JP6851185B2 - 触媒転化式センサおよびガス検知器 - Google Patents

触媒転化式センサおよびガス検知器 Download PDF

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Description

本発明は、酸化によって生成した転化ガスを検出することで検知対象ガスを検知する触媒転化式センサに関する。
半導体製造にエッチングガス又はクリーニングガスとして使用される、三フッ化窒素(NF)、C、C、四フッ化炭素等のフッ素系特殊ガスは、通常、周辺環境に対する負荷があると考えられている。そのため、三フッ化窒素等のフッ素系特殊ガスの漏洩を検知することにより、これらフッ素系特殊ガスを周辺環境に放出しないように対策することができる。
三フッ化窒素は、直接電気化学反応による検知ができないためガスセンサによる感度が低く、事前に熱分解により二酸化窒素(NO)に転化させることにより検知できることが知られている。
尚、本発明における従来技術となる上述した「熱分解によって生成した転化ガスを検出することで検知対象ガスを検知する」技術は、一般的な技術であるため、特許文献等の従来技術文献は示さない。
しかし、三フッ化窒素を二酸化窒素に転化できる割合(転化率)は数%(3%程度)程度と低いため、効率よく三フッ化窒素を検知するのは困難であった。また、転化率は流量に依存するため、流量センサの劣化によって単位時間当たりの流量が増加すれば、転化率はさらに低下する虞があった。さらに、三フッ化窒素を検知しようとすれば、熱分解ユニットを増設する必要があるため、大型化する傾向にあった。
従って、本発明の目的は、転化率を向上でき、小型化を達成できる触媒転化式センサを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る触媒転化式センサの第一特徴構成は、酸化によって生成した転化ガスを検出することで検知対象ガスを検知するべく、ケーシング内に、前記検知対象ガスを流下させるガス流路と、前記ガス流路と接続し、前記検知対象ガスを自然拡散させる拡散手段によって前記ガス流路と空間的に区別できるように仕切られた転化部と、を備え、前記転化部は、加熱した触媒と接触させることにより前記検知対象ガスを酸化して転化ガスを生成する加熱触媒部、および、酸化によって生成した転化ガスを検出可能なセンサ素子部を有し、前記検知対象ガスが前記ガス流路を流下する方向と、前記検知対象ガスの一部が前記拡散手段を透過して前記転化部の内部へ自然拡散する方向とが異なるように構成した点にある。
本構成の触媒転化式センサは、ガス流路と転化部とを空間的に区別できるように仕切る拡散手段によりガス流路を流下する検知対象ガスを転化部の側に自然拡散させることができるため、転化部へ移行する検知対象ガスのガス量がガス流路を流下する流量に依存し難いように構成することができる。そのため、流量センサの劣化によって経時的にガス流路を流下する検知対象ガスの流量が変動した場合であっても、直ちに転化部へ移行する検知対象ガスのガス量に影響し難くなるため、転化部へ移行する検知対象ガスのガス量は変動し難くなる。従って、本発明の触媒転化式センサにおいては、検知対象ガスを転化ガスに転化させる転化率は検知対象ガスの流量の影響を受け難くなるため、経時的に転化率が低下し難くなる。
また、本構成によれば、ガス流路を流下する検知対象ガスの少なくとも一部を、流圧の影響を受け難い状態で拡散手段を透過して転化部の内部へ自然拡散させ易くなる。
また、本構成の拡散手段であれば、転化部の内部に自然拡散して滞留する検知対象ガスを加熱触媒部に効率よく接触させることができるため、転化率を向上させることができる。このとき、検知対象ガスは熱分解ではなく、触媒による酸化作用によって転化ガスを生成することができるため、加熱触媒部の加熱温度を抑制することができる。
また、本発明の触媒転化式センサは、転化部に加熱触媒部およびセンサ素子部を有することにより、熱分解ユニットを増設する必要が無いため小型化を達成することができる。
本発明に係る触媒転化式センサの第二特徴構成は、前記ガス流路を流下する検知対象ガスの一部が、前記拡散手段を透過して前記転化部の内部へ自然拡散し、前記検知対象ガスの残りが前記ガス流路の下流側へ流下する点にある。
本構成によれば、ガス流路を流下する検知対象ガスの少なくとも一部を、より流圧の影響を受け難い状態で拡散手段を透過して転化部の内部へ自然拡散させ易くなる。
本発明に係る触媒転化式センサの第三特徴構成は、前記拡散手段を、所定の孔径を有する孔部を形成した膜とした点にある。
本構成によれば、膜に孔部を形成する簡易な構成で、拡散手段を透過して転化部の内部へ自然拡散する検知対象ガスのガス量を調節することができる。
本発明に係る触媒転化式センサの第四特徴構成は、前記拡散手段を樹脂膜とした点にある。
本構成によれば、樹脂膜に孔部を形成する簡易な構成で、拡散手段を透過して転化部の内部へ自然拡散する検知対象ガスのガス量を調節することができる。
本発明に係る触媒転化式センサの第五特徴構成は、前記拡散手段を、所定の孔径を有する孔部を形成した樹脂膜、および、ガス透過性の多孔質膜を隣接配置した点にある。
本構成によれば、樹脂膜に孔部を形成することで、拡散手段を透過して転化部の内部へ自然拡散する検知対象ガスのガス量を調節することができる。また、ガス透過性の多孔質膜は、検知対象ガスが転化部の内部へ自然拡散する程度を所望の程度に規定することができる。
拡散手段は、ガス流路を流下する検知対象ガスが転化部の側に自然拡散できるように検知対象ガスを透過させる態様となっているが、一方で、転化部において生成した転化ガスが拡散手段を透過してガス流路の側に移行し難いように構成するのが望ましい。即ち、転化ガスがガス流路の側に移行し難くなれば、センサ素子部によって効率よく転化ガスを検知することができる。そのため、本構成のように拡散手段を樹脂膜および多孔質膜を隣接配置するように構成すれば、孔部の孔径等を種々設定し、さらに多孔質膜の透気度を種々変更する等して、拡散手段の透気抵抗度が、適用される検知対象ガスが転化部の側に自然拡散でき、かつ、転化ガスが転化部からガス流路の側に移行し難くなるように構成することができる。
本発明に係る触媒転化式センサの第六特徴構成は、前記検知対象ガスを三フッ化窒素とし、前記転化ガスを二酸化窒素とした点にある
本構成によれば、ガスセンサによる感度が低く、直接電気化学反応による検知ができない三フッ化窒素を二酸化窒素に転化して効率よく検知することができる。
本発明に係る触媒転化式センサの第七特徴構成は、前記加熱触媒部における触媒をPdおよびPtを含有する貴金属触媒とし、前記センサ素子部を貴金属担持カーボンを有して二酸化窒素を検知できる電気化学式窒素酸化物センサ素子とした点にある。
本構成によれば、貴金属担持カーボンを有して二酸化窒素を検知できる電気化学式窒素酸化物センサ素子であれば、二酸化窒素に対しても感度が高く、小型化することができる。従って、本構成の触媒転化式センサであれば、触媒転化式センサの一層の小型化を達成することができる。
本発明に係る触媒転化式センサの第八特徴構成は、第一〜特徴構成の何れか一項に記載の触媒転化式センサを備えたガス検知器とした点にある。
本構成によれば、上記の触媒転化式センサをガス検知器の部材とすることができる。
本発明の触媒転化式センサの断面概略図である。 拡散手段の概略図である。 拡散手段の樹脂膜に形成した孔部の孔径を種々変更した場合の転化率の変動について調べた結果を示したグラフである。 本発明の触媒転化式センサおよび従来センサにおいて三フッ化窒素を検知した結果を示したグラフである。 拡散手段の透気抵抗度について調べた結果を示したグラフである。 異なる態様の拡散手段を使用した場合のそれぞれのガス感度および応答時間の関係について調べた結果を示したグラフである。 ガス検知の際に得られる指示値が検知対象ガスの流量に依存するかどうかを調べた結果を示したグラフである。 接触燃焼式センサの検知素子の球径を種々変更した場合の印加電圧(約220〜1820mV)および素子温度の関係を調べたグラフである。 接触燃焼式センサの検知素子の球径を種々変更した場合の印加電圧(900〜1300mV)および素子温度の関係を調べたグラフである。 拡散制限を有しないキャップ(拡散制限無しキャップ)の概略図である。 拡散制限を有しないキャップ(拡散制限無しキャップ)の概略図である。 拡散制限を有するキャップ(拡散制限付きキャップ)の概略図である。 拡散制限を有するキャップ(拡散制限付きキャップ)の概略図である。 拡散制限無しキャップを使用した場合においてメタンガスの濃度を0〜100%LELまで変化させた場合のガス感度の結果を示したグラフである。 拡散制限付きキャップを使用した場合においてメタンガスの濃度を0〜100%LELまで変化させた場合のガス感度の結果を示したグラフである。 接触燃焼式センサの検知素子の球径に対して、電気化学式窒素酸化物センサ素子におけるNO感度の変化の結果を示したグラフである。 接触燃焼式センサの検知素子の球径に対して、電気化学式窒素酸化物センサ素子における応答速度の変化の結果を示したグラフである。 接触燃焼式センサの検知素子の温度に対して、電気化学式窒素酸化物センサ素子におけるNO感度の変化の結果を示したグラフである。 接触燃焼式センサの検知素子の温度に対して、電気化学式窒素酸化物センサ素子における応答速度の変化の結果を示したグラフである。 二種類のキャップを使用した場合において、接触燃焼式センサの検知素子の経時安定性について調べた結果を示したグラフである。 加熱触媒部を構成する第一センサケースの概略図(上面視)である。 加熱触媒部を構成する第一センサケースの概略図(側面視)である。 加熱触媒部を構成する第一センサケースの概略図(断面)である。 センサ素子部を構成する第二センサケースの概略図(上面視)である。 センサ素子部を構成する第二センサケースの概略図(断面)である。 第一センサケースと第二センサケースとを一体化させたときの概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示したように、本発明の触媒転化式センサXは、酸化によって生成した転化ガスを検出することで検知対象ガスを検知するべく、検知対象ガスを流下させるガス流路10と、ガス流路10と接続し、検知対象ガスを自然拡散させる拡散手段20によって隔てられた側に、加熱した触媒31と接触させることにより検知対象ガスを酸化して転化ガスを生成する加熱触媒部30A、および、酸化によって生成した転化ガスを検出可能なセンサ素子部30Bを有する転化部30と、を備える。
本実施形態では、検知対象ガスが三フッ化窒素であり、転化ガスが二酸化窒素であり、センサ素子部30Bが二酸化窒素を検知できる電気化学式窒素酸化物センサ素子である場合について説明するが、これらに限定されるものではない。例えば、センサ素子部30Bが電気化学式窒素酸化物センサ素子であれば、検知対象ガスをアンモニアとすることが可能である。また、センサ素子部30Bが転化ガスとして一酸化炭素や二酸化炭素を検知できるセンサ素子であれば、他のガスも検知対象とすることが可能である。
拡散手段20は、ガス流路10と転化部30とを仕切るものであり、これらを空間的に区別できるように構成してあればよく、ガス流路10を流下する検知対象ガスが転化部30の側に自然拡散できるように検知対象ガスを透過させる態様となるように構成してある。即ち、ガス流路10を流下する検知対象ガスの一部は、そのままガス流路10の下流側へ流下し、残りの一部が拡散手段20を透過して転化部30の内部へ自然拡散する態様となる。本明細書における「自然拡散」とは、例えば検知対象ガスを加圧するなどして強制的に拡散手段20の孔を通過させて転化部30の内部へ透過させることはせず、ガス流路10を流下する検知対象ガスの少なくとも一部が、当該流圧の影響を受け難い状態で拡散手段20の孔を通過して転化部30の内部へ透過する態様のことをいうものとする。
このような拡散手段20は、透気抵抗度が800mm・Pa−1・s−1以下であるように構成すればよく、好ましくは、50〜800mm・Pa−1・s−1とするのがよい。
拡散手段20は、異なる材料を組み合わせて構成してもよく、単一の材料で構成してもよい。本実施形態では異なる材料を組み合わせて構成した場合について説明する。
拡散手段20を異なる材料を組み合わせて構成する場合は、図2に示したように、所定の孔径を有する孔部21aを備えた樹脂膜21、および、ガス透過性の多孔質膜22を隣接配置して重ねた態様とすることができるが、これに限定されるものではない。これらを重ねる場合は、樹脂膜21がガス流路10の側、多孔質膜22が転化部30の側となるように配設すればよい。
樹脂膜21は、プラスチック合成樹脂などの高分子成分などを薄い膜状に成型したものとすればよいが、これに限定されるものではない。このような樹脂膜21に所定の孔径を有する孔部21aを1個あるいは複数個形成する。孔部21aの孔径および孔数を設定することにより、拡散手段20を透過して転化部30の内部へ自然拡散する検知対象ガスのガス量を調節することができる。ガス量の調節は、所望のガス量となるように孔部21aの孔径および孔数を設定すればよい。
多孔質膜22は、ガス透過性の多孔質膜等を使用すればよいが、これに限定されるものではない。このような多孔膜は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜等を使用することができる。当該多孔質膜22は、検知対象ガスが転化部30の内部へ自然拡散する程度を所望の程度に規定することができる。
上述したように、拡散手段20は、ガス流路10を流下する検知対象ガスが転化部30の側に自然拡散できるように検知対象ガスを透過させる態様となっているが、一方で、転化部30において生成した転化ガスが拡散手段20を透過してガス流路10の側に移行し難いように構成するのが望ましい。即ち、転化ガスがガス流路10の側に移行し難くなれば、センサ素子部30Bによって効率よく転化ガスを検知することができる。そのため、上述した拡散手段20であれば、孔部21aの孔径および孔数の他、孔部21aの配設位置を種々設定し、さらに多孔質膜22の透気度を種々変更する等して、拡散手段20の透気抵抗度が、適用される検知対象ガスが転化部30の側に自然拡散でき、かつ、転化ガスが転化部30からガス流路10の側に移行し難くなるように構成することができる。
例えば、拡散手段20を樹脂膜21およびガス透過性の多孔質膜22を重ねた態様とした場合、樹脂膜21の中心に1つの孔部21aを形成し、孔径を1〜4mmとした場合において転化率を35〜90%程度とすることができる。
拡散手段20を単一の材料で構成する場合は、例えば所定の孔径を有する孔部を形成した樹脂膜、或いは、ガス透過性の多孔質膜等の何れかを使用すればよいが、これに限定されるものではない。
樹脂膜は、上述したプラスチック合成樹脂などの高分子成分などを薄い膜状に成型したものとすればよいが、これに限定されるものではない。この場合も当該樹脂膜に所定の孔径を有する孔部を1個あるいは複数個形成する。孔部2の孔径および孔数を設定することにより、拡散手段20を透過して転化部30の内部へ自然拡散する検知対象ガスのガス量を調節することができる。そのため、所望のガス量となるように孔部の孔径および孔数を設定すればよい。例えば樹脂膜の外径を14mmとした場合、孔径を1〜4mmとするのがよい。
多孔質膜は、例えば上述したPTFE膜等を使用することができる。尚、拡散手段20を単一の材料で構成する場合は単一の同じ材料(多孔質PTFE膜)であっても、透気度を異ならせた複数の多孔質PTFE膜を組み合わせることも可能である。
本構成であれば、簡易な構成で、拡散手段20を透過して転化部30の内部へ自然拡散する検知対象ガスのガス量を調節することができる。ガス量の調節は、所望のガス量となるように孔部の孔径および孔数を設定すればよい。
転化部30は、検知対象ガスを酸化して生成した転化ガスを検出するように構成するため、加熱触媒部30Aおよびセンサ素子部30Bを有する。本実施形態の転化部30はケーシング1の内部空間の一部として構成してある。即ち、当該ケーシング1は、その内部を拡散手段20によって仕切ってあり、仕切られた空間の一方を転化部30とし、他方をガス流路10の一部としてある。ケーシング1は円柱状や立方体状等、どのような形状であってもよい。本実施形態では、検知対象ガスがガス流路10を流下する方向と、検知対象ガスの一部が拡散手段20を透過して転化部30の内部へ自然拡散する方向とが異なる(略直交する)ように構成してある場合について説明する。この場合、ガス流路10を流下する検知対象ガスの少なくとも一部を、より当該流圧の影響を受け難い状態で拡散手段20の孔を通過して転化部30の内部へ自然拡散させ易くなる。
加熱触媒部30Aは、拡散手段20を透過して転化部30の内部へ自然拡散した検知対象ガスを加熱した触媒31に接触させ、検知対象ガスを酸化して転化ガスを生成する。本実施形態における当該触媒31は、PdおよびPtを含有する貴金属触媒とした場合について説明するが、これらに限定されずRu、RhおよびIrも使用することができる。この加熱触媒部30Aは、例えば300〜700℃、好ましくは350〜600℃、さらに好ましくは400〜600℃程度まで加熱することができるように構成すればよい。この場合、印加電圧は約0.68〜1.85Vとするのがよい。検知対象ガスが加熱した触媒31に接触すると、検知対象ガスが酸化され、また触媒による酸化作用によって転化ガスを生成することができる。加熱触媒部は1つであれば消費電力を抑制できるが、設置数は1つに限定されず、複数設けてもよい。加熱触媒部を複数設ける場合は、例えば2つの加熱触媒部を所定間隔で並置してそれらの下流側にセンサ素子部30Bが配設されるように構成してもよいし、2つの加熱触媒部がケーシング1の内部で対面するように配設してもよい。また、加熱触媒部を複数設ける場合は、それぞれの加熱触媒部を加熱する温度を同じ温度に設定してもよく、設置位置に応じた適切な温度に変更してもよい。当該温度は、拡散手段20の性能が適切に発揮できる温度に設定するのがよい。
本実施形態では、加熱触媒部30Aとして接触燃焼式センサの素子を用いる場合について説明する。この場合、簡便かつ小型の態様で加熱触媒部を構成することができる。
接触燃焼式センサは、所定のガスと感応する検知素子を備えている。当該検知素子は、接触燃焼式の素子であって、電気抵抗に対する温度係数が高い白金等を含む金属線のコイルの表面が、検出対象ガスに対して活性な貴金属触媒を坦持するアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。貴金属触媒は、上述した白金族である、Pt、Pd、Ru、RhおよびIrの少なくとも1つ以上の微粒子を使用することができる。
検知素子の球径は0.76〜1.08mmとするのがよく、好ましくは0.84〜1.00mmとするのがよい。この範囲であれば、検知対象ガスを酸化して転化ガスを生成する効率が優れたものとなる。
上述したように、本実施形態では、検知対象ガスが三フッ化窒素であり、転化ガスが二酸化窒素であるが、これは以下の化1〜化3の反応式によって転化が進行すると考えられる。
Figure 0006851185
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センサ素子部30Bは、電気化学式センサ、光センサ、半導体式ガスセンサ、接触燃焼式センサ等が適用できる。本実施形態では、貴金属担持カーボンを有して、生成した転化ガスである二酸化窒素を検知できる電気化学式窒素酸化物センサ素子である場合について説明する。
当該電気化学式窒素酸化物センサ素子は、ガス拡散電極からなる検知極、当該検知極に一体に接合されている補助相、常温溶融塩である電解液、検知極と同様の構成からなる対極をセンサケースに収容することによって構成することができる。検知極は金触媒を担持させたカーボン粉末(金担持カーボン)とバインダーとしてのポリ4フッ化エチレンとの混合物から形成してある。補助相は多孔性ニッケルシートの孔中に補助相材料である硝酸リチウムを充填して形成してある。このような電気化学式窒素酸化物センサ素子は、二酸化窒素に対しても感度が高い。
この金担持カーボンであれば、約10nm程度まで微粒子化することができるため、電気化学式窒素酸化物センサ素子を小型化することができる。また、金担持カーボンを微粒子化することで、表面積が増大して二酸化窒素に対しても感度を向上することができる。
本発明で使用する検知対象ガスである三フッ化窒素は、ガスセンサによる感度が低く、直接電気化学反応による検知ができないため、事前に酸化により二酸化窒素(NO)に転化させることにより検知できる。
本発明の触媒転化式センサXは、検知対象ガスを吸引して流下させるポンプ、流量センサ、センサ素子部30Bが検知した結果に基づいて検知対象ガスの漏洩を判定する演算手段、警報レベル以上の検知対象ガスの濃度を継続して検知した場合に警報を発するように制御する警報手段(何れも図外)等と共に警報器やガス検知器の部材とすることができる。
本発明の触媒転化式センサXは、拡散手段20によりガス流路10を流下する検知対象ガスを転化部30の側に自然拡散させることができるため、転化部30へ移行する検知対象ガスのガス量がガス流路10を流下する流量に依存し難いように構成することができる。そのため、流量センサが劣化して経時的にガス流路10を流下する検知対象ガスの流量が変動した場合であっても、直ちに転化部30へ移行する検知対象ガスのガス量に影響し難くなるため、転化部30へ移行する検知対象ガスのガス量は変動し難くなる。従って、本発明の触媒転化式センサXにおいては、検知対象ガスを転化ガスに転化させる転化率は検知対象ガスの流量の影響を受け難くなるため、経時的に転化率が低下し難くなる。
上述した拡散手段20であれば、転化部30の内部に自然拡散して滞留する検知対象ガスを加熱触媒部30Aに効率よく接触させることができるため、転化率を35〜90%程度、好ましくは45〜90%程度に向上させることができる。このとき、検知対象ガスは加熱触媒部30Aによって酸化され、また触媒による酸化作用によって転化ガスを生成することができるため、加熱触媒部30Aの加熱温度を300〜700℃、好ましくは350〜600℃、さらに好ましくは400〜600℃、さらに好ましくは450℃程度に抑制することができる。この温度範囲であれば、応答速度および検出可能な感度の双方を両立させることができる。
上述した拡散手段20であれば、転化ガスが転化部30から外部(ガス流路10)に移行し難くなるように構成することができるため、転化部30の内部で滞留する転化ガスを効率よく安定してセンサ素子部30Bによって検知できる。
また、本発明の触媒転化式センサXは、転化部30に加熱触媒部30Aおよびセンサ素子部30Bを有することにより、熱分解ユニットを増設する必要が無いため小型化を達成することができる。
〔実施例1〕
本発明の実施例について説明する。
本発明の触媒転化式センサXを使用して転化率の変動について調べた。
検知対象ガスは三フッ化窒素とし、転化ガスは二酸化窒素とし、センサ素子部30Bを電気化学式窒素酸化物センサ素子とした。また、拡散手段20は、円形に形成した樹脂膜(プラスチック合成樹脂)21およびガス透過性の多孔質膜(PTFE膜)22を重ねた態様とし、樹脂膜21の中心に1つの孔部21aを形成した。当該孔部21aの孔径をφ1〜14mmまで種々変更した場合の転化率の変動について調べた。φ14mmは、円柱状の転化部30の直径に対応する大きさである。
流下させるガスは三フッ化窒素および二酸化窒素とし、それぞれを各別に流下させた。二酸化窒素を流下させるのは、孔部21aの孔径によって二酸化窒素がどのように挙動するかを確認するためである。結果を図3に示した。三フッ化窒素を流下させた場合は転化部30において生成した転化ガスである二酸化窒素のセンサ出力を測定した。二酸化窒素を流下させた場合は転化部30に自然拡散した二酸化窒素のセンサ出力を測定した。
この結果、二酸化窒素を流下させた場合は、孔径が大きい場合(φ8〜14)は、センサ出力が高いため転化部30に自然拡散し易いと認められた。しかし、この場合、転化部30から外部(ガス流路10)に移行し易くなる。
三フッ化窒素を流下させた場合は、孔径が大きい場合(φ8〜14)は、センサ出力が低いため転化率は10〜20%程度であった。これは、孔径が大きいため、三フッ化窒素から生成した転化ガスである二酸化窒素が転化部30から外部(ガス流路10)に移行し易いためであると考えられた。また、孔径が小さい場合(φ1〜4)は、センサ出力が高いため転化率は35〜90%程度となった。これは、これは、孔径が小さいため、三フッ化窒素から生成した転化ガスである二酸化窒素が転化部30から外部(ガス流路10)に移行し難いため、効率よく検知できたためであると考えられた。
これより、樹脂膜21の中心に1つの孔部21aを形成した場合は、孔径を1〜4mmとした場合に良好な転化率(35〜90%程度)が得られると認められ、好ましくは孔径を1〜3mmとした場合に良好な転化率(45〜90%程度)が得られると認められた。
〔実施例2〕
本発明の触媒転化式センサXおよび従来センサを使用して三フッ化窒素を検知する際の感度について比較した。従来センサは、熱分解により三フッ化窒素を二酸化窒素に転化させることにより検知するため、検知対象ガスを予め増設の熱分解ユニットにより熱分解しセンサ部へ導入する構造を有するものを使用した。当該熱分解ユニットは公知の構成のユニットを使用した。
拡散手段20の透気抵抗度を50mm・Pa−1・s−1とし、樹脂膜21(樹脂膜径16mm、PPフィルム 厚さ0.2mm)の中心に1つの孔部21a(孔径6mm)を形成したものを使用し、多孔質膜を多孔質PTFE膜(巴川製紙所社製)とした。また、転化部30の容積を0.001mとし、加熱触媒部30Aの加熱温度を450℃とした。さらに三フッ化窒素の濃度は16ppmとし、本発明の触媒転化式センサXおよび従来センサにおいてガス流路を流下させる流量は0.5L/分とした。それぞれのセンサによって三フッ化窒素を検知した結果を図4に示した。
この結果、本発明の触媒転化式センサXにおける三フッ化窒素の感度は、50秒経過後には0.30μA付近の高い値が得られたが、従来センサにおける三フッ化窒素の感度は、100秒経過後であっても0.15μA付近の低い値に留まった。よって、本発明の触媒転化式センサXは、高い転化率が達成できる高感度のセンサであると認められた。
〔実施例3〕
実施例2で使用した触媒転化式センサXにおける拡散手段20の透気抵抗度について調べた。拡散手段20の構成を種々変更することで透気抵抗度を種々変更し、応答速度の目安である60秒以内、より好ましくは30秒以内を考慮したうえで十分なガス感度が得られる透気抵抗度の範囲を決定した。拡散手段20の構成は、PPフィルムのみ(多孔質PTFEシートなし)とし、孔部21aの孔径をそれぞれ1mm、2mm、3mm、4mm、6mm、8mmおよび全開(14mm)とした。透気抵抗度は孔径が小さい順からそれぞれ50、100、150、300、800、1000、1200であった。結果を図5に示した。
この結果、拡散手段の透気抵抗度が800mm・Pa−1・s−1以下であれば、好ましい応答速度(60秒以内)を満たす範囲であると認められた。さらに、拡散手段の透気抵抗度が50〜800mm・Pa−1・s−1の範囲であれば、十分なガス感度(25mV以上)を満たす範囲であると認められた。
〔実施例4〕
本発明の触媒転化式センサXにおいて、拡散手段20を、単一の材料で構成した樹脂膜とした場合(実施例4−1)、或いは、樹脂膜21および多孔質膜22を隣接配置して重ねた態様とした場合(実施例4−2)について、それぞれのガス感度および応答時間の関係について調べた。
実施例4−1のセンサでは、膜径14mmの樹脂膜に2mmの孔径を有する孔部を形成した拡散手段20を使用した。実施例4−2のセンサでは、膜径が14mmであり4mmの孔径を有する孔部を形成した樹脂膜21および膜径が14mmの多孔質PTFE膜からなる拡散手段20を使用した。三フッ化窒素の濃度は16ppmとした。結果を図6に示した。
この結果、何れの実施例においても約100〜200秒において、約160〜210mVの高いガス感度が得られたと認められた。
〔実施例5〕
本発明の触媒転化式センサXおよび従来センサを使用して、ガス検知の際に得られる指示値が検知対象ガスの流量に依存するかどうかを調べた。従来センサは実施例2に使用した従来センサ1を使用した。
検知対象ガスは15ppmの三フッ化窒素とし、流量は0.2〜0.8L/分の間で種々変更した。結果を図7に示した。
この結果、従来センサ1は流量が増加するに従って転化率が減少するため指示値が減少したが、本発明の触媒転化式センサXは、流量が増加した場合であっても指示値は殆ど変化しなかった。そのため、本発明の触媒転化式センサXは、検知対象ガスの流量に依存し難いものと認められた。
〔実施例6〕
加熱触媒部30Aとして接触燃焼式センサを使用した場合に、当該接触燃焼式センサの検知素子の球径を種々変更した場合の印加電圧および素子温度の関係を調べた。
検知素子は白金コイルをPdおよびPtを含有する貴金属触媒を坦持するアルミナで被覆したものを使用し、検知素子の球径を、0.76mm(本発明例1)、0.84mm(本発明例2)、0.92mm(本発明例3)、1.00mm(本発明例4)、1.08mm(本発明例5)とし、印加電圧は約220〜1820mVの間で素子温度を測定した。結果を図8,9に示した。図9は印加電圧が900〜1300mVの間の図8のグラフを拡大したものである。
この結果、印可電圧を高くするほど素子温度は上昇し、検知素子の球径を大きくするほど同一の電圧では素子温度が下がるものと認められた。
〔実施例7〕
加熱触媒部30Aとして接触燃焼式センサを使用した場合、当該接触燃焼式センサの検知素子32を覆うキャップを、拡散制限を有しないキャップ33(図10,11:以下、拡散制限無しキャップと称する)、および、拡散制限を有するキャップ34(図12,13:以下、拡散制限付きキャップと称する)を使用したときに、検知素子32の球径がどのように関係するかを調べた。
拡散制限無しキャップ33は胴体部33aおよび金網部33bによって構成してある。胴体部33aは直径5.8〜5.9mmの裾広げ加工を施したSUS304製のシームレス管であり、金網部33bは最大直径が5.2mmとなる半円形状を呈しており、線径0.1mm、100メッシュであるSUS316製の金網が二重構造となるように構成してある。金網部33bは胴体部33aに対して4か所のスポット溶接を行って内嵌させ、これらを組み立てたときの長寸が11.5mmとなるようにしてある。拡散制限無しキャップ33は、例えば拡散制限無しキャップ33の内部のガスが拡散制限無しキャップ33の金網部33bを介して拡散するのを制限しないように構成してある。
一方、拡散制限付きキャップ34は直径5.9mm、長寸11.6mmの筒状のSUS305−2D製の胴体部34aを呈しており、直径3.6mmの孔部34bを形成してある。拡散制限付きキャップ34は当該孔部34bを胴体部34aの直径より絞った孔径とすることで、例えば拡散制限付きキャップ34の内部のガスが拡散制限付きキャップ34の孔部34bを介して拡散するのをある程度制限するように構成してある。
尚、拡散制限付きキャップ34は拡散制限無しキャップ33に比べて50%程度の拡散制限を有する構成となっている。
使用したガスは試験用のガスとしてメタンガスとした。メタンガスの濃度を0〜100%LELまで変化させた場合のガス感度の結果を図14(拡散制限無しキャップ33)、図15(拡散制限付きキャップ34)に示した。
この結果、図14より拡散制限無しキャップ33を使用した場合は検知素子32の球径が大きくなるほど感度が高くなり、図15より拡散制限付きキャップ34を使用した場合は検知素子32の球径によって感度は殆ど変化しないことが判明した。これは、拡散制限付きキャップ34が有する拡散制限の作用のため、検知素子32の球径による感度の差が出難くなったと考えられる。これにより、拡散制限付きキャップ34を使用した場合は、例えば触媒の劣化による反応性の低下に際して、出力値に変化が生じ難く、感度の低下が小さいと認められた。
このように拡散制限付きキャップ34を使用した場合は感度の球径依存が殆ど無いため、拡散制限付きのキャップを使用すれば、加熱触媒部30Aにおいてガス拡散の状態が拡散律速となっていると考えられる。即ち、拡散制限付きキャップ34は、球径を意図的に変化させても感度に変化が生じない状態となるキャップであると考えられる。さらに、本実施例ではメタンガスを使用したが、メタンガスより分子が大きく拡散し辛いガスに対して、拡散制限付きキャップ34を使用した場合であっても、拡散律速となるキャップであると考えられる。
〔実施例8〕
加熱触媒部30Aとして接触燃焼式センサを使用した場合に、当該接触燃焼式センサの検知素子の球径に対して、電気化学式窒素酸化物センサ素子(センサ素子部30B)におけるNO感度の変化、および、応答速度について調べた。検知素子の球径は実施例6で設定した0.76〜1.08mmのサイズとし、接触燃焼式センサにおいて使用するキャップは実施例7で使用した2種類のキャップとした。検知対象ガスは16ppmの三フッ化窒素とし、印加電圧は1.1Vとした。結果を図16,17に示した。
この結果、何れのキャップを使用した場合であっても、図16より検知素子の球径が大きくなるにつれて感度が上昇し、図17より球径が大きくなるにつれて応答速度が遅くなることが判明した。これらの結果より、感度と応答速度の兼ね合いから、検知素子の球径において実使用上の最適な範囲があると認められた。即ち、例えばNO感度において例えば50mV以上(図16)が必要である場合、検知素子の球径は0.76〜1.08mmのサイズであれば、応答速度は約15〜34秒(図17)であり、検知対象ガスを酸化して転化ガスを生成する効率が優れ、好ましい応答速度(60秒以内)を満たす範囲であると認められた。
また、特に、検知素子の球径が0.84〜1.00mmであれば、NO感度が50mV以上(図16)であり、かつ応答速度が30秒以内(図17)を満たす範囲であると認められた。
〔実施例9〕
実施例8において、検知素子(加熱触媒部30A)の温度に対して、電気化学式窒素酸化物センサ素子(センサ素子部30B)におけるNO感度の変化、および、応答速度について調べた。検知素子32の球径は1.00mmとした。結果を図18,19に示した。
図18より、2種類のキャップにおいて検知素子のトップ温度は異なるものの、400〜420℃付近でセンサ出力がピークに達し、その後、検知素子の温度が高くなるに従ってセンサ出力が低下するものと認められた。即ち、例えばNO感度において50mV以上が必要である場合、拡散制限無しキャップ33を使用した場合は検知素子の温度を300〜700℃とするのがよく、拡散制限付きキャップ34を使用した場合は検知素子の温度を300〜600℃とするのがよいことが判明した。
また、図19より、2種類のキャップにおいて、検知素子の温度が高いほど応答速度が速くなると認められた。即ち、拡散制限無しキャップ33を使用した場合は、300℃以上の場合が好ましい応答速度(60秒以内)を満たし、700℃付近から応答速度は殆ど変化が認められないため、検知素子の温度を300〜700℃とするのがよいことが判明した。また、拡散制限付きキャップ34を使用した場合は、約350℃以上の場合が好ましい応答速度(60秒以内)を満たし、600℃付近から応答速度は殆ど変化が認められないため、検知素子の温度を350〜600℃とするのがよいことが判明した。
検知素子の温度を300〜700℃とした場合、印加電圧は例えば0.68V(検知素子の球径0.76mm)〜1.85V(検知素子の球径1.08mm)とするのがよい(図8)。
尚、拡散制限付きキャップ34を使用した場合においてトップ温度が低温にシフトし、応答速度が遅くなっているのは、ガスがキャップ内にこもるためであると考えられた。また、図18,19の結果より、検知素子の温度が300℃以下であれば検知対象ガスの転化が殆ど進行し難く、700℃以上の高温であれば、NOからNとなる反応が進行し難くなると考えられる。
〔実施例10〕
加熱触媒部30Aとして接触燃焼式センサを使用した場合に、当該接触燃焼式センサに使用するキャップを、拡散制限無しキャップ33(図10,11)、および、拡散制限付きキャップ34(図12,13)を使用したときの検知素子の経時安定性について調べた。使用したガスは15ppmの三フッ化窒素とした。結果を図20に示した。
この結果、約二か月以上使用した時点において、拡散制限無しキャップ33を使用した方は緩やかに劣化が進行し、拡散制限付きキャップ34を使用した方は殆ど劣化が認められないことが判明した。
尚、拡散制限無しキャップ33を使用した方は経時的に劣化が緩やかに進行するがセンサ出力が高いため、短期使用できる場所であれば十分使用できると考えられる。一方、拡散制限付きキャップ34を使用した方はセンサ出力が低いがセンサ出力が経時的に安定しているため、工場など長期に亘って設置できる場所での使用に向いていると考えられる。
〔実施例11〕
上述した実施例では、加熱触媒部30Aおよびセンサ素子部30Bは離間した状態で転化部30に配置する場合について説明したが、このような態様に限定されるものではなく、加熱触媒部30Aおよびセンサ素子部30Bを一体化した態様で転化部30に配置してもよい。
例えば図21〜26に示したように、加熱触媒部30Aを構成する第一センサケース40と、センサ素子部30Bを構成する第二センサケース50とをボルト等によって一体化させる態様とすることが可能である。
第一センサケース40には、ガスが流入する第一ガス流入口41と、接触燃焼式センサを差し込む差込孔42と、ガスが流出するガス流出口43とが形成してある(図21〜23)。ガス流入口41からは検知対象ガスが流入し、ガス流出口43からは転化ガスが流出する。
第二センサケース50には、電気化学式センサ等を収容するセンサ収容部51と、第一センサケース40を載置する載置部52とが形成してある(図24,25)。また、第二センサケース50には、載置部52においてガス流出口43と接続する第二ガス流入口53が形成してあり、当該第二ガス流入口53およびセンサ収容部51を連通させる連通部54が形成してある。これにより、ガス流出口43から流出した転化ガスが第二ガス流入口53および連通部54を介してセンサ収容部51に流入し、電気化学式センサ等によって転化ガスを検知できる。
このように、加熱触媒部30A(第一センサケース40)およびセンサ素子部30B(第二センサケース50)を一体化した態様とすることで、転化部30の容量を小さくすることができる。
また、第二センサケース50に第一センサケース40を載置しない態様とすることで、センサ素子部30B(第二センサケース50)のみの構成、即ち、電気化学式センサのみの構成とすることができる。これにより、加熱触媒部30Aおよびセンサ素子部30Bを備えた構成と、センサ素子部30Bのみを備えた構成とを容易に選択することができる。
本発明は、酸化によって生成した転化ガスを検出することで検知対象ガスを検知する触媒転化式センサに利用できる。
X 触媒転化式センサ
10 ガス流路
20 拡散手段
30 転化部
30A 加熱触媒部
30B センサ素子部
31 触媒

Claims (8)

  1. 酸化によって生成した転化ガスを検出することで検知対象ガスを検知するべく、ケーシング内に、
    前記検知対象ガスを流下させるガス流路と
    前記ガス流路と接続し、前記検知対象ガスを自然拡散させる拡散手段によって前記ガス流路と空間的に区別できるように仕切られた転化部と、を備え、
    前記転化部は、加熱した触媒と接触させることにより前記検知対象ガスを酸化して転化ガスを生成する加熱触媒部、および、酸化によって生成した転化ガスを検出可能なセンサ素子部を有し、
    前記検知対象ガスが前記ガス流路を流下する方向と、前記検知対象ガスの一部が前記拡散手段を透過して前記転化部の内部へ自然拡散する方向とが異なるように構成してある触媒転化式センサ。
  2. 前記ガス流路を流下する検知対象ガスの一部は、前記拡散手段を透過して前記転化部の内部へ自然拡散し、前記検知対象ガスの残りは前記ガス流路の下流側へ流下する請求項1に記載の触媒転化式センサ。
  3. 前記拡散手段は、所定の孔径を有する孔部を形成した膜である請求項1または2に記載の触媒転化式センサ。
  4. 前記拡散手段は樹脂膜である請求項に記載の触媒転化式センサ。
  5. 前記拡散手段が、所定の孔径を有する孔部を形成した樹脂膜、および、ガス透過性の多孔質膜を隣接配置したものである請求項1〜の何れか一項に記載の触媒転化式センサ。
  6. 前記検知対象ガスが三フッ化窒素であり、前記転化ガスが二酸化窒素である請求項1〜の何れか一項に記載の触媒転化式センサ。
  7. 前記加熱触媒部における触媒がPdおよびPtを含有する貴金属触媒であり、前記センサ素子部が貴金属担持カーボンを有して二酸化窒素を検知できる電気化学式窒素酸化物センサ素子である請求項に記載の触媒転化式センサ。
  8. 請求項1〜の何れか一項に記載の触媒転化式センサを備えたガス検知器。
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