基板11の表面に形成されている。ここで、太陽電池11aは、太陽電池基板11から順に、金属薄膜等の導体膜11a−1、2層の半導体膜11a−2及び11a−3、酸化インジウム錫や酸化インジウム亜鉛等の透明導体膜11a−4がこの順に積層されている。これに対し、本実施形態では、浮遊導体膜11bは、一層の金属薄膜からなっており、その材質は導体膜11a−1と同じである。この理由は主として製造上のものであり、導体膜11a−1を太陽電池基板11の全面に形成したのち、高精度にかつ広範囲にわたりこれを除去するのはプロセス負荷が大きいのに対し、半導体膜11a−2及び11a−3や透明導体膜11a−4の除去は比較的容易である(例えば、浮遊導体膜11b上に犠牲層を形成すればよい)ためである。しかしながら浮遊導体膜11bは電気的に浮遊していれば足り、ここで示した構成に限定されない。すなわち、浮遊導体膜11bは金属薄膜以外に透明導体膜(透明導体膜11a−4と同じもの)や半導体膜(半導体膜11a−2及び11a−3と同じもの)を備えていてもよい。また、太陽電池基板11自体が透明である場合には、浮遊導体膜11b及び太陽電池11aを太陽電池基板11の裏面に形成してもよい。
ところで、本実施形態では、浮遊導体膜11bの形状は図2に示すように、周辺13bに沿った形状となっているため、浮遊導体膜11bの外形線は直上13aの形状(すなわち、平面アンテナ12の受信面12aの形状)に相応したものとなっており、太陽電池付き電波腕時計100の12時−6時方向及び3時−9時方向の直線を多く含んでいる。そして、すでに説明したとおり、太陽電池付き電波腕時計100の文字板2はある程度光線を透過する材質で形成されているため、その裏側に配置される太陽電池基板11が視認されうる。そして、一般に時計の意匠は、指針軸を中心とした放射線及び同心円を基調としているため、浮遊導体膜11bの外形線が指針軸を中心とした放射線及び同心円に沿ったものでない場合、例えば本実施形態のように12時−6時方向の直線を多く含む場合には、かかる浮遊導体膜11bの外形線が違和感を持って視認され、全体として時計の意匠を損なう場合があり得る。
そこで、図4に示す本発明の第2の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の太陽電池基板11においては、浮遊導体膜11bの外形線の少なくとも一部を、指針軸を中心とする放射線としている。図4は、本実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の胴の内部に収容される太陽電池基板11を示す平面図である。なお、本実施形態を説明するにあたり、先の実施形態と同様の部材については同符号を付し、重複する説明は省略することとする。
本実施形態では、浮遊導体膜11bの外形線の少なくとも一部、図4では太線で示した部分を指針軸を中心とした放射線とすることにより、太陽電池付き電波腕時計100の外観上の意匠を損なわないようにしている。なお、浮遊導体膜11bの外形線の少なくとも一部をここで示したように指針軸を中心とした放射線としてもよいし、指針軸を中心とした円弧としてもよく、又その両方を含むようにしてもよい。
また本実施形態では、浮遊導体膜11bの外形線の一部を指針軸を中心とした放射線とした結果、先の実施形態のものに比して、それぞれの浮遊導体膜11bの面積が増大している。ここで、前述したとおり、浮遊導体膜11bが平面アンテナ12の受信性能にあまり大きな影響を与えないのは、浮遊導体膜11b中のキャリアの移動が幾何学的に制限されているためと考えられるが、このことは、電気的に独立している浮遊導体膜11bの大きさ及び形状が平面アンテナ12の受信性能に与える影響に関係することを意味している。そして、浮遊導体膜11bの大きさが大きくなり、キャリアの移動の自由度が大きくなれば、浮遊導体膜11bが平面アンテナ12の受信性能に与える影響は大きくなることが予想される。そのため、浮遊導体膜11bの大きさをむやみに大きくすることは望ましくなく、浮遊導体膜11bが太陽電池基板11上で占める面積は、少なくとも、任意の(例えば、最小の)太陽電池11aが太陽電池基板11上に占める面積よりも小さいものとすることが望ましい。
さらに、浮遊導体膜11bが平面アンテナ12の受信性能に与える影響を低減するために、太陽電池付き電波腕時計100が受信しようとしている電波信号の周波数や、太陽電池付き電波腕時計100そのもの或いは太陽電池基板11、太陽電池11aの形状等に応じて、浮遊導体膜11bを互いに導通しない態様でさらに複数に分割することも有効である。
例えば、図5に示す本発明の第3の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の太陽電池基板11においては、浮遊導体膜11bを、互いに導通しない態様で短冊状に分割している。図5は、本実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の胴の内部に収容される太陽電池基板11を示す平面図である。本実施形態を説明するにあたっても、先の実施形態と同様の部材については同符号を付し、重複する説明は省略することとする。
図中、浮遊導体膜11b中に示した12時−6時方向に延びる実線は、浮遊導体膜11bの分割線であり、各々の浮遊導体膜は12時−6時方向に細長い多数の短冊状の形状となっており、互いに導通していない。なお、本明細書で「短冊状」とは、細長い平面形状のことを指しており、具体的には、ある平面形状の短軸方向と長軸方向の長さの比が2以上となるものを意味する。また、分割された各浮遊導体膜11bの全てが短冊状となっておらずともよく、その一部に短冊状の形状が含まれていればよい。また、分割方向、すなわち、短冊状形状の長辺方向は、ここで示したものは太陽電池付き電波腕時計100の12時−6時方向に一致するが、この方向は任意であり、他にも3時−9時方向としたり、その他の方向としてもよい。この方向をどのように定めるか、また短冊状形状の具体的な長さや幅をどのようにするかは、平面アンテナ12の受信性能への影響を考慮して、経験的あるいは実験的に定めてよい。
さらに、図6に示す本発明の第4の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の太陽電池基板11のように、浮遊導体膜11bを、互いに導通しない態様で格子状に分割してもよい。図6は、本実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の胴の内部に収容される太陽電池基板11を示す平面図である。本実施形態を説明するにあたっても、先の実施形態と同様の部材については同符号を付し、重複する説明は省略することとする。
図中、浮遊導体膜11b中に示した格子線は、浮遊導体膜11bの分割線であり、各々の浮遊導体膜は格子状に分割され、互いに導通していない。この場合においても、浮遊導体膜11bを分割する格子の幅や方向は任意に設定してよい。
なお、第3、第4の実施形態で示したように、浮遊導体膜11bを短冊状あるいは格子状に分割し、個々の浮遊している導体膜の幾何学的な大きさを小さくすることにより、導体膜中のキャリアの移動を適切に制限し、入射する電波信号の反射を有効に抑えることができるものと推測される。しかしながら、導体膜の幾何学的な大きさは、必ずしも小さければ小さいほどよいとは限らない。例えば、第3の実施形態で示した浮遊導体膜11bの場合、12時−6時方向のキャリアの移動はそれ以外の方向に比してそれほど制限されないと考えられる(図5参照)。この場合、同実施形態に係る浮遊導体膜11bは、特定の偏波、例えば、12時−6時方向の直線偏波を有する電波に対しては反射能が他の方向に比べ異なる、例えば、高くなると考えられる。このような理由あるいはその他の理由により、浮遊導体膜11bの分割の態様によっては、特定の偏波あるいは周波数の電波信号に対する透過能が制御され、例えば混信する他の電波信号や、マルチパスによる干渉が抑制されるなどして、所望の電波信号に対する平面アンテナ12の受信性能が高められる若しくはその低下を抑制できる場合がある。
ここまで説明した実施形態では、いずれも、太陽電池基板11は切欠部11cを有しており、平面アンテナ12の直上13aには浮遊導体膜11bが配置されなかったが、浮遊導体膜11bを直上13aに配置するようにしてもよい。図7は、本発明の第5の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の胴の内部に収容される太陽電池基板11を示す平面図である。本実施形態を説明するにあたっても、先の実施形態と同様の部材については同符号を付し、重複する説明は省略することとする。
本実施形態では、太陽電池基板11に切欠部11c(例えば、図2参照)は設けられておらず、直上13aにも浮遊導体膜11bが設けられている。そして、浮遊導体膜11bは、先に説明した第4の実施形態同様に、格子状に分割されている。なお、ここで示した例は一例であり、第3の実施形態のように短冊状に分割してもよいし、その他の形状に分割してもよい。このようにしても、電波信号が浮遊導体膜11bにより反射されることなく透過し、受信面12aへと入射する限りは、平面アンテナ12の受信性能に与える影響は限定的であると考えられる。
さらに、太陽電池付き電波腕時計100の態様或いは受信しようとする電波信号の偏向状態等によっては、浮遊導体膜11bの外形線の形状が平面アンテナ12の受信性能に与える影響を左右する場合が考えられる。
図8は、本発明の第6の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の胴の内部に収容される太陽電池基板11を示す平面図である。本実施形態を説明するにあたっても、先の実施形態と同様の部材については同符号を付し、重複する説明は省略することとする。
本実施形態に係る太陽電池基板11では、浮遊導体膜11bの外形線が屈曲線となっている。なお、ここで浮遊導体膜11bの外形線とは、浮遊導体膜11bと太陽電池11aとを隔てる境界における浮遊導体膜11bの外形を定める線のみならず、複数の浮遊導体膜11b同士を互いに導通しない態様で分割する分割線をも意味している。
ここで、「屈曲線」とは、ある2点間を結ぶ直線でない線であって、何らかの曲率を持っているか、多数回、例えば、3回以上折れ曲がっているものを指している。図8に示した例では、屈曲線として、浮遊導体膜11bの外形線は波線となっているが、これ以外にも鋸刃形状であっても、緩やかな曲線を描く円弧あるいは楕円弧であってもよい。また、浮遊導体膜11bの全ての外形線を屈曲線としなくともよく、少なくとも一部、好ましくは外形線の半分以上の長さが屈曲線となっていればよい。このような形状にすると、浮遊導体膜11bが平面アンテナ12の受信性能に与える影響をさらに低減できる場合があると考えられる。
なお、以上説明した第5及び第6の実施形態並びに次に説明する第7の実施形態及び変形例では、太陽電池基板11を平面アンテナ12の直上13aにおいて切欠かず、浮遊導体膜11bを配置している。かかる構造では、太陽電池基板11を切欠くことなくほぼ円形の平板とできるため、太陽電池基板11の強度が高く取り扱いが容易となる。また、平面アンテナ12の直上13aに太陽電池11a及び浮遊導体膜11bのいずれをも配置しないものとした場合には、図3に示すごとく、透明または半透明の文字板2を通して前面側から平面アンテナ12の受信面12aが直接視認されることとなる。そうすると、その他の領域における太陽電池11aと受信面12aの外見上の差異のため、太陽電池付き電波腕時計100の意匠を損なう場合があり得る。これに対し、浮遊導体膜11bを平面アンテナ12の直上13aに配置し、受信面12aを覆い隠すようにすることで、太陽電池付き電波腕時計100全体の意匠を統一感のあるものとすることができる。
図9は、本発明の第7の実施形態に係る太陽電池付き電波腕時計100の胴の内部に収容される太陽電池基板11を示す平面図である。本実施形態を説明するにあたっても、先の実施形態と同様の部材については同符号を付し、重複する説明は省略することとする。
本実施形態に係る太陽電池基板11では、太陽電池基板11が切欠部11cを有しておらず、平面アンテナ12の直上13aに浮遊導体膜11bが配置されている点において先に説明した第5の実施形態と同様である。そして、本実施形態では、直上13aにおける浮遊導体膜11bの一部に、浮遊導体膜11bが形成されない表示窓11eが設けられている。
この点説明すると、先に述べたとおり、浮遊導体膜11bは導体薄膜であり、光線を透過しないか、若しくは透過性が低い。そのため、表示窓11eを設けることにより、太陽電池基板11の更に裏側に配置された部材が表面から視認できるようにしているのである。この表示窓11eから視認される対象は特に限定されないが、代表的なものとして、日車や曜日車等の表示面、タイムゾーンを示す車の表示面、LCD(液晶ディスプレイ)等のデジタル表示面が挙げられる。また、表示窓11eは、太陽電池基板11自体が透明である場合には浮遊導体膜11bが形成されていなければ足るが、太陽電池基板11が不透明である場合には、浮遊導体膜11bとともに太陽電池基板11自体に設けられた穴となる。
なお、以上説明した各実施形態では、太陽電池付き電波腕時計100の6時の位置に平面アンテナが設けられており、浮遊導体膜11bが6時位置又はその近傍において太陽電池11aに囲まれることなく太陽電池基板11の外周部まで形成されていたが、必ずしもこれに限定されずともよい。例えば、図10に示すように、平面アンテナ12が太陽電池付き電波腕時計100の中央付近に配置される場合等には、浮遊導体膜11bを太陽電池11aに囲まれるように配置してよい。また、その際に、必ずしも浮遊導体膜11bを直上13aを取り囲むように周辺13bに配置せずともよく、その少なくとも一部に配置すればよい点は、前述のとおりである。図10に示した変形例では、直上13aの12時、3時、9時方向の周辺13bには浮遊導体膜11bが配置されているが、6時方向の周辺13bには浮遊導体膜11bは配置されていない。
以上示した第5乃至第7の実施形態及び変形例では、浮遊導体膜11bは互いに導通しない態様で複数に分割されているものとして図示したが(図7乃至10参照)、必ずしもこれに限定されるものではなく、平面アンテナ12の受信性能に問題がなければ、浮遊導体膜11bを分割せず単一のものとしてもよい。
以上説明した実施形態に示した具体的な構成は例示であり、当業者は種々の変形を行ってもよい。例えば、各部材あるいはその部分の形状や数は適宜変更してもよく、図示したものと同一であることを要さない。
なお、以上説明した本発明の実施形態の一つの観点においては、浮遊導体膜の面積は、太陽電池の面積より小さい。浮遊導体膜の面積が大きいと受信性能に悪影響を及ぼすと考えられるからである。
また、本発明の実施形態の別の観点においては、浮遊導体膜は、互いに導通しない態様で複数に分割されている。このようにすれば、各浮遊導体膜の大きさが小さくなり、受信性能に与える影響を低減できる。
また、本発明の実施形態の別の観点においては、浮遊導体膜は、短冊状に分割されている。或いは、浮遊導体膜は、格子状に分割されている。このようにすれば、太陽電池付き電波時計の態様や受信しようとする電波信号に応じて浮遊導体膜が受信性能に与える影響を低減できる。
また、本発明の実施形態の別の観点においては、浮遊導体膜の外形線の少なくとも一部は、屈曲線である。このようにしても、太陽電池付き電波時計の態様や受信しようとする電波信号に応じて浮遊導体膜が受信性能に与える影響を低減できる。
また、本発明の実施形態の別の観点においては、太陽電池基板は、前記受信面の直上に形成されない。このようにすれば、平面アンテナに与える影響が最も大きいと考えられる領域である受信面の直上から導体部材を排除できる。
また、本発明の実施形態の別の観点においては、浮遊導体膜は、受信面の直上を覆い、前記受信面の直上における前記浮遊導体膜の少なくとも一部に前記浮遊導体膜が形成されない表示窓が形成されている。このようにすれば、発電に寄与しない浮遊導体膜に表示窓が形成され、太陽電池の面積が減じられることがない。
また、本発明の実施形態の別の観点においては、浮遊導体膜の外形線の少なくとも一部は、指針軸を中心とする放射線又は円弧である。このようにすれば、太陽電池付き電波時計の外観上の意匠が損なわれない。
1 胴、2 文字板、3 時針、4 分針、5 秒針、6 竜頭、7 プッシュボタン、8 バンド固定部、11 太陽電池基板、11a 太陽電池、11a−1 導体膜、11a−2,11a−3 半導体膜、11a−4 透明導体膜、11b 浮遊導体膜、11c 切欠部、11d 開口、11e 表示窓、12 平面アンテナ、12a 受信面、12b 給電ピン、13a 直上、13b 周辺、100 太陽電池付き電波腕時計。

Claims (9)

  1. 受信面を有する平面アンテナと、
    前記平面アンテナの前記受信面側に配置されており、太陽電池と、前記受信面の直上及びその周辺からなる領域の少なくとも一部に配置される導体膜と、を有する太陽電池基板と、
    を備え
    前記受信面の直上及びその周辺からなる領域における前記導体膜は、実質的に電気的に浮遊している浮遊導体膜である太陽電池付き電波時計。
  2. 前記浮遊導体膜の面積は、前記太陽電池の面積より小さい請求項1に記載の太陽電池付き電波時計。
  3. 前記浮遊導体膜は、互いに導通しない態様で複数に分割されている請求項1又は2に記載の太陽電池付き電波時計。
  4. 前記浮遊導体膜は、短冊状に分割されている請求項3に記載の太陽電池付き電波時計。
  5. 前記浮遊導体膜は、格子状に分割されている請求項3に記載の太陽電池付き電波時計。
  6. 前記浮遊導体膜の外形線の少なくとも一部は、屈曲線である請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽電池付き電波時計。
  7. 前記太陽電池基板は、前記受信面の直上に形成されない請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽電池付き電波時計。
  8. 前記浮遊導体膜は、前記受信面の直上を覆い、前記受信面の直上における前記浮遊導体膜の少なくとも一部に前記浮遊導体膜が形成されない表示窓が形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽電池付き電波時計。
  9. 前記浮遊導体膜の外形線の少なくとも一部は、指針軸を中心とする放射線又は円弧である請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽電池付き電波時計。
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