JP6858346B2 - 硬質被覆層が優れた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
ただし、前記従来のTi−Al系の複合窒化物層を被覆形成した被覆工具は、比較的耐摩耗性に優れるものの、高速断続切削条件で用いた場合にチッピング等の異常損耗を発生しやすいことから、硬質被覆層の改善についての種々の提案がなされている。
また、前記被覆工具において、TiAlCN層についてXRD解析を行ったとき、立方晶構造に由来するピーク強度Ic{200}と六方晶構造に由来するピーク強度Ih{200}との間に、Ic{200}/Ih{200}≧3.0の関係が成立する場合には、耐摩耗性向上効果がより高まるとされている。
しかし、前記特許文献1〜3で提案されている被覆工具では、合金鋼等の高熱発生を伴うとともに、切刃に対して衝撃的な負荷が作用する高速高送り断続切削加工において、耐チッピング性が未だ十分ではなく、満足できる切削性能を長期の使用にわたり備えるとはいえない。
「(1)炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、
(a)前記硬質被覆層は、平均層厚1.0〜20.0μmのTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、
(b)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、配向性の異なる2層から成る積層構造を有しており、積層構造を形成するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物層をA層、B層とした場合、
A層およびB層の層厚は0. 5μm以上であり、それぞれの組成式を(Ti1−xAlx)(CyN1−y)、(Ti1−sAls)(CtN1−t)で表したとき、該A層、該B層におけるAlのTiとAlの合量に占める含有割合xおよびs並びにCのCとNの合量に占める含有割合yおよびt(但し、x、s、y、tは、いずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦x≦0.95、0.60≦s≦0.95、0≦y≦0.005、0≦t≦0.005を満足し、
(c)前記A層内のNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の結晶方位を、電子線後方散乱回折装置を用いて縦断面方向から解析した場合、工具基体表面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、該傾斜角のうち法線方向に対して0〜45度の範囲内にある傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分して各区分内に存在する度数を集計し傾斜角度数分布を求めたとき、0〜12度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜12度の範囲内に存在する度数の合計が、前記傾斜角度数分布における度数全体の40%以上の割合を示し、
(d)前記B層内のNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の結晶方位を、電子線後方散乱回折装置を用いて縦断面方向から解析した場合、工具基体表面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶面である{111}面の法線がなす傾斜角を測定し、該傾斜角のうち法線方向に対して0〜45度の範囲内にある傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分して各区分内に存在する度数を集計し傾斜角度数分布を求めたとき、0〜12度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜12度の範囲内に存在する度数の合計が、前記傾斜角度数分布における度数全体の40%以上の割合を示すことを特徴とする表面被覆切削工具。
(2)前記A層、前記B層の少なくとも一方の結晶粒にはTiとAlの周期的な濃度変化が存在し、原子比で表したAlの含有割合が周期的に変化する値の極大値の平均値と極小値の平均値との差は0.03〜0.25であり、Alの含有割合の変化の周期が3〜100nmであることを特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3)前記A層の平均Al含有割合xと前記B層の平均Al含有割合sとの差の絶対値|x−s|が0.10以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の表面被覆切削工具。
(4)前記工具基体と前記硬質被覆層との間にTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、0.1〜20.0μmの合計平均層厚を有するTi化合物層を含む下部層が存在することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
(5)前記硬質被覆層の上部に少なくとも1.0〜25.0μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層を含む上部層が存在することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。」
である。
この効果を奏する理由は、{100}面の法線方向へ配向性が高いA層が有する高い硬度と{111}面の法線方向へ配向の割合が高いB層が有する高い靭性との相乗によりもたらされると推定している。
硬質被覆層を構成するA、B各層の厚さは、0.5μm以上とする。その理由は、0.5μm未満であると、積層構造としても各層の持つ特性が十分に発揮できない虞があるためである。一方、各層の厚さの上限は特に制約がないが、後述する両層の和の平均層厚によって制約を受ける。すなわち、各層は、それぞれ、1層以上積層する必要があるため、19.5(=20−0.5)μmが事実上の上限となる。
両層の和の平均層厚は、1〜20μmである。下限値1μmは、各層の厚さの和の下限値である0.5μmの和(1=0.5+0.5)に対応したものである。一方、上限値20μmは、20μmを超えると、被覆工具として刃先の鋭利さを確保し、加工精度を得てバリを防ぎ、加工面品位を確保することが難しくなるためである。
本発明におけるTiAlCN層は、
A層(Ti1−xAlx)(CyN1−y)、B層(Ti1−sAls)(CtN1−t)とも
AlのTiおよびAlの合量に占める含有割合(以下、「Alの平均含有割合」という)x、s、
CのCとNの合量に占める平均含有割合(以下、「Cの平均含有割合」という)y、tが、
それぞれ、0.60≦x≦0.95、0.60≦s≦0.95、0≦y≦0.005、0≦t≦0.005(但し、x、s、y、tはいずれも原子比である)を満足するように定める。
その理由は、Alの平均含有割合x、sが0.60未満であると、TiAlCN層は硬さに劣るため高速高送り断続切削加工に供した場合には、耐摩耗性が十分でなく、さらに、Alの平均含有割合x、sが0.95を超えると、相対的にTiの含有割合が減少するため、脆化を招き、耐チッピング性が低下する。
したがって、Alの平均含有割合x、s平均含有割合は、0.60≦x≦0.95、0.60≦s≦0.95と定めた。
加えて、TiAlCN層に含まれるCの平均含有割合y、tは、0≦y≦0.005、0≦t≦0.005の範囲であるとき、TiAlCN層と工具基体もしくは下部層との密着性が向上し、かつ、潤滑性が向上することによって切削時の衝撃を緩和し、結果としてTiAlCN層の耐チッピング性が向上する。一方、Cの平均含有割合zが0≦y≦0.005、0≦t≦0.005の範囲を逸脱すると、TiAlCN層の靭性が低下するため耐チッピング性が逆に低下するため好ましくない。
したがって、Cの平均含有割合s、tは、0≦y≦0.005、0≦t≦0.005と定めた。
Cの平均含有割合y、tについては、二次イオン質量分析(Secondary−Ion−Mass−Spectroscopy:SIMS)により求めることができる。イオンビームを縦断面側から70μm×70μmの範囲に照射し、スパッタリング作用によって放出された成分について深さ方向の濃度測定を行った。Cの平均含有割合y、tはTiAlCN層についての深さ方向の平均値を示す。
ただし、Cの含有割合には、意図的にガス原料としてCを含むガスを用いなくても含まれる不可避的なCの含有割合を除外する。
A層およびB層が、それぞれ、この所定の傾斜角度数分布を有するとき、両層を積層構造とすることで高速高送り断続切削加工においても優れた耐摩耗性と耐チッピング性を発揮する。しかも、クラックの進展が抑制され、耐欠損性が飛躍的に向上する。
これは、A層の{100}面の法線方向へ配向の割合が高いことにより高硬度が与えられ、B層の{111}面の法線方向へ配向の割合が高いことにより硬度を保ちつつ靭性が与えられるためと推定している。
ここで、電子線後方散乱回折装置を用いて個々の結晶粒の結晶方位を解析する際に、基体表面の法線に対する傾斜角が12度より大きい結晶面は{100}面の法線方向、または、{111}面の法線方向に配向しているとみなすことができず、{100}面の法線方向、または、{111}面の法線方向への配向が強く、かつ硬度または靭性が低下しない範囲が0〜12度までであることから、測定によって度数を求める傾斜角区分の範囲を0〜12度と定めた。
まず、立方晶構造のTiとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層を含む硬質被覆層の工具基体表面に垂直な断面(縦断面)を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットした。前記研磨面(断面研磨面)において、工具基体表面と水平方向に長さ100μm、工具基体表面と垂直な方向に膜厚に対して、十分な長さの範囲を測定範囲とし、この測定範囲の研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記断面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に0.01μm/stepの間隔で照射し、得られた電子線後方散乱回折像に基づき、基体表面の法線(断面研磨面における基体表面と垂直な方向)に対して、A層については前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を、B層については前記結晶粒の結晶面である{111}面の法線がなす傾斜角を各測定点(電子線を照射した点)毎にそれぞれ測定した。そして、この測定結果に基づいて、測定された傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより、傾斜角度数分布を求めた。得られた傾斜角度数分布から、0〜12度の範囲内に存在する度数の最高ピークの有無を確認し、かつ0〜45度の範囲内に存在する度数(傾斜角度数分布における度数全体)に対する0〜12度の範囲内に存在する度数の割合を求めた。なお、傾斜角度分布グラフにおいて、前記0〜12度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布における度数全体の50%以上であることがより好ましい。
硬質被覆層を構成する立方晶構造を有する少なくとも一部の結晶粒において、TiとAlの周期的な含有割合の変化が結晶成長方向に少なくとも部分的に存在する箇所があってもよい。この箇所において、周期的な含有割合の変化として、原子比で表したAl含有割合の極大値の平均値と極小値の平均値との差が0.03〜0.25であり、このAl含有割合の変化の周期が3〜100nmであることが望ましい。この範囲のAlの含有割合変化および周期であれば、十分な硬度や耐欠損性の向上をより一層期待することができる。
A層の平均Al含有割合とB層の平均Al含有割合との差の絶対値|x−s|は、0.1以下であることが望ましい。それは、この値以下であると、A層とB層との界面における付着強度が向上し、耐チッピング性のより一層の向上が期待できるからである。
本発明のTiAlCN層は、例えば、工具基体もしくはTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層の少なくとも一層以上の上に、A層、B層形成用の反応ガス組成のガスを所定の条件で供給し、成膜することによって得ることができる。
例えば、ガス組成を表す%は容量%として、
A層({100}面の法線方向に配向)
ガス群A
NH3:2.0〜3.0%、H2:65〜75%
ガス群B
AlCl3:0.6〜0.9%、TiCl4:0.2〜0.3%、Al(CH3)3:0.0〜0.5%、N2:0.0〜12.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜900℃
供給周期:0〜7秒
1周期当たりのガス供給時間:0.00〜0.35秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.00〜0.30秒
B層({111}面の法線方向に配向)
ガス群A
NH3:1.0〜1.5%、N2:0.0〜5.0%、H2:55〜60%
ガス群B
AlCl3:0.6〜0.9%、TiCl4:0.2〜0.3%、Al(CH3)3:0.0〜0.5%、N2:0.0〜12.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜900℃
供給周期:0〜7秒
1周期当たりのガス供給時間:0.00〜0.35秒、
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.00〜0.30秒
をあげることができる。
なお、前記供給周期と1周期あたりのガス供給時間およびガス群Aとガス群Bの供給の位相差が0秒であることはガス群Aとガス群Bのガスが分離せずに供給されていることを意味する。
ここでは、本発明被覆工具の具体例として、工具基体としてWC基超高圧焼結体を用いたインサート切削工具に適用したものについて述べるが、工具基体として、TiCN基サーメット、cBN基超高圧焼結体を用いた場合であっても同様であるし、ドリル、エンドミルに適用した場合も同様である。
成膜条件は、表2、3に記載したとおりであるが、概ね、次のとおりである。
A層({100}面の法線方向に配向)
ガス群A
NH3:2.0〜3.0%、H2:65〜75%
ガス群B
AlCl3:0.6〜0.9%、TiCl4:0.2〜0.3%、Al(CH3)3:0.0〜0.5%、N2:0.0〜12.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜900℃
供給周期:0〜7秒
1周期当たりのガス供給時間:0.00〜0.35秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.00〜0.30秒
B層({111}面の法線方向に配向)
ガス群A
NH3:1.0〜1.5%、N2:0.0〜5.0%、H2:55〜60%
ガス群B
AlCl3:0.6〜0.9%、TiCl4:0.2〜0.3%、A1(CH3)3:0.0〜0.5%、N2:0.0〜12.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜900℃
供給周期:0〜7秒
1周期当たりのガス供給時間:0.00〜0.35秒、
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.00〜0.30秒
なお、本発明被覆工具は4〜9は、表4に記載された成膜条件により、表5に示された下部層および/または上部層を形成した。
なお、比較被覆工具4〜9については、表4に示される形成条件により、表5に示された下部層および/または上部層を形成した。
切削試験:乾式高速正面フライス、センターカット切削加工
被削材:JIS・SCM430幅100mm、長さ400mmのブロック材
回転速度:764min−1
切削速度:300m/min
切り込み:2.5mm
一刃送り量:3.0mm/刃
切削時間:8分
(通常の切削速度は、150〜200m/min、通常の一刃送り量:1.0〜2.0mm/刃)
表7に、切削試験の結果を示す。なお、比較被覆工具1〜10については、チッピング発生が原因で寿命に至ったため、寿命に至るまでの時間を示す。
なお、本発明被覆工具は14〜19は、表4に記載された成膜条件により、表9に示された下部層および/または上部層を形成した。
なお、比較被覆工具14〜19については、表4に示される形成条件により、表9に示された下部層および/または上部層を形成した。
被削材:JIS・S15Cの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒
切削速度:320m/min
切り込み:2.5mm
一刃送り量:0.4mm/刃
切削時間:5分
(通常の切削速度は、220m/min、通常の一刃送り量:0.25mm/刃)
被削材:JIS・FCD450の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒
切削速度:300m/min
切り込み:2.5mm
一刃送り量:0.4mm/刃
切削時間:5分
(通常の切削速度は、250m/min、通常の一刃送り量:0.25mm/刃)
Claims (5)
- 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、
(a)前記硬質被覆層は、平均層厚1.0〜20.0μmのTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、
(b)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、配向性の異なる2層から成る積層構造を有しており、積層構造を形成するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物層をA層、B層とした場合、
A層およびB層の層厚は0. 5μm以上であり、それぞれの組成式を(Ti1−xAlx)(CyN1−y)、(Ti1−sAls)(CtN1−t)で表したとき、該A層、該B層におけるAlのTiとAlの合量に占める含有割合xおよびs並びにCのCとNの合量に占める含有割合yおよびt(但し、x、s、y、tは、いずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦x≦0.95、0.60≦s≦0.95、0≦y≦0.005、0≦t≦0.005を満足し、
(c)前記A層内のNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の結晶方位を、電子線後方散乱回折装置を用いて縦断面方向から解析した場合、工具基体表面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、該傾斜角のうち法線方向に対して0〜45度の範囲内にある傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分して各区分内に存在する度数を集計し傾斜角度数分布を求めたとき、0〜12度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜12度の範囲内に存在する度数の合計が、前記傾斜角度数分布における度数全体の40%以上の割合を示し、
(d)前記B層内のNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の結晶方位を、電子線後方散乱回折装置を用いて縦断面方向から解析した場合、工具基体表面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶面である{111}面の法線がなす傾斜角を測定し、該傾斜角のうち法線方向に対して0〜45度の範囲内にある傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分して各区分内に存在する度数を集計し傾斜角度数分布を求めたとき、0〜12度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜12度の範囲内に存在する度数の合計が、前記傾斜角度数分布における度数全体の40%以上の割合を示すことを特徴とする表面被覆切削工具。 - 前記A層、前記B層の少なくとも一方の結晶粒にはTiとAlの周期的な濃度変化が存在し、原子比で表したAlの含有割合が周期的に変化する値の極大値の平均値と極小値の平均値との差は0.03〜0.25であり、Alの含有割合の変化の周期が3〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
- 前記A層の平均Al含有割合xと前記B層の平均Al含有割合sとの差の絶対値|x−s|が0.10以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。
- 前記工具基体と前記硬質被覆層との間にTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、0.1〜20.0μmの合計平均層厚を有するTi化合物層を含む下部層が存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面被覆切削工具。
- 前記硬質被覆層の上部に少なくとも1.0〜25.0μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層を含む上部層が存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面被覆切削工具。
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