以下、本発明を具体化した実施形態による電力変換装置について、図面を参照して説明する。本実施形態では、請求項における電力変換装置が、蓄電ハイブリッド発電システムである場合の例について、説明する。すなわち、本実施形態による蓄電ハイブリッド発電システムは、分散型電源を商用電力系統に連系するための電力変換装置でもあり、分散型電源からの直流電力を交流電力に変換して、変換後の交流電力を自立負荷に供給するための電力変換装置でもある。図1は、本実施形態による蓄電ハイブリッド発電システム1の構成を示す。
蓄電ハイブリッド発電システム1は、いわゆるパワーコンディショナを、分散型電源である太陽電池2a、及び太陽電池2aから出力された電力を貯蔵する電力貯蔵装置2bと組み合わせたものであり、太陽電池2aを商用電力系統3に連系させることが可能である。この蓄電ハイブリッド発電システム1は、停電時における自立運転機能を備えている。蓄電ハイブリッド発電システム1の起動には、系統連系運転モードによる起動と、自立運転モードによる起動とがある。蓄電ハイブリッド発電システム1は、太陽電池2aで発電された直流電力を最適な出力電力に変換するためのDC/DCコンバータ4aと、自然エネルギーを最大限に活用するために、電力貯蔵装置2bに対して指示電力の通りに充放電できる双方向DC/DCコンバータ4bと、これらのDC/DCコンバータ4a,4bからの直流出力電力(すなわち、太陽電池2aと電力貯蔵装置2bの少なくとも一方から入力された電力に基づく直流電力)を交流電力に変換するDC/ACインバータ5(以下、「インバータ5」と略す)を備えている。また、蓄電ハイブリッド発電システム1は、直流バス電圧平滑化用の電解コンデンサCdc、LCフィルタ6、制御回路7、系統連系用リレーSu、Sw(請求項における系統連系用スイッチ)、及び自立系統用リレーSstd.u、Sstd.w(請求項における自立系統用スイッチ)も備えている。
DC/DCコンバータ4aは、太陽電池2aの最大電力点追従制御(以下、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御という)を行い、太陽電池からの出力電力が最大(最適)になるように、太陽電池からの入力電圧を調整する。つまり、DC/DCコンバータ4aは、太陽電池からの入力電圧を所定の電圧まで昇降圧して、直流出力電圧(直流バス電圧Vdc)をある一定の範囲内で上下させる。双方向DC/DCコンバータ4bは、自然エネルギーを最大限に活用するための電力貯蔵装置2bに指示電力の通りに充放電電力制御を行う。つまり、双方向DC/DCコンバータ4bは、太陽電池2aから供給された電力のうちの余剰電力の量や、買電電力量などの情報に基づき、電力貯蔵装置2bに対して充放電電力制御を行う。その後、蓄電ハイブリッド発電システム1は、インバータ5を用いて、DC/DCコンバータ4aと双方向DC/DCコンバータ4bからの直流出力電力を、交流電力に変換する。なお、蓄電ハイブリッド発電システム1では、自立運転制御時には、DC/DCコンバータ4aが、常に最大電力点追従制御を行って、太陽電池からの出力(発電)電力が常に最大になるようにし、電力貯蔵装置2bが、双方向DC/DCコンバータ4bを介して、直流バス電圧Vdcの一定制御を行う。
インバータ5は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)から構成されるスイッチング素子SW1〜SW4を備えており、これらのスイッチング素子は、蓄電ハイブリッド発電システムの制御回路7から送られるPWM(Pulse Width Modulation)信号でスイッチングされる。
LCフィルタ6は、各電源ラインに直列に接続された2つのリアクトルLfと、電源ライン間に接続されたコンデンサCfとから構成され、インバータ5から出力される交流電圧から、高調波成分(主に、PWM信号のキャリア周波数)を除去する。図中におけるRfとRcとは、それぞれ、リアクトルLfの内部抵抗とコンデンサCfの内部抵抗とを示す。LCフィルタ6におけるコンデンサCfが、請求項における「前記インバータと前記商用電力系統との間に接続されたコンデンサ」、及び「前記インバータと前記自立負荷との間に接続されたコンデンサ」に相当する。
制御回路7は、いわゆるマイコンを用いて構成されており、商用電圧振幅検出回路11、振幅調整回路12、起動制御回路13、PLL(Phase Locked Loop)回路(同期回路)14、位相角調整回路15、断線溶着検知回路16、装置出力電圧振幅検出回路17、出力電圧振幅瞬時値検出回路18、出力電流振幅瞬時値検出回路19、皮相電力変化量検出回路20、出力電流値検出回路21、通過電流値推定回路22、装置出力電流値算出回路23、自立系統用リレー断線溶着検知回路24、自立運転時振幅調整回路25、出力電圧値検出回路26等の回路を含んでいる。これらの回路11〜26は、マイコンが有する基本的な機能ブロックを用いて作成した回路である。
上記の商用電圧振幅検出回路11、振幅調整回路12、起動制御回路13、位相角調整回路15、断線溶着検知回路16、出力電圧振幅瞬時値検出回路18、出力電流振幅瞬時値検出回路19、皮相電力変化量検出回路20、出力電流値検出回路21、通過電流値推定回路22、装置出力電流値算出回路23、自立系統用リレー断線溶着検知回路24、自立運転時振幅調整回路25は、それぞれ、請求項における商用電圧振幅検出手段、振幅調整手段、起動制御手段、位相角調整手段、断線溶着検知手段、出力電圧振幅瞬時値検出手段、出力電流振幅瞬時値検出手段、皮相電力変化量検出手段、出力電流値検出手段、通過電流値推定手段、装置出力電流値算出手段、自立系統用スイッチ断線溶着検知手段、自立運転時振幅調整手段に相当する。また、図4(a)(b)の説明で詳述するが、PLL回路14は、自立系統電圧の位相角検出用のPLL回路14aと、商用系統電圧の位相角検出用のPLL回路14b(請求項における商用電圧位相角検出手段)とを含んでいる。
商用電圧振幅検出回路11は、商用系統電圧euwの振幅を検出する。振幅調整回路12は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、本来の自立運転時に蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される自立系統電圧esdの振幅(後述する自立系統電圧esdの最大値(振幅)の指令値E* cst(図3参照)に相当する大きさの振幅)から段階的に増加させて、商用電圧振幅検出回路11で検出された商用系統電圧euwの振幅と所定の振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅に合わせる。なお、本実施形態では、上記の振幅差ΔEを10Vに設定した。起動制御回路13は、装置の起動時に、系統連系運転を行うとき(系統連系運転モードによる起動時)は、振幅調整回路12によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧euwの振幅よりも10V小さい振幅)に合わせた後、断線溶着検知回路16による系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着の検知を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続し、スムーズに系統連系運転制御に移行する(系統連系運転を開始する)ように制御する。また、起動制御回路13は、装置の起動時に、自立運転を行うとき(自立運転モードによる起動時)は、自立運転時振幅調整回路25によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、図3の説明で後述する自立系統電圧esdの最大値(振幅)の指令値E* cstに合わせた後、自立系統用リレー断線溶着検知回路24による自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着の検知を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を自立負荷Rloadに接続して、自立運転を開始するように制御する。
PLL回路14は、基準となる入力信号に同期した信号を出力するための回路であり、主に、商用系統電圧euwの位相角θuwに同期した電圧信号を生成するために用いられる。このPLL回路14は、後述する商用系統電圧euwの位相角θuwや、装置起動時における蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角の検出にも、用いられる。位相角調整回路15は、蓄電ハイブリッド発電システム1の起動時に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角を、PLL回路14によって検出された商用系統電圧euwの位相角に合わせる。断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーSu及びSwの断線と溶着を検知する回路である。断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーSu、Swを解列状態から連系状態に切り替えた時における、皮相電力変化量検出回路20により検出した皮相電力の変化量に基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線を検知し、一対の系統連系用リレーSu、Swのうち、両方の系統連系用リレーSu、Swを商用電力系統3に接続させていない状態から、片方の系統連系用リレーだけを商用電力系統3に接続させた状態に切り替えた時における、皮相電力変化量検出回路20により検出した皮相電力の変化量に基づいて、一対の系統連系用リレーSu、Swのうち、商用電力系統3に接続させていない方の系統連系用リレーの溶着を検知する。すなわち、断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーSu、Swを切り替えた時における、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力値(皮相電力)の変化量に基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着を検知する。この断線溶着検知回路16が行う検知処理については、後で詳述する。
装置出力電圧振幅検出回路17は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の実効値に基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅を検出する。出力電圧振幅瞬時値検出回路18は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅の瞬時値を検出する。出力電流振幅瞬時値検出回路19は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispの振幅の瞬時値を検出する。皮相電力変化量検出回路20は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の実効値と出力電流ispの実効値との積である皮相電力の変化量を検出する。出力電流値検出回路21は、インバータ5からの出力電流iinvの値を検出する。通過電流値推定回路22は、コンデンサCfに流れる電流(コンデンサ通過電流)icの値(コンデンサ通過電流値)を推定する。装置出力電流値算出回路23は、出力電流値検出回路21によって検出された、インバータ5からの出力電流(以下、「インバータ出力電流」と略す)iinvの値と、通過電流値推定回路22によって推定されたコンデンサ通過電流icの値とに基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流(蓄電ハイブリッド発電システム1から商用電力系統3への逆潮流電流)ispの値を算出する。出力電圧値検出回路26は、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される自立系統電圧esdの値を検出する。
系統連系用リレーSu及びSwは、太陽電池2aを含む蓄電ハイブリッド発電システム1の商用電力系統3への連系状態と解列状態とを切り替えるための一対のスイッチである。また、図1中のRloadは、蓄電ハイブリッド発電システム1の自立運転時に、蓄電ハイブリッド発電システム1から電力が供給される特定の負荷装置(以下、自立負荷という)を示す。自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wは、上記の自立負荷Rloadと蓄電ハイブリッド発電システム1との接続状態と非接続状態とを切り替えるための一対のスイッチである。以下の説明において、自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wがオンになって、自立負荷Rloadと蓄電ハイブリッド発電システム1とが接続されている状態を、「接続状態」と言い、自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wがオフになって、自立負荷Rloadと蓄電ハイブリッド発電システム1とが接続されていない状態を、「非接続状態」と言う。
自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wを上記の非接続状態から接続状態に切り替えた時における、皮相電力変化量検出回路20により検出した皮相電力の変化量に基づいて、自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wの少なくとも一方の断線を検知し、一対の自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wのうち、両方の自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wを自立負荷Rloadに接続させていない状態から、片方の自立系統用リレーSstd.u又はSstd.wだけを自立負荷Rloadに接続させた状態に切り替えた時における、皮相電力変化量検出回路20により検出した皮相電力の変化量に基づいて、一対の自立系統用リレーSstd.u及びSstd.wのうち、自立負荷Rloadに接続させていない方の自立系統用リレーSstd.w又はSstd.uの溶着を検知する。すなわち、自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wを切り替えた時における、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力値(皮相電力)の変化量に基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着を検知する。また、自立運転時振幅調整回路25は、自立運転モードによる起動時に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅を、0から段階的に増加させて、自立運転時の電圧である自立系統電圧の振幅の指令値E* cst(図3参照)に合わせる。
図2は、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7によるインバータ5の制御の概略を示すブロック図である。図2には、系統連系運転制御部と、自立運転制御部が示されている。蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7は、スイッチSGridが0の位置で系統連系運転制御を行い、スイッチSGridが1の位置で自立運転制御を行う。また、系統連系運転時において、有効成分および無効成分の出力電流制御を行い、自立運転時において、交流出力電圧の一定制御を行う。
また、図2に示すように、系統連系運転制御部は、有効成分生成部31、無効成分生成部32、インバータ出力電流制御部33、及びPWM制御部34を含む。有効成分生成部31は、有効成分の出力電流指令値I* Pと、PLL回路14から出力された商用系統電圧euwの位相角θuwの正弦値sin(θuw)とを乗算して、有効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。無効成分生成部32は、無効成分の出力電流指令値I* qと、PLL回路14から出力された商用系統電圧euwの位相角θuwの余弦値cos(θuw)とを乗算して、無効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。なお、図2においてPLL回路14に入力される自立系統周波数fsdは、従来のPLL回路に必要である基本波周波数に相当する。また、商用系統周波数fuwは、PLL回路14から求める。つまり、実際の商用系統周波数と自立系統周波数は異なっても、PLL回路14を用いることにより、正しい商用系統周波数fuwを検出することができる。
有効成分生成部31からの出力値と無効成分生成部32からの出力値とは、加え合わせ点SP1で加算されて、インバータ5の出力電流指令値i* invとなる。この出力電流指令値i* invと、インバータ5からのフィードバック値としての出力電流iinvとは、インバータ出力電流制御部33に送られる。インバータ出力電流制御部33は、インバータ5からの出力電流iinvの値が、出力電流指令値i* invに追従するように、フィードバック制御を行い、系統連系運転時のデューティ比daを算出する。このデューティ比daは、PWM制御部34に入力される。PWM制御部34は、入力されたデューティ比daに基づいて、このデューティ比daに対応するパルス幅のPWM信号を生成する。これらのPWM信号に基づいて、インバータ5の各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4(図1参照)のオン・オフが制御される。
また、図2において、スイッチSGridが1の位置で、自立運転制御を行う。自立運転制御部は、交流出力電圧制御部35、交流出力電流制御部36、及びPWM制御部34で構成されている。
交流出力電圧制御部35には、自立系統電圧指令値e* sdと、フィードバック値としての自立系統電圧esdとが入力され、交流出力電圧を一定にするための交流出力電流指令値i* invを算出する。その後、この交流出力電流指令値i* invと、フィードバック値としての出力電流iinvとが、交流出力電流制御部36に入力され、交流出力電流制御部36は、これらに基づいて、自立運転時のデューティ比dbを算出する。
PWM制御部34は、交流出力電流制御部36で算出されたデューティ比dbに基づいて、このデューティ比dbに対応するパルス幅のPWM信号を生成する。これらのPWM信号に基づいて、インバータ5の各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4のオン・オフが制御される。これにより、自立運転時に、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される自立系統電圧esdが、ほぼ、自立系統電圧指令値e* sdに維持される。なお、図2におけるEnableとDisableは、制御回路7からPWM制御部34に送られるPWM信号の出力の許可信号と禁止信号である。
本蓄電ハイブリッド発電システム1は、系統連系運転モードによる起動時(装置の起動時に系統連系運転を行うとき)に、インバータ5の出力側のコンデンサCfへの突入電流を抑制するために、系統連系運転に移行する前に、自立運転制御を行う。そして、この自立運転制御時に、振幅調整回路12によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧euwの振幅Euw.max−振幅差ΔE)に合わせると共に、位相角調整回路15によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角を、商用系統電圧euwの位相角θuwに合わせてから、上記図2に示される系統連系運転制御に移行するという起動制御方法を採用している。
図3は、上記の系統連系運転モードによる起動時の自立運転制御時、及び自立運転モードによる起動時に、制御回路7(主に、振幅調整回路12、位相角調整回路15、及び自立運転時振幅調整回路25)によって行われる、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅と位相角の調整制御ブロックである。蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7は、スイッチSsdが1の位置のときには、自立系統電圧esdの最大値Esd.max(振幅)と位相角とを、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstと位相角θsdとに合わせる制御を行う。本明細書において、上記の「本来の自立系統電圧esd」とは、停電時において、図1に示す自立負荷Rloadに交流電力を供給するための自立運転(本来の自立運転)を行っている時の自立系統電圧esdを意味する。また、制御回路7は、スイッチSsdが0の位置のときには、自立系統電圧esdの振幅(最大値)Esd.maxと位相角とを、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧euwの振幅(最大値)Euw.max−振幅差ΔE)と商用系統電圧euwの位相角θuwとに合わせる制御を行う。
図3において、Euw.maxが、商用系統電圧euwの最大値(振幅)、Esd.maxが、自立系統電圧esdの最大値(振幅)、E* sd.max(k−1)が、k次のサンプリング周期の一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値、θsdが、本来の(通常の自立運転時における)自立系統電圧esdの位相角、θuwが商用系統電圧euwの位相角である。なお、(k)はk次サンプリング周期の値、すなわち現在値の意味である。(k−1)は現在値から一つ前のサンプリングした値である。また、本実施形態のサンプリング周期はスイッチング周波数の逆数である。
蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、自立運転時振幅調整回路25)は、スイッチSsdが1の位置のときには、加え合わせ点SP2において、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstから、その時点における自立系統電圧esdの最大値Esd.maxを減算して、これらの値の差分値を求める。比例制御部37は、上記の差分値に対して、比例ゲインKpを乗算して、加え合わせ点SP3に出力する。ここで、比例ゲインKpには、1よりも遥かに少ない正の値(例えば、0.01)が用いられる。この比例制御部37からの出力値は、加え合わせ点SP3において、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k−1)と加算されて、現在の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k)として、乗算器38に送られる。乗算器38は、加え合わせ点SP3から送られた値と、図4(a)のPLL回路14aで求めた自立系統電圧esdの位相角θsdに対応する正弦値sin(θsd)とを乗算して、自立系統電圧指令値e* sdを算出する。
上記のように、比例ゲインKpとして、1よりも遥かに少ない正の値(例えば、0.01)を採用したことにより、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k−1)を段階的に増加させていくことで、自立系統電圧esdの最大値(振幅)Esd.maxを、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstに追従させることができる。
蓄電ハイブリッド発電システム1の起動直後の自立運転時には、上記の自立系統電圧esdの最大値Esd.maxの初期値、及び一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k−1)の初期値は、0に設定される。このように、Esd.maxとE* sd.max(k−1)の初期値を0に設定した上で、上記のように、自立系統電圧の最大値(振幅)Esd.maxを、本来の自立系統電圧esdの振幅の指令値E* cstに徐々に合わせる方法を採用したことにより、装置の起動時に、ソフトスタートの効果を得ることができる。また、自立負荷に電力供給する際に、負荷急変により自立系統電圧の振幅値を逸脱しないように、自立系統電圧指令値e* sdの振幅値を調整できる効果があると考える。
蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7は、系統連系運転モードによる起動直後の自立運転時に、上記のように、自立系統電圧esdの最大値(振幅)Esd.maxと位相角とを、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstと位相角θsdとに合わせた後、スイッチSsdを0の位置に切り替えて、自立系統電圧esdの最大値(振幅)Esd.maxと位相角とを、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧euwの最大値(振幅)Euw.max−ΔE)と商用系統電圧euwの位相角θuwとに合わせる。すなわち、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、商用系統電圧euwの振幅Euw.maxと所定の振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅に合わせると共に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角を、商用系統電圧euwの位相角θuwに合わせる。
次に、上記の蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に合わせる処理について、詳述する。蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、振幅調整回路12)は、スイッチSsdが0の位置のときには、加え合わせ点SP2において、上記の系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)から、その時点における自立系統電圧esdの最大値Esd.maxを減算して、これらの値の差分値を求める。比例制御部37は、上記の差分値に対して、比例ゲインKpを乗算して、加え合わせ点SP3に出力する。ここで、上記のスイッチSsdが1の位置の時と同様に、比例ゲインKpには、1よりも遥かに少ない正の値(例えば、0.01)が用いられる。
この比例制御部37からの出力値は、加え合わせ点SP3において、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k−1)と加算されて、現在の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k)として、乗算器38に送られる。乗算器38は、加え合わせ点SP3から送られた現在の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k)と、商用系統電圧euwの位相角θuwの正弦値sin(θuw)とを乗算して、自立系統電圧指令値e* sdを算出する。上記のように、比例ゲインKpとして、1よりも遥かに少ない正の値を採用したことにより、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k−1)を段階的に増加させていくことで、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)Esd.maxを、商用系統電圧の振幅Euw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に徐々に追従させることができる。
スイッチSsdが、1の位置から0の位置に切り替えられた直後には、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)Esd.max、及び一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k−1)は、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstと略同じ値になっている。
上記のように、スイッチSsdが、1の位置から0の位置に切り替えられた後に、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される電圧の最大値(振幅)Esd.maxを、系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に徐々に合わせる方法を採用したことにより、系統連系運転モードによる装置の起動時に、スイッチSsdが、1の位置から0の位置に切り替えられた後にも、ソフトスタートの効果を得ることができる。
上記の自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxの算出式は、スイッチS
sdが0の位置のときには、下記の式(1)、及び式(2)であり、スイッチS
sdが1の位置のときには、下記の式(3)、及び式(4)である。また、商用系統電圧e
uwの最大値(振幅)E
uw.maxの算出式は、下記の式(5)である。これらの式において、T
uwは、商用系統電圧e
uwの周期である。また、f
uwは、商用系統電圧e
uwの周波数(商用系統周波数)である。T
sdは、本来の自立系統電圧e
sdの周期である。また、f
sdは、本来の自立系統電圧e
sdの周波数(自立系統周波数)である。
また、上記図3に示される制御で用いられる、本来の自立系統電圧esdの位相角θsdと、商用系統電圧euwの位相角θuwには、それぞれ、図4(a)に示される自立系統電圧用のPLL回路14aと商用系統電圧用のPLL回路14bで求めた値が用いられる。図4(a)において、fsdは、上記の本来の自立系統電圧esdの周波数(自立系統周波数)を示す。
ここで、図4(b)を参照して、上記自立系統電圧用のPLL回路14aと商用系統電圧用のPLL回路14bの制御ブロックについて、説明する。PLL回路14aとPLL回路14bとは、入力電圧einの種類は異なるが、同様な制御を行うので、図4(b)の説明では、これらのPLL回路14a、14bをまとめて、PLL回路14として説明する。図4(b)において、入力電圧einは、商用系統電圧euw、又は本来の自立系統電圧esdを示す。図中のEin.maxとθoは、入力電圧einが商用系統電圧euwのときには、Euw.maxとθuwとを示し、入力電圧einが本来の自立系統電圧esdのときには、Esd.maxとθsdとを示す。
PLL回路14は、除算器41、乗算器42、ループコントローラ(ループフィルタ)43、積分器44、帰還信号生成器45、及び周波数算出器46を備えている。除算器41は、PLL回路14への入力電圧einと、制御回路7が求めた入力電圧einの最大値(振幅)Ein.maxとに基づいて、入力電圧einの位相角θinの正弦値sin(θin)を算出する。この正弦値sin(θin)は、乗算器42において、帰還信号生成器45から出力された帰還信号電圧値cos(θo)と乗算されて、ループコントローラ43に入力される。ループコントローラ43は、入力値に基づいて、入力電圧einと帰還信号電圧との角周波数の差に比例した調整値を出力する。加え合わせ点SP4では、(スイッチSsdが1の位置の時の)本来の自立系統電圧esdの角周波数ωsd(=2πfsd)から、上記の調整値が減算されて、調整後の角周波数ωoが求められる。積分器44は、上記の調整後の角周波数ωoを積分し、入力電圧einの位相角θ0を算出する。なお、PLL回路14からの出力周波数f0は、周波数算出器46を用いて、角周波数ωoから算出する。
上記のようなPLL回路14を用いることにより、起動時の自立運転制御時に、自立系統電圧esdの振幅Esd.maxが、初期値の0のときでも、本来の自立系統電圧esdの角周波数ωsdに基づいて、本来の自立系統電圧esdの周波数fsdに応じた位相角θ0を求めることができる。また、上記のように、基本周波数を、商用系統電圧euwの周波数fuwとは異なる、本来の自立系統電圧esdの周波数fsdに設定していても、系統連系運転時には、ループコントローラ43の働きにより、問題なく、商用系統電圧euwの位相角θuwを求めることができる。
仮に、本来の自立系統電圧esdの周波数fsdが、50Hzに設定され、商用系統電圧euwの周波数fuwが、60Hzの場合であっても、上記のPLL回路14で商用系統電圧euwの位相角θuwを求めることにより、系統連系運転モードによる起動時に、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される電圧の位相角を、商用系統電圧euwの位相角θuwに維持することができる。
系統連系運転モードによる起動時に、上記図3に示される制御方法で、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅と位相を調整するようにしたことにより、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstと商用系統電圧euwの最大値(振幅)Euw.maxとが異なる場合や、本来の自立系統電圧esdの位相角θsdと商用系統電圧euwの位相角θuwとが異なる場合でも、蓄電ハイブリッド発電システム1をスムーズに起動させることができる。ここで、「スムーズに起動させることができる」とは、起動時に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値 (振幅)Esd.maxが急増するのを避けることができることを意味する。
例えば、商用系統電圧euwの実効値と周波数が、200Vと60Hzであって、通常の自立運転時における(本来の)自立系統電圧esdの実効値と周波数が、100Vと50Hzの場合であっても、上記図3に示される制御方法で、系統連系運転モードによる起動時の自立運転制御を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するように制御することにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)を急増させることなく、蓄電ハイブリッド発電システム1をスムーズに商用電力系統3に連系することができる。
次に、図5のフローチャートを参照して、本蓄電ハイブリッド発電システム1における、系統連系運転モードの起動時の制御の流れについて、説明する。系統連系運転モードの起動時には、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、起動制御回路13)は、商用電力系統3と連系する前に、まず、スイッチSGridを1の位置、スイッチSsdを1の位置、系統連系用リレーSu、Swをオフ、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wをオフに切り替えて、自立運転制御を行う(S1)。なお、請求項における「自立運転制御」とは、上記のように、起動時に、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wをオフにした状態で、図2に示される自立運転制御部によって行われる制御を意味する。自立運転制御の開始から所定時間が経過して(S2でYES)、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)が、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstにまで達すると、制御回路7は、スイッチSsdを0の位置に切り替えて、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅、位相及び周波数を、商用系統電圧euwの振幅、位相及び周波数に合わせる(S3)。ただし、上記のように、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅については、商用系統電圧euwの振幅Euw.max自体ではなく、商用系統電圧の振幅Euw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に合わせる。
次に、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、起動制御回路13と断線溶着検知回路16)は、図6に示すような、系統連系用リレーSu、Swのオン・オフの切り替えと、PWM制御部34に出力するEnable信号とDisable信号との切り替えを行って、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着とを検知する(図5のS4)。
具体的には、図6において、(1)の期間には、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、系統連系用リレーSu、Swを、いずれも、オフにした状態で、両方の系統連系用リレーSu、Swが溶着しているか否かを検知する。また、(2)の期間には、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、系統連系用リレーSuのみをオンに切り替えて、系統連系用リレーSwをオフにしたままの状態で、系統連系用リレーSwが溶着しているか否かを検知する。また、(2)の期間の終了から所定期間Tdlyが経過すると、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、(3)の期間において、系統連系用リレーSuをオフに、系統連系用リレーSwをオンにして、系統連系用リレーSuが溶着しているか否かを検知する。そして、(3)の期間の終了から所定期間Tdlyが経過すると、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、(4)の期間において、系統連系用リレーSu、Swのいずれかが断線しているか否かを検知する。なお、上記S3において、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、商用系統電圧euwの振幅Euw.max自体ではなく、商用系統電圧の振幅Euw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に合わせた理由は、この振幅差ΔEを、上記(2)〜(4)の期間の断線溶着検知処理に利用するためである。
次に、上記の系統連系用リレーS
u、S
wの溶着・断線の具体的な検知方法について、説明する。まず、図6中の(1)の期間に行われる溶着判定の方法について説明する。図6中の(1)の期間に入ると、制御回路7は、図6に示すように、PWM制御部34からのPWM信号の出力を禁止し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続させていない状態)で、装置出力電流値算出回路23により算出された出力電流i
spの値に基づいて、両方の系統連系用リレーS
u、S
wが溶着しているか否かを検知する。より詳細に説明すると、まず、制御回路7(の通過電流値推定回路22)は、PWM制御部34からのPWM信号を出力していない状態で、出力電圧値検出回路26によって検出された自立系統電圧e
sdの値に基づいて、下記の式(6)により、コンデンサC
fに流れる電流(コンデンサ通過電流)i
cの値を推定(算出)する。次に、制御回路7(の装置出力電流値算出回路23)が、下記の式(7)により、出力電流値検出回路21によって検出されたインバータ出力電流i
invの値と、式(6)によって算出されたコンデンサ通過電流i
cの値とに基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流i
spの値を算出する。制御回路7(主に、断線溶着検知回路16)は、式(7)により求めた出力電流i
spの絶対値|i
sp|が、下記の式(8)により求めた閾値I
chk以上であれば、系統連系用リレーS
u、S
wの両方に溶着状態が発生していると判定する。
上記の閾値Ichkの算出式(8)における分子(2πfuwCfEuw.max(=ωuwCfEuw.max))は、系統連系用リレーSu、Swの両方がオンしたときに、コンデンサCfに流れる電流(コンデンサ通過電流)icの最大値を示す。なお,式(8)及び(9)におけるaは、検出レベル用の閾値Ichkの設定係数である。また、上記の式(6)は、RC直列回路の伝達関数として、制御工学の分野で既知であるので、説明を省略する。
上記のように、式(7)により求めた出力電流ispの絶対値|isp|が、式(8)により求めた閾値Ichk以上であれば、系統連系用リレーSu、Swの両方に溶着状態が発生していると判定する理由は、以下の通りである。すなわち、図6に示すように、PWM制御部34からのPWM信号の出力を禁止し、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態では、両方の系統連系用リレーSu、Swが溶着していなければ、インバータ出力電流iinv、コンデンサ通過電流ic、及び出力電流ispは、流れない(0Aになる)が、両方の系統連系用リレーSu、Swが溶着している場合には、式(6)における自立系統電圧esdが、交流電圧である商用系統電圧euwと等しくなって、コンデンサ通過電流icが流れるので、式(7)により求めた出力電流ispの絶対値|isp|が、式(8)により求めた閾値Ichk以上になるからである。
次に、図6中の(2)及び(3)の期間における溶着判定の方法について説明する。これらの期間における溶着判定には、皮相電力変化量検出回路20を用いて算出された皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvが用いられる。この皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvの算出には、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出された、自立系統電圧esd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)の最大値(振幅)の瞬時値である瞬時自立系統電圧最大値Emaxと、出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出された、出力電流ispの最大値(振幅)の瞬時値である瞬時出力電流最大値Imaxとが、用いられる。なお、出力電圧振幅瞬時値検出回路18への入力電圧である自立系統電圧esd(図7参照)は、本来の自立運転を行っている時の自立系統電圧esd(スイッチSsdが1の位置のときの自立系統電圧esdに相当)ではなく、商用電力系統への連系直前の(上記図5中のS3の調整処理の終了後の)自立系統電圧esdである。
図7を参照して、上記の出力電圧振幅瞬時値検出回路18の制御ブロックについて説明する。出力電圧振幅瞬時値検出回路18は、LPF(Low Pass Filter)51(第1のローパスフィルタ)と、APF(All Pass Filter)52と、二乗和平方根算出器53とを備えている。LPF51は、入力された自立系統電圧esd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)からのノイズ除去用のディジタル・ローパスフィルタである。このLPF51の遮断周波数fcは、系統連系運転モードによる起動時(断線溶着検知回路16による系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着の検知時)には、商用系統電圧euwの周波数(商用系統周波数)fuwに設定されている。このように、遮断周波数fcを、商用系統周波数fuwに設定した理由は、片方の系統連系用リレーが溶着している場合には、もう片方の系統連系用リレーがオンした瞬間に、自立系統電圧esdは商用系統電圧euwと等しくなるが、この場合に、仮に商用系統電圧euwの総合歪率が高くても、遮断周波数fcを商用系統周波数fuwに設定しておけば、自立系統電圧esd(=商用系統電圧euw)から基本周波数成分以上の高調波成分(ノイズ)を除去することができるので、瞬時自立系統電圧最大値Emaxを正確に求めることができるからである。なお、後述する自立運転モードによる起動時(自立系統用リレー断線溶着検知回路24による自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着の検知時)には、LPF51の遮断周波数fcは、自立運転時における蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(スイッチSsdが1の位置のときの自立系統電圧esd)と出力電流ispの周波数である自立系統周波数fsdに設定される。
上記のLPF51からの出力値である交流電圧は、α相の瞬時交流電圧eαとして、二乗和平方根算出器53とAPF52に入力される。APF52は、交流入力信号の位相角度を調整するためのフィルタであり、LPF51から入力されたα相の瞬時交流電圧eαについて、その電圧の大きさを保持し、位相を(π/2)遅延させて、β相の瞬時交流電圧eβとして出力する。つまり、ここでは、APF52は、α相の瞬時交流電圧eαからβ相の瞬時交流電圧eβを求めるために、用いられている。二乗和平方根算出器53は、LPF51から入力されたα相の瞬時交流電圧eαと、APF52から入力されたβ相の瞬時交流電圧eβとの二乗和の平方根の値(√(eα 2+eβ 2))を計算して、この計算結果を、瞬時自立系統電圧最大値Emaxとして出力する。LPF51は、請求項における第1のローパスフィルタに相当する。
次に、図8を参照して、上記の出力電流振幅瞬時値検出回路19の制御ブロックについて説明する。出力電流振幅瞬時値検出回路19は、LPF(Low Pass Filter)61(第2のローパスフィルタ)と、APF(All Pass Filter)62と、二乗和平方根算出器63とを備えている。LPF61は、入力された出力電流isp(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流)からのノイズ除去用のディジタル・ローパスフィルタである。このLPF61の遮断周波数fcは、上記の出力電圧振幅瞬時値検出回路18のLPF51の遮断周波数fcと同様に、系統連系運転モードによる起動時には、商用系統周波数fuwに設定される。このLPF61の遮断周波数fcを商用系統周波数fuwに設定した理由も、出力電圧振幅瞬時値検出回路18のLPF51の遮断周波数fcを商用系統周波数fuwに設定した理由と同じであり、出力電流ispから基本周波数(商用系統周波数)成分以上の高調波成分(ノイズ)を除去して、瞬時出力電流最大値Imaxを正確に求めるためである。なお、自立運転モードによる起動時には、LPF61の遮断周波数fcは、上記の出力電圧振幅瞬時値検出回路18のLPF51の遮断周波数fcと同様に、自立系統周波数fsdに設定される。
上記のLPF61からの出力値である交流電流は、α相の瞬時交流電流iαとして、二乗和平方根算出器63とAPF62に入力される。APF62は、交流入力信号の位相角度を調整するためのフィルタであり、LPF61から入力されたα相の瞬時交流電流iαについて、その電流の大きさを保持し、位相を(π/2)遅延させて、β相の瞬時交流電流iβとして出力する。つまり、ここでは、APF62は、α相の瞬時交流電流iαからβ相の瞬時交流電流iβを求めるために、用いられている。二乗和平方根算出器63は、LPF61から入力されたα相の瞬時交流電流iαと、APF62から入力されたβ相の瞬時交流電流iβとの二乗和の平方根の値(√(iα 2+iβ 2))を計算して、この計算結果を、瞬時出力電流最大値Imaxとして出力する。LPF61は、請求項における第2のローパスフィルタに相当する。
図6中の(2)及び(3)の期間における溶着判定では、断線溶着検知回路16は、まず、皮相電力変化量検出回路20を用いて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)から、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態(商用電力系統3に接続した状態)に切り替えた時における、皮相電力の変化量を検出する。この検出において、皮相電力変化量検出回路20は、まず、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態(商用電力系統3に接続した状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔV(請求項における「第2の瞬時電圧振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、下記の式(10)及び(12)に基づいて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、図6中の(2)及び(3)の期間において、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVを算出する。
次に、皮相電力変化量検出回路20は、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態(商用電力系統3に接続した状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔI(請求項における「第2の瞬時電流振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、下記の式(11)及び(13)に基づいて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、図6中の(2)及び(3)の期間において、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIを求める。
そして、皮相電力変化量検出回路20は、上記のΔVとΔIとに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態から、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態に切り替えた時における、皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvを求める(算出する)。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、下記の式(14)に示すように、上記のΔVとΔIとの積を2で割って、皮相電力の変化量ΔSinvを求める。ここで、ΔVとΔIとの積を2で割ったものを、皮相電力の変化量ΔSinvとしている理由は、皮相電力が、電圧の実効値と電力の実効値の積であり、電圧の実効値と電流の実効値は、それぞれ、電圧の振幅の(1/√2)と電流の振幅の(1/√2)だからである。
断線溶着検知回路16は、式(14)により算出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swのうち、商用電力系統3に接続させていない方のリレーの溶着の判定(検知)を行う。具体的には、断線溶着検知回路16は、下記の式(15)に示すように、上記の皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvが、閾値d・ΔSrated(ただし、dは、比例定数)以上である時に、系統連系用リレーSu、Swのうち、商用電力系統3に接続させていない方のリレーが溶着していると検知する。ここで、ΔSratedは、蓄電ハイブリッド発電システム1の定格皮相電力を示す。
より詳細に言うと、図6中の(2)の期間における溶着判定では、断線溶着検知回路16は、上記の皮相電力の変化量ΔS
invが、閾値d・ΔS
rated以上である時に、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない方のリレーS
wが、溶着していると検知する。また、図6中の(3)の期間における溶着判定では、断線溶着検知回路16は、上記の皮相電力の変化量ΔS
invが、閾値d・ΔS
rated以上である時に、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない方のリレーS
uが、溶着していると検知する。上記(2)及び(3)の期間における溶着判定において、断線溶着検知回路16が、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない方のリレーが溶着していると判定した場合は、制御回路7は、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転を停止する。
図6中の(4)の期間における断線判定では、断線溶着検知回路16は、上記図5中のS3の調整処理の終了後に、まず、皮相電力変化量検出回路20を用いて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(解列状態)から、系統連系用リレーSu、Swの両方をオンにした状態(連系状態)に切り替えた時における、皮相電力の変化量を検出する。この検出において、皮相電力変化量検出回路20は、まず、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swの両方をオンにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔV(請求項における「第1の瞬時電圧振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記の式(10)及び(12)に基づいて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、図6中の(4)の期間において、系統連系用リレーSu、Swの両方をオンにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVを算出する。
次に、皮相電力変化量検出回路20は、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(解列状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swの両方をオンにした状態(連系状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔI(請求項における「第1の瞬時電流振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記の式(11)及び(13)に基づいて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、図6中の(4)の期間において、系統連系用リレーSu、Swの両方をオンにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIを求める。
そして、皮相電力変化量検出回路20は、上記のΔVとΔIとに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(解列状態)から、系統連系用リレーSu、Swの両方をオンにした状態(連系状態)に切り替えた時における、皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvを求める(算出する)。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記のΔVとΔIを用いて、上記の式(14)により、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
断線溶着検知回路16は、式(14)により算出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swのいずれかが断線しているか否かを検知する。具体的には、断線溶着検知回路16は、上記の式(16)に示すように、上記の皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvが、閾値d・ΔSrated(ただし、dは、比例定数)未満である時に、系統連系用リレーSu、Swのうち、少なくともいずれかが断線していると検知する。
断線溶着検知回路16が上記の系統連系用リレーSu、Swの断線を検知した場合には(図5のS4でNO)、制御回路7は、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転を停止する(図5のS5)。なお、上記の式(10)及び(11)において、kは、k次(k回目)のサンプリング周期を示す。また、式(10)において、Emax(k−n)は、k次(k回目)のサンプリング周期のn回前のサンプリング周期における瞬時自立系統電圧最大値Emaxを示し、式(11)において、Imax(k−n)は、k次(k回目)のサンプリング周期のn回前のサンプリング周期における瞬時出力電流最大値Imaxを示す。本実施形態では、式(10)及び(11)におけるbを、インバータ5のスイッチング周波数の0.5倍の値に設定し、cを、インバータ5のスイッチング周波数に設定した。従って、式(10)により算出される(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgは、k次(k回目)のサンプリング周期の値を現在値とした場合における、0.5秒前から1秒前までの0.5秒間の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値に相当し、式(11)により算出される(c−b+1)回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgは、k次(k回目)のサンプリング周期の値を現在値とした場合における、0.5秒前から1秒前までの0.5秒間の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値に相当する。
図5のS4の検知処理で、系統連系用リレーSu、Swの溶着又は断線を検知しなかった場合は(S4でYES)、制御回路7(主に、起動制御回路13)は、スイッチSGridを0の位置に、系統連系用リレーSu、Swをオンにして、自立運転から系統連系運転に切り替え(S6)、図2の上部に示される系統連系運転時の制御を行う。
上記図6中の(2)〜(4)の断線・溶着の検知処理をまとめると、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、系統連系用リレーSu、Swを解列状態から連系状態に切り替えた時における、皮相電力変化量検出回路20により検出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線を検知し、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)状態から、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態に切り替えた時における、皮相電力変化量検出回路20により検出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swのうち、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方の系統連系用リレーの溶着を検知する。
本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1では、系統連系運転制御に移行する直前の蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅である系統連系運転前振幅と、商用系統電圧euwの振幅Esd.maxとの間に、意図的に、振幅差ΔEを設けた。そして、この振幅差ΔEを小さな値に設定した場合でも、系統連系用リレーSu、Swが解列状態から連系状態になった瞬間(系統連系用リレーSu、Swのうちの片方が溶着している状態で、もう片方の系統連系用リレーを商用電力系統3に接続させた状態に切り替えた瞬間も含む)に、出力電流ispの振幅(最大値)は、大きく変化するので、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の実効値と出力電流ispの実効値との積である皮相電力の変化量ΔSinvも大きく変化する。従って、系統連系用リレーSu、Swを解列状態から連系状態に切り替えた時における皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線を検知し、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態から、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態に切り替えた時における皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swのうち、オンにしていない方の系統連系用リレーの溶着を検知することにより、これらの断線・溶着の検知を確実に行うことができる。
ここで、系統連系用リレーの溶着を検知する技術は、上記特許文献4にも記載されているが、特許文献4に記載された技術では、LCフィルタ回路のコンデンサに流れる電流と商用系統電圧との位相差に基づいて、系統連系用リレーが溶着しているか否かを検出するので、商用系統電圧の歪み率が高い場合には、系統連系用リレーの溶着を正確に判定することが難しい。つまり、特許文献4に記載された溶着判定方法を採用した電力変換装置は、商用系統電圧の歪み率が高い場所に設置された場合には、系統連系用リレーの溶着検知において、誤検知する可能性が高い。
上記の特許文献4に記載された技術と異なり、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1では、図6中の(2)〜(4)の断線・溶着の検知処理において、入力された自立系統電圧esdから商用系統周波数fuw以上の高調波成分を除去するように設定されたLPF51を備える出力電圧振幅瞬時値検出回路18によって検出された瞬時自立系統電圧最大値Emaxと、入力された出力電流ispから商用系統周波数fuw以上の高調波成分を除去するように設定されたLPF61を備える出力電流振幅瞬時値検出回路19によって検出された瞬時出力電流最大値Imaxとを用いて、皮相電力の変化量ΔSinvを求める(算出する)ようにした。これにより、商用系統電圧が歪んでも、皮相電力の変化量ΔSinvを正確に検知することができるので、この皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方の系統連系用リレーの溶着や、系統連系用リレーSu、Swのうちの少なくともいずれかの断線を、正確に検知することができる。
しかも、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1における図6中の(2)〜(4)の断線・溶着の検知処理では、上記のように、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の実効値と出力電流ispの実効値との積である皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線や溶着を検知するようにした。これにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の変化量のみに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線や溶着を検知する場合や、出力電流ispの変化量のみに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線や溶着を検知する場合と比べて、商用系統電圧が歪んだ場合でも、系統連系用リレーSu、Swの断線や溶着を確実に検知することができる。
次に、図9のフローチャートを参照して、本蓄電ハイブリッド発電システム1における、自立運転モードの起動時の制御の流れについて、説明する。自立運転モードの起動時には、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、起動制御回路13)は、自立負荷Rloadに電力供給する前に、まず、スイッチSGridを1の位置、スイッチSsdを1の位置、系統連系用リレーSu、Swをオフ、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wをオフにして、自立運転制御を行い、自立運転時振幅調整回路25によって、自立系統電圧esdの最大値Esd.max(振幅)を、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstに合わせる制御を行うことにより、インバータ5からの出力電圧の一定制御を行う(S11)。自立運転制御の開始から所定時間が経過して(S12でYES)、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)が、本来の自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstにまで達すると、制御回路7(主に、起動制御回路13と自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、図10に示すような、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのオン・オフの切り替えと、PWM制御部34に出力するEnable信号とDisable信号との切り替えを行って、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着とを検知する(図9のS13)。
具体的には、図10において、(1)の期間には、制御回路7(の自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wを、いずれも、オフにした状態で、両方の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wが溶着しているか否かを検知する。また、(2)の期間には、制御回路7(の自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、自立系統用リレーSstd.uのみをオンに切り替えて、自立系統用リレーSstd.wをオフにしたままの状態で、自立系統用リレーSstd.wが溶着しているか否かを検知する。また、(2)の期間の終了から所定期間Tdlyが経過すると、制御回路7(の自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、(3)の期間において、自立系統用リレーSstd.uをオフに、自立系統用リレーSstd.wをオンにして、自立系統用リレーSstd.uが溶着しているか否かを検知する。すなわち、上記(2)及び(3)の期間では、制御回路7(の自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、自立負荷Rloadに接続させていない方の自立系統用リレーが溶着しているか否かを検知する。そして、(3)の期間の終了から所定期間Tdlyが経過すると、制御回路7(の自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、(4)の期間において、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのいずれかが断線しているか否かを検知する。
次に、上記の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着・断線の具体的な検知方法について、説明する。まず、図10中の(1)の期間に行われる溶着判定の方法について説明する。図10中の(1)の期間に入ると、制御回路7(の自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、図10に示すように、PWM制御部34からのPWM信号の出力を許可し、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)で、装置出力電流値算出回路23により算出された出力電流ispの値に基づいて、両方の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wが溶着しているか否かを検知する。
より詳細に説明すると、まず、制御回路7(の通過電流値推定回路22)は、PWM制御部34からのPWM信号を出力している状態で、出力電圧値検出回路26によって検出された自立系統電圧esdの値に基づいて、上記の式(6)により、コンデンサCfに流れる電流(コンデンサ通過電流)icの値を推定(算出)する。次に、制御回路7(の装置出力電流値算出回路23)が、上記の式(7)により、出力電流値検出回路21によって検出されたインバータ出力電流iinvの値と、式(6)によって算出されたコンデンサ通過電流icの値とに基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispの値を算出する。図6中の(1)の期間に行われる溶着検知時と異なり、図10中の(1)の期間に行われる溶着検知時には、PWM制御部34からのPWM信号が出力されているので、インバータ出力電流iinv及びコンデンサ通過電流icの値は、0にはならないが、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方がオフになっているので、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方が溶着していなければ、出力電流ispの値は0になるはずである。従って、制御回路7(主に、自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、式(7)により求めた出力電流ispの絶対値|isp|が、下記の式(18)により求めた閾値Ichk.std以上であるか否かに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方に溶着状態が発生しているか否かを判定することができる。
具体的には、制御回路7(主に、自立系統用リレー断線溶着検知回路24)は、式(18)に示すように、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
* cstを基準にして、上記の閾値I
chk.stdを算出して、出力電流i
spの絶対値|i
sp|が、式(18)及び(19)により求めた閾値I
chk.std以上である場合に、自立系統用リレーS
std.u、S
std.wの両方に溶着状態が発生していると判定する。
上記の閾値Ichk.stdの算出式(18)における分子(2πfsdCfE* cst(=ωsdCfE* cst))は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方がオンしたときに、コンデンサCfに流れる電流(コンデンサ通過電流)icの最大値を示す。なお,式(18)及び(19)におけるxは、検出レベル用の閾値Ichk.stdの設定係数である。
次に、図10中の(2)及び(3)の期間における溶着判定の方法について説明する。(2)及び(3)の期間における溶着判定では、自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、まず、皮相電力変化量検出回路20を用いて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)から、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態(自立負荷Rloadに接続させた状態)に切り替えた時における、皮相電力の変化量を検出する。
上記の検出において、皮相電力変化量検出回路20は、まず、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態(自立負荷Rloadに接続させた状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔV(請求項における「第4の瞬時電圧振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記の式(10)及び(12)に基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、図10中の(2)及び(3)の期間において、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVを算出する。
次に、皮相電力変化量検出回路20は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態(自立負荷Rloadに接続させた状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔI(請求項における「第4の瞬時電流振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記の式(11)及び(13)に基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、図10中の(2)及び(3)の期間において、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIを求める。
そして、皮相電力変化量検出回路20は、上記のΔVとΔIとに基づき、上記の式(14)を用いて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態から、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態に切り替えた時における、皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvを求める(算出する)。
自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、式(14)により算出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、自立負荷Rloadに接続させていない方の自立系統用リレーの溶着の判定(検知)を行う。具体的には、図10中の(2)の期間における溶着判定では、自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、上記の式(15)に示すように、上記の皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvが、閾値d・ΔSrated(ただし、dは、比例定数)以上である時に、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、オンにしていない方のリレーSstd.wが、溶着していると検知する。また、図10中の(3)の期間における溶着判定では、自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、上記の皮相電力の変化量ΔSinvが、閾値d・ΔSrated以上である時に、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、オンにしていない方のリレーSstd.uが、溶着していると検知する。上記(2)及び(3)の期間における溶着判定において、自立系統用リレー断線溶着検知回路24が、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、オンにしていない方のリレーが溶着していると判定した場合は、制御回路7は、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転を停止する。
図10中の(4)の期間における断線判定では、自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、まず、皮相電力変化量検出回路20を用いて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadと蓄電ハイブリッド発電システム1とが接続されていない状態(以下、「非接続状態」という))から、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(自立負荷Rloadと蓄電ハイブリッド発電システム1とが接続されている状態(以下、「接続状態」という))に切り替えた時における、皮相電力の変化量を検出する。
上記の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wを非接続状態から接続状態に切り替えた時における、皮相電力の変化量の検出において、皮相電力変化量検出回路20は、まず、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(非接続状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(接続状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔV(請求項における「第3の瞬時電圧振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記の式(10)及び(12)に基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、図10中の(4)の期間において、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVを算出する。
次に、皮相電力変化量検出回路20は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(非接続状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(接続状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔI(請求項における「第3の瞬時電流振幅差」)を求める。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記の式(11)及び(13)に基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去の(c−b+1)回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、図10中の(4)の期間において、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、直近の瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIを求める。
そして、皮相電力変化量検出回路20は、上記のΔVとΔIとに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(非接続状態)から、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(接続状態)に切り替えた時における、皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvを求める(算出する)。具体的には、皮相電力変化量検出回路20は、上記のΔVとΔIを用いて、上記の式(14)により、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、式(14)により算出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのいずれかが断線しているか否かを検知する。具体的には、自立系統用リレー断線溶着検知回路24は、上記の式(16)に示すように、上記の皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvが、閾値d・ΔSrated(ただし、dは、比例定数)未満である時に、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、少なくともいずれかが断線していると検知する。
自立系統用リレー断線溶着検知回路24が上記の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線を検知した場合には(図9のS13でNO)、制御回路7は、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転を停止する(図9のS14)。
上記図10中の(2)〜(4)の期間における溶着・断線の判定処理では、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wを切り替えた時における、皮相電力の変化量(皮相電力の差)ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着・断線を判定するようにしたので、自立負荷Rloadの容量や接続状態に関わらず、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着・断線を確実に判定することができる。
本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1において、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着・断線を確実に判定することができる理由について、詳述する。本蓄電ハイブリッド発電システム1における図10中の(2)〜(4)の断線・溶着の検知処理では、上記のように、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の実効値と出力電流ispの実効値との積である皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線や溶着を検知するようにした。これにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の変化量のみに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線や溶着を検知する場合や、出力電流ispの変化量のみに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線や溶着を検知する場合と比べて、自立系統電圧esdや出力電流ispが歪んだ場合でも、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線や溶着を確実に検知することができる。
また、本蓄電ハイブリッド発電システム1では、図10中の(2)〜(4)の期間における溶着・断線の検知処理において、入力された自立系統電圧esdから基本周波数(自立系統周波数fsd)以上の高調波成分を除去するように設定されたLPF51を備える出力電圧振幅瞬時値検出回路18によって検出された瞬時自立系統電圧最大値Emaxと、入力された出力電流ispから自立系統周波数fsd以上の高調波成分を除去するように設定されたLPF61を備える出力電流振幅瞬時値検出回路19によって検出された瞬時出力電流最大値Imaxとを用いて、皮相電力の変化量ΔSinvを求める(算出する)ようにした。これにより、自立系統電圧esdや出力電流ispが歪んだ場合でも、皮相電力の変化量ΔSinvを正確に検知することができるので、この皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方の自立系統用リレーの溶着や、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの少なくともいずれかの断線を、より正確に検知することができる。
上記図9のS13の検知処理で、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着又は断線を検知しなかった場合は(S13でYES)、制御回路7(主に、起動制御回路13)は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wをオンにして、蓄電ハイブリッド発電システム1を自立負荷Rloadに接続し、本来の自立運転(自立負荷Rloadに交流電力を供給するための自立運転)を開始する。
上記の本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1の起動時の制御方法には、5つの特徴がある。1つ目の特徴は、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3と連系する前に、自立運転制御を行うことである。起動直後に、商用電力系統3と連系すると、起動時において、いきなり商用系統電圧euwがコンデンサCfに印加されて、コンデンサCfへの印加電圧が急増するので、コンデンサCfに突入電流が流れるおそれがある。これに対して、商用電力系統3と連系する前に、上記図3に示されるように、スイッチSsdを1の位置にセットして、ソフトスタートで自立運転制御を行うと、コンデンサCfへの印加電圧が徐々に増加するので、商用電力系統3と連系する際に、コンデンサCfに突入電流が流れるおそれをなくすことができる。
2つ目の特徴は、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3と連系する前に、図3に示されるスイッチSsdを0の位置にセットして、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅(自立系統電圧esdの振幅)を、徐々に、商用系統電圧euwの振幅Euw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅に合わせるフィードバック制御を行うことである。3つ目の特徴は、系統連系運転の開始前、又は本来の自立運転の開始前に、コンデンサCfに流れる電流(コンデンサ通過電流)icの値を推定し、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispのレベルを捉えて、系統連系用リレーSu、Swの両方の溶着状態の検知、又は自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方の溶着状態の検知を行うことである。4つ目の特徴は、系統連系運転の開始前、又は本来の自立運転の開始前に、系統連系用リレーSu、Sw又は自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのオン・オフを切り替えた時における皮相電力の変化状態(皮相電力の変化量ΔSinv)を捉えて、系統連系用リレーSu、Sw又は自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの不良(断線・溶着)の有無を確認することである。
本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、上記のような起動時の制御方法を採用することにより、従来のような突入電流防止回路を設けることなく、装置の起動時に系統連系運転を行うときにおける、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサCfへの突入電流を抑制して、系統連系用リレーSu、Swに流れる電流の急増を防ぐことができる。また、本蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、装置の起動時に自立運転を行うときにおける、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wに流れる電流の急増を防ぐことができる。さらにまた、本蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、系統連系運転モードの起動時には、商用電力系統3と連系する前に、系統連系用リレーSu、Swの断線状態と溶着状態を確実に検知することができ、自立運転モードの起動時には、自立負荷Rloadとの接続前に、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線状態と溶着状態を確実に検知することができる。また、本蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、上記図6の(2)〜(4)及び図10の(2)〜(4)の期間における断線・溶着の検知処理において、入力された自立系統電圧esdから基本周波数(商用系統周波数fuw又は自立系統周波数fsd)以上の高調波成分を除去するように設定されたLPF51を用いて検出した瞬時自立系統電圧最大値Emaxと、入力された出力電流ispから基本周波数(商用系統周波数fuw又は自立系統周波数fsd)以上の高調波成分を除去するように設定されたLPF61を用いて検出された瞬時出力電流最大値Imaxとを用いて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出し、この皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、上記の断線・溶着の検知を行うようにした。これにより、系統連系運転モードの起動時に、商用系統電圧euが歪んでいる場合でも、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着を正確に検知することができ、また、自立運転モードの起動時に、自立系統電圧esdが歪んでいる場合でも、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着を正確に検知することができる。
上記の系統連系運転モードの起動時の制御方法の効果を確認するために、系統連系用リレーSuを溶着させた上で、交流模擬電源を用いて、蓄電ハイブリッド発電システム1の起動時の実験検証を行った。なお、この起動時の実験は、上記の系統連系運転モードの起動時の制御方法を採用した場合における、コンデンサCfへの突入電流の抑制効果と、系統連系用リレーSu、Swの溶着の確認効果とを、一度に確認するためのものである。
図11は、実験上のパラメータの設定値を示す。図11中のTdは、デッドタイム(インバータ5の各スイッチング素子SW1〜SW4における上アームと下アーム(例えば、スイッチング素子SW1とスイッチング素子SW3)を両方ともオフにする時間)を示す。また、図11中のスイッチング周波数は、インバータ5の各スイッチング素子SW1〜SW4のスイッチング周波数を示し、THDvは、商用系統電圧に見立てた交流模擬電源電圧euwの総合歪み率である。
この実験では、上記の式(10)〜(14)を用いて算出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づく溶着検知方法が、商用系統電圧euwが歪んだ場合でも、有効であることを確認するために、図11に示す商用系統電圧(実際には、交流模擬電源電圧)euwの総合歪み率THDvを、25.6%に設定して、片方の系統連系用リレーSuの溶着検知の実験検証を行った。図12は、片方の系統連系用リレーSuを溶着させた状態で、この実験(図6中の(3)の溶着検知の実験)を行った時の、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される電圧(自立系統電圧)esd、商用系統電圧euw、及び出力電流ispの波形を示す。図12において、自立系統電圧esdを、一点鎖線で示し、商用系統電圧euwを、実線で示している。また、図12において、出力電流ispを、破線で示している。図12中のグラフの右の方の部分(系統連系用リレーSuをオフにし、系統連系用リレーSwをオンにした後の部分)では、自立系統電圧esdの波形と商用系統電圧euwの波形は、ほぼ重なっている。なお、図12において、縦軸は、電圧(V)と電流(A)を示し、横軸は、時間t(秒)を示す。この実験において、系統連系用リレーSuをオフにし、系統連系用リレーSwをオンにした瞬間に、上記の式(10)〜(15)に示す検出方法により、系統連系用リレーSuの溶着を検知することができた。
この実験では、図12に示されるように、系統連系用リレーSuをオフにし、系統連系用リレーSwをオンにした瞬間に、出力電流(逆潮流電流)ispが、スパイク状の突入電流となった。ここで、出力電流ispがスパイク状の突入電流になった理由は、上記の(スイッチSsdが0の位置のときにおける)自立系統電圧esdと商用系統電圧euwとの振幅差ΔE(10V)を設けため、系統連系用リレーSuをオフにし、系統連系用リレーSwをオンにした瞬間に、コンデンサCfに、上記の振幅差ΔEに起因する電流が流れてしまい、その結果、瞬時突入電流が流れてしまうからである。ただし、振幅差ΔEは、上記のように小さい値(10V)に設定されているため、図12に示されるように、発生する瞬時突入電流は、24Aまでの値である。このレベルの瞬時突入電流が発生しても、インバータ5のスイッチング素子SW1〜SW4の最大許容電流を超えないので、インバータ5を含む蓄電ハイブリッド発電システム1全体が、正常に動作する。
上記の実験の結果、上記の式(10)〜(14)を用いて算出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づく溶着検知によって、商用系統電圧euwが歪んでいる場合でも、系統連系用リレーSuの溶着を正確に検知することができることを確認することができた。また、本蓄電ハイブリッド発電システム1では、図3に示される制御方法で、起動時に蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅と位相を調整するので、通常の(図5のS4で系統連系用リレーSu、Swの溶着又は断線を検知しなかった場合の)系統連系運転モードの起動時において、系統連系運転に切り替える時(系統連系用リレーSu、Swをオンにする瞬間)にも、上記の実験において系統連系用リレーSu、Swを切り替えた瞬間と同様に、コンデンサCfに流れる電流を、振幅差ΔEに起因する電流のみに抑えることができる。従って、上記の実験では、本蓄電ハイブリッド発電システム1が、通常の系統連系運転モードの起動時において、系統連系運転に切り替える時(系統連系用リレーSu、Swをオンにする瞬間)にも、コンデンサCfへの突入電流を抑制することができることを確認することができた。
また、上記の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着の検知方法の有効性を確認するために、自立系統用リレーSstd.uを溶着させた上で、蓄電ハイブリッド発電システム1の自立運転モードの起動時における、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着確認の実験検証を行った。図13は、この実験の結果を示す。この図13は、図12と異なり、片方のリレー(自立系統用リレーSsd.u)を溶着させた状態で、もう一方のリレー(自立系統用リレーSsd.w)をオンにする前の波形を含まず、片方のリレー(自立系統用リレーSsd.u)を溶着させた状態で、もう一方のリレー(自立系統用リレーSsd.w)をオンにした後の波形のみを示す。自立負荷Rloadが、非線形負荷(この実験では、非線形負荷として整流器を用いた)を含む場合は、図13に示されるように、自立系統電圧esd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)は、相当歪む。また、この場合には、図13に示されるように、出力電流ispも正弦波の状態にはならないため、出力電流ispの変化を捉えて、自立系統用リレーSsd.uの溶着を検知することは、難しい。
しかしながら、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1における、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線・溶着の検知方法によれば、自立系統電圧esd及び出力電流ispが歪んでいる場合でも、皮相電力の変化を捉えることで、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着を正確に検知することができる。ここで、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1における自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線・溶着の検知方法により正確な検知をすることができる理由には、この断線・溶着の検知方法において、断線・溶着の判定に用いられる皮相電力の変化量ΔSinvが、LPF51、61を用いて高調波成分を除去した自立系統電圧esd及び出力電流ispに基づいて算出されるという理由も含まれる。
上記の実験の結果、上記の式(10)〜(14)を用いて算出した皮相電力の変化量ΔSinvに基づく溶着検知によって、自立系統電圧esd及び出力電流ispが歪んでいる場合でも、自立系統用リレーSstd.uの溶着を正確に検知することができることを確認することができた。
上記のように、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、装置の起動時に系統連系運転を行うとき(系統連系運転モードによる装置の起動時)には、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、所定の値から段階的に増加させて、商用系統電圧euwの振幅Euw.maxと所定範囲内の振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に合わせてから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するようにした。これにより、この装置を商用電力系統3に接続した時に、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられた(インバータ5の出力側に設けられた)コンデンサCfに印加される電圧の増加分を、上記の振幅差ΔEにすることができるので、装置の起動時に、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサCfに印加される電圧が、0Vから商用系統電圧euwに急増することを防ぐことができる。従って、上記の振幅差ΔEを、商用系統電圧euwと比較して十分に小さな値(本実施形態では、10V)に設定することにより、突入電流防止回路を設けることなく、装置の起動時に系統連系運転を行う時における、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサCfへの突入電流を抑制して、系統連系用リレーSu、Swに流れる電流の急増を防ぐことができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、装置の起動時に系統連系運転を行うとき(系統連系運転モードによる装置の起動時)には、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着の検知を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するようにした。これにより、装置の起動時に、系統連系運転を開始する前に、系統連系用リレーSu、Sw(インバータ5の出力側に設けられた外部接続用のスイッチ)の断線と溶着を確認することができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、系統連系用リレーSu、Swを切り替えた時における、蓄電ハイブリッド発電システム1からの皮相電力の変化量に基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着を検知するようにした。これにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の変化量のみに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着を検知する場合や、出力電流ispの変化量のみに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着を検知する場合と比べて、系統連系用リレーSu、Swの断線や溶着を確実に検知することができる。
さらに、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、制御回路7(の断線溶着検知回路16)が、系統連系用リレーSu、Swを解列状態から連系状態に切り替えた時における皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線を検知し、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)状態から、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態に切り替えた時における皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swのうち、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方の系統連系用リレーの溶着を検知するようにした。ここで、系統連系用リレーSu、Swが解列状態から連系状態(片方の系統連系用リレーが溶着している状態で、もう片方の系統連系用リレーを商用電力系統3に接続させた状態も含む)になった瞬間に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispの振幅は、大きく変化するので、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の実効値と出力電流ispの実効値との積である皮相電力の変化量ΔSinvも大きく変化する。従って、上記のように系統連系用リレーSu、Swを切り替えた時における皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線の検知と、系統連系用リレーSu、Swのうち、オンにしていない方の系統連系用リレーの溶着の検知を行うことにより、商用系統電圧が歪んだ場合でも、これらの系統連系用リレーSu、Swの断線や溶着の検知を正確に行うことができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、皮相電力変化量検出回路20は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅の瞬時値である瞬時自立系統電圧最大値Emaxと、出力電流ispの振幅の瞬時値である瞬時出力電流最大値Imaxとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出するようにした。これにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の実効値に基づいて算出した出力電圧の振幅Esd.maxと、出力電流ispの実効値に基づいて算出した出力電流ispの振幅Isp.max(下記の式(22)参照)とに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する場合と比べて、皮相電力の変化量ΔSinvの算出に要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、所定回数分(過去の(c−b+1)回分)の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgとを用いて、電圧振幅差の絶対値ΔVと電流振幅差の絶対値ΔIとを算出し、これらのΔVとΔIとに基づいて皮相電力の変化量ΔSinvを算出するようにした。これにより、瞬時自立系統電圧最大値Emax及び瞬時出力電流最大値Imaxだけを用いて、電圧振幅差の絶対値ΔVと電流振幅差の絶対値ΔIとを算出した場合と比べて、正確な皮相電力の変化量ΔSinvを算出することができるので、系統連系用リレーSu、Swや自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの不良(断線と溶着)を誤検知する確率を減らすことができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、出力電圧振幅瞬時値検出回路18は、自立系統電圧esd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)からのノイズ除去用のLPF51を備え、出力電流振幅瞬時値検出回路19は、出力電流ispからのノイズ除去用のLPF61を備えるようにした上で、LPF51とLPF61の遮断周波数fcを、系統連系運転モードによる起動時(断線溶着検知回路16による系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着の検知時)には、商用系統周波数fuwに設定し、自立運転モードによる起動時(自立系統用リレー断線溶着検知回路24による自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着の検知時)には、自立系統周波数fsdに設定するようにした。これにより、系統連系運転モードによる起動時には、商用系統電圧が歪んでも、皮相電力の変化量ΔSinvを正確に検知することができるので、この皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方の系統連系用リレーの溶着や、系統連系用リレーSu、Swのうちの少なくともいずれかの断線を、正確に検知することができる。また、自立運転モードによる起動時には、自立系統電圧esdや出力電流ispが歪んだ場合でも、皮相電力の変化量ΔSinvを正確に検知することができるので、この皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方の自立系統用リレーの溶着や、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの少なくともいずれかの断線を、正確に検知することができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続させていない状態)で、装置出力電流値算出回路23により算出された出力電流ispの値に基づいて、両方の系統連系用リレーSu、Swが溶着しているか否かを検知するようにした。これにより、出力電流ispの値を直接検出する必要がなく、しかも、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態では、両方の系統連系用リレーSu、Swが溶着している場合と、系統連系用リレーSu、Swの少なくとも一方が溶着していない場合とでは、出力電流ispの差が大きくなるので、両方の系統連系用リレーSu、Swの溶着を確実に検知することができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、装置の起動時に、自立運転を行うとき(自立運転モードによる起動時)には、自立運転時振幅調整回路25によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、0から段階的に増加させて、自立運転時の電圧である自立系統電圧esdの振幅の指令値E* cstに合わせてから、蓄電ハイブリッド発電システム1を自立負荷Rloadに接続して、自立運転を開始するようにした。これにより、装置の起動時に自立運転を行うとき(自立運転モードによる起動時)における、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.w(インバータ5の出力側に設けられた外部接続用のスイッチ)に流れる電流の急増を防ぐことができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、装置の起動時に、自立運転を行うとき(自立運転モードによる起動時)には、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着の検知を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を自立負荷Rloadに接続して、自立運転を開始するようにした。これにより、装置の起動時に、自立運転を開始する前に、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.w(インバータ5の出力側に設けられた外部接続用のスイッチ)の断線と溶着を確認することができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、自立運転モードによる起動時に、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(非接続状態)から、両方をオンにした状態(接続状態)に切り替えた時における皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線を検知し、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)から、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態(自立負荷Rloadに接続させた状態)に切り替えた時における、皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、自立負荷Rloadに接続させていない方の自立系統用リレーの溶着を検知するようにした。これにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の変化量のみに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線や溶着を検知する場合や、出力電流ispの変化量のみに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線や溶着を検知する場合と比べて、自立系統電圧esdや出力電流ispが歪んだ場合でも、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線や溶着を確実に検知することができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、自立系統用リレー断線溶着検知回路24が、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)で、装置出力電流値算出回路23により算出された出力電流ispの値に基づいて、両方の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wが溶着しているか否かを検知するようにした。これにより、出力電流ispの値を直接検出する必要がなく、しかも、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)では、両方の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wが溶着している場合と、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの少なくとも一方が溶着していない場合とでは、出力電流ispの差が大きくなるので、両方の自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの溶着を確実に検知することができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、制御回路7(の起動制御回路13)が、装置の起動時に、系統連系運転を行うときは、位相角調整回路15によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(スイッチSsdが0の時の自立系統電圧esd)の位相角を、商用系統電圧euwの位相角θuwに合わせてから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するように制御する。これにより、上記の蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(スイッチSsdが0の時の自立系統電圧esd)について、上記の商用系統電圧euwの振幅Euw.maxに合わせた振幅調整をするだけではなく、商用系統電圧euwの位相角θuwに合わせた位相角度の調整も行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始することができる。従って、蓄電ハイブリッド発電システム1が商用電力系統3と連系する際に、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサCfに印加される電圧の変動をさらに抑えることができるので、コンデンサCfへの突入電流をさらに抑制して、系統連系用リレーSu、Swに流れる電流の急増を防ぐことができる。
変形例:
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。次に、本発明の変形例について説明する。
変形例1:
上記の実施形態では、図3に示される蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅の調整制御において、スイッチSsdを1の位置にセットして、自立系統電圧esdの最大値(振幅)Esd.maxを、自立系統電圧esdの最大値の指令値E* cstに合わせてから、スイッチSsdを0の位置に切り替えて、自立系統電圧esdの最大値(振幅)Esd.maxを、系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に合わせるようにした。けれども、図5に示される起動時の制御において、S1の自立運転処理を行わず、図14に示されるように、装置の起動直後に、スイッチSsdを0の位置にセットして、自立系統電圧esdの最大値(振幅)Esd.maxを、0から徐々に増加させて、上記の系統連系運転前振幅(Euw.max−ΔE)に合わせるようにしてもよい(図14のS21)。この場合、図3に示される振幅の調整制御において、スイッチSsdを0の位置にセットした時に、自立系統電圧esdの最大値(振幅)Esd.max、及び一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E* sd.max(k−1)の初期値は、0にセットされる。
上記図14に示される制御を行った場合も、図5に示される制御を行った場合と同様に、装置の起動時にソフトスタートの効果を得ることができる。
なお、図14におけるS22、S23、及びS24のステップは、それぞれ、図5におけるS4、S5、及びS6のステップに相当する。
変形例2:
上記の実施形態では、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着を検知するために、制御回路7は、装置の起動後に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧esd)の振幅Esd.maxと、商用電圧振幅検出回路11で検出された商用系統電圧euwの振幅Euw.maxとの振幅差が、所定の値(ΔE=10V)になるように、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を調整したが、制御回路(振幅調整回路)は、装置の起動後に、上記の振幅差が、所定範囲内の値(例えば、5Vから15Vまでの範囲内の値)になるように、蓄電ハイブリッド発電システムからの出力電圧の振幅を調整してもよい。この構成においても、LCフィルタを構成するコンデンサへの突入電流を抑制することができる。
変形例3:
上記の実施形態では、請求項における「コンデンサ」が、LCフィルタ6を構成するコンデンサCfである場合の例を示したが、請求項における「コンデンサ」は、これに限られず、インバータと商用電力系統との間に接続されたコンデンサ、又はインバータと自立負荷との間に接続されたコンデンサであればよい。
変形例4:
上記の実施形態では、本発明の電力変換装置が、太陽光発電用の蓄電ハイブリッド発電システム1である場合の例について説明した。けれども、本発明の適用対象となる電力変換装置は、これに限られず、風力発電装置等の多種多様な分散型電源用のDC/DCコンバータと、電力貯蔵装置用の双方向DC/DCコンバータとを備えた、他の種類の蓄電ハイブリッド発電システムにも適用することができる。また、本発明の適用対象となる電力変換装置は、必ずしも、分散型電源及び電力貯蔵装置を備えたものに限られず、外付けの分散型電源及び電力貯蔵装置と接続して、蓄電ハイブリッド発電システムを構成するものであってもよい。
変形例5:
上記の実施形態では、式(10)〜(14)に示すように、瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差(電圧振幅差)の絶対値ΔVと、瞬時出力電流最大値I
maxの平均値I
avgと直近の瞬時出力電流最大値I
maxとの差(電流振幅差)の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔS
invを算出した。けれども、皮相電力の変化量ΔS
invの算出方法は、これに限られず、例えば、上記の式(1)〜(4)、及び下記の式(20)〜(22)に示すように、瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと直近の自立系統電圧e
sdの最大値E
sd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVや、瞬時出力電流最大値I
maxの平均値I
avgと直近の出力電流i
spの最大値I
sp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIに基づいて、皮相電力の変化量ΔS
invを算出してもよい。但し、この場合、系統連系用リレーや自立系統用リレーの断線・溶着を判定するまでの時間は、最短で、自立系統電圧e
sdの波形の半周期(半サイクル)の期間である。
次に、図15を参照して、変形例5における断線・溶着検知方法の例について説明する。図15は、変形例5及び変形例6における概略のシステム構成の例を示す。この図15は、制御回路7が、出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxを検出する装置出力電流振幅検出回路70を備えている点以外は、図1と同じである。この例では、系統連系運転モードの起動時における(断線溶着検知回路16による)系統連系用リレーSu、Swの断線の検知時には、皮相電力変化量検出回路20は、系統連系用リレーSu、Swを解列状態にして出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swを連系状態にして装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、系統連系用リレーSu、Swを解列状態にして出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swを連系状態にして装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出(検出)する。
また、断線溶着検知回路16により、系統連系用リレーSu、Swのうち、商用電力系統3に接続させていない方のリレーの溶着を検知する時には、皮相電力変化量検出回路20は、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態(商用電力系統3に接続した状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出(検出)する。
また、自立運転モードの起動時における(自立系統用リレー断線溶着検知回路24による)自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線検知時には、皮相電力変化量検出回路20は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(非接続状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(接続状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
また、自立系統用リレー断線溶着検知回路24により、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、自立負荷Rloadに接続させていない方の自立系統用リレーの溶着を検知する時には、皮相電力変化量検出回路20は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態(自立負荷Rloadに接続させた状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、過去複数回分の瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
変形例6:
上記の実施形態では、式(10)に示す瞬時自立系統電圧最大値Emaxの平均値Eavgを用いて、電圧振幅差の絶対値ΔVを算出し、式(11)に示す瞬時出力電流最大値Imaxの平均値Iavgを用いて、電流振幅差の絶対値ΔIを算出した。けれども、電圧振幅差の絶対値ΔV、及び電流振幅差の絶対値ΔIの算出方法は、これに限られず、例えば、下記の式(23)に示す自立系統電圧esdの最大値Esd.maxの平均値Eavgを用いて、電圧振幅差の絶対値ΔVを算出し、下記の式(24)に示す出力電流ispの最大値Isp.maxの平均値Iavgを用いて、電流振幅差の絶対値ΔIを算出してもよい。式(23)により算出される平均値Eavgは、z次(z回目)のサンプリング周期のeサイクル前からfサイクル前までの間の自立系統電圧の最大値Esd.maxの平均値である。従って、例えば、商用系統周波数が50Hzの場合、f=100、e=50に設定すると、Eavgは、z次(z回目)のサンプリング周期(半サイクル)の値を現在値とした場合における、0.5秒前から1秒前までの0.5秒間の自立系統電圧の最大値Esd.maxの平均値に相当する。この点は、式(24)により算出される平均値Iavgについても同様である。
そして、電圧振幅差の絶対値ΔVの算出は、式(23)により求めた平均値E
avgを、上記の式(12)に代入して、自立系統電圧の最大値E
sd.maxの平均値E
avgと直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値を求める方法で行ってもよいし、式(23)により求めた平均値E
avgを、上記の式(20)に代入して、自立系統電圧の最大値E
sd.maxの平均値E
avgと直近の自立系統電圧の最大値E
sd.maxとの差の絶対値を求める方法で行ってもよい。また、電流振幅差の絶対値ΔIの算出は、式(24)により求めた平均値I
avgを、上記の式(13)に代入して、出力電流i
spの最大値I
sp.maxの平均値I
avgと直近の瞬時出力電流最大値I
maxとの差の絶対値を求める方法で行ってもよいし、式(24)により求めた平均値I
avgを、上記の式(21)に代入して、出力電流i
spの最大値I
sp.maxの平均値I
avgと直近の出力電流i
spの最大値I
sp.maxとの差の絶対値を求める方法で行ってもよい。なお、式(23)におけるzは、式(3)を用いて、装置出力電圧振幅検出回路17により、自立系統電圧e
sdの波形の半周期(半サイクル)毎に算出された、自立系統電圧e
sdの最大値E
sd.maxのサンプリング値である。また、式(24)におけるzは、式(22)を用いて、装置出力電流振幅検出回路70により、出力電流i
spの波形の半周期(半サイクル)毎に算出された、出力電流i
spの最大値I
sp.maxのサンプリング値である。
より詳細に言うと、この変形例6では、系統連系運転モードの起動時における系統連系用リレーSu、Swの断線・溶着の検知時には、以下のいずれかの皮相電力の変化量ΔSinvの算出方法を用いる。
一つ目の算出方法では、皮相電力変化量検出回路20は、(断線溶着検知回路16による)系統連系用リレーSu、Swの断線検知時には、系統連系用リレーSu、Swを解列状態にして装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swを連系状態にして出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、(直近の)瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、系統連系用リレーSu、Swを解列状態にして装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swを連系状態にして出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、(直近の)瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。また、断線溶着検知回路16により、系統連系用リレーSu、Swのうち、商用電力系統3に接続させていない方のリレーの溶着を検知する時には、皮相電力変化量検出回路20は、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態(商用電力系統3に接続した状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、(直近の)瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、(直近の)瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
また、二つ目の算出方法では、皮相電力変化量検出回路20は、(断線溶着検知回路16による)系統連系用リレーSu、Swの断線検知時には、系統連系用リレーSu、Swを解列状態にして装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swを連系状態にして装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、系統連系用リレーSu、Swを解列状態にして装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swを連系状態にして装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。また、断線溶着検知回路16により、系統連系用リレーSu、Swのうち、商用電力系統3に接続させていない方のリレーの溶着を検知する時には、皮相電力変化量検出回路20は、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態(商用電力系統3に接続した状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、系統連系用リレーSu、Swの両方をオフにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、系統連系用リレーSu、Swのうちの片方だけをオンにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
また、変形例6では、自立運転モードの起動時における自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線・溶着の検知時には、以下のいずれかの皮相電力の変化量ΔSinvの算出方法を用いる。
一つ目の算出方法では、皮相電力変化量検出回路20は、(自立系統用リレー断線溶着検知回路24による)自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線検知時には、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(非接続状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(接続状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、(直近の)瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(接続状態)で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、(直近の)瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。また、自立系統用リレー断線溶着検知回路24により、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、自立負荷Rloadに接続させていない方の自立系統用リレーの溶着を検知する時には、皮相電力変化量検出回路20は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態(自立負荷Rloadに接続させた状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、(直近の)瞬時自立系統電圧最大値Emaxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態で出力電流振幅瞬時値検出回路19により検出した、(直近の)瞬時出力電流最大値Imaxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
また、二つ目の算出方法では、皮相電力変化量検出回路20は、(自立系統用リレー断線溶着検知回路24による)自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線検知時には、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(非接続状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態(接続状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオンにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。また、自立系統用リレー断線溶着検知回路24により、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうち、自立負荷Rloadに接続させていない方の自立系統用リレーの溶着を検知する時には、皮相電力変化量検出回路20は、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態(自立負荷Rloadに接続させていない状態)で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、過去複数回分の出力電圧の振幅Esd.maxの平均値Eavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態で装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、(直近の)出力電圧の振幅Esd.maxとの電圧振幅差の絶対値ΔVと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの両方をオフにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、過去複数回分の出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxの平均値Iavgと、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wのうちの片方だけをオンにした状態で装置出力電流振幅検出回路70により検出した、(直近の)出力電流ispの最大値(振幅)Isp.maxとの電流振幅差の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔSinvを算出する。
変形例7:
上記の実施形態では、式(10)〜(14)に示すように、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差(電圧振幅差)の絶対値ΔVと、過去複数回分の瞬時出力電流最大値I
maxの平均値I
avgと直近の瞬時出力電流最大値I
maxとの差(電流振幅差)の絶対値ΔIとに基づいて、皮相電力の変化量ΔS
invを算出した。けれども、図16に示すように、制御回路7が、皮相電力の瞬時値(以下、「瞬時皮相電力」という)を検出する皮相電力瞬時値検出回路80を有するようにして、皮相電力変化量検出回路20が、皮相電力瞬時値検出回路80により検出した過去複数回分の瞬時皮相電力の平均値S
avgと、皮相電力瞬時値検出回路80により検出した直近の瞬時皮相電力S
uwとの差の絶対値を算出することにより、皮相電力の変化量ΔS
invを求めてもよい。具体的には、皮相電力瞬時値検出回路80が、図7に示されるLPF51とAPF52から出力されたαβ相の瞬時交流電圧e
α、e
βと、図8に示されるLPF61とAPF62から出力されたαβ相の瞬時交流電流i
α、i
βとを用いて、下記の式(25)、(26)、及び(27)により、瞬時有効電力P
uw、瞬時無効電力Q
uw、及び瞬時皮相電力S
uw を求める。そして、皮相電力変化量検出回路20が、式(28)を用いて、皮相電力瞬時値検出回路80により検出した過去の(c−b+1)回分の瞬時皮相電力の平均値S
avgを算出し、式(29)を用いて、この瞬時皮相電力の平均値S
avgと、皮相電力瞬時値検出回路80により検出した直近の瞬時皮相電力S
uwとの差の絶対値を算出することにより、皮相電力の変化量ΔS
invを求める。
変形例8:
上記の実施形態では、出力電圧振幅瞬時値検出回路18及び出力電流振幅瞬時値検出回路19におけるディジタル・ローパスフィルタ(LPF51及びLPF61)の遮断周波数fcを、商用系統周波数fuw又は自立系統周波数fsdに設定したが、LPF51及びLPF61の遮断周波数fcを、スイッチングノイズ除去の面も考慮した値に設定してもよい。例えば、LPF51及びLPF61の遮断周波数fcを、スイッチング周波数の10分の1以下の値に設定してもよい。
変形例9:
上記の実施形態では、図7に示す出力電圧振幅瞬時値検出回路18における全ての回路をディジタル回路で構成して、ディジタルフィルタ(LPF51及びAPF52)からの出力値と、マイコンの割り込み処理のプログラムの演算結果(二乗和平方根算出器53による計算結果)から、瞬時自立系統電圧最大値Emaxを求めたが、出力電圧振幅瞬時値検出回路18を構成するディジタル回路(LPF51、APF52、及びピーク値検出回路(本実施形態の二乗和平方根算出器53))の少なくとも一部をアナログ回路で置き換えて、アナログ回路の出力から瞬時自立系統電圧最大値Emaxを求めてもよい。また、図8に示す出力電流振幅瞬時値検出回路19についても、この回路を構成する全てのディジタル回路(LPF61、APF62、及びピーク値検出回路(本実施形態の二乗和平方根算出器63))の少なくとも一部をアナログ回路で置き換えて、アナログ回路の出力から瞬時出力電流最大値Imaxを求めてもよい。
変形例10:
上記の実施形態では、系統連系運転モードによる起動と自立運転モードによる起動とを有し、系統連系運転モードによる起動時には、系統連系用リレーの断線溶着検知を行い、自立運転モードによる起動時には、自立系統用リレーの断線溶着の検知を行う蓄電ハイブリッド発電システムについて説明したが、本発明は、これに限られず、系統連系運転モードのみを有する電力変換装置に本発明を適用して、起動時の系統連系用リレーの断線溶着検知を行ってもよいし、自立運転モードのみを有する電力変換装置に本発明を適用して、起動時の自立系統用リレーの断線溶着検知を行ってもよい。
変形例11:
上記の実施形態では、制御回路7が、いわゆるマイコンを用いて構成されている場合の例を示したが、制御回路7は、これに限られず、例えば、システムLSIであってもよい。
変形例12:
上記の実施形態では、図6中の(2)〜(4)の期間における断線・溶着検知処理において、断線溶着検知回路16が、系統連系用リレーSu、Swを切り替えた時における、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、系統連系用リレーSu、Swの断線と溶着を検知し、図10中の(2)〜(4)の期間における断線・溶着検知処理において、自立系統用リレー断線溶着検知回路24が、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wを切り替えた時における、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される皮相電力の変化量ΔSinvに基づいて、自立系統用リレーSstd.u、Sstd.wの断線と溶着を検知するようにした。けれども、本発明は、これに限られず、例えば、断線溶着検知回路や自立系統用リレー断線溶着検知回路が、系統連系用リレーや自立系統用リレーを切り替えた時における、(蓄電ハイブリッド発電システムから出力される)電圧、電流、有効電力、無効電力等の変化量に基づいて、系統連系用リレーや自立系統用リレーの断線と溶着を検知するようにしてもよい。