JP6761743B2 - 結晶成長用基板、窒化物結晶基板および窒化物結晶基板の製造方法 - Google Patents

結晶成長用基板、窒化物結晶基板および窒化物結晶基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、結晶成長用基板、窒化物結晶基板および窒化物結晶基板の製造方法に関する。
発光素子や高速トランジスタ等の半導体デバイスを作製する際、例えば窒化ガリウム等の窒化物結晶からなる基板(以下、窒化物結晶基板)が用いられる。窒化物結晶基板は、サファイア基板やそれを用いて作製した結晶成長用基板上に、窒化物結晶を成長させる工程を経ることで製造することができる。近年、直径が例えば2インチを超えるような大径の窒化物結晶基板を得るため、結晶成長用基板を大径化させるニーズが高まっている(例えば特許文献1参照)。
特開2006−290676号公報
本発明の目的は、結晶成長用基板を大径化させ、これを用いて良質な窒化物結晶基板を製造することが可能な技術を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
結晶の気相成長に用いられる結晶成長用基板であって、
III族窒化物結晶からなる複数の種結晶基板が、それらの主面が互いに平行となり、隣接する側面同士が当接するように円板状に配置されてなり、
複数の前記種結晶基板のうち、少なくとも前記結晶成長用基板の周縁部以外の部分を構成する基板は、平面形状が正六角形である主面を有し、
前記種結晶基板を組み合わせたハニカムパターンは、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する結晶成長用基板、およびその関連技術が提供される。
本発明によれば、結晶成長用基板を大径化させ、これを用いて良質な窒化物結晶基板を製造することが可能となる。
(a)は種結晶基板10 を作製する際に用いられる材料基板5の平面図であり、(b)は材料基板5の裏面に凹溝(スクライブ溝)を形成する様子を示す断面図であり、(c)は凹溝に沿って材料基板5を劈開させてその周縁部を除去する様子を示す模式図であり、(d)は材料基板5の周縁部を除去することで得られた種結晶基板10の平面図であり、(e)は種結晶基板10の側面図である。 (a)は種結晶基板10の配列パターンの一例を示す平面図であり、(b)は図2(a)に示す種結晶基板群のB−B’断面図であり、(c)は保持板12の表面側に凹溝12aを設けた変形例を示すB−B’断面図であり、(d)は接着剤11の量を極少量に制限した変形例を示すB−B’断面図である。 (a)は種結晶基板10の配列パターンの変形例を示す平面図であり、(b)は図3(a)に示す種結晶基板群のB−B’断面図である。 (a)は種結晶基板10の配列パターンの変形例を示す平面図であり、(b)は図4(a)に示す種結晶基板群のB−B’断面図である。 結晶膜を成長させる際に用いられる気相成長装置の概略図である。 (a)は種結晶基板10上に結晶膜14を成長させた様子を示す模式図であり、(b)は保持板12の表面から犠牲層12aを剥離させて結晶成長用基板20を自立させる様子を示す模式図であり、(c)は固化した接着剤11を破断或いは剥離させて結晶成長用基板20を自立させる様子を示す模式図であり、(d)は裏面洗浄後の結晶成長用基板20の模式図である。 (a)は結晶成長用基板20上に結晶膜21を厚く成長させる様子を示す模式図であり、(b)は厚く成長させた結晶膜21をスライスすることで複数枚の窒化物結晶基板30を取得する様子を示す模式図である。 (a)は種結晶基板10上に結晶膜14を厚く成長させる様子を示す断面構成図であり、(b)は厚く成長させた結晶膜14をスライスすることで複数枚の結晶成長用基板30或いは複数枚の結晶成長用基板20を取得する様子を示す模式図である。 結晶成長用基板20およびこれを用いて作製した窒化物結晶基板30の平面構成を例示する模式図である。 複数の種結晶基板10が接合されてなる結晶成長用基板20の一構成例を示す写真である。 (a)は凹溝の深さを材料基板5の厚さTの60%未満の深さとして劈開作業を行う様子を、(b)は凹溝の深さを材料基板5の厚さTの60%の深さとして劈開作業を行う様子を、(c)は凹溝の深さを材料基板5の厚さTの90%の深さとして劈開作業を行う様子をそれぞれ示す図である。 (a)はレーザスクライブおよび劈開により側面にa面を出現させた様子を、(b)はレーザスクライブおよび劈開により側面にM面を出現させた様子をそれぞれ示す図である。 結晶成長方法の比較例を示す模式図である。 (a)(b)はそれぞれ、結晶成長用基板の比較例を示す模式図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(1)窒化物結晶基板の製造方法
本実施形態では、以下に示すステップ1〜5を実施することで、窒化物結晶基板として、窒化ガリウム(GaN)の結晶からなる結晶基板(以下、GaN基板ともいう)を製造する例について説明する。
(ステップ1:種結晶基板の用意)
本実施形態では、GaN基板を製造する際、図2(a)に平面視を例示するような円板状の外形を有する結晶成長用基板20(以下、基板20と略す)を用いる。そこで本ステップでは、まず、基板20を構成する種結晶基板10(以下、基板10と略す)を作製する際に用いられるベース材料として、図1(a)に実線で外形を示すようなGaN結晶からなる小径種基板(結晶基板、材料基板)5(以下、基板5と略す)を複数枚用意する。基板5は、作製しようとする基板10よりも大きな外径を有する円形の基板であって、例えば、サファイア基板等の下地基板上にGaN結晶をエピタキシャル成長させ、成長させた結晶を下地基板から切り出してその表面を研磨すること等により作製することができる。GaN結晶は、気相成長法や液相成長法を問わず、公知の手法を用いて成長させることができる。現在の技術水準では、直径2インチ程度のものであれば、その主面(結晶成長の下地面)内におけるオフ角のばらつき、すなわち、オフ角の最大値と最小値との差が、例えば0.3°以内と比較的小さく、また、欠陥密度や不純物濃度の少ない良質な基板を、比較的安価に得ることができる。ここでオフ角とは、基板5の主面の法線方向と、基板5を構成するGaN結晶の主軸方向(主面に最も近い低指数面の法線方向)と、のなす角をいう。
本実施形態では、一例として、直径が2インチ程度であって、厚さTが0.2〜1.0mmである基板を、基板5として用いる場合について説明する。また、本実施形態では、基板5の主面すなわち結晶成長面が、GaN結晶のc面に対して平行であるか、或いは、この面に対して±5°以内、好ましくは±1°以内の傾斜を有するような基板を、基板5として用いる場合について説明する。また、本実施形態では、複数の基板5を用意する際、それぞれの基板5の主面内におけるオフ角のばらつき(オフ角の最大値と最小値との差)が0.3°以内、好ましくは0.15°以内であり、かつ、複数の基板5間におけるオフ角のばらつき(オフ角の最大値と最小値との差)が0.3°以内、好ましくは0.15°以内であるような基板群を、複数の基板5として用いる例について説明する。
なお、本明細書で用いる「c面」という用語は、GaN結晶の+c面、すなわち、(0001)面に対して完全に平行な面だけでなく、上述のように、この面に対してある程度の傾斜を有する面を含み得る。この点は、本明細書において「a面」、「M面」という用語を用いる場合も同様である。すなわち、本明細書で用いる「a面」という用語は、GaN結晶のa面、すなわち、(11−20)面に対して完全に平行な面だけでなく、この面に対して上記と同様の傾斜を有する面を含み得る。また、本明細書で用いる「M面」という用語は、GaN結晶のM面、すなわち、(10−10)面に対して完全に平行な面だけでなく、この面に対して上記と同様の傾斜を有する面を含み得る。
基板5を用意したら、図1(b)に示すように、結晶成長面(+c面)の反対側の面である裏面(−c面)に凹溝、すなわち、スクライブ溝を形成する。凹溝は、例えば、レーザ加工法や機械加工法のような公知の手法を用いて形成することが可能である。凹溝を形成した後、図1(c)に示すように、凹溝に沿って基板5を劈開させてその周縁部を除去することで、基板10が得られる。図1(d)に、基板10の平面構成を示す。
基板10の平面形状は、基板10を同一平面上に複数並べた場合に、これらを平面充填させること、すなわち、隙間なく敷き詰めることが可能な形状とするのが好ましい。
また、この場合、後述する理由から、基板10の側面のうち、隣接する他の基板10の側面と当接する全ての面、すなわち、隣接する他の基板10の側面と対向する(向かい合う)全ての面をM面を除く面とし、かつ、互いに同一方位の面(等価な面)とするのが好ましい。例えば、本実施形態のように基板10の主面(結晶成長面)をc面とする場合、基板10の側面のうち、隣接する他の基板10の側面と当接する全ての面をa面とするのが好ましい。
GaN結晶は六方晶系の結晶構造を有することから、上述の要求を満たすようにするには、少なくとも基板20の周縁部(円弧部)以外の部分を構成する基板10の平面形状を、正三角形、平行四辺形(内角60°および120°)、台形(内角60°および120°)、正六角形、および、平行六辺形のうちいずれかの形状とするのが好ましい。基板10の平面形状を正方形や長方形とすると、基板10の側面のうちいずれかの面をa面とした場合に、その面に直交する側面が必然的にM面となってしまう。また、基板10の平面形状を円形や楕円形とすると、平面充填させることができず、また、基板10の側面をM面を除く同一方位の面とすることは不可能となる。
なお、上述した数種類の形状のうち、少なくとも基板20の周縁部以外の部分を構成する基板10の平面形状は、図1(d)に示すように正六角形とするのが特に好ましい。この場合、平面形状が円形である基板5から、基板10を、最大限の大きさで効率よく取得、すなわち、材料取りすることが可能となる。また、後述するステップ2において基板10を同一平面上に平面充填させる際、その配列はハニカムパターンを構成することになり、複数の基板10は、平面視において相互に噛み合わさるように配列することになる。これにより、配列させた複数の基板10に対して面内方向に沿って外力が加わったとき、その方向によらず、基板10の配列ずれを抑制することが可能となる。これに対し、基板10の平面形状を、正三角形、平行四辺形、台形、正方形、長方形等とした場合には、基板10の平面形状を正六角形とする場合に比べ、特定の方向からの外力の影響を受けやすくなり、基板10の配列ずれが生じやすくなる。本実施形態では、基板10の平面形状を正六角形とする場合について説明している。なお、基板20の周縁部を構成する基板10の平面形状は、図2(a)に示すように、正六角形の一部を、円板状の基板20の外周に沿うように円弧状に切り出した形状となる。基板20の周縁部を構成する基板10、すなわち、小面積の基板10については、1枚の基板5から、1枚以上、好ましくは2枚以上を一緒に取得することが好ましい。1枚の基板5から複数枚の基板10を取得する場合、基板5の無駄を少なくすることができ、また、基板10の品質を揃えやすくなる点で、好ましい。
なお、GaN結晶の取り得る面方位のうち、M面については、単位面積あたりの結合手密度が小さい(原子間の結合が弱い)等の理由により、劈開させることが容易である。これに対し、本実施形態で採用しようとするM面以外の面方位(例えばa面)については、単位面積あたりの結合手密度がM面における結合手密度よりも大きい(原子間の結合が強い)等の理由により、劈開させることが比較的困難となる。このような課題に対し、本実施形態では、上述したように、基板5の裏面に凹溝(スクライブ溝)を形成してから劈開作業を行うこととしている。これにより、基板5を、M面以外の劈開性の弱い面(劈開しにくい面)方位で正確に劈開させることが可能となる。図1(e)に、上述の手法で得られた基板10の側面構成図を示す。図1(e)に示すように、基板10の側面には、基板5の裏面に凹溝を形成することで生じた融解面(レーザ加工面)或いは切削面(機械加工面)と、凹溝に沿って基板5を劈開させることで生じた劈開面と、が形成されることとなる。ここでいう融解面とは、例えば、結晶が一度融けた後に急激に固化することで形成されたアモルファス面等を含む面のことである。また、ここでいう切削面とは、例えば、裂開面等を含む表面粗さの比較的大きな面のことである。図12(a)は、凹溝の深さを基板5の厚さTに対して65%の深さとし、基板5をa面に沿って劈開させることで取得した基板10の側面の光学顕微鏡写真である。この図によれば、劈開面は、基板10の側面のうち、結晶成長面に近い側に配置されていることが分かる。このように、劈開面を結晶成長面に近い側に配置することで、後述するステップ3において、隣接する基板10の接合強度を高めたり、基板10の接合部周辺に形成される結晶膜の品質を向上させたりすることが可能となる。
なお、凹溝は、あくまで、基板5を劈開させる際の制御性を高めるために設けるものである。そのため、凹溝を形成する際は、基板5を完全に切断(フルカット)してしまうことがないよう、その深さを調整する必要がある。
なお、M面以外の面方位、例えばa面に沿って劈開を行う場合、凹溝の深さは、基板5の厚さTに対して60%以上90%以下の範囲内の深さとするのが好ましい。凹溝の深さが基板5の厚さTに対して60%未満の深さとなると、劈開性の高いM面に沿って基板5が割れてしまうなど、所望の劈開面を得ることが困難となる場合がある。凹溝の深さを、基板5の厚さTに対して60%以上の深さとすることで、M面以外の面方位、例えばa面に沿って劈開を成功させる等、所望の劈開面を得ることが可能となる。また、凹溝の深さを、基板5の厚さTに対して90%を超える深さとすると、劈開面の面積が過小となることで基板10間の接合強度が不足し、基板20を自立させることが困難となる場合がある。凹溝の深さを、基板5の厚さTに対して90%以下の深さとすることで、劈開面の面積を充分に確保でき、基板10間の接合強度を高めることが可能となる。
なお、発明者等の鋭意研究によれば、凹溝を用いた基板5の劈開は、直線部だけでなく、円弧部においても実施可能であることが分かっている。そのため、複数の基板10のうち、基板20の周縁部(円弧部)を構成する基板10を取得する際、それらの全ての側面(直線状および円弧状の側面)を、凹溝を利用した劈開作業により形成するのが好ましい。このようにした場合、基板20上に成長させる結晶膜の品質を、その面内全域にわたり、すなわち、周縁部においても向上させることが可能となる。
図11(a)〜図11(c)の左側は、それぞれ、基板5の裏面をレーザスクライブした後であって劈開作業を行う前の基板5の状態を表面側から撮影したものである。また、図11(a)〜図11(c)の右側は、それぞれ、レーザスクライブ後の基板5に対して劈開を試みた結果を撮影したものである。図11(a)は、凹溝の深さを基板5の厚さTに対して55%の深さとし、a面に沿った劈開を試みたものである。図11(b)は、凹溝の深さを基板5の厚さTに対して60%の深さとし、a面に沿った劈開を試みたものである。図11(c)は、凹溝の深さを基板5の厚さTに対して90%の深さとし、基板20の周縁部を構成する基板10の取得、すなわち、円弧状の劈開を試みたものである。図11(a)に示すように、凹溝の深さを60%未満の深さとした場合、劈開性の強いM面に沿って基板5が割れてしまい、a面に沿って劈開を成功させることはできなかった。図11(b)に示すように、凹溝の深さを60%の深さとした場合、劈開性の弱いa面に沿って基板5を劈開させることに成功した。図11(c)に示すように、凹溝の深さを90%の深さとした場合、円弧状の劈開を行うことができ、円弧部において、側面の結晶成長面側に劈開面を配置することができた。
劈開位置を正確に制御するため、凹溝の断面形状は、図1(b)に示すようなV字状(開口部が広いテーパー状)の断面形状とするのが好ましい。なお、凹溝の開口幅については特に制限はないが、例えば0.2〜1.8mmが例示される。このように溝の寸法や形状を制御することで、基板5を劈開させる際の制御性を高めつつ、基板5を劈開させた際に形成される劈開面の幅(厚さ方向における幅)を充分に確保することが可能となる。これにより、後述するステップ3において、隣接する基板10の接合強度を高めたり、基板10の接合部周辺に形成される結晶膜の品質を向上させたりすることが可能となる。
上述の加工を施すと、基板5の切粉が大量に発生して基板10に付着し、そのままでは後述の結晶成長に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、切粉を除去する洗浄処理を行う。その手法としては、例えば、塩化水素(HCl)と過酸化水素水(H)とを1対1で混合して得た薬液を用いたバブリング洗浄が挙げられる。
(ステップ2:種結晶基板の配置)
基板10を複数枚取得したら、ステップ2を行う。本ステップでは、GaN結晶からなる複数の基板10を、それらの主面が互いに平行となり、また、それらの側面が互いに当接するように、すなわち、隣接する基板10の側面同士が当接(対向)するように、平面状に、また、円板状に配置(平面充填)する。
図2(a)は、基板10の配列パターンの一例を示す平面図である。本実施形態のように、平面形状が正六角形である基板10を用いる場合、基板10が平面充填されることでハニカムパターン(蜂の巣パターン)が構成される。複数の基板10のうち、少なくとも基板20の周縁部以外の部分を構成する基板は、平面形状が正六角形である主面を有する。本図に示すように、基板10の主面を組み合わせたハニカムパターンは、基板20の主面の中心を通りこの主面に直交する軸を中心軸として基板20を一回転させたとき、2回以上、本配置例では6回の回転対称性を有するように配置される。
なお、ここでいう「複数の基板10をそれらの主面が互いに平行となるように配置する」とは、隣接する基板10の主面同士が、完全に同一平面上に配置される場合だけでなく、これらの面の高さに僅かな差がある場合や、これらの面が互いに僅かな傾きを持って配置される場合を含むものとする。すなわち、複数の基板10を、これらの主面がなるべく同じ高さとなり、また、なるべく平行となるように配置することを意味する。但し、隣接する基板10の主面の高さに差がある場合であっても、その大きさは、最も大きい場合で例えば20μm以下、好ましくは10μm以下とするのが望ましい。また、隣接する基板10の主面間に傾きが生じた場合であっても、その大きさは、最も大きい面で例えば1°以下、好ましくは0.5°以下とするのが望ましい。また、複数の基板10を配置する際は、これらを配列させることで得られる基板群の主面内におけるオフ角のばらつき(全主面内におけるオフ角の最大値と最小値との差)を、例えば0.3°以内、好ましくは0.15°以内とするのが望ましい。これらが大きすぎると、後述するステップ3,5(結晶成長工程)で成長させる結晶の品質が低下する場合があるためである。なお、基板10の主面に高さの差がある場合や、基板10の主面間に傾きがある場合には、例えば、平坦であることが予め確認されたガラス板等を、保持板12上に配置された複数の基板10の主面群に対して押し当てるようにしてもよい。これにより、複数の基板10の高さや傾きを、それらの主面が互いに平行となるように微調整することが可能となる。
また、ここでいう「複数の基板10をそれらの側面が互いに当接するように配置する」とは、隣接する基板10の側面同士が、完全に、すなわち、隙間なく接触する場合だけでなく、これらの間に僅かな隙間が存在する場合も含むものとする。すなわち、複数の基板10を、隣接する基板10の側面間になるべく隙間が生じないように近接して対向させることを意味する。但し、隣接する基板10の側面間に隙間が生じた場合であっても、室温条件におけるその大きさは、最も大きい場所で例えば100μm以下、好ましくは50μm以下とするのが望ましい。隙間が大きすぎると、後述するステップ3(結晶成長工程)を実施した際に、隣接する基板10間が接合しなかったり、接合したとしてもその強度が不足したりする場合があるためである。また、ステップ3を実施した後における隣接する基板10間の接合強度を高めるため、隣接する基板10を、それらの側面のうち少なくとも劈開面が当接するように配置することが好ましい。
なお、ステップ3における取り扱いを容易とするため、複数の基板10は、例えば、平板として構成された保持板(支持板)12上に固定するのが好ましい。図2(b)に、複数枚の基板10が円板状の保持板12上に接着されてなる組み立て基板13の断面構成を示す。本図に示すように、基板10は、その主面(結晶成長面であるc面)が上面となるように、保持板12上に、接着剤11からなる層を介して設置される。言い換えると、基板10と保持板12との間には、接着剤11からなる層が設けられている。
保持板12の材料としては、後述するステップ3(結晶成長工程)での成膜温度、成膜雰囲気に耐えられる耐熱性、耐蝕性を有し、また、基板10やステップ3で形成するGaN結晶膜14を構成する結晶と、同等或いはそれより小さい線膨張係数を有する材料を用いることが好ましい。保持板12の材料としてこのような材料を用いることで、ステップ3において基板10間に隙間が形成されたり、基板10間に形成された隙間が広がったりしてしまうことを抑制できるようになる。ここでいう線膨張係数とは、基板10の主面(c面)に平行な方向、すなわち、基板10を構成するGaN結晶のa軸方向における線膨張係数をいう。GaN結晶のa軸方向における線膨張係数は5.59×10−6/Kである。線膨張係数がこれらに比べて同等もしくは小さく、安価で入手が容易であり、ある程度の剛性を示す材料としては、例えば、等方性黒鉛、異方性黒鉛(パイロリティックグラファイト等)、シリコン(Si)、石英、炭化珪素(SiC)などが挙げられる。また、後述する理由から、これらの中でも、表層が剥離しやすいパイロリティックグラファイト(以下、PGとも呼ぶ)を特に好ましく用いることができる。また、等方性黒鉛、Si、石英、SiCなどの平板基材の表面を、PG等の剥離しやすく耐蝕性に優れた材料により被覆(コーティング)してなる複合材料を、好適に用いることもできる。
接着剤11の材料としては、ステップ3での成膜温度よりも遙かに低い温度条件下にて所定時間保持されることで固化するような材料、例えば、常温〜300℃の範囲内の温度条件下で数分〜数十時間乾燥させることで固化するような材料を好適に用いることができる。接着剤11の材料としてこのような材料を用いることで、接着剤11を固化させるまでの間、保持板12上に配置された基板10の位置、高さ、傾き等をそれぞれ微調整することが可能となる。また、ステップ3を開始する前の比較的低温条件下にて接着剤11の固化(基板10の固定)を完了させることができ、これにより、基板10の位置ずれが抑制された状態でステップ3を開始することが可能となる。これらの結果、ステップ3で成長させるGaN結晶膜14の品質を向上させ、基板10間の接合強度を高めることが可能となる。また、基板10の接着作業を例えば手作業でも実施することが可能となり、接着作業の簡便性を著しく向上させ、接着作業に要する設備を簡便にすることが可能となる。
また、接着剤11の材料としては、後述するステップ3(結晶成長工程)での成膜温度、成膜雰囲気に耐えられる耐熱性、耐蝕性を有する材料を用いることが好ましい。接着剤11の材料としてこのような材料を用いることで、ステップ3における昇温中に接着剤11が熱分解等し、基板10の固定が解除されることを回避できるようになる。また、基板10の固定が不充分のままGaN結晶膜14が成長することで最終的に得られる基板20に反りが生じすることを回避できるようになる。また、接着剤11の熱分解による成長雰囲気の汚染を回避することができ、これにより、GaN結晶膜14の品質低下や基板10間の接合強度の低下を防ぐことが可能となる。
また、接着剤11の材料としては、基板10やステップ3で形成するGaN結晶膜14を構成する結晶と近い線膨張係数を有する材料を用いることが好ましい。なお、「線膨張係数が近い」とは、接着剤11の線膨張係数と、GaN結晶膜14を構成する結晶の線膨張係数と、が実質的に同等であること、例えば、これらの差が10%以内であることを意味する。接着剤11の材料としてこのような材料を用いることで、後述するステップ3を行う際、接着剤11との線膨張係数差に起因して基板10の面内方向に加わる応力を緩和させることができ、基板10に反りやクラック等が生じることを回避することが可能となる。
これらの要件を満たす接着剤11の材料としては、例えば、耐熱性(耐火性)セラミックスと無機ポリマとを主成分とする耐熱性無機接着剤を用いることができ、特に、ジルコニアやシリカ等を主成分とする材料を好ましく用いることができる。このような接着剤としては、例えば、市販のアロンセラミックC剤やE剤(アロンセラミックは東亞合成株式会社の登録商標)が挙げられる。これらの接着剤は、例えば常温〜300℃の範囲内の温度で乾燥させて固化させることにより、1100〜1200℃の高温に耐える硬化物を形成し、ステップ3での成膜雰囲気に対して高い耐蝕性を有するとともに、基板10の位置ずれなどを生じさせない高い接着強度を示すことを確認済みである。また、基板10上に成長させる結晶に影響を及ぼさないことも確認済みである。また、固化する前の段階で、常温下において例えば40000〜80000mPa・s程度の適正な粘性を示すことから、保持板12上への基板10の仮留めや位置合わせ等を行う際に、非常に好適であることも確認済みである。
基板10を保持板12上に接着する際は、接着剤11が基板10の主面側に回り込んではみ出ることのないよう、基板10の少なくとも周縁部を除く領域、例えば周縁部から所定幅離れた領域であって、好ましくは中央付近にのみ接着剤11を塗布するのが好ましい。接着剤11が主面側に回り込むと、その回り込んだ箇所及びその周辺において、GaN結晶膜14の品質が著しく劣化したり、GaN結晶膜14の成長が妨げられたりする場合がある。なお、接着剤11の回り込みを防ぐような構造を、保持板12の表面に設けるようにしてもよい。例えば、図2(c)に示すように、隣接する基板10の周縁部の下方に位置する保持板12の表面に凹溝12aを形成し、基板10を接着する際に余分となった接着剤11をこの凹溝12a内へ逃がすことにより、基板10の主面側への接着剤11の回り込みを抑制することが可能となる。
なお、保持板12の線膨張係数と基板10の線膨張係数との間に差がある場合、特に、これらの差が大きい場合、図2(d)に示すように、基板10の裏面側に塗布する接着剤11の量を「極少量」に制限するのが好ましい。というのも、ステップ3を実施することで、保持板12上に配置された隣接する基板10は互いに接合された状態となる。複数の基板10を一体化(合体)させて基板20を得た後は、基板20および保持板12を、成膜温度から、例えば常温付近にまで降温させることになる。保持板12および基板10の線膨張係数に上述の差がある場合、これらの部材の熱収縮量の差に起因して、基板20の面内方向に、引張応力或いは圧縮応力が加わることになる。線膨張係数の差によっては、基板20の面内方向に大きな応力が加わり、基板20を構成する基板10や接合部にクラック等を生じさせる場合がある。このような課題に対し、発明者は、接着剤11の量を適正に制限することが非常に有効であるとの知見を得ている。接着剤11の量を適正に制限することで、基板20の面内方向に上述の応力が加わったとき、固化した接着剤11を適正なタイミングで破断させたり、固着させた接着剤11を基板10或いは保持板12から剥離させたりすることができ、これにより、基板10の破損等を回避することが可能となるのである。従って、ここで用いる「極少量」という文言は、少なくともステップ3を進行させるにあたり保持板12上への基板10の固定および位置ずれをそれぞれ防止することが可能な量であって、かつ、上述の線膨張係数差に起因して降温時の基板20に対して応力が加わったとき、固化した状態の接着剤11が破断或いは剥離することで基板10等の破損を回避することが可能となるような、所定の幅を持ちうる量を意味している。
また、保持板12の線膨張係数と基板10の線膨張係数との間に差がない場合であっても、或いは、これらの差が非常に小さい場合であっても、接着剤11の線膨張係数と基板10の線膨張係数との間に差がある場合、特に、これらの差が大きい場合には、接着剤11の量を上述の「極少量」とするのが好ましい。これにより、接着剤11と基板10との線膨張係数差に起因して基板10の面内方向に加わる応力を緩和させることができ、基板10に反りやクラック等が生じることを回避することが可能となる。
なお、接着剤11の量を極小量に制限する場合、接着剤11は、基板10の中心部に塗布するのが好ましい。接着剤11を基板10の中心部に塗布する方が、基板10の中心部以外の領域に塗布するよりも、基板10の姿勢を調整したり、それを維持したりすることが容易となる。また、接着剤11の主面側への回り込みもより確実に防止できるようになる。また、保持板12上に接着された各基板10は、後述するステップ3等で昇降温される際、接着剤11により接着された箇所を基点として周囲方向に膨張或いは収縮することになる。この場合、接着剤11を基板10の中心部に接着することにより、隣接する基板10間の隙間を基板20面内で均等なものとすることが可能となる。また、隣接する基板10間に隙間が存在しない場合においては、隣接する基板10の側面(当接面)に加わる応力の分布を、基板20面内で均等なものとすることが可能となる。但し、ここで用いる「基板10の中心部」という文言は、必ずしも基板10の幾何学的な中心に限らず、基板10の幾何学的な中心を含む領域、或いは、幾何学的中心を含まないがその近傍の領域を意味している。
接着剤11を介して保持板12上に基板10を配置し、接着剤11を固化させることで、組み立て基板13の作製が完了する。なお、接着剤11の固化が、複数の基板10の主面が互いに平行となり、また、隣接する基板10の側面が当接した状態で完了するように、接着剤11が固化するまでの間、必要に応じて、基板10の位置、傾き、高さをそれぞれ調整するのが好ましい。なお、接着剤11の固化は、ステップ3の開始前に完了させておくのが好ましい。このようにすることで、後述するHVPE装置200への組み立て基板13の投入および結晶成長のそれぞれを、複数の基板10の位置ずれが抑制された状態で行うことが可能となる。
(ステップ3:結晶成長による接合)
接着剤11が固化し、組み立て基板13の作製が完了したら、図5に示すHVPE装置200を用い、平面状に配置させた複数の基板10の表面上に、第1結晶膜(接合用薄膜)としてのGaN結晶膜14を成長させる。
HVPE装置200は、石英等の耐熱性材料からなり、成膜室201が内部に構成された気密容器203を備えている。成膜室201内には、組み立て基板13や基板20を保持するサセプタ208が設けられている。サセプタ208は、回転機構216が有する回転軸215に接続されており、回転自在に構成されている。気密容器203の一端には、成膜室201内へHClガス、窒化剤としてのアンモニア(NH)ガス、窒素(N)ガスを供給するガス供給管232a〜232cが接続されている。ガス供給管232cには水素(H)ガスを供給するガス供給管232dが接続されている。ガス供給管232a〜232dには、上流側から順に、流量制御器241a〜241d、バルブ243a〜243dがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aの下流には、原料としてのGa融液を収容するガス生成器233aが設けられている。ガス生成器233aには、HClガスとGa融液との反応により生成された原料ガス(原料のハロゲン化物)である塩化ガリウム(GaCl)ガスを、サセプタ208上に保持された組み立て基板13等に向けて供給するノズル249aが接続されている。ガス供給管232b,232cの下流側には、これらのガス供給管から供給された各種ガスをサセプタ208上に保持された組み立て基板13等に向けて供給するノズル249b,249cがそれぞれ接続されている。気密容器203の他端には、成膜室201内を排気する排気管230が設けられている。排気管230にはポンプ231が設けられている。気密容器203の外周にはガス生成器233a内やサセプタ208上に保持された組み立て基板13等を所望の温度に加熱するゾーンヒータ207が、気密容器203内には成膜室201内の温度を測定する温度センサ209が、それぞれ設けられている。HVPE装置200が備える各部材は、コンピュータとして構成されたコントローラ280に接続されており、コントローラ280上で実行されるプログラムによって、後述する処理手順や処理条件が制御されるように構成されている。
ステップ3は、上述のHVPE装置200を用い、例えば以下の処理手順で実施することができる。まず、ガス生成器233a内に原料としてGa多結晶を収容し、また、組み立て基板13を、気密容器203内へ投入(搬入)し、サセプタ208上に保持する。そして、成膜室201内の加熱および排気を実施しながら、成膜室201内へHガス(あるいはHガスとNガスとの混合ガス)を供給する。そして、成膜室201内が所望の成膜温度、成膜圧力に到達し、また、成膜室201内の雰囲気が所望の雰囲気となった状態で、ガス供給管232a,232bからガス供給を行い、組み立て基板13(基板10)の主面に対し、成膜ガスとしてGaClガスとNHガスとを供給する。これにより、図6(a)に断面図を示すように、基板10の表面上に、GaN結晶がエピタキシャル成長し、GaN結晶膜14が形成される。GaN結晶膜14が形成されることで、隣接する基板10は、GaN結晶膜14によって互いに接合され、一体化した状態となる。その結果、隣接する基板10が接合されてなる基板20が得られる。なお、成膜処理の過程での基板10を構成する結晶の分解を防止するため、NHガスを、HClガスよりも先行して、例えば、成膜室201内の加熱前から供給するのが好ましい。また、GaN結晶膜14の面内膜厚均一性を高め、隣接する基板10の接合強度を面内でむらなく向上させるため、ステップ3は、サセプタ208を回転させた状態で実施するのが好ましい。
ステップ3を実施する際の処理条件としては、以下が例示される。
成膜温度(組み立て基板13の温度):980〜1100℃、好ましくは、1050〜1100℃
成膜圧力(成膜室201内の圧力):90〜105kPa、好ましくは、90〜95kPa
GaClガスの分圧:1.5〜15kPa
NHガスの分圧/GaClガスの分圧:2〜6
ガスの流量/Hガスの流量:1〜20
GaN結晶膜14の膜厚は、例えば、基板20の外径をDcmとした場合に、30Dμm以上の厚さとすることができる。GaN結晶膜14の膜厚が30Dμm未満であると、隣接する基板10の接合力が不足し、基板20の自立状態が維持できなくなり、その後のステップを進行させることが不可能となる。
なお、GaN結晶膜14の膜厚について特に上限はないが、ここで行う結晶成長は、あくまでも複数の基板10を接合させて自立可能な状態とする目的に止めておくようにしてもよい。言い換えれば、GaN結晶膜14の膜厚は、後述するステップ4(保持板剥がし、洗浄)において、互いに接合された基板10からなる基板20を保持板12から取り外して洗浄等を行った状態であっても、隣接する基板10の接合状態、すなわち、基板20の自立状態が維持されるのに必要かつ最小の厚さに止めておくようにしてもよい。本実施形態のように、本格的な結晶成長工程としてステップ5を別途行うのであれば、ステップ3で形成するGaN結晶膜14の膜厚を厚くしすぎると、成膜に用いる各種ガスの浪費や、GaN基板のトータルでの生産性低下を招いてしまう場合があるためである。このような観点から、GaN結晶膜14の膜厚は、例えば、基板20の外径をDcmとした場合に、100Dμm以下の厚さとしてもよい。
これらのことから、本実施形態では、基板10の外径が2インチ、基板20の外径が6〜8インチである場合、GaN結晶膜14の膜厚は、例えば450μm以上2mm以下の範囲内の厚さとすることができる。
なお、GaN結晶膜14によって基板10を接合させる際、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面を、M面を除く面とし、かつ、互いに同一方位の面とすることで、それらの接合強度を高めることが可能となる。 GaN結晶膜14の膜厚を同一膜厚とする場合、隣接する基板10をM面同士で接合させた場合よりも、隣接する基板10をa面同士で接合させた方が、基板10の接合強度を高めることが可能となる。
(ステップ4:保持板剥がし、洗浄)
GaN結晶膜14の成長が完了し、隣接する基板10が互いに接合された状態となったら、成膜室201内へNHガス、Nガスを供給し、成膜室201内を排気した状態で、ガス生成器233a内へのHClガス、成膜室201内へのHガスの供給、ヒータ207による加熱をそれぞれ停止する。そして、成膜室201内の温度が500℃以下となったらNHガスの供給を停止し、その後、成膜室201内の雰囲気をNガスへ置換して大気圧に復帰させるとともに、成膜室201内を搬出可能な温度にまで低下させた後、成膜室201内から組み立て基板13を搬出する。
その後、隣接する基板10が接合されてなる基板20を保持板12から引き剥がし、これらを分離させる(基板20を自立させる)。
保持板12の材料として、例えばPGのような材料(基板10よりも表層が剥離しやすい材料)を用いた場合、図6(b)に示すように、保持板12の表層が犠牲層(剥離層)12aとなって薄く剥がれることで、保持板12からの基板20の自立が容易に行われるようになる。また、保持板12の材料として、等方性黒鉛等からなる平板基材の表面をPG等によりコーティングしてなる複合材料を用いた場合にも、同様の効果が得られるようになる。なお、PGと比べて高価ではあるが、保持板12の材料として、パイロリティックボロンナイトライド(PBN)を用いた場合においても、同様の効果が得られる。また、保持板12の材料として、例えば等方性黒鉛、Si、石英、SiC等の材料、すなわち、表層を犠牲層として作用させることができない材料を用いた場合であっても、接着剤11の量を上述のように極少量とすれば、図6(c)に示すように、基板20の面内方向に上述の応力が加わったとき、固化した接着剤11を適正なタイミングで破断或いは剥離させることができる。これにより、保持板12からの基板20の自立が容易に行われるようになる。
自立させた基板20の裏面(基板10の裏面)に付着している接着剤11や犠牲層12aは、フッ化水素(HF)水溶液等の洗浄剤を用いて除去する。これにより、図6(d)に示すような自立状態の基板20が得られる。基板20は、その主面(GaN結晶膜14の表面)が結晶成長用の下地面として用いられ、100mm、さらには150mm(6インチ)を超える大径基板として、この状態で市場に流通する場合がある。なお、基板20の裏面の研磨を実施するまでは、その洗浄を実施した後であっても、接着剤11や犠牲層12aの残留成分が付着した痕跡が、基板10の裏面に残る場合がある。
(ステップ5:結晶成長、スライス)
本ステップでは、図5に示すHVPE装置200を用い、ステップ3と同様の処理手順により、自立した状態の基板20の主面上に、第2結晶膜(本格成長膜)としてのGaN結晶膜21を成長させる。図7(a)に、基板20の主面、すなわち、GaN結晶膜14の表面上に、気相成長法によりGaN結晶膜21が厚く形成された様子を示す。
なお、本ステップの処理手順はステップ3とほぼ同様であるが、図7(a)に示すように、本ステップは、自立可能に構成された基板20をサセプタ208上に直接載置した状態で行われる。すなわち、本ステップは、基板20とサセプタ208との間に、保持板12や接着剤11が存在しない状態で行われる。このため、サセプタ208と基板20との間の熱伝達が効率的に行われ、基板20の昇降温に要する時間を短縮させることが可能となる。また、基板20の裏面全体がサセプタ208に接触することから、基板20が、その面内全域にわたり均等に加熱されるようになる。結果として、基板20の主面、すなわち、結晶成長面における温度条件を、その面内全域にわたり均等なものとすることが可能となる。また、隣接する基板10が一体に接合した状態で加熱処理が行われることから、隣接する基板10間での直接的な熱伝達(熱交換)、すなわち、基板20内における熱伝導が速やかに行われることになる。結果として、結晶成長面における温度条件を、その面内全域にわたってより均等なものとすることが可能となる。すなわち、本ステップでは、自立可能に構成された基板20を用いて結晶成長を行うことから、結晶成長の生産性を高め、また、基板20上に成長させる結晶の面内均一性等を向上させることが可能となる。
これに対し、図13に例示するような、保持板上に接着剤を介して複数の種結晶基板を並べて接着し、その後、これら複数の種結晶基板上に結晶をそれぞれ成長させ、結晶成長を継続することで複数の結晶を一体化させるという代替手法も考えられる。しかしながら、この手法では、上述した種々の効果のうち、一部の効果が得られにくくなる場合がある。というのも、この手法では、サセプタから種結晶基板への熱伝達が、これらの間に介在する保持板や接着剤によって阻害されることがあり、基板の加熱効率が低下する場合がある。また、サセプタから基板へ向かう熱伝達の効率は、接着剤の塗布量や塗布位置などによって大きく影響を受けることから、この代替手法では、基板間における加熱効率が不揃いとなる場合がある。また、複数の種結晶基板を、隣接する種結晶基板間が離間した状態となるよう配置した場合(隣接する種結晶基板が一体に接合していない場合)、これら種結晶基板間での直接的な熱伝達(熱交換)が行われにくくなり、結果として、結晶成長面における温度条件が種結晶基板間で不揃いとなる場合がある。これらの結果、この代替手法では、本実施形態の手法に比べ、結晶成長の生産性が低下したり、最終的に得られる結晶の面内均一性が低下したりする場合がある。
このように、自立可能に構成された基板20を用いる本実施形態の結晶成長の手法は、図13に例示されるような代替手法に比べ、生産性や品質の向上に非常に大きな利益をもたらすものといえる。
なお、ステップ5における処理条件は、上述したステップ3における処理条件と同様の条件とすることもできるが、これと異ならせるようにするのが好ましい。というのも、ステップ3における成膜処理は、隣接する基板10間の接合を主な目的として行うものである。そのため、ステップ3では、主面方向(c軸方向)に向けた成長よりも、主面(c面)に沿った方向(沿面方向)への成長を重視した条件下で結晶を成長させるのが好ましい。これに対し、ステップ5における成膜処理は、基板20上にGaN結晶膜21を高速かつ厚く成長させることを主な目的として行うものである。そのため、ステップ5では、沿面方向に向けた成長よりも、主面方向に向けた成長を重視した条件下で結晶を成長させるのが好ましい。
上述の目的を達成する手法として、例えば、成膜室201内における雰囲気を、ステップ3とステップ5とで異ならせる手法がある。例えば、ステップ5での成膜室201内におけるNガスの分圧のHガスの分圧に対する比率(N/H)が、ステップ3での成膜室201内におけるNガスの分圧のHガスの分圧に対する比率(N/H)よりも小さくなるように設定する。これにより、ステップ3では沿面方向に向けた結晶成長が比較的活発となり、また、ステップ5では主面方向に向けた結晶成長が比較的活発となる。
また、上述の目的を達成する他の手法として、例えば、成膜温度をステップ3とステップ5とで異ならせる手法がある。例えば、ステップ5における成膜温度が、ステップ3における成膜温度よりも低くなるように設定する。これにより、ステップ3では沿面方向に向けた結晶成長が比較的活発となり、また、ステップ5では主面方向に向けた結晶成長が比較的活発となる。
また、上述の目的を達成するさらに他の手法として、例えば、NHガスの供給流量のGaClガスの供給流量に対する比率(NH/GaCl)を、ステップ3とステップ5とで異ならせる手法がある。例えば、ステップ5におけるNH/GaCl比率が、ステップ3におけるNH/GaCl比率よりも大きくなるように設定する。これにより、ステップ3では沿面方向に向けた結晶成長が比較的活発となり、また、ステップ5では主面方向に向けた結晶成長が比較的活発となる。
ステップ5を実施する際の処理条件としては、以下が例示される。
成膜温度(基板20の温度):980〜1100℃
成膜圧力(成膜室201内の圧力):90〜105kPa、好ましくは、90〜95kPa
GaClガスの分圧:1.5〜15kPa
NHガスの分圧/GaClガスの分圧:4〜20
ガスの流量/Hガスの流量:0〜1
所望の膜厚のGaN結晶膜21を成長させた後、ステップ3終了時と同様の処理手順により成膜処理を停止し、GaN結晶膜21が形成された基板20を成膜室201内から搬出する。その後、GaN結晶膜21をその成長面と平行にスライスすることにより、図7(b)に示すように、円板状の外形を有するGaN基板30を1枚以上得ることができる。GaN基板30も、100mm以上、さらには150mm(6インチ)を超える大径の円形基板となる。なお、基板20とGaN結晶膜21との積層構造全体をGaN基板と考えることもできる。また、GaN結晶膜21から基板20を切り出す場合には、切り出した基板20を用いてステップ5を再実施すること、すなわち、切り出した基板20を再利用することもできる。
なお、GaN基板30は、基板10の接合部の影響を間接的に受けることで、欠陥密度や内部歪みが相対的に大きくなっている高欠陥領域、すなわち、強度や品質が相対的に低下している領域を有する場合がある。高欠陥領域は、GaN結晶膜21における平均的な欠陥密度(或いは内部歪み)よりも大きな欠陥密度(内部歪み)を有する領域のことである。この高欠陥領域の存在は、表面に溝や段差が形成されることで目視できる場合もあるし、目視できない場合もある。目視できない場合であっても、X線回折等の公知の分析手法を用いることで、その存在を確認することが可能である。本実施形態のように基板10の主面を正六角形とした場合、GaN基板30が有する高欠陥領域は、図9に網掛けで示すように、平面形状が正六角形である輪郭形状を組み合わせたハニカムパターンを構成することとなる。図9に示すように、高欠陥領域は、GaN基板30の主面上に連続するように形成されることで、GaN基板30の主面上に存在する低欠陥領域を区分けしているともいえる。また、このハニカムパターンは、GaN基板30の主面の中心を通りこの主面に直交する軸を中心軸として基板20を一回転させたとき、2回以上、本実施形態では6回の回転対称性を有しているともいえる。このハニカムパターンは、GaN結晶膜21の厚さや成膜条件等に応じ、その形状がぼやけたり(輪郭が滲んだり)、変形したりする場合がある。特に、GaN結晶膜21をスライスしてGaN基板30を複数枚取得する場合、GaN結晶膜21の表面側から取得したGaN基板30において、その傾向が強くなる。
(2)本実施形態により得られる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(a)比較的小径の基板10を複数組み合わせることで、基板20の外径や形状を任意に変更することが可能となる。この場合、基板20を大径化させたとしても、その主面内におけるオフ角のばらつきの増加を抑制することが可能となる。例えば、基板20全体での主面内におけるオフ角のばらつきを、それぞれの基板10の主面内におけるオフ角のばらつきと同等以下とすることが可能となる。図10は、正六角形の種結晶基板を複数組み合わせることで得られた結晶成長用基板の一構成例を示す写真である。ここに示す結晶成長用基板の直径は約16cmであるが、結晶成長用基板全体での主面内におけるオフ角のばらつきは、この基板を構成するそれぞれの種結晶基板の主面内におけるオフ角のばらつきと同等以下であることを確認済みである。このように、オフ角のばらつきの小さい大径の結晶成長用基板は、本実施形態に例示した知見がなくては製造困難な基板であるといえる。
(b)基板10の平面形状を正六角形とすることで、基板10を組み合わせたハニカムパターンは、2回以上、本実施形態では6回の回転対称性を有する。これにより、基板20に含まれる欠陥や歪み、すなわち、隣接する基板10の接合部の影響を受けることで生じた欠陥や歪みを、その面内にわたり均等に(6回の回転対称性を有するように)分散させることが可能となる。その結果、これを用いて作製されたGaN基板30についても同様の効果が得られ、この基板を、反りの分布が面内にわたって均等であり、割れにくい良質な基板とすることが可能となる。
(c)基板10を組み合わせたハニカムパターンが6回の回転対称性を有することから、各基板10の裏面に塗布された接着剤11は、図2(a)に示すように、基板20の中央部を中心として、それぞれ略同心円状に配置されることになる。また、接着剤11による固定箇所は、基板20の中央部を中心として、6回の回転対称性を有するように配置されることになる。これらにより、ステップ3の終了時、基板20および保持板12を例えば常温付近にまで降温させる際、基板20の面内方向に加わる引張応力或いは圧縮応力を均等に分散させることが可能となる。結果として、基板20を構成する基板10や接合部の損傷を回避し易くなる。
(d)基板10の平面形状を正六角形とすることで、複数の基板10は、平面視において相互に噛み合わせるように配置される。これにより、ステップ2で接着剤11の固化が完了する前や、ステップ3やその後の工程において、基板10の配列ずれを抑制できるようになる。結果として、基板10間の接合強度を高めたり、これらの上に成長させるGaN結晶膜14,21の品質を向上させたりすることが可能となる。
(e)基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する面の全てをM面以外の面であって、かつ、互いに同一方位の面とすることで、ステップ3(結晶成長工程)で隣接する基板10を接合させる際、その接合強度を高めることが可能となる。例えば、基板10をa面同士で接合させることで、これらをM面同士で接合させる場合よりも、その接合強度を高めることが可能となる。
(f)基板5から基板10を取得する際、基板5の裏面に予め凹溝を形成することで、基板5を制御性よく劈開させることが可能となる。これにより、基板10の側面を、M面以外の面(劈開しにくい面)で劈開させることが可能となる。また、凹溝を基板5の裏面側に形成することで、劈開面を、基板10の側面のうち結晶成長面側に配置することが可能となる。これにより、基板10間に形成されるGaN結晶膜14の品質を向上させ、基板10間の接合強度を高めることが可能となる。また、基板10の接合部(直線部)だけでなく、基板20の周縁部(円弧部)においても凹溝を利用した劈開処理を行うことで、GaN結晶膜14の周縁部における結晶品質を向上させることが可能となる。GaN結晶膜21をスライスすることで得られるGaN基板30についても同様に、周縁部(円弧部)における結晶品質を向上させることが可能となる。
(g)接着剤11として、ステップ3での成膜温度よりも遙かに低い温度条件下にて所定時間保持されることで固化する材料を用いることから、基板10の位置等を微調整することができ、また、接着作業を簡便に行えるようになる。また、接着剤11として、ステップ3での成膜温度等に耐えられる材料を用いることから、ステップ3での基板10の固定解除、基板20の反り等を回避でき、また、成長雰囲気の汚染を回避することが可能となる。
(h)複数の基板10を保持板12上に接着させた状態(接着剤11を固化させた状態)で結晶成長を行うことから、その過程での基板10の配列ずれを抑制でき、基板10間の接合強度を高めたり、これらの上に成長させる結晶の品質を向上させたりすることが可能となる。また、接着剤11を用いずに、基板10を外周から治具で固定することで保持板12上に固定する場合に比べ、基板10間の接合強度を高めたり、これらの上に成長させる結晶の品質を向上させたりすることが可能となる。というのも、治具を用いる場合、少なくとも室温において、並べられた基板10にはその配列方向に沿って圧力が加わることとなる。すると、成膜温度では熱膨張の影響によりその圧力が増大し、基板10の配列が崩れたり、主面が同一平面上に存在し得なくなったり、基板10にチッピングやクラックが発生したりし、さらに、その際に発生したパーティクルが主面上に乗ったりする場合がある。接着剤11を用いて基板10を接着することで、これらの課題を回避することが可能となる。
(i)複数の基板10を保持板12上に接着させた状態(接着剤11を固化させた状態)で結晶成長を行うことから、各基板10上に成長する結晶が相互作用することで基板10に応力が加わったとしても、基板10の位置ずれ等を回避できるようになる。結晶成長を進行させると、各基板10上に成長する結晶の成長面が連続した面となるように、すなわち、基板10を傾けたり持ち上げたりするように相互作用が働くことになるが、本実施形態のように接着剤11を固化させた状態で結晶成長を行うことで、その過程で基板10が傾いたり持ち上がったりすることを回避できるようになる。結果として、最終的に得られる基板20の反りを抑制することができ、基板20の主面全体におけるオフ角のばらつきの増加を回避することができるようになる。
(j)保持板12の材料として、PG等のような表面が犠牲層12aとして作用する材料を用いることで、保持板12からの基板20の自立を容易に行うことが可能となる。また、保持板12の材料として、例えばSi、石英、SiCのような、表面を犠牲層として作用させることが難しい材料を用いる場合であっても、接着剤11の量を極小量とすることで、基板20の自立を容易に行うことが可能となる。
(k)基板20を円板状とすることで、基板20上に成長させる結晶の面内均一性を向上させることが可能となる。これは、本実施形態のようにHVPE装置200内で基板20を回転させて気相成長を行う際、基板20を円板形状とすることで、基板20の面内における原料ガスなどの供給条件を均等なものとすることが可能となるためである。これに対し、図14(a)に示すような短冊状の種結晶基板を接合させてなる矩形状の結晶成長用基板を用いる場合や、図14(b)に示すような、同一寸法、同一形状の六角形の種結晶基板を接合させてなるハニカム形状の結晶成長用基板を用いる場合、それらの内周側(ゾーンA)と外周側(ゾーンB)とで、原料ガス等の供給量や消費量、温度等の諸条件に差異が生じやすくなる。そのため、これらの場合には、本実施形態のように結晶の面内均一性を高めることは困難となる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
(a)上述の実施形態では、基板10を組み合わせたハニカムパターンが、基板20の主面の中心を通りその主面に直交する軸を中心軸として基板20を一回転させたとき、6回の対称性を有する場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。
例えば、図3(a)に示すように、基板10を組み合わせたハニカムパターンが3回の回転対称性を有する場合であっても、上述の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。但し、図2(a)に示す配列の方が、図3(a)に示す配列よりも、基板20に含まれる欠陥や歪みをその面内にわたり均等に分散させることが可能となる点で好ましい。またその結果、最終的に得られるGaN基板30についても同様の効果が得られ、この基板を、反りの分布が面内にわたってより均等であり、より割れにくい良質な基板とすることが可能となる点で、好ましい。また、ステップ3の終了時、降温に伴って基板20の面内方向に加わる応力をより均等に分散でき、基板20の損傷を回避しやすくなる点で、好ましい。
また例えば、図4(a)に示すように、基板10を組み合わせたハニカムパターンが2回の回転対称性(すなわち線対称性)を有する場合であっても、上述の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。但し、図2(a)や図3(a)に示す配列の方が、図4(a)に示す配列よりも、基板20に含まれる欠陥や歪みをその面内にわたりより均等に分散させることが可能となる点で好ましい。またその結果、最終的に得られるGaN基板30についても同様の効果が得られ、この基板を、反りの分布が面内にわたってより均等であり、より割れにくい良質な基板とすることが可能となる点で、好ましい。また、ステップ3の終了時、降温に伴って基板20の面内方向に加わる応力をより均等に分散でき、基板20の損傷を回避しやすくなる点で、好ましい。
(b)上述の実施形態では、基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面をa面とする場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されず、a面以外の面で接合させるようにしてもよい。
(c)基板10の側面のうち、他の基板10の側面と当接する全ての面をM面としてもよい。M面は劈開させやすい面であることから、基板5から基板10を、低コストで効率よく作製することが可能となる。この場合、基板5の裏面側に形成する凹溝(スクライブ溝)の深さは、基板Tの厚さの例えば20%以上60%以下の範囲内の深さとするのが好ましい。図12(b)は、凹溝の深さを基板5の厚さTに対して50%の深さとし、基板5をM面に沿って劈開させることで取得した基板10の側面の光学顕微鏡写真である。凹溝の深さを、a面で劈開させる場合に比べて浅く設定することで、スクライブ溝の形成に要する時間を短縮させることができ、基板20を製造する際の生産性を向上させることが可能となる。また、基板10の側面に出現させる劈開面の面積を広く確保することができ、結果として、M面接合の場合には不足しがちな隣接する基板10間の接合強度を補うことが可能となる場合がある。
また、この場合、複数の基板5を用意する際に、それぞれの基板5の主面内におけるオフ角のばらつき(オフ角の最大値と最小値との差)が0.1°未満であり、かつ、複数の基板5間におけるオフ角のばらつき(オフ角の最大値と最小値との差)を0.1°未満とするのが好ましい。これにより、隣接する基板10の接合強度を充分に高めることが可能となる。
また、この場合、隣接する基板10の厚さを異ならせ、これらの主面の高さに差を設けることでも、隣接する基板10の接合強度を高めることが可能となる。これは、主面の高さに差を設けることで、隣接する基板10の接合部周辺におけるガス流を乱す(接合部周辺にガスの滞留を生じさせる)ことができ、これにより、接合部周辺での結晶成長を局所的に促進させることが可能となるためである。また、主面の高さに差を設けることで、接合部周辺を流れるガス流の向き等を適正に制御することができ、これにより、沿面方向に向けた結晶成長を促進させることができるためである。
(d)上述の実施形態では、保持板12と基板10とを異なる材料により構成し、これらを接着剤11を用いて接着する場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、GaN多結晶からなる基板(GaN多結晶基板)を保持板12として用い、保持板12と基板10とを接着剤11を介さずに直接接合するようにしてもよい。例えば、GaN多結晶からなる保持板12の表面をプラズマ処理することでその主面をOH基で終端させ、その後、保持板12の主面上に基板10を直接載置することで、これらを一体に接合させることができる。そして、保持板12と基板10とが接合されてなる積層体をアニール処理することで、保持板12と基板10との間に残留する水分等を除去することができ、この積層体を、上述の組み立て基板13、或いは、基板20として好適に用いることが可能となる。ただし、このような接合手法を用いると、保持板12上に配置された基板10の位置、高さ、傾き等をそれぞれ微調整することは困難となる。また、基板10の接着作業を手作業で、また、簡便な設備で行うことも困難となる。また、結晶成長を行った後、基板20から保持板12を除去することも困難となる。したがって、上述の実施形態のように、接着剤11を用いて基板10を保持板12上に接着する方が好ましい。
(e)上述の実施形態では、ステップ3,5において結晶成長法としてハイドライド気相成長法(HVPE法)を用いる場合について説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、ステップ3,5のうちいずれか、或いは、両方において、有機金属気相成長法(MOCVD法)等のHVPE法以外の結晶成長法を用いるようにしてもよい。この場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
(f)上述の実施形態では、保持板12から引き剥がすことで自立させた基板20を用意し、これを用いてGaN結晶膜21を成長させてGaN基板30を製造する場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。すなわち、組み立て基板13を用意した後、図8(a)に示すように基板10上にGaN結晶膜14を厚く成長させ、その後、図8(b)に示すようにGaN結晶膜14をスライスすることで1枚以上のGaN基板30を取得するようにしてもよい。すなわち、基板20を自立させる工程を経ることなく、組み立て基板13の用意からGaN基板30の製造までを一貫して行うようにしてもよい。この場合、上述の実施形態とは異なり、基板10の加熱が保持板12や接着剤11を介して行われることから、加熱効率が低下する場合がある。しかしながら、他の点では、上述の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。なお、GaN結晶膜14をスライスする際は、基板10の裏面側に付着した接着剤11等を予め除去するようにしてもよい。
(g)上述の実施形態では、隣接する基板10を接合させて基板20として用いる場合、すなわち、基板20が基板10を含む場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。すなわち、上述のように厚く成長させたGaN結晶膜14をスライスすることで得られた1枚以上の基板のそれぞれを、基板20として用いるようにしてもよい。この場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、このようにして得られた基板20は、上述の実施形態とは異なり基板10をその構成に含まないが、GaN基板30と同様、基板10の接合部の影響を間接的に受けることで、欠陥密度や内部歪みが相対的に大きくなっている高欠陥領域を有する場合がある。基板10の主面を正六角形とした場合、図9に網掛けで示すように、高欠陥領域がハニカムパターンを構成し、6回の回転対称性を有する点は、上述した通りである。
(h)本発明は、GaNに限らず、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウム(InN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)等の窒化物結晶、すなわち、AlInGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)の組成式で表されるIII族窒化物結晶からなる基板を製造する際に、好適に適用可能である。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
結晶の気相成長に用いられる結晶成長用基板であって、
III族窒化物結晶からなる複数の種結晶基板が、それらの主面が互いに平行となり、隣接する前記種結晶基板の側面同士が当接するように円板状に配置されてなり、
複数の前記種結晶基板のうち、少なくとも前記結晶成長用基板の周縁部(円弧部)以外の部分を構成する基板は、平面形状が正六角形である主面を有し、
前記種結晶基板を組み合わせたハニカムパターンは、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する結晶成長用基板が提供される。
(付記2)
好ましくは、付記1に記載の基板であって、
前記ハニカムパターンは、前記結晶成長用基板を同様に回転させたとき、3回以上の対称性、より好ましくは、6回の対称性を有する。
(付記3)
好ましくは、付記1又は2に記載の基板であって、
前記種結晶基板の側面のうち、隣接する種結晶基板の側面と当接する全ての面がM面を除く面であり、かつ、互いに同一方位の面(等価な面)である。
(付記4)
好ましくは、付記3に記載の基板であって、
前記種結晶基板の側面のうち、隣接する種結晶基板の側面と当接する全ての面がa面である。
(付記5)
好ましくは、付記1〜4のいずれかに記載の基板であって、
前記種結晶基板は、前記種結晶基板よりも大きな外径を有する材料基板が加工されてなり、
前記種結晶基板の側面は、前記材料基板の裏面にスクライブ溝を形成する際に生じた融解面或いは切削面と、前記スクライブ溝に沿って前記材料基板を劈開させる際に前記融解面或いは前記切削面よりも前記種結晶基板の主面に近い側に生じた劈開面と、を有し、
隣接する前記種結晶基板は、それらの側面のうち少なくとも前記劈開面が当接するように配置されている。
(付記6)
好ましくは、付記1〜5のいずれかに記載の基板であって、
前記種結晶基板が、接着剤を介して保持板上に固定されており、
前記保持板の表層が、前記種結晶基板と前記保持板とを分離させる際に犠牲層として剥離するよう構成されている。
(付記7)
好ましくは、付記6に記載の基板であって、
前記保持板が、パイロリティックグラファイト及びパイロリティックボロンナイトライドのうちいずれか、または、等方性黒鉛、Si、石英およびSiCのいずれかからなる平板の表面をパイロリティックグラファイト又はパイロリティックボロンナイトライドにより被覆した複合材料からなる。
(付記8)
好ましくは、付記6〜7のいずれかに記載の基板であって、
前記保持板の線膨張係数が、前記種結晶基板の線膨張係数と同等或いはそれより小さい。
(付記9)
好ましくは、付記6〜8のいずれかに記載の基板であって、
前記接着剤が、前記種結晶基板上に成長させる結晶の成長温度よりも低い温度にて固化し、かつ、前記結晶の成長温度および成長雰囲気に耐える材料からなる。
(付記10)
好ましくは、付記6〜9のいずれかに記載の基板であって、
前記接着剤の線膨張係数が、前記種結晶基板の線膨張係数と同等である。
(付記11)
好ましくは、付記6〜10のいずれかに記載の基板であって、
前記接着剤が、耐熱性セラミックスと無機ポリマとを主成分とする材料からなる。また好ましくは、前記接着剤が、ジルコニア又はシリカのうち少なくともいずれかを主成分する材料からなる。
(付記12)
好ましくは、付記6〜11のいずれかに記載の基板であって、
前記接着剤が、前記種結晶基板の裏面のうち周縁部を除く領域、より好ましくは中央部にのみ塗布されている。
(付記13)
好ましくは、付記6〜12のいずれかに記載の基板であって、
前記接着剤の量が、前記結晶成長用基板上に結晶を成長させる際には、前記保持板上への前記種結晶基板の固定および位置ずれをそれぞれ防止することが可能な量であって、かつ、前記結晶成長用基板上への結晶成長後、前記結晶成長用基板の線膨張係数と前記保持板の線膨張係数との差に起因して降温時の前記結晶成長用基板に対して応力が加わった際には、固化した状態の前記接着剤が破断或いは剥離するような量である。
(付記14)
好ましくは、付記6〜13のいずれかに記載の基板であって、
前記保持板の主面に、前記種結晶基板を前記保持板の主面上に接着する際に余分な前記接着剤を逃がす凹溝が設けられている。
(付記15)
本発明の他の態様によれば、
III族窒化物結晶からなる結晶膜を有し、結晶の気相成長に用いられる結晶成長用基板であって、
円板状に構成されており、
前記結晶膜は、前記結晶膜における平均的な欠陥密度(或いは内部歪み)よりも大きな欠陥密度(内部歪み)を有する高欠陥領域(高歪み領域)を有し、
前記高欠陥領域は、平面形状が正六角形である輪郭形状を組み合わせたハニカムパターンを構成しており、
前記ハニカムパターンは、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する結晶成長用基板が提供される。
好ましくは、
結晶の気相成長に用いられる基板であって、
主面が互いに平行となり、隣接する側面同士が当接するように円板状に配置されたIII族窒化物結晶からなる複数の種結晶基板と、
前記種結晶基板上に成長させた結晶膜と、を有し、
前記結晶膜は、前記種結晶基板の接合部の影響を受けることで、前記結晶膜における平均的な欠陥密度(或いは内部歪み)よりも大きな欠陥密度(内部歪み)を有する高欠陥領域(高歪み領域)を有し、
前記高欠陥領域は、複数の前記種結晶基板のうち、少なくとも周縁部以外の部分を構成する基板の主面が正六角形の平面形状を有することでハニカムパターンを構成しており、前記ハニカムパターンは、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する結晶成長用基板が提供される。
(付記16)
好ましくは、付記15に記載の基板であって、
100mm以上の外径を有し、自立可能に構成されている。
(付記17)
好ましくは、付記15又は16に記載の基板であって、
前記種結晶基板の裏面の周縁部、より好ましくは中央部に、接着剤或いは保持板の残留成分が付着した痕跡を有する。
(付記18)
本発明のさらに他の態様によれば、
III族窒化物結晶からなる窒化物結晶基板であって、
円板状に構成されており、
前記窒化物結晶基板は、前記窒化物結晶基板における平均的な欠陥密度(或いは内部歪み)よりも大きな欠陥密度(内部歪み)を有する高欠陥領域(高歪み領域)を有し、
前記高欠陥領域は、平面形状が正六角形である輪郭形状を組み合わせたハニカムパターンを構成しており、
前記ハニカムパターンは、前記窒化物結晶基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記窒化物結晶基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する窒化物結晶基板が提供される。
好ましくは、
付記1〜17のいずれかに記載の結晶成長用基板上に成長させたIII族窒化物結晶からなる窒化物結晶基板であって、
前記窒化物結晶基板は円板状に構成されており、
前記窒化物結晶基板は、前記種結晶基板の接合部の影響を受けることで、前記窒化物結晶基板における平均的な欠陥密度(或いは内部歪み)よりも大きな欠陥密度(内部歪み)を有する高欠陥領域(高歪み領域)を有し、
前記高欠陥領域は、複数の前記種結晶基板のうち少なくとも周縁部以外の部分を構成する基板の主面が正六角形の平面形状を有することでハニカムパターンを構成しており、
前記ハニカムパターンは、前記窒化物結晶基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記窒化物結晶基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する窒化物結晶基板が提供される。
(付記19)
本発明のさらに他の態様によれば、
III族窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、それらの主面が互いに平行となり、隣接する側面同士が当接するように円板状に配置する工程を経ることで、結晶の気相成長に用いる結晶成長用基板を作製する工程(ステップ1〜4)と、
加熱された前記結晶成長用基板上に原料および窒化剤を供給して結晶膜を成長させる本格成長工程(ステップ5)と、を有し、
前記結晶成長用基板を作製する工程では、
複数の前記種結晶基板のうち少なくとも前記結晶成長用基板の周縁部以外の部分を構成する基板として、主面の平面形状が正六角形である基板を用い、
前記種結晶基板を組み合わせたハニカムパターンを、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する形状とする窒化物結晶基板の製造方法が提供される。
(付記20)
好ましくは、付記19に記載の方法であって、
前記結晶成長用基板を作製する工程は、
前記複数の種結晶基板が接着剤を介して保持板上に接着されてなる組み立て基板を用意する工程(ステップ1,2)と、
前記保持板上に接着された前記種結晶基板上に原料および窒化剤を供給して結晶膜を成長させ、隣接する種結晶基板を前記結晶膜により接合する接合工程(ステップ3)と、
隣接する前記種結晶基板が前記結晶膜により接合されてなる前記結晶成長用基板を自立させる工程(ステップ4)と、を有し、
前記結晶成長用基板を自立させる工程では、前記保持板のうちその表層を剥離させることで、前記結晶成長用基板と前記保持板とを分離させる。
(付記21)
好ましくは、付記20に記載の方法であって、
前記保持板として、前記種結晶基板の線膨張係数と同等或いはそれより小さい線膨張係数を有する材料を用いる。また、好ましくは、前記保持板として、パイロリティックグラファイト及びパイロリティックボロンナイトライドのうちいずれか、または、等方性黒鉛、Si、石英およびSiCのいずれかからなる平板の表面をパイロリティックグラファイト又はパイロリティックボロンナイトライドにより被覆した複合材料を用いる。
(付記22)
好ましくは、付記20又は21に記載の方法であって、
前記組み立て基板を用意する工程は、前記複数の種結晶基板を、前記接着剤を介して前記保持板上に配置し、前記接着剤を乾燥させて固化させる工程を有し、
前記接合工程では、前記接着剤が固化した状態の前記組み立て基板を気相成長装置内へ投入し、結晶成長を行う。
(付記23)
好ましくは、付記22に記載の方法であって、
前記接着剤として、前記種結晶基板上に成長させる結晶の成長温度よりも低い温度にて固化し、かつ、前記結晶の成長温度および成長雰囲気に耐える材料を用いる。また好ましくは、前記接着剤として、前記種結晶基板の線膨張係数と同等の線膨張係数を有する材料を用いる。また好ましくは、前記接着剤として、耐熱性セラミックスと無機ポリマとを主成分とする材料であって、例えばジルコニア又はシリカのうち少なくともいずれかを主成分とする材料を用いる。
(付記24)
好ましくは、付記22又は23に記載の方法であって、
前記接着剤を、前記種結晶基板の裏面のうち周縁部を除く領域、より好ましくは中央部にのみ塗布する。
また好ましくは、前記接着剤の量を、前記結晶膜を成長させる際には、前記保持板上への前記種結晶基板の固定および位置ずれをそれぞれ防止することが可能な量であって、かつ、前記結晶成長用基板の線膨張係数と前記保持板の線膨張係数との差に起因して降温時の前記結晶成長用基板に対して応力が加わった際には、固化した状態の前記接着剤が破断或いは剥離するような量とする。
(付記25)
好ましくは、付記20〜22のいずれかに記載の方法であって、
前記組み立て基板を用意する工程では、
前記種結晶基板が材料取りされる材料基板に対し、前記種結晶基板の主面とは反対側の裏面側からレーザ光を照射することで、前記材料基板の前記裏面側にスクライブ溝を形成する工程と、
前記スクライブ溝に沿って前記材料基板を劈開させて前記種結晶基板を取得する工程と、を実施する。
(付記26)
好ましくは、付記25に記載の方法であって
M面以外の面で劈開させる場合、前記スクライブ溝の深さを、前記材料基板の厚さTの60%以上90%以下の範囲内の深さとする。また好ましくは、M面で劈開させる場合、前記スクライブ溝の深さを、前記材料基板の厚さTの20%以上60%以下の範囲内の深さとする。
(付記27)
好ましくは付記19〜26のいずれかに記載の方法であって、
前記本格成長工程では、自立状態となった前記結晶用基板をサセプタ上に直接載置して加熱する。
(付記28)
好ましくは、付記20〜27のいずれかに記載の方法であって、
前記接合工程では、前記種結晶基板の沿面方向に向けた結晶成長が、前記本格成長工程における前記種結晶基板の沿面方向に向けた結晶成長よりも活発となり、
前記本格成長工程では、前記種結晶基板の主面方向に向けた結晶成長が、前記接合工程における前記種結晶基板の主面方向に向けた結晶成長よりも活発となるように、前記接合工程と前記本格成長工程とで処理条件を異ならせる。
(付記29)
好ましくは、付記28に記載の方法であって、
前記本格成長工程でのNガスの分圧のHガスの分圧に対する比率を、前記接合工程でのNガスの分圧のHガスの分圧に対する比率よりも小さくする。
(付記30)
好ましくは、付記28または29に記載の方法であって、
前記本格成長工程における成膜温度を、前記接合工程における成膜温度よりも低くする。
(付記31)
好ましくは、付記28〜31のいずれかに記載の方法であって、
前記本格成長工程における窒化剤の供給流量の原料ガスの供給流量に対する比率を、前記接合工程における窒化剤の供給流量の原料ガスの供給流量に対する比率よりも大きくする。
10 種結晶基板
20 結晶成長用基板
30 GaN基板(窒化物結晶基板)

Claims (18)

  1. 結晶の気相成長に用いられる結晶成長用基板であって、
    III族窒化物結晶からなる複数の種結晶基板が、それらの主面が互いに平行となり、隣接する側面同士が当接するように円板状に配置されてなり、
    前記種結晶基板は、前記種結晶基板よりも大きな外径を有する材料基板が加工されてなり、
    前記種結晶基板は、前記材料基板の裏面にスクライブ溝を形成する際に生じた融解面或いは切削面と、前記スクライブ溝に沿って前記材料基板を劈開させた際に前記融解面或いは前記切削面よりも前記種結晶基板の主面に近い側に生じた劈開面と、を有する側面を有し、
    複数の前記種結晶基板のうち、少なくとも前記結晶成長用基板の周縁部以外の部分を構成する基板は、平面形状が正六角形である主面を有し、
    隣接する前記種結晶基板は、それらの側面のうち少なくとも前記劈開面が互いに当接するように配置され、
    前記種結晶基板を組み合わせたハニカムパターンは、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する結晶成長用基板。
  2. 前記ハニカムパターンは、前記軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、3回以上の対称性を有する請求項1に記載の結晶成長用基板。
  3. 前記種結晶基板の側面のうち、隣接する種結晶基板の側面と当接する全ての面がM面を除く面であり、かつ、互いに同一方位の面である請求項1又は2に記載の結晶成長用基板。
  4. 前記種結晶基板の側面のうち、隣接する種結晶基板の側面と当接する全ての面がa面である請求項3に記載の結晶成長用基板。
  5. 前記種結晶基板が、接着剤を介して保持板上に固定されており、
    前記保持板の表層が、前記種結晶基板と前記保持板とを分離させる際に犠牲層として剥離するよう構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶成長用基板。
  6. 前記保持板が、パイロリティックグラファイト、または、等方性黒鉛、Si、石英およびSiCのいずれかからなる平板の表面をパイロリティックグラファイトにより被覆した複合材料からなる請求項5に記載の結晶成長用基板。
  7. 前記保持板の線膨張係数が、前記種結晶基板の線膨張係数と同等或いはそれより小さい請求項5又は6に記載の結晶成長用基板。
  8. 前記接着剤が、前記種結晶基板上に成長させる結晶の成長温度よりも低い温度にて固化し、かつ、前記結晶の成長温度および成長雰囲気に耐える材料からなる請求項5〜7のいずれか1項に記載の結晶成長用基板。
  9. 前記接着剤の線膨張係数が、前記種結晶基板の線膨張係数と同等である請求項5〜8のいずれか1項に記載の結晶成長用基板。
  10. 前記接着剤が、耐熱性セラミックスと無機ポリマとを主成分とする材料からなる請求項5〜9のいずれか1項に記載の結晶成長用基板。
  11. 前記接着剤が、前記種結晶基板の裏面のうち周縁部を除く領域にのみ塗布されている請求項5〜10のいずれか1項に記載の結晶成長用基板。
  12. 前記接着剤の量が、前記結晶成長用基板上に結晶を成長させる際には、前記保持板上への前記種結晶基板の固定および位置ずれをそれぞれ防止することが可能な量であって、かつ、前記結晶成長用基板上への結晶成長後、前記結晶成長用基板の線膨張係数と前記保持板の線膨張係数との差に起因して降温時の前記結晶成長用基板に対して応力が加わった際には、固化した状態の前記接着剤が破断或いは剥離するような量である請求項5〜11のいずれか1項に記載の結晶成長用基板。
  13. 前記保持板の主面に、前記種結晶基板を前記保持板の主面上に接着する際に余分な前記接着剤を逃がす凹溝が設けられている請求項5〜12のいずれか1項に記載の結晶成長用基板。
  14. 結晶の気相成長に用いられる結晶成長用基板であって、
    主面が互いに平行となり、隣接する側面同士が当接するように円板状に配置されたIII族窒化物結晶からなる複数の種結晶基板と、
    前記種結晶基板上に成長させた結晶膜と、を有し、
    前記種結晶基板は、前記種結晶基板よりも大きな外径を有する材料基板が加工されてなり、
    前記種結晶基板の側面は、前記材料基板の裏面にスクライブ溝を形成する際に生じた融解面或いは切削面と、前記スクライブ溝に沿って前記材料基板を劈開させた際に前記融解面或いは前記切削面よりも前記種結晶基板の主面に近い側に生じた劈開面と、を有し、
    隣接する前記種結晶基板は、それらの側面のうち少なくとも前記劈開面が互いに当接するように配置されており、
    前記結晶膜は、前記種結晶基板の接合部の影響を受けることで、前記結晶膜における平均的な欠陥密度よりも大きな欠陥密度を有する高欠陥領域を有し、
    前記高欠陥領域は、平面形状が正六角形である輪郭形状を組み合わせたハニカムパターンを構成しており、
    前記ハニカムパターンは、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する結晶成長用基板。
  15. 100mm以上の外径を有し、自立可能に構成されている請求項14に記載の結晶成長用基板。
  16. 前記種結晶基板の裏面に、接着剤或いは保持板の残留成分が付着した痕跡を有する請求項14又は15に記載の結晶成長用基板。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の前記結晶成長用基板上に成長させたIII族窒化物結晶からなる窒化物結晶基板であって、
    円板状に構成されており、
    前記窒化物結晶基板は、前記種結晶基板の接合部の影響を受けることで、前記窒化物結晶基板における平均的な欠陥密度よりも大きな欠陥密度を有する高欠陥領域を有し、
    前記高欠陥領域は、平面形状が正六角形である輪郭形状を組み合わせたハニカムパターンを構成しており、
    前記ハニカムパターンは、前記窒化物結晶基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記窒化物結晶基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する窒化物結晶基板。
  18. III族窒化物結晶からなる複数の種結晶基板を、それらの主面が互いに平行となり、隣接する側面同士が当接するように円板状に配置する工程を経ることで、結晶の気相成長に用いる結晶成長用基板を作製する工程と、
    加熱された前記結晶成長用基板上に原料および窒化剤を供給して結晶膜を成長させる本格成長工程と、を有し、
    前記結晶成長用基板を作製する工程では、
    前記種結晶基板よりも大きな外径を有し、前記種結晶基板が材料取りされる材料基板に対し、前記種結晶基板の主面とは反対側の裏面側からレーザ光を照射することで、前記材料基板の前記裏面側にスクライブ溝を形成し、前記スクライブ溝に沿って前記材料基板を劈開させて、前記スクライブ溝を形成する際に生じた融解面と、前記スクライブ溝に沿って前記材料基板を劈開させた際に前記融解面よりも前記種結晶基板の主面に近い側に生じた劈開面と、を有する側面を備える前記種結晶基板を取得し、
    複数の前記種結晶基板のうち少なくとも周縁部以外の部分を構成する基板として、主面の平面形状が正六角形である基板を用い、
    隣接する前記種結晶基板を、それらの側面のうち少なくとも前記劈開面が互いに当接するように配置し、
    前記種結晶基板を組み合わせたハニカムパターンを、前記結晶成長用基板の主面の中心を通り前記主面に直交する軸を中心軸として前記結晶成長用基板を一回転させたとき、2回以上の対称性を有する形状とする窒化物結晶基板の製造方法。
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