JP6843654B2 - 電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真装置に関する。
近年、有機電子写真感光体(以下、「電子写真感光体」と称する)上に当接するよう配置された帯電部材(接触帯電部材)に電圧を印加し、電子写真感光体を帯電する接触帯電方式を採用した電子写真装置が普及している。
特に、ローラー状の帯電部材である帯電ローラーを用い、帯電ローラーを電子写真感光体の表面に当接させ、これに直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することにより電子写真感光体の帯電を行う方式(AC/DC接触帯電方式)、あるいは、これに直流電圧のみの電圧を印加することにより電子写真感光体の帯電を行う方式(DC接触帯電方式)が主流となっている。
AC/DC接触帯電方式は直流電源および交流電源が必要となるため、DC接触帯電方式の場合に比べて、電子写真装置自体のコストアップを招く、電子写真装置のサイズが大きくなるという課題がある。したがって、電子写真装置のコスト削減および小型化を考慮すると、DC接触帯電方式がより好ましいといえる。
また電子写真装置が有する電子写真感光体として、支持体上に、下引き層、および感光層を有するものが広く使用されている。下引き層には、電気特性の安定化、画質画像欠陥の抑制などを目的として、金属酸化物粒子と共に有機化合物を添加することが行われている。
特許文献1には、電子写真感光体の下引き層に金属酸化物とともにアントラキノン化合物などのアクセプター性化合物を含有させる技術が開示されている。前記アクセプター性化合物は、特に、金属酸化物と反応可能な基を有することが好ましく、下引き層にアクセプター性を付与することで、ゴースト現象、かぶり等の画像欠陥が抑制されることが開示されている。さらに特許文献2には、電子写真感光体の下引き層に、金属酸化物粒子と、ヒドロキシ基またはアミノ基を有するベンゾフェノン化合物とを含有させることで、ゴースト現象を抑制する技術が開示されている。このような置換基を有する有機化合物は、金属酸化物と相互作用することで、下引き層中の金属酸化物粒子あるいは感光層から下引き層への電子の授受をスムーズにしていると推測される。
特開2006−221094号公報 特開2013−137518号公報
上記、下引き層に特定のベンゾフェノン化合物を含有させてゴースト現象を抑制する技術に対し、本発明者らがさらに検討したところ、良好なゴースト特性を維持したまま、さらに、高温高湿環境下に置かれ吸湿した場合の繰り返し使用における電気特性をより優れたものに改善できる余地があることが分かった。
本発明の目的は、DC接触帯電方式を備えた電子写真装置において、ゴースト現象を抑制しつつ、高温高湿環境下で電子写真感光体が吸湿した場合でも、繰り返し使用における電気特性が良好な電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することにある。
本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および直流電圧のみを印加することにより該電子写真感光体を帯電する帯電手段、を有する電子写真装置であって、
該電子写真感光体が、支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有し、
該下引き層が
(α)金属酸化物粒子
(β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、および、
(γ)下記式(2)で示される化合物
を含有することを特徴とする電子写真装置である。
(式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、ヒドロキシ基である。)
(式(2)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。Aは、炭素数2以上4以下のアルケニル基を示す。)
さらに本発明は、支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
該製造方法が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって該下引き層を形成する工程を有し、
該下引き層用塗布液が、
(α)金属酸化物粒子
(β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、
(γ)下記式(2)で示される化合物、および、
(δ)水
を含有し、該下引き層用塗布液中の水の含有量が、該下引き層用塗布液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
(式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、ヒドロキシ基である。)
(式(2)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。Aは、炭素数2以上4以下のアルケニル基を示す。)
本発明によれば、DC接触帯電方式を備えた電子写真装置において、ゴースト現象を抑制しつつ、高温高湿環境下で電子写真感光体が吸湿した場合でも、繰り返し使用における電気特性が良好な電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真装置が有する電子写真感光体の層構成の1例を示す図である。 本発明の電子写真装置の1例を示す図である。
本発明の電子写真装置が有する電子写真感光体は、下引き層が少なくとも(α)、(β)、および(γ)を含有する。
(α)は、金属酸化物粒子である。本発明に係る金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等、金属酸化物であればいずれの酸化物でも良い。これらの金属酸化物は、塗布液の分散性、電子写真感光体の電気特性の面から、表面処理を施されていることが好ましい。金属酸化物としては、電気特性の面から酸化処理された酸化亜鉛が特に好ましい。また、本発明に係る金属酸化物粒子は、金属酸化物種の異なるもの、表面処理の異なるもの、または比表面積の異なるもの等の2種類以上を混合して用いることもできる。
(β)は、下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物である。
(式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、ヒドロキシ基である。)
上記(β)を、金属酸化物粒子と共に下引き層に含有させることで、繰り返し使用における電気特性が安定化し、かつゴースト現象が抑制され、出力画像における画像欠陥の発生が抑制される。
以下に、上記(β)(式(1)で示されるベンゾフェノン化合物)の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、式(1)中のR〜R10の少なくとも3つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物が金属酸化物粒子との相互作用の観点から好ましい。また、式(1)中のR〜R10のうちの隣り合う2つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物が金属酸化物粒子との相互作用の点から好ましい。
下引き層中の(β)の量は、下引き層中の金属酸化物粒子に対して0.1質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.1質量%未満であると、金属酸化物粒子との相互作用が十分でなく、4.0質量%を超えると下引き層用塗布液の安定性が低下するため好ましくない。
(γ)は、下記式(2)で示される化合物である。
(式(2)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。Aは、炭素数2以上4以下のアルケニル基を示す。)
上記(γ)を、(α)金属酸化物粒子、および上記(β)と共に下引き層に含有させることで、高温高湿環境下で吸湿した場合でも繰り返し使用における電気特性が安定化する。この効果が得られるメカニズムは明らかではないが、本発明者らは、上記(γ)が、金属酸化物粒子と直接作用する、または上記(β)の金属酸化物粒子との相互作用を高めるためと推測している。たとえば、上記(γ)が金属酸化物粒子への上記(β)の配位を阻害する物質を捕捉することで、上記(β)が金属酸化物に配位しやすくなり、その結果、吸湿による環境変動に対してより安定になるのではないかと推測している。
以下に、(γ)(式(2)で示される化合物)の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、式(2)中のAが、1−プロペニル基である式(2−3)の化合物が特に好ましい。
下引き層中の(γ)の量は、下引き層中の上記(β)の量に対して1.0質量%以上15質量%以下であることが好ましい。1.0質量%未満であると、効果が十分でなく、15質量%を超えると、下引き層用塗布液の安定性が低下するため好ましくない。
なお、下引き層に上記(γ)で示される化合物を含有することは、ヘッドスペースガスクロマトグラフ/質量分析などにより確認することができる。
次に、本発明の電子写真装置が有する電子写真感光体について述べる。本発明に係る電子写真感光体は、例えば図1に示すように、支持体と感光層の間に下引き層を有する。図1中、101は支持体であり、102は下引き層であり、103は感光層である。
該感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とを単一の層に含有する単層型感光層、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに機能分離した機能分離型(積層型)感光層のいずれの構成を有してもよい。電子写真特性の点では、機能分離型(積層型)が好ましく、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した機能分離型(積層型)がより好ましい。また、感光層上にさらに保護層を設けてもよい。
[支持体]
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましい。支持体としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄といった金属又は合金で形成されている支持体を用いることが可能である。ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスといった絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金等の金属の薄膜で形成した支持体、又は酸化インジウム、酸化スズといった導電性材料の薄膜で形成した支持体が挙げられる。
支持体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化といった電気化学的な処理、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、又は切削処理を施してもよい。
支持体と下引き層との間には、像露光に使用するレーザー光の干渉により発生する干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆などを目的として、導電層を設けてもよい。
導電層は、例えば、カーボンブラック、導電性顔料、抵抗調節顔料などを結着樹脂とともに分散処理することによって得られる導電層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、導電層用塗布液には、加熱、紫外線照射、放射線照射などにより硬化重合する化合物を添加してもよい。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがさらにより好ましい。
[下引き層]
支持体と感光層(電荷発生層)との間には、上記下引き層が設けられる。
下引き層を形成する方法は、まず(α)、(β)、(γ)、および結着樹脂を含有する下引き層用塗布液を調製し、該下引き層用塗布液の塗膜を形成する。この塗膜を加熱乾燥させることにより下引き層を形成することができる。また下引き層用塗布液は、(α)、(β)、および(γ)で示される化合物を溶剤とともに分散処理して得られる分散液に、結着樹脂を溶解させた液を加え、さらに分散処理して得られる下引き層用塗布液としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層に含有させる結着樹脂としては、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン樹脂が好ましい。
下引き層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族化合物などの有機溶剤が挙げられる。
下引き層には、さらに、有機樹脂粒子、レベリング剤を含有させてもよい。
下引き層の膜厚は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上40μm以下であることがより好ましい。
さらに、支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法は、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって該下引き層を形成する工程を有し、該下引き層用塗布液が、(α)金属酸化物粒子、(β)式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、(γ)式(2)で示される化合物、および、(δ)水を含有する。
この下引き層用塗布液中において、水の含有量が、該下引き層用塗布液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
[感光層]
下引き層上には、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)が形成される。
本発明に用いられる電荷発生物質としてはアゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、スクワリリウム色素、チアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、アントアントロン顔料、ピラントロン顔料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素などが挙げられる。
これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これら電荷発生物質の中でも、感度の観点から、フタロシアニン顔料やアゾ顔料が好ましく、フタロシアニン顔料がより好ましい。
フタロシアニン顔料の中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンは優れた電荷発生効率を示す。さらに、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも、感度の観点から、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θが7.4°±0.3°および28.2°±0.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶がより好ましい。
積層型感光層である場合、電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂が挙げられる。
これらの中でも、特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
電荷発生物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷発生物質が0.3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
積層型感光層を有する電子写真感光体において、電荷発生層上には、電荷輸送層が形成される。
本発明で用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、電荷の移動度の観点から、トリアリールアミン化合物が好ましい。
積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。これらは、単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷輸送物質が0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、電荷輸送層のクラックを抑制する観点から、乾燥温度は60℃以上150℃以下が好ましく、80℃以上120℃以下がより好ましい。また、乾燥時間は10分以上60分以下が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
電子写真感光体の電荷輸送層が1層である場合、その電荷輸送層の膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、8μm以上30μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層を積層構成とした場合(例えば、第1電荷輸送層、第2電荷輸送層)、支持体側の電荷輸送層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましく、表面側の電荷輸送層の膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
また、本発明においては、感光層上に、該感光層を保護し、耐摩耗性やクリーニング性の向上などを目的として、保護層を設けてもよい。
保護層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
保護層に用いられる樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーなどが挙げられる。
また、保護層に電荷輸送能を持たせるために、電荷輸送能を有するモノマー材料や高分子型の電荷輸送物質を種々の架橋反応を用いて硬化させることによって保護層を形成してもよい。好ましくは、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合または架橋させることによって硬化させた層を形成することである。連鎖重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アルコキシシリル基、エポキシ基などが挙げられる。硬化させる反応としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法、光CVD法などが挙げられる。
保護層の膜厚は0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましい。また、保護層には、導電性粒子などを必要に応じて添加することもできる。
また、電子写真感光体の最表面層(電荷輸送層または保護層)には、シリコーンオイル、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素などの潤滑剤を含有させてもよい。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
[電子写真装置]
次に、電子写真装置について述べる。本発明の電子写真装置は、少なくとも、電子写真感光体、および該電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および直流電圧のみを印加することにより前記電子写真感光体を帯電する帯電手段を有する。
帯電ローラーは、一般的に、芯金、芯金上に形成された弾性層および弾性層上に形成された抵抗層(表面層)を有するものが一般的である。抵抗層は、帯電ローラー全体の抵抗を調整するために設けられる。
弾性層は、例えば、ブタジエン系ゴム、ヒドリンゴム、EPDM、ウレタンゴムなどの弾性体中に、金属酸化物(TiOなど)、カーボンブラックなどの導電性粒子を分散させて形成することができる。
抵抗層(表面層)は、例えば、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムなどのゴムや、アクリル系樹脂、フッ化樹脂などのバインダー成分に、カーボンブラック、酸化スズなどの導電性粒子を分散させて形成することができる。
また、帯電ローラーの表面に付着した汚れ(トナーやその成分である外添剤、電子写真感光体の削れ粉など)を除去するために、帯電ローラー用のクリーニング部材を設けてもよい。
帯電ローラー用のクリーニング部材は、帯電ローラーの回転に対して従動で回転するようにしてもよいし、回転駆動系を用いて回転させてもよい。
帯電ローラー用のクリーニング部材は、接地(アース)してもよいし、電圧を印加してもよい。
帯電ローラー用のクリーニング部材の形状としては、例えば、ブラシ状(クリーニングブラシ)、ローラー状(クリーニングローラー)、ブレード状(クリーニングブレード)などが挙げられる。
図2に、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた、本発明の電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、円筒状(ドラム状)の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、前述した帯電手段および帯電ローラー3により、その表面(周面)が正または負に帯電される。次いで、電子写真感光体1の表面には、露光手段(像露光手段)(不図示)から出力される露光光(像露光光)4が照射される。露光光4は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調される。露光手段としては、スリット露光やレーザービーム走査露光などが挙げられる。こうして電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、トナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により転写材7に転写される。ここで、転写材7が紙である場合、給紙部(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に給送される。また、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写手段は、一次転写部材、中間転写体および二次転写部材を有する中間転写方式の転写手段であってもよい。
トナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離され、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によってクリーニングされ、転写残トナーなどの付着物が除去される。転写残トナーは、現像手段などで回収することもできる。さらに、必要に応じて、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10の照射により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
電子写真感光体1、帯電ローラー3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9などから選択される構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとしてもよい。また、プロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在とする構成であってもよい。例えば、電子写真感光体1と、帯電ローラー3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持してカートリッジ化する。そして、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
〈合成例〉
本発明の電子写真装置が有する電子写真感光体の下引き層が含有する(β)の代表的な合成例を以下に示す。
下記反応式(1)で示される反応により合成を行った。
三つ口フラスコに窒素導入管、内温計などを装着した。塩化ベンゾイル14.0部、三塩化アルミニウム20.0部、ジクロロメタン100部を、フラスコ内で窒素置換をしながら、メカニカルスターラーを用いて撹拌した。次に、ピロガロール/ジクロロメタン(12.6部/50部)溶液をゆっくり滴下し、窒素置換をしながらさらに室温で撹拌し6時間反応させた。
次に、希塩酸を含む氷水に反応液を滴下し、分液ロートを用いて有機層と水層を分離し、得られた有機層をさらに水洗浄を行った。有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水を行った。硫酸マグネシウムを除去後、有機層を濃縮して目的物の粗生成物を得た。得られた粗生成物に対し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー精製を行い、目的物である式(1−9)で示される化合物を得た。収量は16.1部、収率は69.9%であった。
このようにして合成した化合物を用いて、以下の実施例に示すように電子写真感光体を製造し評価を行った。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
〈電子写真感光体の製造例〉
(製造例D1)
(酸化亜鉛粒子の表面処理)
酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学社製)0.8部を添加し、6時間攪拌させた。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、前記表面処理された酸化亜鉛粒子80部と、式(1−9)で示される化合物0.8部と、式(2−3)で示される化合物の1%メチルエチルケトン溶液1.6部と、ポリオール樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部と、硬化剤としてブロックイソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化バイエルウレタン(株)製)15部をメチルエチルケトン72部と1−ブタノール72部の混合液に溶解した溶液とを、混合した。
この混合液を直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)製)5.6部を分散液に加えて攪拌し、下引き層用塗布液を得た。
この下引き層用塗布液を支持体(導電性支持体)としての直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、これを40分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記構造式(A)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル600部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.21μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(B)で示される化合物60部(電荷輸送物質)、下記構造式(C)で示される化合物30部(電荷輸送物質)、下記構造式(D)で示される化合物10部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、下記構造式(E)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.02部を、o−キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
次に、以下の手順にしたがって、電荷輸送層上に保護層用塗布液を塗布した。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を上記溶解液に加えた混合液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。その後、下記式(F)で示される正孔輸送性化合物70部、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧60kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が130℃になる条件で1分間の加熱処理を行った。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は20ppmであった。次に、大気中において、塗膜が110℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層を形成した。このようにして、支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を有する電子写真感光体D1を製造した。
(製造例D2〜D4)
製造例D1において、下引き層用塗布液に添加するポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)と、ブロックイソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)の量を表1に示すように変更した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D2〜D4を製造した。
(製造例D5〜D7)
製造例D1において、下引き層用塗布液に使用する溶剤と量を表1に示すように変更した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D5〜D7を製造した。
(製造例D8)
(酸化チタン粒子の表面処理)
酸化チタン粒子(商品名:JR−301、テイカ(株)製)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌させた。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化チタン粒子を得た。
次に、前記表面処理された酸化亜鉛粒子80部と、前記表面処理された酸化チタン粒子4部と、式(1−9)で示される化合物0.8部と、式(2−3)で示される化合物の1%メチルエチルケトン溶液1.6部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部と、ブロックイソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)15部をメチルエチルケトン72部と1−ブタノール72部の混合液に溶解した溶液とを、混合した。
この混合液を直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)製)5.6部を分散液に加えて攪拌し、下引き層用塗布液を得た。
この下引き層用塗布液を支持体としての直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、これを40分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの下引き層を形成した。
以降は製造例D1と同様にして、電子写真感光体D8を製造した。
(製造例D9)
前記表面処理された酸化亜鉛粒子80部と、酸化チタン粒子(商品名:JR−301、テイカ(株)製)4部と、式(1−9)で示される化合物0.8部と、式(2−3)で示される化合物の1%メチルエチルケトン溶液1.6部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部と、ブロックイソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)15部をメチルエチルケトン72部と1−ブタノール72部の混合液に溶解した溶液とを、混合した。
この混合液を直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)社製)5.6部を分散液に加えて攪拌し、下引き層用塗布液を得た。
この下引き層用塗布液を支持体としての直径30mm、長さ357.5mmのアミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、これを40分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの下引き層を形成した。
以降は製造例D1と同様にして、電子写真感光体D9を製造した。
(製造例D10)
製造例D9において、酸化チタン粒子(商品名:JR−301、テイカ(株)製)を、酸化チタン粒子(商品名:CR−50、石原産業(株)製)に変更した以外は、製造例D9と同様にして、電子写真感光体D10を製造した。
(製造例D11〜D27)
製造例D1において、下引き層が含有する(β)および(γ)を、表1に示すように変更した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D11〜D27を製造した。
(比較製造例d1)
製造例D1において、式(2−3)で示される化合物を下記式(G)で示される化合物に変更したこと以外は、製造例D1と同様にして、比較用電子写真感光体d1を製造した。
(比較製造例d2)
製造例D1において、式(2−3)で示される化合物を下記式(H)で示される化合物に変更したこと以外は、製造例D1と同様にして、比較用電子写真感光体d2を製造した。
(比較製造例d3)
製造例D1において、式(1−9)で示される化合物を下記式(I)で示される化合物に変更したこと以外は、製造例D1と同様にして、比較用電子写真感光体d3を製造した。
(実施例1)
〈電子写真装置の評価〉
評価用の電子写真装置として、キヤノン(株)製の複写機imageRUNNER ADVANCE C3330の改造機を使用した。評価装置は、温度23℃/湿度50%RHの環境下に設置した。電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
測定に用いた電子写真感光体D1は、温度50℃/湿度95%RHの環境下で3日間放置後、温度23℃/湿度50%RH環境下で一晩放置した後、評価装置にセットした。
評価装置の帯電条件としては、初期暗部電位が−700Vとなるよう、帯電ローラーに印加する直流電圧を調整した。露光条件としては、780nmレーザー露光照射における初期明部電位(VLa)が−200Vとなるようにレーザー光量を調整した。
現像用カートリッジを上記評価装置に取り付け、連続200000枚の感光体の繰り返し使用を行った。200000枚の繰り返し使用後、5分間放置し、現像用カートリッジを電位測定装置に付け替え、繰り返し使用後における各電子写真感光体の明部電位(VLb)を測定した。なお、各電子写真感光体において、初期に設定した帯電条件および露光条件のもとで電位測定を行った。各電子写真感光体の繰り返し使用後における明部電位と初期明部電位との差を明部電位変動量(ΔVL=|VLb|−|VLa|)として求めた(単位:V)。評価結果を表1に示す。
(実施例2〜27)
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D2〜D27を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに比較用電子写真感光体d1〜d3を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。結果を表1に示す。
(製造例D28)
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ69.5部に変更し、さらに水を5部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D28を製造した。
(製造例D29)
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ64.5部に変更し、さらに水を15部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D29を製造した。
(製造例D30)
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ59部に変更し、さらに水を26部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D30を製造した。
(製造例D31)
製造例D1において、表面処理された酸化亜鉛粒子に対して、さらに温度50℃/湿度95%RHの条件で336時間の加熱・加湿処理を行った以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D31を製造した。
(製造例D32)
製造例D1において、表面処理された酸化亜鉛粒子を製造した後、これを温度23℃/湿度50%RHの雰囲気中で1年間放置してから用いた以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D32を製造した。
(参考製造例D33)
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ71.5部に変更し、さらに水を1部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D33を製造した。
(参考製造例D34)
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールを、それぞれ71.9部に変更し、さらに水を0.2部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D34を製造した。
(実施例28)
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D28を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
(実施例29)
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D29を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
(実施例30)
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D30を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
(実施例31)
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D31を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
(実施例32)
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D32を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
表1に示すように、下引き層に(α)金属酸化物粒子、(β)式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、および(γ)式(2)で示される化合物を含有する実施例の電子写真感光体を有する電子写真装置は、上記(β)、または(γ)を含まない比較例の電子写真感光体を有する電子写真装置と比較して、高温高湿環境下に放置した後の繰り返し使用における明部電位変動量が少なく、電気特性が良好に維持される。
101 支持体
102 下引き層
103 感光層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (14)

  1. 電子写真感光体、該電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および直流電圧のみを印加することにより該電子写真感光体を帯電する帯電手段、
    を有する電子写真装置であって、
    該電子写真感光体が、支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有し、
    該下引き層が
    (α)金属酸化物粒子
    (β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、および、
    (γ)下記式(2)で示される化合物
    を含有する
    ことを特徴とする電子写真装置。
    (式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、ヒドロキシ基である。)
    (式(2)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。Aは、炭素数2以上4以下のアルケニル基を示す。)
  2. 前記(α)が、酸化亜鉛粒子を含む金属酸化物粒子である請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 前記(β)が、前記式(1)中のR〜R10の少なくとも3つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項1または2に記載の電子写真装置。
  4. 前記(β)が、前記式(1)中のR〜R10のうちの隣り合う2つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  5. 前記(γ)が、前記式(2)中のAが1−プロペニル基である化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  6. 前記下引き層中の前記(β)の含有量が、前記下引き層中の前記(α)の含有量に対して0.1質量%以上4.0質量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  7. 前記(γ)の含有量が、前記下引き層中の前記(β)の含有量に対して1.0質量%以上15質量%以下である請求項1〜6いずれか1項に記載の電子写真装置。
  8. 支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
    該製造方法が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって該下引き層を形成する工程を有し、
    該下引き層用塗布液が、
    (α)金属酸化物粒子
    (β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、
    (γ)下記式(2)で示される化合物、および、
    (δ)水
    を含有し、
    該下引き層用塗布液中の水の含有量が、該下引き層用塗布液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下である
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    (式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、ヒドロキシ基である。)
    (式(2)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、アルコキシ基を示す。Aは、炭素数2以上4以下のアルケニル基を示す。)
  9. 前記(α)が、酸化亜鉛粒子を含む金属酸化物粒子である請求項8に記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記(β)が、前記式(1)中のR〜R10の少なくとも3つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項8または9に記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記(β)が、前記式(1)中のR〜R10のうちの隣り合う2つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項8〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記(γ)が、前記式(2)中のAが1−プロペニル基である化合物である請求項8〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記下引き層中の前記(β)の含有量が、前記下引き層中の前記(α)の含有量に対して0.1質量%以上4.0質量%以下である請求項8〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 前記(γ)の含有量が、前記下引き層中の前記(β)の含有量に対して1.0質量%以上15質量%以下である請求項8〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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