JP6867748B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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Description
一方、近年、自動車を中心に材料の低ホルムアルデヒド化への要求が高まっており、特に内装部品を中心にホルムアルデヒド発生量の少ないポリアセタール樹脂組成物の成形品が使用されている。
ポリアセタール樹脂組成物の成形品から発生するホルムアルデヒドを低減する方法としては、一般的には、ポリアミド樹脂やアミノ置換トリアジン類化合物、ヒドラジド化合物などのホルムアルデヒド捕捉剤を添加する方法(例えば、特許文献1、2参照)が知られている。
また、ポリアセタール樹脂の長期特性を改良する方法として、脂肪酸金属塩を添加する方法(例えば、特許文献3、4参照)も提案されている。
さらに、ポリアセタール樹脂にセルロースを添加し、熱安定性を改良する方法(例えば、特許文献5参照)も提案されている。
また、特許文献3、4に記載の方法においては、長期特性や連続成形時の金型汚染性は改善がみられるものの、成形品から発生するホルムアルデヒド量が低減できていないという問題を有している。
さらに、特許文献5に記載の方法では、ポリアセタール樹脂の熱安定性は改善されているものの、長期特性が実用上十分ではないという問題を有している。
従来から提案されている上記の技術によると、ホルムアルデヒド発生量を低減するためには、ホルムアルデヒドとの反応性を有する含窒素化合物の添加が有効であり、また長期特性を向上させるためには、脂肪酸金属塩の添加が有効で有ることを示唆している。
よって、ホルムアルデヒド発生量を低減し、かつ長期特性を向上させたポリアセタール樹脂組成物を得るためには、これらの公知の技術の組合せによって可能とも考えられる。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(A)ポリアセタール樹脂と、
(B)下記一般式(I)で表され、一般式(I)中、X 1 が水素である、カルボキシメチルセルロース(B1)、及び下記一般式(I)又は(II)で表され、一般式(I)中、X 1 が1価のアルカリ金属であり、一般式(II)中、X 2 が2価のアルカリ土類金属である、カルボキシメチルセルロース誘導体(B2)と、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)と、
を、含有し、
前記カルボキシメチルセルロース(B1)と前記カルボキシメチルセルロース誘導体(B2)の混合比率=(B2)/[(B1)+(B2)]が30〜70質量%である、
ポリアセタール樹脂組成物。
000である。
前記カルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はカルボキシメチルセルロース誘導
体(B2)の含有量が、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部である
、前記〔1〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔3〕
アミノ置換トリアジン類化合物(C2)を、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量
部に対して、0.001〜5質量部、さらに含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、
(A)ポリアセタール樹脂と、
(B)特定のカルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はカルボキシメチルセルロース誘導体(B2)の少なくとも1種と、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)と、
を、含有する。
本実施形態のポリアセタール樹脂に含有されている(A)ポリアセタール樹脂とは、オキシメチレン基(−CH2O−)を主鎖に有するポリマーであり、当該ポリマーは、重合体連鎖の両末端がエステル基により封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン基以外に他の構成単位を少量含有するコポリマー、ブロックポリマー、ターポリマーのいずれであってもよい。
また、分子が線状のみならず分岐や架橋構造を有してもよく、これらポリアセタール樹脂は不安定末端基を安定化されていることが好ましい。
一方、ポリアセタールコポリマーは、トリオキサン(主原料)と環状エーテルや環状ホルマール(コモノマー)とを共重合することによって製造される。
環状エーテルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキサンが挙げられる。
環状ホルマールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマールなどが挙げられる。
これらコモノマーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら環状エーテル及び環状ホルマールの中で、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマールなどの環状ホルマールが好ましい。
これらコモノマーは、主原料であるトリオキサンに対して、0.01〜20質量%の含有量で用いることが好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
なお、メルトフローレートは、ISO1133(‘97)条件Dに準じて測定することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(B)特定のカルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はカルボキシメチルセルロース誘導体(B2)を含有する。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に含有されているカルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はカルボキシメチルセルロース誘導体(B2)は、下記一般式(I)及び/又は(II)で表される。
nは重合度を示す。nは1〜2000である。
mは重合度を示す。mは1〜2000である。
(B)特定のカルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はカルボキシメチルセルロース誘導体(B2)には、ポリアセタール樹脂組成物中でホルムアルデヒド等と反応したものも含まれる。
その後、乾燥工程と粉砕工程を経て、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に含まれるカルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はその誘導体(B2)を得ることができる。
これにより、(A)ポリアセタール樹脂の分解を促進する成分、すなわちポリアセタール樹脂の熱分解誘発成分が少ないことが明らかとなり、長期特性や成形性の観点から好ましい。
当該熱分解開始温度は、室温から400℃の温度範囲で加熱した際の分解開始温度を測定することにより求められる。
具体的には、空気環境下で加熱した際に、110℃から150℃の温度領域(1)と150℃以上の温度領域(2)の質量減少速度が大きく異なることを利用し、これらの領域(1)と(2)の質量減少速度(傾き)の交点を求め、この交点を熱分解開始温度とする。
好ましい平均粒子径は、1〜100μmの範囲であり、より好ましくは1〜50μmの範囲であり、さらに好ましくは1〜30μmの範囲である。
(B)カルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はその誘導体(B2)の平均粒子径が1μm以上であることにより長期特性の効果が得られ、30μm以下であることにより、ホルムアルデヒド量の低減の効果が得られる。
カルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はその誘導体(B2)の乾燥減量は、試料2gを精秤し、105℃±2℃の定温乾燥器にて4時間乾燥した後、デシケータ内で冷却し、その後、試料の質量を測定し、乾燥前後の質量から乾燥減量を求めることができる。
カルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はその誘導体(B2)のpHが前述の範囲にある時、ホルムアルデヒド量低減の効果が得られる。
カルボキシメチルセルロース(B1)及びその誘導体(B2)のpHは、試料を無水物換算で1gを秤取し、水99mLを加えて撹拌し、均等な混合物になった状態でガラス電極を備えたpHメータ(温度:25℃)を用いることにより測定できる。
カルボキシメチルセルロース(B1)及び/又はカルボキシメチルセルロース誘導体(B2)の含有量が0.001質量部であると成形性の向上効果が得られ、10質量部以下であるとホルムアルデヒド量低減の効果が得られる。
なお、2種以上併用する、とは、カルボキシメチルセルロース(B1)、カルボキシメチルセルロース誘導体(B2)を、それぞれ2種以上用いてもよく、カルボキシメチルセルロース(B1)とカルボキシメチルセルロース誘導体(B2)とを組み合わせて、両者を合わせて2種以上として用いてもよい。
特に、カルボキシメチルセルロース(B1)と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属で化学的に修飾したカルボキシメチルセルロース誘導体(B2)を併用して用いることにより、優れた長期特性が得られる。
カルボキシメチルセルロース及び/又はその誘導体の混合比率が前述の範囲にある時、ホルムアルデヒド量低減の効果が得られる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、下記添加剤(C)をさらに加えることができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(C)添加剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)を含有する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、
n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、
n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、
n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、
1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、
1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、
トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、
N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、
N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、
N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、
N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、
3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、
N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等が挙げられる。
好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。
これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミノ置換トリアジン類化合物(C2)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、
2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、
2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、
N−ブチルメラミン、
N−フェニルメラミン、
N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、
N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、
メレム、メロン、メラム、
ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、
アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、
2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、
2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン、
2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン、
N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾブアナミン、
サクシノグアナミン、
エチレンジメラミン、
トリグアナミン、
メラミンシアヌレート、
エチレンジメラミンシアヌレート、
トリグアナミンシアヌレート、
アンメリン、
アセトグアナミン等や、
イミダゾール基を有するトリアジン類化合物、具体的には
2,4−ジアミノ−6−[2’−ジメチルイミダゾリル−(1’)]―エチル−s−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]―エチル−s−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]―エチル−s−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−[2’−ジメチルイミダゾリル−(1’)]―エチル−s−トリアジンとイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
これらのアミノ置換トリアジン類化合物(C2)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
添加剤(C)が前記範囲であるとき、ホルムアルデヒド量低減の効果が得られる。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)の含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.001〜5質量部であり、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)の含有量を0.001質量部以上とすることによりホルムアルデヒド量低減の効果が得られ、10質量部以下とすることにより、成形性の効果が得られる。
アミノ置換トリアジン類化合物(C2)の含有量が0.001質量部以上であることnより、ホルムアルデヒド量低減の効果が得られ、5質量部以下であることにより、優れた成形性が得られる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、その目的を損なわない範囲で従来から知られている各種添加剤を含有してもよい。
このような添加剤としては、例えば、脂肪酸金属塩や脂肪酸エステル化合物が挙げられる。
添加剤としての脂肪酸金属塩とは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩又はアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物;上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩、さらには層状複水酸化物が挙げられる。
前記カルボン酸塩のカルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。
飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウム、12ヒドロキシステアリン酸カルシウムが挙げられ、中でも好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシジステアリン酸カルシウムが挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物においては、2種以上の脂肪酸金属塩を同時に添加してもよく、特に制限されるものではない。
例えば、ジステアリン酸カルシウムとジパルミチン酸カルシウムを同時に添加してもよく、また異なる炭素数の脂肪酸からなる金属塩、例えば(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウムとが混在していてもよい。
脂肪酸金属塩は、例えば、脂肪酸と金属水酸化物との中和反応や、脂肪酸と金属塩化物との複分解反応、脂肪酸と金属酸化物との中和反応によって得られた粗脂肪酸金属塩を、更に水洗処理、乾燥処理を行うことで、得ることができる。
なお、得られた脂肪酸金属塩中の未反応の金属化合物は、脂肪酸金属塩を超音波処理し、この濾液に抽出された金属成分を原子吸光によって定量し、得られた定量値を原料の金属水酸化物、金属酸化物若しくは金属塩化物に換算することにより求めることができる。
アルキレングリコールの付加モル数は、1〜70であることが好ましい。
好ましくは、脂肪酸がミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸であり、アルキレングリコールが(ポリ)エチレングリコールである脂肪酸ジエステル化合物、及び脂肪酸モノエステル化合物であって、エチレングリコールの付加モル数が1〜10の脂肪酸エステル化合物である。より好ましいエチレングリコールの付加モル数は1〜5である。
脂肪酸エステル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(ポリ)エチレングリコールジミリスチン酸エステル、(ポリ)エチレングリコールジパルミチン酸エステル、(ポリ)エチレングリコールジステアリン酸エステル、(ポリ)エチレングリコール(ミリスチン酸−パルミチン酸)エステル、(ポリ)エチレングリコール(ミリスチン酸−ステアリン酸)エステル、(ポリ)エチレングリコール(パルミチン酸−ステアリン酸)エステル、(ポリ)エチレングリコールモノミリスチン酸エステル、(ポリ)エチレングリコールモノパルミチン酸エステル、(ポリ)エチレングリコールモノステアリン酸エステルが挙げられる。
上記脂肪酸エステル化合物の中で、エチレングリコールジミリスチン酸エステル、エチレングリコールジパルミチン酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル、エチレングリコール(ミリスチン酸−パルミチン酸)エステル、エチレングリコール(ミリスチン酸−ステアリン酸)エステル、エチレングリコール(パルミチン酸−ステアリン酸)エステル、エチレングリコールモノミリスチン酸エステル、エチレングリコールモノパルミチン酸エステル、エチレングリコールモノステアリン酸エステルが好ましい。
これら添加剤の含有形態は、紛体であっても溶融状態であってもよく、特に限定されるものではない。
一般的には、押出し機を用いて溶融混練してポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
この時の押出機は単軸であっても2軸であってもよい。
また、ポリアセタール樹脂の重合時に添加してもよい。
押出し機の温度は、通常170℃〜240℃の範囲で適宜選択すればよく、特に制限するものではない。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形することにより、所望の成形体が得られる。
成形方法は、特に限定されるものではなく、押出し成形であっても、射出成形、真空成形、発泡成形のいずれでもよく、公知の成形方法により、成形品を得ることができる。
((1)ホルムアルデヒド発生量(VDA275値))
一軸押出し機にて調整したポリアセタール樹脂組成物を、シリンダー設定温度が200℃の射出成形機(金型温度:80℃)を用いて成形し、試験片を作製した。
なお、試験片成形の際には、成形機の滞留無しの条件で作製した試験片と、後述するように成形機の滞留時間を30分として作製した試験片の2種類を作製した。
その後、23℃で50%の湿度に調整した恒温室内に1昼夜放置した。
1昼夜経過度、ドイツ自動車工業会規定の方法(条件)に従って、試験片から放出するホルムアルデヒド量を定量した。
この時の抽出条件は、65℃の温度で2時間とした。
なお、測定に用いた試験片は、下記サイズの試験片を使用した。
[試験片形状]
・試験片サイズ:100mm×40mm×3mm
・金型ゲート(溶融樹脂流路)サイズ:3mm×3mmのサイドゲート
<成形条件>
・射出成形機 : 東芝機械(株)製IS−100GN
・シリンダー設定温度 : 200℃
・金型設定温度 : 80℃
・成形サイクル : 射出/冷却=60/15秒
・金型サイズ : 100×40mm×3mm平板
(流動末端先端部にガス抜き部設置)
・成形機滞留時間 : 30分
単軸押出し機にて調整したポリアセタール樹脂組成物を、東芝機械(株)製IS−100Eを用いて、シリンダー設定温度200℃、射出時間60秒、冷却時間15秒、金型温度80℃にて、ISOダンベル試験片を作製した。
この試験片を140℃に設定したギヤオーブン内に放置し、140℃耐熱エージング性としての物性変化を測定した。
物性変化は、下記条件にて測定した引張強度より、引張強度保持率を算出した。引張強度保持率はn=5で測定した数値の平均値とした。引張強度保持率80%以下に達した日数を測定し、日数が多いほどポリアセタール樹脂組成物の長期特性が良好と評価した。
引張試験機:(株)島津製作所製AG10KNX
引張速度:50mm/min
引張強度保持率の求め方:
(140℃エージング試験後のISOダンベル試験片引張強度/140℃エージング試験前のISOダンベル試験片引張強度)×100=引張強度保持率(%)
下記成形条件及び評価基準に従って、ポリアセタール樹脂組成物の成形性(モールドデポジット性)を評価した。
(a)成形条件
・射出成形機 : 東芝機械(株)製IS−100GN
・シリンダー設定温度 : 230℃
・金型設定温度 : 30℃
・成形サイクル : 射出/冷却=10/5秒
・金型サイズ : 100×40mm×3mm平板
(流動末端先端部にガス抜き部設置)
・成形ショット数 : 10,000ショット
(b)金型汚染性判定基準
・0:金型キャビティ内外、及びガス抜き部の何れも汚れはみられなかった。
・1:金型ガス抜き部に、僅かに汚れがみられた。
・2:金型キャビティの1/5程度の範囲で汚れがみられた。
・3:金型キャビティの1/2程度の範囲で汚れがみられた。
・4:金型キャビティ内外の全体に汚れがみられた。
・5:金型キャビティ全体に汚れがあり、不織布で拭いても汚れが落ちなかった。
((A1)ポリアセタール樹脂)
ジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機((株)栗本鐵工所製、径2B、L/D=14.8)を80℃に調整し、下記条件にてポリアセタール樹脂コポリマーを重合した。
得られたポリマーの不安定末端基を除去し、1,3−ジオキソランに由来するコモノマー成分の含有量が4mol%であり、MFR値が9g/10minのポリアセタール樹脂コポリマーを得た。
なお、ポリアセタール樹脂コポリマーの重合条件及び末端安定化条件を以下に示した。
[重合条件]
・トリオキサン(主モノマー):3500gr/hr
・1,3−ジオキソラン(コモノマー):120.9gr/hr
・メチラール(分子量調節剤):2.4gr/hr
・有機溶媒としてシクロヘキサン6.5g/hr
・三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート(重合触媒)
トリオキサン1molに対して、0.20×10-4mol
なお、重合触媒は上記成分と別ラインにてフィードした。
[末端安定化条件]
・重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後、常温で1hr攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃×3hr乾燥し、ポリアセタール樹脂コポリマーを得た。
トリオキサン、1,3−ジオキソラン、分子量調調節剤は、前述のポリアセタール樹脂コポリマー(A1)と同様とし、重合する際の重合触媒の添加量とフィード方法を変更した。
変更箇所は、重合触媒量は、トリオキサン1molに対して0.13×10-4molとし、この量の重合触媒を1,3−ジオキソランとシクロヘキサンに添加し、予め均一混合した。
この均一混合物をトリオキサンとメチラールからなる混合物とは別のラインにて重合機にフィードした。
重合触媒量とフィード方法以外は、前述のポリアセタール樹脂コポリマー(A1)と同等の操作を行い、1,3−ジオキソランに由来するコモノマー成分の含有量が4mol%であり、MFR値が9g/10minのポリアセタール樹脂コポリマーを得た。
(B1) カルボキシメチルセルロース
(B2−1)カルシウムが化学的に修飾したカルボキシメチルセルロース
(B2−2)ナトリウムが化学的に修飾したカルボキシメチルセルロース
(C1)トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]
(C2−1)メラミン
(C2−2)2,4−ジアミノ−6−[2‘−メチルイミダゾリル−(1’)]―エチル
−s−トリアジン
(C3) ステアリン酸カルシウム
ポリアセタール樹脂粉砕品(A1)100質量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止
剤(C1)0.3質量部と、カルボキシメチルセルロース(B2−1)0.1質量部を添
加し、ヘンシェル混合機を用いて均一に混合し、混合物を得た。
得られた混合物を2軸押出し機(シリンダー設定温度:200℃)で溶融混練し、ペレ
ット化した。
このペレットを80℃で3時間乾燥させた後、上述した「ホルムアルデヒド発生量」、
「長期特性」、及び「成形性」の評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
カルボキシメチルセルロース(B)の種類を変更した以外は、前記〔参考例1〕と同様の操作を行った。
評価結果を表1に示す。
カルボキシメチルセルロース(B)の添加量を変更した以外は、前記〔参考例1〕と同様の操作を行った。
評価結果を表1に示す。
2種類のカルボキシメチルセルロース(B)を表1に示す混合比率により併用した。そ
の他の条件は、前記〔参考例1〕と同様の操作を行った。
評価結果を表1に示す。
2種類のカルボキシメチルセルロース(B)とその他添加剤(C2)を、それぞれ表1
に示す混合比率により併用した。その他の条件は、前記〔参考例1〕と同様の操作を行った。
評価結果を表1に示す。
ポリアセタール樹脂をA2に変更した以外は、前記〔実施例14〕と同様の操作を行った。
評価結果を表1に示す。
ポリアセタール樹脂粉砕品(A1)100質量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)0.3質量部を添加し、ヘンシェル混合機を用いて均一混合し、混合物を得た。
得られた混合物を2軸押出し機(シリンダー設定温度:200℃)で溶融混練し、ペレット化した。
このペレットを80℃で3時間乾燥させた後、上述した「ホルムアルデヒド発生量」、「長期特性」、及び「成形性」の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
ポリアセタール樹脂粉砕品(A1)100質量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)0.3質量部と、その他添加剤として、メラミン(C2−1)0.1質量部を添加し、ヘンシェル混合機を用いて均一混合し、混合物を得た。
得られた混合物を2軸押出し機(シリンダー設定温度:200℃)で溶融混練し、ペレット化した。
このペレットを80℃で3時間乾燥させた後、上述した「ホルムアルデヒド発生量」、「長期特性」、及び「成形性」の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
ポリアセタール樹脂粉砕品(A1)100質量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)0.3質量部と、その他添加剤として、ステアリン酸カルシウム(C3)0.1質量部を添加し、ヘンシェル混合機を用いて均一混合し、混合物を得た。
得られた混合物を2軸押出し機(シリンダー設定温度:200℃)で溶融混練し、ペレット化した。
このペレットを80℃で3時間乾燥させた後、上述した「ホルムアルデヒド発生量」、「長期特性」、及び「成形性」の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- (A)ポリアセタール樹脂と、
(B)下記一般式(I)で表され、一般式(I)中、X 1 が水素である、カルボキシメチルセルロース(B1)、及び下記一般式(I)又は(II)で表され、一般式(I)中、X 1 が1価のアルカリ金属であり、一般式(II)中、X 2 が2価のアルカリ土類金属である、カルボキシメチルセルロース誘導体(B2)と、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(C1)と、
を、含有し、
前記カルボキシメチルセルロース(B1)と前記カルボキシメチルセルロース誘導体(
B2)の混合比率=(B2)/[(B1)+(B2)]が30〜70質量%である、
ポリアセタール樹脂組成物。
2000である。)
000である。) - 前記カルボキシメチルセルロース(B1)及びカルボキシメチルセルロース誘導体(B
2)の含有量が、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部である
、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。 - アミノ置換トリアジン類化合物(C2)を、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量
部に対して、0.001〜5質量部、さらに含有する、請求項1又は2に記載のポリアセ
タール樹脂組成物。
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