JP6853017B2 - 無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物、被膜付き建材およびその製造方法 - Google Patents

無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物、被膜付き建材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建材への浸透性に優れ、密着性、耐水性、耐透水性、耐凍結融解性等を向上させ、基材を強化する建材用シーラー組成物および該組成物から形成された硬化被膜を有する建材に関する。
従来、内外装、屋根等に広く使用されている建材の表面(前面)には、一般的に目止め用のシーラー組成物、基材を隠ぺいする下塗り塗料、意匠性を目的とする上塗り塗料が塗装されている。また、裏面(背面)は、一般的に無塗装であるか、目止め用のシーラー組成物が塗装されている。
前記シーラー組成物としては、従来、塩化ビニル樹脂系、2液型ウレタン樹脂系、ポリイソシアネート系湿式硬化型等の有機溶剤系シーラー組成物や、エポキシ樹脂系エマルション、水分散性ポリイソシアネート、コア・シェル型ビニル系エマルション等の水系シーラー組成物が用いられてきた。
しかし、従来のシーラー組成物は、施工した硬化被膜が完全に硬化するまでに時間を要するため、上層に下塗り塗料を塗装する際に、施工性の点で課題があった。また、建材の裏面のように下塗り塗料を塗装しない場合であっても、基材を積み重ねる際に、ブロッキングが起こりやすくなるという問題があった。
そこで、従来の溶剤系、水系シーラー組成物よりも施工性に優れるエネルギー線硬化型シーラー組成物が発明されている(特許文献1、2)。
特開2006−22172号公報 特開2003−238844号公報
ところで、寒冷地において建材を構造物の壁面に用いる際、室内と外気の気温差によって、建材裏面が特に結露しやすく、その水分が基材に滲み込み凍結と融解を繰り返すことで、基材劣化が促進するという問題がある。よって、寒冷地に用いられる建材には、特に耐水性、耐透水性、耐凍結融解性が求められる。
しかしながら、特許文献1、2のシーラー組成物は耐水性の点で課題があり、特にシーラー組成物を建材の裏面に用いた際に、結露等によって水分が生じると、シーラー層のみでは耐水性が不十分なため基材(建材)との密着性が劣化し、水分が基材に滲み込むことを防ぐことが出来ず、寒冷地における基材劣化を防ぐことが出来なかった。また、基材に滲み込んだ水分が凍結・融解を繰り返すことで基材にひび割れが発生すると、シーラー層が追従できず割れが発生し、より一層基材劣化が促進される問題があった。
さらに、窯業系建材等の無機建材は、不燃建材板として内装のほか、外装、屋根等に広く使用されている。このため無機建材では、上述した寒冷地での基材劣化がより問題となる。
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、施工性、耐ブロッキング性、耐水性、耐透水性、耐凍結融解性に優れ、揮発性有機化合物を低減できる(低VOC化できる)、無機建材などの建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物、該シーラー組成物から形成された硬化被膜を有する被膜付き建材、および建材の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
ポリイソシアネート(a1)と、分子量60以上620以下である低分子ジオール(a2)と、水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)と、を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、
ポリイソシアネート(B)と、
光重合開始剤(C)と
を含有することを特徴とする建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
[2]
前記ポリイソシアネート(B)が、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜400重量部の範囲内で含まれることを特徴とする前記[1]に記載の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
[3]
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)の分子量が、500以上20,000以下であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
[4]
更に、光重合性不飽和基を有するモノマー(D)を含有することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
[5]
前記建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物が、無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
[6]
基材表面の少なくとも一部に、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物から形成された硬化被膜を有することを特徴とする被膜付き建材。
[7]
基材表面の少なくとも一部に、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を塗装した後、当該塗装面にエネルギー線を照射して該組成物を硬化させ、硬化被膜を形成させることを特徴とする被膜付き建材の製造方法。
本発明の無機建材などの建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物から得られた硬化被膜は、密着性、耐水性、耐透水性、耐凍結融解性、耐ブロッキング性に優れる。特に、エネルギー線硬化型であるため、施工性に優れ、工場での生産性の向上に寄与する。また、低VOC化も可能であり、環境対応に優れた建材を得ることが出来る。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本発明書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタアクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタアクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、光重合性不飽和基とは、光により重合反応に関与する不飽和基を意味する。
[建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物]
本実施形態に係る建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物は、ポリイソシアネート(a1)と、分子量60以上620以下の低分子ジオール(a2)と、水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)とを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、前記成分(a1)と同一または異なっても良いポリイソシアネート(B)と、光重合開始剤(C)とを必須成分とすることを特徴とする。本発明の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物は、エネルギー線硬化型であるため耐ブロッキング性、施工性に優れ、低VOC化も可能である。以下、各成分について説明する。
<ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)(成分(A))>
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)(以下、成分(A)あるいは樹脂(A)ともいう)は、少なくとも、ポリイソシアネート(a1)と、分子量60以上620以下の低分子ジオール(a2)と、水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)とを必須成分とした化合物の混合物を反応させて得られる樹脂である。本明細書において、樹脂(A)にはオリゴマーも含む。樹脂(A)の分子量は、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)にて測定される重量平均分子量を指す。樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、通常500以上20,000以下、好ましくは600以上8,000以下、特に好ましくは650以上4,000以下である。
成分(A)は、光重合性不飽和基((メタ)アクリロイル基)と、ウレタン結合とを有する。成分(A)は分子量60以上620以下の低分子ジオール(a2)からなる構成単位を有しており、より高分子のジオールを用いた場合と比較してウレタン結合量が多い。このような成分(A)を用いると、硬化塗膜としたときに硬度と柔軟性のバランスが良く、耐水性、密着性、耐透水性、耐凍結融解性、耐ブロッキング性に優れている。ウレタン結合量が多いと、硬化被膜としたときに架橋密度が高くなるため、上記特性が向上すると考えられる。
(ポリイソシアネート(a1)(成分(a1)))
ポリイソシアネート(a1)(成分(a1))としては、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する従来公知のポリイソシアネート化合物を用いることが出来る。
成分(a1)としては、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI]、トリレンジイソシアネート[TDI]、キシレンジイソシアネート[XDI]、p−フェニレンジイソシアネート[PPDI]、3,3'−ジメチルジフェニル−4,4'−ジイソシアネート[TODI]、ジアニシジンジイソシアネート[DADI]、テトラメチルキシレンジイソシアネート[TMXDI]、ナフタレンジイソシアネート[NDI]等の芳香族ジイソシアネート;
水添ジフェニルメタンジイソシアネート[HMDI]、水添キシレンジイソシアネート[HXDI]、水添トルエンジイソシアネート[HTDI]、イソホロンジイソシアネート[IPDI]、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート[HDI]、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート[TMHMDI]等の脂肪族ジイソシアネート等、
トリフェニルメタントリイソシアネート等のトリイソシアネート;
これらのポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、ビュレット体、アダクト体等の変性体や、ポリメリックイソシアネート等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、イソシアヌレート体とは、上記ジイソシアネートの三量体をいい、ビュレット体とは、上記ジイソシアネートと水または三級アルコールとの反応物をいい、アダクト体とは、ジイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオールとの付加体をいう。また、ポリメリックイソシアネートとは、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)をいう。
上記したポリイソシアネートのなかでも、硬化被膜の耐水性、密着性、耐透水性、耐凍結融解性を向上させる観点から、芳香族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートが好ましく、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
この様なポリイソシアネートは、1種単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
(分子量60以上620以下の低分子ジオール(a2)(成分(a2)))
分子量60以上620以下の低分子ジオール(a2)(成分(a2))としては、水酸基を2個有する従来公知のジオール化合物を用いることが出来る。なお、分子量は、従来公知の方法によって測定可能であり、例えば、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求められる。なお、成分(a2)が、ポリエーテルグリコール等の分子量分布を有する物質である場合、その分子量は、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)にて測定される重量平均分子量を指す。
成分(a2)の分子量の上限は、好ましくは550、より好ましくは450、さらに好ましくは400、さらにより好ましくは350、特に好ましくは200である。
成分(a2)としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール,2,3−ブタンジオール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、その他アルカンジオール等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルグリコール等の脂肪族ジオール;
シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式脂肪族ジオール;
キシレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノールA等の芳香族ジオール;
ポリカプロラクトンジオールなどのうち、分子量が60〜620の範囲内であるものが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
上記したジオールの中でも、硬化塗膜の硬度と柔軟性のバランスを良く保ち、耐水性、密着性、耐透水性、耐凍結融解性、耐ブロッキング性を向上させる観点から、アルカンジオール(C2−C9)、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールが好ましい。このようなジオールは、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)(成分(a3)))
水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)(成分(a3))としては、水酸基を1個以上有する(メタ)アクリレートを用いることが出来る。
成分(a3)としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が2〜7であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基末端(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン単量体を開環重合させて得られるカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
上記した水酸基含有(メタ)アクリレートの中でも、硬化塗膜の硬度および硬化性の観点から、2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
このような水酸基含有(メタ)アクリレートは、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(成分(a1)〜(a3)の割合)
成分(A)を合成するには、上記ポリイソシアネート(a1)のイソシアネート基のモル数(NCO)と、上記低分子ジオール(a2)の水酸基のモル数および上記水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)の水酸基のモル数の合計(OH)との比が、[OH]/[NCO]=0.8〜1.4の範囲となる比率で反応させることが好ましく、1.0〜1.2の範囲となる比率で反応させることがより好ましい。
このようなウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、硬化塗膜の耐水性、密着性、耐透水性、耐凍結融解性、耐ブロッキング性をバランス良く向上させることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、成分(a1)がジイソシアネートであり、成分(a3)が水酸基を1個有する(メタ)アクリレートである場合、たとえば、式(1)の繰り返し単位からなる構造を含む。成分(A)の分子の末端は、式(1)の*側はたとえば式(2)の構造単位と結合しており、式(1)の**側はたとえば式(3)の構造単位と結合している。上記繰り返し単位は、成分(A)の分子量が上述した範囲となるように繰り返される。
Figure 0006853017
Figure 0006853017
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式(1)〜(3)において、X〜Zは2価基である。Xはジオール(HO−X−OH)の脱OH残基であり、Yはジイソシアネート(OCN−Y−NCO)の脱NCO残基であり、Zは水酸基を1個有する(メタ)アクリレート(HO−Z−OC(=O)−CR=CH2)の脱(メタ)アクリロイルオキシおよび脱OH残基である。Rは、水素原子またはメチル基を表す。
なお、構造単位(1)は成分(a1)および成分(a2)に由来し、構造単位(2)は成分(a1)および成分(a3)に由来し、構造単位(3)は成分(a3)に由来するため、ジイソシアネート(OCN−Y−NCO)は成分(a1)についてのジイソシアネートの例示から選ばれ、ジオール(HO−X−OH)は成分(a2)についての例示から選ばれ、水酸基を1個有する(メタ)アクリレート(HO−Z−OC(=O)−CR=CH2)は成分(a3)についての水酸基を1個有する(メタ)アクリレートの例示から選ばれる。
<ポリイソシアネート(B)(成分(B))>
ポリイソシアネート(B)(成分(B))は、上記成分(a1)と同一であっても異なっていてもよい。
ポリイソシアネート(B)のNCO基は、シーラー組成物が硬化して硬化被膜となる際に、基材や空気中の水分と反応しウレア結合を生成して基材を強化すると考えられる。これにより、本発明のシーラー組成物から得られる硬化被膜においては密着性、耐水性、耐透水性、耐凍結融解性が向上すると考えられる。
また、寒冷地において建材を構造物の壁面に用いる際、室内と外気の気温差によって、建材裏面が特に結露しやすく、その水分が基材に滲み込み凍結と融解を繰り返すことで、基材劣化が促進するという問題がある。これに対して、本発明のようにポリイソシアネート(B)を含むシーラー組成物を用いて基材に硬化被膜を形成させると、もし水分が基材に滲み込み、凍結と融解を繰り返して基材にひび割れが発生したとしても、硬化被膜がひび割れに追従するため、基材の劣化を抑制することができる(耐透水性、耐凍結融解性に優れる)と考えられる。
ポリイソシアネート(B)としては、具体的には成分(a1)の説明で記載したものと同様のものが挙げられる。
前述のポリイソシアネートのなかでも、硬化被膜の密着性、耐水性、耐透水性、耐凍結融解性、塗装作業性、シーラー組成物のポットライフの観点から、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートや、これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体、ビュレット体、アダクト体が好ましい。
この様なポリイソシアネートは、1種単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、成分(B)としては、溶剤との混合物として市販されているポリイソシアネートを用いてもよい。低VOC化のため、本発明のシーラー組成物を無溶剤型とする観点からは、溶剤との混合物となっていない成分(B)を用いることが好ましい。
ポリイソシアネート(B)は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜400重量部、より好ましくは1〜300重量部の量でシーラー組成物中に含まれていることが望ましい。
<光重合開始剤(C)(成分(C))>
光重合開始剤(C)(成分(C))としては、従来公知のものを用いることができる。
成分(C)としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系光重合開始剤;
ベンジルジメチルケタール(別名、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、ジエトキシアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル- ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系光重合開始剤;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;
チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
このような光重合開始剤(C)は、1種単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のような光重合開始剤(C)は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部の量でシーラー組成物中に含まれていることが望ましい。
<光重合性不飽和基を有するモノマー(D)(成分(D))>
本発明の建材用エネルギー線硬化型樹脂組成物は、更に光重合性不飽和基を有するモノマー(D)(成分(D))を含有していてもよい。成分(D)は、反応性希釈剤としての役割を有しており、シーラー組成物の粘度を下げ、施工性を向上させることができる。
成分(D)としては、たとえば、トリプロピレングリコールジアクリレート、アクリロイルモルフォリン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
成分(D)は、成分(A)を合成する際に、前述の(a1)〜(a3)成分に加えられていてもよい。その場合は、水酸基を有しない(メタ)アクリレートを選択して用いる。いいかえると、水酸基を有しない成分(D)の場合は、成分(A)の合成後に他の成分とともに配合してもよいが、成分(A)を合成する際に、前述の成分(a1)〜(a3)に配合してもよい。一方、水酸基を有する成分(D)の場合は、成分(A)の合成後に配合することが望ましい。
上記した光重合性不飽和基を有するモノマーの中でも、粘度調整(ハンドリング)と硬化性の観点から、トリプロピレングリコールジアクリレート、アクリロイルモルフォリン、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の3官能以下のモノマーが好ましい。
このような光重合性不飽和基を有するモノマー(D)は、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のような光重合性不飽和基を有するモノマー(D)を用いる場合は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0重量部を超え180重量部以下、より好ましくは0重量部を超え100重量部以下の量でシーラー組成物中に配合することが望ましい。
<その他の成分>
本発明の建材用シーラー組成物中には、上記成分(A)〜(D)の他に、さらに必要に応じて、体質顔料、着色顔料、分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、重合禁止剤、溶剤などを用いることができる。
(体質顔料、着色顔料)
体質顔料は、充填剤としての役割も有しており、タルク、ネフェリン閃長岩、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、マイカ等を用いることができ、着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄(弁柄)等を用いることができるが、これに限定されるものではない。このような体質顔料および着色顔料は、それぞれ1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これら体質顔料および着色顔料は、下地を隠ぺいする役割のほか、硬化被膜の耐透水性を向上させる効果を有している。
体質顔料および着色顔料を用いる場合は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0重量部を超え180重量部以下、より好ましくは0重量部を超え120重量部以下の量でシーラー組成物中に配合することが望ましい。
(重合禁止剤など)
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカルビトール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、重合禁止剤は、それぞれ1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、重合禁止剤を用いる場合は、それぞれ成分(A)100重量部に対して、好ましくは0重量部を超え4重量部以下、より好ましくは0重量部を超え0.5重量部以下の量でシーラー組成物中に配合することが望ましい。
(溶剤)
溶剤としては、特に限定されないが、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、メトキシプロピルアセテート等が挙げられる。このような溶剤は、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
溶剤は、上述のように成分(B)の混合物としてシーラー組成物に配合されてもよい。
溶剤を用いる場合は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0重量部を超え100重量部以下、より好ましくは0重量部を超え20重量部以下の量でシーラー組成物中に配合することが望ましい。
なお、低VOC化のため、本発明のシーラー組成物を無溶剤型とする観点からは、溶剤とを用いないことが好ましい。
<粘度>
本発明の建材用シーラー組成物の粘度は特に限定されないが、塗装作業性の観点から、組成物の温度20℃において、通常100〜15,000mPa・sの範囲であることが好ましい。粘度はB型粘度計によって求められる。
<建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物の調製方法>
本実施形態の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)、ポリイソシアネート(B)、光重合開始剤(C)および必要に応じて光重合性不飽和基を有するモノマー(D)、その他の成分を添加して混合することにより調製できる。
また、シーラー組成物の可使時間(ポットライフ)の観点より、ポリイソシアネート(B)以外の成分を混合して樹脂組成物を調製した後、塗装時に成分(B)を混合してシーラー組成物とすることが望ましい。
上述した建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物は、特に無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物として好適に用いられる。
[被膜付き建材およびその製造方法]
本発明の被膜付き建材は、基材表面の少なくとも一部に、上述した建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物から形成された硬化被膜を有する。本実施形態に係る被膜付き建材では、上述した建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を基材表面の少なくとも一部に塗布し、硬化させて硬化被膜を形成する。すなわち、本発明の被膜付き建材の製造方法は、基材の少なくとも片面に、上述した建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を塗装した後、当該塗装面にエネルギー線を照射して該組成物を硬化させ、硬化被膜を形成させることを特徴とする。
本発明の被膜付き建材ならびに本発明の被膜付き建材の製造方法で得られた被膜付き建材は、硬化被膜を基材表面の少なくとも一部に有していればよい。なお、ここでいう表面とは、基材の主面または端面を指し、好ましくは主面である。主面とは、板状基材においては、基材の前面または背面(裏面)を指す。
硬化被膜の膜厚は、特に限定されないが、3〜60μmが好ましい。
<基材>
基材としては、珪酸カルシウム板、スレート板、繊維セメント板、軽量コンクリート板、モルタル板、石膏板、石材、ガラス、タイル、瓦、レンガ、窯業系サイディング材等の無機基材、金属系サイディング材、鋼、ステンレス、アルミ等の金属系基材、合成樹脂、木材、紙等の有機質基材およびこれら複数の基材から得られる複合基材が挙げられる。本発明では、基材として、従来公知の建材がいずれも好適に用いられ、無機建材がより好適に用いられる。
<塗装方法>
建材用シーラー組成物の塗装方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば、スポンジロールコーター、ナチュラルロールコーター、リバースロールコーター、カーテンフローコーター、ナイフコーター、ダイコーター、エアースプレー、エアレススプレー、ローラー、刷毛塗り、浸漬などが挙げられ、適宜選択することができる。中でも、スポンジロールコーターを用いると、基材への塗布量を多くすることができ、耐水性、耐透水性などの塗膜性能が向上するため好ましい。
シーラー組成物の塗布量は、通常1.0〜220g/m2であり、複数回シーラー組成物を塗り重ねてもよい。
<エネルギー線照射>
本発明に係る建材用シーラー組成物は、基材に塗装された後、エネルギー線照射により硬化することができる。エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線などの光線に加えて、X線、γ線などの電磁波、電子線、プロトン線、中性子線などが挙げられ、中でも、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格などの面から、紫外線が好ましい。
エネルギー線で硬化させる方法としては、75〜2,600nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、30〜3,000mJ/cm2ほど照射する方法などが挙げられる。
<他のシーラー組成物、下塗り塗料および上塗り塗料>
本発明のシーラー組成物を塗装、硬化させ硬化被膜を形成した後、必要に応じて他のシーラー組成物、下塗り塗料、上塗り塗料などを適宜選択して塗装することができる。また、本発明のシーラー組成物を、他のシーラー組成物から形成された硬化被膜を有する建材上に塗装してもよい。
このようにして得られた被膜付き建材(たとえば被膜付き無機建材)は、上述した建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物から形成された硬化被膜を有するため、密着性、耐水性、耐透水性、耐凍結融解性、耐ブロッキング性に優れる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下にウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)の合成例について説明する。
<合成例1>
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、この反応容器に成分(a2)として、1,4−ブタンジオール(三菱化学(株)製、分子量90) 45.0重量部と、成分(a3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116) 121.8重量部と、成分(D)として、TPGDA(ダイセル・オルネクス(株)製、トリプロピレングリコールジアクリレート、分子量300) 85.2重量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.1重量部及びグレックTL(DIC社製、ジブチル錫ジラウレート) 0.2重量部を仕込み、75℃に昇温後75〜80℃に保温し、成分(a1)として、コロネートT−80(東ソー(株)製、トリレンジイソシアネート、分子量174)174.0重量部を3時間で均一に滴下し反応させた。
滴下完了後約2時間反応を継続し、IR測定によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、固形分が約100%のウレタンアクリレート樹脂を含む樹脂組成物を得た。その内、反応性希釈剤である成分(D)を除いたウレタンアクリレート樹脂(A)は、89.7重量%であった。ウレタンアクリレート樹脂(A)のゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)にて測定された重量平均分子量は979であった。測定条件は以下の通りである。
装置:東ソー(株)製HLC−8220GPC
カラム:東ソー(株)製Super H2000+H4000(各内径6mm 長さ15cm)
展開溶媒:THF
カラム恒温槽温度:40℃
流速:0.5ml/min
対照:単分散ポリスチレン
また、成分(a1)のイソシアネート基のモル数(NCO)と、成分(a2)の水酸基のモル数および成分(a3)の水酸基のモル数の合計(OH)の比は、[OH]/[NCO]=1.025であった。
<合成例2>
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、この反応容器に成分(a2)として、エチレングリコール(三菱化学(株)製、分子量62) 31.0重量部と、成分(a3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116) 121.8重量部と、成分(D)として、TPGDA(ダイセル・オルネクス(株)製、トリプロピレングリコールジアクリレート、分子量300) 81.7重量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.1重量部及びグレックTL(DIC社製、ジブチル錫ジラウレート) 0.2重量部を仕込み、75℃に昇温後75〜80℃に保温し、成分(a1)として、コロネートT−80(東ソー(株)製、トリレンジイソシアネート、分子量174)174.0重量部を3時間で均一に滴下し反応させた。
滴下完了後約2時間反応を継続し、IR測定によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、固形分が約100%のウレタンアクリレート樹脂を含む樹脂組成物を得た。その内、反応性希釈剤である成分(D)を除いたウレタンアクリレート樹脂(A)は、80.0重量%であった。ウレタンアクリレート樹脂(A)のゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)にて測定された重量平均分子量は780であった。測定条件は合成例1と同じである。
また、成分(a1)のイソシアネート基のモル数(NCO)と、成分(a2)の水酸基のモル数および成分(a3)の水酸基のモル数の合計(OH)の比は、[OH]/[NCO]=1.0であった。
<合成例3>
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、この反応容器に成分(a2)として、サンニックスPP−400(三洋化成工業(株)製、ポリプロピレングリコール、分子量400) 204.0重量部と、成分(a3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116) 121.8重量部と、成分(D)として、TPGDA(ダイセル・オルネクス(株)製、トリプロピレングリコールジアクリレート、分子量300) 124.8重量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.3重量部及びグレックTL(DIC社製、ジブチル錫ジラウレート) 0.3重量部を仕込み、75℃に昇温後75〜80℃に保温し、成分(a1)として、コロネートT−80(東ソー(株)製、トリレンジイソシアネート、分子量174)174.0重量部を3時間で均一に滴下し反応させた。
滴下完了後約2時間反応を継続し、IR測定によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、固形分が約100%のウレタンアクリレート樹脂を含む樹脂組成物を得た。その内、反応性希釈剤である成分(D)を除いたウレタンアクリレート樹脂(A)は、80.0重量%であった。ウレタンアクリレート樹脂(A)のゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)にて測定された重量平均分子量は1,383であった。測定条件は合成例1と同じである。
また、成分(a1)のイソシアネート基のモル数(NCO)と、成分(a2)の水酸基のモル数および成分(a3)の水酸基のモル数の合計(OH)の比は、[OH]/[NCO]=1.0であった。
<比較合成例1>
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、この反応容器に成分(a2)の比較として、PTG−650(BASF社製、ポリテトラメチレングリコール、分子量650) 325重量部と、成分(a3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート 121.8重量部と、成分(D)として、TPGDA 155.2重量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.2重量部及びグレックTL 0.3重量部を仕込み、75℃に昇温後75〜80℃に保温し、成分(a1)として、コロネートT−80 174.0重量部を3時間で均一に滴下し反応させた。
滴下完了後約2時間反応を継続し、IR測定によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、固形分が約100%のウレタンアクリレート樹脂を含む樹脂組成物を得た。その内、反応性希釈剤である成分(D)を除いたウレタンアクリレート樹脂は、80.0重量%であった。ウレタンアクリレート樹脂のゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)にて測定された重量平均分子量は4,628であった。測定条件は以下の通りである。
装置:東ソー(株)製HLC−8220GPC
カラム:東ソー(株)製Super H2000+H4000(各内径6mm 長さ15cm)
展開溶媒:THF
カラム恒温槽温度:40℃
流速:0.5ml/min
対照:単分散ポリスチレン
また、成分(a1)のイソシアネート基のモル数(NCO)と、成分(a2)の比較成分の水酸基のモル数および成分(a3)の水酸基のモル数の合計(OH)の比は、[OH]/[NCO]=1.025であった。
以下に建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物の製造例について説明する。
<実施例1>
合成例1で得られた樹脂組成物50重量部[うち成分(A)であるウレタンアクリレート樹脂 45重量部、成分(D)であるTPGDA 5重量部]、成分(C)として、DAROCURE 1173(BASF社製、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン) 5.2重量部およびイルガキュア651(BASF社製、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン) 1.8重量部、成分(D)として、ACMO(KJケミカルズ(株)製、アクリロイルモルフォリン) 8重量部およびTPGDA(ダイセル・オルネクス(株)製、トリプロピレングリコールジアクリレート) 10重量部を加えた容器に、体質顔料として、MINEX10(UNIMIN CORPORATION社製、ネフェリン閃長岩) 30重量部およびハイミクロンG(富士タルク工業(株)製、タルク) 5重量部を加え、撹拌して樹脂組成物を得た。更に、成分(B)として、デュラネート TPA−100(旭化成ケミカルズ(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体) 10重量部を加え調製し、建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を得た。
<実施例2〜10、比較例1、2>
実施例2〜8、比較例1では、成分(B)を表1に示す成分・配合量に変えたほかは、実施例1と同様にして建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を得た。
実施例9、10では、合成例1で得られた樹脂組成物を合成例2または3で得られた樹脂組成物50重量部[うち成分(A)であるウレタンアクリレート樹脂 40重量部、成分(D)であるTPGDA 10重量部]に変えたほかは、実施例1と同様にして建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を得た。
比較例2では、合成例1で得られた樹脂組成物を比較合成例で得られた樹脂組成物50重量部[うちウレタンアクリレート樹脂 40重量部、成分(D)であるTPGDA 10重量部]に変えたほかは、実施例1と同様にして建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を得た。用いた成分を以下に示す。
成分(B)
「コロネート HL」(東ソー(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体)固形分は75%であり、酢酸エチル25%との混合物である。
「スミジュール N75」(住化バイエルウレタン(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体)固形分は75%であり、キシレン12.5%およびメトキシプロピルアセテート12.5%との混合物である。
「コスモネート T−80」(三井化学(株)製、トリレンジイソシアネート)
「SBU イソシアネート J243」(住化バイエルウレタン(株)製、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)の混合物)
「タケネート D110N−75」(三井化学(株)製、キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)
<被膜付き無機建材の作製>
無機建材板(珪酸カルシウム板)に、実施例1〜10、比較例1、2で得られた建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を、スポンジロールコーターを用い、44g/m2の塗布量で塗装した。更に、アイグラフィック社製の高圧水銀灯(80W/cm)を用いて、積算光量が100mJ/cm2となる量で紫外線を照射し、塗膜を硬化させて被膜付き無機建材を得た。この紫外線照射の際において、光源と塗膜との距離は15cm、無機建材板の移動速度は、5m/分であった。また、硬化被膜の膜厚は40μmであった。
<評価方法>
得られた被膜付き無機基材をダイヤモンドカッターで200×100mmの大きさに切断して試験片を作製し、以下に示す評価試験を行った。
(密着性)
硬化被膜の無機建材への密着性を評価するため、JIS K5400に基づき、碁盤目試験を行った。具体的には、試験片の硬化被膜上にカッターで4mm幅、25マスの傷を入れ、碁盤目を付けた試験片を作製し、「セロテープ(登録商標)」を試験片に貼りつけた後、テープを剥離させ、剥離した硬化被膜の面積で、密着性の評価を行った。評価基準が△以上であるものを合格とした。
評価基準(初期密着性/碁盤目試験)
○・・・剥離面積6%未満
△・・・剥離面積6%以上 10%未満
×・・・剥離面積10%以上
(耐水性)
硬化被膜の耐水性を評価するため、耐温水試験を行った。具体的には、試験片を60℃の温水に240時間浸漬させた後、硬化被膜外観の目視評価を行った。また、240時間浸漬後の試験片に対して碁盤目試験(前述の試験と同様の方法)を行い、耐温水試験後の密着性を評価した。評価基準が△以上であるものを合格とした。
評価基準(外観/目視)
○・・・剥離、ワレ、フクレがなく良好
△・・・剥離やワレ、フクレが僅かにあるが良好
×・・・剥離やワレ、フクレが多く不良
評価基準(耐水試験240時間後の密着性/碁盤目試験)
◎・・・剥離面積3%未満
○・・・剥離面積3%以上 6%未満
△・・・剥離面積6%以上 10%未満
×・・・剥離面積10%以上
(耐凍結融解性)
硬化被膜の耐凍結融解性を評価するため、耐凍結融解試験を行った。具体的には、試験片を−20℃の空気中で2時間冷却した後、20℃の水中で2時間浸漬する操作を1サイクルとし、100サイクル後および200サイクル後の時点における硬化被膜外観の目視評価を行った。また、100サイクル後および200サイクル後の試験片に対して碁盤目試験(前述の試験と同様の方法)を行い、耐凍結融解性試験後の密着性を評価した。評価基準が△以上であるものを合格とした。
評価基準(外観/目視)
○・・・剥離、ワレ、フクレがなく良好
△・・・剥離やワレ、フクレが僅かにあるが良好
×・・・剥離やワレ、フクレが多く不良
評価基準(耐凍結融解試験100サイクル後および200サイクル後の密着性/碁盤目試験)
○・・・剥離面積6%未満
△・・・剥離面積6%以上 10%未満
×・・・剥離面積10%以上
<試験結果>
実施例1〜10および比較例1、2について、それぞれの試験評価を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜10で得られた建材用シーラー組成物からなる硬化被膜は、いずれも密着性、耐水性、耐凍結融解性に優れていた。
一方、成分(B)を含まない比較例1では、耐凍結融解性が不良となった。また、成分(a2)である低分子ジオールの代わりに、高分子ジオールを用いた比較例2では、耐水性および耐凍結融解性が不良となった。本発明のように成分(a2)から得られる成分(A)と成分(B)とを組み合わせることにより、耐水性とともに耐凍結融解性に優れる硬化被膜が形成されると考えられる。
Figure 0006853017
※1 合成例1〜3、比較合成例1において、樹脂合成時に添加した成分(D)である。
本発明の建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物は、壁材、床材、屋根材などの各種用途に用いられる、無機基材、有機質基材、複合基材等の、建築物の各種内外装用建材基材に適用することができる。また本発明によれば、当該シーラー組成物により硬化被膜を形成した、各種内外装用建材として好適に使用できる被膜付き建材を提供することができる。

Claims (7)

  1. ポリイソシアネート(a1)と、分子量60以上620以下である低分子ジオール(a2)と、水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)と、を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、
    ポリイソシアネート(B)と、
    光重合開始剤(C)と
    を含有し、前記低分子ジオール(a2)が、アルカンジオール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオールであることを特徴とする無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
  2. 前記ポリイソシアネート(B)が、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜400重量部の範囲内で含まれることを特徴とする請求項1に記載の無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
  3. 前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)の分子量が、500以上20,000以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
  4. 更に、光重合性不飽和基を有するモノマー(D)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
  5. 前記低分子ジオール(a2)の分子量が60以上200以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物。
  6. 基材表面の少なくとも一部に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物から形成された硬化被膜を有することを特徴とする被膜付き建材。
  7. 基材表面の少なくとも一部に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無機建材用エネルギー線硬化型シーラー組成物を塗装した後、当該塗装面にエネルギー線を照射して該組成物を硬化させ、硬化被膜を形成させることを特徴とする被膜付き建材の製造方法。
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