JP6861490B2 - 窒化物結晶基板の製造方法および結晶成長用基板 - Google Patents

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本発明は、窒化物結晶基板の製造方法および結晶成長用基板に関する。
発光素子や高速トランジスタ等の半導体デバイスを作製する際、例えば窒化ガリウム等の窒化物結晶からなる基板(以下、窒化物結晶基板)が用いられる。窒化物結晶基板は、サファイア基板やそれを用いて作製した結晶成長用基板上に、窒化物結晶を成長させる工程を経ることで製造することができる。近年、直径が例えば2インチを超えるような大径の窒化物結晶基板を得るため、結晶成長用基板を大径化させるニーズが高まっている(例えば特許文献1参照)。
特開2006−290676号公報
本発明の目的は、大径化させた結晶成長用基板を用い、良質な窒化物結晶基板を製造することが可能な技術を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
を有し、
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置する窒化物結晶基板の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、隣り合う前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、平面視でそれらの側面が接するか或いはそれらの少なくとも一部が重なるように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
を有し、
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣り合う2つの種結晶基板を、少なくとも平面視でそれらの側面が接するか或いはそれらの一部が重なる部分を挟んだ両側の位置で、それらの前記主面の端部の高低差が前記種結晶基板の厚さ以上となるように配置する窒化物結晶基板の製造方法が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、
窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を有し、
複数の前記種結晶基板は、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置され、
複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置されている結晶成長用基板が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、
窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を有し、
複数の前記種結晶基板は、隣り合う前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、平面視でそれらの側面が接するか或いはそれらの少なくとも一部が重なるように配置され、
複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくとも平面視でそれらの側面が接するか或いはこれらの一部が重なる部分を挟んだ両側の位置で、それらの前記主面の端部の高低差が前記種結晶基板の厚さ以上となるよう配置されている結晶成長用基板が提供される。
本発明によれば、大径化させた結晶成長用基板を用い、良質な窒化物結晶基板を製造することが可能となる。
(a)は種結晶基板を作製する際に用いられる小径種基板の平面図であり、(b)は小径種基板の裏面に凹溝を形成する様子を示す断面図であり、(c)は凹溝に沿って小径種基板を劈開させてその周縁部を除去する様子を示す模式図であり、(d)は小径種基板の周縁部を除去することで得られた種結晶基板の平面図であり、(e)は種結晶基板の側面図である。 (a)は種結晶基板の配列パターンの一例を示す平面図であり、(b)は図2(a)に示す種結晶基板群のB−B’断面図である。 (a)は種結晶基板の配列パターンの変形例を示す平面図であり、(b)は図3(a)に示す種結晶基板群のB−B’断面図である。 (a)は種結晶基板の配列パターンの変形例を示す平面図であり、(b)は図4(a)に示す種結晶基板群のB−B’断面図である。 結晶膜を成長させる際に用いられる気相成長装置を示す概略図である。 (a)は種結晶基板上に結晶膜を成長させた様子を示す模式図であり、(b)は図6(a)のC部を拡大した断面図の第1例であり、(c)は図6(a)のC部を拡大した断面図の第2例であり、(d)は図6(a)のC部を拡大した断面図の第3例である。 (a)は種結晶基板が接合されてなる結晶成長用基板を自立させる様子を示す模式図であり、(b)は裏面洗浄後の結晶成長用基板の模式図である。 (a)は結晶成長用基板上に結晶膜を厚く成長させた様子を示す模式図であり、(b)は厚く成長させた結晶膜をスライスすることで複数枚の窒化物結晶基板を取得する様子を示す模式図である。 (a)は種結晶基板上に結晶膜を厚く成長させた様子を示す断面構成図であり、(b)は厚く成長させた結晶膜をスライスすることで複数枚の結晶成長用基板を取得する様子を示す模式図である。 結晶成長用基板およびこれを用いて作製した窒化物結晶基板の平面構成を例示する模式図である。 (a)〜(c)はそれぞれ変形例1〜3の種結晶基板群の断面図である。 結晶膜を成長させる際に用いられる気相成長装置の変形例を示す概略図である。 (a)は変形例4又は5の種結晶基板の配列パターンを示す平面図であり、(b)は図13(a)に示す変形例4の種結晶基板群のB−B’断面図であり、(c)は図13(a)に示す変形例5の種結晶基板群のB−B’断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ変形例6〜8の種結晶基板群の断面図である。 (a)〜(b)はそれぞれ変形例9〜10の種結晶基板群の断面図である。 (a)〜(b)はそれぞれ変形例11の種結晶基板群の断面図である。 (a)は変形例12の種結晶基板の配列パターンを示す平面図であり、(b)は図17(a)に示す変形例12の種結晶基板群のB−B’断面図である。 光学顕微鏡による結晶成長用基板の断面像を示す図である。 光学顕微鏡による結晶成長用基板の断面像を示す図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(1)窒化物結晶基板の製造方法
本実施形態では、以下に示すステップ1〜5を実施することで、窒化物結晶基板として、窒化ガリウム(GaN)の結晶からなる結晶基板(以下、GaN基板ともいう)を製造する例について説明する。
(ステップ1:種結晶基板の用意)
本実施形態では、GaN基板を製造する際、図2(a)に破線で外形を例示するような結晶成長用基板20を用いる。そこで本ステップでは、まず、結晶成長用基板20を構成する種結晶基板10(以下、「基板10」と略す。)を作製する際に用いられるベース材料として、図1(a)に実線で外形を示すようなGaN結晶からなる小径種基板(結晶基板)5を複数用意する。小径種基板5は、作製しようとする基板10よりも大きな外径を有する円形の基板であって、例えば、サファイア基板等の下地基板上にGaN結晶をエピタキシャル成長させ、成長させた結晶を下地基板から切り出してその表面を研磨すること等により作製することができる。GaN結晶は、気相成長法や液相成長法を問わず、公知の手法を用いて成長させることができる。現在の技術水準では、直径2インチ程度のものであれば、その主面(結晶成長の下地面)内におけるオフ角のばらつき、すなわち、オフ角の最大値と最小値との差が、例えば0.3°以下と比較的小さく、また、欠陥密度や不純物濃度の少ない良質な基板を、比較的安価に得ることができる。ここでオフ角とは、小径種基板5の主面の法線方向と、小径種基板5を構成するGaN結晶の主軸方向(主面に最も近い低指数面の法線方向)と、のなす角をいう。
本実施形態では、一例として、直径Dが2インチ程度であって、厚さTが0.2〜1.0mmである基板を、小径種基板5として用いる場合について説明する。また、本実施形態では、小径種基板5の主面すなわち結晶成長面が、GaN結晶のc面に対して平行であるか、或いは、この面に対して±5°以内、好ましくは±1°以内の傾斜を有するような基板を、小径種基板5として用いる場合について説明する。また、本実施形態では、複数の小径種基板5を用意する際、それぞれの小径種基板5の主面内におけるオフ角のばらつき(オフ角の最大値と最小値との差)が0.3°以下、好ましくは0.15°以下であり、かつ、複数の小径種基板5間におけるオフ角のばらつき(オフ角の最大値と最小値との差)が0.3°以下、好ましくは0.15°以下であるような基板群を、複数の小径種基板5として用いる例について説明する。
なお、本明細書で用いる「c面」という用語は、GaN結晶のc面、すなわち、{0001}面に対して完全に平行な面だけでなく、上述のように、この面に対してある程度の傾斜を有する面を含み得る。この点は、本明細書において「a面」、「M面」という用語を用いる場合も同様である。すなわち、本明細書で用いる「a面」という用語は、GaN結晶のa面、すなわち、{11−20}面に対して完全に平行な面だけでなく、この面に対して上記と同様の傾斜を有する面を含み得る。また、本明細書で用いる「M面」という用語は、GaN結晶のM面、すなわち、{10−10}面に対して完全に平行な面だけでなく、この面に対して上記と同様の傾斜を有する面を含み得る。
小径種基板5を用意したら、図1(b)に示すように、その裏面に凹溝を形成する。凹溝は、例えば、レーザ加工法や機械加工法のような公知の手法を用いて形成することが可能である。凹溝を形成した後、図1(c)に示すように、凹溝に沿って小径種基板5を劈開させてその周縁部を除去することで、基板10が得られる。図1(d)に、基板10の平面構成を示す。
基板10の平面形状は、基板10を同一平面上に複数並べた場合に、これらを略平面充填させること、すなわち、平面視で隙間なく敷き詰めることが可能な形状とするのが好ましい。
また、本実施形態では、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面、すなわち、他の基板10の側面と対向する(向かい合う)全ての面を、互いに等価な面とするのが好ましい。ここでは、例えば、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面をM面とする。なお、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面をa面としてもよい。
GaN結晶は六方晶系の結晶構造を有することから、上述の要求を満たすようにするには、基板10の平面形状を、正三角形、平行四辺形(内角60°および120°)、台形(内角60°および120°)、正六角形、および、平行六辺形のうちいずれかの形状とするのが好ましい。基板10の平面形状を正方形や長方形とすると、基板10の側面のうちいずれかの面をM面とした場合に、その面に直交する側面が必然的にa面となってしまい、それぞれの面を等価な面とすることは不可能となる。また、基板10の平面形状を円形や楕円形とすると、略平面充填させることができず、また、基板10の側面を等価な面とすることは不可能となる。
なお、上述した数種類の形状のうち、基板10の平面形状は、図1(d)に示すように正六角形とするのが特に好ましい。この場合、平面形状が円形である小径種基板5から、基板10を、最大限の大きさで効率よく取得することが可能となる。また、後述するステップ2において基板10を同一平面上に略平面充填させる際、その配列はハニカムパターンを構成することになり、複数の基板10は、平面視において相互に噛み合わさるように配列することになる。これにより、配列させた複数の基板10に対して面内方向に沿って外力が加わったとき、その方向によらず、基板10の配列ずれを抑制することが可能となる。これに対し、基板10の平面形状を、正三角形、平行四辺形、台形、正方形、長方形等とした場合には、基板10の平面形状を正六角形とする場合に比べ、特定の方向からの外力の影響を受けやすくなり、基板10の配列ずれが生じやすくなる。本実施形態では、基板10の平面形状を正六角形とする場合について説明している。
なお、GaN結晶の取り得る面方位のうち、M面については、単位面積あたりの結合手密度が小さい(原子間の結合が弱い)等の理由により、劈開させることが容易である。これに対し、本実施形態で採用しようとするM面以外の面方位(例えばa面)については、単位面積あたりの結合手密度がM面における結合手密度よりも大きい(原子間の結合が強い)等の理由により、劈開させることが比較的困難となる。このような課題に対し、本実施形態では、上述したように小径種基板5の裏面に凹溝を形成してから劈開作業を行うこととしている。これにより、小径種基板5を、M面以外の劈開性の弱い面(劈開しにくい面)方位であっても正確に劈開させることが可能となる。図1(e)に、上述の手法で得られた基板10の側面構成図を示す。図1(e)に示すように、基板10の側面には、小径種基板5の裏面に凹溝を形成することで生じた融解面(レーザ加工面)或いは切削面(機械加工面)と、凹溝に沿って小径種基板5を劈開させることで生じた劈開面と、が形成されることとなる。ここでいう融解面とは、例えば、結晶が一度融けた後に急激に固化することで形成されたアモルファス面等を含む面のことである。また、ここでいう切削面とは、例えば、裂開面等を含む表面粗さの比較的大きな面のことである。
なお、凹溝は、あくまで、小径種基板5を劈開させる際の制御性を高めるために設けるものである。そのため、凹溝を形成する際は、小径種基板5を完全に切断してしまうことがないよう、その深さを調整する必要がある。凹溝の深さは、例えば、小径種基板5の厚さTに対して60%〜90%程度とするのが好ましい。また、劈開位置を正確に制御するため、凹溝の断面形状は、図1(b)に示すようなV字状(開口部が広いテーパー状)の断面形状とするのが好ましい。なお、凹溝の開口幅については特に制限はないが、例えば0.2〜1.8mmが例示される。このように溝の寸法や形状を制御することで、小径種基板5を劈開させる際の制御性を高めつつ、小径種基板5を劈開させた際に形成される劈開面の幅(厚さ方向における幅)を充分に確保することが可能となる。これにより、後述するステップ3において隣接する基板10同士の接合強度を高めたり、基板10の接合部周辺に形成される結晶膜の品質を向上させたりすることが可能となる。
上述の加工を施すと、小径種基板5の切粉が大量に発生して基板10に付着し、そのままでは後述の結晶成長に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、切粉を除去する洗浄処理を行う。その手法としては、例えば、塩酸(HCl)と過酸化水素水(H)とを1対1で混合して得た薬液を用いたバブリング洗浄が挙げられる。
(ステップ2:種結晶基板の配置)
基板10を複数枚取得したら、ステップ2を行う。本ステップでは、GaN結晶からなる複数の基板10を、隣接する基板10の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置(充填)する。これにより、組み立て基板13を作製する。なお、組み立て基板13は、後述する結晶成長用基板20の一態様として考えてもよい。
なお、ここでいう「複数の基板10を、隣接する基板10の主面が互いに平行となるように配置する」とは、隣接する基板10の主面同士が、完全に互いに平行に配置される場合だけでなく、これらの面が互いに僅かな傾きを持って配置される場合を含むものとする。本実施形態では、隣接する基板10の主面間に傾きが生じた場合であっても、その大きさは、最も大きい面で例えば0.1°以下、好ましくは0.05°以下とするのが望ましい。また、複数の基板10を配置する際は、これらを配列させることで得られる基板群の主面内におけるオフ角のばらつき(全主面内におけるオフ角の最大値と最小値との差)を、例えば0.3°以下、好ましくは0.15°以下とするのが望ましい。これらが大きすぎると、後述するステップ3,5(結晶成長工程)で成長させる結晶の品質が低下する場合があるためである。
また、ここでいう「複数の基板10を、隣接する基板10の側面が互いに当接するように配置する」とは、隣接する基板10の側面同士が、完全に、すなわち、隙間なく接触する場合だけでなく、これらの間に僅かな隙間が存在する場合も含むものとする。すなわち、複数の基板10を、これらの側面間になるべく隙間が生じないように近接して対向させることを意味する。但し、隣接する基板10の側面間に隙間が生じた場合であっても、室温条件におけるその大きさは、最も大きい場所で例えば100μm以下、好ましくは50μm以下とするのが望ましい。隙間が大きすぎると、後述するステップ3(結晶成長工程)を実施した際に、隣接する基板10間が接合しなかったり、接合したとしてもその強度が不足したりする場合があるためである。
後述するステップ3における取り扱いを容易とするため、複数の基板10は、例えば、平坦な載置面を有する平板として構成された保持板(支持板)12上に固定するのが好ましい。図2(b)に、複数枚の基板10が保持板12上に設けられた組み立て基板13の断面構成を示す。本図に示すように、基板10は、その主面(結晶成長面)が上面となるように保持板12上に設置される。このとき、複数の基板10のそれぞれは、その主面が保持板12の載置面と平行となるように保持板12上に配置される。
保持板12の材料としては、後述するステップ3(結晶成長工程)での成膜温度、成膜雰囲気に耐えられる耐熱性、耐食性を有し、また、基板10やステップ3で形成するGaN結晶膜14を構成する結晶と、同等或いはそれより小さい線膨張係数を有する材料を用いることが好ましい。保持板12の材料をこのように選択することで、ステップ3において基板10間にギャップが形成されたり、基板10間に形成されたギャップが広がったりしてしまうことを抑制できるようになる。ここでいう線膨張係数とは、基板10の主面(c面)に平行な方向、すなわち、基板10を構成するGaN結晶のa軸方向における線膨張係数をいう。GaN結晶のa軸方向における線膨張係数は5.59×10−6/Kである。線膨張係数がこれらに比べて同等もしくは小さく、安価で入手が容易であり、ある程度の剛性を示す材料としては、例えば、等方性黒鉛、異方性黒鉛(パイロリティックグラファイト等)、シリコン、石英などが挙げられる。また、後述する理由から、これらの中でも、等方性黒鉛、パイロリティックグラファイトを特に好ましく用いることができる。また、等方性黒鉛等からなる平板基材の表面をパイロリティックグラファイト等の表層が剥離しやすく耐食性に優れた材料により被覆(コーティング)してなる複合材料を、好適に用いることもできる。
ステップ2では、複数の基板10の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの基板10を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの主面の高さが互いに異なるように配置する。ここでいう隣接する2つの基板10の「接合部」とは、隣接する2つの基板10の側面同士が当接する部分のことを意味する。また、ここでいう「主面の高さ」とは、複数の基板10群を保持板12の水平な載置面上に載置したときの、載置面から該載置面に垂直な方向へのそれぞれの主面(上端部)の高さのことを意味する。本実施形態では、複数の基板10のそれぞれを、その主面が保持板12の載置面と平行となるように保持板12上に配置するため、隣接する2つの基板10は、これらの接合部を挟んだ両側の位置におけるそれぞれの主面の高さだけでなく、それぞれの主面の全体の高さが互いに異なるように配置される。
本実施形態では、図2(b)に示すように、例えば、厚さが互いに等しい複数の基板10を用い、それぞれの基板10の主面を載置面と平行とした状態で、それぞれの基板10の下側に、厚さが互いに異なる板状のスペーサ11sを挿入する。このとき、スペーサ11sの下面を保持板12の載置面に当接させるとともに、スペーサ11sの上面をそれぞれの基板10の裏面に当接させる。そして、この状態で、保持板12上にスペーサ11と隣接した位置に接着剤11aを形成(塗布)し、当該接着剤11aを介してそれぞれの基板10と保持板12とを接着させる。これにより、隣接する2つの基板10のそれぞれの全体が互いに異なる高さに配置されることとなる。
スペーサ11sの材料としては、後述するステップ3(結晶成長工程)での成膜温度、成膜雰囲気に耐えられる耐熱性、耐食性を有する材料を用いることが好ましい。所定の耐熱性、耐食性を有し、安価で入手が容易である材料としては、例えば、カーボンシートなどが挙げられる。平面視でのスペーサ11sの面積は、スペーサ11sが基板10よりも外側にはみ出すことがないよう、それぞれの基板10の面積よりも小さいことが好ましい。また、基板10下には、スペーサ11sに隣接して接着剤11aを塗布することができるような空隙が形成されることが好ましい。具体的には、例えば、図2(b)に示すように、スペーサ11sの平面形状を、中心に中空部を有するリング状とする。これにより、リング状のスペーサ11sの中空部内に接着剤11aを形成することができる。なお、四角形等の平面形状を有する複数の小片のスペーサ11sを、水平方向に間隔をあけて基板10の下に挿入し、該間隔内に接着剤11aを形成するようにしてもよい。ただし、スペーサ11sがリング状であるほうが、基板10を安定的に支持することができるという点で好ましい。また、それぞれの基板10下に挿入されるスペーサ11sの厚さを異ならせる方法としては、一枚のシートによってスペーサ11sを構成し、当該一枚のシートからなるスペーサ11sの厚さを互いに異ならせてもよいし、或いは、同じ厚さを有する単位シートを複数枚重ねることでスペーサ11sを構成し、当該単位シートの枚数を互いに異ならせてもよい。
接着剤11aの材料としては、後述するステップ3(結晶成長工程)での成膜温度、成膜雰囲気に耐えられる耐熱性、耐食性を有し、また、基板10やステップ3で形成するGaN結晶膜14を構成する結晶と近い線膨張係数を有する材料を用いることが好ましい。なお、「線膨張係数が近い」とは、接着剤11aの線膨張係数と、GaN結晶膜14を構成する結晶の線膨張係数と、が実質的に同等であること、例えば、これらの差が10%以内であることを意味する。このような材料としては、例えば、ジルコニアやシリカ等を主成分とする材料を好ましく用いることができ、例えば、市販のアロンセラミックC剤やE剤(アロンセラミックは東亞合成株式会社の登録商標)が挙げられる。
基板10を保持板12上に接着する際は、接着剤11aが基板10の主面側に回り込んではみ出ることのないよう、基板10下でスペーサ11sによって形成される空隙内にのみ接着剤11aを塗布するのが好ましい。特に、接着剤11aと基板10との線膨張係数の差が比較的大きい場合には、例えば、極力少量の接着剤11aを、リング状のスペーサ11sの中空部内にのみ収まるように塗布するのが好ましい。なお、接着剤11aを、スペーサ11sと接着させていてもよいし、接着させなくてもよい。
このような配置により、隣接する2つの基板10の間の接合部(の上部)には、段差10sが形成される。ここでいう「段差10s」とは、隣接する2つの基板10のそれぞれの主面の高さがそれらの接合部を挟んで変化する部分のことを意味する。このとき、隣接する2つの基板10の間の接合部には、後述するステップ2において結晶膜14を成長させる成膜ガスの滞留が局所的に生じるような段差10sを形成する。具体的には、隣接する2つの基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm超500μm以下、或いは基板10の厚さに対して25%超100%未満とする。なお、基板10の厚さは、小径種基板5の厚さと等しい。本実施形態では、隣接する2つの基板10のそれぞれの下に挿入されるスペーサ11sの厚さの差を、例えば、100μm超500μm以下、或いは基板10の厚さに対して25%超100%未満とすることで、隣接する2つの基板10間に所定の段差10sを形成する。このような段差10sを、隣接する2つの基板10の間に積極的に形成することにより、後述するステップ2において、結晶膜14を成長させる成膜ガスの滞留を局所的に生じさせることができ、段差10s付近でGaN結晶膜14の成長を促すことができる。
図2(a)は、基板10の配列パターンの一例を示す平面図である。本実施形態のように、平面形状が正六角形である基板10を用いる場合、組み立て基板13において複数の基板10が略平面充填されることでハニカムパターン(蜂の巣パターン)が構成されることとなる。このような組み立て基板13において、複数の基板10のそれぞれの主面の高さの分布は、例えば、後述するステップ2において結晶膜14を成長させる成膜ガスを流す方法(向き、流速等)に基づいて設定される。
本実施形態では、後述するステップ2において、組み立て基板13を周方向(主面に沿った方向)に回転させながら成膜ガスを組み立て基板13の主面に対して平行な方向に流すため、図2(b)に示すように、例えば、複数の基板10を、組み立て基板13(後述の結晶成長用基板20)の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置する。このとき、複数の基板10を、主面の高さが組み立て基板13の中心に対して同心円状に等しくなるように配置するとともに、隣接する2つの同心円のうち、外側の同心円での主面の高さが内側の同心円での主面の高さよりも低くなるように配置する。
また、このとき、複数の同心円のうち、隣接する2つの同心円間での高低差のそれぞれを、互いに等しくする。なお、ここでいう「隣接する2つの同心円間での高低差のそれぞれを、互いに等しくする」とは、隣接する2つの同心円間での高低差のそれぞれを、完全に一致させる場合だけでなく、これらの高低差に僅かな誤差が生じる場合も含むものとする。例えば、それぞれの基板10下に挿入されるスペーサ11sの厚さが所定の誤差を含んでいる場合などが考えられる。但し、本実施形態では、隣接する2つの同心円間での高低差のそれぞれに誤差が生じた場合であっても、その誤差は例えば50μm以下、好ましくは10μm以下とするのが望ましい。なお、複数の前記種結晶基板を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、隣接する2つの基板10間の高低差が積極的に変化するように配置する場合については、変形例として後述する。
また、このとき、複数の基板10のうち、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差(組み立て基板13全体としての主面の最大高低差)を、例えば、100μm超1500μm以下とする。なお、本実施形態では、最も高い基板10を組み立て基板13の中心に位置する基板10とし、最も低い基板10を組み立て基板13の最も周縁側に位置する基板10とし、これらの高低差を100μm超1500μm以下とする。
なお、図2(a)中に破線で外形を示すような平面形状が円形である結晶成長用基板20を作製する場合、配列させた複数の基板10群のうち、結晶成長用基板20の周縁部を構成する基板10(破線と交差する基板10)については、その周縁部(破線の外側の部分)を結晶成長用基板20の外形に合わせて円弧状に切断加工するようにしてもよい。この切断加工は、基板10を組み合わせる前に実施してもよく、組み合わせた後に実施してもよい。また、この切断加工は、ステップ1で例示したような劈開を組み合わせた手法ではなく、レーザ加工法や機械加工法のような公知の手法を用いて行うことができる。なお、この切断加工を実施したとしても、複数の基板10のうち、少なくとも結晶成長用基板20の周縁部以外の部分を構成する基板は、平面形状が正六角形である主面を有することとなる。本図に示すように、基板10の主面を組み合わせたハニカムパターンは、結晶成長用基板20の主面の中心を通りこの主面に直交する軸を中心軸として結晶成長用基板20を一回転させたとき、6回の回転対称性を有するように配置される。
なお、図2(a)に示すように、配列させた複数の種基板結晶10の中から任意に選択された基板10は、少なくとも2つ以上の他の基板10と当接するように構成されていることが分かる。また、この任意に選択された基板10が有する2以上の当接面は、互いに直交しないように構成されていることも分かる。これらの事象は、基板10の平面形状として例えば正六角形、正三角形、平行四辺形、台形を選択し、複数の基板10を、この図に示すように略円形に(一方向だけでなく多方向に)略平面充填させた場合に得られる固有のものであるといえる。また、この図に示すように、複数の基板10は、平面視において相互に噛み合って(組み合って)おり、ステップ3やその後の工程において、基板10の配列ずれが生じにくくなるように配置されていることも分かる。この事象は、基板10の平面形状を正六角形とし、複数の基板10を、この図に示すように略円形に略平面充填させた場合に得られる固有のものであるといえる。
(ステップ3:結晶成長による接合)
接着剤11aが固化し、組み立て基板13の作製が完了したら、図5に示すハイドライド気相成長装置(HVPE装置)200を用い、略平面状に配置させた複数の基板10の主面上に、所定の成膜ガスを供給することで、第1結晶膜(接合用薄膜)としてのGaN結晶膜14を成長させる。ここでいう「成膜ガス」とは、GaN結晶膜14を成長させる原料ガスのことを意味し、Ga原料ガスを生成する反応ガスとしてのHClガスや、窒素(N)ガス等のキャリアガスを含むものとする。
HVPE装置200は、石英等の耐熱性材料からなり、成膜室201が内部に構成された気密容器203を備えている。成膜室201内には、組み立て基板13や結晶成長用基板20を保持するサセプタ208が設けられている。サセプタ208は、回転機構216が有する回転軸215に接続されており、該サセプタ208上に載置される組み立て基板13を周方向(主面に沿った方向)に回転可能に構成されている。気密容器203の一端には、成膜室201内へ成膜ガスとして、HClガス、アンモニア(NH)ガス、Nガスを供給するガス供給管232a〜232cが接続されている。ガス供給管232cには水素(H)ガスを供給するガス供給管232dが接続されている。ガス供給管232a〜232dには、上流側から順に、流量制御器241a〜241d、バルブ243a〜243dがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aの下流には、原料としてのGa融液を収容するガス生成器233aが設けられている。ガス生成器233aには、HClガスとGa融液との反応により生成された成膜ガスとしての塩化ガリウム(GaCl)ガスを、サセプタ208上に保持された組み立て基板13等に向けて供給するノズル249aが接続されている。ガス供給管232b,232cの下流側には、これらのガス供給管から供給された成膜ガスをサセプタ208上に保持された組み立て基板13等に向けて供給するノズル249b,249cがそれぞれ接続されている。ノズル249a〜249cは、組み立て基板13の主面に対して平行な方向(主面に沿った方向)に成膜ガスを流すよう配置されている。一方、気密容器203の他端には、成膜室201内を排気する排気管230が設けられている。排気管230にはポンプ231が設けられている。気密容器203の外周にはガス生成器233a内やサセプタ208上に保持された組み立て基板13等を所望の温度に加熱するゾーンヒータ207が、気密容器203内には成膜室201内の温度を測定する温度センサ209が、それぞれ設けられている。HVPE装置200が備える各部材は、コンピュータとして構成されたコントローラ280に接続されており、コントローラ280上で実行されるプログラムによって、後述する処理手順や処理条件が制御されるように構成されている。
ステップ3は、上述のHVPE装置200を用い、例えば以下の処理手順で実施することができる。まず、ガス生成器233a内に原料としてGa融液を収容し、また、サセプタ208上に組み立て基板13を保持する。そして、サセプタ208を回転させるとともに、成膜室201内の加熱および排気を実施しながら、成膜室201内へHガス(あるいはHガスとNガスとの混合ガス)を供給する。そして、成膜室201内が所望の成膜温度、成膜圧力に到達し、また、成膜室201内の雰囲気が所望の雰囲気となった状態で、ガス供給管232a,232bからガス供給を行い、組み立て基板13(基板10)の主面に対して平行な方向に、成膜ガスとしてGaClガスとNHガスとを供給する。これにより、図6(a)に断面図を示すように、基板10の主面上に、GaN結晶がエピタキシャル成長し、GaN結晶膜14が形成されることとなる。GaN結晶膜14が形成されることで、隣接する基板10は、GaN結晶膜14によって互いに接合され、一体化した状態となる。その結果、隣接する基板10が接合されてなる結晶成長用基板20が得られることとなる。なお、成膜処理の過程での基板10を構成する結晶の分解を防止するため、NHガスを、HClガスよりも先行して(例えば成膜室201内の加熱前から)供給するのが好ましい。また、GaN結晶膜14の面内膜厚均一性を高め、隣接する基板10同士の接合強度を面内でむらなく向上させるため、ステップ3は、サセプタ208を回転させた状態で実施するのが好ましい。
基板10上にGaN結晶膜14を形成する際、上述したように、ステップ2において、隣接する2つの基板10を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの主面の高さが互いに異なるように配置することで、当該隣接する2つの基板10の間には、段差10sが形成されている。このような段差10sが形成された基板10群に対して成膜ガスを供給すると、隣接する2つの基板10間の段差10s付近で、局所的に成膜ガスの滞留(乱流)が生じる。これにより、段差10s付近でGaN結晶膜14の成長を促し、段差10s付近で局所的にGaN結晶膜14の成長速度を大きくすることができる。
このとき、図6(b)に示す第1例のように、隣接する2つの基板10間の段差10sに追従するようにGaN結晶膜14を形成する。すなわち、隣接する2つの基板10のそれぞれの主面上にGaN結晶膜14を形成するとともに、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面(の露出部分)にGaN結晶膜14を形成する。これにより、隣接する2つの基板10のうち、主面が低い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14と、主面が高い方の基板10の側面に形成されるGaN結晶膜14とを(ステップ2の早い段階から)結合させることができる。その結果、隣接する2つの基板10同士の接合強度を向上させることができる。特に、隣接する2つの基板10を主面に交差する方向に互いにずれさせるようなせん断応力に対して耐性を向上させることができる。
また、図6(b)に示す第1例のように、隣接する2つの基板10のうち、主面が低い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14を、主面が高い方の基板10に近づくにつれて徐々に厚くなるように形成してもよい。この場合、GaN結晶膜14には、基板10間の段差10sに比べて滑らかな傾斜面が形成されることとなる。これにより、隣接する2つの基板10同士の接合部付近のGaN結晶膜14の剛性を向上させることができる。
または、図6(c)に示す第2例のように、隣接する2つの基板10のうち、主面が低い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14を、主面が高い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14よりも厚くなるように形成してもよい。これにより、隣接する2つの基板10のうち、主面が低い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14と、主面が高い方の基板10の側面に形成されるGaN結晶膜14とを結合させる領域を広く(厚く)することができる。その結果、隣接する2つの基板10同士の接合強度をさらに向上させることができる。
また、図6(c)に示す第2例では、基板10間の段差10sに対応する、GaN結晶膜14の主面の段差は、基板10の段差10よりも低くなる。より好ましくは、GaN結晶膜14には、基板10間の段差10sに対応する段差が消失し、GaN結晶膜14は平坦となる。なお、この場合、GaN結晶膜14には、主面が低い方の基板10から、主面が高い方の基板10に向けて所定の傾斜角度で高くなるように傾斜した平坦な傾斜面が形成されていてもよい。このように、GaN結晶膜14の主面の段差を低く、好ましくは、消失させることで、後述するステップ5において、GaN結晶膜14上に、段差が低く、好ましくは段差が消失した平坦なGaN結晶膜21を形成することができる。これにより、ステップ5において、GaN結晶膜21の段差21sとともに取り除かれる後述の最上層GaN基板30bおよび最下層GaN基板30aのそれぞれの厚さを小さくすることができる。その結果、GaN結晶膜21の浪費を抑制し、製造コストを削減することができる。
または、図6(d)に示す第3例のように、隣接する2つの基板10の接合部上に、GaN結晶膜14を他の部分よりも厚く形成してもよい。この場合、GaN結晶膜14には、基板10の接合部上に凸面が形成されることとなる。これにより、隣接する2つの基板10同士の接合部付近のGaN結晶膜14の剛性をさらに向上させることができる。
以上の第1例〜第3例のように、隣接する2つの基板10間の段差10sにGaN結晶膜14を被覆することで、基板10間の段差10s上に形成されるGaN結晶膜14の主面に、V字状の溝部(以下、V溝と呼ぶ)が生じることを抑制することができる。これにより、GaN結晶膜14上に形成する後述のGaN結晶膜21の主面においてもV溝の発生を抑制することができる。この点については、「(2)本実施形態により得られる効果」において詳細を後述する。
なお、GaN結晶膜14の主面にV溝が残っていてもよい。この場合、たとえV溝が残っていても、上述のように基板10間の段差10sにGaN結晶膜14を被覆することで、隣接する2つの基板10同士の接合強度を向上させることができる。
隣接する2つの基板10間の段差10sに対して、GaN結晶膜14がどのような形状で形成されるかは、GaN結晶膜14を成長させる成膜ガスの流速、隣接する2つの基板10間における段差10sの高低差、または基板10の配置などに依存する。
本実施形態では、GaN結晶膜14を成長させる成膜ガスの流速を、例えば、6cm/sec以上とする。成膜ガスの流速が6cm/sec未満であると、隣接する2つの基板10間の段差10s付近で、成膜ガスの滞留が不充分となる可能性がある。これに対し、成膜ガスの流速を6cm/sec以上とすることにより、隣接する2つの基板10間の段差10s付近で、成膜ガスの滞留を充分に生じさせることができる。具体的には、隣接する2つの基板10間の段差10sから組み立て基板13の主面に沿った方向に向かって、段差10sの高低差に対して数倍から十数倍程度の距離内の範囲において、成膜ガスの滞留(乱流)を生じさせることができる。その結果、段差10s付近の広範囲に亘ってGaN結晶膜14の結晶成長を積極的に促すことができ、隣接する2つの基板10同士の接合強度を確実に向上させることができる。なお、成膜ガスの流速について特に上限はないが、成膜ガスの過剰な流出を抑制する観点から、成膜ガスの流速は、例えば、15cm/sec以下であることが好ましい。
また、上述したように、ステップ2では、複数の基板10を配置する際、隣接する2つの基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm超500μm以下としている。段差10sの高低差が100μm以下であると、段差10s付近で成膜ガスの滞留が不充分となる可能性がある。これに対し、段差10sの高低差を100μm超とすることにより、段差10s付近で成膜ガスの滞留を充分に生じさせることができる。一方で、段差10sの高低差が500μm超であると、基板10の厚さに対する段差10sの高低差の比率が大きくなり、隣接する2つの基板10の接合部における接合面積が小さくなる。その結果、後述のステップ3で形成されるGaN結晶膜14が薄い場合に、隣接する2つの基板10同士の接合強度を向上させる効果が充分に得られない可能性がある。これに対し、段差10sの高低差を500μm以下とすることにより、基板10の厚さに対する段差10sの高低差の比率を所定値以下とし、隣接する2つの基板10の接合部における接合面積を充分に確保することができる。その結果、隣接する2つの基板10同士の接合強度を安定的に向上させることができる。
或いは、上述したように、ステップ2では、複数の基板10を配置する際、隣接する2つの基板10間における段差10sの高低差を、例えば、基板10の厚さに対して25%超100%未満としている。段差10sの高低差が基板10の厚さに対して25%以下であると、段差10s付近で成膜ガスの滞留が不充分となる可能性がある。これに対し、段差10sの高低差を基板10の厚さに対して25%超とすることにより、段差10s付近で成膜ガスの滞留を充分に生じさせることができる。一方で、段差10sの高低差が基板10の厚さに対して100%以上であると、隣接する基板10の側面同士の重なりが無くなる。このため、後述のステップ3で形成されるGaN結晶膜14のみで基板10同士を接合させることとなり、GaN結晶膜14が薄い場合に、隣接する基板10同士の接合強度を向上させる効果が充分に得られない可能性がある。また、段差10sの高低差が基板10の厚さに対して100%以上であると、後述のステップ3において、主面が低い方の基板上に形成されるGaN結晶膜と、主面が高い方の基板の側面に形成されるGaN結晶膜とが結合するまでにタイムラグが生じてしまう可能性がある。このため、GaN結晶膜14の主面の一部にV溝が残ってしまう可能性がある。これに対し、段差10sの高低差を基板10の厚さに対して100%未満とすることにより、隣接する基板10の側面同士が重なる部分を設けることができる。これにより、ステップ3で形成されるGaN結晶膜14が薄い場合であっても、隣接する基板10同士の接合強度を確実に向上させることができる。また、段差10sの高低差を基板10の厚さに対して100%未満とすることにより、隣接する2つの基板10のうち、主面が低い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14と、主面が高い方の基板10の側面に形成されるGaN結晶膜14とをすぐに結合させることができる。これにより、基板10間の段差10s上に形成されるGaN結晶膜14の主面に、V溝を生じ難くすることができる。その結果、GaN結晶膜14上に形成する後述のGaN結晶膜21の主面においてもV溝を生じ難くすることができる。
また、上述したように、ステップ2では、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置している。隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面は、組み立て基板13の周縁部側を向くように配置されている。上述のHVPE装置200のように、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流す場合では、成膜ガスは、組み立て基板13の一方の周縁部から他方の周縁部に向かって流れる。このとき、組み立て基板13の周縁部側を向いた基板10の側面には成膜ガスが周期的に吹き付けられ、隣接する2つの基板10間における段差10s付近で成膜ガスの滞留(乱流)が起こり易くなる。これにより、結晶成長用基板20の下流側となる中心よりも、上流側となる周縁部側に厚くGaN結晶膜14を形成することができる。その結果、結晶成長用基板20の主面全体としての起伏を小さくすることができる。また、成膜ガスの流れを組み立て基板13の中心等に溜まらせずに周縁部に向かって逃がすことができるため、成膜時のGaN結晶膜14のストレスが結晶成長用基板20の中心などに局所的に偏ることを抑制することができる。
また、上述したように、ステップ2では、複数の基板10を、主面の高さが組み立て基板13の中心に対して同心円状に等しくなるように配置するとともに、隣接する2つの同心円のうち、外側の同心円での主面の高さが内側の同心円での主面の高さよりも低くなるように配置している。隣接する2つの同心円間の段差10sは、主面が高い方の基板10の側面が組み立て基板13の周縁部側を向いた状態で、組み立て基板13の中心を囲むように形成されている。このような組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流すことにより、成膜ガスの滞留をそれぞれの段差10s付近で組み立て基板13の周方向に均等に生じさせることができる。その結果、段差10s付近のGaN結晶膜14を周方向に均等な形状で形成することができ、基板10同士の接合強度を均等にすることができる。
また、上述したように、ステップ2では、複数の基板10を配置する際、複数の基板10のうち、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差を、例えば、100μm超1500μm以下としている。最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差が100μm以下であると、複数の基板10のそれぞれの接合部に形成される段差10sの高低差が小さくなるため、それぞれの段差10s付近で成膜ガスの滞留が不充分となる可能性がある。これに対し、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差を100μm超とすることにより、複数の基板10のそれぞれの接合部に形成される段差10sの高低差を所定値以上し、それぞれの段差10s付近で成膜ガスの滞留を充分に生じさせることができる。一方で、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差が1500μm超であると、結晶成長用基板20の主面の起伏が過剰に大きくなるため、成膜ガスの流れが過剰に乱される可能性がある。また、後述するステップ5において、GaN結晶膜21から平坦なGaN基板30をスライスする際に、段差21sとともに取り除かれる最下層GaN基板30aおよび最上層GaN基板30bのそれぞれの厚さが大きくなる可能性がある。これに対し、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差を1500μm以下とすることにより、結晶成長用基板20の主面の起伏を小さくし、成膜ガスの流れの過剰な乱れを抑制することができる。また、後述するステップ5において、段差21sとともに取り除かれる最上層GaN基板30bおよび最下層GaN基板30aのそれぞれの厚さを小さくすることができる。その結果、GaN結晶膜21の浪費を抑制し、製造コストを削減することができる。
ステップ3を実施する際の他の処理条件としては、以下が例示される。
成膜温度(組み立て基板の温度):980〜1100℃、好ましくは、1050〜1100℃
成膜圧力(成膜室内の圧力):90〜105kPa、好ましくは、90〜95kPa
GaClガスの分圧:1.5〜15kPa
NHガスの分圧/GaClガスの分圧:2〜6
ガスの流量/Nガスの流量:0〜1
以上のようにして形成されるGaN結晶膜14の平均的な膜厚(平坦部での厚さ)は、例えば、結晶成長用基板20の外径をDcmとした場合に、6Dμm以上の厚さとすることができる。GaN結晶膜14の膜厚が6Dμm未満であると、隣接する基板10同士の接合力が不足し、結晶成長用基板20の自立状態が維持できなくなり、その後のステップを進行させることが不可能となる。これに対して、本実施形態では、隣接する2つの基板10間に段差10sを形成することで、GaN結晶膜14の膜厚を6Dμm以上の厚さとすれば、段差10s付近に充分な厚さのGaN結晶膜14を形成することができ、隣接する基板10同士の接合力を向上させることができる。その結果、結晶成長用基板20の自立状態を維持させることができる。
なお、GaN結晶膜14の膜厚について特に上限はないが、ここで行う結晶成長は、あくまでも複数の基板10を接合させて自立可能な状態とする目的に止めておくようにしてもよい。言い換えれば、GaN結晶膜14の膜厚は、後述するステップ4(保持板剥がし、洗浄)において、互いに接合された基板10からなる結晶成長用基板20を保持板12から取り外して洗浄等を行った状態であっても、隣接する基板10同士の接合状態、すなわち、結晶成長用基板20の自立状態が維持されるのに必要かつ最小の厚さに止めておくようにしてもよい。本実施形態のように、本格的な結晶成長工程としてステップ5を別途行うのであれば、ステップ3で形成するGaN結晶膜14の膜厚を厚くしすぎると、成膜に用いる各種ガスの浪費や、GaN基板のトータルでの生産性低下を招いてしまう場合があるためである。このような観点から、GaN結晶膜14の膜厚は、例えば、結晶成長用基板20の外径をDcmとした場合に、100Dμm以下の厚さとしてもよい。
これらのことから、本実施形態では、基板10の外径が2インチ、結晶成長用基板20の外径が6〜8インチである場合、GaN結晶膜14の膜厚は、例えば100μm以上2mm以下の範囲内の厚さとすることができる。
(ステップ4:保持板剥がし、洗浄)
GaN結晶膜14の成長が完了し、隣接する基板10が互いに接合された状態となったら、成膜室201内へNHガス、Nガスを供給し、成膜室201内を排気した状態で、成膜室201内へのHClガス、Hガスの供給、ヒータ207による加熱をそれぞれ停止する。そして、成膜室201内の温度が500℃以下となったらNHガスの供給を停止し、その後、成膜室201内の雰囲気をNガスへ置換して大気圧に復帰させるとともに、成膜室201内を搬出可能な温度にまで低下させた後、成膜室201内から組み立て基板13を搬出する。
その後、図7(a)に示すように、隣接する基板10が接合されてなる結晶成長用基板20を保持板12から引き剥がし、これらを分離させる(結晶成長用基板20を自立させる)。保持板12の材料として、例えばパイロリティックグラファイトのような材料(基板10よりも表層が剥離しやすい材料)を用いた場合、保持板12の表層が犠牲層(剥離層)12aとなって薄く剥がれることで、保持板12からの結晶成長用基板20の自立が容易に行われるようになる。また、保持板12の材料として、等方性黒鉛等からなる平板基材の表面をパイロリティックグラファイト等によりコーティングしてなる複合材料を用いた場合にも、同様の効果が得られるようになる。自立させた結晶成長用基板20の裏面(基板10の裏面)に付着している接着剤11aおよび犠牲層12aは、フッ化水素(HF)水溶液等の洗浄剤を用いて除去する。これにより、図7(b)に示すような自立状態の結晶成長用基板20が得られることとなる。結晶成長用基板20は、その主面(GaN結晶膜14の表面)が結晶成長用の下地面として用いられ、種基板としてこの状態で市場に流通する場合がある。
(ステップ5:結晶成長、スライス)
本ステップでは、図5に示すHVPE装置200を用い、ステップ3と同様の処理手順により、自立した状態の結晶成長用基板20の主面上に、第2結晶膜(本格成長膜)としてのGaN結晶膜21を成長させる。
図8(a)に、結晶成長用基板20の主面、すなわち、GaN結晶膜14の主面上に、気相成長法によりGaN結晶膜21が厚く形成された様子を示す。図8(a)に示すように、GaN結晶膜21は、GaN結晶膜14の表面状態(凹凸)を引き継ぎつつ成長することで、GaN結晶膜21の主面には、基板10間の段差10sに対応する段差21sが形成される。
なお、図6(c)に示した第2例のように、ステップ3で形成したGaN結晶膜14において、基板10間の段差10sに対応する段差が基板10間の段差10sよりも低くなっているか、或いは段差が消失している場合では、ステップ5で形成するGaN結晶膜21の主面においても、段差21sが基板10間の段差10sよりも低くなるか、或いは消失していてもよい。なお、基板10間の段差10sに対応する段差が消失するのは、ステップ5においてGaN結晶膜21を形成する際であってもよい。
ステップ5における処理条件は、上述したステップ3における処理条件と同様の条件とすることもできるが、これと異ならせるようにするのが好ましい。というのも、ステップ3における成膜処理は、基板10の接合を主な目的として行うものである。そのため、ステップ3では、主面方向(c軸方向)に向けた成長よりも、主面(c面)に沿った方向(沿面方向)への成長を重視した条件下で結晶を成長させるのが好ましい。例えば、ステップ3では、組み立て基板13(結晶成長用基板20)の沿面方向に向けた結晶成長が、ステップ5における結晶成長用基板20の沿面方向に向けた結晶成長よりも活発となるような条件下で、結晶を成長させるのが好ましい。これに対し、ステップ5における成膜処理は、結晶成長用基板20上にGaN結晶膜21を高速かつ厚く成長させることを主な目的として行うものである。そのため、ステップ6では、沿面方向に向けた成長よりも、主面方向に向けた成長を重視した条件下で結晶を成長させるのが好ましい。例えば、ステップ5では、結晶成長用基板20の主面方向に向けた結晶成長が、ステップ3における組み立て基板13(結晶成長用基板20)の主面方向に向けた結晶成長よりも活発となるような条件下で、結晶を成長させるのが好ましい。
上述の目的を達成する手法として、例えば、成膜室201内における雰囲気をステップ3とステップ5とで異ならせる手法がある。例えば、ステップ5での成膜室201内におけるHガスの分圧とNガスの分圧との比率(H/N)が、ステップ3での成膜室201内におけるHガスの分圧とNガスの分圧との比率(H/N)よりも小さくなるように設定する。これにより、ステップ3では沿面方向に向けた結晶成長が比較的活発となり、また、ステップ5では主面方向に向けた結晶成長が比較的活発となる。
また、上述の目的を達成する他の手法として、例えば、成膜温度をステップ3とステップ5とで異ならせる手法がある。例えば、ステップ5における成膜温度が、ステップ3における成膜温度よりも低くなるように設定する。これにより、ステップ3では沿面方向に向けた結晶成長が比較的活発となり、また、ステップ5では主面方向に向けた結晶成長が比較的活発となる。
また、上述の目的を達成するさらに他の手法として、例えば、NHガスの供給流量とGaClガスの供給流量との比率(NH/GaCl)をステップ3とステップ5とで異ならせる手法がある。例えば、ステップ5におけるNH/GaCl比率が、ステップ3におけるNH/GaCl比率よりも大きくなるように設定する。これにより、ステップ3では沿面方向に向けた結晶成長が比較的活発となり、また、ステップ5では主面方向に向けた結晶成長が比較的活発となる。
ステップ5を実施する際の処理条件としては、以下が例示される。
成膜温度(結晶成長用基板の温度):980〜1100℃
成膜圧力(成膜室内の圧力):90〜105kPa、好ましくは、90〜95kPa
GaClガスの分圧:1.5〜15kPa
NHガスの分圧/GaClガスの分圧:4〜20
ガスの流量/Nガスの流量:1〜20
GaN結晶膜21を成長させた後、ステップ3終了時と同様の処理手順により成膜処理を停止し、GaN結晶膜21が形成された結晶成長用基板20を成膜室201内から搬出する。
その後、図8(b)に示すように、GaN結晶膜21を例えば基板10の主面に沿った方向(平行な方向)にスライスすることにより、1枚以上の平坦なGaN基板(GaN自立基板)30を得ることができる。なお、このとき、基板10間の段差10sに対応する段差21sが主面に形成された最上層GaN基板30bを取り除く。また、基板10間の段差10sに対応する段差(符号不図示)が下面(裏面)に形成された最下層GaN基板30aを、結晶成長用基板20とともに取り除く。
なお、結晶成長用基板20とGaN結晶膜21との積層構造全体をGaN基板と考えることもできる。また、GaN結晶膜21から結晶成長用基板20を切り出す場合には、切り出した最上層GaN基板30bを用いてステップ5を再実施すること、すなわち、切り出した最上層GaN基板30bを再利用することもできる。
なお、GaN基板30は、基板10の接合部の影響を間接的に受けることで、欠陥密度や内部歪みが相対的に大きくなっている高欠陥領域、すなわち、強度や品質が相対的に低下している領域を有する場合がある。高欠陥領域は、GaN結晶膜21における平均的な欠陥密度(或いは内部歪み)よりも大きな欠陥密度(内部歪み)を有する領域のことである。この高欠陥領域の存在は、表面に溝や段差が形成されることで目視できる場合もあるし、目視できない場合もある。目視できない場合であっても、X線回折等の公知の分析手法を用いることで、その存在を確認することが可能である。本実施形態のように基板10の主面を正六角形とした場合、GaN基板30が有する高欠陥領域は、図10に網掛けで示すように、平面形状が正六角形である輪郭形状を組み合わせたハニカムパターンを構成することとなる。また、このハニカムパターンは、GaN基板30の主面の中心を通りこの主面に直交する軸を中心軸として結晶成長用基板20を一回転させたとき、6回の回転対称性を有することとなる。このハニカムパターンは、GaN結晶膜21の厚さや成膜条件等に応じ、その形状がぼやけたり(輪郭が滲んだり)、変形したりする場合がある。特に、GaN結晶膜21をスライスしてGaN基板30を複数枚取得する場合、GaN結晶膜21の表面側から取得したGaN基板30において、その傾向が強くなる。
(2)本実施形態により得られる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(a)ステップ2において、隣接する2つの基板10を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの主面の高さが互いに異なるように配置する。これにより、当該隣接する2つの基板10の間には、段差10sが形成される。このような段差10sが形成された基板10群に対して成膜ガスを供給すると、隣接する2つの基板10間の段差10s付近で、局所的に成膜ガスの滞留(乱流)が生じる。これにより、段差10s付近でGaN結晶膜14の成長を促すことができる。具体的には、隣接する2つの基板10のそれぞれの主面上だけでなく、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面(の露出部分)にもGaN結晶膜14を形成することができる。これにより、隣接する2つの基板10のうち、主面が低い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14と、主面が高い方の基板10の側面に形成されるGaN結晶膜14とを(ステップ2の早い段階から)結合させることができる。その結果、隣接する2つの基板10同士の接合強度を向上させることが可能となり、大口径のGaN基板30を製造する際の歩留まりを向上させることが可能となる。
(b)隣接する2つの基板10間に上述した所定の段差10sを形成することで、その上に形成されるGaN結晶膜14の主面に、V溝が生じることを抑制することができる。隣接する2つの基板10同士をそれぞれの主面の高さが等しくなるように接合すると、基板10同士の接合部上に形成されるGaN結晶膜14の主面は、完全な平滑面とはならず、その表面にはV溝が形成される場合がある。V溝は、基板10同士の接合部における結晶成長方向の相違により生じるものであって、その発生メカニズムがピットとは全く異なっており、GaN結晶膜14上にGaN結晶膜21の気相成長を継続させたとしても、ピットのように消滅させることは困難である。このため、GaN結晶膜21をスライスすることで形成されるGaN基板30には、V溝に対応する結晶成長方向の相違領域が形成されることとなる。なお、V溝に対応する結晶成長方向の相違領域には、不純物が取り込まれ易く、その結晶品質が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態では、隣接する2つの基板10間の段差10sにGaN結晶膜14を被覆することで、該段差10s上に形成されるGaN結晶膜14の主面にV溝が生じることを抑制することができる。これにより、GaN結晶膜14上に気相成長を継続させることで形成されるGaN結晶膜21の主面においてもV溝の発生を抑制することができる。その結果、GaN結晶膜21をスライスすることで形成されるGaN基板30に結晶成長方向の相違領域が形成されることを抑制し、高品質のGaN基板30を製造することが可能となる。
(c)ステップ2では、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置する。そして、ステップ3では、例えば上述のHVPE装置200を用い、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流す。このとき、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面に対して成膜ガスを周期的に吹き付けることができ、隣接する2つの基板10間における段差10s付近で成膜ガスの滞留(乱流)を起こし易くすることができる。これにより、結晶成長用基板20の下流側となる中心よりも、上流側となる周縁部側に厚くGaN結晶膜14を形成することができ、結晶成長用基板20の主面全体としての起伏を小さくすることができる。そして、ステップ5において、GaN結晶膜21の段差21sとともに取り除かれる最上層GaN基板30bおよび最下層GaN基板30aのそれぞれの厚さを小さくすることができる。その結果、GaN結晶膜21の浪費を抑制し、製造コストを削減することができる。
(d)ステップ2では、それぞれの基板10の下側に、厚さが互いに異なるスペーサ11sを挿入する。これにより、厚さが互いに等しい複数の基板10を用いて、隣接する2つの基板10のそれぞれの全体を互いに異なる高さに配置することができ、隣接する2つの基板10間に所定の段差10sを精度よく且つ再現性よく形成することができる。また、後述の変形例のように、保持板12に加工を加えたり、基板10の厚さを異ならせたりする場合に比べ、容易に段差10sを形成することができ、製造コストを削減することが可能となる。
(e)GaN基板10の製造にあたり、比較的小径の基板10を複数組み合わせることで、結晶成長用基板20の外径や形状を任意に変更することが可能となる。この場合、結晶成長用基板20を大径化させたとしても、その主面内におけるオフ角のばらつきの増加を抑制することが可能となる。例えば、結晶成長用基板20全体での主面内におけるオフ角のばらつきを、それぞれの基板10の主面内におけるオフ角のばらつきと同等以下とすることが可能となる。このように、オフ角のばらつきの少ない大径の結晶成長用基板20を用いることで、高品質なGaN基板30を製造することが可能となる。
(f)基板10の平面形状を正六角形とすることで、基板10を組み合わせたハニカムパターンは、6回の回転対称性を有することとなる。これにより、結晶成長用基板20に含まれる欠陥や歪み、すなわち、隣接する基板10の接合部の影響を受けることで生じた欠陥や歪みを、その面内にわたり均等に(6回の回転対称性を有するように)分散させることが可能となる。その結果、これを用いて作製されたGaN基板30についても同様の効果が得られ、この基板を、反りの分布が面内にわたって均等であり、割れにくい良質な基板とすることが可能となる。
(g)基板10の平面形状を正六角形とすることで、複数の基板10は、平面視において相互に噛み合わせるように配置することとなる。これにより、ステップ3やその後の工程における基板10の配列ずれを抑制できるようになる。結果として、基板10間の接合強度を高めたり、これらの上に成長させるGaN結晶膜14,21の品質を向上させたりすることが可能となる。
(h)基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面を互いに等価な面とする。これにより、基板10の各側面において、GaN結晶の単位面積当たりの結合手密度を揃えることができる。その結果、基板10間の接合強度を、基板10の周方向に均等(等方的)にすることができる。また、隣接する2つの基板10間の段差10sに対するGaN結晶膜14の被覆性(被覆断面形状)は、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面がGaN結晶のどの結晶面であるかに依存する。このため、基板10の全ての側面を互いに等価な面とすることにより、段差10sに対する被覆性を基板10の周方向に均等(等方的)にすることができ、この観点からも基板10間の接合強度を均等にすることができる。
(i)基板10の主面をc面としつつ、基板10の側面のうち、他の基板10と当接する全ての面をM面とする。本実施形態では、上述のように、ステップ2において隣接する2つの基板10間に段差10sを形成し、ステップ3において該段差10sに追従するようにGaN結晶膜14を形成することで、単位面積当たりの結合手密度が低いM面で基板10同士を接合したとしても、基板10同士の接合強度を向上させることができる。また、M面は、結合手密度が低いため、劈開させることが容易である。基板10の全ての側面をM面で劈開させることにより、基板10の平面形状の寸法精度を向上させることができる。その結果、基板10間に隙間が生じることを抑制し、結晶成長用基板20における基板10の充填性を向上させることができる。
(j)基板10の主面をc面としつつ、基板10の側面のうち、他の基板10と当接する全ての面をa面としてもよい。単位面積当たりの結合手密度が高いa面で基板10同士を接合することで、ステップ3において隣接する基板10を接合させる際に、基板10同士の接合強度を向上させることができる。
(k)小径種基板5から基板10を取得する際、小径種基板5の裏面に予め凹溝を形成することで、小径種基板5を制御性よく劈開させることが可能となる。これにより、基板10の側面を、M面以外の面(劈開しにくい面)であっても劈開させることが可能となる。
(l)複数の基板10を保持板12上に接着させた状態で結晶成長を行うことから、その過程での基板10の配列ずれを抑制でき、基板10間の接合強度を高めたり、これらの上に成長させる結晶の品質を向上させたりすることが可能となる。また、接着剤11aを用いずに、基板10を外周から治具で固定することで保持板12上に固定する場合に比べ、基板10間の接合強度を高めたり、これらの上に成長させる結晶の品質を向上させたりすることが可能となる。というのも、治具を用いる場合、少なくとも室温において、並べられた基板10にはその配列方向に沿って圧力が加わることとなる。すると、成膜温度では熱膨張の影響によりその圧力が増大し、基板10の配列が崩れたり、主面が同一平面上に存在し得なくなったり、基板10にチッピングやクラックが発生したりし、さらに、その際に発生したパーティクルが主面上に乗ったりする場合がある。接着剤11aを用いて基板10を接着することで、これらの課題を回避することが可能となる。
(m)保持板12の材料として、例えば等方性黒鉛やパイロリティックグラファイトのような材料を用いることで、保持板12からの結晶成長用基板20の自立を容易に行うことが可能となる。特に、パイロリティックグラファイトや上述した複合材料を保持板12の材料として用いることで、保持板12の表層を犠牲層12aとして作用させることができ、結晶成長用基板20の自立をさらに容易に行うことが可能となる。
(3)本実施形態の変形例
本実施形態の基板10の配置は、図2(a)および(b)に示す態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。以下、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明し、上述の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
(変形例1)
図11(a)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置する際に、複数の基板10を、組み立て基板13の周縁部から中心に向かって、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差が徐々に大きくなるように配置してもよい。具体的には、図11(a)において、それぞれの基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、第1基板10a、第2基板10b、および第3基板10cとすると、第1基板10aと第2基板10bとの間の段差10sの高低差dは、第2基板10bと第3基板10cとの間の段差10sの高低差dよりも大きくなっている。なお、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差は、組み立て基板13の周縁部から中心に向かって、等差的に徐々に大きくなっていてもよいし、等比的に徐々に大きくなっていてもよい。
ステップ3では、例えば、図5に示したHVPE装置200を用い、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流すことで、複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる。
変形例1によれば、組み立て基板13の周縁部から中心に向かって、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差を徐々に大きくすることで、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流す場合であっても、基板10同士の接合強度を結晶成長用基板20全体で均一にすることができる。というのも、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流す場合では、成膜ガスの上流側となる組み立て基板13の周縁部側で、基板10の主面上にGaN結晶膜14が成長し易く、一方で、成膜ガスの下流(中流)側となる組み立て基板13の中心側で、基板10の主面上にGaN結晶膜14が成長し難い傾向がある。このため、結晶成長用基板20(組み立て基板13)の中心側で隣接する2つの基板10同士の接合強度が相対的に低くなる可能性がある。そこで、変形例1では、成膜ガスの下流(中流)側となる組み立て基板13の中心側で隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差を、成膜ガスの上流側となる組み立て基板13の周縁部側で隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差よりも大きくする。これにより、組み立て基板13の中心側で隣接する2つの基板10間の段差10sにおいて、成膜ガスの滞留を起こし易くすることができ、GaN結晶膜14の結晶成長を積極的に促すことができる。その結果、基板10同士の接合強度が低い部分が結晶成長用基板20の中心側に形成されることを抑制することができ、接合強度を結晶成長用基板20全体で均一にすることができる。
(変形例2)
図11(b)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に高くなるように配置してもよい。このとき、隣接する基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm超500μm以下、或いは基板10の厚さに対して25%超100%未満とする。また、このとき、複数の基板10を、主面の高さが組み立て基板13の中心に対して同心円状に等しくなるように配置するとともに、隣接する2つの同心円のうち、外側の同心円での主面の高さが内側の同心円での主面の高さよりも高くなるように配置する。また、このとき、複数の同心円のうち、隣接する2つの同心円間での高低差のそれぞれを、互いに等しくする。また、このとき、複数の基板10のうち、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差を、例えば、100μm超1500μm以下とする。
ステップ3では、例えば、図12に示したHVPE装置200を用い、複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる。図12に示したHVPE装置200では、ノズル249a〜249cは、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向(主面と交差する方向)に、GaClガスおよびNHガス等の成膜ガスを流すよう配置されている。
ステップ3では、上述のHVPE装置200を用い、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流すことで、複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる。
変形例2によれば、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に高くなるように配置している。隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面は、組み立て基板13の中心側を向くように配置されている。上述のHVPE装置200のように、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流す場合では、成膜ガスは、組み立て基板13の一方の中心から周縁部に向かって流れる。このとき、組み立て基板13の中心側を向いた基板10の側面には成膜ガスが周期的に吹き付けられ、隣接する2つの基板10間における段差10s付近で成膜ガスの滞留(乱流)が起こり易くなる。これにより、結晶成長用基板20の下流側となる周縁部よりも、上流側となる中心側に厚くGaN結晶膜14を形成することができる。その結果、結晶成長用基板20の主面全体としての起伏を小さくすることができる。
また、変形例2によれば、成膜ガスの流れを組み立て基板13の中心に留まり易くすることができる。これにより、組み立て基板13全体としてのGaN結晶膜14の成長速度を向上させることができる。
(変形例3)
図11(c)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に高くなるように配置する際に、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差が徐々に大きくなるように配置してもよい。具体的には、図11(c)において、それぞれの基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、第1基板10a、第2基板10b、および第3基板10cとすると、第2基板10bと第3基板10cとの間の段差10sの高低差dは、第1基板10aと第2基板10bとの間の段差10sの高低差dよりも大きくなっている。なお、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差は、組み立て基板13の周縁部から中心に向かって、等差的に徐々に大きくなっていてもよいし、等比的に徐々に大きくなっていてもよい。
ステップ3では、例えば、図12に示したHVPE装置200を用い、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流すことで、複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる。
変形例3によれば、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差を徐々に大きくすることで、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流す場合であっても、基板10同士の接合強度を結晶成長用基板20全体で均一にすることができる。というのも、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流す場合では、成膜ガスの上流側となる組み立て基板13の中心側で、基板10の主面上にGaN結晶膜14が成長し易く、一方で、成膜ガスの下流側となる組み立て基板13の周縁部側で、基板10の主面上にGaN結晶膜14が成長し難い傾向がある。このため、結晶成長用基板20(組み立て基板13)の周縁部側で隣接する2つの基板10同士の接合強度が相対的に低くなる可能性がある。そこで、変形例3では、成膜ガスの下流側となる組み立て基板13の周縁部側で隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差を、成膜ガスの上流側となる組み立て基板13の中心側で隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差よりも大きくする。これにより、組み立て基板13の周縁部側で隣接する2つの基板10間の段差10sにおいて、成膜ガスの滞留を起こし易くすることができ、GaN結晶膜14の結晶成長を積極的に促すことができる。その結果、基板10同士の接合強度が低い部分が結晶成長用基板20の周縁部側に形成されることを抑制することができ、接合強度を結晶成長用基板20全体で均一にすることができる。
(変形例4)
図13(a)および(b)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが渦巻状に徐々に低くなるように配置してもよい。図13(a)では、例えば、複数の基板10を、平面視で反時計回りに主面の高さが徐々に低くなるように配置する。なお、複数の基板10を、平面視で時計回りに主面の高さが徐々に低くなるように配置してもよい。
このとき、変形例4では、複数の段差10sによって成膜ガスの滞留を局所的に生じさせるように複数の基板10を配置し、複数の段差10s(例えば3つの段差10s)の合計の高低差を、例えば、100μm超500μm以下とする。なお、1組の基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm以下としてもよい。このとき、複数の基板10のうち、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差を、例えば、100μm超3600μm以下とする。なお、全ての隣接する基板10の側面は、互いに当接し、互いに重なる部分を有していることが好ましい。例えば、段差10sの高低差が大きい組の隣接する基板10の側面同士、すなわち、渦巻の中心側の基板10の側面と、渦巻の外側の基板10(渦巻の中心側の基板10から外側に一周回った位置の基板10)の側面とであっても、互いに当接していることが好ましい。
ステップ3では、例えば、図5に示したHVPE装置200を用い、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流すことで、複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる。このとき、例えば、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と同じ方向に、組み立て基板13を回転させる。
変形例4によれば、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、基板10の主面の高さを渦巻状に徐々に低くすることで、基板10間で主面の高さが等しい部分を形成することなく、全ての隣接する基板10間に段差10sを形成することができる。これにより、結晶成長用基板20の全体に亘って基板10同士の接合強度を向上させることができる。
また、変形例4によれば、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と同じ方向に、組み立て基板13を回転させることで、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面に成膜ガスを継続して吹き付けることができる。これにより、隣接する2つの基板10間における段差10s付近で成膜ガスの滞留(乱流)を起こし易くすることができ、主面が高い方の基板10の側面にGaN結晶膜14の結晶成長を積極的に促すことができる。その結果、結晶成長用基板20の周方向に亘って、基板10同士の接合強度を向上させることが可能となる。
なお、変形例4では、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と同じ方向に、組み立て基板13を回転させる場合について説明したが、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と反対の方向に、組み立て基板13を回転させてもよい。この場合、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面が成膜ガスの流れを阻害しないため、滑らかに成膜ガスを流すことができる。その結果、GaN結晶膜14の厚さを均一化することが可能となる。ただし、変形例4の基板10の配置において、基板10同士の接合強度を向上させるためには、上述のように、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と同じ方向に、組み立て基板13を回転させたほうが、隣接する2つの基板10間における段差10s付近で成膜ガスの滞留(乱流)を起こし易くすることができる点で、好ましい。
(変形例5)
図13(a)および(c)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが渦巻状に徐々に高くなるように配置してもよい。図13(a)では、例えば、複数の基板10を、平面視で反時計回りに主面の高さが徐々に高くなるように配置する。なお、複数の基板10を、平面視で時計回りに主面の高さが徐々に高くなるように配置してもよい。
このとき、変形例5では、複数の段差10sによって成膜ガスの滞留を局所的に生じさせるように複数の基板10を配置し、複数の段差10s(例えば3つの段差10s)の合計の高低差を、例えば、100μm超500μm以下とする。なお、1組の基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm以下としてもよい。このとき、複数の基板10のうち、最も高い基板10と、最も低い基板10との高低差を、例えば、100μm超3600μm以下とする。なお、全ての隣接する基板10の側面は、互いに当接し、互いに重なる部分を有していることが好ましい。例えば、段差10sの高低差が大きい組の隣接する基板10の側面同士、すなわち、渦巻の中心側の基板10の側面と、渦巻の外側の基板10(渦巻の中心側の基板10から外側に一周回った位置の基板10)の側面とであっても、互いに当接していることが好ましい。
ステップ3では、例えば、図12に示したHVPE装置200を用い、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流すことで、複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる。このとき、例えば、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と反対の方向に、組み立て基板13を回転させる。
変形例5によれば、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、基板10の主面の高さを渦巻状に徐々に高くすることで、変形例4と同様にして、基板10間で主面の高さが等しい部分を形成することなく、全ての隣接する基板10間に段差10sを形成することができる。これにより、結晶成長用基板20の全体に亘って基板10同士の接合強度を向上させることができる。
また、変形例5によれば、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と反対の方向に、組み立て基板13を回転させることで、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面に成膜ガスを継続して吹き付けることができる。これにより、隣接する2つの基板10間における段差10s付近で成膜ガスの滞留(乱流)を起こし易くすることができ、主面が高い方の基板10の側面にGaN結晶膜14の結晶成長を積極的に促すことができる。その結果、結晶成長用基板20の周方向に亘って、基板10同士の接合強度を向上させることが可能となる。
なお、変形例5では、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と反対の方向に、組み立て基板13を回転させる場合について説明したが、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と同じ方向に、組み立て基板13を回転させてもよい。この場合、隣接する2つの基板10のうち、主面が高い方の基板10の側面が成膜ガスの流れを阻害しないため、滑らかに成膜ガスを流すことができる。その結果、GaN結晶膜14の厚さを均一化することが可能となる。ただし、変形例5の基板10の配置において、基板10同士の接合強度を向上させるためには、上述のように、組み立て基板13における基板10の主面の高さの渦巻き方向と反対の方向に、組み立て基板13を回転させたほうが、隣接する2つの基板10間における段差10s付近で成膜ガスの滞留(乱流)を起こし易くすることができる点で、好ましい。
(変形例6)
図14(a)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を、主面の高さが交互に異なるように配置してもよい。このとき、隣接する基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm超500μm以下、或いは基板10の厚さに対して25%超100%未満とする。また、このとき、複数の基板10を、主面の高さが組み立て基板13の中心に対して同心円状に等しくなるように配置するとともに、隣接する2つの同心円のうち、一方の同心円での主面の高さが他方の同心円での主面の高さと異なるように配置する。また、このとき、複数の同心円のうち、隣接する2つの同心円間での高低差のそれぞれを、互いに等しくする。
変形例6では、ステップ3において複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる際、図5に示したHVPE装置200を用いてもよいし、図12に示したHVPE装置200を用いてもよい。すなわち、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流してもよいし、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流してもよい。
変形例6によれば、基板10の主面の高さを交互に異ならせることで、ステップ3において成膜ガスを流す方向によらず、成膜ガスの滞留をそれぞれの段差10s付近で均等に生じさせることができる。その結果、段差10s付近のGaN結晶膜14を均等な形状で形成することができ、基板10同士の接合強度を均等にすることができる。
また、変形例6によれば、結晶成長用基板20全体としての主面の最大高低差を、一組の基板10間の段差10sの高低差と等しくすることができ、結晶成長用基板20全体としての起伏を(上述の実施形態や他の変形例よりも)小さくすることができる。これにより、ステップ5において、GaN結晶膜21の段差21sとともに取り除かれる最上層GaN基板30bおよび最下層GaN基板30aのそれぞれの厚さを小さくすることができる。その結果、GaN結晶膜21の浪費を抑制し、製造コストを削減することができる。
(変形例7)
図14(b)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を保持させる保持板12の載置面を予め階段状としてもよい。なお、それぞれの階段状の載置面を、保持板12の下面(裏面)と平行とする。このとき、隣接する2つの階段状の載置面の間には、所定の段差12sが形成される。また、このとき、隣接する2つの階段状の載置面の間の段差12sの高低差を、例えば、100μm超500μm以下、或いは基板10の厚さに対して25%超100%未満とする。これにより、保持板12に載置される基板10間に所定の段差10sを形成することができる。
また、図14(b)の例では、例えば、保持板12における複数の階段状の載置面のそれぞれの高さを、保持板12の中心から周縁部に向かって徐々に低くする。このとき、複数の階段状の載置面の高さを、保持板12の中心に対して同心円状に等しくするとともに、隣接する2つの同心円のうち、外側の同心円での載置面の高さを内側の同心円での載置面の高さよりも低くする。
なお、このような階段状の載置面を有する保持板12は、例えば、エッチング加工または切削加工により形成することができる。
上述の保持板12を用意できたら、厚さが互いに等しい複数の基板10を用い、保持板12におけるそれぞれの階段状の載置面上に接着剤11aを形成(塗布)し、当該接着剤11aを介してそれぞれの基板10と保持板12とを接着させる。これにより、複数の基板10は、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置される。
なお、基板10を保持板12の載置面に対して平行に保ったり、接着剤11aの厚さを精密に調整したりすることが困難である場合は、それぞれの階段状の載置面に接着剤11aを塗布する溝部(不図示)を形成しておき、該溝部内に接着剤11aを塗布した状態で、それぞれの階段状の載置面にそれぞれの基板10の下面を当接させて接着させてもよい。
変形例7によれば、複数の基板10を保持させる保持板12の載置面を予め階段状とすることで、隣接する2つの基板10のそれぞれの全体を互いに異なる高さに配置することができ、それらの間に所定の段差10sを精度よく且つ再現性よく形成することができる。
なお、変形例7では、図14(b)のように、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置する場合について説明したが、変形例2〜6のように複数の基板10を配置する場合に、保持板12における複数の階段状の載置面のそれぞれの高さを変化させてもよい。
ただし、変形例7では、保持板12の載置面を階段状に加工するため、製造コストが増加する可能性がある。したがって、製造コストを削減する必要がある場合などでは、上述の実施形態のように基板10の下にスペーサ11sを挿入するほうが、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差を容易に調整でき、製造コストを削減できるという点で、好ましい。
(変形例8)
図14(c)に示すように、ステップ2では、平坦な載置面を有する保持板12を用い、隣接する2つの基板10のそれぞれの厚さを互いに異ならせるとともに、隣接する2つの基板10のそれぞれの下面(裏面)を揃えた状態で、保持板12の載置面上に接着剤11aを介して複数の基板10を接着させてもよい。このとき、隣接する2つの基板10の厚さの差を、例えば、100μm超500μm以下、或いは基板10の厚さに対して25%超100%未満とする。
また、図14(c)の例では、例えば、複数の基板10のそれぞれの厚さを、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって徐々に小さくする。このとき、複数の基板10のそれぞれの厚さを、組み立て基板13の中心に対して同心円状に等しくするとともに、隣接する2つの同心円のうち、外側の同心円での基板10の厚さを内側の同心円での基板10の厚さよりも小さくする。これにより、複数の基板10は、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置される。
なお、このような厚さが互いに異なる複数の基板10は、例えば、サファイア基板等の下地基板上にエピタキシャル成長させたGaN結晶膜から、厚さが互いに異なる複数の小径種基板5を切り出し、それらの表面を研磨し、それらを所定の平面形状に加工することで作製することができる。
なお、基板10を保持板12の載置面に対して平行に保ったり、接着剤11aの厚さを精密に調整したりすることが困難である場合は、保持板12の載置面に接着剤11aを塗布する溝部(不図示)を形成しておき、該溝部内に接着剤11aを塗布した状態で、保持板12の載置面にそれぞれの基板10の下面を当接させて接着させてもよい。
変形例8によれば、隣接する2つの基板10のそれぞれの厚さを互いに異ならせるとともに、それぞれの下面(裏面)を揃えることで、隣接する2つの基板10のそれぞれの主面の高さを互いに異ならせることができ、それらの間に所定の段差10sを精度よく且つ再現性よく形成することができる。
また、変形例8によれば、ステップ5で結晶成長用基板20をサセプタ208に載置する際に、基板10の全てをサセプタ208に接触させることができる。これにより、サセプタ208からの熱伝導性を基板10間で揃えることができる。その結果、基板10を均等に加熱することが可能となる。
なお、変形例8では、図14(c)のように、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置する場合について説明したが、変形例2〜6のように複数の基板10を配置する場合に、複数の基板10のそれぞれの厚さを変化させてもよい。
ただし、変形例8では、厚さが互いに異なる複数の基板10を加工するため、製造コストが増加する可能性がある。したがって、製造コストを削減する必要がある場合などでは、上述の実施形態のように基板10の下にスペーサ11sを挿入するほうが、隣接する2つの基板10間の段差10sの高低差を容易に調整でき、製造コストを削減できるという点で、好ましい。
(変形例9)
図15(a)に示すように、複数の基板10を、互いに同一の方向に傾斜させて配置してもよい。
具体的には、まず、ステップ1では、主面にオフ角を有さない複数の基板10を用意する。なお、ここで用いられる基板10の主面のオフ角は、完全な0°であるだけでなく、所定のばらつきを含んでいても良い。具体的には、基板10間のオフ角のばらつきを、例えば、0.1°以下、好ましくは0.05°以下とする。
次に、ステップ2では、平坦な載置面を有する保持板12を用意する。そして、例えば、所定の厚さを有する短冊状のスペーサ11sを、それぞれの基板10を構成する複数の辺のうちの一つの辺の下に挿入しつつ、その辺と対向する辺を保持板12の載置面と接触させることで、それぞれの基板10を互いに同一の方向に傾斜させる。このような配置により、隣接する2つの基板10を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの主面の高さが互いに異なるように配置することができる。その結果、隣接する2つの基板10間に所定の段差10sを形成することができる。
このとき、直径Dが2インチ程度の小径種基板5から基板10を形成したとき、保持板12の載置面に対する複数の基板10のそれぞれの傾斜角θを、例えば、0.11°超0.68°以下とする。これにより、隣接する2つの基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm超500μm以下とすることができる。なお、上述のようにそれぞれの基板10を傾斜角θで傾斜させることで、基板10を構成するGaN結晶の主軸方向(実線矢印)は、保持板12の載置面の法線方向(点線矢印)に対して傾斜角θ(=傾斜角θ)で傾斜することとなる。
なお、このとき、複数の基板10のそれぞれの傾斜角θは、互いに完全に同一であるだけでなく、所定のばらつきを含んでいてもよい。具体的には、複数の基板10のそれぞれの傾斜角θのばらつきを、例えば、0.1°以下、好ましくは0.05°以下とする。
なお、図2(a)中に破線で外形を示すような平面形状が円形である組み立て基板13(結晶成長用基板20)を作製する場合、それぞれの基板10を傾斜させた状態で基板10を組み合わせた後に、組み立て基板13の周縁部を円弧状に切断加工することが好ましい。これにより、それぞれの基板10の傾斜角θを安定的に揃えることができる。
ステップ3では、傾斜した基板10の形状に追従するように、GaN結晶膜14を形成する。このとき、GaN結晶膜14の主面には、所定のオフ角が形成される。すなわち、GaN結晶膜14を構成するGaN結晶の主軸方向は、保持板12の載置面の法線方向に対して所定のオフ角(=傾斜角θ)で傾斜することとなる。
なお、変形例9では、ステップ3において複数の基板10上にGaN結晶膜14を成長させる際、図5に示したHVPE装置200を用いてもよいし、図12に示したHVPE装置200を用いてもよい。すなわち、組み立て基板13を周方向に回転させながら、組み立て基板13の主面に対して平行な方向に成膜ガスを流してもよいし、組み立て基板13の主面に対して垂直な方向に成膜ガスを流してもよい。
ステップ5では、GaN結晶膜14の主面上に、その表面状態(凹凸)を引き継ぎつつ、GaN結晶膜21を形成する。その後、GaN結晶膜21を水平方向(基板10の主面に対して−θの角度で傾斜させた方向)にスライスすることにより、1枚以上の平坦なGaN基板30を得ることができる。このとき、GaN基板30を構成するGaN結晶の主軸方向は、GaN基板30の主面の法線方向に対して所定のオフ角(=傾斜角θ)で傾斜することとなる。
変形例9によれば、それぞれの基板10のうち、主面を高くする側の下にスペーサ11sを挿入するだけで、それぞれの基板10を傾斜させ、隣接する2つの基板10間に所定の段差10sを容易に形成することができる。
また、変形例9によれば、GaN結晶膜21を水平にスライスすることで得られるGaN基板30に所定のオフ角を付与することができる。これにより、例えば、当該オフ角を有するGaN基板30上に窒化物半導体層を有機金属気相法(MOCVD法)で成長させて半導体装置を製造する際に、窒化物半導体層への不純物の取り込みを抑制し、窒化物半導体層の結晶品質を向上させることができる。
(変形例10)
図15(b)に示すように、複数の基板10を、互いに同一の方向に傾斜させて配置する際に、それぞれの主面に同一のオフ角θを有する複数の基板10を用いてもよい。
具体的には、ステップ1では、直径Dが2インチ程度の小径種基板5から基板10を形成するとともに、基板10のオフ角θを、例えば、0.11°超0.68°以下とする。なお、ここで基板10のオフ角θとは、基板10の主面の法線方向(点線矢印)と、基板10を構成するGaN結晶の主軸方向(実線矢印)と、のなす角のことである。なお、ここで用いられるそれぞれの基板10の主面のオフ角θは、完全に同一であるだけでなく、所定のばらつきを含んでいても良い。具体的には、基板10間のオフ角のばらつきを、例えば、0.1°以下、好ましくは0.05°以下である。
次に、ステップ2では、平坦な載置面を有する保持板12を用意する。そして、それぞれの基板10の所定位置にスペーサ11sを挿入し、例えば、基板10を構成するGaN結晶の主軸方向(実線矢印)が、保持基板12の載置面の法線方向に近くなるように(等しくなるように)、複数の基板10のそれぞれを傾斜させて配置する。このような配置により、変形例9と同様にして、隣接する2つの基板10を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの主面の高さが互いに異なるように配置することができる。その結果、隣接する2つの基板10間に所定の段差10sを形成することができる。
このとき、基板10を構成するGaN結晶の主軸の傾斜方向と反対の方向に複数の基板10のそれぞれを傾斜させ、保持板12の載置面に対する複数の基板10のそれぞれの傾斜角θの絶対値を、例えば、基板10のオフ角θの絶対値と等しく、0.11°超0.68°以下とする。これにより、基板10を構成するGaN結晶の主軸方向(実線矢印)を、保持基板12の載置面の法線方向に近くする(等しくする)ことができるとともに、隣接する2つの基板10間における段差10sの高低差を、例えば、100μm超500μm以下とすることができる。
なお、このとき、複数の基板10のそれぞれの傾斜角θは、互いに完全に同一であるだけでなく、所定のばらつきを含んでいてもよい。具体的には、複数の基板10のそれぞれの傾斜角θのばらつきを、例えば、0.1°以下、好ましくは0.05°以下とする。
ステップ5では、GaN結晶膜14の主面上に、その表面状態(凹凸)を引き継ぎつつ、GaN結晶膜21を形成する。その後、GaN結晶膜21を水平方向(基板10の主面に対して−θの角度で傾斜させた方向)にスライスすることにより、1枚以上の平坦なGaN基板30を得ることができる。このとき、GaN基板30を構成するGaN結晶の主軸方向は、GaN基板30の主面の法線方向と近くなる(または等しくなる)。
変形例10によれば、変形例9と同様の効果を得ることができる。また、変形例9によれば、それぞれの基板10が主面に同一のオフ角θを有する場合に、製品となるGaN基板30の主面におけるオフ角を、基板10のオフ角よりも低減させる(または消滅させる)ことができる。
なお、変形例9および10では、平坦な載置面を有する保持板12を用い、複数の基板10のそれぞれの下にスペーサ11sを挿入することで、複数の基板10のそれぞれを傾斜させる場合について説明したが、変形例7のように保持板12の載置面を予め階段状とし、それぞれの階段状の載置面を同一の傾斜角で傾斜させてもよい。ただし、この場合では、保持板12の載置面の加工が複雑となるため、製造コストが増加する可能性がある。したがって、製造コストを削減する必要がある場合などでは、上述の変形例9および10のように基板10の下にスペーサ11sを挿入するほうが、製造コストを削減できるという点で、好ましい。
(変形例11)
図16(a)に示すように、ステップ2では、複数の基板10を、隣り合う基板10の主面が互いに平行となり、平面視で(基板10の主面の垂直上方から見たときに)それらの側面が互いに接するように配置する際に、隣り合う2つの基板10を、少なくとも平面視でそれらの側面が互いに接する部分を挟んだ両側の位置で、それらの主面の端部の高低差が、例えば、基板10の厚さ以上基板10の厚さの2倍以下となるように配置してもよい。この場合、隣り合う基板10の側面は互いに当接しないこととなる。一方で、この場合、隣り合う基板10同士を、平面視で隙間無く配置する。
なお、図16(a)では、例えば、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置している。
変形例11によれば、隣り合う基板10の主面の端部の高低差を基板10の厚さ以上とすることにより、ステップ3において、隣り合う2つの基板10間の段差10s付近で、局所的に成膜ガスの滞留(乱流)を生じさせ易くすることができ、段差10s付近でGaN結晶膜14の成長を促すことができる。また、ステップ3で形成するGaN結晶膜14の厚さを所定の厚さ以上とすれば、隣り合う2つの基板10のうち、主面が低い方の基板10上に形成されるGaN結晶膜14と、主面が高い方の基板10の側面に形成されるGaN結晶膜14とを結合させることができる。これらの結果、上述の実施形態と同様に、基板10同士の接合強度を向上させることができる。一方で、隣り合う基板10の主面の端部の高低差が基板10の厚さの2倍超であると、基板10同士の接合強度を確保するために、ステップ3で形成するGaN結晶膜14の厚さを少なくとも基板10の厚さより大きくしなければならず、ステップ3に係る時間が長くなる可能性がある。また、ステップ5において、GaN結晶膜21から平坦なGaN基板30をスライスする際に、段差21sとともに取り除かれる最下層GaN基板30aおよび最上層GaN基板30bのそれぞれの厚さが大きくなる可能性がある。これらの結果、GaN基板30の生産性が低下する可能性がある。これに対し、隣り合う基板10の主面の端部の高低差を基板10の厚さの2倍以下とすることにより、基板10同士の接合強度を確保するための、ステップ3で形成するGaN結晶膜14の厚さを薄くする(基板10の厚さ以下とする)ことができ、ステップ3に係る時間が過剰に長くなることを抑制することができる。また、ステップ5において、段差21sとともに取り除かれる最下層GaN基板30aおよび最上層GaN基板30bのそれぞれの厚さの増大を抑制することができる。これらの結果、GaN基板30の生産性の低下を抑制することができる。
また、変形例11によれば、隣り合う基板10同士を当接させないので、ステップ2において基板10を配置する際に、基板10同士が過度に衝突することを抑制し、基板10の欠けなどの発生を抑制することができる。
なお、変形例11では、複数の基板10を、平面視で隣り合う基板10の側面が互いに接するように配置する場合について説明したが、図16(b)に示すように、複数の基板10を、平面視で隣り合う基板10の少なくとも一部が重なるように配置してもよい。この場合、隣り合う2つの基板10を、少なくとも平面視でそれらの一部が重なる部分を挟んだ両側の位置で、それらの主面の端部の高低差が基板10の厚さ以上基板10の厚さの2倍以下となるように配置すればよい。図16(b)の場合によれば、隣り合う基板10の少なくとも一部が重なるように配置することで、基板10の外形精度を低くすることができる。その結果、GaN基板30の製造コストを低減することができる。
また、複数の基板10を、平面視で隣り合う基板10の少なくとも一部が重なるように配置する場合、主面が高い方の基板10は、主面が低い方の基板10に載っていてもよい。つまり、主面が高い方の基板10の底面は、主面が低い方の基板10の主面に接していてもよい。この場合、隣り合う基板10の主面の端部の高低差は、基板10の厚さと等しくなる。これにより、隣り合う基板10間の段差10sの高低差を精度よく且つ再現性よく揃えることができる。
なお、変形例11では、図16(a)および(b)のように、複数の基板10を、組み立て基板13の中心から周縁部に向かって、主面の高さが徐々に低くなるように配置する場合について説明したが、変形例2〜10のように複数の基板10を配置する場合に、隣り合う2つの基板10を、これらの主面の端部の高低差が基板10の厚さ以上となるように配置してもよい。
以上のように、変形例11として、隣り合う基板10間における段差10sの高低差を基板10の厚さ以上基板10の厚さの2倍以下とする場合について説明したが、ステップ3で形成するGaN結晶膜14が薄い場合は、隣接する基板10間における段差の高低差を基板10の厚さに対して25%超100%未満としたほうが、隣接する基板10の側面同士が重なる部分を設けることができ、隣接する基板10同士の接合強度を確実に向上させることができる点で好ましい。また、段差の高低差を基板10の厚さに対して25%超100%未満としたほうが、GaN結晶膜14の主面にV溝を生じ難くすることができる点で好ましい。
(変形例12)
図17(a)および(b)に示すように、複数の基板10として、主面の高さが異なる3種の基板10(高さの基準となる基準基板10Rと、基準基板10Rよりも主面が高い高位基板10Hと、基準基板10Rよりも主面が低い低位基板10Lと)を組み合わせ、基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lがそれぞれ同種の基板10と隣接することがないように、基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lのうちの1種の基板10の周囲を囲んで他の2種の基板10を交互に配置してもよい。言い換えれば、基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lを所定の順序で並べ、(組み立て基板13の面内で3方向に)この順で繰り返し配置してもよい。この場合、高位基板10Hは、基準基板10Rの所定位置に隣接し、低位基板10Lは、基準基板10Rを挟んで基準基板10Rと反対側の位置に隣接することとなる。
図17(a)の場合、基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lを組み合わせたハニカムパターンは、組み立て基板13(結晶成長用基板20)の主面の中心をとおりこの主面に直交する軸を中心軸として組み立て基板13を回転させたとき、3回の回転対称性を有するように配置されることとなる。
基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lを配置する際、隣接する基準基板10Rおよび高位基板10Hの間における段差10sの高低差や、隣接する基準基板10Rおよび低位基板10Lの間における段差10sの高低差を、例えば、それぞれ、100μm超500μm以下、または基板10の厚さに対して25%超100%未満とする。なお、このとき、高位基板10Hと低位基板10Lとが隣接する位置では、高位基板10Hの側面と、低位基板10Lの側面とが、互いに当接し、互いに重なる部分を有していることが好ましい。すなわち、隣接する高位基板10Hと低位基板10Lとの間における段差10sの高低差を基板10の厚さに対して100%未満とすることが好ましい。
変形例12によれば、基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lがそれぞれ同じ基板と隣接することがないため、全ての隣接する基板10間に段差10sを形成することができる。これにより、結晶成長用基板20の全体に亘って基板10同士の接合強度を向上させることができる。
また、変形例12によれば、基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lを組み合わせたハニカムパターンが上述のような所定の回転対称性を有しているため、ステップ3において成膜ガスを流す方向によらず、成膜ガスの滞留をそれぞれの段差10s付近で均等に生じさせることができる。その結果、段差10s付近のGaN結晶膜14を均等な形状で形成することができ、基板10同士の接合強度を均等にすることができる。
なお、図17(a)および(b)の場合では、組み立て基板13の中心に基準基板10Rが配置されているが、組み立て基板13の中心に高位基板10Hまたは低位基板10Lが配置されていてもよい。
また、基準基板10R、高位基板10H、および低位基板10Lを組み合わせたハニカムパターンは、図17(a)および(b)のような配置だけでなく、後述する図3(a)または図4(a)のような配置であってもよい。
また、図17(b)に示す変形例12では、スペーサ11sを介して基板10を保持板12上に載置する場合について示したが、図14(b)に示す変形例7のように保持板12の載置面を予め階段状としてもよいし、図14(c)に示す変形例8のように基板10のそれぞれの厚さを互いに異ならせてもよい。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
(a)上述の実施形態では、基板10を組み合わせたハニカムパターンが、結晶成長用基板20の主面の中心を通りその主面に直交する軸を中心軸として結晶成長用基板20を一回転させたとき、6回の対称性を有する場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。
例えば、図3(a)に示すように、基板10を組み合わせたハニカムパターンが3回の回転対称性を有する場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。但し、図2(a)に示す配列の方が、図3(a)に示す配列よりも、結晶成長用基板20に含まれる欠陥や歪みをその面内にわたりより均等に分散させることが可能となる点で好ましい。またその結果、最終的に得られるGaN基板30についても同様の効果が得られ、この基板を、反りの分布が面内にわたってより均等であり、より割れにくい良質な基板とすることが可能となる点で、好ましい。
また例えば、図4(a)に示すように、基板10を組み合わせたハニカムパターンが2回の回転対称性(すなわち線対称性)を有する場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。但し、図2(a)や図3(a)に示す配列の方が、図4(a)に示す配列よりも、結晶成長用基板20に含まれる欠陥や歪みをその面内にわたりより均等に分散させることが可能となる点で好ましい。またその結果、最終的に得られるGaN基板30についても同様の効果が得られ、この基板を、反りの分布が面内にわたってより均等であり、より割れにくい良質な基板とすることが可能となる点で、好ましい。
(b)上述の実施形態では、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面をM面またはa面とする場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。
例えば、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する少なくとも1つの面をM面とし、他の面のうち少なくとも1つをM面以外の面としてもよい。例えば、基板10の平面形状を正方形または長方形としてもよい。この場合、基板10の側面は、M面とa面とで構成されることとなる。上述の実施形態のように、隣接する2つの基板10間の段差10sに追従するようにGaN結晶膜14を形成することで、単位面積当たりの結合手密度が低いM面で基板10同士が接合する部分があったとしても、基板10同士の接合強度を向上させることができる。また、基板10の側面の少なくとも1つを劈開容易なM面とすることにより、基板10の加工精度を向上させることができ、M面で当接させた基板10間での隙間の発生を抑制することができる。
また、例えば、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する少なくとも1つの面をa面とし、他の面のうち少なくとも1つをa面以外の面としてもよい。例えば、基板10の平面形状を正方形または長方形としてもよい。この場合、上記と同様に、基板10の側面は、a面とM面とで構成されることとなる。このように、単位面積当たりの結合手密度が高いa面で基板10同士が接合する部分を形成することで、a面で当接させた基板10同士の接合強度を向上させることができる。
ただし、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面を互いに等価な面、例えばM面またはa面としたほうが、基板10間の接合強度を、基板10の周方向に均等(等方的)にすることができるという点で好ましい。
(c)上述の実施形態では、ステップ3,5において結晶成長法としてハイドライド気相成長法(HVPE法)を用いる場合について説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、ステップ3,5のうちいずれか、或いは、両方において、有機金属気相成長法(MOCVD法)等のHVPE法以外の結晶成長法を用いるようにしてもよい。この場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
(d)上述の実施形態では、保持板12から引き剥がすことで自立させた結晶成長用基板20を用意し、これを用いてGaN結晶膜21を成長させてGaN基板30を製造する場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。すなわち、組み立て基板13を用意した後、図9(a)に示すように基板10上にGaN結晶膜14を厚く成長させ、その後、図9(b)に示すようにGaN結晶膜14をスライスすることで1枚以上のGaN基板30を取得するようにしてもよい。すなわち、結晶成長用基板20を自立させる工程を経ることなく、組み立て基板13の用意からGaN基板30の製造までを一貫して行うようにしてもよい。この場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
(e)本発明は、GaNに限らず、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウム(InN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)等の窒化物結晶、すなわち、AlInGa1−x−yN(0≦x+y≦1,0≦x≦1,0≦y≦1)の組成式で表される窒化物結晶からなる基板を製造する際にも、好適に適用可能である。
以下、本発明の効果を裏付ける各種実験結果について説明する。
(1)サンプルの製造
平面形状が正六角形であるGaN単結晶からなる基板(種結晶基板)を複数用意し、これらを略平面充填させるように配列させた。このとき、それぞれの基板の下側に、所定の厚さを有するスペーサを挿入することで、隣り合う2つの基板間に下記に示す段差を形成した。その後、複数の基板の主面上にGaN結晶膜を成長させることで結晶成長用基板のサンプルを製造した。詳細な条件は、以下のとおりである。
(条件)
基板の厚さ:約400μm
基板の主面:c面
基板の側面:M面
段差の高低差:66μm、105μm、500μm
GaN結晶膜の厚さ:約1000μm
(2)評価
上記サンプルにおいて、基板同士の接合付近の断面を光学顕微鏡によって観察した。
(3)結果
図18(a)に示すように、隣接する2つの基板間における段差の高低差を66μm(基板の厚さに対して25%以下)とした場合では、隣接する2つの基板同士がGaN結晶膜によって接合されていたが、隣接する2つの基板間のGaN結晶膜の主面にV溝が形成されていた。このため、隣接する2つの基板間のGaN結晶膜が薄くなっていた。
これに対して、図18(b)に示すように、隣接する2つの基板間における段差の高低差を105μm(基板の厚さに対して25%超)とした場合では、GaN結晶膜を形成する際に段差付近で成膜ガスの滞留が生じた結果、隣接する2つの基板のそれぞれの主面上にGaN結晶膜が形成されるとともに、隣接する2つの基板のうち、主面が高い方の基板の側面(の露出部分)にGaN結晶膜が形成されることを確認した。これにより、隣接する2つの基板のうち、主面が低い方の基板上に形成されるGaN結晶膜と、主面が高い方の基板の側面に形成されるGaN結晶膜とが結合していることを確認した。また、この場合では、隣接する2つの基板のうち、主面が低い方の基板上に形成されるGaN結晶膜が、主面が高い方の基板上に形成されるGaN結晶膜よりも厚く形成され、隣接する2つの基板間の段差上に形成されるGaN結晶膜において、基板間の段差に対応する段差が消失していることを確認した。また、この場合では、隣接する2つの基板間のGaN結晶膜の表面にV溝が形成されておらず、段差上にGaN結晶膜を被覆することによってV溝の発生を抑制することができることを確認した。
また、図19に示すように、隣り合う2つの基板間における段差の高低差を500μm(基板の厚さの1.25倍)とした場合においても、段差の高低差を105μmとした場合と同様に、GaN結晶膜を形成する際に段差付近で成膜ガスの滞留が生じた結果、隣り合う2つの基板のうち、主面が低い方の基板上に形成されるGaN結晶膜と、主面が高い方の基板の側面に形成されるGaN結晶膜とが結合していることを確認した。また、段差の高低差を500μmとした場合では、隣り合う2つの基板のうち、主面が低い方の基板上に形成されるGaN結晶膜が、主面が高い方の基板に近づくにつれて徐々に厚くなるように形成されることを確認した。ただし、この場合では、主面が低い方の基板上に形成されるGaN結晶膜と、主面が高い方の基板の側面に形成されるGaN結晶膜とが結合するまでにタイムラグがあったため、GaN結晶膜の主面の一部に浅いV溝が残っていた。
以上の結果から、隣り合う2つの基板間に、GaN結晶膜を形成する際に成膜ガスの滞留が局所的に生じるような段差を設けることにより、隣り合う2つの基板同士の接合強度を向上させることが可能となることを確認した。
ただし、図18(b)のように隣接する2つの基板間における段差の高低差を基板の厚さに対して25%超100%未満としたほうが、隣接する基板の側面同士が重なる部分を設けることができ、隣接する基板同士の接合強度を確実に向上させることができる点で好ましいことを確認した。また、図18(b)の場合のほうが、隣接する2つの基板のうち、主面が低い方の基板上に形成されるGaN結晶膜と、主面が高い方の基板の側面に形成されるGaN結晶膜とをすぐに結合させることができ、GaN結晶膜の主面にV溝を生じ難くすることができる点で好ましいことを確認した。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
を有し、
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置する窒化物結晶基板の製造方法。
(付記2)
前記第1工程では、前記結晶膜を成長させる成膜ガスの滞留が局所的に生じるような段差を、前記接合部に設ける付記1に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記3)
前記第1工程では、前記隣接する2つの種結晶基板間の高低差を100μm超とする付記1又は2に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記4)
前記第1工程では、前記隣接する2つの種結晶基板間の高低差を前記種結晶基板の厚さに対して25%超とする付記1又は2に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記5)
前記第2工程では、前記結晶膜を成長させる成膜ガスの流速を、6cm/sec以上とする付記1〜4のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記6)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板のうち、最も高い種結晶基板と、最も低い種結晶基板との高低差を100μm超とする付記1〜5のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記7)
前記第2工程では、前記隣接する2つの種結晶基板のそれぞれの前記主面上に前記結晶膜を形成するとともに、前記隣接する2つの種結晶基板のうち、前記主面が高い方の種結晶基板の前記側面に前記結晶膜を形成する付記1〜6のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記8)
前記第2工程では、前記隣接する2つの種結晶基板のうち、前記主面が低い方の種結晶基板上に形成される前記結晶膜を、前記主面が高い方の種結晶基板に近づくにつれて徐々に厚くなるように形成する付記1〜7のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記9)
前記第2工程では、前記隣接する2つの種結晶基板のうち、前記主面が低い方の種結晶基板上に形成される前記結晶膜を、前記主面が高い方の種結晶基板上に形成される前記結晶膜よりも厚くなるように形成する付記1〜8のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記10)
前記第2工程では、前記隣接する2つの種結晶基板の前記接合部上に、前記結晶膜を他の部分よりも厚く形成する付記1〜9のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記11)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが徐々に低くなるように配置する付記1〜10のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記12)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の周縁部から中心に向かって、前記隣接する2つの種結晶基板間の高低差が徐々に大きくなるように配置する付記11に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記13)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが徐々に高くなるように配置する付記1〜10のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記14)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記隣接する2つの種結晶基板間の高低差が徐々に大きくなるように配置する付記13に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記15)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが渦巻状に徐々に変化するように配置する付記11〜14のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記16)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが渦巻状に徐々に低くなるように配置し、
前記第2工程では、複数の前記種結晶基板における前記主面の高さの渦巻き方向と同じ方向に前記結晶成長用基板を回転させる付記15に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記17)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが渦巻状に徐々に高くなるように配置し、
前記第2工程では、複数の前記種結晶基板における前記主面の高さの渦巻き方向と反対の方向に前記結晶成長用基板を回転させる付記15に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記18)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記主面の高さが交互に異なるように配置する付記1〜10のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記19)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記主面の高さが同心円状に等しくなるように配置する付記1〜14、18のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記20)
前記第1工程では、
複数の前記種結晶基板として、前記主面の高さが異なる3種の種結晶基板を組み合わせ、
前記3種の種結晶基板がそれぞれ同種の種結晶基板と隣接することがないように、前記3種の種結晶基板のうちの1種の種結晶基板の周囲を囲んで他の2種の種結晶基板を交互に配置する付記1〜10のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記21)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板のそれぞれの下に厚さが互いに異なるスペーサを挿入するか、或いは、複数の前記種結晶基板を保持させる保持板の載置面を予め階段状とすることで、前記隣接する2つの種結晶基板のそれぞれの全体を、互いに異なる高さに配置する請求項1〜20のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記22)
前記第1工程では、前記隣接する2つの種結晶基板のそれぞれの厚さを互いに異ならせるとともに、前記隣接する2つの種結晶基板のそれぞれの下面を揃える請求項1〜20のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記23)
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、互いに同一の方向に傾斜させて配置する付記1〜10のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記24)
前記第2工程では、前記結晶膜の主面に所定のオフ角を形成する付記23に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記25)
前記第1工程では、
それぞれの前記主面に同一のオフ角を有する複数の前記種結晶基板を用意し、
前記種結晶基板を構成する前記窒化物結晶の主軸方向が、複数の前記種結晶基板を載置する載置面の法線方向に近くなるように、複数の前記種結晶基板のそれぞれを傾斜させて配置する付記23に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記26)
前記第1工程では、前記種結晶基板の側面のうち、他の種結晶基板の側面と当接する全ての面を互いに等価な面とする付記1〜25のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記27)
前記第1工程では、前記種結晶基板の前記主面をc面としつつ、前記種結晶基板の側面のうち、他の種結晶基板の側面と当接する全ての面をM面とする付記26に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記28)
前記第1工程では、前記種結晶基板の前記主面をc面としつつ、前記種結晶基板の側面のうち、他の種結晶基板の側面と当接する全ての面をa面とする付記26に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記29)
前記第1工程では、前記結晶成長用基板として、複数の前記種結晶基板のうち任意の種結晶基板が、少なくとも2以上の他の種結晶基板と当接するように構成されている基板を用意する付記1〜28のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記30)
前記第1工程では、前記結晶成長用基板として、複数の前記種結晶基板のうち任意の種結晶基板が有する2以上の当接面が直交しないように構成されている基板を用意する付記1〜29のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記31)
前記第1工程では、
複数の前記種結晶基板のうち少なくとも周縁部以外の部分を構成する基板として、主面の平面形状が正六角形である基板を用い、
前記種結晶基板を組み合わせたハニカムパターンを、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、3回以上の対称性を有する形状とする付記1〜30のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記32)
前記第1工程では、前記ハニカムパターンを、前記軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、6回の対称性を有する形状とする付記31に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記33)
前記第1工程では、
前記種結晶基板を、前記種結晶基板よりも大きな外径を有する結晶基板を加工して形成し、
前記種結晶基板の側面に、前記結晶基板の裏面に凹溝を形成する際に生じた融解面或いは切削面と、前記凹溝に沿って前記結晶基板を劈開させた際に生じた劈開面と、を形成し、
複数の前記種結晶基板を、隣接する前記種結晶基板の側面のうち少なくとも前記劈開面が互いに当接するように配置する付記1〜32のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記34)
前記結晶膜上にさらに窒化物結晶からなる本格成長膜を成長させる第3工程と、
前記本格成長膜から窒化物結晶基板を切り出す第4工程と、
をさらに有する付記1〜33のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記35)
前記第2工程および前記第3工程では、それぞれ、気相成長法により結晶成長を行い、
前記第2工程では、前記結晶成長用基板の沿面方向に向けた結晶成長が、前記第3工程における前記結晶成長用基板の沿面方向に向けた結晶成長よりも活発となり、前記第3工程では、前記結晶成長用基板の主面方向に向けた結晶成長が、前記第2工程における前記結晶成長用基板の主面方向に向けた結晶成長よりも活発となるように、前記第2工程と前記第3工程とで処理条件を互いに異ならせる付記34に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記36)
前記第3工程でのHガスの分圧とNガスの分圧との比率(H/N)を、前記第2工程でのHガスの分圧とNガスの分圧との比率(H/N)よりも小さくする付記34又は35に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記37)
前記第3工程における成膜温度を、前記第2工程における成膜温度よりも低くする付記34〜36のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記38)
前記第3工程における窒素含有ガスとIII族原料ガスとの流量比率(NH/GaCl比率)を、前記第2工程における窒素含有ガスとIII族原料ガスとの流量比率(NH/GaCl比率)よりも大きくする付記34〜37のいずれか1つに記載の窒化物結晶基板の製造方法。
(付記39)
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、隣り合う前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、平面視でそれらの側面が接するか或いはそれらの少なくとも一部が重なるように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
を有し、
前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣り合う2つの種結晶基板を、少なくとも平面視でそれらの側面が接するか或いはそれらの一部が重なる部分を挟んだ両側の位置で、それらの前記主面の端部の高低差が前記種結晶基板の厚さ以上となるように配置する窒化物結晶基板の製造方法。
(付記40)
窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を有し、
複数の前記種結晶基板は、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置され、
複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置されている結晶成長用基板。
(付記41)
窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を有し、
複数の前記種結晶基板は、隣り合う前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、平面視でそれらの側面が接するか或いはそれらの少なくとも一部が重なるように配置され、
複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくとも平面視でそれらの側面が接するか或いはこれらの一部が重なる部分を挟んだ両側の位置で、それらの前記主面の端部の高低差が前記種結晶基板の厚さ以上となるよう配置されている結晶成長用基板。
10 種結晶基板(基板)
20 結晶成長用基板
30 GaN基板(窒化物結晶基板)

Claims (14)

  1. 窒化物結晶からなり厚さが等しい複数の種結晶基板を、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
    前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
    を有し、
    前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置する窒化物結晶基板の製造方法。
  2. 前記第1工程では、複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが徐々に低くなるように配置する請求項1に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
  3. 窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
    前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
    を有し、
    前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置するとともに、
    複数の前記種結晶基板を、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが徐々に高くなるように配置する
    窒化物結晶基板の製造方法。
  4. 窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
    前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
    を有し、
    前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置するとともに、
    複数の前記種結晶基板として、前記主面の高さが異なる3種の種結晶基板を組み合わせ、
    前記3種の種結晶基板がそれぞれ同種の種結晶基板と隣接することがないように、前記3種の種結晶基板のうちの1種の種結晶基板の周囲を囲んで他の2種の種結晶基板を交互に配置する
    窒化物結晶基板の製造方法。
  5. 窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置することで結晶成長用基板とする第1工程と、
    前記結晶成長用基板が有する下地面上に結晶膜を成長させる第2工程と、
    を有し、
    前記第1工程では、複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板を、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置するとともに、
    複数の前記種結晶基板を、互いに同一の方向に傾斜させて配置する
    窒化物結晶基板の製造方法。
  6. 前記第1工程では、厚さが等しい前記複数の種結晶基板を、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置する請求項3〜のいずれか1項に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
  7. 前記第1工程では、複数の前記種結晶基板のそれぞれの下に厚さが互いに異なるスペーサを挿入するか、或いは、複数の前記種結晶基板を保持させる保持板の載置面を予め階段状とすることで、前記隣接する2つの種結晶基板のそれぞれの全体を、互いに異なる高さに配置する請求項1〜のいずれか1項に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
  8. 前記第1工程では、前記隣接する2つの種結晶基板間の高低差を100μm超とする請求項1〜のいずれか1項に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
  9. 前記第2工程では、前記隣接する2つの種結晶基板のそれぞれの前記主面上に前記結晶膜を形成するとともに、前記隣接する2つの種結晶基板のうち、前記主面が高い方の種結晶基板の前記側面に前記結晶膜を形成する請求項1〜のいずれか1項に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
  10. 前記第1工程では、前記種結晶基板の側面のうち、他の種結晶基板の側面と当接する全ての面を互いに等価な面とする請求項1〜のいずれか1項に記載の窒化物結晶基板の製造方法。
  11. 窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
    窒化物結晶からなり厚さが等しい複数の種結晶基板を有し、
    複数の前記種結晶基板は、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置され、
    複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置されている結晶成長用基板。
  12. 窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
    窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を有し、
    複数の前記種結晶基板は、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置され、
    複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置され、
    複数の前記種結晶基板は、前記結晶成長用基板の中心から周縁部に向かって、前記主面の高さが徐々に高くなるように配置されている
    結晶成長用基板。
  13. 窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
    窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を有し、
    複数の前記種結晶基板は、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置され、
    複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置され、
    複数の前記種結晶基板として、前記主面の高さが異なる3種の種結晶基板が組み合わされ、
    前記3種の種結晶基板がそれぞれ同種の種結晶基板と隣接することがないように、前記3種の種結晶基板のうちの1種の種結晶基板の周囲を囲んで他の2種の種結晶基板が交互に配置されている
    結晶成長用基板。
  14. 窒化物結晶を成長させる下地面を有する結晶成長用基板であって、
    窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を有し、
    複数の前記種結晶基板は、隣接する前記種結晶基板の主面が互いに平行となり、それらの側面が互いに当接するように配置され、
    複数の前記種結晶基板の中から選択した少なくとも1組の隣接する2つの種結晶基板は、少なくともこれらの接合部を挟んだ両側の位置で、それぞれの前記主面の高さが互いに異なるよう配置され、
    複数の前記種結晶基板は、互いに同一の方向に傾斜させて配置されている
    結晶成長用基板。
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