JP6789359B1 - 雨水排水配管構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイフォン現象を適用して上層階から階下に向かって雨水を排水する際に、途中階に設けられた合流部において、枝管から本管に安定して排水を合流させることが可能な雨水排水配管構造を提供することを目的とする。【解決手段】上層階に配置されたサイフォン式排水部材と、前記サイフォン式排水部材から流入する雨水を上層階から階下に向かって流下する本管122と、本管122の高さ方向における途中に位置する合流部120Tに接続され、合流部120Tに外部から排水を流入させる枝管150と、を備え、合流部120Tに縮径部131が設けられている、雨水排水配管構造100。【選択図】図5

Description

この発明は、建築物に配置され上層階から階下に向かって雨水を排水する雨水排水配管構造に関する。
工場やショッピングセンター等の大型施設の建築物では、建築物の多用途化、複雑化が進む中で、屋上やバルコニー等に、サイフォン式排水部材を配置して、雨水を上層階から階下に向かって効率的に排水する技術が広く普及しつつある。
サイフォン式排水部材を用いた雨水排水配管構造は、サイフォン式排水部材から流入した雨水に管内でサイフォン現象を発生させ、このサイフォン現象によって満管流とし排水能力を向上させるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2019−007250号公報
サイフォン現象を用いた雨水排水配管構造では、本管の管内圧力は、上層階では負圧となる。しかし、下層階に近づくにつれて本管の管内圧力が上昇し、下層階では、排水の管内圧力が正圧にまで上昇して、枝管からの排水を本管に合流させることが次第に困難となる。
その結果、排水を本管に合流させることが可能な箇所は限定され、管内圧力が正圧となる下層階での合流は不可能となっている。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、サイフォン現象を適用して上層階から階下に向かって雨水を排水する際に、途中階に設けられた合流部において、枝管から本管に安定して排水を合流させることが可能な雨水排水配管構造を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]建築物に配置され上層階から階下に向かって雨水を排水する雨水排水配管構造であって、
上層階に配置されたサイフォン式排水部材と、
前記サイフォン式排水部材から流入する雨水を前記上層階から前記階下に向かって流下する本管と、
前記本管の高さ方向における途中に位置する合流部に接続され、前記合流部に外部から排水を流入させる枝管と、を備え、
前記合流部、または前記本管の前記合流部の上方に縮径部が設けられている、雨水排水配管構造。
[2]前記縮径部が前記本管の前記合流部の上方に設けられている、[1]に記載の雨水排水配管構造。
[3]前記縮径部が前記合流部に設けられている、[1]に記載の雨水排水配管構造。
[4]前記縮径部が、前記合流部を形成する継手に設けられている、[3]に記載の雨水排水配管構造。
この発明に係る雨水排水配管構造によれば、サイフォン現象を適用して上層階から階下に向かって雨水を排水する際に、途中階に設けられた合流部において、枝管から本管に安定して排水を合流させることができる。
本発明の第1実施形態に係る雨水排水配管構造の概略構成の一例を説明する概念図である。 第1実施形態に係る雨水排水配管構造に適用するサイフォン式排水部材の概略構成の一例を説明する斜視図である。 第1実施形態に係る雨水排水配管構造に適用するサイフォン式排水部材の概略構成の一例を説明する側面図である。 第1実施形態に係る雨水排水配管構造の概略構成を説明する概略構成図である。 第1実施形態に係る雨水排水配管構造における合流部に設けられた縮径部を説明する断面図である。 第2実施形態に係る雨水排水配管構造における合流部に設けられた縮径部を説明する断面図である。 第3実施形態に係る雨水排水配管構造における合流部に設けられた縮径部を説明する断面図である。 第3実施形態に係る雨水排水配管構造に用いる縮径部材の底面図である。 第4実施形態に係る雨水排水配管構造における合流部の上方に設けられた縮径部を説明する断面図である。 第5実施形態に係る雨水排水配管構造における合流部の上方に設けられた縮径部を説明する断面図である。 本発明の第6実施形態に係る雨水排水配管構造の概略構成の一例を説明する概念図である。 第6実施形態に係る雨水排水配管構造に適用するサイフォン式排水部材の概略構成の一例を説明する縦断面図である。 第6実施形態に係る雨水排水配管構造に適用するサイフォン式排水部材の概略構成の一例を説明する斜視図である。
<第1実施形態>
以下、図1〜図4を参照し、第1実施形態に係る雨水排水配管構造(雨水排水システム)について説明する。
図1は第1実施形態に係る雨水排水配管構造の概略構成の一例を説明する概念図である。また、図2は第1実施形態に係る雨水排水配管構造に適用するサイフォン式排水部材の概略構成の一例を説明する斜視図であり、図3はその側面図である。また、図4は第1実施形態に係る雨水排水配管構造の概略構成を説明する概略構成図である。
雨水排水配管構造100は、図1に示すように、例えば、8階建ての建築物10に適用されている。
建築物10としては、例えば、高さ20m以上の工場やショッピングセンター、倉庫や大型の駐車場等を例示できる。
雨水排水配管構造100は、サイフォン式排水部材20と、サイフォン式排水部材20から流入する雨水を下層階に向かって排水する雨水配管本体120と、途中階の合流部120Tにおいて、雨水配管本体120に接続される枝管150と、を備えている。
雨水排水配管構造100は、図4に示すように、上層階から流下した排水と枝管150から合流した排水を地中に埋設された雨水ます160に排水するように構成されている。雨水ます160に流入した雨水は、配管161を介して系外に排出されるようになっている。
サイフォン式排水部材20は、図2及び図3に示すように、ベースプレート部111と、複数の縦リブ112と、筒部113と、を備えている。
ベースプレート部111は、略円形状であり、中央部に円形の流通孔110Hが形成されている。複数の縦リブ112は、ベースプレート部111の上面に一体に形成され、上方に向かって立ち上がり、ベースプレート部111の周方向に間隔をあけて配置されている。筒部113は、流通孔110Hの周縁部から下方に向かって延びるように設けられている。
図1に示すように、サイフォン式排水部材20(排水部材)は、建築物10の屋根の軒先に配置される大型の雨樋11の内側に設けられている。
雨樋11は、屋根の軒先から流下した雨水を受けて排水する。雨樋11は、硬質塩化ビニル樹脂やABS、AES等の合成樹脂の押出成形品である。雨樋11は、平坦な底壁11Aの前端から前壁11Bが立設され、かつ底壁11Aの後端から後壁11Cが立設された溝形断面に形成されている。雨樋11は、例えば、不図示の鼻隠し板に取り付けられた雨樋吊具(図示省略)により吊設される。
図2に示すサイフォン式排水部材20は、大雨時に雨樋11内に流入した雨水の排水能力を向上させるための高排水機能を有する排水部材である。サイフォン式排水部材20は硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂の射出成型品である。なお、合成樹脂に限るものではなく、鋳型を用いた鋳鉄製であっても良い。
サイフォン式排水部材20は、板状に形成された蓋部材21と、上端部内が落し口部22aとされた装着筒22と、蓋部材21と装着筒22とを接続し、上面視で落し口部22aに重ならない位置で周方向に間隔をあけて配置された複数の縦リブ23と、を備えている。
装着筒22は、雨樋11の底壁11Aを上下方向に貫通している。装着筒22の上端には、鍔部22Dが設けられている。鍔部22Dは、底壁11Aの上面に配置され、底壁11Aによって下方から支持されている。蓋部材21の外周縁と鍔部22Dの外周縁との間に形成される部分が、雨樋11に溜まった雨水を落し口部22aの開口に流入させる流入開口部20Aとなる。
複数の縦リブ23は、装着筒22の鍔部22Dと蓋部材21の外周部とを連結している。縦リブ23は、流入開口部20Aから落し口部22aに流入される雨水を整流する。
蓋部材21は、複数の縦リブ23を介して装着筒22に支持される。蓋部材21は、雨樋11の内側に配置され、落し口部22aから上方に離間した位置に設置される。
サイフォン式排水部材20は、サイフォン現象によって、落し口部22aに流れ込んだ雨水(排水)の中心近傍に空気柱が形成されるのを抑制して、雨水を階下に向かって効率的に流すようになっている。
なお、サイフォン式排水部材20の構成は一例であり、構成については任意に設定することが可能である。
図3に示すように、サイフォン式排水部材20の下流側には、エルボ121Lが設置される。エルボ121Lは、サイフォン式排水部材20と雨水配管本体120(横配管121)とを接続する。
雨水配管本体120は、図1及び図4に示すように、横配管121と、本管122と、を備えている。
横配管121は、例えば、略水平方向に沿って配置された直管により構成されていて、エルボ(不図示)を介して本管122の上端部に接続されている。雨水配管本体120では、サイフォン式排水部材110から横配管121を通じて本管122に流入した雨水が、上層階から階下に向かって流下する。
本管122は、第1縦配管123と、T字継手124と、第2縦配管125とを備えている。本管122においては、第1縦配管123、T字継手124、第2縦配管125が上からこの順に接続されている。
本実施形態では、本管122の第2縦配管125の下側が地中に埋設され、本管122が地中から立ち上がるように配置されている。第2縦配管125の下端部は、エルボ126、接続管127、エルボ128を介して雨水ます160に接続されていて、流下した排水を雨水ます160に排出するようになっている。
第1縦配管123及び第2縦配管125は、例えば、呼び径100Aの硬質ポリ塩化ビニル製の円形直管により構成され、建築物の高さ方向に沿って配置されている。
なお、第1縦配管123及び第2縦配管125の材料及びサイズ(呼び径)については任意に設定することが可能である。
T字継手124は、高さ方向の両側の管端部に受口を有する継手本管部124aと、継手本管部124aの高さ方向の中央部から水平方向に分岐する継手枝管部124bとを備えている。T字継手124として、例えば、90°Y管を使用することもできる。
T字継手124の継手本管部124aの上下の管端部の受口124c,124eには第1縦配管123と第2縦配管125がそれぞれ受け入れられて接続される。T字継手124の継手枝管部124bには枝管150が受け入れられて接続される。
T字継手124の材料としては、例えば、硬質ポリ塩化ビニルを例示できる。
T字継手124のサイズとしては、例えば、呼び径100Aとすることができる。
なお、T字継手124の材料及びサイズ(呼び径)については任意に設定することが可能である。
本管122においては、継手本管部124a内の流路における継手枝管部124bの流路と合流する部分が合流部120Tである。このように、本管122には高さ方向の途中に合流部120Tが形成されている。合流部120Tでは、枝管150からの排水が本管122に合流される。
本実施形態において、合流部120Tは、例えば、建築物10の3階に位置されていて、例えば、地表からの高さは10m以下に設定されている。
T字継手124の継手本管部124aの内部には縮径部材130が設けられている。
縮径部材130は、管状の縮径部131と、縮径部131の上端部から径方向に張り出すフランジ部132とを備えている。縮径部131は、フランジ部132の内縁から下方に向かうにつれて漸次縮径する円錐状の第1縮径部133と、第1縮径部133の下端から下方に延びる円筒状の第2縮径部134とを備えている。
縮径部131の内径は、継手本管部124aの合流部120Tの内径よりも小さくなっている。
縮径部材130は、T字継手124の上側の受口124cから挿入され、フランジ部132が受口124cの底の段差124dに引っ掛けられるようにして継手本管部124aに嵌め込まれている。T字継手124の上側の受口124cは、縮径部材130が嵌め込まれた状態で第1縦配管123を受け入れる。
雨水排水配管構造100では、縮径部材130の縮径部131が合流部120Tに設けられている。本実施形態では、縮径部材130の縮径部131の下端がT字継手124の下側の受口124eまで達し、縮径部131が合流部120Tを通過するように設けられている。
本管122では、排水が流下する際に下層階に近づくにつれて管内圧力が上昇するが、縮径部131を通過するときに管内圧力が下降する。合流部120Tに縮径部131が設けられていることで、本管122における縮径部131の下端側で管内圧力が正圧まで上昇することが抑制される。その結果、枝管150からの排水が本管122に合流しやすくなる。
本管122の合流部120Tの内径Dに対する縮径部131の内径の最小値d1の比(d1/D)は、70%以上、90%以下が好ましく、75%以上、85%以下がより好ましい。d1/Dが前記範囲内であれば、本管側の排水性を確保しながら、枝管側の排水性も確保できる。
枝管150は、例えば、建築物10の3階に位置する大庇10cから枝管150に流れ込んだ雨水を、本管122の合流部120Tに外部から合流させるように構成されている。なお、枝管150に流れ込む雨水は、大庇10cから流れ込む雨水に限られず、例えば、建築物10に設けられたバルコニーや車路(例えば、建築物10の外周に設けられることで屋外に一部分が露出している車路)から流れ込む雨水であってもよい。
この実施形態において、合流部120Tは、例えば、建築物10の3階に位置されていて、例えば、地表からの高さは10m以下に設定されている。
枝管150は、例えば、直管、エルボ等を適宜組み合わせて構成することができる。枝管150は、例えば、呼び径100Aの硬質ポリ塩化ビニル製の管体により構成される。
なお、枝管150の材料及びサイズ(呼び径)については任意に設定することが可能である。
第1実施形態に係る雨水排水配管構造100によれば、本管122の合流部120Tに縮径部131が設けられているため、サイフォン現象を利用して上層階から下層階に排水を流下する際に、本管122の合流部120T近傍で管内圧力が正圧まで上昇することを抑制できる。その結果、合流部120Tにおいて、枝管150から本管122に安定して排水を合流させることができる。
また、雨水排水配管構造100によれば、例えば、3階以下の低い階や地上から10m以下に形成された合流部120Tにおいて、枝管150からの排水を本管122に安定して合流させることができる。その結果、建築物10の低い位置や下層階において、本管122に枝管150を接続することができる。
また、雨水排水配管構造100によれば、地表から10m以下の高さに合流部120Tを形成することで、建築物10の目立たない低い位置に配置することができる。
また、雨水排水配管構造100によれば、建築物10の3階以下の低層階に合流部120Tを形成することができるので、雨水排水配管構造100の設計上の自由度を向上させることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る雨水排水配管構造200は、図6に示すように、雨水排水配管構造100におけるT字継手124の継手本管部124aの内部に、縮径部材130の代わりに縮径部材140が設けられている。雨水排水配管構造200は、縮径部材130の代わりに縮径部材140が設けられている以外は、雨水排水配管構造100と同じ態様である。雨水排水配管構造200における雨水排水配管構造100と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
縮径部材140は、管状であり、受口141と、受口141の下端から下方に延びる挿口142と、挿口142の下端から下方に延びる縮径部143とを備えている。
受口141は第1縦配管123を受け入れる。挿口142は、受口141よりも外径が小さくなっており、T字継手124の上側の受口124cに受け入れられる。縮径部143は挿口142よりも外径が小さくなっている。縮径部143の内径は、継手本管部124aの合流部120Tの内径よりも小さくなっている。
縮径部材140は、挿口142及び縮径部143がT字継手124の上側の受口124cから挿入され、挿口142の下端部が受口124cの底の段差124dに引っ掛けられるようにして継手本管部124aに嵌め込まれている。この状態で縮径部材140の受口141が第1縦配管123を受け入れる。
雨水排水配管構造200では、縮径部材140の縮径部143が合流部120Tに設けられている。本実施形態では、縮径部材140の縮径部143の下端がT字継手124の下側の受口124eまで達し、縮径部143が合流部120Tを通過するように設けられている。
本管122では、排水が流下する際に下層階に近づくにつれて管内圧力が上昇するが、縮径部143を通過するときに管内圧力が下降する。合流部120Tに縮径部143が設けられていることで、本管122における縮径部143の下端側で管内圧力が正圧まで上昇することが抑制される。その結果、枝管150からの排水が本管122に合流しやすくなる。
本管122の合流部120Tの内径Dに対する縮径部143の内径の最小値d2の比(d2/D)は、70%以上、90%以下が好ましく、75%以上、85%以下がより好ましい。d2/Dが前記範囲内であれば、本管側の排水性を確保しながら、枝管側の排水性も確保できる。
第2実施形態に係る雨水排水配管構造200によれば、本管122の合流部120Tに縮径部143が設けられているため、サイフォン現象を利用して上層階から下層階に排水を流下する際に、本管122の合流部120T近傍で管内圧力が正圧まで上昇することを抑制できる。その結果、合流部120Tにおいて、枝管150から本管122に安定して排水を合流させることができる。
また、雨水排水配管構造200によれば、例えば、3階以下の低い階や地上から10m以下に形成された合流部120Tにおいて、枝管150からの排水を本管122に安定して合流させることができる。その結果、建築物10の低い位置や下層階において、本管122に枝管150を接続することができる。
また、雨水排水配管構造200によれば、地表から10m以下の高さに合流部120Tを形成することで、建築物10の目立たない低い位置に配置することができる。
また、雨水排水配管構造200によれば、建築物10の3階以下の低層階に合流部120Tを形成することができるので、雨水排水配管構造200の設計上の自由度を向上させることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る雨水排水配管構造300は、図7に示すように、雨水排水配管構造100におけるT字継手124の継手本管部124aの内部に、縮径部材130の代わりに縮径部材170が設けられている。雨水排水配管構造300は、縮径部材130の代わりに縮径部材170が設けられている以外は、雨水排水配管構造100と同じ態様である。雨水排水配管構造300における雨水排水配管構造100と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
縮径部材170は、図7及び図8に示すように、管状であり、受口171と、受口171の下端から下方に延びる挿口172と、挿口172の下端から下方に延びる縮径部173とを備えている。
受口171は第1縦配管123を受け入れる。挿口172は、受口171よりも外径が小さくなっており、T字継手124の上側の受口124cに受け入れられる。
縮径部173は、断面形状が円弧状の湾曲部173aと、平板部173bとを備えている。下端側から見た底面視での縮径部173の形状は、円の一部が直線的に切り欠かれた形状になっている。
縮径部材170は、挿口172及び縮径部173がT字継手124の上側の受口124cから挿入され、挿口172の下端部が受口124cの底の段差124dに引っ掛けられるようにして継手本管部124aに嵌め込まれている。縮径部173は、平板部173bが継手枝管部124b側となるように設けられている。この状態で縮径部材170の受口171が第1縦配管123を受け入れる。
雨水排水配管構造300では、縮径部材170の縮径部173が合流部120Tに設けられている。本実施形態では、縮径部材170の縮径部173の下端がT字継手124の下側の受口124eまで達し、縮径部173が合流部120Tを通過するように設けられている。
本管122では、排水が流下する際に下層階に近づくにつれて管内圧力が上昇するが、縮径部173を通過するときに管内圧力が下降する。合流部120Tに縮径部173が設けられていることで、本管122における縮径部173の下端側で管内圧力が正圧まで上昇することが抑制される。その結果、枝管150からの排水が本管122に合流しやすくなる。
本管122の合流部120Tの内径Dに対する、縮径部173の平板部173bと湾曲部173aとの距離の最大値d3の比(d3/D)は、70%以上、90%以下が好ましく、75%以上、85%以下がより好ましい。d3/Dが前記範囲内であれば、本管側の排水性を確保しながら、枝管側の排水性も確保できる。
第3実施形態に係る雨水排水配管構造300によれば、本管122の合流部120Tに縮径部173が設けられているため、サイフォン現象を利用して上層階から下層階に排水を流下する際に、本管122の合流部120T近傍で管内圧力が正圧まで上昇することを抑制できる。その結果、合流部120Tにおいて、枝管150から本管122に安定して排水を合流させることができる。
また、雨水排水配管構造300によれば、例えば、3階以下の低い階や地上から10m以下に形成された合流部120Tにおいて、枝管150からの排水を本管122に安定して合流させることができる。その結果、建築物10の低い位置や下層階において、本管122に枝管150を接続することができる。
また、雨水排水配管構造300によれば、地表から10m以下の高さに合流部120Tを形成することで、建築物10の目立たない低い位置に配置することができる。
また、雨水排水配管構造300によれば、建築物10の3階以下の低層階に合流部120Tを形成することができるので、雨水排水配管構造300の設計上の自由度を向上させることができる。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る雨水排水配管構造400は、図9に示すように、雨水排水配管構造100におけるT字継手124の継手本管部124aの内部に、縮径部材130の代わりに縮径プレート180が設けられている。雨水排水配管構造400は、縮径部材130の代わりに縮径プレート180が設けられている以外は、雨水排水配管構造100と同じ態様である。雨水排水配管構造400における雨水排水配管構造100と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
縮径プレート180は、中央部に円形状の開口181を有する円環状の板部材である。
開口181の直径d4は、継手本管部124aの合流部120Tの内径Dよりも小さくなっている。これにより、縮径プレート180の開口181が縮径部182となる。
縮径プレート180は、T字継手124の上側の受口124cから挿入され、受口124cの底の段差124dの上に引っ掛けられるようにして継手本管部124aに嵌め込まれている。この状態でT字継手124の上側の受口124cが第1縦配管123を受け入れる。
雨水排水配管構造400では、T字継手124の上側の受口124cに縮径プレート180が嵌め込まれることで、合流部120Tの上方に縮径部182が設けられている。
本管122では、排水が流下する際に下層階に近づくにつれて管内圧力が上昇するが、縮径部182を通過するときに管内圧力が下降する。合流部120Tに縮径部182が設けられていることで、本管122における縮径部182の下端側で管内圧力が正圧まで上昇することが抑制される。その結果、枝管150からの排水が本管122に合流しやすくなる。
本管122の合流部120Tの内径Dに対する開口181の直径d4の比(d4/D)は、70%以上、90%以下が好ましく、75%以上、85%以下がより好ましい。d4/Dが前記範囲内であれば、本管側の排水性を確保しながら、枝管側の排水性も確保できる。
第4実施形態に係る雨水排水配管構造400によれば、本管122の合流部120Tの上方に縮径部182が設けられているため、サイフォン現象を利用して上層階から下層階に排水を流下する際に、本管122の合流部120T近傍で管内圧力が正圧まで上昇することを抑制できる。その結果、合流部120Tにおいて、枝管150から本管122に安定して排水を合流させることができる。
また、雨水排水配管構造400によれば、例えば、3階以下の低い階や地上から10m以下に形成された合流部120Tにおいて、枝管150からの排水を本管122に安定して合流させることができる。その結果、建築物10の低い位置や下層階において、本管122に枝管150を接続することができる。
また、雨水排水配管構造400によれば、地表から10m以下の高さに合流部120Tを形成することで、建築物10の目立たない低い位置に配置することができる。
また、雨水排水配管構造400によれば、建築物10の3階以下の低層階に合流部120Tを形成することができるので、雨水排水配管構造400の設計上の自由度を向上させることができる。
本発明においては、雨水排水配管構造100,200,300,400のような、合流部を形成する継手に縮径部が設けられる態様は、既存の継手に容易に縮径部を形成できる点で有利である。
<第5実施形態>
第5実施形態に係る雨水排水配管構造500は、図10に示すように、雨水排水配管構造100におけるT字継手124の継手本管部124aの内部に縮径部材140を設ける代わりに、第1縦配管123に第1インクリーザ191及び第2インクリーザ192が設けられている。雨水排水配管構造500は、縮径部材130の代わりに第1インクリーザ191及び第2インクリーザ192が設けられている以外は、雨水排水配管構造100と同じ態様である。雨水排水配管構造500における雨水排水配管構造100と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
第1インクリーザ191は、縮径部191aと拡径部191bとを備える継手である。同様に、第2インクリーザ192は、縮径部192aと拡径部192bとを備える継手である。第1インクリーザ191の縮径部191aと第2インクリーザ192の縮径部192aとが向き合うように第1インクリーザ191及び第2インクリーザ192を接続することで、縮径部193が形成されている。
雨水排水配管構造500では、第1縦配管123のT字継手124寄りに第1インクリーザ191及び第2インクリーザ192が設けられていることで、合流部120Tの上方に縮径部193が設けられている。
本管122では、排水が流下する際に下層階に近づくにつれて管内圧力が上昇するが、縮径部193を通過するときに管内圧力が下降する。合流部120Tに縮径部182が設けられていることで、本管122における縮径部193の下端側で管内圧力が正圧まで上昇することが抑制される。その結果、枝管150からの排水が本管122に合流しやすくなる。
本管122の合流部120Tの内径Dに対する縮径部193の内径の最小値d5の比(d5/D)は、70%以上、90%以下が好ましく、75%以上、85%以下がより好ましい。d5/Dが前記範囲内であれば、本管側の排水性を確保しながら、枝管側の排水性も確保できる。
本管122の合流部120Tの上端と縮径部193の下端との距離d6は、40mm以上、160mm以下が好ましく、80mm以上、160mm以下がより好ましい。距離d6が前記範囲の下限値以上であれば、縮径によるサイフォン現象を利用することができる。距離d6が前記範囲の上限値以下であれば、従来と同様の施工スペースの範囲内で排水性能向上が発揮できる。
第5実施形態に係る雨水排水配管構造500によれば、本管122の合流部120Tの上方に縮径部193が設けられているため、サイフォン現象を利用して上層階から下層階に排水を流下する際に、本管122の合流部120T近傍で管内圧力が正圧まで上昇することを抑制できる。その結果、合流部120Tにおいて、枝管150から本管122に安定して排水を合流させることができる。
また、雨水排水配管構造500によれば、例えば、3階以下の低い階や地上から10m以下に形成された合流部120Tにおいて、枝管150からの排水を本管122に安定して合流させることができる。その結果、建築物10の低い位置や下層階において、本管122に枝管150を接続することができる。
また、雨水排水配管構造500によれば、地表から10m以下の高さに合流部120Tを形成することで、建築物10の目立たない低い位置に配置することができる。
また、雨水排水配管構造500によれば、建築物10の3階以下の低層階に合流部120Tを形成することができるので、雨水排水配管構造500の設計上の自由度を向上させることができる。
<第6実施形態>
第6実施形態に係る雨水排水配管構造100Aは、図11に示すように、例えば、8階建て(例えば、高さ24m)の建築物10Aに適用されている。
建築物10Aとしては、例えば、高さ20m以上の工場やショッピングセンター等を例示できる。
雨水排水配管構造100Aは、サイフォン式排水部材110と、サイフォン式排水部材110から流入する雨水を下層階に向かって排水する雨水配管本体120と、途中階の合流部120Tにおいて、雨水配管本体120に接続される枝管150と、を備えている。
雨水排水配管構造100Aは、上層階から流下した排水と枝管150から合流した排水を地中に埋設された雨水ます160(第1実施形態参照)に排水するように構成されている。
サイフォン式排水部材110は、図12及び図13に示すように、ベースプレート部111と、複数の縦リブ112と、筒部113と、を備えている。
ベースプレート部111は、略円形状であり、中央部に円形の流通孔110Hが形成されている。複数の縦リブ112は、ベースプレート部111の上面に一体に形成され、上方に向かって立ち上がり、ベースプレート部111の周方向に間隔をあけて配置されている。筒部113は、流通孔110Hの周縁部から下方に向かって延びるように設けられている。
ベースプレート部111、縦リブ112、及び筒部113は、例えば、アルミニウム合金や鋳鉄、ステンレス鋼等の金属材料を鋳造することにより一体に形成されている。
サイフォン式排水部材110は、例えば、屋上スラブ15の上面に配置(例えば、埋設)されている。
縦リブ112は、平面視で略U字形状に形成されていて、U字形状の底部(折返しの湾曲部)が流通孔110H側に配置されている。
縦リブ112は、U字形状の底部から開口側に向かって形成され互いに対向する一対の立上がり壁部が、流通孔110Hの中心から径方向外方に向かって放射状に延在し、径方向外方に向かうにしたがって互いの間隔が広くなるように形成されている。
筒部113は、下端部が屋上スラブ15に形成された貫通孔15H内に配置され、接続部材121Bによって接続短管121Aと接続されている。
筒部113は、接続短管121A、T字継手121Tを介して後述の横配管121に接続され、サイフォン式排水部材110に流入する雨水を横配管121に流すように構成されている。
サイフォン式排水部材110は、サイフォン現象によって、筒部113に流れ込んだ雨水(排水)の中心近傍に空気柱が形成されるのを抑制して、雨水を階下に向かって効率的に流すようになっている。
なお、サイフォン式排水部材110の構成は一例であり、構成については任意に設定することが可能である。
なお、本発明の技術的範囲は前記した実施形態例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
100,100A…雨水排水配管構造、20,110…サイフォン式排水部材、120…雨水配管本体、120T…合流部、122…本管、124…T字継手、130…縮径部材、131…縮径部、132…フランジ部、133…第1縮径部、134…第2縮径部、140…縮径部材、141…受口、142…挿口、143…縮径部、150…枝管、170…縮径部材、171…受口、172…挿口、173…縮径部、180…縮径プレート、181…開口、182…縮径部、191…第1インクリーザ、191a…縮径部、191b…拡径部、192…第2インクリーザ、192a…縮径部、192b…拡径部、193…縮径部、200…雨水排水配管構造、300…雨水排水配管構造、400…雨水排水配管構造、500…雨水排水配管構造。

Claims (4)

  1. 建築物に配置され上層階から階下に向かって雨水を排水する雨水排水配管構造であって、
    高さ20m以上の上層階に配置されたサイフォン式排水部材と、
    前記サイフォン式排水部材から流入する雨水を前記上層階から前記階下に向かって流下する本管と、
    前記本管の高さ方向における途中に位置する合流部に接続され、前記合流部に外部から排水を流入させる枝管と、を備え、
    前記合流部、または前記本管の前記合流部の上方に縮径部が設けられ
    前記合流部は高さ10m以下の位置に設けられている、雨水排水配管構造(ただし、前記枝管にサイフォン式排水部材を備えたものを除く)
  2. 前記縮径部が前記本管の前記合流部の上方に設けられている、請求項1に記載の雨水排水配管構造。
  3. 前記縮径部が前記合流部に設けられている、請求項1に記載の雨水排水配管構造。
  4. 前記縮径部が、前記合流部を形成する継手に設けられている、請求項3に記載の雨水排水配管構造。
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