JP6438849B2 - 硬化性組成物、硬化膜 - Google Patents
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Description
このような硬化性組成物に含まれる硬化性化合物として、各種の多官能重合性化合物が検討されている。
例えば、特許文献1では、各種フィルムのコーティング層として使用できるとともに硬化性に優れた硬化性組成物として、特定構造の多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む硬化性組成物を開示している。これらの多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、硬化性に優れるのみならず、安価な水系溶媒にも溶解する利点を有する。
さらに、硬化膜の硬度および硬化膜と基材との密着性に関しては、昨今の要求レベルを必ずしも満足しておらず、更なる改善の余地があった。特に、得られた硬化膜を水と接触させた後の密着性の改善の余地が大きかった。
また、光ラジカル重合により得られる硬化膜は、上述のエネルギー線照射工程を経るため、特に100μm以上の厚膜とした場合には、光が膜内部まで透過しにくく、硬化膜の膜厚方向に渡って均質に硬化しにくいという問題があった。すなわち、膜表面から離れた内部の位置ほど硬化性が悪くなり、これにより基材との密着性がより得られ難い傾向があった。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンおよび多官能チオールから選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含有する、硬化性組成物。
(2) 上記化合物が、1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンを含む、(1)に記載の硬化性組成物。
(3) さらに、ヒドロキシル基を有する、単官能(メタ)アクリル化合物または単官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む、(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4) 上記多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、上記1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンおよび多官能チオールから選ばれる少なくとも一種の化合物とのモル比が1:9〜9:1である、(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の硬化型組成物を熱硬化して形成される硬化膜。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、または、複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
さらに、本明細書中、基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明の硬化性組成物は、下記一般式(I)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物および下記一般式(II)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンおよび多官能チオールから選ばれる少なくとも1種の化合物(求核剤)と、を含有することを特徴とする。
このとき、一般式(I)または(II)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、複数のアクリルアミド基を連結する連結基の存在により架橋点間密度が密にならないよう調整され、さらに連結基がアルキレンおよび/または−O−により形成されているため、優れた硬度を有しながら柔軟な膜となる。
上記構成により、形成される硬化膜は優れた硬度を有しつつ、基材密着性に優れ、さらに水浸漬後の基材密着性にも優れたものとなると考えられる。
また、100μm以上の厚膜とした場合においても、本発明の硬化性組成物による硬化膜は、熱重合により膜厚方向に渡って均質に硬化可能であり、言い換えると、内部硬化性に優れ、硬化膜と基材との密着性を損なうことがない。
一般式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
Lは、−O−、炭素数2〜4のアルキレン基、またはこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。なお、Lに隣接するアミド基中の窒素原子に隣接する位置には、炭素原子が位置することが好ましい。つまり、アミド基中の窒素原子に隣接する基としては、炭素数2〜4のアルキレン基が位置することが好ましい。
上記「これらを組み合わせた2価の連結基」としては、例えば、−OCH2CH2−、−OCH2CH2CH2−、−OCH2CH2CH2CH2−、−CH2OCH2−、−CH2OCH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2−などの−O−を含む炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−アルキレン基(炭素数2〜4))n−で表される基(nは、2以上の整数を表す。上限は特に制限されないが、100程度が挙げられる。)などが挙げられる。
なかでも、硬化膜の硬度に優れる、膜厚方向に渡って均質に硬化できる、および/または、硬化膜の基材に対する密着性がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、Lとしては、−O−を含む炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましい。
R2、R4は、それぞれ独立に、−O−、炭素数1〜4のアルキレン基、またはこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。なお、R2およびR4に隣接するアミド基中の窒素原子に隣接する位置には、炭素原子が位置することが好ましい。つまり、アミド基中の窒素原子に隣接する基としては、炭素数1〜4のアルキレン基が位置することが好ましい。
上記「これらを組み合わせた2価の連結基」としては、例えば、−OCH2−、−OCH2CH2−、−OCH2CH2CH2−、−OCH2CH2CH2CH2−、−CH2OCH2−、−CH2OCH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2−などの−O−を含む炭素数1〜4のアルキレン基、−(O−アルキレン基(炭素数1〜4))n−で表される基(nは、2以上の整数を表す。上限は特に制限されないが、100程度が挙げられる。)などが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、R2、R4としては、炭素数1〜4のアルキレン基、−O−を含む炭素数1〜4のアルキレン基であることがより好ましい。
上記「これらを組み合わせた2価の連結基」としては、上記R2およびR4にて述べた基が挙げられる。なお、一般式(III)で表される基と他の基とを組み合わせる場合は、一般式(III)で表される基中の窒素原子には炭素数1〜4のアルキレン基が結合することが好ましい。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、R3としては、炭素数1〜4のアルキレン基、−O−を含む炭素数1〜4のアルキレン基、または、一般式(III)で表される基が好ましい。
なお、式(III)中、R1は、水素またはメチル基を表し、*は結合箇所を示す。
R3が一般式(III)を表す場合には、L1およびL2はいずれも単結合であることが好ましい。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で使用しても、複数種併用してもよい。
1級アミンまたは2級アミンを2以上有する多官能アミンは、特に限定されず、分子内に2つ以上の1級または2級アミノ基を有する化合物であればよい。なお、多官能アミンには、1級アミンと2級アミンとが両方含まれていてもよい。
1級アミンを有する多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,5−ジアミノペンタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、2,2’−オキシビス(エチレンアミン)、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、2,2’−エチレンジアニリン、4,4’−エチレンジアニリン、3,3’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−チオジアニリン、4’’,4’’’’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス−(4−フェニルアニリン)、2,3−ジアミノフェノール、4’−アミノベンゾ−15−クラウン−5、2,4−ジメトキシアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、3,3’−ジアミノベンジジン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、1,2,4,5−ベンゼンテトラミン、4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミン、1,2−ビス(4−メトキシフェニル)エチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、α,ω−ジアミノポリエチレングリコール、α,ω−ジアミノポリプロピレングリコール、α,ω−ジアミノポリジメチルシロキサン、ポリアリルアミン等が挙げられる。
1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリオルニチン、ポリリジン、ポリジアリルアミン、特開2014−189561に記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマー等が挙げられる。
多官能チオールとしては、例えば、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2,5−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、3,7−ジチア−1,9−ノナンジチオール、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトベンゼン、1,2−ジ(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ジ(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ジ(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ジメルカプト−5−メチル−ベンゼン、4,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、チオール基含有カルボン酸と2価アルコールとのエステル類等のジチオール化合物;
硬化性組成物中における1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンおよび多官能チオールの含有量は特に制限されないが、硬度がより優れる観点から、その総量が、硬化性組成物中の全固形分に対して、1〜99質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
架橋剤として機能する多官能チオールは、チオール基を複数個以上有していればよいが、例えば、2〜6個有している場合が多い。
硬化性組成物は、本発明の効果がより優れる点で、さらに、単官能モノマーを含有することが好ましい。
単官能モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートのようなヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、およびそれらのカルボン酸塩;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−モルホリノエチル(メタ)アクリレートのような窒素原子含有(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのようなエーテル結合を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのスルホン酸塩などの、1分子中に(メタ)アクリルアミド結合を1個有するモノ(メタ)アクリルアミド化合物;N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−メチルカルボキシベタイン、2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、N−(3−スルホプロピル)―N−(メタクリルオキシエチル―N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(4−スルホブチル)−N−(メタクリロイルアミノプロピル)−N,N−ジアンモニウムベタインなどのベタイン化合物などが挙げられる。
特に、ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリル化合物またはヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリルアミド化合物を含むことが好ましい。
具体的には、ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、が挙げられる。
硬化性組成物中における上記モノマーの含有量は特に制限されないが、親水性付与および硬度調整の観点から、硬化性組成物中の全固形分に対して、1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましい。
硬化性組成物は、必要に応じて、溶媒が含有していてもよい。使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、ブタノール等のアルコール類等)、またはこれらの混合溶媒を挙げることができ、水および/またはアルコール類が好ましい。
本発明の硬化膜は、上記硬化型組成物を熱硬化して形成することができる。
硬化膜の製造方法は特に制限されず、例えば、上記硬化組成物を基材に塗布し、溶剤などの揮発成分を乾燥除去しながら熱硬化処理を施すことにより、硬化膜を形成することができる。
硬化性組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
熱硬化処理の際の加熱温度は、好ましくは40〜200℃であり、より好ましくは、50〜150℃であり、さらに好ましくは60〜120℃である。
以下に示す方法で、化合物A〜Eの多官能(メタ)アクリルアミド化合物をそれぞれ合成した。
発明推進協会公開技報の公技番号2013−502654の重合性化合物1の合成に従って合成した。
発明推進協会公開技報の公技番号2013−502654の多官能化合物9の合成に従って合成した。
発明推進協会公開技報の公技番号2013−502654の多官能化合物8の合成に従って合成した。
発明推進協会公開技報の公技番号2013−502654の多官能化合物10の合成に従って合成した。
攪拌機を備えた2L容の三口フラスコに先にN−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(アルドリッチ社製)30g、NaHCO3 301g(14当量)、ジクロロメタン1L、水50mlを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド232g(10当量、和光純薬工業社製)を3時間かけて滴下し、その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失を1H NMR(Nuclear Magnetic Resonance)にて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=9:1)にて精製することで、常温で液体である化合物E(収率43%)を得た。
<硬化性組成物の調製>
表1に示した組成(表中、各数値の単位は「mol%」である。)に従い、水を加え、固形分10質量%の硬化性組成物(コート液)を調製した。
得られた硬化性組成物を、バーコーターを用いて乾燥後に厚さ1μmとなるようにクリアランスを調整して、易接着PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム(東洋紡社製:コスモシャインA4100)上に塗布した。その後、80℃で硬化および溶剤の乾燥を行い、ハードコート膜を形成した。
(鉛筆硬度評価)
JIS K5600−5−4に示された試験方法に基づき、750g荷重条件で得られたハードコート膜を評価し、以下のように分類した。なお、後述する表1中においては、各実施例および比較例の硬度結果(3H〜B)を合わせて示す。
「A」:2H以上
「B」:H〜F
「C」:HB以下
得られたハードコート膜について、JIS K5600−5−6に準拠して、碁盤目剥離試験を行い、ハードコート膜の残存数にて基材との密着性を評価した。目視にて確認した評価を以下のように分類した。
「A」:剥離を確認することが出来ない。
「B」:20マス以下の剥離が確認できる。
「C」:20マス超の剥離が確認できる。
得られたハードコート膜を蒸留水に2週間浸漬させた後に、JIS K5600−5−6に準拠して碁盤目剥離試験を行い、ハードコート膜の残存数にて、水浸漬後の基材との密着性を評価した。目視にて確認した評価を以下のように分類した。
「A」:剥離を確認することが出来ない。
「B」:20マス以下の剥離が確認できる。
「C」:20マス超の剥離が確認できる。
使用した成分の種類および使用量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、硬化性組成物を調製して、各種評価を実施した。結果を表1にまとめて示す。
*表中、各数値の単位は「mol%」である。
MBA:メチレンビスアクリルアミド(東京化成工業社製)
EBA:エチレンビスアクリルアミド(東京化成工業社製)
HMDA:ヘキサメチレンジアミン(東京化成工業社製)
DEGBAPE:ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル(東京化成工業社製)
PEI:ポリエチレンイミン(日本触媒社製、エポミンSP−003)
HDT:1,6−ヘキサンジチオール(東京化成工業社製)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業社製)
HEAA:2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(東京化成工業社製)
実施例1、6〜10の比較から、一般式(I)または(II)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物と1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンまたは多官能チオールとに、更にヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリル化合物または単官能(メタ)アクリルアミド化合物を加えて架橋点間密度を下げることで、基材密着性、水浸漬後の基材密着性により優れた膜を形成することができることが示される。
実施例1、11〜14の比較から、一般式(I)または(II)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物と1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンおよび多官能チオールとから選ばれる少なくとも1種とのモル比を1:9〜9:1(好ましくは2:8〜8:2)と配合することで、鉛筆硬度、水浸漬後の基材密着性により優れた膜を形成することができることが示される。
比較例1および2に示すように、メチレンビスアクリルアミドやエチレンビスアクリルアミドのように連結鎖の短い2官能アクリルアミドを用いた場合、架橋点間密度が高すぎることから、得られる硬化膜は柔軟性に劣り、硬いが外部刺激に弱く脆いため基材から剥がれやすくなり、鉛筆硬度と基材密着性がともに低い結果となった。また、水に浸漬させることで基材密着性はさらに低下するため、ハードコート膜として不適であることは明らかである。
比較例3では、多官能アクリルアミドがないため架橋できず、硬化膜を作製することができない。
次に、本発明の熱重合性の硬化性組成物(下記組成物A)を用いて厚膜ハードコート膜を作製(実施例15)し、光ラジカル重合性の硬化性組成物(下記組成物B)により得られたハードコート膜(比較例4)と比較した。
「組成物A(熱重合性)」:表1に示す実施例1の各成分とメタノールとを混合し、固形分50質量%とした組成物
「組成物B(光ラジカル重合性)」:化合物Aを49.5質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを49.5質量部、Irgacure2959(BASF社製)1質量部に、メタノールを加えて固形分50質量%とした組成物
続いて、同様の方法により、組成物Bを乾燥後の厚みが100μmとなるように易接着PETフィルム(東洋紡社製:コスモシャインA4100)上に塗布し、その後、200mW、0.5J/cm2の条件で露光し、厚膜のハードコート膜を作製した。
(内部硬化性評価)
得られたハードコート膜について、JIS K7202−2に準じて、押し込み硬さ(ロックウェル硬度)をMスケールで測定を行った。
「OK」:ロックウェルMスケールが50以上
「NG」:ロックウェルMスケールが50未満
得られたハードコート膜について、折り曲げ試験を行い、PET側界面における基材との密着性を評価した。
「OK」:ハードコート膜の剥離が見られなかった。
「NG」:ハードコート膜の剥離が見られた。
なお、上記実施例15では上述した実施例1の各成分を用いたが、実施例2〜14のそれぞれにて使用した各成分を用いた場合も、実施例15と同様に優れた内部硬化性および密着性を示した。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物および下記一般式(II)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、
1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンおよび多官能チオールから選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含有する、硬化性組成物であって、
さらに、ヒドロキシル基を有する、単官能(メタ)アクリル化合物または単官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む、硬化性組成物。
- 前記一般式(II)中、R 1 は、水素またはメチル基を表し、R 2 、R 4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R 3 は、−O−、炭素数1〜4のアルキレン基、前記一般式(III)で表される基、または、これらを組み合わせた2価の連結基を表し、L 1 、L 2 は、それぞれ独立に、単結合または前記一般式(III)で表される基を表す、請求項1に記載の硬化性組成物。
ただし、R 3 、L 1 およびL 2 の少なくとも一つは、前記一般式(III)で表される基を表すか、または、L 1 およびL 2 が単結合を表し、かつ、R 3 は−(O−アルキレン基) n −で表される基を表す。前記アルキレン基の炭素数は1〜4であり、nは2以上の整数を表す。 - 前記化合物が、前記1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンを含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、前記1級または2級アミンを2以上有する多官能アミンおよび多官能チオールから選ばれる少なくとも一種の化合物とのモル比が1:9〜9:1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化型組成物を熱硬化して形成される硬化膜。
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