以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
(射出成形機)
図1は、一実施形態による射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態による射出成形機の型締時の状態を示す図である。図1および図2において、X方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直な方向である。型開閉方向はX方向である。型締装置が横型である場合、X方向およびY方向は水平方向、Z方向は鉛直方向である。図1および図2において、図3〜図6などに示す中間金型支持枠および中間金型の図示を省略する。図1〜図2に示すように、射出成形機は、型締装置100と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700とを有する。以下、射出成形機の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1および図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1および図2中左方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置10の型閉、型締、型開を行う。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型11が取付けられる。
可動プラテン120は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型12が取付けられる。
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型11と可動金型12とで金型装置10が構成される。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110がフレームFrに対し固定され、トグルサポート130がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレームFrに対し固定され、固定プラテン110がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられる。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。各リンク群は、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152および第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152および第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152および第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に金型装置10の内部にキャビティ空間が形成され、射出装置300がキャビティ空間に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させる。その後、金型装置10から成形品が取り出される。
型閉工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(速度の切替位置、型閉完了位置、型締位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。尚、クロスヘッド151の速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置10の交換や金型装置10の温度変化などにより金型装置10の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば型閉完了の時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
尚、本実施形態では、ねじナット182がトグルサポート130に対し回転自在に保持され、ねじ軸181が形成されるタイバー140が固定プラテン110に対し固定されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ねじナット182が固定プラテン110に対し回転自在に保持され、タイバー140がトグルサポート130に対し固定されてもよい。この場合、ねじナット182を回転させることで、間隔Lを調整できる。
また、ねじナット182がトグルサポート130に対し固定され、タイバー140が固定プラテン110に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー140を回転させることで、間隔Lを調整できる。
さらにまた、ねじナット182が固定プラテン110に対し固定され、タイバー140がトグルサポート130に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー140を回転させることで間隔Lを調整できる。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
尚、本実施形態の型厚調整機構180は、間隔Lを調整するため、タイバー140に形成されるねじ軸181とねじ軸181に螺合されるねじナット182とを有するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、型厚調整機構180は、タイバー140の温度を調節するタイバー温調器を有してもよい。タイバー温調器は、各タイバー140に取付けられ、複数本のタイバー140の温度を連携して調整する。タイバー140の温度が高いほど、タイバー140は熱膨張によって長くなり、間隔Lが大きくなる。複数本のタイバー140の温度は独立に調整することも可能である。
タイバー温調器は、例えばヒータなどの加熱器を含み、加熱によってタイバー140の温度を調節する。タイバー温調器は、水冷ジャケットなどの冷却器を含み、冷却によってタイバー140の温度を調節してもよい。タイバー温調器は、加熱器と冷却器の両方を含んでもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。竪型の型締装置は、下プラテン、上プラテン、トグルサポート、タイバー、トグル機構、および型締モータなどを有する。下プラテンと上プラテンのうち、いずれか一方が固定プラテン、残りの一方が可動プラテンとして用いられる。下プラテンには下金型が取付けられ、上プラテンには上金型が取付けられる。下金型と上金型とで金型装置が構成される。下金型は、ロータリーテーブルを介して下プラテンに取付けられてもよい。トグルサポートは、下プラテンの下方に配設され、タイバーを介して上プラテンと連結される。タイバーは、上プラテンとトグルサポートとを型開閉方向に間隔をおいて連結する。トグル機構は、トグルサポートと下プラテンとの間に配設され、可動プラテンを昇降させる。型締モータは、トグル機構を作動させる。型締装置が竪型である場合、タイバーの本数は通常3本である。尚、タイバーの本数は特に限定されない。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中右方向)を後方として説明する。
射出装置300は、フレームFrに対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。射出装置300は、金型装置10にタッチし、金型装置10内のキャビティ空間に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(図1および図2中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置10内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、充填工程、保圧工程、計量工程などを行う。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。
保圧工程では金型装置10内のキャビティ空間の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中右方向)を後方として説明する。
移動装置400は、金型装置10に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置10に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型11に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型11から離間される。
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、図1〜図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、型閉工程や型締工程、型開工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。また、制御装置700は、型締工程の間に、計量工程や充填工程、保圧工程などを行う。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも呼ぶ。
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた操作画面を表示する。
操作画面は、射出成形機の設定などに用いられる。操作画面は、複数用意され、切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。
(射出吹込み成形)
図3は、一実施形態による型締装置の型開完了時の状態を示す図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、一実施形態による型締装置の型締時の状態を示す図である。図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。
型締装置100は、例えば、固定プラテン110と可動プラテン120との間に配設される中間金型支持枠510と、固定プラテン110に対し中間金型支持枠510を移動させることで、中間金型支持枠510で支持される中間金型21を移動させる中間金型移動装置520とを有する。また、型締装置100は、中間金型支持枠510で支持される中間金型21を回転させる金型回転モータ570を有する。さらに、型締装置100は、可動金型12を構成する第1割型16と第2割型17とを開閉する割型開閉装置580を有する。
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定されてよい。固定プラテン110の金型取付面には固定金型11が取付けられる。固定金型11は、図6に示すように、中間金型21と協働して射出成形用のキャビティ空間を形成する凹型部31を複数有する。射出成形用の凹型部31はZ方向に6つ並ぶことで列を形成し、その列はY方向に間隔をおいて2つ設けられる。尚、射出成形用の凹型部31の数は特に限定されない。
可動プラテン120は、フレームFrに敷設されるガイド101に沿って進退自在とされる。可動プラテン120の金型取付面には、可動金型12が取り付けられる。可動金型12は、例えば第1割型16と第2割型17とを有する。第1割型16と第2割型17とは、閉じた状態で、図6に示すように、中間金型21と協働して吹込み成形用のキャビティ空間を形成する凹型部32を複数有する。吹込み成形用の凹型部32がZ方向に6つ並ぶことで列を形成し、その列は一組の第1割型16と第2割型17とで形成され、第1割型16と第2割型17の組はY方向に間隔をおいて2つ設けられる。尚、吹込み成形用の凹型部32の数は特に限定されない。
中間金型支持枠510は、固定プラテン110と可動プラテン120との間に配設され、可動プラテン120とは独立にガイド101に沿って進退自在とされる。中間金型支持枠510は、中間金型21を回転自在に支持する。
中間金型支持枠510は、型開閉方向視で四角枠状に形成される。中間金型支持枠510の4つの角部には中間金型支持枠510をX方向に貫通する貫通穴が形成され、その貫通穴にタイバー140が挿し通される。中間金型支持枠510は、タイバー140に沿って進退自在とされる。
中間金型支持枠510は、それぞれがZ方向に延びる一対の柱部511と、一対の柱部511のZ方向両端部を連結する一対の梁部512(図7参照)とを有する。一対の柱部511は、それぞれのZ方向中央部において、回転軸513を回転自在に支持する軸受514を保持する。回転軸513の軸方向はY方向とされ、回転軸513には中間金型21が固定され、中間金型21は回転軸513と共に回転する。
中間金型21は、回転軸513の軸方向視(Y方向視)で板状に形成される板状部22と、板状部22の一の主面に設けられる第1凸型部23と、板状部22の残りの主面に設けられる第2凸型部24とを有する。第1凸型部23と、第2凸型部24とは、板状部22を挟んで対称に配設される。第1凸型部23は、射出成形用の凹型部31や吹込み成形用の凹型部32と同数設けられる。同様に、第2凸型部24は、射出成形用の凹型部31や吹込み成形用の凹型部32と同数設けられる。
第1凸型部23が射出成形用の凹型部31と向かい合うとき、第2凸型部24が吹込み成形用の凹型部32と向かい合う。また、第1凸型部23が吹込み成形用の凹型部32と向かい合うとき、第2凸型部24が射出成形用の凹型部31と向かい合う。中間金型21が180°回転させられる度に、向かい合う金型の組合わせが変わる。
尚、本実施形態では凸型部が中間金型21に設けられ、凹型部が固定金型11および可動金型12に設けられるが、凸型部と凹型部の配置は逆でもよい。つまり、凸型部が固定金型11および可動金型12に設けられ、凹型部が中間金型21に設けられてもよい。
中間金型移動装置520は、中間金型支持枠510をX方向に移動させることで、中間金型21をX方向に移動させる。中間金型移動装置520は、図4および図6に示すように、中間金型移動ポンプ530、中間金型移動モータ540、中間金型移動シリンダ550などを含む。中間金型移動ポンプ530、中間金型移動モータ540および中間金型移動シリンダ550は、2組設けられる。尚、中間金型移動ポンプ530および中間金型移動モータ540は、2つの中間金型移動シリンダ550に共通のものでもよく、1つずつ設けれられてもよい。
中間金型移動ポンプ530は、第1ポート531と、第2ポート532とを有する。中間金型移動ポンプ530は、両方向回転可能なポンプであり、中間金型移動モータ540の回転方向を切り替えることにより、第1ポート531および第2ポート532のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、中間金型移動ポンプ530はタンクから作動液を吸引して第1ポート531および第2ポート532のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
中間金型移動モータ540は、中間金型移動ポンプ530を作動させる。中間金型移動モータ540は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで中間金型移動ポンプ530を駆動する。中間金型移動モータ540は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
中間金型移動シリンダ550は、シリンダ本体551、ピストン552、およびピストンロッド553を有する。ピストンロッド553は、シリンダ本体551からX方向に延びて、先端部において中間金型支持枠510の柱部511のZ方向中央部に固定される。シリンダ本体551は、固定プラテン110に対して固定される。ピストン552は、シリンダ本体551の内部を、第1室としての前室555と、第2室としての後室556とに区画する。
中間金型移動シリンダ550の前室555は、第1流路521を介して、中間金型移動ポンプ530の第1ポート531と接続される。第1ポート531から吐出された作動液が第1流路521を介して前室555に供給されることで、中間金型支持枠510が後方に押される。これにより、中間金型支持枠510が後退し、中間金型21が固定金型11から離間される。
一方、中間金型移動シリンダ550の後室556は、第2流路522を介して中間金型移動ポンプ530の第2ポート532と接続される。第2ポート532から吐出された作動液が第2流路522を介して中間金型移動シリンダ550の後室556に供給されることで、中間金型支持枠510が前方に押される。これにより、中間金型支持枠510が前進し、中間金型21が固定金型11に押し付けられる。
固定金型11に対する中間金型21のX方向位置は、例えばリニアエンコーダ560(図3および図5参照)で検出する。リニアエンコーダ560は、X方向に延びるリニアスケール561と、リニアスケール561に対する変位量を検出するリニアヘッド562とを含む。リニアスケール561は前端部において固定プラテン110に対し固定され、リニアヘッド562は中間金型支持枠510に対し固定される。リニアスケール561とリニアヘッド562の配置は逆でもよく、リニアスケール561は後端部において中間金型支持枠510に対し固定され、リニアヘッド562は固定プラテン110に対し固定されてもよい。リニアヘッド562は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、本実施形態では中間金型移動装置520は中間金型移動シリンダ550を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、中間金型移動シリンダ550の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を中間金型支持枠510の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
金型回転モータ570は、中間金型支持枠510に支持される中間金型21を回転させる。金型回転モータ570は、例えば中間金型支持枠510の柱部511に設けられる。金型回転モータ570の出力軸に設けられる駆動歯車571と、回転軸513に設けられる受動歯車572とが噛み合わされる。駆動歯車571と受動歯車572とで減速機573が構成される。金型回転モータ570の回転運動は、減速機573を介して回転軸513に伝達される。尚、減速機573の構成は特に限定されない。また、金型回転モータ570の回転運動は、ベルトやプーリを介して回転軸513に伝達されてもよい。
金型回転モータエンコーダ574は、中間金型21の回転角を検出する回転角検出器として機能する。金型回転モータエンコーダ574は、金型回転モータ570の出力軸の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。制御装置700は、中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角(例えば0°または180°)になるように金型回転モータ570のサーボ制御を行う。中間金型21を180°回転させるとき、金型回転モータ570の出力軸は180°よりも大きく回転してよい。中間金型21の回転角は、金型回転モータ570の出力軸の回転角と、減速比などから求められる。
割型開閉装置580は、可動金型12を構成する第1割型16と第2割型17とを開閉する。割型開閉装置580は、例えば可動プラテン120に設けられる一対の液圧シリンダ590を含む。一対の液圧シリンダ590は、可動プラテン120のZ方向中央部に、Y方向に間隔をおいて対称に配設される。一対の液圧シリンダ590は、互いに向かい合うように設けられる。
各液圧シリンダ590は、可動プラテン120に固定されるシリンダ本体591と、シリンダ本体591からY方向に延びるピストンロッド593とを有する。一のピストンロッド593の先端部は、第1連結部材594で連結される複数の第1割型16のうちの1つに固定される。他の一のピストンロッド593の先端部は、第2連結部材595で連結される複数の第2割型17のうちの1つに固定される。各液圧シリンダ590を作動させると、第1割型16と第2割型17の開閉が行われる。
次に、上記構成の型締装置100の動作について説明する。型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程、割型開閉工程、中間金型回転工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型12を固定金型11に対し接近させる。このとき、中間金型移動装置520は、中間金型支持枠510を前進させ、中間金型21を固定金型11に対し接近させる。可動金型12が中間金型21と接触すると共に、中間金型21が固定金型11と接触する。
続いて型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。図6では、固定金型11の凹型部31と中間金型21の第1凸型部23との間に、射出成形用のキャビティ空間が形成されている。また、図6では、可動金型12の凹型部32と中間金型21の第2凸型部24との間に、吹込み成形用のキャビティ空間が形成されている。
射出成形用のキャビティ空間では、成形材料が充填され、プリフォーム2が射出成形される。一方、吹込み成形用のキャビティ空間では、予め射出成形用のキャビティ空間で射出成形されたプリフォーム2が圧縮空気の圧力で膨らみ、成形品4がブロー成形される。プリフォーム2を膨らませる圧縮空気は中間金型21から噴射されるので、ブロー成形された成形品4は中間金型21から離れる。プリフォーム2の射出成形と、成形品4のブロー成形とは同時に行われる。
続いて型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型12を固定金型11に対し離間させる。このとき、中間金型移動装置520は、中間金型支持枠510を後退させ、中間金型21を固定金型11に対し離間させる。可動金型12が中間金型21から離間すると共に、中間金型21が固定金型11から離間する。この間、中間金型21は、ブロー成形前のプリフォーム2を保持している。
続いて割型開閉工程では、割型開閉装置580は、第1割型16と第2割型17とを開く。その後、可動金型12の内部から成形品4が取り出されると、割型開閉装置580は、第1割型16と第2割型17とを閉じる。
続いて中間金型回転工程では、金型回転モータ570を駆動して中間金型21を180°回転させる。これにより、射出成形用の凹型部31および吹込み成形用の凹型部32と向かい合う、第1凸型部23と第2凸型部24の組合せが変わる。中間金型21を180°回転させる間、中間金型21はブロー成形前のプリフォーム2を保持している。
尚、中間金型回転工程は、割型開閉工程と同時に行われてもよいし、割型開閉工程の前に行われてもよい。中間金型回転工程は、型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に行われればよい。
その後、制御装置700は、型閉工程、型締工程、型開工程、割型開閉工程、中間金型回転工程などを繰り返し行う。
図7は、一実施形態による位置決め機構を示す図であって、中間金型支持枠の一部を破断して示す図である。位置決め機構600は、中間金型21を所定の回転角(例えば0°と180°)で回り止めする。
位置決め機構600は、例えば中間金型支持枠510の梁部512に設けられる伸縮シリンダ610を含む。伸縮シリンダ610は、空気圧シリンダまたは油圧シリンダで構成される。伸縮シリンダ610は、梁部512に固定されるシリンダ本体611と、シリンダ本体611からZ方向に延びるピストンロッドで構成される位置決めピン613とを有する。
伸縮シリンダ610を作動させると、位置決めピン613がZ方向に移動する。位置決めピン613を中間金型21の端面に形成される位置決め穴25に挿し込むことで、中間金型21の回り止めがなされる。また、位置決めピン613を中間金型21の位置決め穴25から引き抜くことで、中間金型21の回り止めが解除される。
位置決め穴25は、開口部に形成されるテーパ穴部26と、テーパ穴部26の最深部から延びるストレート穴部27とを有する。テーパ穴部26は、表面からの深さが深くなるほど、径が小さくなるように形成される。ストレート穴部27は、位置決めピン613よりも僅かに大きい直径を有する。位置決めピン613は、テーパ穴部26を通り、ストレート穴部27に挿し込まれる。
尚、位置決め機構600は、本実施形態では中間金型支持枠510に設けられるが、中間金型21に設けられてもよい。この場合、シリンダ本体611は中間金型21に固定され、位置決めピン613が挿し込まれる位置決め穴25は中間金型支持枠510の内周面に形成される。
また、位置決め機構600は、本実施形態では空気圧シリンダや油圧シリンダなどの流体圧シリンダを含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、流体圧シリンダの代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を位置決めピン613の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
図8は、一実施形態による制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。図8に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
制御装置700は、例えば、中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角(例えば0°または180°)になるように中間金型21を回転させるサーボ制御部711と、位置決め機構600による中間金型21の回り止めの実行および解除を行う回り止め処理部712と有する。また、制御装置700は、中間金型21の回り止めを実行している状態で、中間金型21の回転角の検出値を補正する検出値補正部713をさらに有する。サーボ制御部711は、検出値補正部713の検出値の補正に基づき中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角になるように中間金型21を回転させる。
中間金型21の回転角を検出する回転角検出器としては、例えば金型回転モータエンコーダ574が用いられる。金型回転モータエンコーダ574は、金型回転モータ570の出力軸の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。中間金型21の回転角は、金型回転モータ570の出力軸の回転角と、減速比などから求められる。
図9は、一実施形態による制御装置の処理を示すフローチャートである。図9に示すステップS101以降の処理は、中間金型回転工程の開始条件が成立したときに開始される。中間金型回転工程の開始条件は、例えばクロスヘッド151が型開完了位置に戻っていることなどを含む。
ステップS101では、回り止め処理部712が位置決めピン613を位置決め穴25から引き抜き、中間金型21の回り止めを解除する。
続いてステップS102では、サーボ制御部711が金型回転モータ570を駆動して中間金型21を回転させる。
続いてステップS103では、サーボ制御部711が中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角(例えば0°または180°)であるか否かを判定する。
ステップS103において中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角に達していない場合(ステップS103、No)、ステップS102に戻り、ステップS102以降の処理を続行する。
一方、ステップS103において中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角に達している場合(ステップS103、Yes)、ステップS104に進み、サーボ制御部711が中間金型21の回転を停止させる。
続いてステップS105では、サーボ制御部711の処理を解除して、金型回転モータ570の出力軸を回転自在とする。
続いてステップS106では、回り止め処理部712が中間金型21の位置決め穴25に位置決めピン613を挿し込む。中間金型21の位置決め穴25と位置決めピン613との位置が僅かにずれている場合、位置決めピン613がテーパ穴部26のテーパ面を押すことで、中間金型21が回転する。予めステップS105において金型回転モータ570の出力軸を回転自在としてあるため、ステップS106において金型回転モータ570が中間金型21の回転を妨げることを防止できる。位置決めピン613は、テーパ穴部26を通り、ストレート穴部27に挿し込まれる。
続いてステップS107では、位置決めピン613の挿し込みの完了から所定時間待機する。位置決めピン613の挿し込み完了からの経過時間は、制御装置700のタイマーなどで計測する。判定に用いる所定時間は、位置決めピン613の挿し込みによって生じる中間金型21の回転振動が減衰する時間などを予め試験で計測し、その計測結果に基づき定められる。
続いてステップS108では、検出値補正部713が中間金型21の回転角の検出値を補正する。例えば、検出値補正部713は、中間金型21の回転角の検出値を、所定の回転角(例えば0°および180)のうち最も近い回転角に補正する。予めステップS107において位置決めピン613の挿し込み完了から所定時間待機するので、位置決めピン613の挿し込みによる中間金型21の回転振動を減衰させたうえで、ステップS108において中間金型21の回転角の検出値を補正でき、回転角の検出値を回転角の真値に正確に合わせることができる。
その後、制御装置700は、今回の処理を終了し、中間金型回転工程の開始条件が再び成立するまで待機する。次回以降の処理において、サーボ制御部711は、検出値補正部713の検出値の補正に基づき中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角になるように中間金型21を回転させる。よって、回転角の検出値と回転角の真値とのずれを吸収でき、回転角の検出値の誤差が積み上がることを抑制できる。尚、仮に回転角の検出値の誤差が積み上がると、最終的に位置決めピン613の位置決め穴25への挿し込みができなくなり、中間金型21の回り止めができなくなる。
尚、本実施形態では、中間金型21の回転角の検出値を補正するステップS108は、位置決めピン613を挿し込むステップS106の後に行われるが、位置決めピン613を引き抜くステップS101の前に行われてもよい。
また、本実施形態では、中間金型回転工程が行われる度に、毎回、中間金型21の回転角の検出値を補正するが、本発明はこれに限定されない。例えば、中間金型回転工程が複数回行われる度に、中間金型21の回転角の検出値を補正してもよい。
図10は、一実施形態による回転角の検出値と回転角の真値との関係を示す図である。検出値は誤差を含むため、検出値と真値との間にズレが生じることがある。図10では、検出値の変化量に比べて真値の変化量が小さい場合について説明する。図10(a)は、回転角の検出値が0°であって、且つ、回転角の真値が0°である状態を示す図である。図10(b)は、回転角の検出値が180°であって、且つ、回転角の真値が180°−Δθ1である状態を示す図である。図10(c)は、回転角の真値が180°であって、且つ回転角の検出値が180°+Δθ1から180°に補正されるときの状態を示す図である。図10(d)は、回転角の検出値が0°であって、且つ、回転角の真値が0°−Δθ1である状態を示す図である。
図10(a)に示すように回転角の検出値が0°の状態から、図10(b)に示すように回転角の検出値が180°の状態まで中間金型21を回転させるとき、回転角の真値が180°−Δθ1になることがある。
続いて、図10(c)に示すように位置決めピン613が位置決め穴25に挿し込まれると、回転角の真値が180°になる一方、回転角の検出値は180°+Δθ1になる。本実施形態では、回転角の真値が180°であるときに、回転角の検出値が180°+Δθ1から180°に補正される。その後、位置決めピン613が位置決め穴25から抜き出される。
次に、図10(d)に示すように回転角の検出値が0°の状態まで中間金型21を回転させるとき、回転角の検出値は180°変化させられる。その検出値の変化量に比べて真値の変化量はΔθ1小さい。
そのため、図10(d)において回転角の真値は、0°−Δθ1になる。図10(d)に示す状態から位置決めピン613が位置決め穴25に挿し込まれると、回転角の真値が0°になる一方、回転角の検出値は0°+Δθ1になる。本実施形態では、回転角の真値が0°であるときに、回転角の検出値が0°+Δθ1から0°に補正される。その後、位置決めピン613が位置決め穴25から抜き出される。
尚、図10では検出値の変化量に比べて真値の変化量が小さい場合について説明したが、検出値の変化量に比べて真値の変化量が大きい場合も当然に生じうる。この場合も、位置決めピン613が位置決め穴25に挿し込まれるときに、回転角の検出値の補正が行われてよい。
以上説明したように、検出値補正部713は、中間金型21の回り止めを実行している状態で、中間金型21の回転角の検出値を補正する。よって、回転角の検出値と回転角の真値とのずれを吸収でき、回転角の検出値の誤差が積み上がることを抑制できる。尚、仮に回転角の検出値の誤差が積み上がると、最終的に位置決めピン613の位置決め穴25への挿し込みができなくなり、中間金型21の回り止めができなくなる。
また、検出値補正部713は、サーボ制御部711の処理を解除して金型回転モータ570の出力軸を回転自在とし且つ中間金型21の回り止めを実行している状態で、中間金型21の回転角の検出値を補正する。サーボ制御部711による中間金型21の回転と位置決め機構600による中間金型21の回り止めとによる負荷の発生を抑制でき、金型回転モータ570や中間金型21、位置決め機構600の損傷を抑制できる。
さらに、検出値補正部713は、サーボ制御部711の処理を解除して金型回転モータ570の出力軸を回転自在とし且つ中間金型21の回り止めを実行してから所定時間の経過後に、中間金型21の回転角の検出値を補正する。よって、位置決めピン613の挿し込みによる中間金型21の回転振動を減衰させたうえで、中間金型21の回転角の検出値を補正でき、回転角の検出値を回転角の真値に正確に合わせることができる。
さらにまた、中間金型21の回転角の検出値が所定の回転角になると、サーボ制御部711の処理が解除され、金型回転モータ570の出力軸が回転自在とされたうえで、回り止め処理部712が中間金型21の回り止めを実行する。中間金型21の位置決め穴25と位置決めピン613との位置が僅かにずれている場合、位置決めピン613の挿し込みによって中間金型21が回転する。例えば、位置決めピン613がテーパ穴部26のテーパ面を押すことで、中間金型21が回転する。予め金型回転モータ570の出力軸を回転自在とするので、金型回転モータ570が中間金型21の回転を妨げることを防止できる。
(変形および改良)
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
中間金型21の回転軸513の軸方向は、上記実施形態ではY方向とされるが、Z方向とされてもよく、特に限定されない。
中間金型21は、上記実施形態では固定金型11と可動金型12の間に配設されるが、2つの可動金型の間に配設されてもよく、特に限定されない。
中間金型21の回り止めを行う中間金型21の回転角は、上記実施形態では0°および180°であるが、0°、90°、180°および270°であってもよい。中間金型21の回り止めを行う中間金型21の回転角の数および値は、特に限定されない。
図11は、他の一実施形態による金型装置の型締時の状態を示す図である。図11において、一点鎖線は型開完了時の状態を示す。図11に示す金型装置10Aは、中間金型21A、ならびに中間金型21Aを挟むように設けられる第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aを有する。
中間金型21Aは、図1などに示すフレームFrに対し、進退不能に且つ回転自在に支持される。中間金型21Aは回転軸513Aと共に回転する。回転軸513Aの軸方向はZ方向とされる。
中間金型21Aは、回転軸513Aの軸方向視で正方形に形成されるブロック部22Aと、ブロック部22Aの4面に設けられる凸型部23Aを有する。凸型部23Aは回転対称に設けられ、その回転対称は4回対称である。凸型部23Aは、Z方向に複数並ぶことで列を形成してよい。その列の数は、図11では1つであるが、複数でもよい。
中間金型21AをX方向に挟むように、第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aが設けられる。第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aを中間金型21Aに接近させることで、型閉および型締が行われる。また、第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aを中間金型21Aから離間させることで、型開が行われる。
第1可動金型11Aは、中間金型21Aと協働して第1キャビティ空間を形成する凹型部31Aを有する。凹型部31Aは、Z方向に複数並ぶことで列を形成してよい。その列は、Y方向に間隔をおいて複数設けられてもよい。
同様に、第2可動金型12Aは、中間金型21Aと協働して第2キャビティ空間を形成する凹型部32Aを有する。凹型部32Aは、Z方向に複数並ぶことで列を形成してよい。その列は、Y方向に間隔をおいて複数設けられてもよい。第1キャビティ空間と、第2キャビティ空間とは、同じ形状、同じ寸法を有してよい。
中間金型21A、第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aで金型装置10Aが構成される。以下、金型装置10Aの型閉工程、型締工程、型閉工程、および中間金型回転工程について説明する。
型閉工程では、第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aを中間金型21Aに向けて接近させ、第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aを中間金型21Aに接触させる。
続いて型締工程では、第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aで中間金型21Aを締め付け、型締力を発生させる。第1可動金型11Aと中間金型21Aの間に第1キャビティ空間が形成されると共に、第2可動金型12Aと中間金型21Aの間に第2キャビティ空間が形成される。射出装置300は、中間金型21Aに形成されるスプルーやランナーなどを介して、第1キャビティ空間と第2キャビティ空間の両方に成形材料を同時に充填し、成形品を成形する。
続いて型開工程では、第1可動金型11Aと第2可動金型12Aを中間金型21Aから離間させる。このとき、成形品は、中間金型21Aに保持されている。
続いて中間金型回転工程では、中間金型21Aを90°回転させ、中間金型21Aに保持されている成形品を取出機900Aと向い合わせる。取出機900Aは、中間金型21Aを挟むようにY方向に間隔をおいて設けられている。
その後、再び、型閉工程および型締工程が行われ、第1キャビティ空間と第2キャビティ空間の両方において成形品が成形される。この間、取出機900Aは、中間金型21Aに保持されている成形品を受け取り、射出成形機の外部に取り出す。このように、成形品の成形と、成形品の取り出しとを同時に行うことで、成形サイクル時間を短縮できる。
ところで、中間金型21Aは、90°回転する度に、位置決め機構600によって回り止めされる。位置決め機構600は、中間金型21を所定の回転角(0°、90°、180°および270°)で回り止めする。
そこで、検出値補正部713は、中間金型21Aの回り止めを実行している状態で、中間金型21Aの回転角の検出値を補正する。よって、回転角の検出値と回転角の真値とのずれを吸収でき、回転角の検出値の誤差が積み上がることを抑制できる。
また、検出値補正部713は、サーボ制御部711の処理を解除して金型回転モータ570の出力軸を回転自在とし且つ中間金型21Aの回り止めを実行している状態で、中間金型21Aの回転角の検出値を補正する。サーボ制御部711による中間金型21Aの回転と位置決め機構600による中間金型21Aの回り止めとによる負荷の発生を抑制でき、金型回転モータ570や中間金型21A、位置決め機構600の損傷を抑制できる。
さらに、検出値補正部713は、サーボ制御部711の処理を解除して金型回転モータ570の出力軸を回転自在とし且つ中間金型21Aの回り止めを実行してから所定時間の経過後に、中間金型21Aの回転角の検出値を補正する。よって、位置決めピン613の挿し込みによる中間金型21Aの回転振動を減衰させたうえで、中間金型21Aの回転角の検出値を補正でき、回転角の検出値を回転角の真値に正確に合わせることができる。
さらにまた、中間金型21Aの回転角の検出値が所定の回転角になると、サーボ制御部711の処理が解除され、金型回転モータ570の出力軸が回転自在とされたうえで、回り止め処理部712が中間金型21Aの回り止めを実行する。中間金型21Aの位置決め穴25と位置決めピン613との位置が僅かにずれている場合、位置決めピン613の挿し込みによって中間金型21Aが回転する。例えば、位置決めピン613がテーパ穴部26のテーパ面を押すことで、中間金型21Aが回転する。予め金型回転モータ570の出力軸を回転自在とするので、金型回転モータ570が中間金型21Aの回転を妨げることを防止できる。
尚、図11では、第1キャビティ空間と第2キャビティ空間は同じ形状および同じ寸法を有し、第1キャビティ空間と第2キャビティ空間において同じ成形品が成形されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2キャビティ空間は第1キャビティ空間よりも大きく、第1キャビティ空間では1次成形品が成形され、第2キャビティ空間では予め第1キャビティ空間で成形された1次成形品の上に2次成形品が成形されてもよい。1次成形品と2次成形品とで構成される完成品は、取出機900Aによって取出される。この場合、1次成形品の成形と、2次成形品の成形と、完成品の取り出しとを同時に行うことができ、成形サイクル時間を短縮できる。この場合、取出機900Aは、中間金型21AのY方向片側にのみ設けられてもよい。
また、図11では、凸型部が中間金型21Aに設けられ、凹型部が第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aに設けられるが、凸型部と凹型部の配置は逆でもよい。つまり、凸型部が第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aに設けられ、凹型部が中間金型21Aに設けられてもよい。
また、図11では、中間金型21Aが型開閉方向に移動不能な固定金型であって、中間金型21Aを挟むように第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aとが設けられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、中間金型21Aは型開閉方向に移動する可動金型であってもよく、この場合、第1可動金型11Aおよび第2可動金型12Aのいずれか一方が型開閉方向に移動不能な固定金型とされてもよい。
また、中間金型21や中間金型21Aは、一方向に回転され、所定の回転角で回り止めされることを繰り返すが、回り止めの前後で、回転方向が反転してもよい。中間金型21や中間金型21Aは、回転方向が反転する反転型でもよい。反転型は、例えば180°回転する度に、回転方向が反転してよい。