JP6843654B2 - 電子写真装置 - Google Patents
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Description
該電子写真感光体が、支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有し、
該下引き層が
(α)金属酸化物粒子
(β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、および、
(γ)下記式(2)で示される化合物
を含有することを特徴とする電子写真装置である。
該製造方法が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって該下引き層を形成する工程を有し、
該下引き層用塗布液が、
(α)金属酸化物粒子
(β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、
(γ)下記式(2)で示される化合物、および、
(δ)水
を含有し、該下引き層用塗布液中の水の含有量が、該下引き層用塗布液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましい。支持体としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄といった金属又は合金で形成されている支持体を用いることが可能である。ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスといった絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金等の金属の薄膜で形成した支持体、又は酸化インジウム、酸化スズといった導電性材料の薄膜で形成した支持体が挙げられる。
支持体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化といった電気化学的な処理、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、又は切削処理を施してもよい。
導電層は、例えば、カーボンブラック、導電性顔料、抵抗調節顔料などを結着樹脂とともに分散処理することによって得られる導電層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、導電層用塗布液には、加熱、紫外線照射、放射線照射などにより硬化重合する化合物を添加してもよい。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがさらにより好ましい。
支持体と感光層(電荷発生層)との間には、上記下引き層が設けられる。
下引き層を形成する方法は、まず(α)、(β)、(γ)、および結着樹脂を含有する下引き層用塗布液を調製し、該下引き層用塗布液の塗膜を形成する。この塗膜を加熱乾燥させることにより下引き層を形成することができる。また下引き層用塗布液は、(α)、(β)、および(γ)で示される化合物を溶剤とともに分散処理して得られる分散液に、結着樹脂を溶解させた液を加え、さらに分散処理して得られる下引き層用塗布液としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層には、さらに、有機樹脂粒子、レベリング剤を含有させてもよい。
下引き層の膜厚は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上40μm以下であることがより好ましい。
この下引き層用塗布液中において、水の含有量が、該下引き層用塗布液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
下引き層上には、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)が形成される。
本発明に用いられる電荷発生物質としてはアゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、スクワリリウム色素、チアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、アントアントロン顔料、ピラントロン顔料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素などが挙げられる。
これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これら電荷発生物質の中でも、感度の観点から、フタロシアニン顔料やアゾ顔料が好ましく、フタロシアニン顔料がより好ましい。
これらの中でも、特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
本発明で用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、電荷の移動度の観点から、トリアリールアミン化合物が好ましい。
これらの中でも、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。これらは、単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
保護層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
次に、電子写真装置について述べる。本発明の電子写真装置は、少なくとも、電子写真感光体、および該電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および直流電圧のみを印加することにより前記電子写真感光体を帯電する帯電手段を有する。
帯電ローラー用のクリーニング部材は、帯電ローラーの回転に対して従動で回転するようにしてもよいし、回転駆動系を用いて回転させてもよい。
帯電ローラー用のクリーニング部材は、接地(アース)してもよいし、電圧を印加してもよい。
図2において、円筒状(ドラム状)の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、前述した帯電手段および帯電ローラー3により、その表面(周面)が正または負に帯電される。次いで、電子写真感光体1の表面には、露光手段(像露光手段)(不図示)から出力される露光光(像露光光)4が照射される。露光光4は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調される。露光手段としては、スリット露光やレーザービーム走査露光などが挙げられる。こうして電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
本発明の電子写真装置が有する電子写真感光体の下引き層が含有する(β)の代表的な合成例を以下に示す。
下記反応式(1)で示される反応により合成を行った。
三つ口フラスコに窒素導入管、内温計などを装着した。塩化ベンゾイル14.0部、三塩化アルミニウム20.0部、ジクロロメタン100部を、フラスコ内で窒素置換をしながら、メカニカルスターラーを用いて撹拌した。次に、ピロガロール/ジクロロメタン(12.6部/50部)溶液をゆっくり滴下し、窒素置換をしながらさらに室温で撹拌し6時間反応させた。
次に、希塩酸を含む氷水に反応液を滴下し、分液ロートを用いて有機層と水層を分離し、得られた有機層をさらに水洗浄を行った。有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水を行った。硫酸マグネシウムを除去後、有機層を濃縮して目的物の粗生成物を得た。得られた粗生成物に対し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー精製を行い、目的物である式(1−9)で示される化合物を得た。収量は16.1部、収率は69.9%であった。
(製造例D1)
(酸化亜鉛粒子の表面処理)
酸化亜鉛粒子(比表面積:19m2/g、粉体抵抗:4.7×106Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学社製)0.8部を添加し、6時間攪拌させた。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.21μmの電荷発生層を形成した。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を上記溶解液に加えた混合液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。その後、下記式(F)で示される正孔輸送性化合物70部、
製造例D1において、下引き層用塗布液に添加するポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)と、ブロックイソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)の量を表1に示すように変更した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D2〜D4を製造した。
製造例D1において、下引き層用塗布液に使用する溶剤と量を表1に示すように変更した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D5〜D7を製造した。
(酸化チタン粒子の表面処理)
酸化チタン粒子(商品名:JR−301、テイカ(株)製)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌させた。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化チタン粒子を得た。
以降は製造例D1と同様にして、電子写真感光体D8を製造した。
前記表面処理された酸化亜鉛粒子80部と、酸化チタン粒子(商品名:JR−301、テイカ(株)製)4部と、式(1−9)で示される化合物0.8部と、式(2−3)で示される化合物の1%メチルエチルケトン溶液1.6部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部と、ブロックイソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)15部をメチルエチルケトン72部と1−ブタノール72部の混合液に溶解した溶液とを、混合した。
以降は製造例D1と同様にして、電子写真感光体D9を製造した。
製造例D9において、酸化チタン粒子(商品名:JR−301、テイカ(株)製)を、酸化チタン粒子(商品名:CR−50、石原産業(株)製)に変更した以外は、製造例D9と同様にして、電子写真感光体D10を製造した。
製造例D1において、下引き層が含有する(β)および(γ)を、表1に示すように変更した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D11〜D27を製造した。
製造例D1において、式(2−3)で示される化合物を下記式(G)で示される化合物に変更したこと以外は、製造例D1と同様にして、比較用電子写真感光体d1を製造した。
製造例D1において、式(2−3)で示される化合物を下記式(H)で示される化合物に変更したこと以外は、製造例D1と同様にして、比較用電子写真感光体d2を製造した。
製造例D1において、式(1−9)で示される化合物を下記式(I)で示される化合物に変更したこと以外は、製造例D1と同様にして、比較用電子写真感光体d3を製造した。
〈電子写真装置の評価〉
評価用の電子写真装置として、キヤノン(株)製の複写機imageRUNNER ADVANCE C3330の改造機を使用した。評価装置は、温度23℃/湿度50%RHの環境下に設置した。電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
評価装置の帯電条件としては、初期暗部電位が−700Vとなるよう、帯電ローラーに印加する直流電圧を調整した。露光条件としては、780nmレーザー露光照射における初期明部電位(VLa)が−200Vとなるようにレーザー光量を調整した。
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D2〜D27を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに比較用電子写真感光体d1〜d3を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。結果を表1に示す。
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ69.5部に変更し、さらに水を5部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D28を製造した。
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ64.5部に変更し、さらに水を15部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D29を製造した。
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ59部に変更し、さらに水を26部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D30を製造した。
製造例D1において、表面処理された酸化亜鉛粒子に対して、さらに温度50℃/湿度95%RHの条件で336時間の加熱・加湿処理を行った以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D31を製造した。
製造例D1において、表面処理された酸化亜鉛粒子を製造した後、これを温度23℃/湿度50%RHの雰囲気中で1年間放置してから用いた以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D32を製造した。
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールをそれぞれ71.5部に変更し、さらに水を1部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D33を製造した。
製造例D1において、下引き層用塗布液に混合するメチルエチルケトンおよび1−ブタノールを、それぞれ71.9部に変更し、さらに水を0.2部混合した以外は、製造例D1と同様にして、電子写真感光体D34を製造した。
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D28を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D29を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D30を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D31を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
実施例1において、電子写真感光体D1の代わりに電子写真感光体D32を用いた以外は、実施例1と同様にして明部電位変動の評価を行った。その結果、ΔVL=+12Vであった。
102 下引き層
103 感光層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
Claims (14)
- 電子写真感光体、該電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および直流電圧のみを印加することにより該電子写真感光体を帯電する帯電手段、
を有する電子写真装置であって、
該電子写真感光体が、支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有し、
該下引き層が
(α)金属酸化物粒子
(β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、および、
(γ)下記式(2)で示される化合物
を含有する
ことを特徴とする電子写真装置。
- 前記(α)が、酸化亜鉛粒子を含む金属酸化物粒子である請求項1に記載の電子写真装置。
- 前記(β)が、前記式(1)中のR1〜R10の少なくとも3つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項1または2に記載の電子写真装置。
- 前記(β)が、前記式(1)中のR6〜R10のうちの隣り合う2つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真装置。
- 前記(γ)が、前記式(2)中のA1が1−プロペニル基である化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真装置。
- 前記下引き層中の前記(β)の含有量が、前記下引き層中の前記(α)の含有量に対して0.1質量%以上4.0質量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真装置。
- 前記(γ)の含有量が、前記下引き層中の前記(β)の含有量に対して1.0質量%以上15質量%以下である請求項1〜6いずれか1項に記載の電子写真装置。
- 支持体、感光層、および、該支持体と該感光層との間の下引き層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
該製造方法が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって該下引き層を形成する工程を有し、
該下引き層用塗布液が、
(α)金属酸化物粒子
(β)下記式(1)で示されるベンゾフェノン化合物、
(γ)下記式(2)で示される化合物、および、
(δ)水
を含有し、
該下引き層用塗布液中の水の含有量が、該下引き層用塗布液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下である
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記(α)が、酸化亜鉛粒子を含む金属酸化物粒子である請求項8に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記(β)が、前記式(1)中のR1〜R10の少なくとも3つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項8または9に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記(β)が、前記式(1)中のR6〜R10のうちの隣り合う2つがヒドロキシ基であるベンゾフェノン化合物である請求項8〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記(γ)が、前記式(2)中のA1が1−プロペニル基である化合物である請求項8〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記下引き層中の前記(β)の含有量が、前記下引き層中の前記(α)の含有量に対して0.1質量%以上4.0質量%以下である請求項8〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記(γ)の含有量が、前記下引き層中の前記(β)の含有量に対して1.0質量%以上15質量%以下である請求項8〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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