以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況、画像形成装置1の内部の情報等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、またはKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。感光体ドラム413は、本発明の「像担持体」に対応する。
帯電装置414は、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412は、現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム413に供給することによって感光体ドラム413の表面にトナー像を形成する。
現像装置412には、現像スリーブ412Aおよび撹拌部材412Bが設けられている。現像スリーブ412Aは、回転しながら現像剤を担持し、現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム413に供給する。撹拌部材412Bは、軸方向に現像剤を搬送することで現像装置412内の現像剤を撹拌する。現像スリーブ412Aは、本発明の「現像剤担持体」に対応する。
また、図2および図3に示すように、現像装置412には、現像装置412を加振するための加振機構200が設けられている。加振機構200については後述する。
図1に示すように、ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421はA方向に一定速度で走行する。中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり、一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、バックアップローラー423Bに二次転写バイアスを印加し、用紙Sの表面側、つまり、中間転写ベルト421と当接する側にトナーと同極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。
定着部60は、用紙Sの定着面であるトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面である定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対等を有する。給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
ところで、現像装置412において、現像剤を担持した現像スリーブ412Aが感光体ドラム413に向けてトナーを搬送する際において、現像スリーブ412Aの回転によりトナーが飛散する場合がある。飛散したトナーは、現像スリーブ412Aと対向する筐体412Cの上壁に付着する。トナーが筐体412Cの上壁に溜まっていくと、凝集して筐体412Cの上壁から脱落する。脱落したトナーが例えば、画像形成処理の途中において現像スリーブ412Aや感光体ドラム413の上に付着すると、当該トナーに起因した画像不良が発生しやすくなる。
そこで、本実施の形態では、制御部100の制御の下、筐体412Cが画像形成装置1に装着された状態における非画像形成時に、加振機構200により現像装置412の筐体412Cに加振し、筐体412Cの上壁に付着したトナーを筐体412Cの上壁から脱落させる。これにより、画像形成処理の途中でトナーが現像スリーブ412Aや感光体ドラム413に脱落することがなくなるので、当該トナーに起因した画像不良の発生を抑制することができる。以下、加振機構200について説明する。
図3Aは、加振機構200が取り付けられた現像装置412の側面図であって、現像装置412が駆動してないときを示す図である。図3Bは、加振機構200が取り付けられた現像装置412の側面図であって、現像装置412が駆動したときを示す図である。図4Aは、加振機構200が取り付けられた現像装置412の上面図であって、現像装置412が駆動してないときを示す図である。図4Bは、加振機構200が取り付けられた現像装置412の上面図であって、現像装置412が駆動したときを示す図である。
図3Aに示すように、加振機構200は、現像装置412の筐体412Cの側面に設けられ、第1ギヤー201と、第2ギヤー202と、第3ギヤー203と、第4ギヤー204と、ギヤー支持部205と、押圧部材210と、加振部材220とを有している。
第1ギヤー201は、図示しないモーター等の駆動源からの駆動力が出力される出力ギヤーC1と噛み合うギヤーであり、ギヤー支持部205に支持されている。
出力ギヤーC1は、中間ギヤーB1等を介して撹拌部材412Bに駆動源の駆動力を伝達するためのギヤーである。出力ギヤーC1は、図示しないギヤー機構に噛み合っており、当該ギヤー機構から駆動源の駆動力が伝達される。
また、本実施の形態では、現像スリーブ412Aおよび撹拌部材412Bは、同一の駆動源から駆動力を伝達される。現像スリーブ412Aに駆動力を入力する現像ギヤーA1は、中間ギヤーA2を介して駆動源からの駆動力が伝達される。中間ギヤーA2には、出力ギヤーC1とは別のギヤー機構により駆動力が伝達される。
第2ギヤー202は、大径ギヤー部202Aと、小径ギヤー部202Bとを有する2段ギヤーであり、ギヤー支持部205に支持されている。大径ギヤー部202Aは、第1ギヤー201と噛み合っている。小径ギヤー部202Bは、第3ギヤー203と噛み合っている。
第3ギヤー203および第4ギヤー204は、互いに噛み合っており、押圧部材210(本体部211)の内部に配置されている。第3ギヤー203は、本発明の「伝達ギヤー」に対応する。
押圧部材210は、加振部材220を押圧する部材であり、本体部211と、押圧部212と、バネ取付部213とを有している。本体部211は、第3ギヤー203および第4ギヤー204を囲っており、第3ギヤー203および第4ギヤー204を回転可能に支持している。
本体部211は、第3ギヤー203を介してギヤー支持部205に支持されている。つまり、第3ギヤー203は、ギヤー支持部205に支持されている。
また、第4ギヤー204は、ギヤー支持部205に支持されておらず、押圧部材210の本体部211のみに支持されている。第4ギヤー204は、本体部211との間に所定の摩擦反力が働くように回転可能に本体部211に支持されている。所定の摩擦反力は、第3ギヤー203に駆動力が伝達された際において、当該駆動力により第4ギヤー204を本体部211に対して回転させようとする力よりも大きい摩擦力である。第3ギヤー203から第4ギヤー204に駆動力が伝達された際に、所定の摩擦反力が働くことで、第4ギヤー204が本体部211に対して回転せず、第3ギヤー203の回転に伴って第4ギヤー204および本体部211が回動する。言い換えると、第3ギヤー203に駆動力が伝達されると、第4ギヤー204と本体部211との間に働く所定の摩擦反力により、押圧部材210は、第3ギヤー203の回転中心216を中心に回動するようになっている。
押圧部212は、本体部211の図示左側の上端部から左側に突出している。押圧部212の図示左側には、加振部材220(被押圧部221)が位置している。ここで、図3Bに示すように、現像装置412の駆動が開始されると、出力ギヤーC1、第1ギヤー201および第2ギヤー202を介して第3ギヤー203が回転を始める。本実施の形態では、第3ギヤー203の回転方向は、反時計回り方向に設定されている。押圧部材210の本体部211と第4ギヤー204との間に働く所定の摩擦反力により押圧部材210が反時計回り方向に回動する。つまり、押圧部材210は、撹拌部材412Bの回転駆動に連動して回動する。押圧部材210が反時計回り方向に回動すると、押圧部212が加振部材220を図示左側に押圧するようになっている。
バネ取付部213は、本体部211の図示右側に設けられており、バネ214の一端が取り付けられている。バネ214の他端は、現像装置412の筐体412Cの適宜な位置に取り付けられている。これにより、押圧部材210は、バネ214により時計回り方向に回動するように付勢される。そのため、現像装置412の駆動力が第3ギヤー203に伝達されなくなったとき、押圧部材210はバネ214の付勢力により、図3Bの位置から図3Aの位置に戻るようになっている。
また、ギヤー支持部205は、第1ギヤー201、第2ギヤー202および第3ギヤー203の他に、出力ギヤーC1や中間ギヤーB1も支持可能に構成されている。このようにギヤー支持部205が、出力ギヤーC1や中間ギヤーB1を支持可能とすることにより、加振機構200を現像装置412の筐体412Cに対して着脱することが可能となる。
図4Aに示すように、加振部材220は、現像装置412の筐体412Cを加振する部材であり、現像装置412の筐体412Cの上蓋に連続して下方に延設された被加振壁412Dに対向している。被加振壁412Dは、現像スリーブ412Aが配置された側とは反対側の端部と連続している。加振部材220は、被押圧部221と、回動部222と、加振部223とを有している。
回動部222は、現像装置412の幅方向、つまり、撹拌部材412Bの軸方向(以下、単に「軸方向」という。)に延びている。回動部222には、複数の穴224が軸方向に並んで複数形成されている。この穴224の何れかにネジ240を通して現像装置412の筐体412Cにネジ止めすることで、加振部材220は、ネジ240を通された穴224の部分を回動支点として回動するようになっている。つまり、加振部材220は、回動支点を変更可能に構成されている。
回動部222は、回動することにより、筐体412Cの被加振壁412Dに加振部223が接触して筐体412Cを加振するための位置である加振位置(図4Bの位置)と、筐体412Cと接触せず筐体412Cを加振しないための非加振位置(図4Aの位置)とを移動可能となっている。加振部材220は、図示しないバネにより軸方向に付勢されているので、押圧部材210が被押圧部221を押圧してない場合、非加振位置に位置するようになっている。
被押圧部221は、回動部222の軸方向の一端側、つまり、押圧部材210が配置された側に位置しており、押圧部材210の押圧部212に押圧される部分である。
加振部223は、回動部222の軸方向の他端側から図示右側に突出しており、加振位置において、筐体412Cの被加振壁412Dに接触する。
ここで、押圧部材210が駆動により回動すると、押圧部材210の押圧部212が被押圧部221を図示左側に押圧することで、加振部材220が回動し非加振位置から加振位置に移動する。これにより、加振部223が現像装置412の筐体412Cの被加振壁412Dに衝突して、現像装置412の筐体412Cを加振するので、現像装置412の筐体412Cの上蓋に付着したトナーを当該上蓋から脱落させることができる。
次に、本実施の形態における現像装置412の動作について説明する。図3Aおよび図3Bに示すように、現像装置412の駆動を開始すると、出力ギヤーC1、第1ギヤー201および第2ギヤー202を介して第3ギヤー203に駆動が伝達される。第3ギヤー203に駆動が伝達されると、第4ギヤー204と本体部211との間に働く所定の摩擦反力により、押圧部材210の本体部211が反時計回りに回動する。これにより、押圧部材210の押圧部212が加振部材220の被押圧部221を押圧する。
加振部材220の被押圧部221が押圧されると、図4Aおよび図4Bに示すように、加振部材220が回動して加振部223が現像装置412の筐体412Cに衝突し、筐体412Cを加振する。このように、現像装置412の非画像形成時、つまり、駆動開始時に現像装置412の筐体412Cを加振するので、現像装置412において画像形成処理の動作が始まる前に確実に当該トナーを脱落させることができる。そのため、画像形成処理の途中で、現像スリーブ412Aや感光体ドラム413に脱落することを抑制することができる。
また、現像装置412の駆動を開始した後、押圧部材210の押圧部212は、加振部材220の被押圧部221に接触したままの状態で固定され、第3ギヤー203および第4ギヤー204は図3Bの位置で回転し続けた状態となる。これにより、不必要に加振部材220により加振されることを抑制することができる。
現像装置412の駆動が停止されると、第3ギヤー203に駆動が伝達されなくなるので、押圧部材210の本体部211がバネ214により付勢されて、時計回り方向に回動して、図3Aの位置に戻る。加振部材220は、押圧部材210に押圧されなくなるので、図4Aの位置に戻る。これにより、次の駆動開始時に現像装置412を加振することができる。
このように本実施の形態によれば、現像装置412が駆動を開始したときにおいて、駆動力が加振機構200に伝達された際に、現像装置412の筐体412Cを加振する。これにより、画像形成処理の途中で、現像装置412の筐体412Cの上壁に溜まったトナーが筐体412C内に脱落することを抑制することができる。そのため、筐体412Cの上壁に溜まったトナーに起因した画像不良の発生を抑制することができる。
また、加振機構200が、現像装置412を駆動するための駆動力に基づいて筐体412Cを加振するので、別の駆動源を追加して加振機構を動作させる構成と比較して画像形成装置1内において省スペース化を図ることができる。
また、加振機構200により現像装置412の筐体412Cを加振するので、ユーザーにより加振する構成と比較して、加振の動作にばらつきを生じにくくすることができる。
また、加振機構200を現像装置412の筐体412Cから着脱できるので、ユーザーの要求レベルに応じて後付け部品として加振機構200を市場供給することができる。また、加振機構200を容易に交換することもできるし、また、必要なときだけ現像装置412に装着して使用することもできる。
また、筐体412Cの上蓋は現像スリーブ412Aと対向するので、現像スリーブ412Aから飛散したトナーが付着しやすいが、本実施の形態では、当該上蓋から延びる被加振壁412Dを加振するので、効果的にトナーを上蓋から脱落させることができる。また、上蓋から脱落したトナーは、現像スリーブ412Aや感光体ドラム413に付着するが、非画像形成時であり、また、感光体ドラム413に付着したトナーは、ドラムクリーニング装置415により回収されるので、画像不良は発生しない。
また、加振部材220の回動部222の回動支点が変更可能なので、当該回動支点を変更することにより、加振部材220による加振の際の振動の強さを調整することができる。例えば、加振の際の振動を強くするためには、回動部222に形成された穴224のうち、最も被押圧部221側に位置する穴224にすると良く、加振の際の振動を弱くするためには、回動部222に形成された穴224のうち、最も加振部223側に位置する穴224にすると良い。
また、加振機構200が撹拌部材412Bを駆動するための駆動力が伝達されるので、例えば連続印刷における紙間において撹拌部材412Bを停止して、次の用紙Sの印刷の時に撹拌部材412Bの駆動を再度開始したときに、筐体412Cに加振機構200による加振が行われる。そのため、加振の回数を増やすことができるので、筐体412Cにトナーが溜まることを抑制することができる。
ところで、例えば、互いに色の異なるトナーを収容した4つの現像装置412の開始タイミングを全て同時にした場合、現像装置412を加振した際に発生する音が複数の現像装置412において同時に発生することになるので、加振の際の音が大きくなりすぎる可能性がある。
そこで、本実施の形態では、制御部100の制御の下、各現像装置412の開始タイミングを異ならせる制御を行う。具体的には、中間転写ベルト421の回転方向の上流側から順に各現像装置412の駆動を開始していく。つまり、画像形成のための動作が終了した現像装置412から順に駆動を開始していくことにより、加振の際に発生する音の発生のタイミングを異ならせることができるので、加振の際に発生する音を低減することができる。
また、加振部材220や現像装置412の筐体412Cを金属等で構成した場合、加振した際の音が大きくなるおそれがある。そこで、加振部材220の加振部223または現像装置412の筐体412Cの加振される位置に音の発生を小さくするための静音部材を設けても良い。このようにすることで、加振の際に発生する音を低減することができる。なお、静音部材としては、現像装置412の筐体412Cを加振することを考慮して、比較的硬度の高い、例えばポロン等の樹脂部材を用いることができる。
次に、第1変形例について説明する。図5Aは、第1変形例に係る加振機構200を示す図であって、現像装置412が駆動してないときの状態を示す図である。図5Bは、第1変形例に係る加振機構200を示す図であって、現像装置412が駆動するときの状態を示す図である。
図5Aに示すように、第1変形例に係る押圧部材210は、バネ取付部213の位置が、本体部211の図示左端部の下部の位置となっている。バネ214は、一端がバネ取付部213に取り付けられ、他端が押圧部材210の下方における現像装置412の適宜な位置に取り付けられる。これにより、押圧部材210は、バネ214により、反時計回り方向に回動するように付勢されている。このため、押圧部材210は、第3ギヤー203に駆動が伝達されていないとき、押圧部212が加振部材220を押圧した状態となっているので、加振部材220は加振位置に位置する。
ここで、第3ギヤー203に駆動が伝達されると、第4ギヤー204と本体部211との間に働く所定の摩擦反力により、押圧部材210が回動する。なお、第1変形例では、第3ギヤー203の回転方向は時計回り方向に設定されている。
押圧部材210が回動することで、押圧部212が加振部材220の被押圧部221から離れていき、加振部材220が非加振位置に位置する。また、現像装置412の本体部211の図示右側に対応する位置には、ストッパー215が設けられている。押圧部材210は、このストッパー215に当接することでストッパー215よりも下流側への回動が抑制されるので、現像装置412の駆動中は図5Bの位置に位置した状態となる。
現像装置412が駆動を停止したとき、つまり、非画像形成時となると、第3ギヤー203に駆動が伝達されなくなり、バネ214の付勢力により押圧部材210が反時計回り方向に回動する。これにより、押圧部材210の押圧部212が加振部材220の被押圧部221を押圧して、加振部材220が非加振位置から加振位置に移動する。このため、現像装置412の筐体412Cが加振されるので、筐体412Cに付着したトナーに起因した画像不良の発生を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、現像装置412の駆動の開始タイミングを異ならせる制御を行うことで加振の際に発生する音の発生タイミングを異ならせていたが、第1変形例では、各現像装置412の停止タイミングを異ならせる制御を行うことにより、加振の際に発生する音の発生タイミングを異ならせることができる。
次に、第2変形例について説明する。図6Aは、第2変形例に係る加振機構200の、現像装置412の駆動開始時の状態を示す図である。図6Bは、第2変形例に係る加振機構200の、現像装置412の駆動状態の時の状態を示す図である。
図6Aに示すように、第2変形例に係る押圧部材210は、上記実施の形態とは異なり、内部にギヤーが配置されておらず、過負荷保護部250を有している。過負荷保護部250は、円板状に形成されており、押圧部材210の本体部211から延びる回動軸217に接続され、押圧部材210とともに回転する。
過負荷保護部250は、撹拌部材412Bの回転駆動が伝達される第5ギヤー206に接触している。過負荷保護部250は、第5ギヤー206との間に働く摩擦力により、第5ギヤー206につられて回転する。第5ギヤー206が回転を続けて過負荷保護部250に過負荷がかかると、第5ギヤー206から過負荷保護部250へのトルク伝達が遮断される。つまり、過負荷保護部250により、撹拌部材412Bの回転駆動トルクが所定値を超えるまで撹拌部材412Bの回転駆動が伝達され、回転駆動トルクが所定値を超えた場合、撹拌部材412Bの回転駆動の伝達が解除される。
また、第2変形例では、第5ギヤー206は反時計回り方向に回転するように設定されている。そのため、押圧部材210は、バネ214により時計回り方向に回動するように付勢されている。
ここで、第2変形例の動作について説明する。
図6Aに示すように、現像装置412の駆動開始時において、第5ギヤー206に駆動が伝達されると、第5ギヤー206の回転につられて過負荷保護部250および押圧部材210が反時計回り方向に回動する。押圧部材210が反時計回り方向に回動すると、押圧部材210の押圧部212が加振部材220を押圧して、現像装置412への加振がなされる。
現像装置412の駆動が続き、過負荷保護部250に過負荷がかかると、第5ギヤー206から過負荷保護部250への駆動力の伝達が解除される。そして、押圧部材210がバネ214の付勢力により、時計回り方向に回動して加振部材220から離れる。これにより、加振部材220が非加振位置に戻る。これによれば、現像装置412の駆動中に加振機構200への駆動伝達が解除されるので、現像装置412の駆動に対する負荷を低減することができる。
次に、第3変形例について説明する。図7は、第3変形例に係る加振機構200を示す図である。図8は、第3変形例に係る加振機構200の、現像装置412の動作が停止している時の状態を示す図である。
図7および図8に示すように、第3変形例に係る加振機構200は、ギヤー支持部205と、加振部材220と、伝達ギヤー機構260と、押圧ギヤー機構270とを有している。伝達ギヤー機構260は、本発明の「伝達部」に対応する。
加振部材220は、上記実施の形態と略同様の構成である。また、加振部材220における加振部223とは反対側の端部が、バネ225により現像装置412とは反対側に付勢されている。これにより、加振部材220が後述する押圧部材273による押圧されていない場合、加振部223が現像装置412の筐体412Cに接触した状態となる。
また、加振部材220は、ギヤー支持部205に支持されている。ギヤー支持部205は、例えば、加振部材200の回動中心となるネジ240等を支持する支持部を有する構成とすることができる。そのため、加振部材220を含む加振機構200を筐体412Cに対して容易に着脱することができる。
伝達ギヤー機構260は、第1固定ギヤー261と、第1移動ギヤー262とを有している。第1固定ギヤー261は、現像装置412における回転駆動が伝達される伝達ギヤー207と噛み合うギヤーであり、ギヤー支持部205に回転可能で、かつ、移動不能に支持されている。
第1移動ギヤー262は、第1固定ギヤー261と噛み合うギヤーであり、ギヤー支持部205に回転可能で、かつ、移動可能に支持されている。図8および図9に示すように、第1移動ギヤー262は、伝達ギヤー207に回転駆動が伝達されると、第1固定ギヤー261の回転により、図示時計周り方向に移動して、後述する第2固定ギヤー271と噛み合うようになっている。
押圧ギヤー機構270は、第2固定ギヤー271と、第2移動ギヤー272と、押圧部材273とを有している。第2固定ギヤー271は、第1移動ギヤー262と噛み合った際に、伝達ギヤー機構260を介して伝達ギヤー207から回転駆動が伝達されるギヤーであり、ギヤー支持部205に回転可能で、かつ、移動不能に支持されている。
第2移動ギヤー272は、第2固定ギヤー271と噛み合うギヤーであり、ギヤー支持部205に回転可能で、かつ、移動可能に支持されている。第2移動ギヤー272は、第2固定ギヤー271に回転駆動が伝達されると、第2固定ギヤー271の回転により、図示時計周り方向に移動する。
押圧部材273は、第2移動ギヤー272の回転中心部分から、現像装置412側に延びており、加振部材220の現像装置412側とは反対側の側面に接触している。押圧部材273は、第2移動ギヤー272が移動することにより、現像装置412に向けて加振部材220を押圧する。これにより、加振部材220における加振部223が現像装置412における筐体412Cから離間する。つまり、加振部材220は、押圧部材273に押圧されている場合に非加振位置に位置する。
そして、図10に示すように、現像装置412による駆動が停止して、伝達ギヤー機構260における押圧ギヤー機構270に駆動が伝達されなくなると、押圧部材273による加振部材220における押圧が解除される。押圧部材273による押圧が解除されると、バネ225の付勢力により、加振部材220が押圧部材273を押し返す側に移動する。
そのため、加振部材220の加振部223が現像装置412の筐体412C側に移動して筐体412Cを加振する。つまり、加振部材220は、押圧部材273による押圧が解除された場合に非加振位置から加振位置に移動して筐体412Cを加振する。これにより、現像装置412の筐体412Cの上蓋に付着したトナーを当該上蓋から脱落させることができる。
また、制御部100は、押圧部材273による押圧を解除する際、伝達ギヤー207が回転駆動を伝達するときとは逆方向に伝達ギヤー207を回転させる。この場合における伝達ギヤー207の回転は、例えばギヤー歯1つ分の回転である。このようにすることで、第1移動ギヤー262と第2固定ギヤー271との噛み合いを解除しやすくすることができるので、加振部材220における加振動作を確実に行うことができる。さらに、制御部100による押圧部材273による押圧を解除する際における、伝達ギヤー207を逆方向に回転させる制御は、第3変形例だけではなく、上記実施の形態、第1変形例および第2変形例に適用しても構わない。
なお、上記実施の形態では、撹拌部材412Bを回転部材として例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば現像スリーブ412Aを回転部材として採用しても良い。また、この場合、連続印刷における紙間においては、現像スリーブ412Aが回転したままとなることが一般的であるので、印刷ジョブにおける駆動開始時または印刷ジョブ終了後の駆動停止時に加振動作がなされる。そのため、比較的印刷枚数が少ないような印刷ジョブの場合において、不必要な加振動作がなされることを抑制することができる。
また、上記実施の形態では、被加振壁412Dは、筐体412Cの上壁における撹拌部材412B側の端部に位置していたが、筐体412Cの上蓋そのものであっても良いし、筐体412Cの上壁における現像スリーブ412A側の端部に位置していても良い。このようにすることで、被加振壁412Dを現像スリーブ412A付近に位置させることができるので、より効果的に、筐体412Cからトナーを脱落させることができる。
また、上記実施の形態では、加振機構200が撹拌部材412B、つまり、現像装置412の現像動作を行うために用いられる回転部材の回転駆動に連動する構成となっていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、加振機構200は、現像装置412とは別の駆動源から駆動を伝達される構成であっても良い。また、この場合、カラー印刷やモノクロ印刷の違いを考慮して、動作する現像装置412の筐体412Cのみを加振させるように制御すると良い。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。