そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、爪の衝突を防止するとともに、表裏の見当ずれの発生を防止することができる印刷機の駆動制御装置及び印刷機の駆動制御方法を提供することを課題とする。
本発明に係る印刷機の駆動制御装置は、枚葉紙を搬送しながら該枚葉紙の一方の面を印刷するための複数の胴を搬送方向に配置して構成される本機と、該本機により印刷された枚葉紙が受け渡されて該枚葉紙の他方の面を印刷すべく該枚葉紙を反転させて該本機に受け渡すための複数の胴を有する反転機構と、を備え、前記本機に用いる複数の胴は、機械的に連動連結されており、該複数の胴が第1駆動源により同期運転され、前記反転機構に用いる複数の胴のうちの1つの胴は、前記第1駆動源とは異なる第2駆動源により駆動され、前記本機に用いる複数の胴のうちの1つの胴の回転位置情報を検出する本機側検出手段と、前記第2駆動源により駆動される反転機構側の胴の回転位置情報を検出する反転機構側検出手段と、前記本機側検出手段からの回転位置情報と前記反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように前記第1駆動源に対して前記第2駆動源を駆動させる駆動制御手段と、前記本機側検出手段からの回転位置情報と前記反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が前記設定値以上の場合に、前記第1駆動源及び前記第2駆動源の駆動を停止する停止手段と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、駆動制御手段により、本機側検出手段からの回転位置情報と反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように第1駆動源に対して第2駆動源を駆動制御する。本機側検出手段からの回転位置情報と反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が設定値以上の場合に、停止手段により、第1駆動源及び第2駆動源の駆動を停止することによって、本機を構成する胴と反転機構を構成する胴とにおいて、爪の衝突を防止するとともに、表裏の見当ずれを防止することができる。
また、本発明に係る印刷機の駆動制御装置は、枚葉紙を搬送しながら該枚葉紙の一方の面を印刷するための複数の胴を搬送方向に配置して構成される本機と、該本機により印刷された枚葉紙が受け渡されて該枚葉紙の他方の面を印刷すべく該枚葉紙を反転させて該本機に受け渡すための複数の胴を有する反転機構と、を備え、前記本機に用いる複数の胴は、機械的に連動連結されており、該複数の胴が第1駆動源により同期運転され、前記反転機構に用いる複数の胴のうちの1つの胴は、前記第1駆動源とは異なる第2駆動源により駆動され、前記本機に用いる複数の胴のうちの1つの胴の回転位置情報を検出する本機側検出手段と、前記第2駆動源により駆動される反転機構側の胴の回転位置情報を検出する反転機構側検出手段と、前記本機側検出手段からの回転位置情報と前記反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように前記第1駆動源に対して前記第2駆動源を駆動させる駆動制御手段と、前記本機側検出手段からの回転位置情報と前記反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が前記設定値以上の場合に、前記第1駆動源及び前記第2駆動源の駆動を停止する停止手段と、を備え、前記設定値は、前記反転機構に用いる胴のうちの1つの胴の周方向の区間のうち、前記本機からの枚葉紙が該1つの胴に受け渡される受け渡し区間における第1設定値と、前記受け渡し区間を除いた他の区間における第2設定値と、を備え、前記第1設定値は、前記第2設定値よりも小さな値に設定していることを特徴とする。
本発明によれば、駆動制御手段により、本機側検出手段からの回転位置情報と反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように第1駆動源に対して第2駆動源を駆動制御する。本機側検出手段からの回転位置情報と反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が設定値以上の場合に、停止手段により、第1駆動源及び第2駆動源の駆動を停止することによって、本機を構成する胴と反転機構を構成する胴とにおいて、爪の衝突を防止するとともに、表裏の見当ずれを防止することができる。そして、受け渡し区間における第1設定値を、受け渡し区間を除いた区間における第2設定値よりも小さな値に設定しているので、受け渡し時にシビアな制御を行って爪の衝突を確実に防止しながらも、爪の衝突がない区間においてラフな制御を行うことによって、本機及び反転機構の過剰な駆動停止を防止することができる。
また、本発明に係る印刷機の駆動制御装置は、前記第1設定値が、大きさの異なる2つの設定値を備え、前記差が、大きな設定値以上の場合は、前記第1駆動源と前記第2駆動源との同期を解除した状態で前記停止手段が該第1駆動源及び該第2駆動源の駆動を停止するように構成され、前記差が、小さな設定値以上でかつ前記大きな設定値よりも小さい場合は、前記停止手段が前記第1駆動源と前記第2駆動源との同期を維持した状態で前記第1駆動源及び前記第2駆動源を停止するように構成されていることが好ましい。
かかる構成によれば、本機側検出手段からの回転位置情報と反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が、大きな設定値以上の場合は、第1駆動源と第2駆動源との同期を解除した状態で両方の駆動源を停止することによって、本機側の胴と反転機構側の胴とを別々に直ちに停止することができるので、爪が衝突することを確実に防止することができる。また、差が、小さな設定値以上でかつ大きな設定値よりも小さい場合は、第1駆動源と第2駆動源との同期を維持した状態で両方の駆動源を停止しても、爪が衝突することがない。このように停止することによって、再度第1駆動源及び第2駆動源を駆動させる際に、再度両者を同期させる作業を行う手間を不要にすることができる。
また、本発明に係る印刷機の駆動制御装置は、前記反転機構を構成する複数の胴が、前記第2駆動源により駆動され前記本機側の胴からの枚葉紙の前端をくわえて受け取る反転渡し胴と、該反転渡し胴からの枚葉紙の後端をくわえて受け取る反転胴と、を備え、前記第2設定値が、前記反転渡し胴の周方向の区間のうち、前記本機の胴から前記反転渡し胴に受け渡された枚葉紙の後端が該本機の胴から外れるまでの区間における第3設定値と、前記本機の胴から外れて前記反転胴に受け渡す直前までの区間における第4設定値と、を備え、前記第3設定値は、前記第4設定値よりも小さな値に設定されていることが好ましい。
かかる構成によれば、反転渡し胴にてくわえた枚葉紙の後端が本機の胴から外れるまでの区間における第3設定値が、反転渡し胴にてくわえた枚葉紙の後端が本機の胴から外れて反転胴に受け渡す直前までの区間における第4設定値よりも小さな値に設定されていれば、反転渡し胴に受け渡された枚葉紙の後端が本機の胴から外れるまでの間において、枚葉紙の搬送速度変化を抑えることができるので、枚葉紙が不測に姿勢変更して本機の胴に接触して傷付くことを防止することができる。
また、本発明に係る印刷機の駆動制御方法は、枚葉紙を搬送しながら該枚葉紙の一方の面を印刷するための複数の胴を搬送方向に配置して構成される本機と、該本機により印刷された枚葉紙が受け渡されて該枚葉紙の他方の面を印刷すべく該枚葉紙を反転させて該本機に受け渡すための複数の胴を有する反転機構と、を備え、前記本機に用いる複数の胴は、機械的に連動連結されており、該複数の胴が第1駆動源により同期運転され、前記反転機構に用いる複数の胴のうちの1つの胴は、前記第1駆動源とは異なる第2駆動源により駆動される印刷機において、前記本機に用いる複数の胴のうちの1つの胴の回転位置情報を検出する本機側検出ステップと、前記第2駆動源により駆動される反転機構側の胴の回転位置情報を検出する反転機構側検出ステップと、前記本機側検出ステップからの回転位置情報と前記反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように前記第1駆動源に対して前記第2駆動源を駆動させる駆動制御ステップと、前記本機側検出ステップからの回転位置情報と前記反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が前記設定値以上の場合に、前記第1駆動源及び前記第2駆動源の駆動を停止する停止ステップと、を備え、前記本機及び前記反転機構の駆動を制御することを特徴とする。
かかる構成によれば、駆動制御ステップにより、本機側検出ステップからの回転位置情報と反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように第1駆動源に対して第2駆動源を駆動制御する。本機側検出ステップからの回転位置情報と反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が設定値以上の場合に、停止ステップにより、第1駆動源及び第2駆動源の駆動を停止することによって、本機を構成する胴と反転機構を構成する胴とにおいて、爪の衝突を防止するとともに、表裏の見当ずれを防止することができる。
また、本発明に係る印刷機の駆動制御方法は、枚葉紙を搬送しながら該枚葉紙の一方の面を印刷するための複数の胴を搬送方向に配置して構成される本機と、該本機により印刷された枚葉紙が受け渡されて該枚葉紙の他方の面を印刷すべく該枚葉紙を反転させて該本機に受け渡すための複数の胴を有する反転機構と、を備え、前記本機に用いる複数の胴は、機械的に連動連結されており、該複数の胴が第1駆動源により同期運転され、前記反転機構に用いる複数の胴のうちの1つの胴は、前記第1駆動源とは異なる第2駆動源により駆動される印刷機において、前記本機に用いる複数の胴のうちの1つの胴の回転位置情報を検出する本機側検出ステップと、前記第2駆動源により駆動される反転機構側の胴の回転位置情報を検出する反転機構側検出ステップと、前記本機側検出ステップからの回転位置情報と前記反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように前記第1駆動源に対して前記第2駆動源を駆動させる駆動制御ステップと、前記本機側検出ステップからの回転位置情報と前記反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が前記設定値以上の場合に、前記第1駆動源及び前記第2駆動源の駆動を停止する停止ステップと、を備え、前記設定値は、前記反転機構に用いる胴のうちの1つの胴の周方向の区間のうち、前記本機からの枚葉紙が該1つの胴に受け渡される受け渡し区間における第1設定値と、前記受け渡し区間を除いた他の区間における第2設定値と、を備え、第1設定値は、前記第2設定値よりも小さな値に設定して、前記本機及び前記反転機構の駆動を制御することを特徴とする。
かかる構成によれば、駆動制御ステップにより、本機側検出ステップからの回転位置情報と反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が予め設定されている設定値未満になるように第1駆動源に対して第2駆動源を駆動制御する。本機側検出ステップからの回転位置情報と反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が設定値以上の場合に、停止ステップにより、第1駆動源及び第2駆動源の駆動を停止することによって、本機を構成する胴と反転機構を構成する胴とにおいて、爪の衝突を防止するとともに、表裏の見当ずれを防止することができる。そして、受け渡し区間における第1設定値を、受け渡し区間を除いた区間における第2設定値よりも小さな値に設定しているので、受け渡し時にシビアな制御を行って爪の衝突を確実に防止しながらも、爪の衝突がない区間においてラフな制御を行うことによって、本機及び反転機構の過剰な駆動停止を防止することができる。
以上の如く、本発明によれば、本機側検出手段からの回転位置情報と反転機構側検出手段からの回転位置情報との差が設定値以上の場合に、本機及び反転機構の駆動を停止することによって、爪の衝突を防止するとともに、表裏の見当ずれの発生を防止することができる印刷機の駆動制御装置及び印刷機の駆動制御方法を提供することができる。
以下、本発明に係る印刷機の駆動制御装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に、駆動制御装置を備える印刷機を示している。この印刷機は、枚葉紙を印刷部2に向けて給紙する給紙部1と、給紙部1からの枚葉紙を受け取って印刷する印刷部2と、印刷部2で印刷された枚葉紙をストックしておくための排紙部3と、を備えている。
給紙部1は、枚葉紙をストックしておくための印刷前貯留部11と、印刷前貯留部11の枚葉紙を1枚ずつ印刷部2へ給紙する給紙装置としてのフィーダー12と、フィーダー12からの枚葉紙を受け取って搬送する径の小さな渡し胴である給紙胴13と、給紙胴13からの枚葉紙を受け取って印刷部2へ搬送する給紙胴13の2倍の径を有する給紙側渡し胴14と、を備えている。給紙胴13及び給紙側渡し胴14のそれぞれには、爪台と爪とで枚葉紙をくわえて保持するグリッパ(図示せず)及びグリッパを収容するための凹部を備えており、グリッパにより枚葉紙の受け渡しを行うようにしている。また、フィーダー12には、フィーダークラッチ53(図2参照)を備えており、後述する駆動制御手段55によりフィーダークラッチ53をOFFしてフィーダー12の駆動を停止することによって、給紙が停止される。
排紙部3は、印刷部2で一方の面又は両面に印刷がなされた枚葉紙をストックする印刷後貯留部(図示せず)と、印刷部2で前記のように印刷された枚葉紙を印刷後貯留部へ搬送する搬送部(ここではチェーン式の搬送部)31と、を備えている。
印刷部2は、給紙側渡し胴14からの枚葉紙を受け取って搬送する印刷側渡し胴21と、印刷側渡し胴21からの枚葉紙を受け取って図示してしないインキ供給装置からのインキが供給されて一方の面に印刷を行う処理胴22と、を備えている。
印刷部2の下方に、処理胴22により印刷された枚葉紙が受け渡されて枚葉紙の他方の面を印刷すべく枚葉紙を反転させて再び処理胴22に受け渡すための複数の胴を有する反転機構4を備えている。反転機構4は、処理胴22の下方に配置される反転渡し胴41と、印刷側渡し胴21の下方に配置され、反転渡し胴41からの枚葉紙を受け取って反転させる反転胴42と、を備えている。
印刷側渡し胴21は、給紙胴13の略2倍の径を有し、枚葉紙をくわえて保持すべく、爪台と爪とからなるグリッパ21Gの2つが、略180度間隔を置いて印刷側渡し胴21に形成されている2つの凹部21Rにそれぞれ収容されている(図5参照)。また、処理胴22は、給紙胴13の略3倍の径を有し、枚葉紙をくわえて保持すべく、爪台と爪とからなるグリッパ22Gの3つが、略120度の間隔を置いて処理胴22に形成されている3つの凹部22Rにそれぞれ収容されている(図5参照)。
反転渡し胴41は、給紙胴13の略2倍の径を有し、図5に示すように、固定セグメント(以下「前セグメント」と称する)41Aと、反転渡し胴41の回転中心で回動可能な回動セグメント(以下「後セグメント」と称する)41Bと、を有する支持体を、周方向において180度の間隔を置いて2箇所に備えている。各前セグメント41A及び各後セグメント41Bの外周面は、円弧状に形成されているとともに、同一曲面上に配置されている。そして、各前セグメント41A及び各後セグメント41Bが、互いに噛み合うことができる櫛歯状に構成されており、各後セグメント41Bが回動することで、前セグメント41Aに接近して両者が深く噛み合った状態と前セグメント41Aから離間して噛み合いが略解消された状態とに切り替えることができる。従って、反転渡し胴41の回転中心で後セグメント41Bを前セグメント41Aから離間する側へ最大角度回動させて両者の噛み合いを略解消することによって、前セグメント41Aの外周面の周方向長さに後セグメント41Bの外周面の周方向長さを加えた周方向長さが、印刷機が扱う枚葉紙のうちの搬送方向長さが最も長い最大枚葉紙に対応する最長長さに略等しく設定されている(図10参照)。また、後セグメント41Bを前セグメント41Aに深く噛み合うように回動させることによって、前セグメント41Aの外周面に後セグメント41Bの後側の外周面を加えた周方向長さが、印刷機が扱う枚葉紙のうちの搬送方向長さが最も短い最小枚葉紙に対応する最短長さに略等しく設定されている(図5参照)。また、一方の前セグメント41Aの回動方向先端に爪台と爪とからなるグリッパ41Gを備え、処理胴22からの枚葉紙の先端をくわえて保持することができるようにしている。また、一方の前セグメント41Aと対をなす一方の後セグメント41Bの回動方向後端に該一方の前セグメント41Aのグリッパ41Gにより先端がくわえられている枚葉紙の後端を吸着するサッカ41Sを備えている。
反転胴42は、給紙胴13と略同じ径を有する小さな胴から構成され、周方向1箇所に形成された凹部42Rに一対の爪からなるグリッパ42Gを収容している。この反転胴42は、反転渡し胴41が1回転する間に2回転することになる。
ここで、給紙胴13、給紙側渡し胴14、印刷側渡し胴21、処理胴22、反転胴42が、図示していないギヤにより機械的に連動連結され、1つの第1駆動源としての本機モータ5(図2参照)により同期運転するように構成されている。これら同期運転される胴のうち、給紙胴13、給紙側渡し胴14、印刷側渡し胴21、処理胴22から本機を構成している。尚、印刷側渡し胴21には、回転位置情報である回転角度を検出する本機側検出手段としてのエンコーダ(以下、同期元エンコーダと称する)7(図2参照)を備えている。また、反転渡し胴41は、本機モータ5とは異なる第2駆動源としてのサーボモータ6(図2参照)により駆動される。このサーボモータ6には、反転渡し胴41の回転位置情報である回転角度を検出する反転機構側検出手段としてのエンコーダ8(図2参照)を備えている。この反転渡し胴41は、前述したように、反転胴42とで反転機構4を構成し、本機とは別駆動される。尚、本機モータ5をエンコーダを備えるサーボモータから構成することもできる。
印刷機の駆動制御装置のブロック図を、図2に示している。この駆動制御装置は、サーボモータ6を駆動するためのサーボアンプ9と、サーボアンプ9に同期元エンコーダ7及びエンコーダ(サーボモータエンコーダ)8からの回転角度(又は回転位置)の検出情報に基づいて駆動指令信号を出力するためのモーションコントローラ10と、モーションコントローラ10を制御すべくサーボアンプ9からのフィードバック情報に基づいて演算して、マイクロプロセッサ50のインターフェイス51に信号を出力するためのPLC(プログラマブルロジックコントローラ)52と、を備えている。マイクロプロセッサ50には、読み出し専用のROM及び読み書きが可能なRAMが接続されており、PLC52からの信号に基づいてフィーダークラッチ53の入り切り信号や本機モータ5の駆動制御信号をインターフェイス51を介して出力するように構成されている。ここでは、PLC52からマイクロプロセッサ50を介してフィーダークラッチ53及び本機モータ5を制御するようにしているが、マイクロプロセッサ50を含む周辺回路54を省略して、PLC52から直接フィーダークラッチ53及び本機モータ5を制御するようにしてもよい。
PLC52、モーションコントローラ10、サーボアンプ9、同期元エンコーダ7及びエンコーダ8から、駆動制御手段55を構成している。この駆動制御手段55は、同期元エンコーダ7からの回転位置情報(回転角度又は回転位置)とエンコーダ8からの回転位置情報(回転角度又は回転位置)との差が予め設定されている設定値未満になるように本機モータ5に対してサーボモータ6をサーボアンプ9を介して駆動制御する。また、PLC52には、同期元エンコーダ7からの回転位置情報とエンコーダ8からの回転位置情報との差が設定値よりも大きい場合に、本機及び反転機構の反転渡し胴41の駆動を停止する、つまり本機モータ5及びサーボモータ6の駆動を停止する停止手段56を備えている。従って、同期元エンコーダ7からの回転位置情報とエンコーダ8からの回転位置情報との差が設定値以上の場合に、停止手段56により、第1駆動源5及び第2駆動源6の駆動を停止することによって、本機を構成する胴と反転機構を構成する胴とにおいて、爪の衝突を防止するとともに、表裏の見当ずれを防止することができる。
前記設定値は、本機を構成する1つの胴である処理胴22からの枚葉紙が反転機構を構成する反転渡し胴41に受け渡される受け渡し区間(後述するA区間)における第1設定値と、受け渡し区間を除いた区間(後述するB区間とC区間)における第2設定値とを備え、第1設定値は、第2設定値よりも小さな値に設定されている。このように、受け渡し区間における第1設定値を、受け渡し区間を除いた区間における第2設定値よりも小さな値に設定しているので、受け渡し時にシビアな制御を行って爪同士の衝突や胴に爪が衝突することによる爪の衝突を確実に防止しながらも、爪同士の衝突や胴に爪が衝突することがない区間においてラフな制御を行うことによって、本機及び反転機構の過剰な駆動停止を防止することができる。
また、前記第1設定値が、大きさの異なる大小2つの設定値、具体的には図3に示すズレ量規定値E1とズレ量規定値E2(E1>E2)を備え、前記差が、前記大きな設定値であるズレ量規定値E1以上の場合は、第1駆動源である本機モータ5及び第2駆動源であるサーボモータ6を両方のモータ5,6の同期を解除した状態で停止するように構成されている。また、前記差が、前記小さな設定値であるズレ量規定値E2以上でかつ大きな設定値であるズレ量規定値E1よりも小さい場合は、本機モータ5とサーボモータ6を両方のモータ5,6の同期を解除しない状態で停止するように構成されている。前記のように、同期元エンコーダ7からの回転位置情報とエンコーダ8からの回転位置情報との差が、大きな設定値であるズレ量規定値E1以上の場合は、第1駆動源5及び第2駆動源6を両方のモータ5,6の同期を解除した状態で停止することによって、本機側の胴13,14,21,22,42と反転機構側の胴41とを別々に直ちに停止することができるので、爪が衝突することを確実に防止することができる。また、差が、小さな設定値であるズレ量規定値E2以上でかつ大きな設定値であるズレ量規定値E1よりも小さい場合は、第1駆動源5と第2駆動源6とを両方のモータ5,6の同期を維持した状態で停止しても、爪が衝突することがない。このように停止することによって、再度第1駆動源5及び第2駆動源6を駆動させる際に、再度両者を同期させる作業を行う手間を不要にすることができる。
また、第2設定値が、大きさの異なる大小2つの第3設定値と第4設定値と、を備えている。具体的には、図3に示すように、第3設定値であるズレ量規定値E3と第4設定値であるズレ量規定値E4と、を備えている。第3設定値は、本機を構成する処理胴22から反転渡し胴41に前端をくわえて受け渡された枚葉紙の後端(紙尻)が、処理胴22から外れるまでのB区間における設定値(図3ではズレ量規定値E3)である。また、第4設定値は、枚葉紙の後端(紙尻)が処理胴22から外れて反転胴42に該枚葉紙の後端(紙尻)を受け渡す直前までのC区間における設定値(図3ではズレ量規定値E4)である。このC区間は、反転胴42に受け渡した後から反転渡し胴41が処理胴22からの枚葉紙を受け取る直前までの区間もある。ズレ量規定値E3の値は、ズレ量規定値E4の値よりも小さくなるように設定されている(E3<E4)。前記のように、本機の胴の1つである処理胴22から枚葉紙の後端(紙尻)が外れるまでのB区間における第3設定値であるズレ量規定値E3が、処理胴22から枚葉紙の後端(紙尻)が外れて反転胴42に受け渡される直前までのC区間における第4設定値であるズレ量規定値E4よりも小さくなるように設定されている。これにより、反転渡し胴41に受け渡された枚葉紙の紙尻が本機の胴である処理胴22から外れるまでの間において、枚葉紙の搬送速度変化を抑えることができるので、枚葉紙が不測に姿勢変更して本機の胴である処理胴22に接触して傷付くことを防止することができる。
上記のように構成された印刷機を駆動制御装置により駆動制御する過程を、図3のフローチャートに基づいて説明する。ここで、A区間は、枚葉紙の受け渡しを行う区間で、処理胴22から反転渡し胴41への枚葉紙の受け渡しと反転渡し胴41から反転胴42への枚葉紙の受け渡しの2つの区間がある。また、B区間は、枚葉紙が処理胴22から反転渡し胴41に受け渡されてから所定時間経過した後から、枚葉紙の紙尻が処理胴22から外れるまでの区間である。また、C区間は、枚葉紙の受け渡しに無関係な区間で、B区間を外れて反転渡し胴41から反転胴42への枚葉紙の受け渡しを行う直前までの区間と、反転胴42へ枚葉紙の受け渡しを行ってから所定時間経過した後から、処理胴22から反転渡し胴41への枚葉紙の受け渡しを行う直前までの区間の2つの区間がある。まず、枚葉紙が3つの区間A,B,Cのうちのどの区間に位置しているかどうかを判別する。つまり、枚葉紙がA区間に位置しているかどうかを判別し(ステップS1)、A区間に位置している場合には、同期元エンコーダ7からの回転位置情報とエンコーダ8からの回転位置情報との差がズレ量規定値E1以上かどうかを確認する(ステップS2)。前記差がズレ量規定値E1以上である場合には、本機モータ5を停止して本機を構成する胴13,14,21,22,42を停止するとともに、サーボモータ6を停止して反転機構4の反転渡し胴41を停止する(ステップS4)。このサーボモータ6は、本機モータ5との同期を解除した状態で停止するとともにフィーダークラッチ53をOFF(切り)にして枚葉紙の供給を停止して、制御を終了する。前記差がズレ量規定値E1未満である場合には、前記差がズレ量規定値E2以上かどうかを確認する(ステップS3)。前記差がズレ量規定値E2以上でかつズレ量規定値E1未満である場合には、本機モータ5との同期を維持した状態でサーボモータ6を停止して反転機構4の反転渡し胴41を停止するとともにフィーダークラッチ53をOFF(切り)にして枚葉紙の供給を停止し(ステップS5)、制御を終了する。
前記差がズレ量規定値E2未満である場合には、ステップS1に戻ってA区間かどうかを確認する。A区間を通過してB区間に移行すると(ステップS6)、前記差がズレ量規定値E3以上かどうかを確認する(ステップS7)。前記差がズレ量規定値E3以上である場合には、本機モータ5との同期を維持した状態でサーボモータ6を停止して反転機構4の反転渡し胴41を停止するとともにフィーダークラッチ53をOFF(切り)にして枚葉紙の供給を停止し(ステップS5)、制御を終了する。前記差がズレ量規定値E3未満である場合には、ステップS6に戻ってB区間かどうかを確認する。B区間を通過してC区間に移行すると(ステップS8)、前記差がズレ量規定値E4以上かどうかを確認する(ステップS9)。前記差がズレ量規定値E4以上である場合には、本機モータ5との同期を維持した状態でサーボモータ6を停止して反転機構4の反転渡し胴41を停止するとともにフィーダークラッチ53をOFF(切り)にして枚葉紙の供給を停止し(ステップS5)、制御を終了する。前記差がズレ量規定値E4未満である場合には、ステップS8に戻ってC区間かどうかを確認する。
次に、前記A区間からC区間について図4のグラフに基づいて更に説明する。図4では、横軸に本機の同期元エンコーダ7の角度(実際には印刷側渡し胴21の回転角度)を示し、縦軸にサーボモータ6のエンコーダ8の角度を示し、実線が印刷側渡し胴21の回転角度を示し、破線が反転渡し胴41の回転角度を示している。尚、枚葉紙は搬送方向のサイズが最小となる最小紙である。このグラフでは、C区間に入ってから反転渡し胴41の回転速度を遅くすることによって、反転胴42のグリッパ42Gの回転位置に反転渡し胴41でくわえている枚葉紙の紙尻の位置を合わせることで、反転胴42に反転渡し胴41の枚葉紙を渡す。枚葉紙を渡した後は、増速して処理胴22のグリッパ22Gの位置に反転渡し胴41のグリッパ41Gの位置を合わせることになる。まず、図5の反転渡し胴41の回転角度を0度とし、その0度の時に処理胴22からの枚葉紙が反転渡し胴41に受け渡され、その0度から反転渡し胴41が28度回転した時点をA区間としている(図4参照)。B区間は、A区間の終端である28度から98度まで反転渡し胴41が回転した時点である。図6に反転渡し胴41が98度回転した状態を示している。この98度は、枚葉紙の紙尻(終端)が、処理胴22と反転渡し胴41との間から抜け出した角度であり、枚葉紙の紙尻(終端)がばたついても、処理胴22の表面に紙尻(終端)が当接しない角度である。B区間の終端からC区間に移り、220度までが枚葉紙の受け渡しが無いC区間であり、爪の衝突が発生しない区間である。また、C区間に入ってから前記のように、反転渡し胴41の回転速度を遅くして、反転胴42のグリッパ42Gの回転位置に反転渡し胴41でくわえている枚葉紙の紙尻の位置を合わせる区間でもある。C区間が終了すると、A区間に入り、234度回転した時点が反転渡し胴41の枚葉紙の紙尻を反転胴42のグリッパ42Gにて受け取るタイミングである(図7参照)。反転胴42が枚葉紙を受け取るまでの間は、反転渡し胴41の回転を最小紙の長さに合わせて遅い回転速度で回転制御し、枚葉紙を受け取った後は、反転渡し胴41を増速して処理胴22の回転位相に合わせる制御をしている。A区間が終了する252度からC区間に入り、345度回転すると、反転渡し胴41と処理胴22との位相が一致した状態となり、前記0度の紙受け位置まで前述したA区間における制御を行う。尚、図8に、反転渡し胴41が345度の手前の329度回転した状態を示している。
また、図9のグラフでは、搬送方向のサイズが最大となる最大紙の枚葉紙を用いた場合における印刷側渡し胴21の回転角度と反転渡し胴41の回転角度とを示している。この場合、印刷側渡し胴21の回転角度と反転渡し胴41の回転角度とがどの回転位置においても同一になっている。尚、反転渡し胴41でくわえている枚葉紙の紙尻を反転胴42に受け渡す反転渡し胴41の回転角度が前記最小紙と同じ234度である。また、図10に、最大紙を受け取れるように最大紙の長さに対応して後セグメント41Bを前セグメント41Aから最も離間した位置まで回転させた状態の反転渡し胴41を示している。
また、本発明は、印刷機の駆動制御方法を有している。この印刷機の駆動制御方法は、複数の胴のうちの1つの胴である印刷側渡し胴21の回転位置情報を同期元エンコーダ7により検出する本機側検出ステップと、反転機構側の胴である反転渡し胴41の回転位置情報をエンコーダ8により検出する反転機構側検出ステップと、本機側検出ステップからの回転位置情報と反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が予め設定されている設定値以下に入るように第1駆動源である本機モータ5に対して第2駆動源であるサーボモータ6を駆動制御する同期制御ステップと、前記本機側検出ステップからの回転位置情報と前記反転機構側検出ステップからの回転位置情報との差が前記設定値よりも大きい場合には、前記本機及び前記反転機構である反転渡し胴41の駆動を停止する停止ステップと、を備え、前記設定値は、前記本機からの枚葉紙が前記反転機構4の反転渡し胴41に受け渡される受け渡し区間(ここではA区間)における第1設定値と、前記受け渡し区間を除いた区間(ここではB区間とC区間)における第2設定値とを備え、第1設定値は、前記第2設定値よりも小さな値に設定して、前記本機及び前記反転機構の反転渡し胴41の駆動を制御する。
尚、本発明に係る印刷機の駆動制御装置及び駆動制御方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本機を駆動するモータとは異なるモータにより反転胴42を駆動し、反転渡し胴41を本機に連動連結する構成であってもよい。
また、前述した設定値については、枚葉紙の搬送方向のサイズに応じて異ならせてもよい。このようにすると、より精度の高い制御を行うことができる。
前記実施形態では、反転機構4を2つの胴41,42から構成したが、3つ以上の胴から構成してもよい。3つ以上の胴から構成する場合には、1つの胴を第2駆動源で駆動し、他の残りの胴を本機側の胴とギヤを介して連動連結し、第1駆動源により残りの胴と本機側の胴とを同期運転することになる。
また、前記実施形態では、給紙胴13、給紙側渡し胴14、印刷側渡し胴21、処理胴22から本機を構成したが、本機を構成する胴の数及び各胴の具体的構成は、自由に変更することができる。
また、前記実施形態では、第2駆動源としてサーボモータを用いたが、ステッピングモータやパルスモータを用いてもよい。
また、前記実施形態では、第1設定値を、大きさの異なる2つの設定値から構成したが、1つの設定値又は大きさの異なる3つ以上の設定値から構成してもよい。
また、前記実施形態では、第2設定値が、大きさの異なる2つのズレ量規定値E3,E4(E4>E3)から構成したが、1つのズレ量規定値のみから構成してもよいし、3つ以上のズレ量規定値から構成して実施することもできる。
また、前記実施形態では、エンコーダを用いたが、ポテンショメータ、レゾルバ等を用いてもよい。