JP6781058B2 - 窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1に記載の手法の場合、下地基板として低転位なGaN単結晶を利用できるという利点はあるものの、バルク結晶の厚膜化は数mm厚程度が限度であるため、これをスライスして所望の面を切り出しても、数mm幅の基板しか得られず、基板大口径化の実現が困難である。
また、例えば、特許文献2に記載の手法の場合、大口径な基板を利用できるという利点はあるものの、異種基板上の成長であるため、高品質な結晶が得られないおそれがある。
窒化物半導体単結晶からなり、断面形状が矩形状に形成され、少なくとも極性面の主面と無極性面の側面とを有する複数の種結晶基板を用意する第一工程と、
前記複数の種結晶基板を、前記極性面同士が接し、かつ、一方の前記極性面の一部が露出するように、前記断面形状を所定の傾斜角で傾けた状態で基台上に並べて配置して、前記基台の側とは反対側を前記極性面の一部と前記無極性面とによる階段形状とする第二工程と、
前記階段形状の上に窒化物半導体単結晶を成長させて窒化物半導体単結晶層を形成する第三工程と、
前記窒化物半導体単結晶層から半極性面の主面を持つ窒化物半導体の自立基板を得る第四工程と、
を備える窒化物半導体基板の製造方法が提供される。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る窒化物半導体自立基板の製造手順の概要を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、窒化物半導体の自立基板として、窒化ガリウム(GaN)の単結晶からなる基板(以下、「GaN基板」ともいう)を製造する場合を例に挙げる。
本明細書においては、極性面を「C面」と称し、特に{0001}面を「+C面」、{000−1}面を「−C面」と称する場合がある。また、無極性面である{10−10}面を「M面」、同じく無極性面である{11−20}面を「A面」と称する場合がある。なお、本明細書において「C面」や「M面」等といった特定の指数面を称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から10°以内のオフ角を有する範囲内の面、好ましくはオフ角が5°以内、より好ましくは3°以内である面を含むものとする。ここで、オフ角とは、面の法線方向とGaN結晶の軸方向とのなす角をいう。
また、六方晶構造のGaN結晶には、極性面以外の面で無極性面から傾いた面である半極性面がある。半極性面としては、例えば、C面からm軸方向(M面と垂直な軸方向)に傾いた{10−11}面、{10−12}面、{10−13}面、{20−21}面等が挙げられる。これら{10−11}面、{10−12}面、{10−13}面、{20−21}面は、半極性面の中でも例外的に成長により平坦面を得やすい面として知られている。
第一工程では、図1(b)に示すように、複数の種結晶基板10を用意する。用意する種結晶基板10の数は、特に限定されるものではなく、製造しようとするGaN基板20のサイズや形状等に応じて適宜決定すればよい。
第二工程では、第一工程で用意した複数の種結晶基板10を、後述する成長装置200が備える基台208上に並べて配置する。
第三工程では、第二工程において複数の種結晶基板10によって形成した階段形状15の上に、窒化物半導体単結晶であるGaN結晶を成長させて、GaN結晶層22を形成する。
図2は、本実施形態において用いるHVPE装置の一具体例を示す模式図である。
先ず、HVPE装置200においては、ガス生成器233a内に原料としてGa融液を収容しておく。そして、サセプタ208を回転させるとともに、成膜室201内の加熱および排気を実施しながら、成膜室201内へH2ガス(あるいはH2ガスとN2ガスとの混合ガス)を供給する。さらには、成膜室201内が所望の成長温度、成長圧力に到達し、成膜室201内が所望の雰囲気となった状態で、ガス供給管232a,232bからガス供給を行い、複数の種結晶基板10による階段形状15の上に、成膜ガスとしてGaClガスとNH3ガスとを供給する。これらの成膜ガスは、H2ガス、N2ガスまたはこれらの混合ガスからなるキャリアガスと混合して供給してもよい。また、NH3ガスの供給は、種結晶基板10の劣化を防止する観点から成長温度が500℃に達した段階から開始するのが好ましい。
成膜温度(種結晶基板の温度):980〜1100℃、好ましくは、1050〜1100℃
成膜圧力(成膜室内の圧力):90〜105kPa、好ましくは、90〜95kPa
GaClガスの分圧:1.5〜15kPa
NH3ガスの分圧/GaClガスの分圧:4〜20
N2ガスの分圧/H2ガスの分圧:0〜1
図3は、本実施形態に係る窒化物半導体自立基板を製造する際の結晶成長の概要を模式的に示す説明図(その1)である。
図4は、本実施形態に係る窒化物半導体自立基板を製造する際の結晶成長の概要を模式的に示す説明図(その2)である。
第四工程では、第三工程で得られたGaN結晶層22から自立基板を切り出し、これにより半極性面の主面21を持つGaN基板20を得る。
次に、上述した手順の製造方法において、種結晶基板10の傾斜角θと、GaN基板20の主面21を構成する半極性面との関係について、具体的に説明する。
例えば、{10−11}面を対象とした場合であれば、種結晶基板10の傾斜角θを62°に設定する。そして、62°に設定した傾斜角θで傾けた状態で、複数の種結晶基板10のそれぞれを配置する。このときの傾斜角θの設定値は、上述した傾きαを加味し、傾斜角θの設定値に傾きαの分を加えた状態(例えば、62.2〜65°とした状態)で、複数の種結晶基板10を配置するのが好ましい。
例えば、{10−12}面を対象とした場合であれば、種結晶基板10の傾斜角θを43°に設定する。そして、43°に設定した傾斜角θで傾けた状態で、複数の種結晶基板10のそれぞれを配置する。このときの傾斜角θの設定値は、上述した傾きαを加味し、傾斜角θの設定値に傾きαの分を加えた状態(例えば、43.2〜46°とした状態)で、複数の種結晶基板10を配置するのが好ましい。
例えば、{10−13}面を対象とした場合であれば、種結晶基板10の傾斜角θを32°に設定する。そして、32°に設定した傾斜角θで傾けた状態で、複数の種結晶基板10のそれぞれを配置する。このときの傾斜角θの設定値は、上述した傾きαを加味し、傾斜角θの設定値に傾きαの分を加えた状態(例えば、32.2〜35°とした状態)で、複数の種結晶基板10を配置するのが好ましい。
例えば、{20−21}面を対象とした場合であれば、種結晶基板10の傾斜角θを75°に設定する。そして、75°に設定した傾斜角θで傾けた状態で、複数の種結晶基板10のそれぞれを配置する。このときの傾斜角θの設定値は、上述した傾きαを加味し、傾斜角θの設定値に傾きαの分を加えた状態(例えば、75.2〜78°とした状態)で、複数の種結晶基板10を配置するのが好ましい。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
したがって、半極性面の主面21を持つGaN基板20を得る場合において、複数の種結晶基板10を並べて配置することで(第一工程)、基板大口径化を容易に実現することが可能となる。
また、複数の種結晶基板10を並べる際に、それぞれの種結晶基板10を傾けた状態で配置し、これにより形成された極性面と無極性面とによる階段形状15を利用しつつ、極性面の一部が露出する階段形状15の上へのエピタキシャル成長によりGaN結晶層22を得るので(第二工程〜第三工程)、そのGaN結晶層22について低転位で高品質な結晶が得られる。
また、エピタキシャル成長させる成長面が階段形状15のままで良いので(第三工程)、成長面として半極性面を露出させるための研磨処理等を必要とすることがなく、GaN基板20の生産性向上等を図る上で非常に有用である。
さらには、階段形状15の上にGaN結晶層22を成長させ(第三工程)、そのGaN結晶層22から直接的にGaN基板20を得るので(第四工程)、種結晶基板10同士を結合保持するために多結晶のバインダー等を必要とすることがなく、GaN基板20の生産性向上等を図る上で非常に有用である。しかも、GaN基板20には、バインダー等による多結晶領域が残存しないので、低転位で高品質なGaN基板20を得る上でも非常に有用である。
つまり、第二工程において、GaN結晶層22の成長表面が平坦化するまで階段形状15の+C面からの成長面が露出し続けるように、複数の種結晶基板10を配置する際の傾斜を傾斜角θ+αに設定しておけば、第三工程において、階段形状15の上にGaN結晶をエピタキシャル成長させる際に、そのGaN結晶の極性の向きを常に揃えることが可能となり、低転位で高品質な結晶を得ることが実現可能となるのである。
なお、GaN結晶層22の形成は、その成長表面が平坦化する前の段階(すなわち、階段形状15による影響が残っている段階)で終了してもよい。成長表面が平坦化する前であっても、GaN結晶層22においては、GaN結晶の極性の向きが揃った状態であると考えられ、そこから切り出すGaN基板20について低転位で高品質なものとなるからである。
以上に、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、
窒化物半導体単結晶からなり、断面形状が矩形状に形成され、少なくとも極性面の主面と無極性面の側面とを有する複数の種結晶基板を用意する第一工程と、
前記複数の種結晶基板を、前記極性面同士が接し、かつ、一方の前記極性面の一部が露出するように、前記断面形状を所定の傾斜角で傾けた状態で基台上に並べて配置して、前記基台の側とは反対側を前記極性面の一部と前記無極性面とによる階段形状とする第二工程と、
前記階段形状の上に窒化物半導体単結晶を成長させて窒化物半導体単結晶層を形成する第三工程と、
前記窒化物半導体単結晶層から半極性面の主面を持つ窒化物半導体の自立基板を得る第四工程と、
を備える窒化物半導体基板の製造方法が提供される。
付記1に記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記複数の種結晶基板を、主面が前記極性面である窒化物半導体単結晶基板を前記無極性面で劈開して複数片に分割することで得る。
付記1または2に記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記階段形状を構成する前記極性面が{0001}面である。
付記3に記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記半極性面のジャスト面に対して前記階段形状が傾きを有する位置関係となるように、前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角を設定する。
付記3または4に記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記窒化物半導体単結晶層の成長表面が平坦になるまで前記階段形状の前記極性面からの成長面が露出し続けるように、前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角を設定する。
付記1から4のいずれか一つに記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記窒化物半導体単結晶層の成長表面が階段形状を有した状態で、前記窒化物半導体単結晶層から前記自立基板を切り出す。
付記1から6のいずれか一つに記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記複数の種結晶基板の前記極性面におけるオフ角分布が1°以内である。
付記1から7のいずれか一つに記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記複数の種結晶基板の配置に際して、前記傾斜角で傾けた傾斜面を有した治具を用いる。
付記1から8のいずれか一つに記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角が前記基台の面上に対して62〜65°の傾斜を有した角であり、
前記自立基板における前記半極性面が{10−11}面である。
付記1から8のいずれか一つに記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角が前記基台の面上に対して43〜46°の傾斜を有した角であり、
前記自立基板における前記半極性面が{10−12}面である。
付記1から8のいずれか一つに記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角が前記基台の面上に対して32〜35°の傾斜を有した角であり、
前記自立基板における前記半極性面が{10−13}面である。
付記1から8のいずれか一つに記載の窒化物半導体基板の製造方法において、好ましくは、
前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角が前記基台の面上に対して75〜78°の傾斜を有した角であり、
前記自立基板における前記半極性面が{20−21}面である。
Claims (3)
- 窒化物半導体単結晶からなり、断面形状が矩形状に形成され、少なくとも極性面の主面と無極性面の側面とを有する複数の種結晶基板を用意する第一工程と、
前記複数の種結晶基板を、前記極性面同士が接し、かつ、一方の前記極性面の一部が露出するように、前記断面形状を所定の傾斜角で傾けた状態で基台上に並べて配置して、前記基台の側とは反対側を前記極性面の一部と前記無極性面とによる階段形状とする第二工程と、
前記階段形状の上に窒化物半導体単結晶を成長させて窒化物半導体単結晶層を形成する第三工程と、
前記窒化物半導体単結晶層から半極性面の主面を持つ窒化物半導体の自立基板を得る第四工程と、
を備え、
前記階段形状を構成する前記極性面が{0001}面であり、
前記窒化物半導体単結晶層の成長表面が平坦になるまで前記階段形状の前記極性面からの成長面が露出し続けるように、前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角を設定する
窒化物半導体基板の製造方法。 - 前記複数の種結晶基板を、主面が前記極性面である窒化物半導体単結晶基板を前記無極性面で劈開して複数片に分割することで得る
請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。 - 前記半極性面のジャスト面に対して前記階段形状が傾きを有する位置関係となるように、前記複数の種結晶基板を配置する際の前記傾斜角を設定する
請求項1または2に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
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