JP6873947B2 - 排水部材及び雨樋 - Google Patents
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Description
一方、この種の雨樋システムには、住宅などの外観を損なうことなく単位時間当たりの排水量を増加させて、大雨時でも好適に雨水を排水管に排出できるようにすることが求められている。そこで、軒樋で処理できる水の流量を増やすには、軒樋自体の断面寸法を大きくしたり、呼び樋や竪樋の口径の拡大、本数の増加を図る必要がある。しかし、これらは、コストの上昇、見栄えの低下といった問題がある。
また、竪樋の開口面積が20cm2以下と小さいため、サイフォン作用を利用しても最大排水流量は十分ではなかった。
しかも、竪樋の口径毎に適合する排水部材を用意する必要があることから、経済性の点で課題があり、軒樋や竪樋の大きさに対応して現場で簡単に調整することで、好適なサイフォン性能をもたせることが求められていた。
また、前記蓋直径R2が、前記開口外径R1の195%以下であることを特徴としてもよい。
また、前記誘導ガイドは円錐状であることを特徴としてもよい。
また、軒樋と、前記軒樋の底面に設置された前記排水部材と、前記軒樋の底部から下方に突出した前記装着筒に接続される竪樋継手と、前記竪樋継手に接続された第1エルボと、前記竪樋継手に前記第1エルボを介して接続される呼び樋と、前記呼び樋に接続された第2エルボと、前記呼び樋に前記第2エルボを介して接続される竪樋と、を備える雨樋であって、前記竪樋の長さは2.0m以上であることを特徴としてもよい。
また、前記第1エルボおよび前記第2エルボは、曲管部の両端に設けられた受け口を有し、前記第1および第2エルボの管軸を含む断面で見たときの前記曲管部の内周側の内壁面の曲率半径は少なくとも64mmより大きく、且つ125mよりも小さいことを特徴としてもよい。
また、前記呼び樋の長さは0m以上2.0m以下であることを特徴としてよい。
また、本発明に係る排水部材は、軒樋と、該軒樋の底面側に開口を形成する落し口部に接続された竪樋と、を備えた雨樋に設けられる排水部材であって、前記軒樋の内側で、前記底面から上方に離間した位置に設置されるとともに、前記底面との間に前記軒樋内の雨水を落し口へ流入させる流入開口を形成する蓋部材を有し、前記蓋部材は、鉛直方向の上方から見て前記落し口部の開口を塞ぐように配置され、鉛直方向に直交する面に対する前記蓋部材の投影面積が前記落し口部の開口の投影面積より大きく設定され、前記底面から上方に10〜50mmの高さの位置に設けられ、前記流入開口の面積は前記落し口部の開口面積よりも大きいことを特徴としている。
つまり、蓋部材の軒樋の底面からの高さが10mmより小さい場合には落ち葉などの異物が流入開口部分で詰まり易くなるうえ、流入開口面積が小さくなることから、所望の排水流量を確保することができない。また、蓋部材の軒樋の底面からの高さが50mmを超える場合には、サイフォンの発生に必要な雨水の水位が上がりすぎてしまい、空気を吸い込みやすくなるためサイフォンが発生し難くなり、排水性能が低下する。そのため、上述したような蓋部材の高さを10〜50mmの範囲とすることが好適である。
ここで、図1及び図4において、紙面右側が建物側である。そして、雨樋1において、建物側を後方、後側といい、建物から離れる側を前方、前側という。
なお、熱による伸縮防止のため、軒樋10は線膨張係数が2.0×10−5/℃以下であることが好ましく、軒樋10の厚さ方向の中心に延伸したPET樹脂製シートや鉄製のシートなど低伸縮性シートを内挿したり、軒樋10を構成する合成樹脂自体にワラストナイトや炭素繊維などの低伸縮性の添加物を配合することで線膨張係数を小さくすることができる。なお、合成樹脂に限るものではなく、金属の押出成形品であっても良い。
軒樋10は、底面幅が100mm以上200mm以下、高さが90mm以上150mm以下とされ、例えば流量4リットル/sec以上20リットル/sec以下の雨水を流すことができる大口径の竪樋に適用可能とされている。
竪樋長さF2が長くなると、下端部11bに流下する雨水Wの排水量が多くなり、集水マス80の内部に雨水Wが勢いよく流入する。
本実施の形態において、サイフォンドレン部材2は硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂の射出成型品である。なお、合成樹脂に限るものではなく、鋳型を用いた鋳鉄製であっても良い。
なお、本実施の形態では、サイフォンドレン部材2の中心軸に相当するドレン軸Oが鉛直方向に一致しているので、蓋部材21の蓋面積A2と落し口部20の開口面積A1は、それぞれ鉛直方向に直交する面に対する蓋部材21の投影面積、及び落し口部20の開口の投影面積に相当している。
筒部22Aは、軒樋10の貫通穴10b(図7参照)に上方から貫通され、竪樋継手13の内側に挿入された状態で配置される。
なお、筒部22Aの外周面には、図示しない雄ねじが形成されていてもよい。この場合には、装着筒22を回転させることで竪樋継手13の内面に形成される雌ねじ(図示省略)に筒部22Aの雄ねじを螺合させて締め込むことで装着することができる。
そして、蓋部材21の外周縁21aと鍔部22Bの外周縁22cとの間に形成される部分が、軒樋10に溜まった雨水Wが落し口部20の開口に流入する流入開口2Aとなる。
なお、流入開口2Aは、水平面に対して直交する方向について、蓋部材21の外周縁21aと軒樋10の底面10aとの間、または装着筒22の鍔部22Bとの間のことをいう。例えば、蓋部材21の外周縁21aが装着筒22の鍔部22Bの外周縁22cより大きい場合、流入開口2Aは蓋部材21の外周縁21aと軒樋10の底面10aとの間に形成される部分となり、蓋部材21の外周縁21aが装着筒22の鍔部22Bの外周縁22cより小さい場合、流入開口2Aは蓋部材21の外周縁21aと装着筒22の鍔部22Bの上面22dとの間に形成される部分となる。
この流入開口2Aの面積は、上述した落し口部20の開口面積A1よりも大きい面積となるよう、後述する蓋部材21の大きさや高さ、形状が調整される。本実施の形態では、流入開口2Aの面積は、円形の蓋部材21の円周、即ち外周縁21aの長さに、後述する蓋部材21の高さHとの積により求めることができる。
なお、本実施の形態では蓋部材21の中心と落し口部20の開口の中心が鉛直方向に一致しているが、軒樋10自体が傾いて蓋部材21と落し口部20が共に斜めになっている場合には、蓋面積A2が落し口部20の開口面積A1と同じ面積とすると、鉛直方向から見て落し口部20の開口を塞ぐことができず、蓋部材21と落し口部20の間に空気が入る隙間(渦流による空気芯)が生じることになる。そのため、蓋部材21は、鉛直方向に直交する面に対する蓋部材21の投影面積が落し口部20の開口の投影面積より大きく設定されていることが好ましい。
例えば、蓋部材21の蓋直径R2としては、例えば落し口部20の開口外径R1が75mmの場合に、75mmを超え185mm以下のものを採用することができる。
なお、蓋部材21が傾いているなどして高さが一定でなくても、高さHが10〜50mmの範囲内であれば良い。
蓋直径R2が落し口部20の開口外径R1の150%よりも小さい場合には、軒樋10内の水位が蓋部材21よりも低くなり、蓋部材21が流入する水に接しない虞がある。また、200%を超えると、流入開口から流入する水流が蓋部材21に衝突する割合が大きくなり、軒樋10内の水位が蓋部材21よりも高くなり過ぎてしまい、サイフォン性能を低下させる可能性がある。
そして、150%以上とすることで、軒樋10全体が前方や後方に傾いている場合であっても、確実に落し口部20の開口を塞ぐことができる。200%以下とすることで収まりが小さくなり、継手や支持具の大型化を防ぐことができる。
なお、軒樋10内の最大水位は、軒樋の前壁15または後壁16のうち、底面14からの高さが低い方の高さのことをいう。また、蓋部材21が傾いているなどして高さが一定でない場合、蓋部材21の高さHのうち最大の高さが軒樋10内の最大水位の0.1〜0.5倍の高さとされていればよい。
先ず、図7に示すように、軒樋10の底壁14のサイフォンドレン部材2を取り付ける位置に貫通穴10bを開ける。続いて、サイフォンドレン部材2を軒樋10内に進入させ、軒樋10の貫通穴10bから装着筒22の筒部22Aを挿入して下方に突出させ、装着筒22の鍔部22Bの段差部22bを軒樋10の底面10aの貫通穴10bの周縁にパッキン等を介在させて係止させて固定する。これにより、図6に示すように、サイフォンドレン部材2が軒樋10内の所定位置に配置され、蓋部材21も落し口部20に対して所定の高さHの位置で保持された状態で固定される。
本実施の形態では、図5に示すように、鉛直方向の上方から見て落し口部20の開口を塞ぐとともに、図9(a)に示すように、軒樋10の底面10aから上方に10〜50mmの高さとなるようにサイフォンドレン部材2の蓋部材21の位置を設定することで、大雨時に多量の雨水が流入開口から流入したときにも空気を吸い込むことなく竪樋11が満水状態となって水封される。したがって、竪樋11にサイフォン現象を発生させることができ、且つ落ち葉などの異物の詰まりを防ぐことができるため、優れたサイフォン性能が得られる。
そのため、上述したような蓋部材21の高さを10〜50mmの範囲とすることが好適であり、30〜40mmの範囲とすることがより好適である。
ここで、蓋部材21の高さHと、落し口部20の口径(開口外径R1)の関係は、R1/H=1.0〜16.0が好適であり、より好ましくは1.3〜8.0であり、最も好ましくは1.5〜〜5.5である。このような範囲とすることで確実にサイフォンを発生させることができる。
しかも、軒樋10の形状(底面幅)や落し口部20の開口面積A1に応じて蓋部材21の底面10aからの高さHを変えることで、サイフォン性能を調整できるため、蓋部材21のバリエーションを少なく抑えることができ、コストの低減を図ることができる。
第1実施例は、上述の実施の形態の蓋部材21に相当する蓋部材21を使用し、その蓋部材21における軒樋31の底面31aからの高さ、蓋部材21の直径を変化させてサイフォンを発生させた実験を行い、排水状態を確認した。
表1は、第1実施例における開口外径R1が75mmの実験の条件と実験結果を示している。表2は、第1実施例における開口外径R1が100mmの実験の条件と実験結果を示している。
表1に示す開口外径R1が75mmの場合において、軒樋31として底面幅が120mm、150mm、200mmの3種類のものを使用し、底面幅120mmで蓋直径が70mm、80mm、95mmの3ケースとし、底面幅150mmで蓋直径が110mm、125mmの2ケースとし、底面幅200mmで蓋直径が140mm、155mm、170mm、185mm、195mmの5ケースとした。
表2に示す開口外径R1が100mmの場合において、軒樋31として底面幅が150mm、200mmの2種類のものを使用し、底面幅150mmで蓋直径が90mm、105mm、120mmの3ケースとし、底面幅200mmで蓋直径が135mm、150mm、165mm、180mm、195mmの5ケースとした。
なお、表1及び表2における右欄には、各ケースにおける開口外径R1に対する蓋直径R2の比率(%)を示している。
また、表1及び表2における下欄には、各蓋部材30の軒樋31の底面31aからの高さHにおける、蓋部材の底面からの高さHに対する開口外径R1の割合を示している。
このときの蓋部材30の蓋直径は、開口外径R1が75mmのケース2〜9で落し口部34の開口外径(75mm)より大きく、かつ185mm以下(開口外径の245%以下)の範囲となり、開口外径R1が100mmのケース12〜18で落し口部34の開口外径(100mm)より大きく、かつ195mm以下(開口外径の245%以下)の範囲となることが確認された。
一方、蓋部材30の高さが大きく(本実験で40mmを超える場合)、蓋直径が小さい(本実験で95mmより小さい場合)場合には、図9(b)に示すように、軒樋31内の水位が蓋部材30よりも低くなり、サイフォン作用が発生しにくい可能性があることが確認された。
また、蓋部材30の高さが小さく(本実験で30mmより小さい場合)、蓋直径が大きい(本実験で155mmより大きい場合)場合には、図9(c)に示すように、流入開口から流入する水流が蓋部材30に衝突する割合が大きくなるため水流が乱れてサイフォン性能を低下させ、また、開口面積が小さいため流量が低くなる可能性があることが確認された。
本第2実施例は、上述した実施の形態のサイフォンドレン部材2の形状に関する優位性を実験により確認した。
すなわち、第2実施例では、表3に示すように、15種の異なる形状の排水部材のケース(A、B、C、D、E、G、H、T、V、F、S、W、X、既存)において、底面幅150mmの軒樋を使用し、軒樋に流量4リットル/sec、5リットル/sec、及び6リットル/sec(降雨100mm/hに相当)の水を流し、落し口部の開口中心から軒樋の延長方向で150mmの位置で水位を測定するとともに、各ケースにおいてサイフォン現象、排水性能、騒音、成形・組立のしやすさ等の評価項目を確認して評価した。
表3において、誘導ガイドは、円錐形状のものを「R」とし、上述した実施の形態のような放射状のものを「放射状」とし、誘導ガイドが無いものを「なし」としている。ここで、ケースGの形状は、上述した実施の形態のサイフォンドレン部材2に相当している。
図11に示す実験の結果、ケースC、D、E、G、H、Tの排水部材では、水位、サイフォン現象、排水性能の点で安定した状態であることが確認できた。一方で、ケースA、B、V、F、S、W、X、既存の排水部材の場合には、水位が40mmを超えて高く不安定な状態であった。さらに、ケースGの排水部材は、上述した評価項目において総合的に優れていることが確認できた。
この場合においても、サイフォンドレン部材2をじょうご10A内に進入させ、じょうご10Aの貫通穴10bから装着筒22の筒部22Aを挿入して下方に突出させ、装着筒22の鍔部22Bの段差部22bをじょうご10Aの底面10aの貫通穴10bの周縁にパッキン等を介在させて係止させて固定する。これにより、サイフォンドレン部材2がじょうご10A内の所定位置に配置され、図13に示す蓋部材21も落し口部20に対して所定の高さの位置で保持された状態で固定される。
要は、蓋部材が軒樋の内側で、底面から上方に離間した位置に設置され、鉛直方向の上方から見て落し口部の開口を塞ぐように配置され、蓋面積が落し口部の開口面積より大きく設定され、底面から上方に10〜50mmの高さの位置に設けられていればよく、蓋部材の取り付け構造に関してはとくに制限されることはない。
また、蓋部材40の下面40bには、鉛直方向の上方から見て落し口部20の開口に重ならない領域において放射状に複数の縦リブ42が設けられている。
なお、例えば、矩形の蓋部材の場合には、矩形の最小幅寸法が落し口部の開口外径より大きく、かつ開口外径の245%以下となるように設定される。
すなわち、図22に示す第5変形例の第1じょうご10Bは、底面10aより下方に凹んだ第1凹部10dが形成された洋風じょうご型のものである。この場合の蓋部材50は、竪樋11の直上の位置で、かつ第1凹部10dが形成されていない底面10aから上方に10〜50mmの高さHの位置に設けられている。
この場合の蓋部材50は、竪樋11の直上の位置で、かつ第2凹部10eが形成されていない底面10aから上方に10〜50mmの高さHの位置に設けられている。
2 サイフォンドレン部材(排水部材)
2A 流入開口
10 軒樋
10A、10B、10C、10D じょうご
10a 底面
10b 貫通穴
11 竪樋
12 呼び樋
20 落し口部
21 蓋部材
22 装着筒
23 縦リブ
24 把持リブ
25 誘導ガイド
40 蓋部材
O ドレン軸
R1 落し口部の開口外径
R2 蓋直径
A1 落し口部の開口面積
A2 蓋面積
W 雨水
Claims (6)
- 軒樋と、該軒樋の底面側に開口を形成する落し口部に接続された竪樋と、を備えた雨樋に設けられる排水部材であって、
前記落し口部を形成する筒部と、前記筒部の上端から径方向の外側に延びる板状の鍔部と、前記鍔部に設けられた複数の縦リブと、を有する装着筒と、
前記軒樋の内側で、前記底面から上方に離間した位置に設置されるとともに、前記底面との間に前記軒樋内の雨水を落し口へ流入させる流入開口を形成する蓋部材と、
を有し、
前記筒部と前記鍔部との接続部分はテーパー面、或いは曲面に形成され、
前記鍔部の外周側の下面には、前記軒樋の底面上に係止される段差部を備え、
前記蓋部材は、前記落し口部の上方に配置され、
前記蓋部材の下面には、誘導ガイドが形成され、
前記蓋部材の前記底面からの高さHが10mm以上50mm以下であり、
前記落し口部の開口面積は、30cm2以上190cm2以下であり、
前記蓋部材の高さHに対する前記落し口部の開口外径R1の比率であるR1/Hが1.5〜5.5であり、
前記蓋部材の蓋直径R2が、前記開口外径R1より大きく、かつ前記開口外径R1の245%以下であることを特徴とする排水部材。 - 前記蓋直径R2が、前記開口外径R1の195%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の排水部材。
- 前記誘導ガイドは円錐状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の排水部材。
- 軒樋と、
前記軒樋の底面に設置された請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水部材と、
前記軒樋の底部から下方に突出した前記装着筒に接続される竪樋継手と、
前記竪樋継手に接続された第1エルボと、
前記竪樋継手に前記第1エルボを介して接続される呼び樋と、
前記呼び樋に接続された第2エルボと、
前記呼び樋に前記第2エルボを介して接続される竪樋と、
を備える雨樋であって、
前記竪樋の長さは2.0m以上であることを特徴とする雨樋。 - 前記第1エルボおよび前記第2エルボは、曲管部の両端に設けられた受け口を有し、
前記第1および第2エルボの管軸を含む断面で見たときの前記曲管部の内周側の内壁面の曲率半径は少なくとも64mmより大きく、且つ125mmよりも小さいことを特徴とする、請求項4に記載の雨樋。 - 前記呼び樋の長さは0m以上2.0m以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の雨樋。
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