JP6851399B2 - 義歯床用コーティング組成物、コーティング膜付き義歯床、有床義歯、及び、コーティング膜付き義歯床の製造方法 - Google Patents

義歯床用コーティング組成物、コーティング膜付き義歯床、有床義歯、及び、コーティング膜付き義歯床の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、義歯床用コーティング組成物、コーティング膜付き義歯床、有床義歯、及び、コーティング膜付き義歯床の製造方法に関する。
義歯床と、義歯床上に形成された人工歯とを備える有床義歯が知られている。義歯床の材料としては、有床義歯を装着する者の顎等への衝撃を緩和する目的で、適度な柔軟性を有する樹脂が用いられることがある。特許文献1には、義歯床に用いられる軟質系材料として「(メタ)アクリル系重合性単量体(a)、ハイドロパーオキサイド化合物(b)、チオ尿素誘導体(c)、遷移金属化合物(d)、軟化剤(e)及びシリカ粉末(f)を含有してなる歯科用重合性組成物。」が記載されている。
特開2016−98202号公報
特許文献1に記載されるような(メタ)アクリル系重合性単量体を含有する組成物を硬化させて得られる(メタ)アクリル系重合体からなる義歯床は、適度な柔軟性を有するものの、上記のような義歯床には、傷が付きやすく、また、口腔内の菌が付着しやすいという問題があることを本発明者らは知見した。
そこで、本発明は、義歯床上に優れた耐傷性、及び、優れた菌付着抑制性を有するコーティング膜を形成することができる(以下、「本発明の効果を有する」ともいう。)義歯床用コーティング組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、コーティング膜付き義歯床、有床義歯、及び、コーティング膜付き義歯床の製造方法を提供することも課題とする。
なお、本明細書において、耐傷性、及び、菌付着抑制性とは、実施例に記載の方法により評価される、コーティング膜(又は、比較としての義歯床自体)の物性を意図する。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 式(1−0)で表される第一化合物、及び、式(2−0)で表される第二化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する義歯床用コーティング組成物。
[2] 第二化合物が式(2−01)で表される化合物、及び、式(2−02)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載の義歯床用コーティング組成物。
[3] 第一化合物が式(1−01)で表される化合物であり、第二化合物が式(2)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の義歯床用コーティング組成物。
[4] 第一化合物が式(1−1)で表される化合物、又は、式(1−2)で表される化合物であり、第二化合物が式(2−1)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の義歯床用コーティング組成物。
[5] 第一化合物、及び、第二化合物を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の義歯床用コーティング組成物。
[6] 義歯床用コーティング組成物中における、第二化合物の含有量に対する、第一化合物の含有量の含有質量比が10/90〜90/10である、[5]に記載の義歯床用コーティング組成物。
[7] 更に、重合開始剤を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の義歯床用コーティング組成物。
[8] 義歯床と、義歯床上に形成された、[1]〜[7]のいずれかに記載の義歯床用コーティング組成物を硬化させたコーティング膜と、を備えるコーティング膜付き義歯床。
[9] コーティング膜側の義歯床の表面の算術平均粗さRaが30〜1000nmである、[8]に記載のコーティング膜付き義歯床。
[10] 義歯床が、表面処理剤で処理された表面処理済み義歯床である、[8]又は[9]に記載のコーティング膜付き義歯床。
[11] 表面処理剤は有機溶剤を含有し、有機溶剤の主成分が、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である、[10]に記載のコーティング膜付き義歯床。
[12] 有機溶剤の主成分が、アセトン、及び、メチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種である、[11]に記載のコーティング膜付き義歯床。
[13] [8]〜[12]のいずれかに記載のコーティング膜付き義歯床を備える、有床義歯。
[14] 義歯床と、義歯床上に形成されたコーティング膜と、を備えるコーティング膜付き義歯床の製造方法であって、[1]〜[7]のいずれかに記載の義歯床用コーティング組成物を、義歯床上に塗布して、義歯床用コーティング組成物層を得る工程Aと、義歯床用コーティング組成物層に、エネルギーを付与して義歯床用コーティング組成物層を硬化させ、コーティング膜を得る工程Bと、を含有するコーティング膜付き義歯床の製造方法。
[15] 工程Aの前に、義歯床を表面処理する工程Sを更に有する、コーティング膜付き義歯床の製造方法。
[16] 工程Sが、義歯床の表面に表面処理剤を接触させる工程である、[15]に記載の義歯床の製造方法。
[17] 表面処理剤が、有機溶剤を含有し、有機溶剤の主成分が、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である、[16]に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
[18] 有機溶剤の主成分が、アセトン、及び、メチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種である、[17]に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
本発明によれば、義歯床上に優れた耐傷性、及び、優れた菌付着抑制性を有するコーティング膜を形成することができる、義歯床用コーティング組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、コーティング膜付き義歯床、有床義歯、及び、コーティング膜付き義歯床の製造方法を提供することもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を含有しないものと共に置換基を含有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を含有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を含有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
また、本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、遠紫外線、極紫外線(EUV:Extreme ultraviolet)、紫外線、可視光線、X線、及び、電子線等を意味する。また本明細書において「光」とは、活性光線及び放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、遠紫外線、紫外線、可視光線、X線、並びにEUV等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も包含する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタアクリレートを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミドを表す。
[義歯床用コーティング組成物]
本発明の実施形態に係る義歯床用コーティング組成物は、後述する式(1−0)で表される第一化合物、及び、後述する式(2−0)で表される第二化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
上記実施形態に係る義歯床用コーティング組成物が本発明の効果を有する機序は、必ずしも明らかではないが、本発明者らが推測する機序について以下に説明する。ただし、本発明は、以下の機序により本発明の効果が得られるものに限定されない。言い換えれば、下記の機序以外の機序により本発明の効果が得られる場合であっても、本発明の範囲に含まれる。
義歯床が(メタ)アクリル系重合体のような軟質系材料で形成される場合、ブラッシング等によって、義歯床が傷つくことがある。義歯床が傷つくと、美感が損なわれることに加え、義歯床表面に形成された凹凸により、口腔内の細菌がより繁殖し、より付着しやすい状態となると推測される。義歯床に細菌が付着すると、有床義歯を使用する者の口腔内に炎症を生じ、有床義歯を使用する者の口臭の原因となること等が考えられる。
また、(メタ)アクリル系重合体は、疎水性であるため、口腔内の細菌、特に、カンジダ菌(例えば、C.albicans等)、う蝕原因菌(例えば、Streptococcus mutans、Streptococcus sobrinus、 Lactobacillus、及び、Actinomyces naeslundii等)、並びに、歯周病菌(例えば、Porphyromonas gingivalis、Tannerella forsythensis、Treponema denticola、Prevotella intermedia、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、及び、Fusobacterium nucleatum等)等がより付着しやすいものと推測される。
上記実施形態に係る義歯床用コーティング組成物は、下記式(1−0)で表される第一化合物、及び/又は、下記式(2−0)で表される第二化合物を含有する。上記化合物は、より平滑で強固なコーティング膜を形成することができるため、上記義歯床用コーティング組成物によって形成されたコーティング膜を備える義歯床(コーティング膜付き義歯床)は優れた耐傷性を有するものと推測される。また、コーティング膜の表面が平滑であることに加え、第一化合物、及び/又は、第二化合物の作用によりコーティング膜が親水性を有するため、口腔内の細菌、特に、カンジダ菌、う蝕原因菌(例えば、Streptococcus mutans、Streptococcus sobrinus、 Lactobacillus、及び、Actinomyces naeslundii等)、並びに、歯周病菌(例えば、Porphyromonas gingivalis、Tannerella forsythensis、Treponema denticola、Prevotella intermedia、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、及び、Fusobacterium nucleatum等)等が付着しにくくなるものと推測される。従って、上記コーティング膜付き義歯床は、優れた菌付着抑制性を有するものと推測される。
以下では、上記実施形態に係る義歯床用コーティング組成物が含有する各成分について説明する。
〔第一化合物〕
第一化合物は、下記式(1−0)で表される化合物である。義歯床用コーティング組成物中における第一化合物の含有量としては特に制限されないが、一般に、義歯床用コーティング組成物の全固形分に対して、0.01質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限値としては、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。第一化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の第一化合物を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
義歯床用コーティング組成物が、第一化合物、及び、後述する第二化合物を含有する場合、義歯床用コーティング組成物中における後述する第二化合物の含有量に対する、第一化合物の含有量の含有質量比としては特に制限されないが、一般に、0.1/99.9〜99.9/0.1が好ましく、より優れた本発明の効果を有する義歯床用コーティング組成物が得られる点で、10/90〜90/10がより好ましい。
Figure 0006851399
式(1−0)中、R1A、及び、R1Bはそれぞれ独立に、式(1A)で表される基、又は、水素原子を表し、R1A、及び、R1Bからなる群から選択される少なくとも一方は式(1A)で表される基であり、R1A、又は、R1Bの一方が式(1A)で表される基であることが好ましい。
式(1−0)中、Rは水素原子、又は、メチル基を表し、メチル基がより好ましい。
Figure 0006851399
式(1A)中、Rは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は、i−プロピル基を表し、mは1〜4の整数を表し、3、又は、4が好ましい。nは2〜4の整数を表し、3又は4が好ましく、3がより好ましい。なお、複数あるRはそれぞれ同一でも異なってもよい。
式(1A)中、*は、式(1−0)中の窒素原子との連結位置を表す。
式(1−0)で表される化合物の具体例としては、例えば、国際公開第2016−067795号公報の0022段落に記載の化合物等が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
式(1−0)で表される第一化合物のCLogP値としては特に制限されないが、得られるコーティング膜がより優れた親水性を有し、結果として、コーティング膜がより優れた菌付着抑制性を有する点で、上限値としては−7.2未満が好ましく、−7.5以下がより好ましく、−7.8以下が更に好ましく、−8.0以下が特に好ましく、−8.2以下が最も好ましく、−8.5以下がより最も好ましく、−8.7以下が更に最も好ましく、−9.0以下が特に最も好ましい。式(1)で表される第一化合物のCLogP値の下限値としては、特に制限されないが、一般に−20以上が好ましく、−12以上がより好ましく、−10以上が更に好ましい。
なお、本明細書において、CLogP値とは、Chem Bio Craw Ultra ver.12.0(CambridgeSoft Corporation,USA)を用いて計算した「CLogP値」を意図する。
ここで、CLogP値とは、水と1−オクタノールに対する有機化合物の親和性を表す係数であるLogP値を計算により推算したものである。1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の二液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、LogP値とは、底10に対するそれらの対数LogPで表したものである。すなわち、「LogP値」とは、1−オクタノール/水の分配係数の対数値であり、分子の親疎水性を表すパラメータとして知られている。
式(1−0)で表される第一化合物の具体例を下記の表1に示す。但し、式(1−0)で表される第一化合物としてこれに制限されない。なお、表1中のCLogP値は、上述の方法により計算したものである。
Figure 0006851399
なかでも、より優れた本発明の効果を有する義歯床用コーティング組成物が得られる点で、第一化合物としては、式(1−01)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0006851399
式(1−01)中、Rは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は、i−プロピル基を表し、Rは水素原子、又は、メチル基を表し、mは1〜4の整数を表し、3又は4が好ましい。nは2〜4の整数を表し、3又は4が好ましく、3がより好ましい。なお、複数あるRはそれぞれ同一でも異なってもよい。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する義歯床用コーティング組成物が得られる点で、第一化合物としては、式(1−1)で表される化合物、又は、式(1−2)で表される化合物が更に好ましい。
Figure 0006851399
Figure 0006851399
第一化合物の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。第一化合物の製造方法としては、例えば、特開2012−187907号公報、及び、特開2012−31400号公報等に記載された合成例、及び/又は、例示化合物を参照できる。具体的には、ポリアミン化合物と(メタ)アクリル酸クロリド化合物を反応させて、アミノ基を含有する(メタ)アクリルアミド化合物を得る。そこに、所定の炭素数のスルトン化合物を反応させて、第一化合物を得ることができる。具体的には、特開2012−31400号公報の0189〜0193段落に記載された製造方法を用いることができ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
〔第二化合物〕
第二化合物は、下記式(2−0)で表される化合物である。義歯床用コーティング組成物中における第二化合物の含有量としては特に制限されないが、一般に、義歯床用コーティング組成物の全固形分に対して、0.01質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限値としては、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。第二化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の第二化合物を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
Figure 0006851399
式(2−0)中、R31は、水素原子、又は、メチル基を表し、pは2〜4の整数を表し、Lはp価の連結基を表し、複数あるR31はそれぞれ同一でも異なってもよい。
Lのp価の連結基としては特に制限されない。Lが2価の連結基である場合、例えば、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、−O−、−S−、−N(Rx)−(Rx:1価の有機基)、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−CH=N−、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、及びアルキレンカルボニルオキシ基等)等が挙げられる。
Lが3価又は4価の連結基である場合、例えば、トリメチロールプロパン残基、−(CH2−(kは例えば、2〜6の整数を表す。)を3個含有するイソシアヌル環等の3価の連結基、及び、ペンタエリスリトール残基等の4価の連結基等が挙げられる。
また、Lは以下の式(K)〜(O)で表される基であってもよく、式中、*で表される結合位置の1つ以上に水素原子が結合した基であってもよい。
Figure 0006851399
また、Lは、以下の式で表される基であってもよい。なお、*は結合位置を表す。
Figure 0006851399
上記式中、Lは、それぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、複数あるLは同一でも異なってもよい。
31は水素原子が好ましい。
第二化合物の好適形態としては式(2−01)で表される化合物、又は、式(2−02)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006851399
式(2−01)中、R31は、それぞれ独立に、水素原子、又は、メチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、−O−、炭素数2〜4のアルキレン基、又は、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。
式(2−02)中、R31は、それぞれ独立に、水素原子、又は、メチル基を表し、R21、及び、R23は、それぞれ独立に、−O−、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、これらを組み合わせた2価の連結基を表し、R22は、−O−、炭素数1〜4のアルキレン基、式(III)で表される基、又は、これらを組み合わせた2価の連結基を表し、L、及び、Lは、それぞれ独立に、単結合、又は、式(III)で表される基を表す。
式(III)中、R31は水素原子、又は、メチル基を表し、*は結合位置を表す。
21、及び、R23に隣接するアミド基中の窒素原子に隣接する位置には、炭素原子が位置することが好ましい。アミド基中の窒素原子に隣接する基としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
上記「これらを組み合わせた2価の連結基」としては、例えば、−OCH2−、−OCH2CH2−、−OCH2CH2CH2−、−OCH2CH2CH2CH2−、−CH2OCH2−、−CH2OCH2CH2−、及び、−CH2OCH2CH2CH2−等の−O−を含有する炭素数1〜4のアルキレン基;−(O−アルキレン基(炭素数1〜4))−で表される基(nは、2以上の整数を表す。上限は特に制限されないが、一般に100以下が好ましい。)等が挙げられる。
なお、「これらを組み合わせた2価の連結基」として例示した各基において、2つの結合箇所のどちらがアミド基に結合しても構わない。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する義歯床用コーティング組成物が得られる点で、R21、及び、R23としては、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、−O−と炭素数1〜4のアルキレン基とを組合せた基であることがより好ましい。
22は、−O−、炭素数1〜4のアルキレン基、式(III)で表される基、又は、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。
上記「これらを組み合わせた2価の連結基」としては、例えば、上記R21、及び、R23として説明した基が挙げられる。なお、式(III)で表される基と他の基とを組み合わせる場合は、式(III)で表される基中の窒素原子には炭素数1〜4のアルキレン基が結合することが好ましい。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する義歯床用コーティング組成物が得られる点で、R22としては、炭素数1〜4のアルキレン基、−O−と炭素数1〜4のアルキレン基とを組み合わせた基、又は、式(III)で表される基が好ましい。
、及び、Lは、それぞれ独立に、単結合、又は、式(III)で表される基を表す。R22が式(III)で表される基を表す場合には、L、及び、Lはいずれも単結合であることが好ましい。
31は水素原子が好ましい。
一般式(III)中、通常、*には炭素原子が位置する。
式(2−01)で表される化合物又は式(2−02)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0006851399
Figure 0006851399
第二化合物は式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006851399
式(2)中、R31は、それぞれ独立に、水素原子、又は、メチル基を表し、水素原子が好ましい。
32はそれぞれ独立に、エチレン基、1,2−プロピレン基、又は、1,3−プロピレン基を表し、1,3−プロピレン基が好ましい。
は0〜2の整数を表し、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
なお、複数あるR31、及び、複数あるR32はそれぞれ同一でも異なってもよく、それぞれ同一であることが好ましい。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する義歯床用コーティング組成物が得られる点で、第二化合物としては、式(2−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006851399
第二化合物の製造方法としては特に制限されず、公知の製造方法を用いることができる。第二化合物の製造方法としては、例えば、特開2013−194023号公報の0031〜0033段落に記載された方法が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
<義歯床用コーティング組成物の好適形態>
上記義歯床用コーティング組成物は、より優れた本発明の効果を有する点で、上記第一化合物、及び、上記第二化合物を含有することが好ましい。なかでも、更に優れた本発明の効果を有する点で、式(1−1)又は式(1−2)で表される第一化合物、及び、式(2−1)で表される第二化合物を含有することがより好ましい。上記好適形態に係る義歯床用コーティング組成物における第二化合物の含有量に対する、第一化合物の含有量の含有質量比の好適形態としては既に説明したとおりである。
また、上記義歯床用コーティング組成物は、より優れた本発明の効果を有する点で、含有されるモノマー及びポリマーが、第一化合物及び第二化合物からなる群から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
〔任意成分〕
本発明の実施形態に係る義歯床用コーティング組成物は、本発明の効果が得られる範囲内において、上記以外の任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、溶剤、重合開始剤、連鎖移動剤、重合性モノマー(ただし、上記第一化合物及び第二化合物を除く)、フィラー、シランカップリング剤、重合禁止剤、香料、着色剤、清涼剤、防腐剤、抗菌剤、増感剤、還元剤、及び、界面活性剤等が挙げられる。いずれも公知のものを用いることができる。
<溶剤>
上記義歯床用コーティング組成物は、溶剤を含有することが好ましい。義歯床用コーティング組成物中における溶剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、義歯床用コーティング組成物の固形分が、0.1〜100質量%となるよう調整されることが好ましく、1〜60質量%がより好ましく、3〜40質量%が更に好ましい。溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の溶剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
溶剤としては特に制限されず、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、例えば、水、又は、有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤としては特に制限されず、公知の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、及び、イソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、及び、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;オキシシラン、テトラヒドロフラン、及び、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類、アセトン、及び、メチルエチルケトン等のケトン類;塩化メチレン、及び、クロロホルム等の塩素化炭化水素類;アセトニトリル、及び、ジメチルホルムアミド等;が挙げられる。なかでも、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノールがより好ましい。
<重合開始剤>
上記義歯床用コーティング組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては特に制限されず、公知の重合開始剤を用いることができる。義歯床用コーティング組成物中における重合開始剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、義歯床用コーティング組成物の全固形分に対して、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜30質量%がより好ましく、0.1〜20質量%が更に好ましい。重合開始剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、及び、光重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ジケトン化合物(例えば、カンファーキノン)、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物(例えば、TBB(トリーnーブチルボラン))、ジスルホン酸化合物、オキシム化合物、オニウム塩化合物(例えば、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェートなど)、ヒドロキシアルキルフェノン化合物、アミノアルキルフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物(例えば、2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、及び、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等)が挙げられる。
また、熱や光を使わず、酸化還元反応でラジカルを発生させる開始剤を用いてもよい。このような開始剤としては、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイルなど)とアミン化合物(N,N−ジメチルアニリンなど)との組合せを挙げることができる。
なお、重合開始剤は、増感剤、及び/又は、還元剤と併用してもよい。
重合開始剤としては、特開2010−106268号公報の0135段落(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の0163段落)以降の記載、特開2009−13115号公報の0018〜0025段落の記載、特開2005−154312号公報の0018〜0025段落の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
増感剤としては国際公報2017−86224号の154段落の記載、特開2005−154312号公報の0024段落の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
還元剤としては、3級アミン化合物、メルカプト化合物が一般に使用される。3級アミン化合物の例としては、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリルなどを挙げることができる。メルカプト化合物の例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールなどを挙げることができる。また、特開2005−154312号公報の0025段落の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合開始剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<重合性モノマー>
上記義歯床用コーティング組成物は、得られるコーティング膜が、義歯床へのより優れた接着性を有する点で、重合性モノマーを更に含有してもよい。本明細書において重合性モノマーとは、分子内に少なくとも1つの重合性基を含有し、第一化合物及び第二化合物のいずれとも異なる化合物を意図する。
義歯床用コーティング組成物中における重合性モノマーの含有量としては特に制限されないが、一般に、義歯床用コーティング組成物の全固形分に対して、0.01〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が更に好ましい。重合性モノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合性モノマーを併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
重合性モノマーとしては歯科分野で用いられるモノマーが挙げられ、例えば、脂肪族単官能重合性モノマー、脂肪族二官能重合性モノマー、脂肪族三官能以上重合性モノマー、及び、芳香族単官能重合性モノマーが挙げられる。
脂肪族単官能重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及び、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
脂肪族二官能重合性モノマーとしては、例えば、エリスリトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、マンニトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート等が挙げられる。
脂肪族三官能以上重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族単官能重合性モノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。芳香族二官能重合性モノマーとしては、例えば2,2−ビス[4−[2−ヒドロキシ−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルオキシ]フェニル]プロパン等が挙げられる。
また、その他の重合性モノマーとして、特開2006−151850号公報の0035〜0039段落に記載の疎水性単量体を用いることもでき、上記内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開2005−154312号公報の0018〜0022段落の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、その他の重合性モノマーとして、公知の多官能アクリルアミドモノマー(N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンなど)や単官能アクリルアミドモノマー(N,N−ジメチルアクリルアミド、4−アクリロイルモルホリンなど)を用いることもできる。
また、その他の重合性モノマーとして、公知のベタインモノマー(N−メタアクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、カチオン性モノマー(2−(アクリロイルアミノ)−N,N,N−トリメチルエタンアンモニウムクロリドなど)、アニオン性モノマー(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムなど)やアルキルピリジニウム塩を含有するモノマー(メタアクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロミド)などを用いることもできる。
<フィラー>
上記義歯床用コーティング組成物は、フィラーを含有してもよい。フィラーを含有する義歯床用コーティング組成物により得られるコーティング膜はより優れた機械的強度、及び、義歯床へのより優れた接着性を有する。義歯床用コーティング組成物中におけるフィラーの含有量としては特に制限されないが、一般に、義歯床用コーティング組成物の全固形分に対して、0.01〜80質量%が好ましく、0.05〜50質量%がより好ましく、0.1〜30質量%が更に好ましい。フィラーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上のフィラーを併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
フィラーの平均粒子径としては特に制限されないが、一般に0.01〜500μmが好ましく、0.05〜100μmがより好ましく、0.1〜50μmが更に好ましい。本明細書におけるフィラーの平均粒子径とは、コールター法により測定した平均粒子径を意図する。
フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラー、及び、これらの複合フィラー等が挙げられる。
有機フィラーとしては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。
無機フィラーとしては、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、及び、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等が挙げられる。
無機フィラーは、第一化合物、及び、第二化合物等、他の成分との混和性を調整するため、シランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。表面処理剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
複合フィラーとしては、特に制限されないが、例えば、上記無機フィラーにモノマーを予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものが挙げられる。複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)、及び、特開2005−154312号公報に記載の不飽和二重結合を有するアルコキシシランによって表面修飾された無機微粒子等が挙げられる。
<シランカップリング剤>
上記義歯床用コーティング組成物は、シランカップリング剤を更に含有してもよい。
義歯床用コーティング組成物中におけるシランカップリング剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、義歯床用コーティング組成物の全固形分に対して、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜30質量%がより好ましく、0.1〜20質量%が更に好ましい。シランカップリング剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上のシランカップリング剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に制限されず、公知のシランカップリング剤を用いることができる。なお、シランカップリング剤としては、例えば、特開2015−214514号公報の0058段落に記載のシランカップリング剤等が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
<その他の添加剤>
上記義歯床用コーティング組成物は、義歯床用コーティング組成物を構成する各成分同士の分子間相互作用、及び、義歯床用コーティング組成物により得られるコーティング膜と義歯床界面との分子間相互作用を調整すること等を目的として、その他の添加剤を更に含有してもよい。
その他の添加剤としては、例えば、フェノール系化合物、脂肪族単官能重合性モノマーを重合して得られるポリマー、親水性のエラストマー及び、アジド化合物等が挙げられる。その他の添加剤は義歯床用コーティング組成物に含有させ、均一なコーティング膜を形成するようにしてもよい。また、その他の添加剤を義歯床用コーティング組成物が含有しない場合は、その他の添加剤をコーティング膜の下塗りとして、コーティング膜と義歯床界面との間に膜状に配置してもよい。
フェノール系化合物の中でも、多点水素結合により強固な分子間相互作用が可能な観点から、カテコール基、及び、ピロガロール基等を部分構造として含有する化合物が好ましい。カテコール基としては、例えば、特開2014−101475号公報に記載された部分構造等が挙げられる。
また、上記フェノール系化合物は、他の成分との相溶性の観点から、重合性モノマー、又はポリマーとして用いられることが好ましい。
脂肪族単官能重合性モノマーを重合して得られるポリマーとしては、例えば、HEMA(ヘキサエチルメタクリレート)、グリセロールジメタクリレート、第一化合物、及び、第二化合物等の親水性化合物と既に説明した脂肪族単官能重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。
脂肪族単官能重合性モノマーの種類は義歯床用コーティング組成物との相溶性、及び/又は、基材の極性等を考慮しながら適宜調整することが好ましい。
親水性のエラストマーとしては、例えば、カルボン酸基又はカルボン酸塩基を含有する炭化水素系エラストマー、ポリウレタンエラストマー、及び、特許第4401262号に記載されているエラストマー等が挙げられる。
アジド化合物としては、例えば、特開2010−059367号公報に記載の化合物が挙げられる。
[コーティング膜付き義歯床]
本発明の実施形態に係るコーティング膜付き義歯床は、義歯床と、上記義歯床上に形成された上記義歯床用コーティング組成物を硬化させたコーティング膜と、を備える。
義歯床としては特に制限されず、公知の義歯床を用いることができる。
義歯床の材料としては特に制限されないが、樹脂が好ましい。樹脂の種類としては特に制限されないが、生体とのより優れた適合性を有する(メタ)アクリル系重合体を含有することがより好ましい。
義歯床の材料としては、例えば、特開2016−98202号公報の0011〜0079段落に記載された歯科用重合性組成物を硬化して得られた樹脂、及び、特開2017−42394号公報の0072段落に記載された材料等を用いることもでき、上記内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の実施形態に係るコーティング膜付き義歯床に用いる義歯床としては、義歯床と、上記義歯床の少なくとも一部を被覆するように配置されたプライマー層とを有する、プライマー層付き義歯床であってもよい。プライマー層付き義歯床を用いると、コーティング膜と義歯床との密着性をより向上させることができる。
プライマー層としては特に制限されず、公知の歯科用プライマー層形成用組成物を用いて形成された層が使用できる。プライマー層形成用組成物の主成分としては、シランカップリング基を有するモノマー、及び、カルボン酸モノマー、リン酸モノマー(リン酸エステルモノマーも含まれる)、アクリル酸エステルモノマーを含んだモノマー等が挙げられる。
また、本発明の実施形態に係るコーティング膜付き義歯床に用いる義歯床としては、表面処理が施された、表面処理済み義歯床であってもよい。表面処理済み義歯床を用いると、コーティング膜と義歯床との密着性をより向上させることができる。
表面処理の方法としては特に制限されないが、典型的には、義歯床の表面に後述する凹凸を形成できるような表面処理方法(表面凹凸化処理)が好ましい。そのような表面処理方法としては、例えば、サンドブラスト法、研磨紙で研磨する方法、及び、処理剤法等による表面凹凸化処理が挙げられる。
処理剤法とは、表面処理剤と義歯床とを接触させて、義歯床の表面を凹凸化する方法である。義歯床の表面に表面処理剤を接触させる方法としては特に制限されないが、義歯床を表面処理剤に浸漬する方法、義歯床に表面処理剤を塗布する方法、及び、義歯床に表面処理剤を噴霧する方法等が挙げられる。
表面処理剤としては、有機溶剤を含有することが好ましい。表面処理剤が含有する有機溶剤としては特に制限されないが、ハロゲン系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤等が挙げられる。
表面処理剤中における上記有機溶剤の含有量としては特に制限されないが、有機溶剤の全質量に対して、20〜100質量%が好ましい。
なお、有機溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の有機溶剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
なかでも、義歯床の表面に後述する凹凸が形成されやすい観点からは、上記表面処理剤が含有する有機溶剤の主成分としては、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アセトン、及び、メチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
なお、本明細書において、主成分とは、表面処理剤中に1種の有機溶剤が含有される場合には、上記1種の有機溶剤を意味し、表面処理剤中に2種以上の有機溶剤が含有される場合には、2種以上の有機溶剤のうち最も含有量の多い有機溶剤を意味する。
なお、表面処理剤中に最も含有量の多い有機溶剤が2種以上含有される場合には、上記2種以上の有機溶剤をそれぞれ主成分とする。
表面処理剤は、有機溶剤以外の他の成分を含有していてもよい。歯科用の表面処理剤の成分として通常用いられるポリマー等、及び、公知のポリマーが挙げられる。
上記表面凹凸化処理が施された表面処理済み義歯床は、その表面にコーティング膜を塗設した際に、義歯床と、コーティング膜との層間においてより優れた密着性を有する。
コーティング膜付き義歯床における、コーティング膜側の義歯床の表面の算術平均粗さRaとしては特に制限されないが、一般に、10〜1200nmが好ましく、30nm〜1000nmがより好ましく、50nm〜800nmが更に好ましく、100nm〜500nmが特に好ましい。
なお、上記算術平均粗Raさは、コーティング膜を塗設する前の表面処理済み義歯床の表面を接触針法、及び、非接触型干渉顕微鏡による観察等から測定できる。
その他の表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及び、表面の酸化処理等も使用できる。
義歯床上に形成されるコーティング膜の厚みとしては特に制限されないが、一般に0.1〜500μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましく、1〜50μmが更に好ましい。
上記実施形態に係るコーティング膜付き義歯床の製造方法としては、特に制限されず、公知の製造方法を用いることができる。なかでもより簡便にコーティング膜付き義歯床が得られる点で、後述する方法により製造されることが好ましい。
[有床義歯]
本発明の実施形態に係る有床義歯は、上記コーティング膜付き義歯床と、人工歯とを備える。上記有床義歯は、総義歯であってもよいし、局部床義歯であってもよい。また、人工歯としては、特に制限されず、公知の人工歯を用いることができる。また、有床義歯の製造方法としては特に制限されず、公知の製造方法を用いることができる。
[コーティング膜付き義歯の製造方法]
本発明の実施形態に係るコーティング膜付き義歯床の製造方法は以下の工程を含有する。下記の工程を含有するコーティング膜付き義歯床の製造方法によれば、より簡便にコーティング膜付き義歯床を製造することができる。
(1)義歯床用コーティング組成物を、義歯床上に塗布して、コーティング組成物層を得る工程A
(2)義歯床用コーティング組成物層に、エネルギーを付与して、義歯床用コーティング組成物層を硬化させ、コーティング膜を得る工程B
以下では、各工程について、詳述する。
〔(1)工程A:塗布工程〕
工程A(塗布工程)は、義歯床用コーティング組成物を、義歯床上に塗布して、義歯床用コーティング組成物層を得る工程である。義歯床、及び、義歯床用コーティング組成物の形態については既に説明したとおりである。
義歯床用コーティング組成物の塗布方法としては特に制限されないが、筆、及び/又は、刷毛による塗布;ディップコート;スピンコート;スプレー塗布等が挙げられる。なかでも、塗布のための特別な機械装置が必要ない点、及び、少量の義歯床用コーティング組成物であっても効率よく塗布できる点で筆、及び/又は、刷毛による塗布が好ましい。
上記塗布工程は必要に応じて乾燥工程を更に含有してもよい。乾燥工程は、義歯床上に塗布した義歯床用コーティング組成物を乾燥する工程である。乾燥工程によって義歯床用コーティング組成物層に含有する溶剤を揮発することができる。
乾燥の方法としては特に制限されない。乾燥温度としては特に制限されないが、一般に−20〜150℃が好ましく、0〜120℃がより好ましく、10〜90℃が更に好ましい。乾燥時間としては特に制限されないが、一般に1秒〜1週間が好ましく、5秒〜3日間がより好ましく、10秒〜1日間が更に好ましい。なお、乾燥工程において、義歯床用コーティング組成物に送風して乾燥させてもよい。
〔(2)工程B:硬化工程〕
工程B(硬化工程)は、義歯床用コーティング組成物層に、エネルギーを付与して、義歯床用コーティング組成物層を硬化させ、コーティング膜を得る工程である。
義歯床用コーティング組成物層にエネルギーを付与する方法としては特に制限さなれないが、例えば、加熱、及び/又は、光照射が挙げられる。
加熱の条件としては特に制限されず、義歯床用コーティング組成物に含有される成分により適宜選択される。加熱温度としては、特に制限されないが、30〜150℃が好ましく、40〜120℃がより好ましく、50〜100℃が更に好ましい。加熱時間としては、1秒〜1週間が好ましく、5秒〜3日間がより好ましく、10秒〜1日間が更に好ましい。加熱方法としては、特に制限されないが、オーブン、及び、ホットプレート等を用いた公知の加熱方法が挙げられる。
光照射の条件としては特に制限されず、義歯床用コーティング組成物に含有される成分により適宜選択される。照射エネルギーとしては特に制限されないが、一般に0.01〜100J/cmが好ましく、0.1〜20J/cmがより好ましく、0.5〜10J/cmが更に好ましい。照射時間としては0.1〜1000秒が好ましく、0.5〜500秒がより好ましく、1〜100秒が更に好ましい。光照射の光としては、例えば、紫外線、可視光線(青色波長などの特定波長のみの可視光含む)及びX線等が挙げられる。光照射の方法としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線ランプ、LED(light emitting diode)ランプ(特に370nm〜500nmの間に発光を有する青色LEDランプなど)、キセノンランプ、ケミカルランプ、及びカーボンアーク灯等により照射する方法が挙げられる。
なお、加熱、及び、光照射は単独でも実施してもよく、両者を実施してもよい。加熱、及び、光照射を実施する場合は、同時に実施しても良いし、一方ずつ順番に実施してもよい。
〔その他の工程〕
本発明の実施形態に係るコーティング膜付き義歯床の製造方法は、本発明の効果を奏する範囲内において他の工程を有していてもよい。他の工程としては例えば、義歯床を表面処理する工程Sが挙げられる。
<工程S>
工程Sは義歯床を表面処理する工程である。本発明の実施形態に係るコーティング膜付き義歯床の製造方法は、工程Sを工程Aの前に有することが好ましい。
前工程Sを含有する上記製造方法により製造されたコーティング膜付き義歯床は、義歯床と、コーティング膜との層間の密着性に優れる。
表面処理の方法としては特に制限されず、公知の表面処理方法を用いることができる。公知の表面処理方法としては、例えば、サンドブラスト法、研磨紙で研磨する方法、処理剤法等による表面の凹凸化処理する方法、義歯床にアルカリ溶液を塗布し、その後水洗する方法;コロナ放電処理;プラズマ処理;火炎処理;等が挙げられる。
なかでもより優れた本発明の効果を有するコーティング層付き義歯床が得られる点で、表面処理は、表面処理剤と義歯床とを接触させる方法が好ましい。義歯床の表面に表面処理剤を接触させる方法としては特に制限されないが、義歯床を表面処理剤に浸漬する方法、義歯床に表面処理剤を塗布する方法、及び、義歯床に表面処理剤を噴霧する方法等が挙げられる。
表面処理剤としては、有機溶剤を含有することが好ましい。表面処理剤が含有する有機溶剤としては特に制限されないが、ハロゲン系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤等が挙げられる。
表面処理剤中における上記有機溶剤の含有量としては特に制限されないが、有機溶剤の全質量に対して、20〜100質量%が好ましい。
なお、有機溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の有機溶剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
有機溶剤を含有する表面処理剤を用いて義歯床を表面処理すると、義歯床の表面に凹凸がより形成されやすく、義歯床と、コーティング膜との層間のより優れた密着性が得られる。
なかでも、義歯床の表面に後述する凹凸が形成されやすい観点からは、上記表面処理剤が含有する有機溶剤の主成分としては、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アセトン、及び、メチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記製造方法により得られるコーティング膜付き義歯床における、義歯床のコーティング膜側の表面の算術平均粗さRaとしては特に制限されないが、一般に、10〜1200nmが好ましく、30nm〜1000nmがより好ましく、50nm〜800nmが更に好ましく、100nm〜500nmが特に好ましい。
なお、上記算術平均粗さRaは、コーティング膜を塗設する前の表面処理済み義歯床の表面を接触針法、及び、非接触型干渉顕微鏡による観察等から測定できる。
なお、上記義歯床用コーティング組成物は、強固なコーティング膜を形成でき、かつ、上記コーティング膜は、優れた菌付着抑制性能を有する。従って、上記義歯床用コーティング組成物は、すでに説明した以外の用途で使用してもよい。上記の用途としては、例えば、優れた菌付着抑制性能が要求される歯科用材料等が挙げられる。そのような歯科用材料としては、例えば、接着材(ボンディング材)、プライマー材、レジン材(コンポジットレジンやレジンセメントも含む)、及び、義歯床用以外(人工歯、天然歯、レジン材など)のコート材等が挙げられる。
なお、上記義歯床用コーティング組成物を硬化させて得られるコーティング膜は、優れた耐傷性、及び、菌付着抑制性を有する。更に、上記義歯床用コーティング組成物を硬化させて得られるコーティング膜は、強固な架橋膜であり、優れた耐着色性、及び、優れた耐サーマルサイクリング性をも有する。なお、耐着色性とは日常生活で飲食する着色性食品(例えば、紅茶、緑茶、コーヒー、赤ワイン、及び、カレー等)を繰り返し飲食することで、コーティング膜の色調が変化しにくい性質のことを表す。また、耐サーマルサイクリング性とは日常生活での飲食に伴う口腔内の温度変化に対して、密着性、及び、耐摩耗性等のコーティング膜の物性がサーマルサイクリング試験前後で変化しにくい性質のことを表す。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されない。
[試験例1]
義歯床用コーティング組成物によって得られるコーティング膜が有する耐傷性及び菌付着抑制性を確認するために、以下の手順で試験した。
〔化合物1の合成〕
撹拌羽根、及び、冷却管を備えた1L三口フラスコにジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(和光純薬工業製、119.18g)、アセトニトリル(和光純薬工業製、350g)、及び、p−メトキシフェノール(和光純薬工業製、0.060g)を入れて混合液を得た。次に、混合液を撹拌しながら、1,4−ブタンスルトン(和光純薬工業製)95.32gを30分かけて混合液に滴下して、反応液を得た。次に、反応液を80℃で5時間加熱して、反応させた。次に、反応が終了した反応液を、室温で10時間静置して、二相分離した反応液の下相から、白色固体を析出させた。次に、白色固体を窒素雰囲気下で、吸引ろ過法を用いて回収した。回収した固体を、アセトン800mL中で撹拌し、洗浄した。次に、洗浄が終了後、再度、吸引ろ過法を用いて洗浄後の白色固体を回収した。回収した白色固体を乾燥させて、化合物1(192.15g)を得た。化合物1は、上記の式(1−1)で表される化合物である。
〔化合物2の合成〕
ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテルを原料アミンとして特開2012−206992号公報記載のアシル化の反応条件を参考にして化合物2を合成した。なお、化合物2は、上記の式(2−1)で表される化合物である。
〔義歯床用コーティング組成物の調製〕
上記各化合物と、IRGACURE 2959(商品名、BASF社製、表1中では「Irg−2959」と表記した。)と、を表1に記載した組成で混合し、実施例1〜4の義歯床用コーティング組成物を作製した。なお、IRGACURE 2959は光重合開始剤に該当し、ヒドロキシアルキルフェノン化合物に該当する。
また、実施例4の化合物1を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(表2中では「MPC」と表記した。)に置換えた他は実施例4と同様にして、実施例5の義歯床用コーティング組成物を作製した。
また、実施例2の化合物1を[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド 分子内塩(表2中では「SPBM」と表記した。式(1−2)で表される化合物に該当する。)に置換えた他は実施例2と同様にして、実施例6の義歯床用コーティング組成物を作製した。
また、実施例3の化合物1をSPBMに置換えた他は実施例3と同様にして、実施例7の義歯床用コーティング組成物を作製した。
また、なお、表2中における数値は、義歯床用コーティング組成物の全固形分に対する各成分の含有量(質量%)を表す。また、各義歯床用コーティング組成物の固形分は、20質量%となるよう、メタノールで調整した。また、表2中の「−」はその成分を用いなかったことを表す。
〔菌付着抑制性試験〕
まず、PET(polyethylene terephthalate、品名「A4300」、東洋紡社製)フィルムの表面を酸素プラズマ処理(O:100ml/min、600秒間)した。次に、上記PETフィルム上に、バーコーターを用いて、各義歯床用コーティング組成物を乾燥膜厚で1μmとなる厚みで塗布し、義歯床用コーティング組成物層を得た。次に、上記義歯床用コーティング組成物層付きPETフィルムを50℃の乾燥オーブンに入れ、5分間乾燥させた。次に、乾燥後の義歯床用コーティング組成物層に、アイグラフィック社製「ECS−401G(商品名)」UV(ultraviolet)露光機(光源は高圧水銀ランプである。)を用いて、4J/cmの露光量(照射時間は5秒)となるよう、露光し(紫外線照射し)、義歯床用コーティング組成物層を硬化させ、コーティング膜を得た。
次に、上記で得られたコーティング膜を備えるPETフィルムを所定の大きさに裁断し、円盤状の試料を作製した。また、比較例1として、コーティング膜を備えないPETフィルム(ブランク)も準備し、試験に供した。また、比較例2として、MPCとメタクリル酸エステルの共重合体(日油社製 Lipidure−CM5206、表2中では「Lipidure」と記載した。)を用い、露光工程を行わない以外は実施例1と同様にして、コーティング膜を得て、試験に供した。
次に、上記各試料を、24ウェルプレートに入れた。各ウェルには、YPD(yeast extract peptone dextrose)培地に、C.albicans(JCM2085、JCMはJapan Collection of Microorganismsの略称である。)の酵母型菌体を接種し、10cell/mLとなるよう調整した試験液を1mLずつ入れた。
次に、試料、及び、試験液を入れた24ウェルプレートを、好気的条件下、37℃で24時間培養した。次に、培養後の試料をPBS(Phosphate buffered saline)緩衝溶液で洗浄した後に、コーティング組成物、及び、PETフィルムに付着した菌の菌数を、比色定量法(XTT法、なお、XTTは2,3−Bis−(2−Methoxy−4−Nitro−5−Sulfophenyl)−2H−Tetrazolium−5−Carboxanilideの略称である。)によって定量した。コーティング膜を備えないPETフィルムの吸光度を基準とし、各試料の吸光度との差(吸光度の減少量)を求め、以下の基準により評価し、表2の「菌付着性」欄に示した。
・評価基準
A:基準との差が0.6以上だった。
B:基準との差が0.5以上、0.6未満だった。
C:基準との差が0.4以上、0.5未満だった。
D:基準との差が0.3以上、0.4未満だった。
E:基準との差が0.3未満だった。
〔耐傷性試験〕
菌付着抑制性試験と同様にして、コーティング膜を備えるPETフィルムを作製した。また、比較例1についても同様に準備した。
次に、歯ブラシ摩耗試験機、及び、歯ブラシ(「ビットウィーンライオン(商品名)」、硬さは「ふつう」)を用い、滑走速度126回/min、加重185g、ストローク幅5mmの条件下で60秒間、各試料をブラッシングさせた。
ブラッシング後の各試料の摩耗量を三次元微細形状測定装置で測定した。結果は以下の基準により評価し、表2に示した。
A:摩耗量が、0.01μm未満だった。
B:摩耗量が、0.01μm以上、0.1μm未満だった。
C:摩耗量が、0.1μm以上だった。
Figure 0006851399
Figure 0006851399
表2に示した結果から、上記コーティング組成物により得られるコーティング膜は優れた菌付着抑制性と、優れた耐傷性とを有していることがわかった。一方、コーティング膜を備えない比較例1は、菌付着抑制性、及び、耐傷性ともに、本発明の効果が得られなかった。また、化合物1(第一化合物に該当する)、及び、化合物2(第二化合物に該当する)のいずれも含有しない比較例2のコーティング組成物により形成されたコーティング膜は、本発明の効果が得られなかった。
また、化合物1と、化合物2とを含有する実施例3及び実施例4のコーティング組成物により得られたコーティング膜は、実施例1のコーティング組成物により得られたコーティング膜と比較してより優れた菌付着抑制性を有していた。また、実施例2のコーティング組成物により得られたコーティング膜と比較してより優れた耐傷性を有していた。
また、コーティング組成物中に含有されるモノマー及びポリマーが、第一化合物及び第二化合物からなる群から選択される少なくとも1種からなる実施例1〜4のコーティング組成物により形成されたコーティング膜は、実施例5と比較して、より優れた菌付着抑制性及び/又はより優れた耐傷性を有していた。
また、式(1−2)で表される化合物を含有する実施例6のコーティング組成物により得られるコーティング膜は、実施例2のコーティング組成物により得られるコーティング膜と同等の性能を有していた。
[試験例2]
次に、義歯床の表面処理が、コーティング膜と義歯床との密着性に与える影響を確認するため、以下の手順で試験を実施した。
〔実施例2−1〕
義歯床用アクリル系レジン(イソレジン・H、デンケン・ハイデンタル)を用いて通常行われている湿式加熱重合方法により3cm角、厚み5mmの板状体を得た。次に、上記板状体を研磨紙#400で研磨し、更に研磨紙#8000で研磨して、試験用の義歯床を得た。なお、このとき、義歯床の表面の算術平均粗さRaは約10nmだった。
<表面処理>
次に、得られた義歯床をジクロロメタン(100質量%)に1分間浸漬させた後、取り出し、乾燥させて、表面処理済み義歯床を得た。このとき、表面処理済み義歯床の表面の算術平均粗さは1000nmだった。なお、算術平均粗さ(Ra)は、非接触型干渉顕微鏡で測定した。
<コーティング膜の形成>
次に、この表面処理済み義歯床に表3に記載した義歯床用コーティング組成物を、硬化膜の厚みが3μmとなるように塗布し、義歯床用コーティング組成物層を得た。次に、上記義歯床用コーティング組成物層付きの表面処理済み義歯床を50℃の乾燥オーブンに入れ、5分間乾燥させた。
次に、乾燥後の義歯床用コーティング組成物層に対して、アイグラフィック社製「ECS−401G(商品名)」UV(ultraviolet)露光機(光源は高圧水銀ランプ)を用いて、4J/cmの露光量となるよう露光し、義歯床用コーティング組成物層を硬化させ、コーティング膜付き義歯床を得た。
[実施例2−2〜実施例2−8、及び、実施例2−10]
表面処理剤をジクロロメタンに代えて、表3に記載した有機溶剤を用いたこと、及び、表3に記載した義歯床用コーティング組成物を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にしてコーティング膜付き義歯床を得た。各コーティング膜付き義歯床のコーティング膜側の表面の算術平均粗さは、表3に記載したとおりである。
[実施例2−9]
表面処理剤を用いて表面処理を行わなかったことを除いては実施例2−1に記載したのと同様の方法でコーティング膜付き義歯床を得た。上記により得られたコーティング膜付き義歯床の算術平均粗さは10nmだった(表3中では「表面処理後の義歯床」「算術平均粗さRa」と記載されているが、実施例2−9については、表面処理を実施していない。)。
(耐傷性試験)
上記により得られた実施例2−1〜実施例2−10のコーティング膜付き義歯床について、試験例1と同様の方法により耐傷性を測定した。その結果、実施例2−1〜実施例2−10のコーティング膜付き義歯床の摩耗量はぞれぞれ0.1μm未満であり、実用範囲内だった。
(菌付着抑制性能の試験)
上記コーティング膜付き義歯床を1cm角にカットし、24ウェルプレートに入れた。各ウェルには、YPD(yeast extract peptone dextrose)培地に、C.albicans(JCM2085、JCMはJapan Collection of Microorganismsの略称である。)の酵母型菌体を接種し、970cell/mLとなるよう調整した試験液を1mLずつ入れた。
次に、試験片、及び、試験液を入れた24ウェルプレートを、好気的条件下、37℃で36時間培養した。次に、培養後の試験片をPBS(Phosphate buffered saline)緩衝溶液で洗浄した後に、試験片に付着した菌の菌数を、比色定量法(XTT法、なお、XTTは2,3−Bis−(2−Methoxy−4−Nitro−5−Sulfophenyl)−2H−Tetrazolium−5−Carboxanilideの略称である。)によって定量した。コーティング膜を備えない義歯床(Raは約10nm)の吸光度を基準とし、各コーティング膜付き義歯床の吸光度との差(吸光度の減少量)を求め、以下の基準により評価し、表3の「菌付付着抑制性能」の欄に示した。
A:基準との差が0.6以上だった。
B:基準との差が0.5以上、0.6未満だった。
C:基準との差が0.4以上、0.5未満だった。
(密着性評価)
各コーティング層付き義歯床をイオン交換水に浸漬し、4℃と60℃の恒温槽を30秒ずつ往復する動作を3000回繰り返すサーマルサイクリング試験にかけ、義歯床上に残ったコーティング膜の面積から密着性を評価した。義歯床の表面積に対する、残ったコーティング膜の面積を被膜率として百分率で表し、下記の基準に従い評価した。結果を表3に示した。
A:被膜率が90%以上だった。
B:被膜率が70%以上、90%未満だった。
C:被膜率が50%以上、70%未満だった。
D:被膜率が50%未満だった。
Figure 0006851399
表3に記載とおり、義歯床のコーティング膜側の表面の算術平均粗さRaが30〜1000nmである、実施例2−7のコーティング膜付き義歯床は、実施例2−9、及び、実施例2−10のコーティング膜付き義歯床と比較して、より優れた密着性、及び、より優れた菌部着抑制性能を有していた。
また、表面処理済み義歯床を用いた実施例2−7のコーティング膜付き義歯床は、実施例2−9のコーティング膜付き義歯床と比較して、より優れた密着性、及び、より優れた菌付着抑制性能を有していた。
また、表面処理剤がアセトン、及び、メチルエチルケトンからなる群より選択される少なくとも1種である実施例2−7のコーティング膜付き義歯床は、実施例2−5及び実施例2−6のコーティング膜付き義歯床と比較して、より優れた密着性、及び、より優れた菌付着抑制性能を有していた。

Claims (20)

  1. 記式(2)で表される第二化合物を含有する義歯床用コーティング組成物。
    Figure 0006851399
    式(2)中、R 31 は、それぞれ独立に、水素原子、又は、メチル基を表し、R 32 はそれぞれ独立に、エチレン基、1,2−プロピレン基、又は、1,3−プロピレン基を表し、m は1又は2を表す。なお、複数あるR 31 、及び、複数あるR 32 はそれぞれ同一でも異なってもよい。
  2. 記第二化合物が下記式(2−1)で表される化合物である、請求項に記載の義歯床用コーティング組成物。
    Figure 0006851399
  3. 下記式(1−01)で表される第一化合物、及び、前記第二化合物を含有する、請求項1又は2に記載の義歯床用コーティング組成物。
    Figure 0006851399
    式(1−01)中、R は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は、i−プロピル基を表し、R は水素原子、又は、メチル基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。なお、複数あるR はそれぞれ同一でも異なってもよい。
  4. 前記義歯床用コーティング組成物中における、前記第二化合物の含有量に対する、前記第一化合物の含有量の含有質量比が10/90〜90/10である、請求項に記載の義歯床用コーティング組成物。
  5. 更に、重合開始剤を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の義歯床用コーティング組成物。
  6. 義歯床と、前記義歯床上に形成された、義歯床用コーティング組成物を硬化させたコーティング膜と、を備えるコーティング膜付き義歯床であって、
    前記義歯床用コーティング組成物が、下記式(1−01)で表される第一化合物、及び、下記式(2)で表される第二化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、コーティング膜付き義歯床
    Figure 0006851399
    式(1−01)中、R は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は、i−プロピル基を表し、R は水素原子、又は、メチル基を表し、mは1〜3の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。なお、複数あるR はそれぞれ同一でも異なってもよい。
    Figure 0006851399
    式(2)中、R 31 は、それぞれ独立に、水素原子、又は、メチル基を表し、R 32 はそれぞれ独立に、エチレン基、1,2−プロピレン基、又は、1,3−プロピレン基を表し、m は1又は2を表す。なお、複数あるR 31 、及び、複数あるR 32 はそれぞれ同一でも異なってもよい。
  7. 前記mが2又は3を表す、請求項6に記載のコーティング膜付き義歯床。
  8. 前記第一化合物が下記式(1−2)で表される化合物であり、前記第二化合物が下記式(2−1)で表される化合物である、請求項6又は7に記載のコーティング膜付き義歯床。
    Figure 0006851399

    Figure 0006851399
  9. 前記コーティング膜側の前記義歯床の表面の算術平均粗さRaが30〜1000nmである、請求項6〜のいずれか一項に記載のコーティング膜付き義歯床。
  10. 前記義歯床が、表面処理剤で処理された表面処理済み義歯床である、請求項6〜のいずれか一項に記載のコーティング膜付き義歯床。
  11. 前記表面処理剤は有機溶剤を含有し、前記有機溶剤の主成分が、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項10に記載のコーティング膜付き義歯床。
  12. 前記有機溶剤の主成分が、アセトン、及び、メチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項11に記載のコーティング膜付き義歯床。
  13. 請求項〜12のいずれか一項に記載のコーティング膜付き義歯床を備える、有床義歯。
  14. 義歯床と、前記義歯床上に形成されたコーティング膜と、を備えるコーティング膜付き義歯床の製造方法であって、
    下記式(1−01)で表される第一化合物、及び、下記式(2)で表される第二化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する義歯床用コーティング組成物を、前記義歯床上に塗布して、義歯床用コーティング組成物層を得る工程Aと、
    前記義歯床用コーティング組成物層に、エネルギーを付与して義歯床用コーティング組成物層を硬化させ、コーティング膜を得る工程Bと、
    を含有するコーティング膜付き義歯床の製造方法。
    Figure 0006851399
    式(1−01)中、R は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は、i−プロピル基を表し、R は水素原子、又は、メチル基を表し、mは1〜3の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。なお、複数あるR はそれぞれ同一でも異なってもよい。
    Figure 0006851399
    式(2)中、R 31 は、それぞれ独立に、水素原子、又は、メチル基を表し、R 32 はそれぞれ独立に、エチレン基、1,2−プロピレン基、又は、1,3−プロピレン基を表し、m は1又は2を表す。なお、複数あるR 31 、及び、複数あるR 32 はそれぞれ同一でも異なってもよい。
  15. 前記mが2又は3を表す、請求項14に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
  16. 前記第一化合物が下記式(1−2)で表される化合物であり、前記第二化合物が下記式(2−1)で表される化合物である、請求項14又は15に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
    Figure 0006851399

    Figure 0006851399
  17. 前記工程Aの前に、前記義歯床を表面処理する工程Sを更に有する、請求項14〜16のいずれか一項に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
  18. 前記工程Sが、前記義歯床の表面に表面処理剤を接触させる工程である、請求項17に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
  19. 前記表面処理剤が、有機溶剤を含有し、前記有機溶剤の主成分が、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び、エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項18に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
  20. 前記有機溶剤の主成分が、アセトン、及び、メチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項19に記載のコーティング膜付き義歯床の製造方法。
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