JP4778152B2 - 多孔性フィルムの製造方法 - Google Patents
多孔性フィルムの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4778152B2 JP4778152B2 JP2001073340A JP2001073340A JP4778152B2 JP 4778152 B2 JP4778152 B2 JP 4778152B2 JP 2001073340 A JP2001073340 A JP 2001073340A JP 2001073340 A JP2001073340 A JP 2001073340A JP 4778152 B2 JP4778152 B2 JP 4778152B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- stretching
- thermoplastic resin
- porous film
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
- Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多孔性フィルムの製造方法に関し、詳しくは、延伸ムラが少なく均質な樹脂製の多孔性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製の多孔性フィルム、例えば、ポリオレフィン樹脂を用いた多孔性フィルムは、フィルター、電池用あるいは電解コンデンサ用セパレータ、ろ過膜、透湿防水衣料など、種々の用途のものとして開発、使用されている。
【0003】
多孔性フィルムの製造方法としては、従来、結晶性ポリプロピレンを所定温度で溶融押出しをすると共に、押し出された樹脂フィルムを更に成形温度を変化させて延伸することにより、熱安定性に優れた多孔性フィルムを得る方法(特公昭50−2176)が知られている。しかし、この方法により製造された多孔性フィルムは、強度的に十分ではなく、その用途は限られたものであった。
【0004】
そこで、より実用的である高強度な多孔性フィルムの製造方法として、超高分子量ポリオレフィンと流動パラフィンからなるゲル状シートを延伸し、これから流動パラフィンを除去して多孔性フィルムを得る方法(特公昭63−273651)が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法により得られた多孔性フィルムは、いずれも延伸ムラが少なからず認められ、特に溶融粘度が高く溶融伸びの低い樹脂材料、例えば、長分子鎖ポリオレフィン樹脂を含有した熱可塑性樹脂組成物から製造されるフィルムについては、そのことが顕著であり、均質性の点では未だ十分ではなく、改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、溶融粘度が高く溶融伸びの低い樹脂材料、例えば、長分子鎖ポリオレフィン樹脂を多く含有した熱可塑性樹脂組成物から製造されるフィルムについても、延伸ムラの少ない、均質性の高い多孔性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る多孔性フィルムの製造方法の特徴構成は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、充填剤を10〜300重量部含む熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂製フィルム状物を、予熱部、延伸部および熱処理部を有する延伸装置を用いて下記条件でTD方向に2〜10倍延伸することにある。
(条件1) T1/T2>1.05
(条件2) 1.5>T3/T2>1.2
(条件3) Tm>T3>(Tm−5)
ここに、T1は延伸時の予熱部での予熱温度、T2は延伸部での延伸温度、T3は熱処理部での熱固定温度、Tmは熱可塑性樹脂の融点である。
【0008】
この構成によれば、特に溶融粘度が高く溶融伸びの低い樹脂組成物である超高分子量ポリオレフィン樹脂を多く含有したポリオレフィン樹脂のような熱可塑性樹脂から製造されるフィルムについても、延伸ムラの少ない、均質性の高い多孔性フィルムの製造方法を提供することができる。
【0009】
充填剤が10重量部未満では、通気性を有する多孔性フィルムを得ることはできず、300重量部を越える場合は、延伸時に延伸切れを生じるおそれがある。充填剤の量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し50〜200重量部であることがより好ましい。一層確実に均質な多孔性フィルムを得ることができるからである。
【0010】
更に、上記(条件1)、(条件2)を満たさない場合は、均一な延伸ができず、延伸ムラを生じる可能性があり、上記(条件3)を満たさない場合は、得られた多孔性フィルムの熱安定性が十分でなくなる可能性がある。
【0011】
熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体、および1種類以上のオレフィンとこのオレフィンと重合可能な1種類以上の重合性モノマーとの共重合体であるポリオレフィン系樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのアクリル系樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等のアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、各種熱可塑性エラストマー、あるいはこれらの架橋物などが挙げられる。
【0012】
熱可塑性樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いると、成形されたフィルム状物は、リサイクル性、耐溶剤性に優れ、又、焼却してもダイオキシン等を発生しないため、環境を悪化させることがない等の理由から、ポリオレフィン樹脂を特に好適に使用できる。
【0013】
ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンなどが挙げられる。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ(4 −メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0014】
充填剤としては無機および有機の充填剤が用いられ、例えば、無機充填剤としては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ガラス粉、酸化亜鉛などを使用できる。
【0015】
有機充填剤としては、種々の樹脂粒子を使用することができ、好ましくはスチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の重合体、メラミン、尿素などの重縮合樹脂などの粒子が挙げられる。
【0016】
以上の結果、本発明によれば、溶融粘度が高く溶融伸びの低い樹脂材料、例えば長分子鎖ポリオレフィン樹脂を含有した難成形熱可塑性樹脂材料からも、膜厚精度の高い樹脂製フィルム状物を製造することができる方法を提供することができた。
【0017】
尚、本発明においてフィルム状物とは、本来的にフィルムと称されるもののみならず、多少厚手のシート状のものをも含む概念として用いるものとする。
【0018】
前記熱可塑性樹脂中に、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィン(本発明において、長分子鎖ポリオレフィンという)を10重量%以上含むことが好ましい。
【0019】
熱可塑性樹脂中に、分子鎖長が2850nm以上の長分子鎖ポリオレフィンを含有するフィルムは特に強度に優れ、このような長分子鎖ポリオレフィンを10重量%以上、より好ましくは20重量%以上含有している熱可塑性樹脂からなるフィルムは強度が顕著に優れるので、このようなフィルムは多用途に利用でき、熱可塑性樹脂が上記長分子鎖ポリオレフィンを30重量%以上含有していると、より強度の高いフィルムが得られる。
【0020】
ここに、ポリオレフィンの分子鎖長は、後述するGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の分子鎖長であり、より具体的には以下の手順で求められるパラメータである。
【0021】
すなわち、GPC測定の移動相としては、測定する未知試料も分子量既知の標準ポリスチレンも溶解することができる溶媒を使用する。まず、分子量が異なる複数種の標準ポリスチレンのGPC測定を行い、各標準ポリスチレンの保持時間を求める。ポリスチレンのQファクターを用いて各標準ポリスチレンの分子鎖長を求め、これにより、各標準ポリスチレンの分子鎖長とそれに対応する保持時間を知る。尚、標準ポリスチレンの分子量、分子鎖長およびQファクターは下記の関係にある。
分子量=分子鎖長×Qファクター
次に、未知試料のGPC測定を行い、保持時間ー溶出成分量曲線を得る。標準ポリスチレンのGPC測定において、保持時間Tであった標準ポリスチレンの分子鎖長をLとするとき、未知試料のGPC測定において保持時間Tであった成分の「ポリスチレン換算の分子鎖長」をLとする。この関係を用いて、当該未知試料の前記保持時間ー溶出成分量曲線から、当該未知試料のポリスチレン換算の分子鎖長分布(ポリスチレン換算の分子鎖長と溶出成分量との関係)が求められる。
【0022】
前記樹脂製フィルム状物が、少なくとも一対の成形工具を用いて前記熱可塑性樹脂組成物を圧延成形し、その際の前記成形工具の表面温度Toを、下記条件4、5を満たすように設定して圧延成形されたものであることが好ましい。
【0023】
(条件4)熱可塑性樹脂組成物の溶融張力MT、伸長度Lが以下の範囲となる温度To
MT>10gかつL>100%
(条件5)To>Tm
ここに、Tmは熱可塑性樹脂の融点である。
【0024】
この構成によれば、厚み精度が高い樹脂製フィルム状物が得られるため、このようなフィルム状物を延伸すると、上記したように延伸ムラが少なく、均一なフィルムが得られることに加えて、厚み精度の高い多孔性フィルムが得られる。
【0025】
前記一対の回転成形工具の周速を、略等速にして圧延成形することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、得られたフィルム状物の表面が平滑性に優れて美麗であり、膜厚精度の一層高い樹脂製フィルム状物を製造することができるので、更に延伸した場合により一層厚み精度の優れた多孔性フィルムが得られる。この場合、一対の回転成形工具の周速を略等速であるとは、必ずしも厳密に同一周速度である必要はなく、両回転成形工具の周速度が異なっていても、それらの差異は±5%以内程度であればよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る多孔性フィルムの製造方法について、以下に詳細に説明する。熱可塑性樹脂100重量部と充填剤10〜300重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物から樹脂フィルム状物を製造し、これを所定幅にスリットした後、後述する延伸装置により、TD方向に2〜10倍に延伸し、その後必要に応じて充填剤を酸などを用いて除去し多孔性フィルムを得る。
【0028】
樹脂フィルム状物の製造では、まず、長分子鎖ポリエチレン樹脂100重量部と充填剤10〜300重量部と、場合によっては更に非イオン系界面活性剤とを含むものを、例えば、ロール型またはバンバリー型の混練機あるいは押出機などを用いて強混練して樹脂組成物を得る。次いで、この樹脂組成物をフィルム状物に成形する。このとき、一対の圧延ロールを備えた圧延装置を用い、圧延ロール表面の温度Toを上記(条件4)、(条件5)を満たす温度に設定する。この条件下で圧延すると、膜厚精度の高いフィルム状物が得られる。特に、一対の圧延ロールの周速度を略同一にすることにより、厚み精度一層を高めることができる。
【0029】
尚、融点は、DSC(示差走査熱量測定)におけるピーク温度のことであり、複数のピークがある場合は、最も融解熱量ΔH(J /g)が大きいピーク温度を融点とする。又、融点を測定するときの昇温速度は、5℃/分である。
【0030】
上記圧延成形法によると共に、後述する延伸方法を実施することにより、溶融粘度が高く溶融伸びの低い樹脂を多く含む難成形熱可塑性樹脂組成物についても、延伸ムラが少なく、かつ均質性が高い多孔性フィルムを得ることができ、しかも200μm以下の厚さまで延伸するときでさえも、±2%程度以内という高い厚み精度の多孔性フィルムを得ることができる。
【0031】
樹脂組成物を圧延装置に供給する方法は、特に制限されるものではなく、例えば、押出機から押し出された棒状の溶融樹脂などを供給することができる。また、可能であれば、予めTダイ成形法などにより、厚さ数mm〜数cm程度の予備成形体を形成し、これを供給することもできる。また、圧延装置としては、例えば圧延ロール、連続プレス、あるいはカレンダーロール等の装置を用いることができ、好ましくは略等速で回転する一対のロールで圧延することのできる圧延ロール装置を用いることが好ましい。成形されたフィルム状物の表面が平滑かつ美麗で、膜厚精度の高いフィルム状物を確実に製造することができるからである。この場合、両ロールの周速度は必ずしも厳密に同一周速度である必要はなく、両ロールの周速度は異なっていても、それらの差異は±5%以内程度であればよい。圧延装置の圧延部位は複数個あってもよい。そして、フィルム状物において、使用する熱可塑性樹脂組成物は本発明の目的を妨げない範囲で脂肪酸エステルや安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの他の添加剤を含有してもよい。
【0032】
多孔性フィルムを得るため、圧延されたフィルム状物をTD方向(フィルム幅方向)に2〜10倍に延伸させる延伸装置としては、二軸展伸法であるテンター法を使用できる。図1に、テンター装置Tの例を示す。このテンター装置Tは、上流側から送給されてきたフィルム状物Fを入口1から取り込み、このフィルム状物Fを加熱して延伸可能とする予熱部A、TD方向にフィルム状物を延伸する延伸部B、延伸による内部応力を除去して熱固定する熱処理部Cの3つのゾーンに分割されており、各部を経ると共に、充填剤除去装置(図示略)により充填剤が除去されて、所定厚みの多孔性フィルムが製造されるようになっている。そして、各ゾーンを(条件1)〜(条件3)に従う温度条件に設定して延伸を行うことにより、前記フィルム状物を均一に延伸でき、かつ延伸ムラのない多孔性フィルムを製造することができる。
【0033】
【実施例】
本発明の実施の形態を、更に実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。まず、用いた測定方法、測定装置などについて説明する。
【0034】
〔溶融張力〕
測定装置として東洋精機製作所製(株)Capirograph 1B PC−9801VMを使用し、径D=2.095mm、長さL=14.75mmのオリフィスを使用する。まず、樹脂を5mm/分の速度で押出し、引取り速度を変化させて樹脂を引き取り、樹脂が切れたときの引取り速度を「最大引取り速度」する。この最大引取り速度での溶融張力をその温度での溶融張力とする。
【0035】
〔伸長度〕
測定装置として東洋精機製作所(株)製Capirograph 1B PC−9801VMを使用し、径D=2.095mm、長さL=14.75mmのオリフィスを使用する。まず、樹脂を5mm/分の速度で押出し、樹脂の直径D1 (mm)を求める。次いで、引取り速度を変化させて樹脂を引き取り、樹脂が切れたときの樹脂の直径D2 (mm)を求め、下記式により伸長度を求める。
【0036】
伸長度(%)=[(D1 2 −D2 2)/D1 2 ]×100
〔GPCによる分子鎖長および分子量の測定〕
測定装置としてウォーターズ社製ゲルクロマトグラフAlliance GPC2000型を使用した。その他の条件を以下に示す。
【0037】
カラム :東ソー社製TSKgel GMHHR−H(S)HT 30cm×2、TSKgel GMH6 −HTL 30cm×2
移動相 :o−ジクロロベンゼン
検出器 :示差屈折計
流 速 :1.0mL/分
カラム温度:140℃
注入量 :500μL
試料30mgをo−ジクロロベンゼン20mLに145℃で完全に溶解した後、その溶液を孔径が0.45μmの焼結フィルターでろ過し、そのろ液を供給液とした。
【0038】
尚、較正曲線は、分子量既知の16種の標準ポリスチレンを用いて作成した。ポリスチレンのQファクターとして41.3を用いた。
【0039】
〔フィルム厚み測定〕
得られたフィルムの厚みは、山文電気社製、オフラインシート厚み計(TOF2 Var3.22)を用いて、幅方向、長さ方向にわたり、複数点を測定して求めた。全測定値の平均値を算出し、更に、測定値の中の最大値と平均値との差の、平均値に対する割合(正符号)を算出した。更に、測定値の中の最小値と平均値との差の、平均値に対する割合(負符号)を算出した。これらの割合で厚み精度を表示する。
【0040】
〔ガーレ値測定〕
多孔性フィルムのガーレ値TGUR (秒/100cc )は、JIS P8117に準じてB型デンソメータ((株)東洋精機製作所製)にて測定した。
【0041】
〔実施例1〕
長分子鎖ポリエチレン粉末70重量%(ハイゼックスミリオン340M、三井化学(株)製、重量平均分子鎖長17000nm、重量平均分子量300万、融点136℃)、低分子量ポリエチレン粉末30重量%(ハイワックス110P、三井化学(株)製、重量平均分子量1000、融点110℃)を2軸混練機にて混練し、押出機の途中から樹脂混合物100重量部に対して120重量部の炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、スターピゴット15A、平均粒子径0.15μm)を添加して230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。この組成物中の樹脂中の分子鎖長2850nm以上のポリエチレンの含有量は27重量%であった。この樹脂組成物をロール表面温度149℃で同周速度で回転する一対のロールで圧延し、膜厚約58μmのフィルムを作製した。このフィルムの厚み精度は、±2%以内であり、又、融点は136℃であった。尚、溶融張力は正確な値を測定することこそできなかったが、140g以上あり、又、伸張度は約300%であった。
【0042】
次に、このフィルムを表1に示す条件で、テンター延伸機にて5倍に延伸した。
【0043】
〔実施例2〕
実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、次に表1に示す条件でテンター延伸機にて5倍に延伸した。
【0044】
〔比較例1〕
実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、次に表1に示す条件でテンター延伸機にて5倍に延伸した。
【0045】
〔比較例2〕
実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、次に表1に示す条件でテンター延伸機にて5倍に延伸した。但し、この場合、延伸切れを生じたため、ガーレ値は測定できなかった。
【0046】
【表1】
表1に示すように、比較例1のものは、ガーレ通気度が大きく不均一な孔分布を示すと共に、幅方向でのバラツキが大きく、更に、外観においても延伸ムラが発生しているのに対して、実施例ではそのような欠陥がなく、均質な多孔性フィルムが得られることがわかる。
【0047】
次に、熱固定温度の影響を調べるため、テンター装置における予熱温度を116℃、延伸温度を110℃とすると共に、熱固定温度を110、120、130、134、135℃に変化させた場合、加熱時の熱安定性を寸法維持率により評価した結果について、図2に示す。
【0048】
図2から明らかなように、上記条件1〜3を満たす熱固定温度130、134、135℃のものについては、寸法維持率が高くなっており、熱安定性に優れ均質なフィルムが得られた。
【0049】
〔寸法維持率の測定〕
3cm(MD方向)×4.8cm(TD方向)の大きさの試験片を、フリーな状態でオーブン中に10分間入れ加熱する。その後、オーブンから試験片を取り出し20分間、室温(25℃)で放冷し、ノギスで試験片のTD方向の長さY(mm)を測定した。
【0050】
寸法維持率は、下式により求めた。
寸法維持率(%)=(Y/48)×100
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多孔性フィルムの製造方法に使用するテンター装置を示す概略平面図
【図2】本発明方法により得られたフィルムの熱収縮維持率を測定した結果を示すグラフ
【符号の説明】
A 予熱部
B 延伸部
C 熱処理部
F フィルム状物
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂100重量部に対し、充填剤を10〜300重量部含む熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂製フィルム状物を、予熱部、延伸部および熱処理部を有する延伸装置を用いて下記条件でTD方向に2〜10倍延伸する多孔性フィルムの製造方法、
(条件1) T1/T2>1.05
(条件2) 1.5>T3/T2>1.2
(条件3) Tm>T3>(Tm−5)
ここに、T1は延伸時の予熱部での予熱温度、T2は延伸部での延伸温度、T3は熱処理部での熱固定温度、Tmは熱可塑性樹脂の融点である。 - 前記熱可塑性樹中に、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを10重量%以上含む請求項1の多孔性フィルムの製造方法。
- 前記樹脂製フィルム状物が、少なくとも一対の成形工具を用いて前記熱可塑性樹脂組成物を圧延成形し、その際の前記成形工具の表面温度Toを、下記条件4、5を満たすように設定して圧延成形されたものである請求項1又は2の多孔性フィルムの製造方法、
(条件4)熱可塑性樹脂組成物の溶融張力MT、伸長度Lが以下の範囲となる温度To
MT>10g かつ L>100%
(条件5) To>Tm
ここに、Tmは熱可塑性樹脂の融点である。 - 前記一対の回転成形工具の周速の差異が±5%以内にして圧延成形する請求項3の多孔性フィルムの製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001073340A JP4778152B2 (ja) | 2001-03-15 | 2001-03-15 | 多孔性フィルムの製造方法 |
US10/093,539 US6852270B2 (en) | 2001-03-15 | 2002-03-11 | Production method of drawn film |
DE10211599A DE10211599A1 (de) | 2001-03-15 | 2002-03-15 | Verfahren zur Herstellung einer gestreckten Folie |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001073340A JP4778152B2 (ja) | 2001-03-15 | 2001-03-15 | 多孔性フィルムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002264208A JP2002264208A (ja) | 2002-09-18 |
JP4778152B2 true JP4778152B2 (ja) | 2011-09-21 |
Family
ID=18930781
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001073340A Expired - Fee Related JP4778152B2 (ja) | 2001-03-15 | 2001-03-15 | 多孔性フィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4778152B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7977410B2 (en) | 2006-02-01 | 2011-07-12 | Maruo Calcium Co., Ltd. | Fine pore formation agent for porous resin film and composition containing the same for porous resin film |
JP2008019448A (ja) * | 2007-08-31 | 2008-01-31 | Sekisui Chem Co Ltd | 塩化ビニル系樹脂成形板 |
CN102712788B (zh) | 2010-01-29 | 2014-05-28 | 丸尾钙株式会社 | 树脂用表面处理碳酸钙填充剂及含有该填充剂的树脂组合物 |
CN104640914A (zh) | 2012-10-03 | 2015-05-20 | 东丽电池隔膜株式会社 | 双轴拉伸微多孔膜 |
JP2015091995A (ja) * | 2015-02-04 | 2015-05-14 | 住友化学株式会社 | ポリオレフィン微多孔フィルムの製造方法及び積層多孔フィルムの製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0684452B2 (ja) * | 1986-12-26 | 1994-10-26 | 三井東圧化学株式会社 | 多孔性フイルムの製造方法 |
JP4052698B2 (ja) * | 1997-10-08 | 2008-02-27 | 花王株式会社 | 吸収性物品 |
JP3575277B2 (ja) * | 1998-05-12 | 2004-10-13 | 東洋紡績株式会社 | 微細空洞含有積層ポリエステル系樹脂フィルムまたはシート |
-
2001
- 2001-03-15 JP JP2001073340A patent/JP4778152B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002264208A (ja) | 2002-09-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5202948B2 (ja) | ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 | |
EP2832781B1 (en) | Polyethylene microporous membrane and process for manufacturing same | |
JP4121846B2 (ja) | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法並びに用途 | |
EP1873194B1 (en) | Method for producing polyolefin microporous film and microporous film | |
US20090098341A1 (en) | Microporous polyolefin membrane and method for producing the same | |
US20090127733A1 (en) | Method for producing microporous thermoplastic resin membrane | |
JP2008081513A (ja) | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 | |
WO2007046473A1 (ja) | ポリオレフィン多層微多孔膜の製造方法 | |
WO2007049568A1 (ja) | ポリオレフィン多層微多孔膜及びその製造方法並びに電池用セパレータ | |
JP2004196871A (ja) | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法並びに用途 | |
JP6107895B2 (ja) | 熱可塑性樹脂製フィルムの製造方法 | |
JP2017105032A (ja) | 透湿性積層体 | |
JP2017105031A (ja) | 透湿性積層体 | |
JP4778152B2 (ja) | 多孔性フィルムの製造方法 | |
WO2015046357A1 (ja) | 耐熱性シートおよびその製造方法 | |
KR20020073307A (ko) | 수지의 필름상 물질 제조방법 및 수지의 필름상 물질 | |
JP4894794B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂多孔膜 | |
JP2007321116A (ja) | ポリオレフィン樹脂多孔膜 | |
JP7427975B2 (ja) | ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 | |
US6852270B2 (en) | Production method of drawn film | |
TWI730999B (zh) | 積層聚烯烴微多孔膜、電池用隔膜及其製造方法以及積層聚烯烴微多孔膜捲繞體之製造方法 | |
JP5057414B2 (ja) | 微多孔膜の製造方法及びその製造方法により得られる微多孔膜の用途 | |
JP4749574B2 (ja) | 樹脂製フィルム状物の製造方法 | |
JP4749576B2 (ja) | 樹脂製フィルム状物の製造方法 | |
JP5089835B2 (ja) | 延伸フィルムの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070112 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080304 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20080304 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110428 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110506 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110601 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110624 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110701 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4778152 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140708 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |