JP6869395B1 - セルロース組成物及びセルロース組成物の製造方法 - Google Patents
セルロース組成物及びセルロース組成物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6869395B1 JP6869395B1 JP2020053472A JP2020053472A JP6869395B1 JP 6869395 B1 JP6869395 B1 JP 6869395B1 JP 2020053472 A JP2020053472 A JP 2020053472A JP 2020053472 A JP2020053472 A JP 2020053472A JP 6869395 B1 JP6869395 B1 JP 6869395B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cellulose
- fiber
- sulfated
- cellulose fiber
- content
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
Description
(1)本発明の一形態によれば、セルロース組成物が提供される。このセルロース組成物は、セルロース繊維の一部の水酸基が下記式(1)で表される置換基によって修飾されている硫酸化セルロース繊維と、含窒素化合物と、を含有し、前記含窒素化合物は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピロリジン、ピぺリジン、ピペラジン、2−メチルピぺリジン、1−メチルピぺリジン、ピリジン、ホルムアミド、尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルエチレン尿素、ヒダントイン、モルホリン、1−アセチル−3−メチル尿素、アセチル尿素、1−メチル尿素、チオウレア、シクロへキシルアミン、オレイン酸アミド、ラウロカプラム、N−ドデシルアクリルアミド、ω−ラウリンラクタム、1−n−オクチル−2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、前記硫酸化セルロース繊維は、以下の(A)から(D)の条件を満たすことを特徴とする。その他、本発明は、以下の形態として実現することができる。
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(B)平均アスペクト比が50以上3000以下
(C)セルロースI型結晶構造を有する
(D)前記硫酸化セルロース繊維の含有量に対する前記置換基の含有量(置換基の含有量[mmol]/硫酸化セルロース繊維の含有量[g])が、0.01mmol/g以上3.0mmol/g以下
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(B)平均アスペクト比が50以上3000以下
(C)セルロースI型結晶構造を有する
(D)前記硫酸化セルロース繊維の含有量に対する前記置換基の含有量(置換基の含有量[mmol]/硫酸化セルロース繊維の含有量[g])が、0.01mmol/g以上3.0mmol/g以下
本発明の一実施形態であるセルロース組成物は、セルロース繊維の一部の水酸基が下記式(1)で表される置換基によって修飾されている硫酸化セルロース繊維と、含窒素化合物と、を含有する。下記式(1)では、波線部分がセルロース分子を表す。つまり、硫酸化セルロース繊維は、セルロース中の水酸基の酸素原子に対して、水素原子の代わりに−SO3 −Mが結合した構造を有し、セルロース繊維表面に硫酸基が導入されている。
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(B)平均アスペクト比が50以上3000以下
(C)セルロースI型結晶構造を有する
(D)前記硫酸化セルロース繊維の含有量に対する前記置換基の含有量(置換基の含有量[mmol]/硫酸化セルロース繊維の含有量[g])が、0.01mmol/g以上3.0mmol/g以下
本明細書において、「硫酸化セルロース繊維」とは、セルロース繊維の一部の水酸基が下記式(1)で表される置換基によって修飾されているセルロース繊維を示す。下記式(1)では、波線部分がセルロース分子を表す。つまり、硫酸化セルロース繊維は、セルロース中の水酸基の酸素原子に対して、水素原子の代わりに−SO3 −Mが結合した構造を有し、セルロース繊維表面に硫酸基が導入されている。
本実施形態の硫酸化セルロース繊維において、硫酸化セルロース繊維1gあたりにおける前記式(1)で表される置換基の含有量(置換基の含有量[mmol]/硫酸化セルロース繊維の含有量[g])は、0.01mmol/g以上3.0mmol/g以下である。セルロース結晶構造の保持効果を高めるという観点から、この含有量は、より好ましくは2.8mmol/g以下であり、さらに好ましくは2.7mmol/g以下であり、特に好ましくは2.5mmol/g以下である。また、セルロース繊維の表面を置換基で覆うという観点から、この含有量は、0.05mmol以上/gであることが好ましく、より好ましくは0.1mmol/g以上であり、さらに好ましくは1.0mmol/g以上であり、特に好ましくは1.2mmol/g以上であり、より一層好ましくは1.5mmol/g以上である。
本実施形態の硫酸化セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有するものであり、硫酸化セルロース繊維の結晶化度が50%以上であることが好ましい。結晶化度が50%以上であることにより、セルロース結晶構造に由来する特性をより効果的に発現することができる結果として、増粘性や沈降抑制効果を向上させることができる。結晶化度は、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上であり、70%以上でもよい。結晶化度の上限は特に限定されないが、硫酸エステル化反応の反応効率を向上させる観点から、98%以下が好ましく、より好ましくは95%以下であり、更に好ましくは90%以下であり、特に好ましくは85%以下である。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(200面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶型のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。
硫酸化セルロース繊維の数平均繊維径は2nm以上500nm以下であるが、好ましくは2nm以上150nm以下であり、より好ましくは2nm以上100nm以下であり、特に好ましくは3nm以上80nm以下である。数平均繊維径が2nm未満であると、セルロースが溶解してナノファイバーとして得られず、高い増粘性や優れたスプレー性などの効果が得られない虞がある。一方、数平均繊維径が500nm超の場合、繊維が太すぎるため、高い増粘性や優れたスプレー性などの効果が得られない虞がある。硫酸化セルロース繊維の最大繊維径は、高い増粘性と優れたスプレー性を発揮する観点から、1000nm以下であることが好ましく、特に好ましくは500nm以下である。
上記硫酸化セルロース繊維の平均アスペクト比は50以上3000以下であるが、好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下であり、好ましくは100以上、より好ましくは200以上である。平均アスペクト比が50未満であると増粘性が低くなるという問題が生じる。
平均アスペクト比=数平均繊維長[nm]/数平均繊維径[nm]
硫酸化セルロース繊維の製造方法は、特に限定されないが、例えば、セルロース原料と硫酸化試薬を反応させる方法が挙げられる。この製造方法は、繊維形状を保ったままのセルロース繊維を硫酸化試薬で処理することによって、硫酸化試薬と当該セルロース繊維の構成要素であるセルロース微細繊維を反応させることにより、セルロース微細繊維を硫酸エステル化する工程(化学修飾工程)を含む。
上記の化学修飾工程で用いるセルロース繊維(セルロース原料)の具体例としては、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えば、ホヤ類)、藻類、微生物(例えば、酢酸菌)、微生物産生物等を起源とするもの等が挙げられる。植物としては、例えば、木材、綿、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ、再生パルプ、古紙等が挙げられる。これらの中で、植物由来パルプが好ましい原材料として挙げられる。
嵩密度が10kg/m3以上のセルロース原料を用いる場合は、化学修飾工程の反応に先立ち、前処理を行い、嵩密度を0.1〜5.0kg/m3にしてもよい。この前処理を予め行うことにより、硫酸エステル化工程をより効率的に行うことができる。前処理方法としては、特に限定されないが、機械処理を行うことにより、セルロース原料を適度な嵩密度にすることができる。機械処理としては、使用する機械や処理条件に制限はなく、例えばシュレッダー、ボールミル、振動ミル、石臼、グラインダー、ブレンダー、高速回転ミキサー等が挙げられる。嵩密度は好ましくは、0.1〜5.0kg/m3であり、より好ましくは0.1〜3.0kg/m3であり、さらにより好ましくは0.1〜1.0kg/m3である。
硫酸エステル化工程において、セルロース繊維と硫酸化試薬との反応(即ち、硫酸エステル化反応)は、硫酸化試薬を含む薬液にセルロース原料(セルロース繊維)を浸漬することにより行うことができる。
本実施形態では、必要に応じて、硫酸エステル塩を中和する工程を設けてもよい。硫酸エステル塩は、得られた粗製物のpHが低下することによって酸性を示した場合、粗製物の保存安定性が低い。そのため、この硫酸エステル塩に塩基性化合物を添加して中和させることにより、pHを中性もしくはアルカリ性に調整することが好ましい。中和に用いる塩基性化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、その他の無機塩、アミン類、オニウム化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド等が挙げられる。なお、本実施形態において、一種以上の塩基性化合物を使用して中和することができる。
本実施形態のセルロース組成物は、含窒素化合物を含有する。本明細書において、「含窒素化合物」とは、窒素原子を含む化合物を意味する。
一般的に、マイクロオーダーの硫酸化セルロース繊維に対して、機械的解繊による微細化工程を経ることにより、ナノオーダーの硫酸化セルロース繊維を得ることができる。硫酸化セルロース繊維の微細化工程を行う一般的な装置としては、例えば、リファイナー、二軸混錬機(二軸押出機)、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル(例えば、ロッキングミル、ボールミル、ビーズミル等)、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等が挙げられる。
本実施形態のセルロース組成物は、乾燥物を形成することができる。セルロース組成物から形成された乾燥物は、例えば、溶媒を蒸散させることにより得ることができる。乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、固定床乾燥、真空式、送風式等が挙げられる。乾燥物の用途としては、特に限定されないが、例えば、酸型の状態においても透明な乾燥皮膜を得ることができることから、例えば、塗料、コーティング剤、電子デバイス基板等に用いることができる。
まず、実験に用いる硫酸化セルロース繊維を下記の製造例1〜3に従って合成する。
まず、反応工程として、スルファミン酸14.4g(セルロース分子中のアンヒドログルコース単位1モル当たり1.2モル)に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)620gを添加した後、30分撹拌を行った。その後、室温(25℃)下において、セルロース原料として針葉樹クラフトパルプ20.0gを添加した。その後、55℃で4時間反応させた後、室温(25℃)まで冷却した。次に、繊維を取り出した後に、水で洗浄した後、中和剤として2N水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、pHを7.6に調整した。その後、脱水を行うことによって、硫酸化セルロース繊維A1を得た。
反応工程においてスルファミン酸の仕込み量を23.9gとした点以外は、製造例1と同様の手順により硫酸化セルロース繊維A2を得た。
反応工程においてスルファミン酸の仕込み量を41.9gとした点以外は、製造例1と同様の手順により硫酸化セルロース繊維A3を得た。
製造例1〜3により得られたセルロース繊維について硫酸基量と、結晶化度とを測定した。測定結果を表1に示す。各測定の詳細については、以下に示す。
硫酸基量は、電位差滴定により算出した。ここで、硫酸基量は、硫酸化セルロース繊維の含有量に対する置換基の含有量(置換基の含有量[mmol]/硫酸化セルロース繊維の含有量[g])と同義である。乾燥質量を精秤した硫酸化セルロース繊維試料を用いて、固形分率0.5%に調製した硫酸化セルロース繊維の水分散体を60mL調製した。その後、1N塩酸水溶液によって、水分散体のpHを約1.0とした。その後、ろ過及び水洗浄をした後、硫酸エステル化セルロース繊維を再び固形分率0.5%となるように水に再分散させた。その後、0.1N水酸化カリウム水溶液を滴下することにより電位差測定を行った。そして、この滴下量を用いて硫酸基量を算出した。
硫酸化セルロース繊維のX線回折強度を、X線回折法を用いて測定した。そして、その測定結果からSegal法を用いて、下記式により結晶化度を算出した。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
X線源:Cu/Kα―radiation
管電圧:40kV
管電流:30mA
測定範囲:回折角2θ=5〜35°
X線のスキャンスピード:10°/min
比較例に用いるTEMPO酸化セルロース繊維について、製造例4に従って合成した。
針葉樹クラフトパルプ2.0gに、水150mL、臭化ナトリウム0.25g、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)0.025gを加えた後、十分撹拌させた。その後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が10mmol/gとなるように加えることにより、反応を開始した。さらに、反応中のpHが10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、45分間反応させた。反応後、0.1N塩酸を加えてpHを7.0とした後、脱水を行うことにより、TEMPO酸化セルロース繊維B1を得た。
製造例4により得られたTEMPO酸化セルロース繊維B1についてカルボキシ基量と、結晶化度とを測定した。なお、カルボキシ基量の測定方法は以下の方法で行い、結晶化度の測定方法は硫酸化セルロース繊維の評価と同様の手法で行った。測定結果を表1に示す。
上記セルロース繊維0.25gを水に分散させたセルロース水分散体60mlを調製した後、0.1Nの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした。その後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、電気伝導度測定を行った。測定は、pHが11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において、消費された水酸化ナトリウム量(V)を用いて、下記式に基づいてカルボキシ基量を求めた。
カルボキシ基量[mmol/g]=V[ml]×(0.05/セルロース質量[g])
次に、上述のセルロース繊維を再度酸型にし、得られた酸型のセルロース繊維を用いてセルロース組成物を調製し、その後、セルロース組成物の乾燥物を作製した。
製造例1で得られた硫酸化セルロース繊維A1 66.7g(固形分濃度15%)に水933.3mLを加えることにより、固形分濃度が1質量%となるようにした。その後、さらに、1MのHCl水溶液を添加することにより、pHが1.0以下となるようにした。次に、セルロース繊維を脱水後、水で洗浄し、さらに脱水を行うことによって、対イオンが水素の酸型の硫酸化セルロース繊維A1aを得た。
硫酸化セルロース繊維A1の代わりに硫酸化セルロース繊維A3を用いた点以外は、製造例5と同様の手順により硫酸化セルロース繊維A3aを得た。
硫酸化セルロース繊維A1の代わりにTEMPO酸化セルロース繊維B1を用いた点以外は、製造例5と同様の手順によりTEMPO酸化セルロース繊維B1aを得た。測定結果を表2に示す。
次に、上記製造方法により得られたセルロース繊維を用いてセルロース組成物を調製した。
製造例1により得られた硫酸化セルロース繊維A1 33.5g(固形分濃度15%)に水466.5mLを加え固形分濃度が1質量%となるように調製した。その後、尿素を5.0mg添加した後、ホモミキサー(プライミクス社製 ホモミキサーMARKII2.5型)によって10,000rpmで60分間撹拌することにより、セルロース組成物を得た。
製造例1〜3により得られた硫酸化セルロース繊維を用いて、表3、4に示す条件となるように、実施例1と同様の操作を行うことでセルロース組成物を得た。
製造例1により得られた硫酸化セルロース繊維A1 33.5g(固形分濃度15%)に水466.5mLを加え固形分濃度が1質量%となるように調製した。その後、ホモミキサー(プライミクス社製 ホモミキサーMARKII2.5型)によって10,000rpmで60分間撹拌することにより、セルロース組成物を得た。
製造例1により得られた硫酸化セルロース繊維A1の代わりに製造例3により得られた硫酸化セルロース繊維A3を用いた点、ホモミキサーによる攪拌時間を10分とした点以外は、比較例1と同様の操作でセルロース組成物を得た。
製造例1により得られた硫酸化セルロース繊維A1の代わりに製造例4により得られたTEMPO酸化セルロース繊維B1を用いた点、尿素を用いた点、ホモミキサーによる攪拌時間を30分とした点以外は、比較例1と同様の操作でセルロース組成物を得た。
製造例5により得られた酸型の硫酸化セルロース繊維A1a 40.0g(固形分濃度25%)に水960.0mLを加え固形分濃度が1質量%となるようにした。その後、尿素を5.0mg添加した後、ホモミキサー(プライミクス社製 ホモミキサーMARKII2.5型)によって10,000rpmで10分間撹拌した。その後、高圧解繊処理としてマイクロフルイタイザーによる処理(150MPa、10パス)を行うことによって、セルロース組成物を得た。
製造例5及び6により得られた酸型の硫酸化セルロース繊維A1a,A3aと含窒素化合物とを用いて、表5に示す条件となるように、実施例12と同様の操作を行うことでセルロース組成物を得た。
製造例5により得られた酸型の硫酸化セルロース繊維A1a 40.0g(固形分濃度25%)に水960.0mLを加え固形分濃度が1質量%となるようにした。その後、ホモミキサー(プライミクス社製 ホモミキサーMARKII2.5型)によって10,000rpmで10分間撹拌することにより、セルロース組成物を得た。なお、その後の高圧解繊処理としてのマイクロフルイタイザーによる処理は、繊維の分散性の観点から行えなかった。
製造例6により得られた酸型の硫酸化セルロース繊維A3a 66.7g(固形分濃度15%)に水933.3mLを加え固形分濃度が1質量%となるようにした。その後、ホモミキサー(プライミクス社製 ホモミキサーMARKII2.5型)によって10,000rpmで10分間撹拌した。その後、高圧解繊処理としてマイクロフルイタイザーによる処理(150MPa、10パス)を行うことによって、セルロース組成物を得た。
製造例7により得られた酸型のTEMPO酸化セルロース繊維B1a 50.0g(固形分濃度20%)に水950.0mLを加え固形分濃度が1質量%となるようにした。その後、尿素を5.0mg添加した後、ホモミキサー(プライミクス社製 ホモミキサーMARKII2.5型)によって10,000rpmで10分間撹拌することにより、セルロース組成物を得た。なお、その後の高圧解繊処理としてのマイクロフルイタイザーによる処理は、繊維がマイクロフルイタイザーを通過できなかったため、実施できなかった。
実施例及び比較例について、以下の測定及び評価を行った。
セルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、光学顕微鏡又は原子間力顕微鏡(AFM)で観察した繊維50本の数平均値である。また、平均アスペクト比は、数平均繊維長/数平均繊維径の値である。
セルロース組成物50.0gに水50mLを加えた後、ホモミキサーを用いて8,000rpm、5分間撹拌した。そして、脱気した後、一日静置した。波長660nmにおけるこの溶液の透過率を分光光度計により測定した。
セルロース組成物50.0gに水50mLを加えた後、ホモミキサーを用いて8,000rpm、5分間撹拌した。そして、脱気した後、100mLのスクリュー管に移し、1日静置した。25℃1気圧の条件下において、BM型粘度計(英弘精機社製、BROOKFIELD、B型粘度計、アナログ粘度計LVT型)を用いて6rpmで3分間攪拌させた後のサンプルの粘度を、「初期粘度」とした。
粘度低下率(%)=〔1−(長期静置後粘度/初期粘度)〕×100
セルロース組成物50.0gに水50mLを加え、ホモミキサーを用いて8,000rpm、5分間撹拌した後、スプレー容器(サンラテック社製分注瓶(スプレー式)S−50)に入れ、噴射を試みた。そして、噴射の可否を目視で観察した。スプレー性の判定の基準を以下に示す。
〇:ノズルからミスト状に噴射される。
△:ノズルから噴射されるがミスト状ではない。
×:ノズルから噴射できない。
容量200mLのポリカップに、水性セルロース組成物10.0gと水90mLとを添加した後、ホモミキサーを用いて8,000rpm、5分間撹拌することにより、固形分濃度が0.1質量%のセルロース組成物を得た。得られたセルロース組成物にアルミナ(粒子径0.5μm)1.0gを添加した後、ホモディスパー(プライミクス社製、ホモディスパー2.5型)を用いて2,000rpm、2時間撹拌した。その後、この分散液を直径3cm×30cm長の目盛付試験管に25mL添加した後、25℃で3日静置した。その後、この分散液の離水量を測定し、この離水量と以下の式とを用いて、沈降度を算出した。
沈降度=離水量(mL)/25(mL)
〇:沈降度が0.1未満
△:沈降度が0.1以上、0.3未満
×:0.3以上
PFAシャーレ(φ50mm)にセルロース組成物10.0gを添加した後、オーブンによって105℃で5時間乾燥させることにより、乾燥皮膜を得た。そして、乾燥皮膜の着色の有無を目視で観察した後、乾燥物着色性を以下の基準で評価した。なお、この評価は、実施例12〜15及び比較例4〜7のみ行った。
〇:透明又は白色
△:淡黄色
×:黄色から黒色
P2…点
F…繊維
Claims (6)
- セルロース繊維の一部の水酸基が下記式(1)で表される置換基によって修飾されている硫酸化セルロース繊維と、含窒素化合物と、を含有し、
前記含窒素化合物は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピロリジン、ピぺリジン、ピペラジン、2−メチルピぺリジン、1−メチルピぺリジン、ピリジン、ホルムアミド、尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルエチレン尿素、ヒダントイン、モルホリン、1−アセチル−3−メチル尿素、アセチル尿素、1−メチル尿素、チオウレア、シクロへキシルアミン、オレイン酸アミド、ラウロカプラム、N−ドデシルアクリルアミド、ω−ラウリンラクタム、1−n−オクチル−2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
前記硫酸化セルロース繊維は、以下の(A)から(D)の条件を満たすことを特徴とする、セルロース組成物。
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(B)平均アスペクト比が50以上3000以下
(C)セルロースI型結晶構造を有する
(D)前記硫酸化セルロース繊維の含有量に対する前記置換基の含有量(置換基の含有量[mmol]/硫酸化セルロース繊維の含有量[g])が、0.01mmol/g以上3.0mmol/g以下
- 前記含窒素化合物は、20℃1気圧下において、水に対して、1g/L以上溶解することを特徴とする、請求項1に記載のセルロース組成物。
- 前記含窒素化合物は、分子内において、窒素原子と酸素原子とを含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のセルロース組成物。
- 前記硫酸化セルロース繊維の含有量に対する前記置換基の含有量(置換基の含有量[mmol]/硫酸化セルロース繊維の含有量[g])が、1.5mmol/g以上2.7mmol/g以下であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセルロース組成物。
- 前記硫酸化セルロース繊維の結晶化度が50%以上98%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセルロース組成物。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセルロース組成物から形成された乾燥物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020053472A JP6869395B1 (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | セルロース組成物及びセルロース組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020053472A JP6869395B1 (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | セルロース組成物及びセルロース組成物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6869395B1 true JP6869395B1 (ja) | 2021-05-12 |
JP2021152124A JP2021152124A (ja) | 2021-09-30 |
Family
ID=75801829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020053472A Active JP6869395B1 (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | セルロース組成物及びセルロース組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6869395B1 (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4839569B1 (ja) * | 1968-06-14 | 1973-11-26 | ||
JPS5653145A (en) * | 1979-05-14 | 1981-05-12 | Rhone Poulenc Textile | Solution containing cellulose and acryl polymer* its manufacture and its use |
WO2019003774A1 (ja) * | 2017-06-29 | 2019-01-03 | 第一工業製薬株式会社 | 化学修飾セルロース繊維およびその製造方法 |
WO2019073810A1 (ja) * | 2017-10-10 | 2019-04-18 | 第一工業製薬株式会社 | 化学修飾セルロース繊維の製造方法 |
JP2019194390A (ja) * | 2018-04-25 | 2019-11-07 | 丸住製紙株式会社 | スルホン化微細セルロース繊維の製造方法およびスルホン化パルプ繊維の製造方法 |
JP2020097812A (ja) * | 2018-12-18 | 2020-06-25 | 丸住製紙株式会社 | 微細セルロース繊維含有乾燥固形物、微細セルロース繊維再分散液 |
-
2020
- 2020-03-24 JP JP2020053472A patent/JP6869395B1/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4839569B1 (ja) * | 1968-06-14 | 1973-11-26 | ||
JPS5653145A (en) * | 1979-05-14 | 1981-05-12 | Rhone Poulenc Textile | Solution containing cellulose and acryl polymer* its manufacture and its use |
WO2019003774A1 (ja) * | 2017-06-29 | 2019-01-03 | 第一工業製薬株式会社 | 化学修飾セルロース繊維およびその製造方法 |
WO2019073810A1 (ja) * | 2017-10-10 | 2019-04-18 | 第一工業製薬株式会社 | 化学修飾セルロース繊維の製造方法 |
JP2019070084A (ja) * | 2017-10-10 | 2019-05-09 | 第一工業製薬株式会社 | 化学修飾セルロース繊維の製造方法 |
JP2019194390A (ja) * | 2018-04-25 | 2019-11-07 | 丸住製紙株式会社 | スルホン化微細セルロース繊維の製造方法およびスルホン化パルプ繊維の製造方法 |
JP2020097812A (ja) * | 2018-12-18 | 2020-06-25 | 丸住製紙株式会社 | 微細セルロース繊維含有乾燥固形物、微細セルロース繊維再分散液 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021152124A (ja) | 2021-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6462051B2 (ja) | 化学修飾セルロース繊維およびその製造方法 | |
JP7036565B2 (ja) | 化学修飾セルロース繊維の製造方法 | |
JP6831935B1 (ja) | セルロース組成物及びセルロース組成物の製造方法 | |
JP6737864B2 (ja) | 化学修飾セルロース繊維およびその製造方法 | |
Liebert | Cellulose solvents–remarkable history, bright future | |
JP6505900B1 (ja) | カルボキシメチル化セルロース | |
CN111433225A (zh) | 羧甲基化纤维素和羧甲基化纤维素纳米纤维的制造方法 | |
KR20180050740A (ko) | 조성물, 미세 섬유상 셀룰로오스 함유물 및 미세 섬유상 셀룰로오스 함유물의 제조 방법 | |
JP2019163437A (ja) | カルボキシメチル化セルロース | |
WO2019111934A1 (ja) | カルボキシメチル化セルロース | |
JP6505901B1 (ja) | カルボキシメチル化セルロース | |
JP6869395B1 (ja) | セルロース組成物及びセルロース組成物の製造方法 | |
JP7191616B2 (ja) | ゲル状組成物 | |
JP2020050736A (ja) | 樹脂組成物 | |
TWI803758B (zh) | 混合液 | |
WO2020137012A1 (ja) | 化学修飾セルロース繊維の製造方法 | |
JP7191615B2 (ja) | 粒子含有組成物 | |
JP2021151975A (ja) | ヒアルロニダーゼ阻害剤 | |
EP4269448A1 (en) | Production method for oxidized cellulose and nanocellulose | |
JP2021151974A (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP2023066710A (ja) | 微細セルロース繊維粉末、及び微細セルロース繊維粉末の製造方法 | |
JP2021134263A (ja) | 疎水化アニオン変性セルロースナノファイバー分散体及びその製造方法ならびに疎水化アニオン変性セルロースの乾燥固形物及びその製造方法 | |
JP2020132703A (ja) | 変性セルロースナノファイバー、ガスバリア用材料及びガスバリア性成形体 | |
JP2021155471A (ja) | 油性インク組成物及び筆記具 | |
WO2018168569A1 (ja) | 化学修飾セルロース繊維集合体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200709 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20200709 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20200729 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200923 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201119 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210112 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210305 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210406 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210413 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6869395 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |