以下、本発明の一実施形態を、図1〜図21を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を、オフィス等で使用される可動間仕切壁Wに適用したものである。
この可動間仕切壁Wは、図1〜図4に示すように、建築物の天井に取り付けられた天井レール1a〜1cと、一方の壁に設けられた前側の壁見切り材2Aと、前記一方の壁に対向する他方の壁に設けられた後側の壁見切り材2Bと、前記天井レール1a〜1cに移動可能に懸吊支持された複数枚のパネル3、4、5とを具備してなり、前記各パネル3、4、5を他のパネル3、4、5又は前記壁見切り材2A、2Bに当接させてそれらのパネル3、4、5を壁状に隣接配置することができるように構成されたものである。この実施形態では、1枚のドア付きパネル3と、2枚のスタンダードパネル4と、1枚のテレスコープパネル5とを天井に配されたメインの天井レール1aに懸吊支持させた状態でオフィス空間を仕切ることができるようにしたものであるが、ドア付きパネル3や、スタンダードパネル4の枚数は任意である。
この実施形態においては、図1及び図2に示すように、前記メインの天井レール1aの途中に分岐路を形成するための中間の天井レール1bが交差状態で接続されており、この中間の天井レール1bには、前記ドア付きパネル3、前記スタンダードパネル4及び前記テレスコープパネル5を収納しておくための2本の平行な収納用の天井レール1cが交差状態で接続されている。不使用時には、前記ドア付きパネル3、スタンダードパネル4及びテレスコープパネル5が前記収納用の天井レール1cに懸吊支持された状態で厚み方向に隣接させて収納されている。使用時には、図1及び図2に示すように、収納されているドア付きパネル3及びスタンダードパネル4を順次中間の天井レール1bを通過させてメインの天井レール1aの下に引き出し、先頭のドア付きパネル3を前記前側の壁見切り材2Aに衝合させるとともに、その先頭のドア付きパネル3の後端に次に続くスタンダードパネル4の前端を衝合させ、同様な手順で、全てのドア付きパネル3及びスタンダードパネル4をメインの天井レール1aの下に配置する。その状態で、テレスコープパネル5を中間の天井レール1bを通してメインの天井レール1aの下に引き出し、そのテレスコープパネル5を幅方向に拡張することにより、間仕切操作が終了するようになっている。
前記天井レール1a〜1cは、図示しない複数の吊り下げ具を介して建築梁材等に支持されている。なお、前記吊り下げ具及びこの天井レール1a〜1cの具体的な構成は通常のものであるため説明を省略する。
次いで、前記ドア付きパネル3の構造を図5〜図21を参照して説明する。
図5は、前記ドア付きパネル3の正面図であり、後述する面板を省略するとともにさらに一部を破断して内部を示している。また、この図5では、ドア付きパネルの上下方向中間領域を省略して示している。図6は、同パネル3のパネル本体を分解して示す斜視図であり、面板及びドアは省略してある。図7は、図6におけるA−A線に沿った平断面図である。図8は、同パネル3のドア巾木作動機構を示す斜視図である。図9は、同パネル3のドア巾木を没入姿勢(B)とした状態を示す正断面図である。図10は、同パネル3のドア巾木を突出姿勢(T)とした状態を示す正断面図である。図11は、図10におけるB−B線に沿った側断面図である。図12〜図14は、後述するワンタッチシール機構の作動を説明する説明図である。図15は、下巾木作動機構の操作部を示す正面図である。図16は、ドア巾木作動機構を示す斜視図である。図17は、ドア巾木を没入させた状態におけるドア巾木作動機構の状態を示す図である。図18は、ドア巾木を突出させた状態におけるドア巾木作動機構の状態を示す図である。図19は、後述する掛止部材を掛止位置(k)に配した状態を示す図である。図20は、後述する掛止部材が思案点にある状態を示す図である。図21は、後述する掛止部材を待機位置(t)に配した状態を示す図である。
前記ドア付きパネル3は、図5〜図11に示すように、下縁部に下巾木14を備えているとともに天井レール1a〜1cに沿って移動可能に設けられており、このドア付きパネル3が所定の設置位置に達した状態で前記下巾木14を床Fから離間した没入姿勢(B)から突出姿勢(T)にまで作動させ得るように構成されている。
すなわち、このドア付きパネル3は、図5〜図11に示すように、ドア枠21を有するパネル本体11と、このパネル本体11の上部に突没可能に設けられた上巾木12と、この上巾木12を突没動作させるワンタッチシール機構13と、前記パネル本体11の下部に突没可能に設けられた対をなす下巾木14と、操作部23に加えられる操作力に応じて昇降桿を昇降させ前記下巾木を突出姿勢(T)から没入姿勢(B)までの間で突没動作させる下巾木作動機構15と、前記パネル本体11のドア枠21内に開閉可能に配され下縁部にドア巾木25を有するドア16と、このドア16が閉止姿勢にある場合に前記ドア巾木25を後述する付勢部材131による引上げ力を解除して重力により下方に突出させるとともに前記ドアが開き姿勢にある場合に前記ドア巾木25を前記引上げ力により没入させるドア巾木作動機構17と、前記下巾木14を前記突出姿勢(T)から前記没入姿勢(B)に移動させる動きを利用して前記ドア巾木作動機構17の働きを制限し前記ドア16が閉止姿勢にあるにも関わらず前記ドア巾木25を没入姿勢(B)に維持させるドア巾木動作制限機構18と、前記下巾木14が没入姿勢(B)にある場合に掛止位置(k)に配され前記ドア16と前記ドア枠21とを離間しないように連結する掛止部材19と、この掛止部材19を前記下巾木14が突出姿勢(T)から没入姿勢(B)に引き上げられる動きを利用して待機位置(t)から前記掛止位置(k)にまで作動させる掛止部材駆動機構20とを備えたものである。
前記パネル本体11は、前記図5〜図7及び図9〜図11に示すように、下方に開放された通路用の開口部27を有しこの開口部27の両側に前記ドア枠21を構成する竪枠材29を配したものである。詳述すれば、前記パネル本体11は、一対の懸吊支持部30を介して前記天井レール1a〜1cに支持される枠体31と、この枠体31の両側に装着された外装板33とを備えている。前記枠体は、移動方向前端側及び後端側にそれぞれ配された前後の外側竪フレーム35、37と、これら外側竪フレーム35、37の上端部間をそれぞれ連結する上横フレーム39と、前記両外側竪フレーム35、37の内側にそれぞれ添設された平断面コ字形をなす第1の内側竪フレーム41と、この第1の内側竪フレーム41の内側にそれぞれ添設された第2の内側竪フレーム43と、第2の内側竪フレーム間に介設された前記ドア枠21と、第2の内側竪フレームの下端部に架設された下横フレーム45とを具備してなるもので、前記上横フレーム39に前記上巾木12が突没可能に収容されているとともに、前記下横フレーム45内に前記下巾木14が突没可能に配されている。
前記前の外側竪フレーム35は、前記図5〜図7に示すように、角柱パイプ状のもので、外壁47におけるパネル厚み方向中央部分に前方に向かって漸次開口幅が拡大する平面視台形状をなす凹溝47aを有している。この凹溝47aは、設置状態において、前記前側の壁見切り材2Aに設けられた突条2A1が係合するようになっている。
前記後の外側竪フレーム37も、前記図5〜図7に示すように、角柱パイプ状のもので、外壁49におけるパネル厚み方向中央部分に後方に向かって漸次幅狭となる平面視台形状の突条49aを有している。間仕切としての使用時には、前記突条49aと後方に配されたパネルの前の竪フレームに形成された前記凹溝とが係合するようになっている。
前記上横フレーム39は、前記図5、図6及び図9〜図11に示すように、第1の接続用ブラケット48を介して前記前後の外側竪フレーム35、37の上下端部間をそれぞれ連結する横フレーム本体51と、この横フレーム本体51の上面側に添設された巾木収納部材53とを備えている。前記横フレーム本体51は、内壁55と、この内壁55の両側縁から上下方向に延出する側壁57と、これら側壁57の延出端から相寄る方向に延出する外壁59とを備えたチャネル状のものである。前記巾木収納部材53は、前記横フレーム本体51の外壁59に添設された内壁61と、この内壁61の両側縁から上下方向に延出する側壁63とを備えている。
前記第1の内側竪フレーム41は、前記図5〜図7及び図9〜図11に示すように、外方に開放された平断面視コ字形をなすもので、第1の接続用ブラケット48を介して前記外側竪フレーム35、37に結合されている。
前記第2の内側竪フレーム43は、前記図5〜図7及び図9〜図11に示すように、内方に開口したチャンネル状のもので、前記第1の内側竪フレーム41の内壁に止着されている。前記第1及び第2の内側竪フレーム41、43の上端は、前記上横フレーム45の下端に第2の接続用ブラケット65を介して接合されている。
前記ドア枠21は、前記図5、図6及び図9〜図11に示すように、前記第2の内側竪フレームの内縁側にそれぞれ外嵌させた竪枠材29と、これら竪枠材29の上端間に架設された上枠材67とを具備してなるもので、その内側に形成された開口部にドア16が開閉可能に配設されている。
前記下横フレーム45は、前記図5、図6及び図9〜図11に示すように、下方に開放された断面視コ字形をなすもので、その上面に固設された第3の接続用ブラケット69を介して前記第1の内側竪フレーム41に連結されている。
前記上巾木12は、前記図6及び図9〜図11に示すように、前記横フレーム本体41に向けて開口するチャネル状をなす巾木本体71と、この巾木本体71の前後両端部を閉塞するキャップ73とを備えている。前記巾木本体71は、外壁75と、この外壁75の両側縁から上下方向に延出する側壁77とを備えたもので、前記外壁75のパネル厚み方向両端縁に天井レールに密接可能な密接ゴム17を取り付けてある。また、前記側壁77の延出端近傍には、前記上横フレーム39の巾木収納部材53の内面に摺接するタイトシールゴム81を取り付けてあり、前記巾木7が前後方向及び左右方向に移動しても、常時このタイトシールゴム81が前記巾木収納部材53に摺接するようになっている。
前記ワンタッチシール機構13は、前記図9〜図14に示すように、前記上横フレーム39の横フレーム本体51の内壁55にそれぞれ設けられた固定側のリンクベース83と、前記上巾木12に設けられた可動側のリンクベース85と、前記固定側のリンクベース83に基端側を基端ピン87を介して支持させるとともに前記可動側のリンクベース85に先端部を先端ピン89を介して枢支させているリンクアーム91と、前記リンクベース83、85間に設けられた付勢手段であるねじりコイルばね93とを備えたものである。前記固定側のリンクベース83は前記横フレーム本体51の内壁55に止着されこの横フレーム本体51内に配されている。前記可動側のリンクベース85は、前記上巾木12に止着されこの上巾木12内に配されている。前記リンクアーム91は、基端部に長孔91aを有しこの長孔に前記基端ピン87を回転及び摺動可能に挿通させている。前記基端ピン87の両端は、前記固定側のリンクベース83に支持されている。また、前記リンクアーム91の先端部は、前記先端ピン89を介して前記可動側のリンクベース85に回動のみを許容された状態で接続されている。前記ねじりコイルばね93は、一端部を前記基端ピン87に接続しているとともに、他端部を前記可動側のリンクベース85に設けられた作用ピン95に接続している。前記作用ピン95は、前記上巾木12の動きに応じて移動し、前記ねじりコイルばね93の付勢力の方向を変化させるようになっている。すなわち、図12に示すように、作用ピン95が前記先端ピン89の軸心と前記基端ピン87の軸心とを結ぶ仮想面P1に対して前側に変位している状態では、ねじりコイルばね93の付勢力は前記上巾木12をパネル本体11に対して前方に押し出すように働く。そして、上巾木12が前側の壁見切り材2Aに押されて後方すなわちパネル本体11に没入する方向に移動し、図13に示すように前記作用ピン95の軸心が前記仮想面P1上に達した状態で、ねじりコイルばね93によって上巾木12が前後いずれにも付勢されない状態となる。このような思案点を超えて図14に示すように作用ピン95が前記仮想面P1に対して後側に変位すると、ねじりコイルばね93の付勢力は前記上巾木12をパネル本体11に対して後方に引きつけるように働くことになり、前記上巾木12は没入状態を維持するようになっている。この没入状態においては、前記図14に示すように、前記上巾木12は、前記ねじりコイルばね93の付勢力により天井レール1a〜1cに押し付けられることになる。すなわち、ドア付きパネル3を前方に移動させて前側の壁見切り材2Aに衝合させるだけでワンタッチで上巾木12によるシールが完了する。なお、かかる設置状態から解除状態に戻すには、パネル本体11を後方に牽引する操作を加えればよい。すなわち、パネル本体11に後方への操作力が加わると、摩擦力により天井レール1a〜1cに拘束されている上巾木12がパネル本体11に対して相対的に前方に付勢されることになり、以上説明した動作と逆の動作を経て上巾木12がパネル本体11から前方に突出した解除状態に自動的に戻る。
なお、符号179で示される部材は、ドア付きパネル3が前側の壁見切り材2Aに衝合する際に生じる衝撃を緩和するためのアブソーバである。
また、このドア付きパネル3の設置の際には、前記ワンタッチシール機構13の作動に先立ち、床Fに設けた図示しない位置決め用の目印のパネル厚み方向位置と下巾木14に設けた図示しない位置決め用の目印のパネル厚み方向位置とを合わせることによりこのドア付きパネル3のパネル厚み方向位置を決定する操作を行うようにしている。
前記下巾木14は、前記図5、図6及び図9〜図11に示すように、前記下横フレームに向けて開口するチャネル状をなす巾木本体97と、この巾木本体97の前後両端部を閉塞するキャップ99とを備えている。前記巾木本体97は、外壁101と、この外壁101の両側縁から上下方向に延出する側壁103とを備えたもので、前記外壁101のパネル厚み方向両端縁に床に密接可能な密接ゴム105を取り付けてある。また、前記側壁103の延出端近傍には、外装板33の内面に摺接するタイトシールゴム107を取り付けてあり、前記下巾木14が前後方向及び左右方向に移動しても、常時このタイトシールゴム107が外装板33に摺接するようになっている。
前記下巾木作動機構15は、前記図8及び図15に示すように、また前述したように、操作部23に加えられる操作力に応じて昇降桿109、113を昇降させ前記下巾木14を突出姿勢(T)から没入姿勢(B)までの間で突没動作させるものである。
前記操作部23は、前記図8及び図15に示すように、いわゆるフランス落としと称される構成の操作部本体110と、この操作部本体110が有する上下の出力端110aの動きを増幅して前記昇降桿109、113に伝達するリンク部材112とを備えたものである。前記操作部本体110は、上端部及び下端部にそれぞれ出力端110aを有するとともに、外側端側に操作レバー114を備えたもので、その操作レバー114を第1保持位置から第2保持位置まで回動操作することにより、前記出力端110aがそれぞれ一定のストロークXだけ相反する方向に突出するようになっている。内部構造については通常のものであるため、詳細な説明は省略する。また、この操作部本体110は、前記第1及び第2の内側竪フレーム41、43内に配設された操作部収容フレーム116内に収容されており、この操作部収容フレーム116の上端近傍部及び下端近傍部に前記リンク部材112の基端部が軸着されており、前記リンク部材112の中間部分に前記操作部本体110の出力端110aに取り付けられた接続部材118の先端が回動及びスライド可能に接続されている。前記リンク部材112の先端には、前記昇降桿109、113の基端が回動及びスライド可能に接続されている。この実施形態においては、前記図15に示すように、前記操作部本体110の出力端110aの動作ストロークXを前記リンク部材112により二倍に拡大して前記昇降桿109、113に伝達するように設定されている。具体的には、例えば、前記出力端110aの動作ストロークがそれぞれ25mmである場合に、前記昇降桿109、113の昇降ストロークが50mmとなるように設定されている。以上説明した操作部は、ドア付きパネル3の後端面側から前記操作レバー114を操作しうる位置に配されている。
しかして前記下巾木作動機構15は、前記図5、図8及び図15に示すように、前記操作部23と、この操作部23の下側のリンク部材112の先端に接続された第1の昇降桿109と、前記操作部23の上側のリンク部材112の先端に接続された昇降連結桿111と、前側の前記第1の内側竪フレーム内41に配された第2の昇降桿113と、この第2の昇降桿113の上端と前記昇降連結桿111の上端とを接続する天秤部材115と、前記第1の昇降桿109の下端部と後側の前記下巾木14とを変位を弾性的に吸収しうるように接続する第1の接続部117と、前記第2の昇降桿113の下端部と前側の前記下巾木14とを変位を弾性的に吸収しうるように接続する第2の接続部119とを備えている。前記接続部117、119は、前記下巾木14の底壁に立設され前記昇降桿109、113に上下摺動可能に外嵌する接続桿121と、この接続桿121を前記昇降桿109、113に一定のストロークだけ上下遊動し得るようにして接続する図示しない接続具と、前記接続具を前記昇降桿109、113に対して下方に弾性付勢する図示しないばねとを備えたものである。なお、前記天秤部材115は、その中央部分を前記ドア枠21の上枠材67に固定した支点部材123に軸支させているものである。
以上説明した下巾木作動機構15によれば、操作部23の操作レバー114を図15の(a)に示すような第1保持位置に保持している状態では、前記第1の昇降桿109が上死点まで引き上げられ、後側の下巾木14は床面から離れた没入姿勢(B)に保持される。また、この状態では前記昇降連結桿111が下死点まで引き下げられ、この昇降連結桿111に前記天秤部材115を介して連結された前記第2の昇降桿113が上死点まで引き上げられている。そして、前側の下巾木14も床面から離れた没入姿勢(B)に保持される。この状態から前記操作レバー23を図15の(b)に示すような第2保持位置まで回動操作すると、前記第1の昇降桿109が降下し、後側の下巾木14は床面に押し付けられた突出姿勢(T)に保持される。また、このとき前記昇降連結桿111が上昇し、この昇降連結桿111に前記天秤部材115を介して連結された前記第2の昇降桿113は降下するので、前側の下巾木14も床面Fに押し付けられた突出姿勢(T)に保持される。なお、前記第1及び第2の昇降桿109、113は、前記操作部23の出力ストロークだけ降下するが、前記下巾木14は、床面Fに当接した段階でその降下を止め、その後は前記ばねの付勢力により床面Fに押し付けられた状態となる。前記操作レバー114を前記第2の保持位置から第1の保持位置まで戻すと、以上説明した動作と逆の動作が営まれ、前記両下巾木14が元の没入姿勢(B)に復帰する。
前記ドア16は、前記図5、図9及び図10に示すように、前記ドア枠21の一方の竪枠材29に吊元を蝶番124を介して蝶持させたもので、前記開口部33に開閉可能に配されている。すなわち、このドア16は、前記ドア枠21に蝶持されたドア本体125と、このドア本体125の下縁部に突没可能に設けられた前記ドア巾木25とを備えたものである。
前記ドア本体125は、通常のドアノブ及び施錠装置を備えているだけでなく、吊元側の端面に前記ドア巾木作動機構17及び前記ドア巾木動作制限機構18に関連した作動子突没用の開口を有するとともに、反吊元側の端面に前記掛止部材19を掛けるための掛止部を有している。そして、前記一方の竪枠材29の前記開口に対応する位置に後述する係止部材155により塞がれた窓29aが形成されているとともに、前記掛止部に対応する部位に前記掛止部材19が配されている。
前記ドア巾木作動機構17は、前記図5及び図16〜図18に示すように、前記ドア16の吊元側端面16aに突没可能に配された作動子127と、この作動子127の突没動作を前記ドア巾木25の昇降動作に変換する動作変換部129と、前記作動子127を突出方向に付勢して前記ドア巾木25を没入させるための前記引上げ力を惹起させる前記付勢部材131とを具備してなり、前記ドア16を閉める動作に連動して前記作動子127がドア枠21側に配された係止部材155に押圧されて没入動作を行うことで前記ドア巾木25が重力を利用して下方に突出するように構成されたものである。
前記ドア巾木作動機構17の動作変換部129は、前記図9、図10及び図16〜図18に示すように、前記ドア本体125に設けられたベース133と、このベース133に中間部135aを枢支させ一方の回動端135bを前記ドア巾木25にそれぞれ枢着した対をなす平行リンク部材135と、これらの平行リンク部材135の他方の回動端135cに枢結され進退することにより前記平行リンク部材135を回動させて前記ドア巾木25を突没動作させる進退部材137と、この進退部材137に一方の回動端139aを枢着するとともに他方の回動端139bで前記作動子127を付勢すべく前記ベース133に枢支された天秤部材139と、前記天秤部材139と前記作動子127との間に介在する作動子保持部材141と、前記付勢部材131による引上げ力が消勢した際に前記ドア巾木25を重力により下方に突出させて床面Fに着地させるための動作吸収手段142とを備えたものである。
前記進退部材137は、前記図5及び図16〜図18に示すように、棒状のもので、軸心を水平にした状態で前記ベース133に設けられた保持部143にスライド可能に保持されている。前記進退部材137の一端は前記天秤部材139の前記一方の回動端139aに枢着されており、前記進退部材137の他端には鍔部145が設けられている。
前記天秤部材139は、前記図5及び図16〜図18に示すように、軸147を介して中間部を前記ベース133に枢着されたもので、一方の回動端139aが前記進退部材137に接続されているとともに、他方の回動端139bを前記作動子保持部材141に接続している。
前記作動子保持部材141は、前記図5及び図16〜図18に示すように、ドア16の端面と平行な端壁149と、この端壁149の両側縁から内方に延出させた側壁151とを備えた平面視コ字形のもので、前記側壁151に貫通させたピン軸153を介して前記ベース133にスライド可能に保持されている。前記端壁149には、前記作動子127が突設されている。
前記動作吸収手段142は、前記進退部材137と前記平行リンク部材135との間に設けられている。より具体的には、この動作吸収手段142は、前記平行リンク部材135の前記他方の回動端135cに設けられたルーズ孔144と、前記進退部材137に設けられ前記ルーズ孔144に遊動可能に係合するピン146とを備えたものである。
前記作動子127は、前記図5及び図16〜図18に示すように、前記作動子保持部材141の端壁149に固定されたねじ軸127aと、このねじ軸127aに螺合進退可能に装着された作動子本体127bとを備えたもので、前記作動子保持部材141の進退に伴って前記作動子本体127bの先端部がドア16の吊元側端面16aから外方に突没し得るようになっている。なお、前記作動子保持部材141は、前記ピン軸153の1つを介して前記天秤部材139の他端に接続されている。
前記付勢部材131は、前記図5及び図16〜図18に示すように、この進退部材137に巻装した状態で前記鍔部145と前記ベース133に設けられたリテーナたる前記保持部143との間に介在させた圧縮コイルタイプのばねである。この付勢部材131は、前記ドア巾木25を没入させるとともに前記作動子127を突出させる方向に、前記進退部材137を前記ベース133に対して弾性付勢する。
ここで、ドア16の開閉に対応した前記ドア巾木25の動きを説明する。設置状態では、ドア枠21の竪枠材29に設けられた窓29aが係止部材155により塞がれている。そのため、ドア16を閉めてドア16の吊元側端面16aを前記竪枠材29に最接近させると、その閉じる途上で前記作動子127が前記係止部材155に当接しこの作動子127が没入方向に押圧される。その結果、天秤部材139が図18における反時計回り方向に回動し、進退部材137が付勢部材131の付勢力に抗して図中右方向に移動する。その動きが平行リンク部材135に伝達され、前記ドア巾木25が没入姿勢(B)から重力を利用して床Fに接する突出姿勢(T)まで降下する。詳述すれば、進退部材137が付勢部材131の付勢力に抗して図18における右方向に移動している際には、付勢部材131によりドア巾木25を引き上げる付勢力が消勢しているので、ドア巾木25は重力により床Fに向けて前記突出姿勢(T)まで移動する。ドア巾木25に接続された前記平行リンク部材135は、前記一方の回動端135bがドア巾木25にかかる重力に由来する力の伝達を受けることによりドア巾木25が前記突出姿勢(T)に達するまでは前記平行リンク部材135は図中における時計回り方向に回動する。このとき、前記平行リンク部材135の他方の回動端135cは、前記進退部材137に設けたピン146と係わり合った状態を保ちつつ図18における右方向に移動する。前記ドア巾木25が床Fに接した後に、前記進退部材137がさらに図中右方向に移動すると、この進退部材137に設けた前記ピン146が前記ルーズ孔142中で遊動する。従って、ドア16を閉じる際に前記進退部材137を図中右方向に移動させる動作は、前記ドア巾木25が床Fに接した後は前記動作吸収手段142により吸収される。この状態からドア16を開けると、ドア16の吊元側端面16aが一方の竪枠材29から離れて前記作動子127に対する反作用力が消えるため、前記付勢部材131の付勢力により前記進退部材137が図中左方向に移動するとともに、前記作動子127が突出することになる。その結果、前記ドア巾木25は前記突出姿勢(T)から没入姿勢(B)まで引き上げられる。
以上説明した作動は、下巾木14を突出姿勢(T)に降下させた設置状態における原則的な動きであるが、このドア付きパネル3を天井レール1a〜1cに沿って移動させるために前記下巾木14を没入姿勢(B)に上昇させた場合には、前記ドア巾木動作制限機構18の働きにより例外的な作動を行うようになっている。
このドア巾木作動制限機構18は、前記図17及び図18に示すように、前記ドア枠21の一方の竪枠材29に設けられ前記ドア16を閉じた状態で前記ドア巾木作動機構17の作動子127が侵入し得る前記窓29aと、この窓29aを閉塞して前記作動子127の侵入を係止する閉止位置(C)に配された前記係止部材155と、この係止部材144を前記下巾木14が没入する動作を利用して前記作動子127の前記窓29aへの侵入を許容する開放位置(O)にまで退避させる係止部材駆動部157とを備えたものである。
詳述すれば、前記係止部材155は、前記図17及び図18に示すように、前記閉止位置(C)で前記窓29aを塞ぐための係止面161を有した係止部材本体159と、この係止部材本体159の下端側に延設され前記開放位置(O)から閉止位置(C)に移動する際に前記窓29aに侵入している前記作動子127を案内して前記係止面161上に導くためのカム面165を有した延出部163とを備えたものである。そして、前記下巾木14を突出姿勢(T)に保持した設置状態においては前記係止部材本体159の係止面161により前記窓29aが塞がれている。前記下巾木14を没入姿勢(B)に上昇させた場合には、前記係止部材駆動部157の働きにより、前記係止部材本体159が窓29aを開放する位置に待機し、前記窓29aに前記作動子127が侵入できる状態となるようにしてある。
前記係止部材駆動部157は、前記図17及び図18に示すように、基端部を前記第1の昇降桿109に支持させた昇降体167を備えたものであり、この昇降体167の先端部に前記係止部材155が設けられている。そして前記昇降桿109が下死点に降下している状態では、前記係止部材155の係止面161により前記窓29aが閉塞され、前記昇降桿109が上死点に上昇した状態では、前記係止部材155の係止面161による前記窓29aの閉塞状態が解除され、前記作動子127が前記窓29aに侵入しうるようにしてある。なお、このように前記窓29aを開放した状態では係止部材155の延出部163が前記窓29aの奥に臨むようになっている。そのため、この状態から前記昇降桿109が降下して下巾木14が突出姿勢(T)に移動させられる際には、前記窓29aに侵入している作動子127が前記延出部163のカム面165に案内されて徐々に没入動作を行い、前記昇降桿109が下死点に達した段階で前記窓29aが再び係止部材155の係止面161により閉塞されてドア巾木25が突出姿勢(T)に降下するようになっている。
前記掛止部材19は、前記図5〜図11に示すように、前記パネル本体11における他方すなわち前の竪枠材29に配設され前記ドア16に係合して該ドア16の反吊元側が前記前の竪枠材29から離れるのを抑止する掛止位置(k)から前記ドア16に係らない待機位置(t)までの間で動作可能なものである。具体的には、前記掛止部材19は、支軸169を介して前記パネル本体11の前の竪枠材29側に枢支され一方の回動端に前記ドア16の反吊元側に設けられた係合部に係合する鉤爪部171を有したものである。
前記掛止部材駆動機構20は、前記図5、図7〜図11及び図19〜図21に示すように、前記第2の昇降桿113の昇降動作を利用して前記掛止部材19を作動させるようにしたものである。具体的には、前記掛止部材駆動機構20は、前記第2の昇降桿113の取付部に取り付けられた掛止部材用の昇降体173と、この昇降体173を前記掛止部材19の他方の回動端に連結する連結軸175とを備えたものである。なお、第2の昇降桿113に取り付けられた取付部と前記第1の昇降桿109に設けられた前記係止部材駆動部157の昇降体167を取り付けるための取付部とはドア16の幅方向中央を通りドア16の面板に直交する面について面対称である。すなわち、前記係止部材駆動部157の昇降体167と前記掛止部材171用の昇降体173とは同一高さ位置に同一の構造を持って取り付けられており、ドア16の吊元を変更する仕様変更に対しても容易に対応できるようにしてある。具体的には、例えば、各取付部は、昇降桿109、113の外方を向く面に対をなすねじ孔を設けたものである。
また、前記掛止部材駆動機構20は、図19〜図21に示すように、前記昇降桿113を上昇させて前記掛止部材19を前記待機位置(t)から中間位置を経て前記掛止位置(k)に回動させる場合に、前記連結軸175と前記支軸169との軸心間距離が、前記待機位置(t)から前記中間位置までは漸次小さくなり、前記中間位置から前記掛止位置(k)までは漸次大きくなるように構成され、前記連結軸175と前記支軸169とを離間する方向に弾性付勢するためのばね177を備えたものである。この構造により、前記下巾木14を没入姿勢(B)及び突出姿勢(T)において、前記ばね177の付勢力により安定保持させることができる。すなわち、前述したフランス落とし構造をなす操作部23にも2つの位置における安定保持機能を有しているが、以上説明した構成によれば、この安定保持機能をより強化することが可能となる。
前記スタンダードパネル4は、上下の端部にそれぞれ横フレームを有するパネル本体と、このパネル本体の横フレームに支持された上下の巾木と、衝合時の突き合わせ力を利用して前記巾木を前記天井レール及び床に押し付けるワンタッチシール機構とを備えている。このスタンダードパネル4は、巾木をパネル本体に没入させた状態で天井レール1a〜1cに沿って移動させることができ、メインの天井レール1aの下に引き出された段階で前記上下の巾木をパネル本体から突出させて前記ドアパネル3と面一に設置されるようになっている。なお、このスタンダードパネル4の内部構造は、本発明と無関係であるため説明を省略する。
前記テレスコープパネル5は、全ての前記スタンダードパネル4がメインの天井レール1aの下方に引き出された後に、前記スタンダードパネル4と後側の壁見切り材3との間に引き出されるもので、最後尾のスタンダードパネル4の後の竪フレーム21と後側の壁見切り材3との離間距離よりも小さな初期幅を備えている。すなわち、このテレスコープパネル5は、前記天井レールに懸吊支持されたパネル本体と、このパネル本体の上下端部にそれぞれ突没可能に設けられた上巾木及び下巾木と、前記パネル本体の一側部に突没可能に設けられた側巾木とを備えている。このテレスコープパネル5は、上巾木、下巾木及び側巾木をパネル本体に没入させた状態で天井レール1a〜1cに沿って移動させることができ、メインの天井レール1aの下に引き出された段階で前記上巾木、下巾木及び側巾木をパネル本体から突出させて前記スタンダードパネル4と面一に設置されるようになっている。すなわち、メインレールの下に引き出された状態で前記側巾木を突出させることによりこのテレスコープパネルの前端側が前記最後尾のスタンダードパネルの後端に押し付けられるとともに、側巾木が後側の壁見切り材3に押し付けられる。この状態で、上巾木及び下巾木をパネル本体から突出させて天井レール及び床Fに押し付けることにより、設置が完了するようになっている。なお、このテレスコープパネル5の内部構造は、本発明と無関係であるため説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、前記下巾木14が没入姿勢(B)にある場合には前記ドア枠21の前後の竪枠材29間が前記ドア16及び前記掛止部材19を介して連結されることとなり、下方に開放された通路用の開口部27を有しその開口部27にドア枠21を設けたドア付きパネル3において、パネル本体11に特別な補強材を設けることなく、すなわちドア付きパネル3の重量増加を抑えつつ、ドア付きパネル3のひずみの発生を効果的に防止又は抑制することができる可動間仕切壁Wを提供することができるとともに、前記下巾木14が突出姿勢(T)から没入姿勢(B)に引き上げられる際に、手動操作を行うことなく前記掛止部材19を前記掛止位置(k)にまで作動させるようにすることもできる。
さらに、前記掛止部材駆動機構20が、前記下巾木作動機構15の昇降桿113の昇降動作を利用して前記掛止部材19を作動させるようにしたものであるので、前記下巾木作動機構15の昇降桿113を流用することにより少ない部品点数で上述したような掛止部材駆動機構20を得ることができる。
加えて、前記掛止部材19が、支軸169を介して前記前の竪枠材29側に枢支され一方の回動端に前記ドア16の反吊元側に設けられた係合部に係合する鉤爪部171を有したものであり、前記掛止部材駆動機構20が、前記昇降桿113の取付部に取り付けられた掛止部材19用の昇降体173と、この昇降体173を前記掛止部材19の他方の回動端に連結する連結軸175とを備えたものであるので、簡単な構成により上述した掛止部材駆動機構20を実現できる。
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
例えば、上述した実施形態では、ドア付きパネルが、操作部に加えられる操作に応じて昇降桿を昇降させて下巾木を前記突出姿勢から前記没入姿勢までの間で動作させる下巾木作動機構を備えており、掛止部材駆動機構を、下巾木作動機構の昇降桿の昇降動作を利用して掛止部材を作動させるものにしているが、リンク機構を介して下巾木と掛止部材とを接続し、下巾木が没入する際に没入の際の駆動力を前記リンク機構を介して掛止部材に伝達し、前記掛止位置にまで作動させる掛止部材駆動機構等、他の態様の掛止部材駆動機構を採用してもよい。
また、上述した実施形態では、前記掛止部材を、支軸を介してパネル本体に枢支され一方の回動端にドアの反吊元側に設けられた係合部に係合する鉤爪部を有したものにしているとともに、掛止部材駆動機構を、下巾木作動機構の昇降桿の取付部に取り付けられた掛止部材用の昇降体と、この昇降体を前記掛止部材に連結する連結軸とを備えたものにしているが、他の構成の掛止部材や掛止部材駆動機構を採用してももちろんよい。
そして、上述した実施形態では、前記係止部材駆動機構について、前記昇降桿を上昇させて前記係止部材を前記待機位置から中間位置を経て前記掛止位置に回動させる場合に、前記連結軸と前記支軸との軸心間距離が、前記待機位置から前記中間位置までは漸次小さくなり、前記中間位置から前記掛止位置までは漸次大きくなるように構成され、前記連結軸と前記支軸とを離間する方向に弾性付勢するためのばねを備える構成を採用しているが、前記ばねは省略してももちろんよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。