JP6857298B2 - 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
ただ、前記従来のTi−Al系の複合窒化物層を被覆形成した被覆工具は、比較的耐摩耗性にすぐれるものの、高速断続切削条件で用いた場合にチッピング、剥離等の異常損耗を発生しやすいことから、硬質被覆層の改善についての種々の提案がなされている。
(a)前記硬質被覆層は、組成式:(Ti1−x―yAlxMey)(CzN1−z)で表した場合(但し、Meは、Si、Zr、B、V、Crの中から選ばれる一種の元素)、AlのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合XavgおよびMeのTiとAlとMeの合量に占める平均含有割合YavgならびにCのCとNの合量に占める平均含有割合Zavg(但し、Xavg、Yavg、Zavgはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦Xavg、0.005≦Yavg≦0.10、0≦Zavg≦0.005、0.605≦Xavg+Yavg≦0.95を満足する複合窒化物または複合炭窒化物層を含み、
(b)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有するTi
とAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の相を少なくとも含み、
(c) 前記複合窒化物または複合炭窒化物層内のNaCl型の面心立方構造を有するT
iとAlとMeの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の結晶方位を、電子線後方散乱
回折装置を用いて縦断面方向から解析した場合、工具基体表面の法線方向に対する前記結
晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、該傾斜角のうち法線方向
に対して0〜45度の範囲内にある傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分して各区分内に
存在する度数を集計し傾斜角度数分布を求めたとき、0〜12度の範囲内の傾斜角区分に
最高ピークが存在すると共に、前記0〜12度の範囲内に存在する度数の合計が、前記傾
斜角度数分布における度数全体の35%以上の割合を示し、
(d)また、前記NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとMeの複合窒化物また
は複合炭窒化物の結晶粒内に、組成式:(Ti1−x―yAlxMey)(CzN1−z)におけるTiとAlとMeの周期的な濃度変化が存在し、Alの含有割合xの周期的に
変化するxの値の極大値の平均値をXmax、また、Alの含有割合xの周期的に変化す
るxの値の極小値の平均値をXminとした場合、XmaxとXminの差Δxが0.0
3〜0.25であり、
(e)前記複合窒化物または複合炭窒化物層中のTiとAlとMeの周期的な濃度変化が
存在するNaCl型の面心立方構造を有する結晶粒において、その工具基体表面の法線方
向に沿った周期が3〜100nmである被覆工具が提案されており、この被覆工具は、耐チッピング性に優れるとされている。
しかし、前記特許文献1に記載されている被覆工具では、積層されたa層とb層間での密着強度が不十分であるため、切れ刃に高負荷が作用した場合には、剥離が生じやすく、また、前記特許文献2に記載されている被覆工具は、潤滑性、耐酸化性、耐摩耗性にすぐれるものの、断続的な衝撃がかかる切削条件では、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷が発生しやすいという問題があった。
さらに、前記特許文献3、4に記載される被覆工具においても、切れ刃に断続的・衝撃的な高負荷が作用する高速断続重切削加工に供した場合には、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷が発生しやすく、満足できる切削性能を備えるとはいえなかった。
そこで、本発明は、切れ刃に断続的・衝撃的な高負荷が作用する炭素鋼、合金鋼、鋳鉄等の高速断続重切削加工に供した場合であっても、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷を発生することなく、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆工具を提供することを目的とする。
したがって、前記h−BNが分散されているTiAlBCN層を硬質被覆層として形成した本発明の被覆工具は、切れ刃に断続的・衝撃的な高負荷が作用する高速断続重切削加工に供した場合であっても、すぐれた耐チッピング性、耐溶着性を発揮し、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷を発生することなく、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮することを見出したのである。
つまり、NH3とH2からなるガス群Aと、TiCl4、AlCl3、BCl3、N2、Al(CH3)3、H2からなるガス群Bをおのおの別々のガス供給管から反応装置内へ供給し、所定の雰囲気圧力、雰囲気温度、供給周期等の成膜条件とともに、1周期当たりのガス供給時間内におけるガス群B中におけるBCl3の供給位相を遅らせる等の制御することによって、h−BNを含有する前記のTiAlBCN層を形成することができる。
「(1)炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層が設けられた表面被覆切削工具において、
(a)前記硬質被覆層は、平均層厚1〜20μmのTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、その成分組成を、
組成式:(Ti1−x−yAlxBy)(CzN1−z)
で表し、また、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合をx、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合をy、CのCとNの合量に占める平均含有割合をz(但し、x、y、zはいずれも原子比)とそれぞれ表したとき、0.60≦x、0.001≦y≦0.10、x+y≦0.95、0≦z≦0.005を満足し、
(b)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の相を少なくとも含み、
(c)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、微量のClを含有し、ClのTiとAlとBとCとNとClの合量に占めるClの平均含有割合α(但し、αは原子比)は、0.0001≦α≦0.04を満足し、
(d)前記複合窒化物または複合炭窒化物層の縦断面を観察したとき、NaCl型の面心立方構造を有する前記複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の結晶粒界及び/又は結晶粒内には、六方晶構造の窒化ホウ素が0.01〜5.0面積%含有されていることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2)前記複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒界には、平均粒径が100nm以下の六方晶構造の窒化ホウ素が存在し、かつ、該窒化ホウ素が存在する粒界長は、前記複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の粒界長の0.01〜10長さ%であることを特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3)前記工具基体と前記TiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物層の間に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、0.1〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物を含む下部層が存在することを特徴とする(1)または(2)に記載の表面被覆切削工具。
(4)前記TiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物層の上部に、少なくとも酸化アルミニウム層を含む上部層が1〜25μmの合計平均層厚で存在することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
本発明の硬質被覆層は、前述したように、NH3を用いた熱CVD法によって形成されたTiAlBCN層を少なくとも含む。
このTiAlBCN層は、硬さが高く耐摩耗性に優れ、また、潤滑性にも優れ、さらに、切削加工時の衝撃に対する衝撃緩和効果を有するが、特に平均層厚が1〜20μmのとき、その効果が際立って発揮される。その理由は、平均層厚が1μm未満では、層厚が薄いため長期の使用に亘っての耐摩耗性を十分確保することができず、一方、その平均層厚が20μmを越えると、TiAlBCN層の結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなる。
したがって、その平均層厚を1〜20μmと定めた。
本発明の硬質被覆層を構成するTiAlBCN層を、
組成式:(Ti1−x−yAlxBy)(CzN1−z)
で表した場合、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合x、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合y、CのCとNの合量に占める平均含有割合z(但し、x、y、zはいずれも原子比)が、それぞれ、0.60≦x、0.001≦y≦0.10、x+y≦0.95、0≦z≦0.005を満足するように定める。
その理由は、次のとおりである。
しかし、Bの平均含有割合yが0.10を超えると、NaCl型の面心立方構造を有するTiAlBCN結晶粒の結晶粒界及び/又は結晶粒内に含有されるh−BNの面積割合が5.0面積%を超え、結晶粒界に存在するh−BN量も過剰になるため、粒界の脆化を招き、その結果、靱性が低下して耐欠損性が低下するようになる。また、結晶粒内においても、過剰のh−BNが存在することによって、硬さが低下傾向を示すようになるため耐摩耗性の低下を招く。
したがって、TiAlBCN層中におけるBの平均含有割合yは0.001≦y≦0.10と定めるとともに、NaCl型の面心立方構造を有するTiAlBCN結晶粒の結晶粒界及び/又は結晶粒内に含有されるh−BNの面積割合を0.01〜5.0面積%とする。
即ち、粒界に存在するh−BNの平均粒径を100nm以下とし、かつ、h−BNが存在する粒界長を、NaCl型の面心立方構造を有するTiAlBCN結晶粒の粒界長の0.01〜10長さ%とすることによって、切削加工時の衝撃的負荷による破壊起点が、結晶粒界に存在するh−BNによって分散され、その結果、TiAlBCN層の靱性が向上し、耐チッピング性を向上させることができる。
NaCl型の面心立方構造を有するTiAlBCN結晶粒の粒界に存在する六方晶構造のh−BNは、透過型電子顕微鏡を用いて電子線回折図形を解析することにより同定することができ、また、h−BNの平均粒径は、粒界を含んだ1μm×1μmの測定範囲内に存在するh−BNのそれぞれについて、粒径を測定し、それらの平均値を算出することによって求めることができる。
したがって、Cの平均含有割合zは、0≦z≦0.005とする。
その際、反応ガス成分としてTiCl4、AlCl3、BCl3を使用することから、TiAlBCN層中には微量のClが必然的に含有されるが、TiとAlとBとCとNとClの合量に占めるClの平均含有割合α(即ち、α=Cl/(Ti+Al+B+C+N+Cl)。但し、αは原子比)は、0.0001≦α≦0.04の範囲の微量である場合、層の靭性を低下させずに潤滑性を高めることができる。
しかし、Clの平均含有割合αが0.0001未満であると潤滑性向上効果は少なく、一方、Clの平均含有割合αが0.04を超えると、耐チッピング性が低下する。
したがって、Clの平均含有割合αは、0.0001≦Z≦0.04と定めた。
また、Cの平均含有割合zについては、ガス原料としてCを含むガスを用いなくても不可避的に含有されるCの含有割合を除外して算出する。
具体的には、例えば、Cを含むガス原料であるAl(CH3)3の供給量を0とした場合に、TiAlBCN層に含まれるCの含有割合(原子比)を不可避的なCの含有割合として求め、ついで、Al(CH3)3を意図的に供給した場合に得られるTiAlBCN層に含まれるCの含有割合(原子比)から前記不可避的に含有されるCの含有割合を差し引いた値をCの平均含有割合zとする。
本発明のTiAlBCN層は、それだけでも十分な効果を奏するが、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなり、0.1〜20μmの合計平均層厚を有する下部層を設けた場合、および/または、少なくとも酸化アルミニウム層を含む上部層であって、該上部層の合計平均層厚が1〜25μmである上部層を設けた場合には、これらの層が奏する効果と相俟って、一層すぐれた特性を創出することができる。
Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなる下部層を設ける場合、下部層の合計平均層厚が0.1μm未満では、下部層の効果が十分に奏されず、一方、20μmを超えると結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなる。
また、酸化アルミニウム層を含む上部層の合計平均層厚が1μm未満では、上部層の効果が十分に奏されず、一方、25μmを超えると結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなる。
したがって、本発明の被覆工具は、炭素鋼、合金鋼、鋳鉄等の高速断続重切削等に供した場合であっても、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷を発生することなく、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮する。
なお、以下の実施例では、工具基体として、炭化タングステン基超硬合金(以下、「WC基超硬合金」で示す。)あるいは炭窒化チタン基サーメット(以下、「TiCN基サーメット」で示す。)を用いた場合について説明するが、立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体を工具基体として用いた場合も同様である。
つまり、表4、表5に示される形成条件A〜Hにしたがい、NH3とH2からなるガス群Aと、TiCl4、AlCl3、BCl3、N2、Al(CH3)3、H2からなるガス群B、および、おのおのガスの供給方法として、反応ガス組成(ガス群Aおよびガス群Bを合わせた全体に対する容量%)を、ガス群Aとして、NH3:5〜7%、H2:65〜75%、ガス群Bとして、TiCl4:0.1〜1.0%、AlCl3:1.0〜1.8%、BCl3:0.01〜0.24%、N2:0〜12%、Al(CH3)3:0〜0.5%、H2:残、反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa、反応雰囲気温度:700〜900℃、供給周期30〜45秒、1周期当たりのガス供給時間1.0〜3.0秒、ガス群BにおけるBCl3の供給位相の遅れを0〜0.4秒、ガス群Aとガス群Bの供給の位相差0.1〜0.5秒として、所定時間、熱CVD法を行い、表9に示されるTiAlBCN層を成膜することにより本発明被覆工具1〜16を製造した。
なお、本発明被覆工具5〜8、13〜16については、それぞれ、表3に示される形成条件で、表8に示される下部層、上部層を形成した。
なお、本発明被覆工具と同様に、比較例被覆工具5〜8、13〜16については、表3に示される形成条件で、表8に示される下部層、上部層を形成した。
また、TiAlBCN層(あるいは、TiAlCN層)のAlの平均含有割合x、Bの平均含有割合y、Clの平均含有割合αについては、電子線マイクロアナライザ(Electron−Probe−Micro−Analyser:EPMA)を用い、表面を研磨した試料において、電子線を試料表面側から照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均からAlの平均含有割合x、Bの平均含有割合y、Clの平均含有割合αを求めた。
Cの平均含有割合zについては、二次イオン質量分析(Secondary−Ion−Mass−Spectroscopy:SIMS)により求めた。即ち、イオンビームを試料表面側から70μm×70μmの範囲に照射し、スパッタリング作用によって放出された成分について深さ方向の濃度測定を行った。Cの平均含有割合zはTiAlBCN層(あるいは、TiAlCN層)についての深さ方向の平均値を示す。
なお、Cの平均含有割合には、意図的にガス原料としてCを含むガスを用いなくても含まれる不可避的なCの含有割合を除外している。具体的にはAl(CH3)3の供給量を0とした場合のTiAlBCN層(あるいは、TiAlCN層)に含まれるCの含有割合(原子比)を不可避的なCの含有割合として求め、Al(CH3)3を意図的に供給した場合に得られるTiAlBCN層(あるいは、TiAlCN層)に含まれるCの含有割合(原子比)から前記不可避的なCの含有割合を差し引いた値をCの平均含有割合zとして求めた。
また、結晶粒界に存在する六方晶構造のh−BNについては、粒界を含んだ1μm×1μmの測定範囲内に存在する六方晶構造のh−BNと同定した粒に対して外接円を作成し、その外接円の直径を求め、その平均値を、結晶粒界に存在する六方晶構造のh−BNの平均粒径Rとして算出した。
さらに、測定範囲内において、六方晶構造のh−BNが、NaCl型の面心立方構造を有するTiAlBCN(あるいは、TiAlCN)結晶粒界に存在する粒界長を求め、測定範囲内の全粒界長に占める長さ割合を測定し、この値を粒界長割合(長さ%)として算出した。
上記の測定を、いずれも複数視野(この実施例では5視野)で行い、その平均値を、六方晶構造のh−BNの面積割合(面積%)、平均粒径R、粒界長割合(長さ%)とした。
表9、表10に、得られた結果を示す。
≪切削条件A≫
被削材: JIS・SCM440幅100mm、長さ400mmのブロック材、
回転速度:713min−1、
切削速度:280m/min、
切り込み:3.5mm、
一刃送り量:0.3mm/刃、
切削時間:5分、
(通常の切削速度は、220m/min、通常の切り込みは、2.0mm、通常の一刃送り量は0.2mm/刃)、
≪切削条件B≫
被削材:JIS・FCD600の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:370m/min、
切り込み:3.0mm、
送り:0.2mm/rev、
切削時間:5分、
(通常の切削速度は、200m/min、通常の切り込みは、2.0mm、通常の一刃送り量は0.2mm/rev)、
表11、表12に、前記切削試験A、切削試験Bの結果を示す。
Claims (4)
- 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットまたは立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層が設けられた表面被覆切削工具において、
(a)前記硬質被覆層は、平均層厚1〜20μmのTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物層を少なくとも含み、その成分組成を、
組成式:(Ti1−x−yAlxBy)(CzN1−z)
で表し、また、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合をx、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合をy、CのCとNの合量に占める平均含有割合をz(但し、x、y、zはいずれも原子比)とそれぞれ表したとき、0.60≦x、0.001≦y≦0.10、x+y≦0.95、0≦z≦0.005を満足し、
(b)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、NaCl型の面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の相を少なくとも含み、
(c)前記複合窒化物または複合炭窒化物層は、微量のClを含有し、ClのTiとAlとBとCとNとClの合量に占めるClの平均含有割合α(但し、αは原子比)は、0.0001≦α≦0.04を満足し、
(d)前記複合窒化物または複合炭窒化物層の縦断面を観察したとき、NaCl型の面心立方構造を有する前記複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の結晶粒界及び/又は結晶粒内には、六方晶構造の窒化ホウ素が0.01〜5.0面積%含有されていることを特徴とする表面被覆切削工具。 - 前記複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒界には、平均粒径が100nm以下の六方晶構造の窒化ホウ素が存在し、かつ、該窒化ホウ素が存在する粒界長は、前記複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒の粒界長の0.01〜10長さ%であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
- 前記工具基体と前記TiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物層の間に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、0.1〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物を含む下部層が存在することを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。
- 前記TiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物層の上部に、少なくとも酸化アルミニウム層を含む上部層が1〜25μmの合計平均層厚で存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表面被覆切削工具。
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