JP6860379B2 - 塗布装置および塗布方法 - Google Patents

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Description

この発明は、基板をステージから浮上させた状態で水平方向に搬送しながらその上面に塗布液を塗布する塗布装置および塗布方法に関するものである。なお、上記基板には、半導体基板、フォトマスク用基板、液晶表示用基板、有機EL表示用基板、プラズマ表示用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品等の製造工程では、基板の上面に塗布液を吐出して基板の上面に塗布する塗布装置が用いられている。例えば特許文献1に記載の塗布装置は、基板の下面に気体を吹き付けて基板をステージから浮上させた状態で当該基板を搬送しながらポンプによって塗布液をスリットノズルに送液してスリットノズルの吐出口から基板の表面に吐出して基板のほぼ全体に塗布液を塗布する。
特許第5346643号
この特許文献1に記載の装置では、塗布処理はスリットノズルの下方に配置された塗布ステージにより基板を浮上させて行う。そして、塗布液が塗布されて塗布膜が形成された基板については浮上させたまま塗布ステージの下流側に配置された出口浮上ステージに搬送される。このように塗布液を担持する基板は塗布ステージおよび出口浮上ステージにより浮上されながら搬送される。
塗布ステージおよび出口浮上ステージでは、圧縮空気が基板の下面に噴出されることで基板を浮上させており、基板の下面と塗布ステージとに挟まれた領域に圧縮空気の雰囲気(以下「塗布雰囲気」という)が形成されるとともに、基板の下面と出口浮上ステージとに挟まれた領域にも圧縮空気の雰囲気(以下「出口雰囲気」という)が形成される。一方、基板の搬送方向において塗布ステージおよび出口浮上ステージを相互に密着させることは難しく、1mm程度の隙間が発生している。このため、上記した塗布雰囲気と出口雰囲気との間に、両者の境界となる別の雰囲気(以下「境界雰囲気」という)が発生する。
従来装置では、境界雰囲気に対して特段の配慮がなされておらず、塗布雰囲気と境界雰囲気との間、および境界雰囲気と出口雰囲気との間で温度差が生じることがあった。その結果、基板上の塗布膜に対して温度起因の塗布ムラが発生することがあった。特に、塗布膜を有する基板の下面の一部が上記隙間の上方に位置した状態で基板の搬送が一時的に停止されると、その停止中に境界雰囲気に接触する部位の基板の温度がその他の部位と異なり、当該部位での塗布ムラが顕著なものとなる。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、塗布ステージの上方から塗布液を基板の上面に向けて吐出して塗布した後に当該基板を出口ステージに搬送する際に、塗布ムラが発生するのを抑制して高品質な塗布処理を行うことが可能な塗布技術を提供することを目的とする。
この発明の第1の態様は、塗布装置であって、基板を保持して搬送する搬送部と、搬送される基板の上面に塗布液を吐出して塗布するノズルと、ノズルの下方位置に配置され、搬送される基板の下面に向けて第1気体を噴出することで基板を水平姿勢で浮上させる塗布ステージと、基板が搬送される搬送方向において塗布ステージの下流側で塗布ステージから離間して配置され、塗布ステージから搬送される基板の下面に向けて第2気体を噴出することで基板を水平姿勢で浮上させる出口ステージと、塗布ステージおよび出口ステージで挟まれた隙間領域と、隙間領域の上方を通過して搬送される基板の下面とで挟まれる雰囲気の温度を第1気体および第2気体の温度に近づけるように制御する温度制御機構とを備えることを特徴としている。
この発明の第2の態様は、塗布装置であって、基板を保持して搬送する搬送部と、搬送される基板の上面に塗布液を吐出して塗布するノズルと、ノズルの下方位置に配置され、搬送される基板の下面に向けて第1気体を噴出することで基板を水平姿勢で浮上させる塗布ステージと、基板が搬送される搬送方向において塗布ステージの下流側で塗布ステージから離間して配置され、塗布ステージから搬送される基板の下面に向けて第2気体を噴出することで基板を水平姿勢で浮上させる出口ステージと、塗布ステージおよび出口ステージで挟まれた隙間領域と、隙間領域の上方を通過して搬送される基板の下面とで挟まれる雰囲気の温度を第1気体および第2気体の温度に近づけるように制御する温度制御機構とを備え、温度制御機構は、隙間領域に設けられて第1気体および第2気体の雰囲気から隙間領域への流出を阻止するシール部材を有することを特徴としている。
また、この発明の第3の態様は、基板の下面に向けて第1気体を噴出することで基板を水平姿勢で浮上させる塗布ステージと、塗布ステージから離間した位置で基板の下面に向けて第2気体を噴出することで基板を水平姿勢で浮上させる出口ステージとの順に基板を搬送しながら塗布ステージの上方から塗布液を基板の上面に向けて吐出して塗布する塗布方法であって、塗布液が塗布された基板が塗布ステージおよび出口ステージで挟まれた隙間領域の上方に位置する際に、隙間領域の上方を通過して搬送される基板の下面と隙間領域とで挟まれる雰囲気の温度を第1気体および第2気体の温度に近づけるように制御することを特徴としている。
このように構成された発明では、塗布ステージから第1気体が噴出されて基板の下面との間に第1気体の雰囲気、つまり塗布雰囲気が形成されるとともに、出口ステージから第2気体が噴出されて基板の下面との間に第2気体の雰囲気、つまり出口雰囲気が形成される。また、塗布ステージと出口ステージとが離間して配置されていることから両者の間に隙間領域が形成され、上記隙間領域と基板の下面とで挟まれた雰囲気が形成される。この雰囲気は塗布雰囲気および出口雰囲気の間で両者の境界となる境界雰囲気であり、境界雰囲気の温度が第1気体および第2気体の温度と相違して大きな温度差が発生すると、基板に塗布された塗布液の品質に対して上記温度差が悪影響を与える。しかしながら、本発明では、境界雰囲気の温度が第1気体および第2気体の温度に近づけられるため、温度差に起因する塗布ムラの発生が抑制される。
以上のように、塗布ステージおよび出口ステージで挟まれた隙間領域と、隙間領域の上方を通過して搬送される基板の下面とで挟まれる境界雰囲気の温度を第1気体および第2気体の温度に近づけるように制御しているため、塗布ムラを抑えて塗布処理を良好に行うことができる。
本発明にかかる塗布装置の第1実施形態の全体構成を模式的に示す図である。 塗布装置を鉛直上方から見た平面図である。 図2から塗布機構を取り外した平面図である。 図2のA−A線断面図である。 浮上ステージ部および浮上制御機構の構成を示す図である。 塗布処理中における装置の各部の位置関係を模式的に示す図である。 本発明にかかる塗布装置の第2実施形態を示す図である。 本発明にかかる塗布装置の第3実施形態を示す図である。 本発明にかかる塗布装置の第4実施形態を示す図である。
図1は本発明にかかる塗布装置の第1実施形態の全体構成を模式的に示す図である。この塗布装置1は、図1の左手側から右手側に向けて水平姿勢で搬送される基板Wの上面Wfに塗布液を塗布するスリットコータである。なお、以下の各図において装置各部の配置関係を明確にするために、基板Wの搬送方向を「X方向」とし、図1の左手側から右手側に向かう水平方向を「+X方向」と称し、逆方向を「−X方向」と称する。また、X方向と直交する水平方向Yのうち、装置の正面側を「−Y方向」と称するとともに、装置の背面側を「+Y方向」と称する。さらに、鉛直方向Zにおける上方向および下方向をそれぞれ「+Z方向」および「−Z方向」と称する。
まず図1を用いてこの塗布装置1の構成および動作の概要を説明し、その後で各部のより詳細な構造について説明する。なお、塗布装置1の基本的な構成や動作原理は、本願出願人が先に開示した特許第5346643号(特許文献1)に記載されたものと共通している。そこで、本明細書では、塗布装置1の各構成のうちこれらの公知文献に記載のものと同様の構成を適用可能なもの、およびこれらの文献の記載から構造を容易に理解することのできるものについては詳しい説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を主に説明することとする。
塗布装置1では、基板Wの搬送方向Dt(+X方向)に沿って、入力コンベア100、入力移載部2、浮上ステージ部3、出力移載部4、出力コンベア110がこの順に近接して配置されており、以下に詳述するように、これらにより略水平方向に延びる基板Wの搬送経路が形成されている。なお、以下の説明において基板Wの搬送方向Dtと関連付けて位置関係を示すとき、「基板Wの搬送方向Dtにおける上流側」を単に「上流側」と、また「基板Wの搬送方向Dtにおける下流側」を単に「下流側」と略することがある。この例では、ある基準位置から見て相対的に(−X)側が「上流側」、(+X)側が「下流側」に相当する。
処理対象である基板Wは図1の左手側から入力コンベア100に搬入される。入力コンベア100は、コロコンベア101と、これを回転駆動する回転駆動機構102とを備えており、コロコンベア101の回転により基板Wは水平姿勢で下流側、つまり(+X)方向に搬送される。入力移載部2は、コロコンベア21と、これを回転駆動する機能および昇降させる機能を有する回転・昇降駆動機構22とを備えている。コロコンベア21が回転することで、基板Wはさらに(+X)方向に搬送される。また、コロコンベア21が昇降することで基板Wの鉛直方向位置が変更される。このように構成された入力移載部2により、基板Wは入力コンベア100から浮上ステージ部3に移載される。
浮上ステージ部3は、基板の搬送方向Dtに沿って3分割された平板状のステージを備える。すなわち、浮上ステージ部3は入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33を備えており、これらの各ステージの上面は互いに同一平面の一部をなしている。入口浮上ステージ31および出口浮上ステージ33のそれぞれの上面には浮上制御機構35から供給される圧縮空気を噴出する噴出孔がマトリクス状に多数設けられており、噴出される気流から付与される浮力により基板Wが浮上する。こうして基板Wの下面Wbがステージ上面から離間した状態で水平姿勢に支持される。基板Wの下面Wbとステージ上面との距離、つまり浮上量は、例えば10マイクロメートルないし500マイクロメートルとすることができる。
一方、塗布ステージ32の上面では、圧縮空気を噴出する噴出孔と、基板Wの下面Wbとステージ上面との間の空気を吸引する吸引孔とが交互に配置されている。浮上制御機構35が噴出孔からの圧縮空気の噴出量と吸引孔からの吸引量とを制御することにより、基板Wの下面Wbと塗布ステージ32の上面との距離が精密に制御される。これにより、塗布ステージ32の上方を通過する基板Wの上面Wfの鉛直方向位置が規定値に制御される。浮上ステージ部3の具体的構成としては、例えば特許第5346643号(特許文献1)に記載のものを適用可能である。
塗布ステージ32に対して出口浮上ステージ33が図1に示すように搬送方向(+X)に離間して並設され、両者の間には隙間領域CLが生じている。この隙間領域CLの鉛直下方に気体供給管6が配置され、浮上制御機構35からの圧縮空気の供給を受けて隙間領域CLに圧縮空気を噴出する。これによって、塗布ムラの発生を抑制している。この点については、浮上制御機構35の構成説明と併せて後で詳述する。
なお、入口浮上ステージ31には、図には現れていないリフトピンが配設されており、浮上ステージ部3にはこのリフトピンを昇降させるリフトピン駆動機構34が設けられている。
入力移載部2を介して浮上ステージ部3に搬入される基板Wは、コロコンベア21の回転により(+X)方向への推進力を付与されて、入口浮上ステージ31上に搬送される。入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33は基板Wを浮上状態に支持するが、基板Wを水平方向に移動させる機能を有していない。浮上ステージ部3における基板Wの搬送は、入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33の下方に配置された基板搬送部5により行われる。
基板搬送部5は、基板Wの下面周縁部に部分的に当接することで基板Wを下方から支持するチャック機構51と、チャック機構51上端の吸着部材(後の図3、図4、図6中の符号513)に設けられた吸着パッド(図示省略)に負圧を与えて基板Wを吸着保持させる機能およびチャック機構51をX方向に往復走行させる機能を有する吸着・走行制御機構52とを備えている。チャック機構51が基板Wを保持した状態では、基板Wの下面Wbは浮上ステージ部3の各ステージの上面よりも高い位置に位置している。したがって、基板Wは、チャック機構51により周縁部を吸着保持されつつ、浮上ステージ部3から付与される浮力により全体として水平姿勢を維持する。
入力移載部2から浮上ステージ部3に搬入された基板Wをチャック機構51が保持し、この状態でチャック機構51が(+X)方向に移動することで、基板Wが入口浮上ステージ31の上方から塗布ステージ32の上方を経由して出口浮上ステージ33の上方へ搬送される。搬送された基板Wは、出口浮上ステージ33の(+X)側に配置された出力移載部4に受け渡される。
出力移載部4は、コロコンベア41と、これを回転駆動する機能および昇降させる機能を有する回転・昇降駆動機構42とを備えている。コロコンベア41が回転することで、基板Wに(+X)方向への推進力が付与され、基板Wは搬送方向Dtに沿ってさらに搬送される。また、コロコンベア41が昇降することで基板Wの鉛直方向位置が変更される。そして、出力移載部4により、基板Wは出口浮上ステージ33の上方から出力コンベア110に移載される。
出力コンベア110は、コロコンベア111と、これを回転駆動する回転駆動機構112とを備えており、コロコンベア111の回転により基板Wはさらに(+X)方向に搬送され、最終的に塗布装置1外へと払い出される。なお、入力コンベア100および出力コンベア110は塗布装置1の構成の一部として設けられてもよいが、塗布装置1とは別体のものであってもよい。また例えば、塗布装置1の上流側に設けられる別ユニットの基板払い出し機構が入力コンベア100として用いられてもよい。また、塗布装置1の下流側に設けられる別ユニットの基板受け入れ機構が出力コンベア110として用いられてもよい。
このようにして搬送される基板Wの搬送経路上に、基板Wの上面Wfに塗布液を塗布するための塗布機構7が配置される。塗布機構7は、スリットノズルであるノズル71と、ノズル71に対しメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット75とを備えている。ノズル71には、図示しない塗布液供給部から塗布液が供給され、ノズル下部に下向きに開口する吐出口から塗布液が吐出される。
ノズル71は、位置決め機構73によりX方向およびZ方向に移動位置決め可能となっている。位置決め機構73により、ノズル71が塗布ステージ32の上方の塗布位置(点線で示される位置)に位置決めされる。塗布位置に位置決めされたノズルから塗布液が吐出されて、塗布ステージ32との間を搬送されてくる基板Wに塗布される。こうして基板Wへの塗布液の塗布が行われる。
メンテナンスユニット75は、ノズル71を洗浄するための洗浄液を貯留するバット751と、予備吐出ローラ752と、ノズルクリーナ753と、予備吐出ローラ752およびノズルクリーナ753の動作を制御するメンテナンス制御機構754とを備えている。メンテナンスユニット75の具体的構成としては、例えば特開2010−240550号公報に記載された構成を適用することが可能である。
ノズル71が予備吐出ローラ752の上方で吐出口が予備吐出ローラ752の上面に対向する位置(予備吐出位置)では、ノズル71の吐出口から予備吐出ローラ752の上面に対して塗布液が吐出される。ノズル71は、塗布位置へ位置決めされるのに先立って予備吐出位置に位置決めされ、吐出口から所定量の塗布液を吐出して予備吐出処理を実行する。このように塗布位置へ移動させる前のノズル71に予備吐出処理を行わせることにより、塗布位置での塗布液の吐出をその初期段階から安定させることができる。
メンテナンス制御機構754が予備吐出ローラ752を回転させることで、吐出された塗布液はバット751に貯留された洗浄液に混合されて回収される。また、ノズル71がノズルクリーナ753の上方位置(第1洗浄位置)にある状態では、ノズルクリーナ753が洗浄液を吐出しながらY方向に移動することにより、ノズル71の吐出口およびその周囲に付着した塗布液が洗い流される。
また、位置決め機構73は、ノズル71を第1洗浄位置よりも下方でノズル下端がバット751内に収容される位置(待機位置)に位置決めすることが可能である。ノズル71を用いた塗布処理が実行されないときには、ノズル71はこの待機位置に位置決めされる。なお、図示を省略しているが、待機位置に位置決めされたノズル71に対し吐出口における塗布液の乾燥を防止するための待機ポッドが配置されてもよい。
この他、塗布装置1には、装置各部の動作を制御するための制御ユニット9が設けられている。制御ユニット9は所定の制御プログラムや各種データを記憶する記憶手段、この制御プログラムを実行することで装置各部に所定の動作を実行させるCPUなどの演算手段、ユーザーや外部装置との情報交換を担うインターフェース手段などを備えている。
図2は塗布装置を鉛直上方から見た平面図である。また、図3は図2から塗布機構を取り外した平面図である。また、図4は図2のA−A線断面図である。以下、これらの図を参照しながら塗布装置1の具体的な機械的構成を説明する。幾つかの機構については特許第5346643号(特許文献1)の記載を参照することでより詳細な構造を理解することが可能である。なお、図2および図3においては入力コンベア100等が有するコロの記載が省略されている。
塗布機構7のノズルユニット70は、図2および図4に示すように架橋構造を有している。具体的には、ノズルユニット70は、浮上ステージ部3の上方でY方向に延びる梁部材731のY方向両端部を、基台10から上方に立設された1対の柱部材732,733で支持した構造を有している。柱部材732には例えばボールねじ機構により構成された昇降機構734が取り付けられており、昇降機構734により梁部材731の(+Y)側端部が昇降自在に支持されている。また、柱部材733には例えばボールねじ機構により構成された昇降機構735が取り付けられており、昇降機構735により梁部材731の(−Y)側端部が昇降自在に支持されている。制御ユニット9からの制御指令に応じて昇降機構734,735が連動することにより、梁部材731が水平姿勢のまま鉛直方向(Z方向)に移動する。
梁部材731の中央下部には、ノズル71が吐出口711を下向きにして取り付けられている。したがって、昇降機構734,735が作動することで、ノズル71のZ方向への移動が実現される。
柱部材732,733は基台10上においてX方向に移動可能に構成されている。具体的には、基台10の(+Y)側および(−Y)側端部上面のそれぞれに、X方向に延設された1対の走行ガイド81L,81Rが取り付けられており、柱部材732はその下部に取り付けられたスライダ736を介して(+Y)側の走行ガイド81Lに係合される。スライダ736は走行ガイド81Lに沿ってX方向に移動自在となっている。同様に、柱部材733はその下部に取り付けられたスライダ737を介して(−Y)側の走行ガイド81Rに係合され、X方向に移動自在となっている。
また、柱部材732,733はリニアモータ82L,82RによりX方向に移動される。具体的には、リニアモータ82L,82Rのマグネットモジュールが固定子として基台10にX方向に沿って延設され、コイルモジュールが移動子として柱部材732,733それぞれの下部に取り付けられている。制御ユニット9からの制御指令に応じてリニアモータ82L,82Rが作動することで、ノズルユニット70全体がX方向に沿って移動する。これにより、ノズル71のX方向への移動が実現される。柱部材732,733のX方向位置については、スライダ736,737の近傍に設けられたリニアスケール83L,83Rにより検出可能である。
このように、昇降機構734,735が動作することによりノズル71がZ方向に移動し、リニアモータ82L,82Rが動作することによりノズル71がX方向に移動する。すなわち、制御ユニット9がこれらの機構を制御することにより、ノズル71の各停止位置(塗布位置、予備吐出位置等)への位置決めが実現される。したがって、昇降機構734,735、リニアモータ82L,82Rおよびこれらを制御する制御ユニット9等が一体として、図1の位置決め機構73として機能している。
メンテナンスユニット75は、バット751に予備吐出ローラ752およびノズルクリーナ753が収容された構造を有している。また、図示を省略しているが、メンテナンスユニット75には予備吐出ローラ752およびノズルクリーナ753を駆動するためのメンテナンス制御機構754が設けられている。バット751はY方向に延設された梁部材761により支持され、梁部材761の両端部が1対の柱部材762,763により支持されている。1対の柱部材762,763はY方向に延びるプレート764のY方向両端部に取り付けられている。
プレート764のY方向両端部の下方には、基台10上に1対の走行ガイド84L,84RがX方向に延設されている。プレート764のY方向両端部は、スライダ766,767を介して走行ガイド84L,84Rに係合されている。このため、メンテナンスユニット75が走行ガイド84L,84Rに沿ってX方向に移動可能となっている。プレート764の(−Y)方向端部の下方には、リニアモータ85が設けられている。リニアモータ85はプレート764の(+Y)方向端部の下方に設けられてもよく、Y方向両端部の下方にそれぞれ設けられてもよい。
リニアモータ85では、マグネットモジュールが固定子として基台10にX方向に沿って延設され、コイルモジュールが移動子としてメンテナンスユニット75に取り付けられている。制御ユニット9からの制御指令に応じてリニアモータ85が作動することで、メンテナンスユニット75全体がX方向に沿って移動する。メンテナンスユニット75のX方向位置については、スライダ766,767の近傍に設けられたリニアスケール86により検出可能である。
次にチャック機構51の構造について図3および図4を参照して説明する。チャック機構51は、XZ平面に関して互いに対称な形状を有しY方向に離隔配置された1対のチャック51L,51Rを備える。これらのうち(+Y)側に配置されたチャック51Lは、基台10にX方向に延設された走行ガイド87LによりX方向に走行可能に支持されている。具体的には、チャック51Lは、X方向に位置を異ならせて設けられた2つの水平なプレート部位と、これらのプレート部位を接続する接続部位とを有するベース部512を備えている。ベース部512の2つのプレート部位の下部にはそれぞれスライダ511が設けられ、スライダ511が走行ガイド87Lに係合されることで、ベース部512は走行ガイド87Lに沿ってX方向に走行可能になっている。
ベース部512の2つのプレート部位の上部には、上方に延びてその上端部に図示を省略する吸着パッドが設けられた吸着部材513,513が設けられている。ベース部512が走行ガイド87Lに沿ってX方向に移動すると、これと一体的に2つの吸着部材513,513がX方向に移動する。なお、ベース部512の2つのプレート部位は互いに分離され、これらのプレート部位がX方向に一定の距離を保ちながら移動することで見かけ上一体のベース部として機能する構造であってもよい。この距離を基板の長さに応じて設定すれば、種々の長さの基板に対応することが可能となる。
チャック51Lは、リニアモータ88LによりX方向に移動可能となっている。すなわち、リニアモータ88Lのマグネットモジュールが固定子として基台10にX方向に延設され、コイルモジュールが移動子としてチャック51Lの下部に取り付けられている。制御ユニット9からの制御指令に応じてリニアモータ88Lが作動することで、チャック51LがX方向に沿って移動する。チャック51LのX方向位置についてはリニアスケール89Lにより検出可能である。
(−Y)側に設けられたチャック51Rも同様に、2つのプレート部位および接続部位を有するベース部512と、吸着部材513,513とを備えている。ただし、その形状は、XZ平面に関してチャック51Lとは対称なものとなっている。各プレート部位はそれぞれスライダ511により走行ガイド87Rに係合される。また、チャック51Rは、リニアモータ88RによりX方向に移動可能となっている。すなわち、リニアモータ88Rのマグネットモジュールが固定子として基台10にX方向に延設され、コイルモジュールが移動子としてチャック51Rの下部に取り付けられている。制御ユニット9からの制御指令に応じてリニアモータ88Rが作動することで、チャック51RがX方向に沿って移動する。チャック51RのX方向位置についてはリニアスケール89Rにより検出可能である。
制御ユニット9は、チャック51L,51RがX方向において常に同一位置となるように、これらの位置制御を行う。これにより、1対のチャック51L,51Rが見かけ上一体のチャック機構51として移動することになる。チャック51L,51Rを機械的に結合する場合に比べ、チャック機構51と浮上ステージ部3との干渉を容易に回避することが可能となる。
図3に示すように、4つの吸着部材513はそれぞれ、保持される基板Wの四隅に対応して配置される。すなわち、チャック51Lの2つの吸着部材513,513は、基板Wの(+Y)側周縁部であって搬送方向Dtにおける上流側端部と下流側端部とをそれぞれ保持する。一方、チャック51Rの2つの吸着部材513,513は、基板Wの(−Y)側周縁部であって搬送方向Dtにおける上流側端部と下流側端部とをそれぞれ保持する。各吸着部材513の吸着パッドには必要に応じて負圧が供給され、これにより基板Wの四隅がチャック機構51により下方から吸着保持される。
チャック機構51が基板Wを保持しながらX方向に移動することで基板Wが搬送される。このように、リニアモータ88L,88R、各吸着部材513に負圧を供給するための機構(図示せず)、これらを制御する制御ユニット9等が一体として、図1の吸着・走行制御機構52として機能している。
図1および図4に示すように、チャック機構51は、浮上ステージ部3の各ステージ、すなわち入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33の上面よりも上方に基板Wの下面Wbを保持した状態で基板Wを搬送する。チャック機構51は、基板Wのうち各ステージ31,32,33と対向する中央部分よりもY方向において外側の周縁部の一部を保持するのみであるため、基板Wの中央部は周縁部に対し下方に撓むことになる。浮上ステージ部3は、このような基板Wの中央部に浮力を与えることで基板Wの鉛直方向位置を制御して水平姿勢に維持する機能を有する。
浮上ステージ部3の各ステージのうち出口浮上ステージ33については、その上面位置がチャック機構51の上面位置よりも低くなる下部位置と、上面位置がチャック機構51の上面位置よりも高くなる上部位置との間で昇降可能となっている。この目的のために、出口浮上ステージ33は昇降駆動機構36によって支持されている。
次に、浮上制御機構35の構成について図5を参照しつつ説明する。図5は浮上ステージ部および浮上制御機構の構成を示す図であり、同図では浮上ステージ部3については塗布ステージ32の全部と、入口浮上ステージ31および出口浮上ステージ33の一部分とを模式的に示している。
浮上制御機構35はコンプレッサなどの圧縮部351と温調部352とを備え、圧縮部351により圧縮された空気を温調部352で所定の温度に調整して浮上用の圧縮空気を生成する。この圧縮空気を流通させる配管353は4つに分岐され、それぞれ圧力制御部354を介して入口浮上ステージ31、塗布ステージ32、出口浮上ステージ33および気体供給管6に接続されている。4つの圧力制御部354はいずれも同一構成を有しており、制御ユニット9からの指令に応じた圧縮空気の圧力制御と圧縮空気の供給および停止の切替とを行う。
各圧力制御部354は、フィルタ354a、ニードル弁354b、流量計354c、圧力計354dおよびエアオペレーションバルブ354eを有している。例えば出口浮上ステージ33に対応して設けられた圧力制御部354では、制御ユニット9からの指令にしたがってエアオペレーションバルブ354eが開成されると、フィルタ354aを通って清浄化された圧縮空気がニードル弁354bにより圧力調節された後で流量計354c、圧力計354d、エアオペレーションバルブ354eを通過して出口浮上ステージ33に設けられた噴出孔331に圧送される。これによって、噴出孔331から温調された圧縮空気が噴出し、その気体圧力によって基板Wを浮上させる。このとき、基板Wの下面Wbと出口浮上ステージ33との間に形成される出口雰囲気(後で説明する図6中の符号AM2)の温度はほぼ圧縮空気の温度となる。この点については、入口浮上ステージ31に対応して設けられた圧力制御部354においても同様である。
塗布ステージ32に対応して設けられた圧力制御部354も上記と同様に、エアオペレーションバルブ354eの開成に対応して圧縮空気が塗布ステージ32に向けて圧送される。この塗布ステージ32では、噴出孔312、331よりも狭いピッチで複数の孔がマトリックス状に分散して設けられており、そのうちの半分が噴出孔321として上記圧縮空気の供給を受け、基板Wの下面Wbに向けて噴出する。このときの気体圧力によって基板Wを浮上させ、その際に基板Wの下面Wbと塗布ステージ32との間に形成される塗布雰囲気(後で説明する図6中の符号AM1)の温度はほぼ圧縮空気の温度となる。
また、上記塗布雰囲気での圧力を安定させるために、残りの半分は吸引孔322として吸引配管355により吸引部356と接続されている。この吸引部356は、吸引手段としてのブロワ356aと、圧力計356bと、リリーフ弁356cとを備え、ブロワ356aによって得られる吸引圧力よりも吸引配管355を介して接続される吸引孔322内の圧力が高い場合に、リリーフ弁356cから吸引孔322および吸引配管355を介して空気を外部に放出することで、塗布雰囲気内の圧力を一定に保つための微調整を行うことができる。
さらに、残りの圧力制御部354は気体供給管6に接続されている。この圧力制御部354では、制御ユニット9からの指令にしたがってエアオペレーションバルブ354eが開成されると、その他の圧力制御部354と同様に、清浄化された圧縮空気が気体供給管6に圧送される。この気体供給管6の頂部には、気体供給管6の長手方向(同図紙面に対して垂直な方向Y)に沿って複数の噴出口(後で説明する図6中の符号61参照)が列状に設けられており、各噴出口から隙間領域CLに向けて吐出され、境界雰囲気(後で説明する図6中の符号AM3)の温度を境界雰囲気に隣接する塗布雰囲気および出口雰囲気の温度に近づける。このように、本実施形態では、浮上制御機構35が基板Wを浮上させる機能以外に、本発明の「温度制御機構」の一部としても機能している。もちろん、気体供給管6に温調された圧縮空気を圧送するために、圧縮部351、温調部352、配管353および圧力制御部354を専用的に設け、これらと気体供給管6とにより本発明の「温度制御機構」を構成してもよい。
次に、このように構成された塗布装置1による塗布処理について図6を参照しつつ説明する。本実施形態では、記憶手段に予め記憶されている制御プログラムにしたがって演算手段が装置各部を以下のように制御することで境界雰囲気と塗布雰囲気および出口雰囲気との温度差を抑えながら基板Wに対する塗布処理を実行する。
本実施形態では、塗布処理に使用されるノズル71を予備吐出位置に移動させて予備吐出処理を実行する。また、浮上ステージ部3における圧縮空気の噴出を開始して搬入される基板Wを浮上させるとともに、気体供給管6からの圧縮空気の噴出を開始して上記した温度差の低減を図ることができるように準備する。予備吐出位置においてノズル71が所定量の塗布液を予備吐出ローラ752に向けて吐出することで、ノズル71からの塗布液の吐出量を安定させることができる。なお、予備吐出処理に先立ってノズル71の洗浄処理が行われてもよい。
次に、塗布装置1への基板Wの搬入を開始する。上流側の別の処理ユニット、搬送ロボット等により処理対象となる基板Wが入力コンベア100に載せられ、コロコンベア101が回転することで基板Wが(+X)方向に搬送される。このときノズル71は予備吐出位置で予備吐出処理を実行している。また、チャック機構51は入口浮上ステージ31よりも下流側に退避して位置決めされている。
入力コンベア100と、コロコンベア21の上面が入力コンベア100のコロコンベア101と同じ高さ位置に位置決めされた入力移載部2とが協働することにより、基板Wは圧縮空気の噴出により基板Wに浮力を与える入口浮上ステージ31の上部まで搬送されてくる。このとき入口浮上ステージ31の上面はコロコンベア21の上面よりも下方にあり、基板Wは上流側端部(移動方向における後端部)がコロコンベア21に乗り上げた状態となっている。したがって入口浮上ステージ31上で基板Wが滑って移動することはない。
こうして基板Wが入口浮上ステージ31まで搬入されると、入口浮上ステージ31に設けられたリフトピンがリフトピン駆動機構34によりその上端が入口浮上ステージ31の上面よりも上方に突出する上方位置に位置決めされる。これにより、基板W、より具体的にはリフトピンが当接する基板WのY方向両端部が持ち上げられる。
そして、チャック機構51が(−X)方向に移動し、基板W直下の搬送開始位置まで移動してくる。基板WのY方向両端部がリフトピン311により持ち上げられているため、基板Wの下方に進入するチャック機構51が基板Wと接触することは回避される。この状態から、コロコンベア21およびリフトピンがその上面がチャック機構51の上面よりも下方まで下降することにより、基板Wはチャック機構51に移載される。チャック機構51は基板Wの周縁部を吸着保持する。
以後、基板Wはチャック機構51により周縁部を保持され、浮上ステージ部3により中央部が水平姿勢に維持された状態で搬送される。それに続いて、チャック機構51が(+X)方向に移動することで基板Wが塗布開始位置まで搬送される。また、これと並行してノズル71の予備吐出位置から塗布位置への移動位置決めが行われる。塗布開始位置は、基板Wの下流側(移動方向においては先頭側)の端部が塗布位置に位置決めされたノズル71の直下位置に来るような基板Wの位置である。なお、基板Wの端部は余白領域として塗布液が塗布されない場合が多く、このような場合には、基板Wの下流側端部がノズル71の直下位置から余白領域の長さだけ進んだ位置が塗布開始位置となる。
ノズル71が塗布位置に位置決めされると、以下のように塗布処理を実行する。すなわち、ノズル71の吐出口から吐出される塗布液が基板Wの上面Wfに着液する。また、チャック機構51が基板Wを定速で搬送することにより、ノズル71が基板Wの上面Wfに塗布液を塗布する塗布動作が実行され、図6に示すように、基板上面Wfには塗布液による一定厚さの塗布膜CFが形成される。
塗布動作は、塗布を終了させるべき終了位置に基板Wが搬送されるまで継続され、基板Wが終了位置に到達すると、図6に示すように基板Wの搬送を一時的に停止し、ノズル71は塗布位置から離脱して予備吐出位置に戻される。その後で再び予備吐出処理が実行されるとともに、基板Wの搬送が再開される。このような基板搬送動作により塗布膜CFを担持する基板Wは塗布ステージ32の上方から隙間領域CLの上方を通過して出口浮上ステージ33の上方に搬送されていく。この際に、基板Wは次の3つ雰囲気、
・基板Wの下面Wbと塗布ステージ32との間に形成される塗布雰囲気AM1、
・基板Wの下面Wbと隙間領域CLとで挟まれる境界雰囲気AM3、
・基板Wの下面Wbと出口浮上ステージ33との間に形成される出口雰囲気AM2、
に対し、この順序で接触しながら搬送される。したがって、塗布雰囲気AM1、境界雰囲気AM3および出口雰囲気AM2の間で温度差が生じていると、塗布膜CFに塗布ムラが発生することがある。特に、基板搬送を一時的に停止している間においては、上記温度差の影響を多大に受けて塗布ムラが顕著なものとなることがある。
しかしながら、本実施形態では、気体供給管6から噴出される圧縮空気A3により境界雰囲気AM3に気流が発生し、塗布雰囲気AM1および出口雰囲気AM2にそれぞれ供給された圧縮空気A1、A2と混ざり合い、境界雰囲気AM3の温度が塗布雰囲気AM1および出口雰囲気AM2の温度に近づけられ、温度差の低減が図られている。しかも、本実施形態では、塗布雰囲気AM1、境界雰囲気AM3および出口雰囲気AM2のいずれについても、温調部352から分岐した配管353を介して圧送される圧縮空気A1、A3、A2を噴出させているため、塗布雰囲気AM1、境界雰囲気AM3および出口雰囲気AM2の温度はほぼ同一値となっている。このような温度調整は基板搬送を継続している間も一時停止させている間も行われているため、上記塗布ムラの発生を効果的に抑制することができる。
次に、基板Wの下流側端部が出力移載部4上に位置する搬送終了位置にチャック機構51が到達する時点で、チャック機構51の移動は停止され、吸着保持が解除される。そして、出力移載部4のコロコンベア41の上昇および出口浮上ステージ33の上昇が順次開始される。
そして、コロコンベア41および出口浮上ステージ33がチャック機構51の上面よりも上方まで上昇することで、基板Wはチャック機構51から離間する。この状態でコロコンベア41が回転することで基板Wに対し(+X)方向への推進力が付与される。これにより基板Wが(+X)方向へ移動すると、コロコンベア41と出力コンベア110のコロコンベア111との協働により、基板Wはさらに(+X)方向に搬出され(ステップS21)、最終的に下流側ユニットに払い出される。処理すべき次の基板がある場合には上記と同様の処理を繰り返し、なければ処理を終了する。この時ノズル71は待機位置へ戻される。
以上のように、本実施形態では、隙間領域CLの鉛直下方に気体供給管6が配置され、浮上制御機構35からの圧縮空気の供給を受けて隙間領域CLに圧縮空気A3を噴出している。このため、基板Wの上面Wfに形成された塗布膜CFに塗布ムラが発生するのを効果的に抑制することができ、塗布処理を良好に行うことができる。
以上説明したように、この実施形態においては、チャック機構51が本発明の「搬送部」として機能している。また、出口浮上ステージ33が本発明の「出口ステージ」の一例に相当している。また、圧縮空気A1〜A3がそれぞれ本発明の「第1気体」、「第2気体」、「第3気体」に相当している。また、境界雰囲気AM3が本発明の「雰囲気」の一例に相当している。さらに、気体供給管6が本発明の「気体供給部」の一例に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、気体供給管6と浮上制御機構35との組み合わせが本発明の「温度制御機構」として機能しているが、気体供給管6の代わりに別の供給手段を採用してもよい。例えば図7に示すように、出口浮上ステージ33のうち隙間領域CLに隣接する(−X)方向端部に対し、境界雰囲気AM3を臨むように開口が設けられた噴出孔332を本発明の「第1噴出孔」として設けてもよい。そして、温調部352から出口浮上ステージ33に圧送される圧縮空気A2の一部が噴出孔332を介して境界雰囲気AM3に直接供給されるように構成してもよい。この場合、噴出孔332と浮上制御機構35との組み合わせが本発明の「温度制御機構」として機能する。
また、温度制御機構の一部として機能する噴出孔の形態は上記噴出孔332に限定されるものではなく、例えば図8に示すように、隙間領域CLを臨むように開口が設けられた噴出孔333を本発明の「第2噴出孔」として用いてもよい。この場合、図6に示す実施形態と同様に、隙間領域CLを介して圧縮空気A2が境界雰囲気AM3に供給され、温度差の低減を図ることができる。また、出口浮上ステージ33に対して上記第1噴出孔332および第2噴出孔333を並設してもよい。もちろん、温度制御機構の一部として機能する噴出孔については、塗布ステージ32に設けてもよい。
また、上記実施形態では、境界雰囲気AM3に圧縮空気A3を積極的に供給して境界雰囲気AM3の温度を塗布雰囲気AM1および出口雰囲気AM2の温度に近づけているが、図9に示すように隙間領域CLにシール部材37を設け、隙間領域CLを塞ぐことで圧縮空気A1、A2を境界雰囲気AM3で混合させて温度の均一化を図ってもよい。なお、本実施形態では、出口浮上ステージ33が昇降可能となっていることからシール部材37については弾性や可撓性を有する材料で構成したり、伸縮自在な構造を採用したりするのが好適である。また、シール部材37については、図7に示す実施形態に適用してもよい。
本発明は、基板をステージから浮上させた状態で水平方向に搬送しながらその上面に塗布液を塗布する塗布装置および塗布方法全般に適用することができる。
1…塗布装置
6…気体供給管(気体供給部)
32…塗布ステージ
33…出口浮上ステージ(出口ステージ)
332…(第1)噴出孔
333…(第2)噴出孔
51…チャック機構(搬送部)
71…ノズル
A1…圧縮空気(第1気体)
A2…圧縮空気(第2気体)
A3…圧縮空気(第3気体)
AM3…境界雰囲気
W…基板
Wf…(基板の)上面
Wb…(基板の)下面
X…搬送方向

Claims (9)

  1. 基板を保持して搬送する搬送部と、
    搬送される前記基板の上面に塗布液を吐出して塗布するノズルと、
    前記ノズルの下方位置に配置され、搬送される前記基板の下面に向けて第1気体を噴出することで前記基板を水平姿勢で浮上させる塗布ステージと、
    前記基板が搬送される搬送方向において前記塗布ステージの下流側で前記塗布ステージから離間して配置され、前記塗布ステージから搬送される前記基板の下面に向けて第2気体を噴出することで前記基板を水平姿勢で浮上させる出口ステージと、
    前記塗布ステージおよび前記出口ステージで挟まれた隙間領域と、前記隙間領域の上方を通過して搬送される前記基板の下面とで挟まれる雰囲気の温度を前記第1気体および前記第2気体の温度に近づけるように制御する温度制御機構と
    を備えることを特徴とする塗布装置。
  2. 請求項1に記載の塗布装置であって、
    前記温度制御機構は、前記隙間領域を介して前記雰囲気に第3気体を供給する気体供給部を有する塗布装置。
  3. 請求項2に記載の塗布装置であって、
    前記第1気体、前記第2気体および前記第3気体はともに同一温度である塗布装置。
  4. 請求項1に記載の塗布装置であって、
    前記温度制御機構は、前記出口ステージに設けられて前記第2気体を前記雰囲気に向けて噴出させる第1噴出孔を有し、前記第1噴出孔から噴出された前記第2気体を前記雰囲気に供給する塗布装置。
  5. 請求項1または4に記載の塗布装置であって、
    前記温度制御機構は、前記出口ステージに設けられて前記第2気体を前記隙間領域に向けて噴出させる第2噴出孔を有し、前記第2噴出孔から噴出された前記第2気体を前記隙間領域を介して前記雰囲気に供給する塗布装置。
  6. 請求項に記載の塗布装置であって、
    前記温度制御機構は、前記隙間領域に設けられて前記第1気体および前記第2気体の前記雰囲気から前記隙間領域への流出を阻止するシール部材を有する塗布装置。
  7. 基板を保持して搬送する搬送部と、
    搬送される前記基板の上面に塗布液を吐出して塗布するノズルと、
    前記ノズルの下方位置に配置され、搬送される前記基板の下面に向けて第1気体を噴出することで前記基板を水平姿勢で浮上させる塗布ステージと、
    前記基板が搬送される搬送方向において前記塗布ステージの下流側で前記塗布ステージから離間して配置され、前記塗布ステージから搬送される前記基板の下面に向けて第2気体を噴出することで前記基板を水平姿勢で浮上させる出口ステージと、
    前記塗布ステージおよび前記出口ステージで挟まれた隙間領域と、前記隙間領域の上方を通過して搬送される前記基板の下面とで挟まれる雰囲気の温度を前記第1気体および前記第2気体の温度に近づけるように制御する温度制御機構とを備え、
    前記温度制御機構は、前記隙間領域に設けられて前記第1気体および前記第2気体の前記雰囲気から前記隙間領域への流出を阻止するシール部材を有する
    ことを特徴とする塗布装置。
  8. 請求項4ないしのいずれか一項に記載の塗布装置であって、
    前記第1気体および前記第2気体はともに同一温度である塗布装置。
  9. 基板の下面に向けて第1気体を噴出することで前記基板を水平姿勢で浮上させる塗布ステージと、前記塗布ステージから離間した位置で前記基板の下面に向けて第2気体を噴出することで前記基板を水平姿勢で浮上させる出口ステージとの順に前記基板を搬送しながら前記塗布ステージの上方から塗布液を前記基板の上面に向けて吐出して塗布する塗布方法であって、
    前記塗布液が塗布された前記基板が前記塗布ステージおよび前記出口ステージで挟まれた隙間領域の上方に位置する際に、前記隙間領域の上方を通過して搬送される前記基板の下面と前記隙間領域とで挟まれる雰囲気の温度を前記第1気体および前記第2気体の温度に近づけるように制御することを特徴とする塗布方法。
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