JP6849410B2 - 多孔性シートのピンホール数の予測方法、無機充填剤を含む樹脂混練物の製造方法、及び多孔性シートの製造方法 - Google Patents

多孔性シートのピンホール数の予測方法、無機充填剤を含む樹脂混練物の製造方法、及び多孔性シートの製造方法 Download PDF

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本発明は、多孔性シートのピンホール数の予測方法に関する。また本発明は、無機充填剤を含む樹脂混練物の製造方法、及び多孔性シートの製造方法に関する。
無機充填剤を含む樹脂混練物を原料とし、該樹脂混練物をフィルム状に成形した後、フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して、水蒸気透過性で且つ水不透過性の多孔性シートを得る技術が知られている。例えば特許文献1には、ポリオレフィン樹脂及び無機充填剤を含むポリオレフィン系樹脂成分と、多塩基酸と、多価アルコールと、炭素数14〜22の一塩基酸及び/又は炭素数12〜22の一価アルコールとのポリエステルと、脂肪酸又はその金属塩とを含む樹脂組成物を成形してなるシートを、一軸又は二軸延伸法で、面積を2倍以上に延伸処理し、坪量を10〜25g/m2とする多孔性の透湿シートの製造方法が記載されている。
上述の方法で製造された多孔性シートは、水蒸気を透過させつつ、水の透過を妨げるために、微細な孔を有することが必要であるところ、フィルムの成形条件や、その後の延伸条件によっては、水の透過を許容してしまう程度に大きな孔、すなわち、いわゆるピンホールが生じてしまう場合がある。ピンホールの発生は、液漏れの発生の原因となり、また多孔性シートの生産性の低下にもつながる。特許文献1に記載の技術では、多孔性シートにピンホールが発生しないようにするために、無機充填剤の比表面積及び含有量、並びに脂肪酸又はその金属塩の含有量を特定の範囲に設定している。
特開2008−163153号公報
特許文献1に記載の技術を含め、多孔性シートにピンホールが発生しないようにフィルムを成形するためには、フィルムの成形条件を様々に変えて成形を行い最適条件を見出す作業が必要となる。しかし、最適な成形条件を見出すには過度の試行錯誤が必要となり、時間的及び経済的に有利とは言えない。
したがって本発明の課題は、多孔性シートの製造方法の改良にあり、更に詳しくは最適な成形条件を見出すための過度の試行錯誤を行うことなく、多孔性シートにおけるピンホールの発生を防止することにある。
本発明は、無機充填剤の分散の程度が異なる複数種のポリオレフィン樹脂混練物を準備する工程と、
複数種の前記樹脂混練物のそれぞれに関し、これを同一条件でフィルム化する工程を経て得られた多孔性シートのピンホールの数を測定する工程とを有する、多孔性シートのピンホール数の予測方法であって、
前記樹脂混練物を、該樹脂の融点以上に加熱した状態下にレオメータを用いてレオロジー特性を測定し、測定された該レオロジー特性と前記ピンホールの数とに基づいて、両者の相関関係を求める工程を含み、
前記相関関係に基づき、任意の前記樹脂混練物について測定された前記レオロジー特性から、該樹脂混練物をフィルム化して得られた多孔性シートのピンホール数を予測する、多孔性シートのピンホール数の予測方法を提供するものである。
本発明によれば、多孔性シートに発生するピンホールの数をシミュレーションによって予測することで、最適な成形条件を見出すための過度の試行錯誤を行うことなく多孔性シートにおけるピンホールの発生を効果的に防止することができる。
図1は、樹脂組成物のレオロジー特性の一例としての応力sと剪断速度Dとのヒステリシスループを示すグラフである。 図2は、実施例1において、ヒステリシスループの面積とピンホールの数との関係をプロットした結果を示すグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明においては、無機充填剤を含むポリオレフィン樹脂混練物を原料とする多孔性シートを実際に製造するのに先立ちシミュレーションを行い、多孔性シートに発生するピンホールの数を予測して、ピンホールが発生しない混練条件を見出すことに関するものである。ピンホールが発生しない樹脂混練物の混練条件を見出すために本発明者は鋭意検討した結果、意外にも、樹脂混練物のレオロジー特性と、成形時に多孔性シートに発生するピンホールの数とが相関することを見出した。本発明は、かかる相関を見出したことに基づきなされたものである。
樹脂混練物のレオロジー特性と、成形時に多孔性シートに発生するピンホールの数との相関関係を求めるためには、まず無機充填剤の分散の程度の異なる複数種の樹脂混練物を準備する。「無機充填剤の分散の程度」とは、樹脂混練物中における無機充填剤の混ざり具合のことである。無機充填剤の分散の程度が高いとは、樹脂混練物中において無機充填剤の粒子の凝集の程度が小さく、該粒子が均一に分布している状態のことである。一方、無機充填剤の分散の程度が低いとは、樹脂混練物中において無機充填剤の粒子の凝集の程度が大きい状態や、該粒子は凝集していないものの、樹脂混練物中において不均一に分布している(偏在している)状態のことである。この複数種の樹脂混練物は、同一の無機充填剤及び同一の樹脂を含み、且つ樹脂に対する無機充填剤の割合が同一であり、無機充填剤の分散の程度のみが異なるものである。準備する樹脂混練物の数は少なくとも4種であることが、ピンホール数の予測を一層正確に行う観点から好ましい。
無機充填剤の分散の程度のみが異なる複数種の樹脂混練物を得るには、例えばヘンシェルミキサやスーパーミキサを用いて樹脂と無機充填剤とを予備混合した後、一軸又は二軸押出機で混練するときに、押出機のシリンダの温度を種々変更したり、押出機のスクリューの回転数やスクリューの形状(例えばL/D)を種々変更したりして、様々な条件下に無機充填剤と樹脂とを混練すればよい。
樹脂混練物に占める無機充填剤の割合は、目的とする多孔性シートにおける多孔度の程度に応じて適切な値を設定すればよい。一般的には、樹脂混練物に占める無機充填剤の割合は、30質量%以上とすることが好ましく、40質量%以上とすることが更に好ましく、50質量%以上とすることが一層好ましい。また、80質量%以下とすることが好ましく、70質量%以下とすることが更に好ましく、60質量%以下とすることが一層好ましい。具体的には、樹脂混練物に占める無機充填剤の割合は、30質量%以上80質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上70質量%以下とすることが更に好ましく、50質量%以上60質量%以下とすることが一層好ましい。
以上のようにして、無機充填剤の分散の程度が異なる複数種の樹脂混練物を準備する工程が完了したら、次にこれらの樹脂混練物のそれぞれに関し、それを同一条件でフィルム化する工程を経て多孔質フィルムを得る。樹脂混練物のフィルム化には、例えば公知の成形方法を用いることができる。そのような成形方法としては、例えば各種の溶融押出成形法を採用することができる。溶融押出成形法の例としては、インフレーション成形及びTダイ成形などが挙げられるが、これらに限られない。
インフレーション成形においては、押出機の先端にリングダイと呼ばれる環状のリップを持つ金型を配し、樹脂混練物をチューブ状に押し出すとともにチューブ内に気体を供給して該チューブを膨張させる。一方、Tダイ成形においては、押出機の先端にTダイと呼ばれる直線状のリップを持つ金型を配し、樹脂混練物を平たく押し出して連続的に成形を行う。いずれの成形法を採用する場合であっても、押出機に供給する樹脂混練物は、ペレットの形態であることが、押出機への円滑な樹脂混練物の供給の観点から好ましい。
いずれの成形法を用いる場合であっても、無機充填剤の分散の程度が異なる複数種の樹脂混練物それぞれをフィルム化する条件は同一とする。フィルム化のための成形条件に特に制限はなく、樹脂の種類や樹脂中での無機充填剤の配合割合などに応じてフィルム化可能な成形条件を選定すればよい。この成形条件として、フィルム化する工程を経て得られる多孔性シートにピンホールが発生しない条件を採用することに妨げはないが、そのような条件を常に採用する必要はない。ピンホール数の予測を一層正確に行う観点からは、目的とする多孔性シートの成形条件と同じ条件でフィルム化を行うことが好ましい。
次に、樹脂混練物をフィルム化する工程を経て得られた複数種の多孔性シートを対象として、それに発生したピンホールの数を測定する。本発明において、多孔性シートに発生したピンホールとは、その大きさが幅0.5mm、長さ0.5mm以上である貫通孔のことをいう。多孔性シートにピンホールが存在しているか否かは、CCDカメラ検出によるピンホール検査機によって判定する。ピンホールの存在の有無を判定するための対象となる多孔性シートの測定領域は、使用する全領域とする。
本発明においては、樹脂混練物をフィルム化し、それによって得られた複数種の多孔性シートのピンホールの数を測定する操作とともに、又はその操作と前後して、樹脂組成物のレオロジー特性を測定する。樹脂組成物のレオロジー特性は、該樹脂組成物を成形するときの状態である溶融状態において測定する。この目的のために、樹脂組成物を、該樹脂の融点以上に加熱した状態下にレオロジー特性を測定する。加熱温度は、樹脂組成物が溶融してレオロジー特性を測定し得る粘度を示す値に設定することが好ましい。樹脂組成物を構成する樹脂の融点をM(℃)としたとき、レオロジー特性の測定においては、樹脂組成物を、〔M+20〕℃以上に加熱することが好ましく、〔M+40〕℃以上に加熱することが更に好ましく、〔M+60〕℃以上に加熱することが一層好ましい。また、〔M+120〕℃以下に加熱することが好ましく、〔M+100〕℃以下に加熱することが更に好ましく、〔M+80〕℃以下に加熱することが一層好ましい。樹脂組成物の加熱温度は、〔M+20〕℃以上〔M+120〕℃以下であることが好ましく、〔M+40〕℃以上〔M+100〕℃以下であることが更に好ましく、〔M+60〕℃以上〔M+80〕℃以下であることが一層好ましい。樹脂組成物が複数の樹脂から構成されている場合には、樹脂のうち最も高い融点を樹脂組成物の融点Mとする。また、レオロジー特性を測定するときの樹脂組成物の加熱温度は、ピンホール数の予測を一層正確に行う観点から、目的とする多孔性シートの成形温度と同じであることも好ましい。
樹脂組成物のレオロジー特性の測定にはレオメータを用いることが好ましい。レオメータとしては、例えばステータとロータとを備えた回転式レオメータや、シリンダとキャピラリとピストンとを備えたキャピラリレオメータなどを用いることができる。これらのレオメータを用いて測定されるレオロジー特性としては、例えば粘度、剪断速度、歪み及び応力、並びにこれらのうちの任意の二者の間での関係などが挙げられるが、これに限られない。
本発明者の検討の結果、レオメータとしては回転式レオメータを用いると、ピンホール数の予測を一層正確に行い得ることが判明した。回転式レオメータにおけるロータとしてはパラレル型及びコーン型のいずれを用いても満足すべき結果が得られる。回転式レオメータによるレオロジー特性の測定では、ロータを回転させたときのトルクを測定し、その値に基づき各種のレオロジー特性を求める。測定時の剪断速度の範囲は、上限値については、溶融状態にある測定サンプルがロータ及びステータからはみ出さない値とすることが、レオロジー特性の測定の精度を高める点から好ましい。下限値については、レオメータの仕様によってその値が決定される。
以上の観点から、レオロジー特性の測定時の剪断速度の範囲は、0.001[1/s]以上であることが好ましく、0.01[1/s]以上であることが更に好ましく、0.1[1/s]以上であることが一層好ましい。また1000[1/s]以下であることが好ましく、100[1/s]以下であることが更に好ましく、50[1/s]以下であることが一層好ましい。具体的には、レオロジー特性の測定時の剪断速度の範囲は、0.001[1/s]以上1000[1/s]以下であることが好ましく、0.01[1/s]100[1/s]以下であることが更に好ましく、0.1[1/s]以上50[1/s]以下であることが一層好ましい。この剪断速度の範囲内において、各桁において少なくとも5点のデータが採取できるようにレオメータの測定条件を設定することが好ましい。例えば剪断速度が0.01[1/s]以上0.1[1/s]以下の一桁の範囲を考えた場合には、0.01[1/s]及び0.1[1/s]を含み、合計で5点以上のデータが採取できるようにレオメータの測定条件を設定することが好ましい。また、各剪断速度における測定は、10秒以上の時間にわたって行うことが、状態が安定化して測定の精度が高くなる点から好ましい。
本発明者の検討の結果、レオメータを用いて得られる樹脂混練物のレオロジー特性のうち、応力sと剪断速度Dとの関係、歪みσと応力sとの関係、又は粘度ηと剪断速度Dとの関係を採用することが、ピンホール数の予測を一層正確に行う観点から好ましいことが判明した。特に、応力sと剪断速度Dとの関係を採用することが、ピンホール数の予測を更に一層正確に行い得る観点から好ましい。
レオロジー特性の測定において、応力sと剪断速度Dとの関係を求める場合、ヒステリシスループを測定することが、ピンホール数の予測を一層正確に行う観点から好ましい。この理由は、剪断速度を増加させていき、その後に連続して剪断速度を減少させていくことで、成形中の樹脂混練物の挙動に近い挙動を再現できるからである。詳細には、成形中にピンホールが発生しやすい箇所は、ダイリップから吐出された溶融樹脂が次第に引き伸ばされる領域、すなわち高剪断速度から低剪断速度への遷移領域だからである。応力sと剪断速度Dとの関係のヒステリシスループの一例は図1に示すとおりである。本発明者の検討の結果、図1に示すループに観察されるヒステリシスの程度が小さいほど、その樹脂混練物から得られる多孔性シートにピンホールが発生しづらく、逆にループに観察されるヒステリシスの程度が大きいほど、その樹脂混練物から得られる多孔性シートにピンホールが発生しやすいことが判明した。ループにおけるヒステリシスの程度は、行きのカーブAと帰りのカーブBとで画定される領域の面積Mで評価することができる。具体的には、面積Mが小さいほど、その樹脂混練物から得られる多孔性シートにピンホールが発生しづらく、逆に面積Mが大きいほど、その樹脂混練物から得られる多孔性シートにピンホールが発生しやすい。
以上のとおり、本発明においては、応力sと剪断速度Dとのヒステリシスループの面積をレオロジー特性として採用し、該面積と、ピンホールの数とに基づいて、両者の相関関係を求めることが、ピンホール数の予測を更に一層正確に行い得る観点から有利である。両者の相関関係は、例えば一次回帰分析や二次又は三次の回帰分析によって統計的に処理することが好ましい。
このようにして求められた相関関係に基づき、任意の混練状態の樹脂混練物(この樹脂組成物は、相関関係を求めるときに用いた樹脂組成物と同じ組成を有している)について測定されたレオロジー特性から、該樹脂混練物をフィルム化する工程を経て得られた多孔性シートのピンホール数を予測することができる。したがって、この予測方法を用いることで、多孔性シートにピンホールが生じない、前記樹脂混練物のレオロジー特性、例えばヒステリシスループの面積Mが特定の値となる条件を決定し、該レオロジー特性、例えばヒステリシスループの面積Mが特定の値となる条件で混練を行い前記樹脂混練物を得ることができる。つまり本発明によれば、ピンホールが発生しづらい多孔性シートの原料として好適な樹脂混練物の製造方法も提供される。
ヒステリシスループの面積Mが特定の値となる混練条件を決定するには、例えば樹脂と無機充填剤とを混練するときの温度(この温度は例えば押出機のシリンダ内におけるスクリュー先端部での温度である)、押出機のスクリューの回転数、スクリューの形状(例えばL/D)などを種々変更して樹脂混練物を製造し、ヒステリシスループの面積Mが特定の値となる混練条件に合致する条件を見出せばよい。
このようにして、ピンホールが発生しづらい多孔性シートの原料として好適な樹脂混練物を製造し、製造された該樹脂混練物をインフレーション成形又はTダイ成形してフィルム化し、次いで延伸処理を行うことで多孔性シートが得られる。この多孔性シートはピンホールの発生が抑制されたものになる。
延伸処理には例えばロール法やテンター法が用いられる。延伸倍率は、2倍以上であることが好ましく、更に好ましくは2倍以上4倍以下であり、一層好ましくは2.0倍以上3.5倍以下である。
本発明の予測方法は、樹脂組成物を構成する樹脂としてポリオレフィン樹脂を対象としている。ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンのホモポリマー、2種類又はそれ以上の種類のオレフィンのコポリマー、例えばエチレン−α−オレフィンコポリマーなどが挙げられる。また、少なくとも1種のオレフィンと、オレフィン以外の重合性単量体とのコポリマーも、オレフィンの割合が50質量%以上である場合には、本発明におけるポリオレフィンの範疇に含まれる。更に、ポリオレフィン樹脂と、ポリオレフィン樹脂以外のポリマーとのブレンド物も、ポリオレフィンの割合が50質量%以上である場合には、本発明におけるポリオレフィンの範疇に含まれる。
ポリオレフィン樹脂と混練される無機充填剤としては、目的とする多孔性シートに例えば透湿性を付与し得るものを用いることが好ましい。そのような無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、石膏、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、カーボンブラック、アルミニウム粉及び鉄粉などの粉粒体が挙げられる。これらは一種又は二種以上を併用できる。各種無機充填剤のうち、炭酸カルシウム予備硫酸バリウムを用いることが透湿性の効果的な付与の観点から好ましく、特に炭酸カルシウムを用いることが好ましい。得られる多孔性シートの強度確保や成形時のシート破れの防止の点から、これらの無機充填剤はその平均粒径が0.3μm以上8μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることが更に好ましい。また、無機充填剤はその最大粒径が20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが更に好ましい。無機充填剤の粒径は、レーザー回折式粒度分布計によって測定される。
無機充填剤は、予め分散剤で表面処理した処理品でもよいし、未処理品でもよい。処理品である場合は、未処理品より、より少ない含有量で多孔性シートのピンホールの発生を抑制できるので好ましい。無機充填剤の表面処理剤としては、無機充填剤の表面を疎水化できるものが好ましい。例えば、各種の脂肪酸又はその金属塩が挙げられる。脂肪酸又はその金属塩としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。
本発明の予測方法に従い製造された多孔性シートは、その透湿性を活かして、例えば衛生材料、医療用材料、衣料用材料などとして好適に用いられる。また、多孔性シートは、その一面に不織布などの繊維シートと貼り合わせた複合シートの形態で前記の材料として用いることもできる。特に、多孔性シートは、水を通すピンホールを抑制する一方、液は通さないが水蒸気は通す透湿性の微細な透孔を緻密に存在させることができるので、これをそのままで、あるいは繊維シートと貼り合わせた複合シートとして、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の構成材料として用いると、着装内の湿度上昇を防止することができ、着用者の肌にかぶれが発生することを効果的に防止することができる。これらの吸収性物品は一般に液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を備えており、多孔性シート又はこれを繊維シートと貼り合わせてなる複合シートは、例えば、前記裏面シートとして用いられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
ポリオレフィン樹脂として、融点が125℃のポリエチレンを用いた。無機充填剤として平均粒径2μmの炭酸カルシウムを用いた。無機充填剤の表面処理剤としてステアリン酸を用いた。これらをヘンシェルミキサで予備混合した後、二軸押出機を備えたペレット製造装置によって溶融混練して、樹脂混練物のペレットを得た。このペレットにおけるポリオレフィン樹脂の割合は57%、無機充填剤の割合は38%、表面処理剤の割合は5%であった。このとき、溶融混練における二軸押出機の条件を種々変更して4種類の樹脂組成物のペレットを用意した。
4種類の樹脂組成物のペレットについて、レオメータを用いてレオロジー特性を測定した。レオメータとして、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のHAAKE Rheostress 6000を用い、応力sと剪断速度Dとのヒステリシスループを求めた。具体的な測定手順は以下のとおりである。
(1)レオメータプレート部を180℃に昇温する。
(2)セルにサンプルをセット後3分間静置する。
(3)10[1/s]で5分間にわたり剪断を加える。
(4)5分間静置する。
(5)剪断速度が0.01[1/s]から50[1/s]までの範囲の剪断を加える(行きA)。引き続き50[1/s]から0.01[1/s]まで剪断速度を小さくして剪断を加える(帰りB)。そのときの応力値をプロットする。
(6)行きAと、帰りBとで囲まれたループの面積(単位kPa/s)を算出する。
ヒステリシスループの面積の測定とは別に、前記の4種類の樹脂組成物のペレットについてインフレーション成形を行い多孔性シートを得た。サーキュラーダイスの設定温度は180℃とし、ブロー比は2.5とした。得られたシートを一軸延伸機を用いてシートの流れ方向に2.6倍に延伸し、坪量20g/m2の多孔性シートを製造した。延伸温度は70℃、アニール温度は80℃とした。またアニールでの戻し率は10%とした。このようにして得られた4種類の多孔性シートについて、ピンホールの数を測定した。
このようにして求められたヒステリシスループの面積とピンホールの数との関係をグラフにプロットすると図2に示すとおりとなり、相関係数が極めて高い一次の相関を有することが確認された。この相関関係に基づき、任意の混練状態の樹脂混練物について測定されたヒステリシスループの面積値から、該樹脂混練物をフィルム化する工程を経て得られた多孔性シートのピンホール数を予測することが可能となる。
また、この予測に基づき、多孔性シートにピンホールが生じない、樹脂混練物のレオロジー特性(図2においてはヒステリシスループの面積が約25kP/s以下)を決定し、ヒステリシスループの面積が約25kP/s以下となる条件で混練を行うことで、ピンホールが生じない多孔性シートを成形し得る樹脂混練物を製造することができる。このようにして製造された樹脂混練物をインフレーション成形してフィルム化し、次いで延伸処理を施すことで、ピンホールの発生が抑制された多孔性シートを得ることができる。

Claims (5)

  1. 無機充填剤の分散の程度が異なる複数種のポリオレフィン樹脂混練物を準備する工程と、
    複数種の前記樹脂混練物のそれぞれに関し、これを同一条件でフィルム化する工程を経て得られた多孔性シートのピンホールの数を測定する工程とを有する、多孔性シートのピンホール数の予測方法であって、
    前記樹脂混練物を、該樹脂の融点以上に加熱した状態下にレオメータを用いてレオロジー特性として応力と剪断速度との関係のヒステリシスループの面積を測定し、測定された該レオロジー特性と前記ピンホールの数とに基づいて、両者の相関関係を求める工程を含み、
    前記相関関係に基づき、任意の前記樹脂混練物について測定された前記レオロジー特性から、該樹脂混練物をフィルム化して得られた多孔性シートのピンホール数を予測する、多孔性シートのピンホール数の予測方法。
  2. 前記樹脂混練物をインフレーション成形又はTダイ成形してフィルム化して得られた多孔性シートのピンホール数を予測する請求項1に記載の予測方法。
  3. 前記レオロジー特性の測定に回転式レオメータを用いる請求項1又は2に記載の予測方法。
  4. 無機充填剤を含むポリオレフィン樹脂混練物の製造方法であって、
    請求項1又は2に記載の多孔性シートのピンホール数の予測方法を用いて、多孔性シートにピンホールが生じない、前記樹脂混練物のレオロジー特性を決定し、
    前記レオロジー特性が得られる条件で混練を行い前記樹脂混練物を得る、無機充填剤を含む樹脂混練物の製造方法。
  5. 請求項に記載の、無機充填剤を含むポリオレフィン樹脂混練物の製造方法によって樹脂混練物を製造し、
    製造された前記樹脂混練物をインフレーション成形又はTダイ成形してフィルム化して多孔性シートを得る、多孔性シートの製造方法。
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