JP3876808B2 - 窒素化合物含有水の処理装置及び処理方法 - Google Patents

窒素化合物含有水の処理装置及び処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、窒素化合物含有水の処理装置及び処理方法に関し、ことに工場排水や生活排水に含まれ、湖沼等において富栄養化を引き起こす原因物質とされるアンモニア等の窒素化合物を分解除去する窒素化合物含有水の処理装置及び処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、湖沼等において、工場排水及び人口増加に伴う生活排水の流入量の増大により赤潮やプランクトンの異常発生など、環境悪化の問題が生じてきている。このような環境悪化は、湖沼に流れ込むこれら排水に含まれるアンモニア等の窒素化合物により湖沼が富栄養化を生じるためであると考えられ、これら窒素化合物含有水からの窒素化合物の除去が緊急の課題となってきている。
従来の窒素化合物の除去方法としては、例えば、金魚や鯉の養魚槽から排出される汚水に含まれる残餌、糞等の粗い汚れを活性炭等にて構成されるプレフィルターである濾材により濾過除去し、この濾材にて除去されない微細な汚れであるアンモニア等の水溶性有害物質等を中空繊維膜フィルターにて構成される別の濾材にて濾過除去する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、かかる濾材の洗浄再生は、電気分解により次亜ハロゲン酸と活性酸素を生成せしめた用水によって濾材を洗浄することにより行われ、濾材が多量の窒素化合物等を濾過することによりその濾過能力を失した場合に、電気分解により次亜ハロゲン酸と活性酸素を生成せしめた用水により濾材が洗浄再生されるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−43745号公報(第2−4頁、第1図、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の窒素化合物含有水の処理方法における濾材の洗浄再生においては、単に電気分解により次亜ハロゲン酸と活性酸素を生成せしめるだけであり、次亜ハロゲン酸と活性酸素の濃度調整や反応条件の十分なコントロールが行われておらず、不要な次亜ハロゲン酸と活性酸素を生成するという問題、及び、次亜ハロゲン酸と活性酸素の生成効率が必ずしも高くないためコストが増加するという問題があった。
【0005】
この発明に係る窒素化合物含有水の処理装置及び処理方法は、原水中に含まれる窒素化合物を分解するための酸化剤の量を適正値に保持・調整し、不要な酸化剤の生成を防止することにより、若しくは、装置内を循環する液の温度を管理し酸化剤の生成を効率よく行うことにより、窒素化合物含有水の処理コストの低減を図ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る窒素化合物含有水の処理装置は、原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、原水を処理水に変える吸着剤と、吸着剤が充填され、原水を供給する原水供給配管及び処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、酸化剤生成原料から生成される酸化剤により窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、脱窒液生成槽に接続され、脱窒液生成槽に保持された酸化剤生成原料を酸化剤に変える酸化剤生成手段と、吸着槽と脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、吸着槽若しくは原水供給配管若しくは処理水排出配管の少なくともいずれかにおける液体の窒素化合物の量を測定する窒素化合物測定手段と、窒素化合物測定手段にて測定された窒素化合物の量に基づき、酸化剤生成手段に対し、酸化剤の生成量を指示する設定手段とを備えたものである。
【0007】
この発明に係る窒素化合物含有水の処理装置は、原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、原水を処理水に変える吸着剤と、吸着剤が充填され、原水を供給する原水供給配管及び処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、酸化剤生成原料から生成される酸化剤により窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、脱窒液生成槽に接続され、脱窒液生成槽に保持された酸化剤生成原料を酸化剤に変える酸化剤生成手段と、吸着槽と脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管中の、酸化剤若しくは酸化剤生成原料若しくはアルカリ金属類若しくはアルカリ土類金属類の少なくともいずれかの量を測定する測定手段と、測定手段にて測定されたデータに基づき、酸化剤生成手段に対し、酸化剤の生成量を指示する設定手段とを備えたものである。
【0008】
この発明に係る窒素化合物含有水の処理装置は、原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、原水を処理水に変える吸着剤と、吸着剤が充填され、原水を供給する原水供給配管及び処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、酸化剤生成原料から生成される次亜臭素酸または次亜塩素酸により窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、脱窒液生成槽に接続され、脱窒液生成槽に保持された酸化剤生成原料を次亜臭素酸または次亜塩素酸に変える酸化剤生成手段と、吸着槽と脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度を測定する温度測定手段と、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度を調整する温度調整手段と、温度測定手段にて測定された液体温度に基づき、温度調整手段に対し、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度調整方法を指示するデータを送信する設定手段とを備えたものである。
【0009】
この発明に係る窒素化合物含有水の処理方法は、原水に含まれる窒素化合物を吸着剤に吸着させ、原水を処理水に変える窒素化合物吸着工程と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料から酸化剤を生成する酸化剤生成工程と、酸化剤から窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成工程と、脱窒液と吸着剤に吸着させた窒素化合物を反応させることにより、吸着剤より窒素化合物を分解除去し、脱窒液を脱窒排液に変える窒素化合物分解除去工程と、吸着槽若しくは原水供給配管若しくは処理水排出配管の少なくともいずれかにおける液体の窒素化合物の量を測定する窒素化合物測定工程と、窒素化合物測定工程にて測定された窒素化合物の量に応じて、酸化剤生成工程にて生成される酸化剤の量を調整する工程とを備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1は、本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の一例を示す構成説明図である。図中、実線部は各装置、部品と配管を、また、点線は通信回線を示している。以下、図に基づき、かかる処理装置の動作につき説明する。
まず初め、循環配管の一部である脱窒廃液排出配管12に連結するバルブ11を閉じ、処理水排出配管6に連結するバルブ5を開放しておく。次に、ポンプ4を起動し、アンモニア性窒素(窒素化合物)を含む原水を原水供給配管3より吸着槽1に注入し、原水に含まれるアンモニア性窒素を吸着剤2にて吸着する。以上のようにして原水からアンモニア性窒素が除去された後の処理水は、バルブ5を経由して処理水排出配管6から排出される。この時、原水のアンモニア濃度を窒素化合物含有量測定手段を構成する窒素濃度計22で、処理水のアンモニア濃度を窒素化合物含有量測定手段を構成する窒素濃度計21で、また、原水の流量を窒素化合物含有量測定手段を構成する流量計29で測定し、これらの測定値を設定手段を構成する設定器23に送信、保存する。なお、本実施の形態においては、吸着層1として吸着剤2を内蔵した垂直型固定層吸着装置を用いている。
【0011】
上記工程が繰り返されて吸着剤2に所定量のアンモニア性窒素が吸着されると、ポンプ4を停止し、バルブ5を閉じ、バルブ8及びバルブ17を開放し、排水排出配管7を通じて吸着槽1内に残留している、原水と処理水が混合した水を排出する。吸着槽1内の水が全て排出されるとバルブ8及びバルブ17を閉じ、バルブ11を開放し、循環配管の一部である脱窒液供給配管13に連結されたポンプ10を起動し、脱窒液生成槽であるオゾン反応槽14内の脱窒液を吸着槽1に注入する。ここで脱窒液とは、オゾン反応槽14内にて生成される酸化剤(例えば、次亜臭素酸)を含む液で、吸着剤2に吸着されたアンモニア性窒素を分解(脱窒)することのできる液を意味している。また、この脱窒液に含まれる酸化剤は、酸化剤生成手段を構成するオゾン発生器16からオゾン供給配管15を通じてオゾン反応槽14に吹き込まれるオゾンガスと、予めオゾン反応槽14内に溜めておく脱窒原液に含まれるハロゲンイオン等のイオン(例えば、臭素イオン)とが、オゾン反応槽14内にて反応することにより生成される。ここで、脱窒原液とは酸化剤生成の原料(酸化剤生成原料)となるもので、酸化剤が次亜臭素酸の場合には、例えば、臭素酸と水酸化ナトリウムの混合溶液や臭化ナトリウム溶液などが代表例として挙げられる。
【0012】
次に、原水を吸着槽1に通液する工程において測定し設定器23に保存した前述の原水の流量及び原水、処理水のアンモニア濃度を基に、吸着剤2に吸着されたアンモニア性窒素の量を設定器23が算出し、吸着したアンモニア性窒素を窒素ガス変換するために必要最小限の酸化剤量並びに投入方法、即ちオゾン発生器16で発生させるオゾン量及びオゾン反応槽14へのオゾンガス注入方法(オゾン注入量、オゾン注入速度他)を決定する。決定されたオゾンガス注入方法は設定器23からオゾン発生器16へ送信され、送信された方法に基づきオゾン発生器16からオゾン反応槽14へオゾンガスが供給される。これにより、オゾン反応槽14へのオゾンガス過剰投与、即ち酸化剤の過剰生成を防止でき、窒素化合物含有水の処理コストを低減する事ができる。また、酸化剤生成に伴う有害物質の生成が抑制される効果も併せ持つ。
【0013】
なお、脱窒液は吸着槽1を通過すると脱窒廃液となり、脱窒廃液排出配管12から排出される。このとき、吸着剤2に吸着されたアンモニア性窒素は、次亜臭素酸の酸化作用によって無害な窒素ガスと水及び水素イオンに変換され、また、次亜臭素酸も臭素イオンへ変換される。吸着したアンモニア性窒素が窒素ガスに変換されることにより、吸着剤2はアンモニア性窒素の吸着力を取り戻すことになる。さらに、脱窒廃液は、脱窒廃液排出配管12を通じてオゾン反応槽14へ返送され、この脱窒廃液に含まれる臭素イオンがオゾンガスと反応して、次亜臭素酸へと再生されることになる。
【0014】
上記工程が繰り返され、吸着剤2に吸着したアンモニア性窒素が窒素ガスに変換され、吸着剤2の吸着力が回復すると、ポンプ10を停止し、バルブ11を閉じ、バルブ8及びバルブ17を開放し、排水排出配管7を通じて吸着槽1内の液(脱窒液と脱窒廃液の混合液)を排出するとともに、ガス放出配管9を通じて吸着槽1内に蓄積された窒素ガスを外部へと放出する。最後に、吸着槽1内の液が全て排出されるとバルブ8及びバルブ17を閉じ、バルブ5を開放し、原水供給配管3に連結されたポンプ4を起動し、前記した原水を吸着槽1へ導入する。
以上の一連の動作が繰り返されることにより、原水に含まれるアンモニア性窒素が窒素ガスへと変換除去され、アンモニア性窒素を含む原水の無害化処理が行われる。
【0015】
次に、原水の流量及び原水、処理水のアンモニア濃度を基に、オゾン発生器16におけるオゾン発生量を調整する方法につき説明する。
図2は、図1の装置を用いて、次亜臭素酸によりアンモニアを分解処理した場合に要求される次亜臭素酸濃度の経時変化を調べたもので、縦軸は次亜臭素酸要求濃度を、横軸は分解処理時間を示している。ここで次亜臭素酸要求濃度とは、所定の分解処理時間を規定し、所定濃度の次亜臭素酸を供給し、その分解時間経過後に、液中のアンモニア濃度と次亜臭素酸濃度の両方がほぼゼロとなる時に供給された次亜臭素酸の濃度を意味する。
なお、試験にはアンモニア性窒素濃度が100mgN/Lのアンモニア含有水を用い、ポンプ4により10mL/minの流量となるように設定した。また、吸着材にはゼオライト(日東粉化(株)製、日東ゼオライト5号)を用い、吸着槽1に30g充填した。この状態で、1時間(図中aで示した)、2時間(図中bで示した)、4時間(図中cで示した)の3通りの通液時間、アンモニア含有水を吸着槽1に導入し、ゼオライトが3通りのアンモニアの吸着量を有するようにした。この3通りのアンモニア含有量を有するゼオライトに対し、次亜臭素酸含有液を通液し、排出される液中のアンモニア性窒素濃度と次亜臭素酸濃度を測定した。得られた結果を図2に示す。
【0016】
図2の結果より、アンモニア含有水の通液時間、即ちゼオライトに吸着させるアンモニアの量が増加すると、分解処理における初期の次亜臭素酸要求濃度が高くなる事が分かる。また、ゼオライトに吸着しているアンモニアの量に関係無く、分解処理時間の経過に伴って次亜臭素酸要求濃度が減少する事も分かる。以上のことから、次亜臭素酸要求濃度CHBrOは、次式(1)に示したように、ゼオライトに吸着させるアンモニア量QNH3と分解処理時間treから推測できる
HBrO = f (QNH3,re) (1)
かかる式(1)を設定器23に記憶させておき、測定された原水の流量及び原水、処理水のアンモニア濃度からゼオライトに吸着させるアンモニア量を計算し、所定の分解処理時間を規定することにより次亜臭素酸要求濃度が計算され、オゾン発生器16におけるオゾン発生量が決定されることになる。
【0017】
なお、ここでは、次亜臭素酸量の調整方法として、オゾン発生器16におけるオゾン発生量を調整する方法を用いたが、脱窒原液の臭素イオン濃度、オゾン発生器16へ供給するガスの酸素濃度やガス流量、オゾン発生器16からオゾン反応槽14へ供給されるオゾンガス流量、オゾン反応槽14での臭素イオンとオゾンの接触時間などを調整する方法を用いても同様の効果が得られる。
また、流量計29は原水供給配管3に設置したが、かかる流量計29の設置位置としては吸着槽内を流れる流量が分る場所であれば特に制限されることはなく、吸着槽1や処理水ライン6に設置しても同様の効果が得られる。
【0018】
また、本実施の形態においては、原水供給配管3に設置した窒素濃度計22及び流量計29、処理水排出配管6に設置した窒素濃度計21を用いて測定する窒素濃度によって吸着材2に吸着させるアンモニア量を算出したが、かかる窒素濃度は必ずしも2箇所で測定することは必要ではなく、どちらか一方の窒素濃度計のみを用いた窒素含有量の測定が可能である。例えば、原水のアンモニア濃度がほぼ一定である時は、作業者などが原水のアンモニア濃度を測定し、予め設定器23に値を設定すればよく、かかる場合には窒素濃度計22は不要となる。また、処理水のアンモニア濃度がほぼ一定、かつ、原水の流量がほぼ一定の場合には、作業者などが処理水のアンモニア濃度を測定し、予め設定器23に値を設定すればよく、かかる場合には窒素濃度計21が不要となる。
【0019】
さらに、ここでは、原水及び処理水のアンモニア濃度を測定する手段として、窒素濃度計を用いたが、アンモニア濃度が測定できるものであれば特に制限されることはなく、例えば、アンモニア電極計、吸光度計などを用いることが可能である。
【0020】
また、吸着槽1として垂直型固定層吸着装置を用いたが、かかる固定層吸着装置としては水平型でもラジアルフロー型でも良い。また、かかる吸着手段としては、固定層吸着装置ではなく、交流式や直交流(十字流)式の移動層吸着装置、流動層吸着装置等を使用しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0021】
また、本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置は、窒素化合物がアンモニア性窒素もしくはアンモニウム塩類もしくはアンモニア構造類似物またはこれらの混合物である場合にも用いることができ、かかるアンモニウム塩類としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウムイオンと他成分からなる塩が代表例として挙げられ、かかるアンモニア構造類似物としては、アンモニア及びアンモニウムイオンの水素基Hが他物質に置換された物、例えば、ブロラミン(NH2Br、NHBr2、NBr3)やTMAH(N(CH34OH)等が代表例として挙げられる。
【0022】
また、吸着剤2としてはアンモニア性窒素を吸着する性質を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、無機系吸着剤を用いることができ、かかる無機系吸着剤としてはゼオライト、活性炭、イオン交換性樹脂のいずれかまたはこれらの組み合わせが挙げられ、具体的には、珪酸アルミウム系化合物、珪酸アンモニウム塩類、斜プチロル沸石やモルデン沸石などの沸石、粘土類鉱物、クリプチロライトやモルデナイト、モンモリロナイト、セピオナイト、ベントナイト、イライトなどのシリカアルミナ鉱物、酸化カルシウムや炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、凝灰岩、ドロマイト石灰、石灰などのカルシウム類、活性コークス、強酸性イオン交換樹脂や弱酸性イオン交換樹脂などの無機イオン交換剤、マグネシア系吸着剤、活性炭、木炭、酸性白土、ジルコニウム系ファインセラミックス等及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
なお、ここでは脱窒液に含まれる酸化剤として次亜臭素酸を用いたが、かかる酸化剤としてはアンモニア性窒素を窒素ガス化できる酸化剤であれば特に制限されることはなく、例えば、次亜塩素酸でもよい。酸化剤として次亜塩素酸を用いた場合には、脱窒液に含まれる酸化剤原料は塩素イオンを含む物質であれば良く、例えば、塩化ナトリウム等を用いることができる。
また、脱窒液にナトリウムイオンを生成するナトリウム化合物や、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンを生成する化合物が含まれている場合には、脱窒液の脱窒効果がさらに向上し、好適である。
【0024】
以上、本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置によれば、原水のアンモニア濃度を窒素濃度計22で、処理水のアンモニア濃度を窒素濃度計21で、また、原水の流量を流量計29で測定することにより吸着剤2に吸着されたアンモニア性窒素の量を算出し、このアンモニア性窒素の量に適合するようオゾン発生器16におけるオゾン発生量を調整し、次亜臭素酸要求濃度の変化に沿うようにオゾン反応槽14で生成する次亜臭素酸量を調整することで、不要な酸化剤(次亜臭素酸)の生成を防止し、窒素化合物含有水の処理コストの低減を図ることができる。また、不要な酸化剤(次亜臭素酸)の生成が防止されることから、毒性が高く、外部流出すると環境汚染の原因となる酸化剤の外部流出の恐れが抑制され、安全性の高い窒素化合物含有水の処理装置が実現される。
【0025】
実施の形態2
図3は、本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成の一例を示した図で、かかる処理装置は、図1に示した装置構成を基本とし、図1に示したオゾン反応槽14とオゾン発生器16の代わりに酸化剤生成原料である脱窒原液を保持した電解槽18が設けられた点において異なる。従って、本実施の形態においては、電解槽18が脱窒液生成槽及び酸化剤生成手段に相当し、電解槽18にて脱窒原液を電気分解することにより酸化剤及び脱窒液が生成される。
【0026】
かかる処理装置の動作は、基本的には図1に開示した装置の動作と同じである。但し、窒素濃度計21、22及び流量計29の測定値を基に設定器23が算出、設定した必要最小限の酸化剤量、並びに投入方法が、電解層18へ伝達される点で、図1に開示した装置と異なる。この場合、酸化剤生成量の調整は、電解槽18内の電流密度の調整により行うことができ、例えば、電解槽18の電極間隔の調整、電極面積の調整、電極枚数の調整、電解槽18への印加する電圧値の調整、電解槽18へ投入する電流量の調整により行うことができる。
かかる装置構成とすることで、図1の装置同様、不要な酸化剤の生成を防止し、窒素化合物含有水の処理コストの低減を図るとともに、有害物質の外部流失を抑制することができる。
【0027】
実施の形態3
図4は、本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の一例を示す図である。かかる処理装置は、図1の装置構成を基本構成としたもので、図1の原水ライン3に設置された窒素濃度計22及び流量計29、処理水ライン6に設置された窒素濃度計21、これらの測定値を送信、保存する設定器23に変えて、脱窒廃液ライン12に設置された次亜臭素酸濃度計24、窒素濃度計25、及びこれらの測定値を受信しオゾン発生器16へ信号を発信する制御器(設定手段)26を有する点において異なる。
【0028】
かかる処理装置においては、脱窒廃液の次亜臭素酸濃度が次亜臭素酸濃度計24で、また、アンモニア性窒素濃度が窒素濃度計25で測定され、これらの測定値が設定手段を構成する制御器26に伝達される。制御器26においては、予め次亜臭素酸とアンモニア性窒素の濃度閾値が決められており、次亜臭素酸濃度が閾値を越えるとオゾン生成量を低下させる信号を、また、アンモニア性窒素濃度が閾値を越えると、制御器26からオゾン生成量を増加させる信号がオゾン発生器16へと発信され、脱窒液の次亜臭素酸量が調整される。ここで、脱窒廃液の次亜臭素酸濃度が増加することは、脱窒対象のアンモニア性窒素に対して次亜臭素酸を過剰投与していることを意味し、また、脱窒廃液のアンモニア性窒素濃度が増加することは、脱窒対象のアンモニア性窒素に対して次亜臭素酸が不足している事を意味する。しかしながら、脱窒廃液ライン12に設置された次亜臭素酸濃度計24、窒素濃度計25、及びこれらの測定値を受信しオゾン発生器16へ信号を発信する制御器26を有する構成とすることで、オゾン反応槽14へのオゾンガス過剰投与、即ち次亜臭素酸の過剰生成を防止でき、窒素化合物含有水の処理コストを低減することが可能となる。
【0029】
本実施の形態においては、脱窒廃液排出配管12に設置した次亜臭素酸濃度計24及び窒素濃度計25で測定する次亜臭素酸濃度及び窒素濃度によってオゾン生成量を制御したが、必ずしも両者を測定する必要はなく、例えば、脱窒廃液のアンモニア濃度が閾値以下となる条件で装置を稼動させる場合では、窒素濃度計25が不要となり、また、装置の性能により、脱窒廃液の次亜臭素酸濃度が閾値以下となる条件で装置を稼動させる場合には次亜臭素酸濃度計24が不要となる。
【0030】
また、次亜臭素酸量の調整方法として、オゾン発生器16におけるオゾン発生量を調整する方法を用いたが、脱窒原液の臭素イオン濃度、オゾン発生器16へ供給するガスの酸素濃度やガス流量、オゾン発生器16からオゾン反応槽14へ供給されるオゾンガス流量、オゾン反応槽14における臭素イオンとオゾンの反応時間などを調整する方法によっても同様の効果が得られる。
【0031】
また、本実施の形態においては、次亜臭素酸濃度計24を用いて脱窒廃液の次亜臭素酸濃度を測定したが、脱窒液原料である臭素イオンの濃度を測定し、これより次亜臭素酸濃度を算出してもよい。また、酸化剤として次亜塩素酸を用いる場合には次亜塩素酸濃度計を用いることも可能である。さらに、脱窒廃液のpHや酸化還元電位を測定し、この測定値から次亜臭酸濃度を推定してもよい。
【0032】
本実施の形態においては、酸化剤生成手段としてオゾン反応槽14とオゾン発生器16の組み合わせを採用したが、酸化剤生成手段はかかる組み合わせに制限されることはない。例えば、電解槽18を酸化剤生成手段として採用することも可能である。図5は、電解槽18を酸化剤生成手段として採用した場合の構成説明図である。かかる装置においては、次亜臭素酸濃度計24と窒素濃度計25の測定値を受けて制御器26から発信される信号は、電解層18へ伝達される。また、酸化剤生成量の調整手段としては、電解槽18内の電流密度の調整が考えられ、その手段としては、例えば、電解槽18の電極間隔の調整、電解槽18の電極面積の調整、電解槽18の電極枚数の調整、電解槽18への加電圧の調整、電解槽18への荷電流の調整等が考えられる。
【0033】
本実施の形態においては、図1の装置に適用する場合について述べたが、図3の装置に、脱窒廃液排出配管12に設置した次亜臭素酸濃度計24、窒素濃度計25、及びこれらの測定値を受信しオゾン発生器16へ信号を発信する制御器26からなる構造を加えることも可能で、図3に示した装置で得られる効果に加えて上記と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0034】
以上、本実施の形態にかかる窒素化合物含有水の処理装置においては、次亜臭素酸濃度計24、窒素濃度計25の測定値を受信しオゾン発生器16へ信号を発信する制御器26を有する構成とすることで、オゾン反応槽14へのオゾンガス過剰投与を防止でき、不要な酸化剤の生成を防止し、窒素化合物含有水の処理コストの低減を図ることができる。また、不要な酸化剤の生成が防止されることから、毒性が高く、外部流出すると環境汚染の原因となる酸化剤の外部流出の恐れが抑制され、安全性の高い窒素化合物含有水の処理装置が実現される。
【0035】
実施の形態4
図6は、本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の一例を示す図である。かかる処理装置は、図1の装置構成を基本構成としたもので、図1の原水供給配管3に設置された窒素濃度計22及び流量計29、処理水排出配管6に設置された窒素濃度計21、これらの測定値を送信、保存する設定器23に変えて、脱窒液ライン13に設置したナトリウムイオン濃度計27と流量計29、及びこの測定値を受信しオゾン発生器16へ信号を発信する設定器(設定手段)28を有する構成において異なる。
【0036】
かかる装置においては、脱窒液のナトリウムイオン濃度がナトリウム濃度計27にて、また、脱窒液流量が流量計29にて測定され、この測定値が設定手段を構成する設定器28に伝達される。設定器28においては、伝達された前記測定値を基に吸着剤3に吸着したアンモニア性窒素を窒素ガス変換するために必要最小限の酸化剤量、並びに投入方法が決定され、この決定事項がオゾン発生器16へ伝達される。かかる装置構成とすることで、オゾン反応槽14へのオゾンガス過剰投与、即ち酸化剤の過剰生成を防止でき、コストを低減する事ができる。また、酸化剤生成時に副生成する危険性がある有害物質の生成を抑制する効果も併せ持つ。
【0037】
図7、図8は、図6に示す構造の窒素化合物含有水処理装置を用いて、次亜臭素酸でアンモニアを分解処理した場合の次亜臭素酸要求濃度(所定の分解時間を設定し、所定濃度の次亜臭素酸を供給し、その分解時間経過後に、液中のアンモニア濃度と次亜臭素酸濃度の両方がほぼゼロとなる時に供給された次亜臭素酸の濃度)の経時変化を調べたもので、縦軸は次亜臭素酸要求濃度を、横軸は分解処理時間を示している。試験にはアンモニア性窒素濃度が100mgN/Lのアンモニア含有水を用い、ポンプ4により10mL/minの流量となるように設定して吸着槽1に導入した。吸着槽1にはゼオライト(日東粉化(株)製、日東ゼオライト5号)を30g充填した。また、アンモニア含有水の通液時間は1時間とし、ゼオライトに吸着させるアンモニアの量を一定とした。次にアンモニアを吸着したゼオライトに対し、ナトリウムイオンと次亜臭素酸を含む脱窒液を通液し、排出される液中のアンモニア性窒素濃度と次亜臭素酸濃度を測定した。なお、脱窒液流量を10mL/min、脱窒液のナトリウムイオン濃度を100mg/L(図中aで示した)、1g/L(図中bで示した)、10g/L(図中cで示した)、100g/L(図中dで示した)とした4通りの試験を行った。得られた結果を図7に示す。また、脱窒液のナトリウムイオン濃度を10g/L、脱窒液流量を3mL/min(図中aで示した)、5mL/min(図中bで示した)、10mL/min(図中cで示した)、20mL/min(図中dで示した)とした4通りの試験も同時に実施した。得られた結果を図8に示す。
【0038】
図7の結果から、脱窒液中のナトリウムイオン濃度が増加すると、分解処理の初期における次亜臭素酸要求濃度が高くなることが分かる。また、脱窒液のナトリウム濃度に関係無く、分解処理時間の経過に伴って次亜臭素酸要求濃度が減少する事も分かる。
また、図8の結果から、脱窒液流量が減少すると、分解処理の初期における次亜臭素酸要求濃度が高くなることが分かる。また、脱窒液流量に関係無く、分解処理時間の経過に伴って次亜臭素酸要求濃度が減少する事も分かる。
【0039】
以上のことから、次亜臭素酸要求濃度CHBrOは、次式(2)に示したようにナトリウムイオン濃度CNa、脱窒液流量Q、分解処理時間treから推測できる。
HBrO = f (Ca,,re) (2)
かかる式(2)を設定器28に記憶させておき、測定されたナトリウムイオン濃度と所定の分解処理時間を決定することにより次亜臭素酸要求濃度を計算し、オゾン発生器16におけるオゾン発生量を調整することになる。
【0040】
なお、ナトリウムイオン濃度計27を脱窒液供給配管3に設置したが、ナトリウムイオン濃度計27を設置する位置は装置内を循環する液に含まれるナトリウムイオン濃度が測定できる場所であれば特に制限されることはなく、ナトリウムイオン濃度計27を吸着槽1、オゾン反応槽14、脱窒廃液排出配管12に設置してもよい。
また、流量計29を脱窒液供給配管3に設置したが、流量計29を設置する位置は装置内を循環する液の流量が測定できる場所であれば特に制限されることはなく、流量計29を吸着塔1、脱窒廃液排出配管12に設置してもよい。
【0041】
また、本実施の形態においては、ナトリウムイオン濃度計27と流量計29で測定する値によってオゾン生成量を制御したが、装置内を循環する液のナトリウムイオン濃度が一定であれば、作業者などがナトリウムイオン濃度を測定し、予め設定器28に値を設定すればよく、ナトリウムイオン濃度計27は不要となる。なお、循環液の流量がほぼ一定の場合には、作業者などが脱窒液の流量を測定し、予め設定器28に流量を設定することで、流量計29が不要となる。
【0042】
また、次亜臭素酸の量を調整する方法として、オゾン発生器16におけるオゾン発生量を調整する方法を用いたが、脱窒原液の臭素イオン濃度、オゾン発生器16へ供給するガスの酸素濃度やガス流量、オゾン発生器16からオゾン反応槽14へ供給されるオゾンガス流量、オゾン反応槽14での臭素イオンとオゾンの接触時間などを調整する方法によっても同様の効果が得られる。
【0043】
さらに、図6に示した装置においては、酸化剤生成手段としてオゾン反応槽14とオゾン発生器16の組み合わせを採用したが、酸化剤生成手段はかかる構成に制限されることはない。例えば、電解槽18を酸化剤生成手段として用いることができる。図9に、電解槽18を酸化剤生成手段として採用した場合の装置構成を示す。この場合、ナトリウムイオン濃度計27と流量計29の測定値から設定器28が設定した必要最小限の酸化剤量及び投入方法は、電解層18へ伝達される。なお、酸化剤生成量の調整方法としては、電解槽18内の電流密度を調整する方法が考えられ、具体的には、電解槽18の電極間隔の調整、電解槽18の電極面積の調整、電解槽18の電極枚数の調整、電解槽18へ印加する電圧の調整、電解槽18への荷電流の調整等が挙げられる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、図1に示す装置に適用した場合について述べたが、脱窒液ライン13に設置したナトリウムイオン濃度計27とナトリウムイオン濃度計27にて測定されたナトリウムイオン濃度を受信しオゾン発生器16へ信号を発信する設定器28からなる構成を、図3〜図5に示す装置に適用することも可能であり、かかる装置構成を加えることで、図3〜図5に示した装置で得られる効果に加えて上記と同様の効果が得られる。
【0045】
以上、本実施の形態における窒素化合物含有水の処理装置においては、脱窒液ライン13に設置したナトリウムイオン濃度計27とナトリウムイオン濃度計27にて測定されたナトリウムイオン濃度を受信しオゾン発生器16へ信号を発信する設定器28を設けたことで、オゾン発生器16におけるオゾン発生量を調整し、次亜臭素酸要求濃度の変化に沿うようにオゾン反応槽14で生成する次亜臭素酸量を調整することで、次亜臭素酸の過剰生成を抑制でき、窒素化合物含有水の処理コストの低減を図るとともに、有害物質の外部流失を抑制することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態1から4においては、原水供給配管若しくは処理水排出配管を流れる窒素化合物の含有量を測定する窒素化合物含有量測定手段、若しくは循環配管を流れる液体の酸化剤の含有量を測定する酸化剤含有量度測定手段、若しくは酸化剤生成原料の含有量を測定する酸化剤生成原料含有量測定手段、若しくはアルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類の含有量を測定するアルカリ含有量測定手段を1つ有した装置構成につき説明したが、これら測定手段は複数組合せて用いることも可能で、2つ以上の測定手段を組合せた場合には、酸化剤の制御条件がより正確になり、不要な酸化剤の生成がさらに精度良く抑制され、窒素化合物含有水の処理におけるランニングコストが低下すると共に、有害物質の外部流出の恐れがさらに減少するという効果を有する。
【0047】
実施の形態5
図10に示した装置は、図1の装置構成を基本とし、図1の原水ライン3に設置された窒素濃度計22及び流量計29、処理水ライン6に設置された窒素濃度計21、これらの測定値を送信、保存する設定器23に変えて、脱窒液供給配管13に設置した温度計(温度測定手段)31、温度調整器(温度調整手段)32及び温度計31の測定値を受信し温度調整器32へ信号を発信する設定器(設定手段)33を持つ有する点において異なる。
かかる装置においては、脱窒液の温度を温度測定手段を構成する温度計31で測定し、この測定値が設定手段を構成する設定器33に伝達される。設定器33では、予め入力されている温度設定値と測定値を比較することにより温度調整方法が決定され、これが温度調整手段を構成する温度調整器32に伝達される仕組みとなっている。
【0048】
図11は、図10に示した窒素化合物含有水処理装置を用いて、次亜臭素酸でアンモニアを分解処理した場合にアンモニア分解に要求される時間と脱窒液温度の関係を調べたものである。図中、縦軸はアンモニアが完全に分解されるまでの時間を、横軸は脱窒液温度を示している。
【0049】
試験は以下の手順で行った。アンモニア含有水のアンモニア性窒素濃度は100mgN/Lとし、ポンプ4により10mL/minの流量となるように設定して吸着槽1に導入した。吸着槽1にはゼオライト(日東粉化(株)製、日東ゼオライト5号)を30g充填した。なお、アンモニア含有水の通液時間は1時間とし、ゼオライトに吸着させるアンモニアの量を一定とした。次に、アンモニア含有水通液後、ナトリウムイオンと次亜臭素酸を含む脱窒液を吸着槽1にポンプ10により10mL/minで10分間通液した。この時、脱窒液の次亜臭素酸濃度は10mg/L、ナトリウムイオン濃度を1g/Lで一定とし、脱窒液温度は5℃、15℃、35℃、50℃の4条件とした。その後、脱窒液通液後のゼオライトを100g/Lの塩化ナトリウム水溶液を用いて再生し、再生廃液中のアンモニア性窒素濃度を測定して、これより脱窒液通液後までゼオライトに吸着したまま残っていたアンモニアの量、即ち未脱窒アンモニア量を算出した。最後に、吸着させたアンモニアの量と未脱窒アンモニア量の差から、脱窒液の作用で窒素変換されたアンモニア量、即ち脱窒アンモニア量を算出し、これより脱窒速度を求め、吸着させたアンモニアを完全に窒素変換するために必要な脱窒液通液時間を求めた。
【0050】
図11の結果より、アンモニアを完全に分解するために必要な時間は脱窒液温度に依存して異なり、脱窒液温度は低すぎても高すぎても反応効率が悪くなり、約15℃〜35 ℃の温度条件において最短時間でアンモニアを完全分解できる事が分かる。
すなわち、図11に示す構造を有する装置において、脱窒液温度を約15℃〜35℃に調整することで、吸着槽内で生じるアンモニアと次亜臭素酸の反応速度を促進することができ、窒素化合物含有水の処理時間が短縮され、ひいては、窒素化合物含有水の処理コストが低減されることが分かる。
【0051】
また、本実施の形態においては、温度計31、温度調整器32、設定器33を脱窒液供給配管13に配置したが、温度計31、温度調整器32、設定器33の設置場所は脱窒液の温度が調節できる場所であれば特に制限されることはなく、温度計31、温度調整器32、設定器33を吸着槽1の内部やオゾン反応槽14の内部に設置することも可能である。
また、温度計31の測定値によって温度制御を行ったが、装置内を循環する液の温度が予測できる場合は、予め設定器33に液の温度の予測値を設定しておくことも可能で、温度計31は不要となる。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、酸化剤生成手段としてオゾン反応槽14とオゾン発生器16の組み合わせを採用したが、酸化剤生成手段はかかる組み合わせに制限されることはなく、例えば、図12に開示したように、電解槽18を酸化剤生成手段として採用することも可能である。
【0053】
なお、ここでは、図1に示す装置に適用した場合について述べたが、脱窒液供給配管13に設置した、温度計31、温度調整器32、設定器33からなる構成を図3〜図6、図9、図10に示す装置に適用することで、図3〜図6、図9、図10に示した装置で得られる効果に加えて上記と同様の効果が得られる。
さらに、図1の原水ライン3に設置された窒素濃度計22及び流量計29、処理水ライン6に設置された窒素濃度計21、これらの測定値を送信、保存する設定器23は設けられていないが、これらの構成を備えた場合には、図1に示した装置に比べ、構成が複雑化するものの、図1の装置で得られる効果がさらに得られ、好適である。
【0054】
以上、本実施の形態における窒素化合物含有水の処理装置においては、温度計31の測定値を受信し温度調整器32へ信号を発信する設定器33を有する構成とすることで、吸着槽内で生じるアンモニアと次亜臭素酸の反応速度を最適温度に調整することができ、アンモニア処理能力の向上、装置の小型化、ナトリウムイオン消費量の削減という効果が得られる。
【0055】
【発明の効果】
以上、本発明にかかる窒素化合物含有水処理装置によれば、原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、原水を処理水に変える吸着剤と、吸着剤が充填され、原水を供給する原水供給配管及び処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、酸化剤生成原料から生成される酸化剤により窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、脱窒液生成槽に接続され、脱窒液生成槽に保持された酸化剤生成原料を酸化剤に変える酸化剤生成手段と、吸着槽と脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、吸着槽若しくは原水供給配管若しくは処理水排出配管の少なくともいずれかにおける液体の窒素化合物の量を測定する窒素化合物測定手段と、窒素化合物測定手段にて測定された窒素化合物の量に基づき、酸化剤生成手段に対し、酸化剤の生成量を指示する設定手段とを備えているため、窒素化合物の含有量を測定することにより酸化剤生成手段にて生成される酸化剤の量が調整できるため、、窒素化合物を分解するための酸化剤の量を適正値に保持・調整することが可能で、不要な酸化剤の生成を防止した、低コスト、かつ、安全性の高い窒素化合物含有水の処理装置が実現できる。
【0056】
また、本発明にかかる窒素化合物含有水処理装置によれば、原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、原水を処理水に変える吸着剤と、吸着剤が充填され、原水を供給する原水供給配管及び処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、酸化剤生成原料から生成される酸化剤により窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、脱窒液生成槽に接続され、脱窒液生成槽に保持された酸化剤生成原料を酸化剤に変える酸化剤生成手段と、吸着槽と脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管中の、酸化剤若しくは酸化剤生成原料若しくはアルカリ金属類若しくはアルカリ土類金属類の少なくともいずれかの量を測定する測定手段と、測定手段にて測定されたデータに基づき、酸化剤生成手段に対し、酸化剤の生成量を指示する設定手段とを備えているため、酸化剤、若しくは、酸化剤生成原料、若しくは、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類の少なくともいずれかの量を含有量を測定することにより酸化剤生成手段にて生成される酸化剤の量が調整できるため、、窒素化合物を分解するための酸化剤の量を適正値に保持・調整することが可能で、不要な酸化剤の生成を防止した、低コスト、かつ、安全性の高い窒素化合物含有水の処理装置が実現できる。
【0057】
また、本発明にかかる窒素化合物含有水処理装置によれば、原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、原水を処理水に変える吸着剤と、吸着剤が充填され、原水を供給する原水供給配管及び処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、酸化剤生成原料から生成される次亜臭素酸または次亜塩素酸により窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、脱窒液生成槽に接続され、脱窒液生成槽に保持された酸化剤生成原料を次亜臭素酸または次亜塩素酸に変える酸化剤生成手段と、吸着槽と脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度を測定する温度測定手段と、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度を調整する温度調整手段と、温度測定手段にて測定された液体温度に基づき、温度調整手段に対し、吸着槽若しくは脱窒液生成槽若しくは循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度調整方法を指示する設定手段とを備えているため、吸着槽内で生じる窒素化合物と酸化剤の反応速度を促進することができ、窒素化合物含有水の処理時間が短縮されることにより、低コストでの処理を可能とする窒素化合物含有水の処理装置が実現できる。
【0058】
また、本発明にかかる窒素化合物含有水処理方法によれば、原水に含まれる窒素化合物を吸着剤に吸着させ、原水を処理水に変える窒素化合物吸着工程と、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料から酸化剤を生成する酸化剤生成工程と、酸化剤から窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成工程と、脱窒液と吸着剤に吸着させた窒素化合物を反応させることにより、吸着剤より窒素化合物を分解除去し、脱窒液を脱窒排液に変える窒素化合物分解除去工程と、吸着槽若しくは原水供給配管若しくは処理水排出配管の少なくともいずれかにおける液体の窒素化合物の量を測定する窒素化合物測定工程と、窒素化合物測定工程にて測定された窒素化合物の量に応じて、酸化剤生成工程にて生成される酸化剤の量を調整する工程とを備えているため、アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類の含有量、若しくは窒素化合物の含有量、若しくは酸化剤の含有量、若しくは酸化剤生成原料の含有量の少なくともいずれかを測定することにより酸化剤生成手段にて生成される酸化剤の量が調整でき、窒素化合物量を分解するための酸化剤の量を適正値に保持・調整することが可能で、不要な酸化剤の生成を防止した、低コスト、かつ、安全性の高い窒素化合物含有水の処理方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【図2】 アンモニア含有水の分解処理時間と次亜臭素酸要求濃度の関係を示す図である。
【図3】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【図4】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【図5】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【図6】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【図7】 アンモニア含有水の分解処理時間と次亜臭素酸要求濃度の関係を示す図である。
【図8】 アンモニア含有水の分解処理時間と次亜臭素酸要求濃度の関係を示す図である。
【図9】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【図10】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【図11】 アンモニアを完全分解するために必要な時間と脱窒液温度の関係を示す図である。
【図12】 本発明にかかる窒素化合物含有水の処理装置の構成説明図である。
【符号の説明】
1 吸着槽、2 吸着剤、3 原水供給配管、4 ポンプ、5 バルブ、
6 処理水排出配管、7 排水排出配管、8、 バルブ、9 ガス放出配管、
10 ポンプ、11 バルブ、12 脱窒廃液排出配管、
13 脱窒液供給配管、14 オゾン反応槽、15 オゾンガス供給配管、
16 オゾン発生器、17 バルブ、18 電解槽、21 窒素濃度計、
22 窒素濃度計、23 設定器、24 次亜臭素酸濃度計、
25 窒素濃度計、26 制御器、27 ナトリウムイオン濃度計、
28 設定器、29 流量計、31 温度計、32 温度調整器、
33 設定器。

Claims (5)

  1. 原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、前記原水を処理水に変える吸着剤と、
    前記吸着剤が充填され、前記原水を供給する原水供給配管及び前記処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、
    アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、この酸化剤生成原料から生成される酸化剤により前記窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、
    前記脱窒液生成槽に接続され、前記脱窒液生成槽に保持された前記酸化剤生成原料を前記酸化剤に変える酸化剤生成手段と、
    前記吸着槽と前記脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、
    前記吸着槽若しくは前記原水供給配管若しくは前記処理水排出配管の少なくともいずれかにおける液体の前記窒素化合物の量を測定する窒素化合物測定手段と、
    この窒素化合物測定手段にて測定された前記窒素化合物の量に基づき、前記酸化剤生成手段に対し、前記酸化剤の生成量を指示する設定手段とを備えてなる窒素化合物含有水の処理装置。
  2. 原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、前記原水を処理水に変える吸着剤と、
    前記吸着剤が充填され、前記原水を供給する原水供給配管及び前記処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、
    アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、この酸化剤生成原料から生成される酸化剤により前記窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、
    前記脱窒液生成槽に接続され、前記脱窒液生成槽に保持された前記酸化剤生成原料を前記酸化剤に変える酸化剤生成手段と、
    前記吸着槽と前記脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、
    前記吸着槽若しくは前記脱窒液生成槽若しくは前記循環配管中の、前記酸化剤若しくは前記酸化剤生成原料若しくは前記アルカリ金属類若しくはアルカリ土類金属類の少なくともいずれかの量を測定する測定手段と、
    この測定手段にて測定されたデータに基づき、前記酸化剤生成手段に対し、前記酸化剤の生成量を指示する設定手段とを備えてなる窒素化合物含有水の処理装置。
  3. 前記酸化剤が次亜臭素酸または次亜塩素酸である請求項1または2に記載の窒素化合物含有水の処理装置。
  4. 原水に含まれる窒素化合物を吸着除去し、前記原水を処理水に変える吸着剤と、
    前記吸着剤が充填され、前記原水を供給する原水供給配管及び前記処理水を排出する処理水排出配管と接続された吸着槽と、
    アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料を保持し、この酸化剤生成原料から生成される次亜臭素酸または次亜塩素酸により前記窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成槽と、
    前記脱窒液生成槽に接続され、前記脱窒液生成槽に保持された前記酸化剤生成原料を次亜臭素酸または次亜塩素酸に変える酸化剤生成手段と、
    前記吸着槽と前記脱窒液生成槽とをつなぐ循環配管と、
    前記吸着槽若しくは前記脱窒液生成槽若しくは前記循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度を測定する温度測定手段と、
    前記吸着槽若しくは前記脱窒液生成槽若しくは前記循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度を調整する温度調整手段と、
    前記温度測定手段にて測定された前記液体温度に基づき、前記温度調整手段に対し、前記吸着槽若しくは前記脱窒液生成槽若しくは前記循環配管の少なくともいずれかにおける液体の温度調整方法を指示する設定手段とを備えてなる窒素化合物含有水の処理装置。
  5. 原水に含まれる窒素化合物を吸着剤に吸着させ、前記原水を処理水に変える窒素化合物吸着工程と、
    アルカリ金属類及び/またはアルカリ土類金属類を含む酸化剤生成原料から酸化剤を生成する酸化剤生成工程と、
    前記酸化剤から前記窒素化合物を分解するための脱窒液を生成する脱窒液生成工程と、
    前記脱窒液と前記吸着剤に吸着させた前記窒素化合物を反応させることにより、前記吸着剤より前記窒素化合物を分解除去し、前記脱窒液を脱窒排液に変える窒素化合物分解除去工程と、
    前記吸着槽若しくは前記原水供給配管若しくは前記処理水排出配管の少なくともいずれかにおける液体の前記窒素化合物の量を測定する窒素化合物測定工程と、
    この窒素化合物測定工程にて測定された前記窒素化合物の量に応じて、前記酸化剤生成工程にて生成される前記酸化剤の量を調整する工程とを備えてなる窒素化合物含有水の処理方法。
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