JP6847070B2 - 浄水処理方法及び浄水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、浄水処理方法及び浄水処理装置に係り、特に、アンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水の浄水処理方法及び浄水処理装置に関する。
水道原水である地下水や河川水にはマンガンが含まれている場合がある。天然水中のマンガンは、主に溶解性マンガンである2価のマンガンイオン(Mn2+)として存在しているが、マンガンイオンは酸化されると黒褐色の酸化物となり、微量であっても高色度を呈し、いわゆる黒水の原因となる場合がある。このようなマンガン含有水の浄水処理方法としては、従来から接触ろ過法を用いた除マンガン法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
接触ろ過法を用いた除マンガン法は、溶解性マンガンを含む原水に連続的に塩素を添加しながら、二酸化マンガンを付着したろ過砂、いわゆる「マンガン砂」を充填したろ過塔に下向き流で通水する方法である。2価のマンガンイオンは、ろ材に付着した二酸化マンガン水和物が触媒となって酸化され、二酸化マンガン水和物としてマンガン砂表面に結合されることにより除去される。
一方、マンガン汚染や有機物汚染が進行している水道原水においては、アンモニア態窒素が共に存在する場合が多い。その濃度は、水温低下による自然生体系の分解力低下の影響、家畜や冬季前の施肥などさまざまな影響を受ける。そのため、季節変動もあり、水温が10℃以下となる冬季にその濃度が上昇する傾向がある。
水道原水にマンガンと有機物に加えてアンモニア態窒素が存在する場合、塩素処理に多大な弊害を及ぼす場合がある。アンモニア態窒素は、水道水質基準に基準値は無いものの、塩素と反応する物質であるため、消毒に必要な有効塩素濃度を給水線末端で確保するため浄水処理における適切な除去が必要となる。
通常、水道原水にアンモニア態窒素が存在する場合、遊離塩素濃度相当でアンモニア態窒素の8〜10倍以上の塩素を添加するアンモニアブレイクポイント処理(アンモニア不連続点処理)を行い、アンモニア態窒素を窒素又は亜酸化窒素まで分解する。
しかしながら、有機物濃度が高い原水に塩素を添加した場合、トリハロメタン等の消毒副生物が多量に生成し、水質基準を超過する場合があるので、粉末活性炭処理や凝集処理などで有機物を除去した後にアンモニアブレイクポイント処理を行う方が消毒副生生物低減の観点からは好ましい。
一方、2価のマンガンイオンは鉄イオンのように塩素単独では容易に酸化されないので、上述したような塩素とマンガン砂を用いた処理法を利用するのであるが、アンモニア態窒素と2価マンガンイオンが共存した場合は、塩素のみでも4価の二酸化マンガンに容易に酸化される(例えば、非特許文献2及び3、特許文献1参照)。
アンモニア態窒素と2価のマンガンイオンが共存した場合、マンガンイオンはアンモニア態窒素と錯イオンを容易に形成する。アンモニア態窒素と塩素との反応は、最初にアンモニア態窒素と塩素からモノクロラミンが生成し、次いで、モノクロラミンと塩素との反応によりジクロラミンを生成する。ジクロラミンの分解反応については、いくつかの経路が提案されているが、主な反応経路は、ジクロラミンが加水分解により窒素に分解すると考えられている(例えば、非特許文献4参照)。
アンモニア態窒素共存時の2価のマンガンイオンは、アンモニア態窒素と錯イオンを形成しているが、塩素処理を行うと、マンガンイオンに配位しているアンモニア態窒素が塩素で酸化され、不連続点付近では、マンガン付近の配位子が存在しなくなるため、マンガンイオンが単独となる傾向にあり、この単独のマンガンイオンが塩素で酸化されるためと推察される。
したがって、アンモニアブレイクポイント処理が完了した後のマンガンは、2価のマンガンイオンから4価の二酸化マンガンに酸化が終了した状態となり、原理的にはマンガン砂で除去できずに、処理水にそのままリークすることになる。実際は、マンガン砂の捕捉機能により生成した二酸化マンガン粒子の一部は除去されることになるが、原水のマンガン濃度や処理条件によっては重大な問題となる。
近年、クリプトスポリジウムに代表される耐塩素性の病原性微生物の対応方法として、砂ろ過に代わる固液分離技術として膜ろ過法の導入が進んでいる。病原性微生物をはじめとする種々の細菌類、懸濁成分、色度や消毒副生成物前駆物質である有機物、溶解性マンガンを含む水道原水に対して、膜ろ過法を適用する場合の一つの適用処理フローとして挙げられる方法としては、まず、最初に凝集処理を行って有機物を除去し、次いで、膜ろ過により凝集フロックを含む懸濁成分を完全に除去し、マンガン砂を用いた除マンガン処理を行う(例えば、特許文献2参照)。このような処理フローであれば、塩素処理の前段で有機物除去を行うことができるため、消毒副生成物の生成を抑制することができるが、アンモニア態窒素が原水に含まれる場合は同様の課題を抱えることとなる。
特開平10−290989号公報 特許第4862005号公報
厚生労働省監修、「水道施設設計指針2012」、日本水道協会、平成24年7月、pp.209−337 梶野勝司、「マンガンの酸化」、昭和44年全国水道研究発表会講演概要集、1969年、pp.228 高井雄、中西弘「用水の除鉄・除マンガン処理」、産業用水調査会、1987年、pp.240 田中利昭ら、「クロラミン類生成に関する新たな知見と浄水処理での低減化への適用」、水道協会雑誌、Vol.79、No.6、2010年、pp.2−12
マンガン、アンモニア態窒素、有機物を含む水道原水に対し、トリハロメタンに代表される消毒副生成物を最小限に抑制しつつ、マンガンとアンモニア態窒素の除去を行うためには、塩素添加が必要なマンガン処理とアンモニア処理の前段に有機物除去を目的とした粉末活性炭処理、凝集処理、膜ろ過処理などを行うこと、すなわち、浄水処理システムの一番後段がマンガン砂ろ過装置とすることが重要となる。
しかしながら、マンガン処理においては、アンモニア態窒素の存在は、前述したような理由により形成された二酸化マンガンがマンガン砂をリークする問題があるとともに、アンモニア態窒素も塩素を消費するため、適切な塩素注入量を選定しなければ、マンガン砂の再生酸化処理に必要な十分な遊離塩素濃度をマンガン砂ろ過処理水に維持できなくなり、ひいては、マンガン砂の再生酸化が不十分となり、2価のマンガンイオンの酸化反応も起こらなくなる場合もある。
上記課題を鑑み、本発明は、マンガン砂ろ過装置内のマンガン砂ろ過層の活性を保ちながら被処理水中のマンガンを適切に除去することが可能な被処理水の浄水処理方法及び浄水処理装置を提供する。
本発明者らは鋭意検討の結果、マンガン砂ろ過装置内のマンガン砂ろ過層の活性を保ちながら被処理水中のマンガンを適切に除去する方法の一つとして、マンガン砂ろ過装置の前段に次亜塩素酸ナトリウムを注入する手段を設け、被処理水に次亜塩素酸ナトリウムを注入してからマンガン砂ろ過層へ到達するまでの間の被処理水中のマンガン粒子及びマンガンナノ粒子の合計値が所定の濃度以下となるように、被処理水に添加すべき次亜塩素酸ナトリウムの処理条件を制御することが重要であることを見出した。これにより、最終的に得られる浄水処理水中のマンガン濃度を水質基準の1/10である0.005mg/L以下、更には0.001mg/L以下とすることが可能な浄水処理装置及び浄水処理方法が得られることが分かった。
以上の知見を基礎として完成した本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は一側面において、マンガン砂ろ過層を備え、アンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水を下向流方式で通水することにより被処理水中のマンガンを除去するマンガン砂ろ過装置と、少なくともマンガン砂ろ過装置に供給される前の被処理水に次亜塩素酸ナトリウムを注入するNaClO注入手段と、次亜塩素酸ナトリウムの注入後、マンガン砂ろ過層と接触するまでの間に、被処理水中に新たに生成される粒子径0.1μm以上のマンガン粒子の濃度と粒子径0.1μm未満のマンガンナノ粒子の濃度との合計値が0.015mg/L以下となるように、次亜塩素酸ナトリウム処理条件(NaClO処理条件)を制御する制御手段とを備える浄水処理装置である。
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は一実施態様において、制御手段が、以下の関係式(α)及び(β)に基づいて、マンガン粒子の濃度(MnP)及びマンガンナノ粒子の濃度(MnNP)をそれぞれ算出し、その合計値が0.015mg/L以下となるように、NaClO処理条件を決定する浄水処理装置である。
MnP=MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t)) ・・・(α)
MnNP=0.0836×(MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t))) ・・・(β)
(ここで、MnPはマンガン粒子の濃度(mg−Mn/L)、MnNPはマンガンナノ粒子の濃度(mg−Mn/L)、MnIは被処理水の2価のマンガンイオン濃度(mg−Mn/L)、tは被処理水の水温(℃)、injCl2は次亜塩素酸ナトリウムの注入率(mg−Cl/L)、RtはNaClOの接触時間(分)、pHは次亜塩素酸ナトリウム注入後の被処理水のpH(−)を表す。)
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は別の一実施態様において、次亜塩素酸ナトリウム処理条件が、次亜塩素酸ナトリウムの注入率及び次亜塩素酸ナトリウムと被処理水との接触時間の少なくとも一方を含む。
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は更に別の一実施態様において、マンガン砂ろ過装置から得られる砂ろ過処理水中のジクロラミンを分解するための分解反応槽を更に備える。
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は更に別の一実施態様において、マンガン砂ろ過装置の前段に、活性炭処理手段又は凝集処理手段のいずれか1つ以上と、膜ろ過処理手段とを備える。
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は更に別の一実施態様において、被処理水中のマンガン粒子及びマンガンナノ粒子の濃度を測定するためのナノ粒子解析手段を更に備える。
本発明の実施の形態に係る浄水処理方法は一側面において、アンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水に次亜塩素酸ナトリウムを注入することと、マンガン砂ろ過層を備えたマンガン砂ろ過装置に次亜塩素酸ナトリウム注入後の被処理水を下向流方式で通水することにより被処理水中のマンガンを除去することとを含む浄水処理方法であって、次亜塩素酸ナトリウム注入後、マンガン砂ろ過層と接触させるまでの間に、被処理水に新たに生成される粒子径0.1μm以上のマンガン粒子の濃度と粒子径0.1μm未満のマンガンナノ粒子の濃度との合計値が0.015mg/L以下となるように、NaClO処理条件を調整する浄水処理方法である。
本発明の実施の形態に係る浄水処理方法は一実施態様において、次亜塩素酸ナトリウム処理条件を調整することが、以下の関係式(α)及び(β)に基づいて、マンガン粒子の濃度(MnP)及びマンガンナノ粒子の濃度(MnNP)をそれぞれ算出し、その合計値が0.015mg/L以下となるように、次亜塩素酸ナトリウム処理条件を決定する浄水処理方法である。
MnP=MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t)) ・・・(α)
MnNP=0.0836×(MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t))) ・・・(β)
(ここで、MnIは被処理水の2価のマンガンイオン濃度(mg−Mn/L)、tは被処理水の水温(℃)、injCl2は次亜塩素酸ナトリウムの注入率(mg−Cl2/L)、RtはNaClOの接触時間(分)、pHは次亜塩素酸ナトリウム注入後の被処理水のpH(−)を表す。)
本発明によれば、マンガン砂ろ過装置内のマンガン砂ろ過層の活性を保ちながら被処理水中のマンガンを適切に除去することが可能な被処理水の浄水処理方法及び浄水処理装置が提供できる。
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態の第1変形例に係る浄水処理装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態の第2変形例に係る浄水処理装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態の第3変形例に係る浄水処理装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態の第4変形例に係る浄水処理装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態の第5変形例に係る浄水処理装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態の第6変形例に係る浄水処理装置を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお、以下に示す実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は、図1に例示するように、マンガン砂ろ過層(図示省略)を備えるマンガン砂ろ過装置3と、次亜塩素酸ナトリウム注入手段(NaClO注入手段)2と、制御手段4とを備える。
マンガン砂ろ過装置3は、マンガン砂を充填したマンガン砂ろ過層を備え、アンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水1を下向流方式で通水することにより被処理水中のマンガンを除去する装置である。被処理水1は、ポンプ(図示せず)又は水位高低差によりマンガン砂ろ過装置3内へと流入される。
NaClO注入手段2は、少なくともマンガン砂ろ過装置3に供給される前の被処理水に次亜塩素酸ナトリウムを注入可能な装置であれば特に限定されない。図1に示すように、NaClO注入手段2は、マンガン砂ろ過装置3の前段の注入位置7及び必要に応じてマンガン砂ろ過装置3の後段の注入位置8を介して、NaClOを被処理水1又は砂ろ過処理水に対して注入することができる。
図1の例では、注入位置7、8がそれぞれマンガン砂ろ過装置3の前段及び後段の配管中に設定されている(配管注入方式)。しかしながら、被処理水1とNaClOの接触時間を比較的長く取りたい場合は、注入位置7、8を配管に接続する代わりに反応槽をそれぞれ設けることができる。
例えば、被処理水1の水温が20℃以上と比較的高い場合には、図1に示されるような配管注入方式とすることが好ましい。水温が低く、被処理水1にNaClOが注入されてからマンガン砂ろ過層へ到達するまでの被処理水1とNaClOとの接触時間(反応時間)を比較的長く得たい場合には、図2に示すように、反応槽7aにおいて被処理水とNaClOを接触させるようにしてもよい。
マンガン砂ろ過装置3から得られる砂ろ過処理水は、砂ろ過処理水中のジクロラミンを分解するための分解反応槽5へ供給される。分解反応槽5では砂ろ過処理水を所定の時間保持することによりジクロラミンの分解反応が進行し、砂ろ過処理水中のアンモニア態窒素は窒素ガスまで分解され、浄水処理水6となる。分解反応槽5は、単に流入口と処理水出口を設けて滞留時間を得るものとしても良いし、迂流式の混合撹拌が可能な構造体を設置しても構わない。
アンモニア態窒素のモノクロラミン及びジクロラミンへの分解反応は、低水温でも非常に速やかに進行する。本実施形態に係る浄水処理装置に示すような、マンガン砂ろ過装置3の前段に被処理水1へのNaClO注入を行う場合は、マンガン砂ろ過層での接触時間が1〜2分であり、被処理水1がNaClO注入位置からマンガン砂ろ過層へ到達するまでの時間を考慮しても、少なくとも1〜2分以上のNaClOとの反応が行われることになる。このような場合、アンモニア態窒素は、ほぼジクロラミンまで分解が進行することを本発明者らは確認し、ジクロラミン分解を目的とした反応槽を配置するに至った。
ジクロラミンの分解反応は非常に緩慢であるが、冬季の低水温時、アンモニア態窒素濃度が1mg/L程度と高い時は、反応時間が必要な場合がある。分解反応槽5での反応時間としては、60分以上が好ましく、長い方がより好ましく、例えば、80分以上がより好ましい。
被処理水1の水温が低い等の理由により、砂ろ過処理水中のジクロラミンの分解が進行し難い場合には、分解反応槽5の前段に接続されたアルカリ剤注入手段10を介してアルカリ剤を注入することにより、ジクロラミンの分解反応を促進させることができる。アルカリ剤としては例えば水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)などの公知のアルカリ剤を利用することができる。
アルカリ剤注入手段10によるアルカリ剤の添加は、図1に示すように、注入位置9で配管に直接注入してもよいし、図4に示すように、注入位置9の代わりの反応槽9aにおいて注入することもできる。
NaClO注入手段2により被処理水1中にNaClOが注入されると、アンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水は、以下の式(1)〜(7)に従って分解反応が進行する。
NH3+HOCl→NH2Cl+H2O ・・・(1)
NH2Cl+HOCl→NHCl2+H2O ・・・(2)
NHCl2+HOCl→NCl3+H2O ・・・(3)
NH2Cl+NHCl2→N2+3HCl ・・・(4)
NH2Cl+NHCl2+HOCl→N2O+4HCl ・・・(5)
2NHCl2+OH-→N2+HOCl+2H++3Cl- ・・・(6)
2NHCl2+OH-→N2O+3H++4Cl- ・・・(7)
被処理水1中のアンモニア態窒素は、塩素処理、即ち塩素剤であるNaClO(水溶液中では、次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO-)の形態で存在)によりモノクロラミンに酸化され(式(1))、いくつかの分解経路が提案されているものの、主に、式(6)の加水分解反応により窒素ガスになると考えられている。
式(1)と式(2)のモノクロラミンの生成とモノクロラミンからジクロラミンの生成は、NaClO濃度に影響されるが、水温の著しい影響は無く、また、反応速度も式(6)よりも非常に速い。
逆に、式(6)で示されるジクロラミンの加水分解反応は、直接的にはNaClO濃度に影響されないが、水温とpHに影響される。従って、水温が20℃以上と高く、NaClO濃度も高いと、アンモニア態窒素は、非常に速やかにジクロラミンの加水分解反応を経て、窒素まで分解される。2価のマンガンイオンも非常に速やかに酸化される。
そのような場合は、マンガン砂ろ過装置の前段(以下「1段目」とも称する)へ供給するNaClOの注入率を、Cl2/NH4−N=5.0から計算される値にプラス1mg/L、より好ましくはプラス1.5mg/Lとする。これにより、マンガン砂の再生酸化反応に必要なマンガン砂ろ過水の遊離塩素濃度を確保しつつ、NaClOの接触時間(注入位置7からマンガン砂ろ過層までの水理学的滞留時間)を短くし、マンガンの酸化をできるだけ抑制することができる。
次いで、マンガン砂ろ過装置3の後段(以下「2段目」とも称する)のNaClO注入において、アンモニア態窒素の分解(主にモノクロラミンの分解)に必要なNaClOを注入することが好ましい。
なお、前段のNaClO注入により、その注入率がCl2/NH4−N=5.0以上となっているため、アンモニア態窒素からモノクロラミンまでの分解反応は完了していることから、二段階注入処理により後段でNaClOを添加する場合の注入率は、残留するモノクロラミンの分解反応に必要な分のみでよい。
モノクロラミンの分解は進行するが、ジクロラミンの分解が進行せず、この反応が全体の律速因子となる場合は、アルカリ剤を添加してpHを上げ、ジクロラミンの加水分解反応を促進させることが好ましい。逆に、冬季のように水温が10℃以下と低い場合は、アンモニア態窒素からジクロラミンまでの反応は比較的速やかに進行するものの、ジクロラミンの加水分解が非常に進み難いため、マンガン砂ろ過装置3の前段のみの一段階のNaClO注入としても構わない。
その場合のNaClOの添加率もCl2/NH4−N=5.0から計算される値に1mg/Lより好ましくは1.5mg/Lとして注入することが好ましい。また、水温が0℃付近で非常に低いような場合も含め、モノクロラミンの分解が進まないときにはNaClOの注入率を更に増加させても構わない。
NaClOの一段階注入処理でも、モノクロラミンの分解は進行するが、ジクロラミンの分解が進行せず、この反応が全体の律速因子となる場合は、マンガン砂ろ過装置3の後段でアルカリ剤を添加してpHを上げ、ジクロラミンの加水分解反応を促進させることが好ましい。
本発明者らによる検討の結果、被処理水1中に含まれる2価のマンガンイオンがNaClOで酸化されると4価の二酸化マンガンを生じるが、アンモニア態窒素と2価のマンガンイオンとが共存する被処理水1を処理する場合、次亜塩素酸ナトリウムの添加により生成した酸化物の大きさには、粒子径0.1μm以上の酸化物と0.1μm未満の酸化物の大きく二つのグループがあることが分かった。ここで、本実施形態においては、粒子径0.1μm以上の酸化物を「マンガン粒子」、粒子径0.1μm未満の酸化物を「マンガンナノ粒子」と定義する。
被処理水1とNaClOの接触により生成されるマンガン酸化物の殆どは粒子径0.1μm以上のマンガン粒子であることが分かった。そして、マンガン砂ろ過層によって捕捉可能なマンガン粒子との関係において本発明者らが更に鋭意検討した結果、被処理水1とNaClOの接触により生成されたマンガン酸化物の全て、即ちマンガン粒子及びマンガンナノ粒子の全てがマンガン砂ろ過層からリークするわけではなく、僅かではあるがマンガン砂ろ過層にろ過効果により捕捉されるものであり、特に、マンガン酸化物の90%以上を占める粒子径0.1μm以上のマンガン粒子の捕捉が重要であることを見出した。
マンガン砂ろ過層のろ過捕捉効果は、マンガン砂ろ過層の性状、例えば、付着二酸化マンガン量、残留凝集剤量、吸着有機物量、マンガン砂粒径分布などによって違いがあることが確認されたが、本発明の実施の形態に係る浄水処理装置において示されるように、次亜塩素酸ナトリウムの注入後の被処理水1をマンガン砂ろ過層と接触させる際に、次亜塩素酸ナトリウム注入後、マンガン砂ろ過層と接触させるまでの間に被処理水1中に新たに生成される粒子径0.1μm以上のマンガン粒子の濃度と粒子径0.1μm未満のマンガンナノ粒子の濃度との合計値が0.015mg/L以下となるように、例えば、制御手段4によって、次亜塩素酸ナトリウムの注入率及び次亜塩素酸ナトリウムと被処理水との接触時間の少なくとも一方を含むNaClO処理条件を制御することにより、目標浄水処理水質である0.005mg/L以下、更には0.001mg/L以下の浄水処理水を得ることが可能であることが分かった。
制御手段4としては任意の手段を利用することができる。例えば、NaClO注入手段2からの次亜塩素酸ナトリウムの注入率を制御するためのバルブや、次亜塩素酸ナトリウムの接触時間を確保するための注入位置を備える配管や反応槽等の公知の手段が利用できる。
また、制御手段4として、例えば本実施形態に係る制御アルゴリズムに基づいて、所定の動作指令を送出する汎用又は専用の計算機(コンピュータ)も利用可能である。
例えば、被処理水及びNaClO処理条件を以下のように定義した場合、制御手段4が備える解析手段(図示せず)が、被処理水とNaClOとの接触により生成されたマンガン酸化物であるマンガン粒子の濃度及びマンガンナノ粒子の濃度を、以下に示す関係式に従って自動計算することができる。
(被処理水)
被処理水のアンモニア態窒素濃度:AnmoN(mg−N/L)
被処理水のマンガンイオン(2価)濃度:MnL(mg−Mn/L)
(NaClO処理条件)
被処理水の水温:t(℃)
NaClOの注入率:injCl2(mg−Cl2/L)
NaClOの接触時間:Rt(分)
NaClO反応pH(NaClO注入後のpH):pH(−)
被処理水1に存在する2価のマンガンイオンは、NaClOによって4価の二酸化マンガンに酸化されるが、粒子径が0.1μm以上のマンガン粒子と0.1μm未満のマンガンナノ粒子とにより本実施形態で定義される二酸化マンガンが生成される。これらの濃度は以下の式(8)、(9)に基づいて導かれる。
MnP=MnI×kMnP ・・・(8)
MnNP=MnI×Rt×kMnNP ・・・(9)
ここで、MnP:マンガン粒子生成量(mg−Mn/L)
MnP:マンガン粒子生成反応速度定数(1/分 at t℃)
MnNP:マンガンナノ粒子生成量(mg−Mn/L)
MnNP:マンガンナノ粒子生成反応速度定数(1/分 at t℃)
上記のマンガン粒子生成速度定数とマンガンナノ粒子生成速度定数は、以下の式(10)、(11)に従って導かれる。
MnP=Acl×ApH×exp(0.1493×t) ・・・(10)
MnNP=B×kMnP ・・・(11)
ここで、Acl:NaClO濃度補正係数(−)
pH:pH補正係数(−)
B:マンガン粒子とマンガンナノ粒子の生成速度の比(0.0836)
マンガン粒子とマンガンナノ粒子の生成速度は、NaClO注入率の影響を受けるため、以下のようにNaClO濃度補正係数を求めることができる。
アンモニア態窒素とNaClOとの反応によりモノクロラミンが生成し、次いで、モノクロラミンがジクロラミンに分解する。モノクロラミン生成に必要なCl2濃度は、化学量論的に、Cl2/NH4−N=5.06≒5であるため、添加したNaClO注入率のうち、クロラミン分解反応に消費されるNaClO濃度は以下の式(12)のように導かれる。
クロラミン分解有効NaClO注入率=injCl2−AnmoN×5 ・・・(12)
アンモニア態窒素濃度1mg−N/L以下でNaClO注入率8mg/L以下の場合の任意のNaClO注入率は、アンモニア態窒素濃度1mg−N/Lにおける換算NaClO注入率(AinjCl2)として、以下の式(13)のように導かれる。
1mg−N/L換算NaClO注入率(AinjCl2
=(クロラミン有効NaClO注入率)+5
=(injCl2−AnmoN×5)+5 ・・・(13)
よって、NaClO濃度補正係数(Acl)は次式(14)のように導かれる。
NaClO濃度補正係数(Acl)=0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636 ・・・(14)
また、マンガン粒子とナノ粒子の生成速度は、反応時のpHも影響するが、pH補正係数(ApH)は次式(15)のように導かれる。
pH補正係数(ApH)=5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)
・・・(15)
上記をまとめると、マンガン粒子生成量(マンガン粒子の濃度)及びマンガンナノ粒子生成量(マンガンナノ粒子の濃度)は、式(α)及び(β)で導かれる。
MnP=MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t)) ・・・(α)
MnNP=0.0836×(MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t))) ・・・(β)
(ここで、MnPはマンガン粒子の濃度(mg−Mn/L)、MnNPはマンガンナノ粒子の濃度(mg−Mn/L)、MnIは被処理水の2価のマンガンイオン濃度(mg−Mn/L)、tは被処理水の水温(℃)、injCl2は次亜塩素酸ナトリウムの注入率(mg−Cl2/L)、RtはNaClOの接触時間(分)、pHは次亜塩素酸ナトリウム注入後の被処理水のpH(−)を表す。)
本発明者らは鋭意検討の結果、NaClO処理によって新たに生成されるマンガン酸化物濃度(マンガン粒子の濃度とマンガンナノ粒子の濃度の合計値)が0.015mg/L以下とすることが好ましいことを見出した。そして、NaClOを添加してからマンガン砂ろ過層に到達するまでに生成される被処理水1中のマンガン酸化物濃度を0.015mg/L以下とすることで、被処理水1の水質から浄水処理水のマンガン濃度が少なくとも0.005mg/L以下を満足するNaClO処理条件を見出した。
即ち、次亜塩素酸ナトリウムの注入後、マンガン砂ろ過層と接触させるまでの間に被処理水1粒に次亜塩素酸ナトリウムの注入によって新たに生成される粒子径0.1μm以上のマンガン粒子の濃度と粒子径0.1μm未満のマンガンナノ粒子の濃度との合計値が0.015mg/L以下となる条件が、本実施形態の示すNaClO処理条件である。
よって、本発明の実施の形態に係る制御手段4は、以下の関係式(α)及び(β)に基づいて、マンガン粒子の濃度及びマンガンナノ粒子の濃度をそれぞれ算出し、その合計値が0.015mg/L以下となるように、NaClO処理条件を決定することが好ましい。
なお、以下に示す実施例では、アンモニア態窒素濃度1mg−N/L程度までを想定しているため、NaClO注入率を8mg/Lまでとして扱い、1mg−N/L換算NaClO注入率(AinjCl2)を算出し、諸定数を定めているが、NaClO補正濃度係数(A)を求める場合、NaClO注入率が8mg/L以上の場合は、NaClO注入率を8mg/Lとして扱い、1mg−N/L換算NaClO注入率(AinjCl2)を算出し、NaClO補正濃度係数(A)を求めればよい。
本実施形態において、被処理水の水温範囲は0〜30℃が好ましく、0〜25℃の範囲が最も好ましい。pH範囲は実用的には、pH6.0〜8.0であるが、好ましくはpH6.5〜8.0、更に好ましくはpH6.8〜7.5の範囲である。
アンモニア態窒素の分解反応は、アンモニア態窒素からモノクロラミンへの分解、モノクロラミンからジクロラミンへの分解は、次亜塩素酸濃度が影響するため、その解離状態の影響も受け、pHの低い方が反応速度が速くなる傾向にある。逆に、ジクロラミンから窒素ガスへの分解反応は、加水分解反応であるので、pHが高い方が反応速度が速くなるという逆の関係にあり、また一連の反応は逐次反応であることや、反応速度の大小としては後者の加水分解反応が前者の二つの反応よりも非常に反応速度が遅い事、モノクロラミンがジクロラミンの分解反応を抑制すること、などの複雑な反応が関与するため、pHだけでは反応速度を議論することが難しい。
また、これにNaClOによるマンガンイオン自身の酸化反応速度もpHの影響を受けるため、反応工学的な解釈は非常に困難である。本発明者らは、実験的に本発明が適用できる範囲を見出し、これにより、マンガン砂ろ過装置内のマンガン砂ろ過層の活性を保ちながら被処理水中のマンガンを適切に除去することができ、且つ最終的に得られる浄水処理水中のマンガン濃度を水道水質基準よりも大幅に低減することが可能なアンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水の浄水処理方法及び浄水処理装置が得られる。
(第1変形例)
本発明の第1変形例に係る浄水処理装置は、図2に示すように、マンガン砂ろ過装置3の前段に、活性炭処理手段15又は凝集処理手段13のいずれか1つ以上と、膜ろ過処理手段12とを備える。また、図2の例では、NaClO注入手段2が反応槽7aに対してNaClOを注入している点が、図1に示す浄水処理装置と異なる。他は、図1の浄水処理装置と実質的に同様であるので重複した説明を省略する。
被処理水1はまず、活性炭注入設備16を備える活性炭処理手段15で活性炭処理され、その処理水が凝集剤注入設備14を備える凝集処理手段13へ送られ、有機物などの除去が行われる。凝集処理手段13で得られた凝集処理水は、膜ろ過処理を担う膜ろ過処理手段12へ供給され、濁度成分と病原性微生物の除去が行われる。次いで、膜ろ過処理手段12で得られた膜ろ過処理水中のアンモニア態窒素と溶解性マンガンの処理を行うために、NaClO注入手段2を備える反応槽7aを送られる。
活性炭注入設備16には例えば粉末状の活性炭が収容され、必要量の活性炭が活性炭処理手段15へ順次供給できるようになっている。凝集剤注入設備14から注入される凝集剤としては水道水の処理に一般的に用いられる公知の凝集剤が利用可能である。膜ろ過処理手段12の構造は、ケーシング収納型でも槽浸漬型のいずれでも構わないが、高濃度原水への適用性が高い、槽浸漬型がより好ましい。
膜ろ過処理手段12内に収容される膜も例えば高分子膜、無機膜、MF膜、UF膜等任意の膜を使用することができるが、浸漬型膜モジュールが使用できる高分子膜、特に、物理的にも化学的にも強いPVDFを材質とする膜が好ましく、膜浸漬型モジュールが使用できるMF膜がより好ましい。省エネルギの観点から水位差が利用できる孔径0.05μm以上の膜が好ましく、有機物による膜閉塞抑制の観点からその最小径である0.05μmの膜がより好ましい。
第1変形例に係る浄水処理装置及び浄水処理方法によれば、マンガン砂ろ過装置3の前段に前処理として活性炭処理手段15又は凝集処理手段13のいずれか1つ以上と膜ろ過処理手段12を備えることにより、被処理水1の有機物や病原性微生物を予め取り除くことができるため、更なる水質改善に繋がる。第1変形例に係る処理装置は、例えば、クリプトスポリジウム対策が必要でない被処理水1に対して適用可能な浄水処理装置及び浄水処理方法を提供することができる。
(第2変形例)
また、図3に示すように、第2変形例に係る浄水処理装置は、NaClO注入手段2が注入位置7において膜ろ過処理手段12からマンガン砂ろ過装置3へ繋がる配管に接続された配管注入方式を備える。第2変形例によれば、水温が15〜20℃よりも高い被処理水1の処理に好適に用いることができる。
(第3変形例)
更に、図4に示すように、第3変形例に係る浄水処理装置は、図3に示すNaClO注入手段2の後段の注入位置8の代わりに反応槽8aが配置され、図3に示すアルカリ剤の注入位置9の代わりに反応槽9aが配置されてもよい。第3変形例によれば、冬季においても、後段NaClOの反応時間が十分確保でき、アルカリ剤の混合も確実に行うことができる。
(第4〜第6変形例)
第4〜第6変形例に係る浄水処理装置を図5〜図7に示す。図5に示すように、図4の膜ろ過処理手段12の代わりに沈殿処理手段17を配置することもできる。図6に示すように、図5の反応槽7aの代わりに注入位置7からNaClOを注入するようにしてもよい。図7に示すように、図6に示すNaClO注入手段2の後段の注入位置8の代わりに反応槽8aが配置され、図6に示すアルカリ剤の注入位置9の代わりに反応槽9aが配置されてもよい。
更に、図7に示すように、被処理水中のマンガン粒子及びマンガンナノ粒子の濃度を測定するためのナノ粒子解析手段18を更に備えていてもよい。図7のナノ粒子解析手段18は図1〜図6に示す各態様にそれぞれ配置してもよいことは勿論である。ナノ粒子解析手段18の具体例は特に限定されないが、例えば、20〜1000nm程度の粒子範囲の測定が可能な、ナノ粒子追跡解析法を測定原理としたナノ粒子計を用いることができる。
本発明者らがマンガン粒子及びマンガンナノ粒子の粒子分布を鋭意評価した結果、処理条件によって違いはみられるものの、その粒子径の90%程度が0.1〜0.8μmの大きさであり、0.1〜0.45μmの粒子範囲が60%程度を占める場合が多いことが分かった。
そのため、通常の微粒子計の測定下限値は0.5μm程度であり、本実施形態に係る浄水処理装置の測定には適さない場合が多い。本実施形態では、ナノ粒子解析手段として、0〜1000nm程度の粒子範囲の測定が可能な、ナノ粒子追跡解析法を測定原理としたナノ粒子計ことで、直接、マンガン砂ろ過層への流入水のマンガン酸化物の濃度を測定することができる。よって、例えば、上記(α)、(β)式による予測式と照合することにより、マンガン酸化物の濃度をより高精度で評価することができる。
本実施形態に係るナノ粒子解析手段による計測結果を併用して、自動運転制御を行うことも好ましい。また、マンガン酸化物の粒子径がほぼ0.8μm以下であることから、0.8μmメンブレンフィルターのろ過水と0.1μmメンブレンフィルターのろ過水のマンガン濃度の差を比較することは、マンガン粒子の濃度をより高精度に評価するために有効である。また、ナノ粒子解析の前処理として、0.8μmサイズのメンブレンを使用することは、濁度成分の妨害をなくす手段として有効である。
なお、NaClOの被処理水1への注入により生成したマンガン粒子を実際に測定する場合は、被処理水とNaClO添加後のマンガン砂ろ過装置流入水の0.1μmメンブレンフィルターのろ過水のマンガン濃度の差を求めればよい。マンガンナノ粒子を測定する場合は、被処理水とNaClO添加後のマンガン砂ろ過装置流入水の0.1μmメンブレンフィルターのろ過水をさらに分画分子量1000DaのUF膜を用いてろ過水を得て、0.1μmのろ過水とUF膜のろ過水のマンガン濃度の差を求めればよい。
以上詳しく説明したように、本発明の実施の形態に係る浄水処理装置及び浄水処理方法によれば、消毒副生生物の生成を抑制しつつ、アンモニア態窒素と溶解性マンガンの除去が可能な浄水処理システムが構築できる。
(その他の実施の形態)
本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態及び運用技術が明らかとなろう。
図示していないが、図1〜図7に示す浄水処理装置においては、被処理水1の例えば気温変動などによる性状変動に対応するために、被処理水1の水温を測定するための温度計、pHを測定するためのpH計、アンモニア態窒素濃度やマンガンイオン濃度を測定するための各種濃度計等をNaClO注入手段2の前段の任意の位置に設けても良い。
このように、本発明は上記の開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によって表されるものであり、実施段階においては、その要旨を逸脱しない範囲において変形し具体化し得るものである。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
比較的有機物汚染が進行し、冬季及び春季の融雪機にアンモニア態窒素濃度が高くなる原水を、粉末活性炭処理→凝集膜ろ過処理→マンガン砂ろ過処理の順で行った結果を表1〜表3に示す。冬季の運転条件は、実施例1〜3に示すように、前段NaClOのみで接触時間10〜20分に調整し、新たに生成されるマンガン粒子及びマンガンナノ粒子の濃度を調整することで、浄水処理水のMn濃度を目標水質の0.001mg/L未満に達成することができたが、比較例1及び2の接触時間25〜30分では、マンガンが浄水処理水に検出された。
融雪期には、水温が多少上昇するため、浄水処理のマンガン濃度を0.001mg/L未満とするには接触時間を5分以内としなければならないことがわかる。
Figure 0006847070
Figure 0006847070
Figure 0006847070
1…被処理水
2…NaClO注入手段
3…マンガン砂ろ過装置
4…制御手段
5…分解反応槽
6…浄水処理水
7、8、9…注入位置
7a、8a、9a…反応槽
10…アルカリ剤注入手段
12…膜ろ過処理手段
13…凝集処理手段
14…凝集剤注入設備
15…活性炭処理手段
16…活性炭注入設備
17…沈殿処理手段
18…ナノ粒子解析手段

Claims (8)

  1. マンガン砂ろ過層を備え、アンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水を下向流方式で通水することにより前記被処理水中のマンガンを除去するマンガン砂ろ過装置と、
    少なくとも前記マンガン砂ろ過装置に供給される前の前記被処理水に次亜塩素酸ナトリウムを注入するNaClO注入手段と、
    前記次亜塩素酸ナトリウムの注入後、前記マンガン砂ろ過層と接触するまでの間に、前記被処理水中に新たに生成される粒子径0.1μm以上のマンガン粒子の濃度と粒子径0.1μm未満のマンガンナノ粒子の濃度との合計値が0.015mg/L以下となるように、次亜塩素酸ナトリウム処理条件を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする浄水処理装置。
  2. 前記制御手段が、以下の関係式(α)及び(β)に基づいて、前記マンガン粒子の濃度及び前記マンガンナノ粒子の濃度をそれぞれ算出し、その合計値が0.015mg/L以下となるように、前記次亜塩素酸ナトリウム処理条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の浄水処理装置。
    MnP=MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t)) ・・・(α)
    MnNP=0.0836×(MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t))) ・・・(β)
    (ここで、MnPはマンガン粒子の濃度(mg−Mn/L)、MnNPはマンガンナノ粒子の濃度(mg−Mn/L)、MnIは被処理水の2価のマンガンイオン濃度(mg−Mn/L)、tは被処理水の水温(℃)、injCl2は次亜塩素酸ナトリウムの注入率(mg−Cl2/L)、RtはNaClOの接触時間(分)、pHは次亜塩素酸ナトリウム注入後の被処理水のpH(−)を表す。)
  3. 前記次亜塩素酸ナトリウム処理条件が、次亜塩素酸ナトリウムの注入率及び次亜塩素酸ナトリウムと被処理水との接触時間の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の浄水処理装置。
  4. 前記マンガン砂ろ過装置から得られる砂ろ過処理水中のジクロラミンを分解するための分解反応槽を更に備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄水処理装置。
  5. 前記マンガン砂ろ過装置の前段に、活性炭処理手段又は凝集処理手段のいずれか1つ以上と、膜ろ過処理手段とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の浄水処理装置。
  6. 前記被処理水中の前記マンガン粒子及び前記マンガンナノ粒子の濃度を測定するためのナノ粒子解析手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の浄水処理装置。
  7. アンモニア態窒素及びマンガンを含む被処理水に次亜塩素酸ナトリウムを注入することと、マンガン砂ろ過層を備えたマンガン砂ろ過装置に前記次亜塩素酸ナトリウム注入後の被処理水を下向流方式で通水することにより前記被処理水中のマンガンを除去することとを含む浄水処理方法であって、
    次亜塩素酸ナトリウム注入後、前記マンガン砂ろ過層と接触させるまでの間に、前記被処理水に新たに生成される粒子径0.1μm以上のマンガン粒子の濃度と粒子径0.1μm未満のマンガンナノ粒子の濃度との合計値が0.015mg/L以下となるように、次亜塩素酸ナトリウム処理条件を調整することを特徴とする浄水処理方法。
  8. 前記次亜塩素酸ナトリウム処理条件を調整することが、以下の関係式(α)及び(β)に基づいて、前記マンガン粒子の濃度(MnP)及び前記マンガンナノ粒子の濃度(MnNP)をそれぞれ算出し、その合計値が0.015mg/L以下となるように、前記次亜塩素酸ナトリウム処理条件を決定することを特徴とする請求項7に記載の浄水処理方法。
    MnP=MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t)) ・・・(α)
    MnNP=0.0836×(MnI×Rt×(0.000292×(AinjCl22−0.002374×AinjCl2+0.004636)×(5.3723×10-6×exp(1.6179×pH)×exp(0.1493×t))) ・・・(β)
    (ここで、MnIは被処理水の2価のマンガンイオン濃度(mg−Mn/L)、tは被処理水の水温(℃)、injCl2は次亜塩素酸ナトリウムの注入率(mg−Cl2/L)、RtはNaClOの接触時間(分)、pHは次亜塩素酸ナトリウム注入後の被処理水のpH(−)を表す。)
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