JP4729287B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のドラムを有し、多色印刷が可能な印刷装置に関する。
この種の従来の印刷装置として、図8及び図9に示すものがある(例えば、特許文献1参照)。
この孔版印刷装置100は、図8に示すように、給紙部101と排紙部102との間に第1印刷部103と第2印刷部104とを備えていると共に、これら第1印刷部103と第2印刷部104との間に中間搬送部105が配置されている。
この第1印刷部103は、第1ドラム106と第1プレスロール107を有する。第1ドラム106の外周面には穿孔製版された孔版原紙108が巻装され、孔版原紙108の内面側には第1色のインクが供給されている。また、第1プレスロール107は、第1ドラム106の外周面を押圧する押圧位置と第1ドラム106の外周面より離間する離間位置との間で変移自在に設けられ、印刷時には第1ドラム106のクランプ部106aが第1プレスロール107に対向する範囲では離間位置に、それ以外の位置では押圧位置に、それぞれ位置するように変移されるようになっている。
第2印刷部104は、第2ドラム109と第2プレスロール110を有する。この第2ドラム109の外周面には穿孔製版された孔版原紙111が巻装され、孔版原紙111の内面側には第2色のインクが供給されている。また、第2プレスロール110は、第1プレスロール107と同様な構成であり、印刷時にはクランプ部109aとの干渉を回避するため離間位置と押圧位置との間を変移するようになっている。
次に、第1ドラム106と第2ドラム109の回転駆動系を説明する。
図9に示すように、第1ドラム106と第2ドラム109は、単一のメインモータ120とこの駆動力を伝達する動力伝達機構121によって回転される。この動力伝達機構121は、メインモータ120の回転によって回転する第1歯車122と、この第1歯車122に噛み合う第2歯車123と、この第2歯車123に噛み合う第1ドラム106のドラム歯車124と、第2歯車123に同軸上で固定された第1プーリ125と、この第1プーリ125に一端が掛けられたタイミングベルト126と、このタイミングベルト126の他端側が掛けられた第2プーリ127と、この第2プーリ127に同軸上で固定された第3歯車128と、この第3歯車128に噛み合う第2ドラム109のドラム歯車129とを備えている。
また、タイミングベルト126には、第1ドラム106と第2ドラム109を結ぶ直線に直交する方向に一対の移動プーリ130,130が掛けられている。この一対の移動プーリ130,130はU及びD方向に移動自在な移動プレート131の両端にそれぞれ支持されている。この移動プレート131にはラック132が固定され、該ラック132にピニオン133が噛み合っている。このピニオン133は天地調整用モータ134の駆動で回転するようになっている。
そして、メインモータ120が回転すると、タイミングベルト126が移動して第1ドラム106及び第2ドラム109が同一方向に同期して回転される。また、天地調整用モータ134が回転すると、移動プレート131がU方向又はD方向に移動し、この移動プレート131の移動によってタイミングベルト126が所定のテンションを維持した状態でベルト掛け状態を変更するべくU方向又はD方向に移動する。このタイミングベルト126の移動によって第1ドラム106と第2ドラム109が共に逆方向に同期して回転される。これにより、第1ドラム106と第2ドラム109の相対的回転位置が変移されるようになっている。
上記孔版印刷装置100の印刷動作を説明する。
孔版原紙108,111が巻装された第1及び第2ドラム106,109は、メインモータ120の回転力を動力伝達機構121が伝達することによって回転され、この回転に同期して給紙部101より印刷用紙140が第1ドラム106と第1プレスロール107間に給紙される。この給紙された印刷用紙140は第1プレスロール107で第1ドラム106の孔版原紙108に押圧されつつ搬送される。この押圧搬送過程で孔版原紙108の穿孔より第1色のインク画像が印刷用紙140に転写される。
第1ドラム106と第1プレスロール107より排出された印刷用紙140は、中間搬送部105によって第2印刷部側104に搬送される。そして、中間搬送部105の最下流より第2ドラム109の回転に同期して第2ドラム109と第2プレスロール110間に給紙される。この給紙された印刷用紙140は第2プレスロール110で第2ドラム109の孔版原紙111に押圧されつつ搬送される。この押圧搬送過程で孔版原紙111の穿孔より第2色のインク画像が印刷用紙140に転写される。第2ドラム109と第2プレスロール110より排出された印刷用紙140は、排紙部102に搬送され、搬送された印刷用紙140が排紙台141に載置される。
上記孔版印刷装置100では、第1ドラム106と第2ドラム109がベルト駆動によって回転させるため、タイミングベルト126の伸びや摩耗等により第1ドラム106と第2ドラム109間にドラム位相変動が発生する。これを解決するため、動力伝達機構を歯車列のみからなる歯車伝達機構によって構成することが考えられる。
特開平11−138961号公報
しかしながら、前記従来の歯車伝達機構では、例えば、第2ドラム109の回転時に負荷変動(例えば第2プレスロール110の離間位置と押圧位置間の変移に基づくもの)があると、歯車間のバックラッシュによって第1ドラム106と第2ドラム109間にドラム位相差バラツキやドラム位相差変動が発生した。このドラム位相差バラツキやドラム位相差変動が発生すると、印刷物に転写ゴーストが発生するという問題があった。
この転写ゴーストが発生する理由を説明すると、第1印刷部103で印刷された印刷用紙140は第2ドラム109に密着されることによって第2印刷部104での印刷がなされるが、その際に印刷用紙140の第1色のインクが完全に乾燥していないために、第2ドラム109に巻装された孔版原紙111に印刷用紙140の第1色のインクが付着する。ドラム位相差バラツキやドラム位相差変動がなければ、孔版原紙111の同一位置に第1色のインクが付着するため、転写ゴーストが発生しない。しかし、印刷ドラム位相差バラツキやドラム位相差変動があると、孔版原紙111の異なる位置に第1色のインクが付着することになる。このインクが次の印刷物に転写されることにより転写ゴーストが発生した。
そこで、本発明は、複数のドラムのドラム位相差バラツキやドラム位相差変動に起因する転写ゴーストの発生を防止できる印刷装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、ドラムと、このドラムを押圧するプレス部材とを有する印刷部を複数配置し、この複数のドラムが歯車列からなる歯車伝達機構を介して同一のモータの駆動力で回転される印刷装置において、前記ドラムの基準回転位置を検出する基準センサと、前記ドラムの回転を検出するエンコーダと、前記歯車伝達機構の動力伝達下流側に配置され、前記基準センサの基準パルスと前記エンコーダのパルス幅とに基づいて算出された前記ドラムの速度変動を前記ドラムの負荷変動として、この負荷変動が生じた負荷変動区間で前記ドラムに回転負荷を与えるブレーキ手段とを設けたことにある。
この印刷装置では、歯車伝達機構にドラムを介してブレーキ手段によって回転負荷を作用させると、ドラムの回転時に負荷変動があってもバックラッシュによるドラム位相差バラツキやドラム位相差変動の発生が抑制される。
この印刷装置では、ドラムの負荷変動区間のみ回転負荷を作用させ、それ以外の区間ではモータへの回転負荷が増大されない。
本発明の第2の特徴は、前記ドラムは、前記歯車伝達機構の動力伝達下流側に配置されたことにある。
本発明の第3の特徴は、前記ブレーキ手段は、前記負荷変動区間の負荷変動量に応じて回転負荷量を制御したことにある。
本発明の第4の特徴は、前記複数の印刷部は、第1ドラム及び第1プレス部材を有する第1印刷部と、第2ドラム及び第2プレス部材を有する第2印刷部との2つであることにある。
本発明の第5の特徴は、前記ブレーキ手段は、電磁ブレーキであることにある。
本発明の第6の特徴は、前記ブレーキ手段は、前記歯車伝達機構の動力伝達下流側に配置されたドラムより更に動力伝達下流側に接続された分離ポンプであることにある。
本発明の第7の特徴は、前記ブレーキ手段は、モータブレーキであることにある。
本発明の第1の特徴によれば、歯車伝達機構にドラムを介してブレーキ手段によって回転負荷を作用させると、ドラムの回転時に負荷変動があってもバックラッシュによるドラム位相差バラツキやドラム位相差変動の発生が抑制される。従って、複数のドラムのドラム位相差バラツキやドラム位相差変動に起因する転写ゴーストの発生を防止できる。
また、ドラムの負荷変動区間のみ回転負荷を作用させるため、モータへの負荷を抑えつつ負荷変動を有効に抑制できる。
本発明の第2の特徴によれば、本発明の第1の特徴による効果と同様の効果が得られる。
本発明の第3の特徴によれば、ドラムの負荷変動量をキャンセルするように回転負荷が作用するため、ドラム位相差バラツキやドラム位相差変動の発生がより効果的に抑制される。
本発明の第4の特徴によれば、2つのドラムを有し、2色印刷ができる装置において、転写ゴーストの発生を防止できる。
本発明の第5の特徴によれば、回転負荷量を調整できる。このため、ドラムの負荷変動量に応じて回転負荷量を制御するのに好適である。
本発明の第6の特徴によれば、印刷用紙の剥離に使用される分離ポンプをブレーキ手段に利用できる。このため、部品点数の増大やコストの増大等を防止しつつ転写ゴーストを抑制
できる。
本発明の第7の特徴によれば、回転負荷量を調整できる。このため、ドラムの負荷変動量に応じて回転負荷量を制御するのに好適である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の印刷装置を孔版印刷装置に適用した場合を示し、図1は孔版印刷装置1の全体概略構成図、図2は歯車伝達機構及びこれに付随した機構の概略構成図、図3は中間歯車の構成図、図4は電磁ブレーキの制御系に関わる箇所の要部ブロック図、図5は各部の出力を示すタイミングチャートである。
図1において、孔版印刷装置1は、原稿読取部(図示せず)と、製版部2と、給紙部3と、第1印刷部4と、中間搬送部5と、第2印刷部6と、排紙部7と、第1排版部8及び第2排版部9とから主に構成されている。
原稿読取部は、装置本体10の上部に設けられ、印刷に供される原稿を画像データとして読み取るようになっている。この読み取った画像データは、第1ドラム25の色インク用と第2ドラム36の色インク用の各製版データとして生成するようになっている。また、製版データは所定の指令(拡大、縮小等)に基づいて加工可能である。
製版部2は、装置本体10に水平移動自在に設けられた製版ユニット11を有し、この製版ユニット11は製版ユニット移動手段(図示せず)によって孔版原紙12を第1ドラムに供給する第1原紙供給位置(図1の仮想線位置)と孔版原紙12を第2ドラムに供給する第2原紙供給位置(図1の実線位置)との間で移動されるようになっている。製版ユニット11は、ロールされた長尺状の孔版原紙12を収容する原紙収容部13と、原紙収容部13に収容された孔版原紙12を搬送下流側にガイドする複数の搬送ロール14と、これら搬送ロール14の搬送下流側に配置されたサーマルヘッド15と、このサーマルヘッド15の対向位置に配置され、ライトパルスモータ(図示せず)の駆動力により回転するプラテンロール16と、プラテンロール16及びサーマルヘッド15に対して孔版原紙12の搬送下流側に配置され、ライトパルスモータの駆動力により回転する一対の原紙送りロール17,17と、この一対の原紙送りロール17,17とプラテンロール15及びサーマルヘッド16との間に配置された原紙カッタ18とを有する。
給紙部3は、印刷媒体である印刷用紙20が積層される給紙台21と、この給紙台21から最上位置の印刷用紙20のみを搬送させる1次給紙ロール22,23と、この一次給紙ロール22,23によって移動された印刷用紙20を後述する第1ドラム25の回転に同期して第1ドラム25と第1プレスロール27間に給紙する一対の2次給紙ロール24,24とを有する。1次給紙ロール22,23や一対の2次給紙ロール24,24には各給紙クラッチ(図示せず)を介してメインモータM1の回転が選択的に伝達されるように構成されている。
また、給紙部3には1次給紙ロール22,23と2次給紙ロール24,24間の用紙搬送経路を検出ポイントとするペーパーセンサS1と、2次給紙ロール24,24と第1ドラム25間の用紙搬送経路を検出ポイントとする2次給紙センサS2が設けられている。このペーパーセンサS1は、1次給紙ロール22,23から印刷用紙20が所定の許容タイミング内に搬送されて来るか否かを検出するようになっている。2次給紙センサS2は、2次給紙ロール24,24から印刷用紙20が所定の許容タイミング内に搬送されて来るか否かを検出するようになっている。
第1印刷部4は、多孔構造によるインク通過性の部材で外周壁25aが構成され、メインモータM1の駆動力によって図1の矢印A方向に回転される第1ドラム25と、この第1ドラム25の外周壁25aに設けられ、孔版原紙12の先端をクランプするクランプ部26と、第1ドラム25内に配置され、外周壁25aの内周面側にスキージロール(図示せず)よりインクを供給する第1インク供給手段(図示せず)と、第1ドラム25の外周壁25aの外側で、且つ、スキージロールに対向する位置に配置されたプレス部材である第1プレスロール27とを備えている。
この第1プレスロール27の構成は、プレス用ソレノイド(図示せず)のオフ状態では第1ドラム25の外周面より離間する離間位置に位置される。また、プレス用ソレノイドのオン状態では第1ドラム25の外周面を押圧可能な位置に位置される。この押圧可能な位置では、カム機構(図示せず)によって第1ドラム25の外周面を押圧する押圧位置と第1ドラム25の外周壁25aより離間する離間位置との間を変位し、第1ドラム25のクランプ部26が第1プレスロール27に対向する回転位置では離間位置に、その以外の回転位置では押圧位置に位置するよう変位されるようになっている。つまり、第1プレスロール27は、印刷時では第1ドラム25のクランプ部26との干渉を回避しつつ第1ドラム25の外周面を押圧するようになっている。
また、第1印刷部4は、第1ドラム25の用紙搬送下流側の近傍に配置された分離爪28と分離ノズル29とを有する。分離爪28は、第1ドラム25の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20の先端との間に挿入されるようになっている。これによって、第1ドラム25の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第1ドラム25の外周面から引き剥がすようになっている。分離爪28の先端部にはエアーノズル(図示せず)が設けられ、このエアーノズルからは第1分離ポンプ50(図2に示す)により先端分離エアーが印刷用紙20の剥離タイミングで吐出されるようになっている。これにより、第1ドラム25の外周面に貼り付いている印刷用紙20の先端を圧縮された先端分離エアーで引き剥がすようになっている。分離ファン30により発生させた分離エアは、分離ノズル29より、第1ドラム25の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20との間に吹き付けられ、この分離エアーによって第1ドラム25の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第1ドラム25の外周面から引き剥がすようになっている。
そして、第1印刷部4は、製版部2から搬送される孔版原紙12の先端をクランプ部26でクランプし、このクランプした状態で第1ドラム25を回転して孔版原紙12を第1ドラム25の外周壁25aに巻装し、第1ドラム25の回転に同期して搬送されて来る印刷用紙20を第1プレスロール27にて第1ドラム25の孔版原紙12に押圧することによって印刷用紙20に孔版原紙12の穿孔部分からインクを転写して第1色の画像を印刷するようになっている。
中間搬送部5は、第1ドラム25の用紙搬送下流側位置と後述する第2ドラム36の用紙搬送上流側位置に配置された一対のベルト掛けプーリ31,31と、この一対のベルト掛けプーリ31,31に掛けられた無限端ベルト32と、この無限端ベルト32の用紙搬送面に印刷用紙20を吸引する吸引ファン33と、無限端ベルト32を移動させるベルト駆動手段(図示せず)とを備えている。また、中間搬送部5は第1ドラム25から剥離された印刷用紙20を受け取り、受け取った印刷用紙20を第2ドラムの回転に同期して第2ドラム36と第2プレスロール38間に給紙するようになっている。
また、中間搬送部5には中間センサS3が設けられている。中間センサS3は、第1印刷部4から印刷用紙20が所定の許容タイミング内に分離されて来るか否かを検出するようになっている。
第2印刷部6は、第1印刷部4と同一構成であり、円筒状の外周壁36aを有し、メインモータM1の駆動力によって図1の矢印B方向に回転する第2ドラム36と、この第2ドラム36の外周壁36aに設けられ、孔版原紙12の先端をクランプするクランプ部37と、第2ドラム36内に配置され、外周壁36aの内周面側にスキージロール(図示せず)よりインクを供給する第2インク供給手段(図示せず)と、第2ドラム36の外周壁36aの外側で、且つ、スキージロールに対向する位置に配置されたプレス部材である第2プレスロール38とを備えている。この第2プレスロール38の構成は、第1プレスロール27と同様であり、説明を省略する。
また、第2印刷部6は、第2ドラム36の用紙搬送下流側の近傍に配置された分離爪39と分離ノズル40とを有する。分離爪39は、第2ドラム36の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20の先端との間に挿入されるようになっている。これにより、第2ドラム36の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第2ドラム36の外周面から引き剥がすようになっている。分離爪39の先端部にはエアーノズル(図示せず)が設けられ、このエアーノズルからは第2分離ポンプ51(図2に示す)により圧縮された先端分離エアーが印刷用紙20の剥離タイミングで吐出されるようになっている。これにより、第2ドラム36の外周面に貼り付いている印刷用紙20の先端を圧縮された先端分離エアーで引き剥がすようになっている。分離ファン41により発生させた分離エアーは、分離ノズル40より、第2ドラム36の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙20との間に吹き付けられ、この分離エアーによって第2ドラム36の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙20を強制的に第2ドラム36の外周面から引き剥がすようになっている。
そして、第2印刷部6は、製版部2から搬送される孔版原紙12の先端をクランプ部37でクランプし、このクランプした状態で第2ドラム36を回転して孔版原紙12を第2ドラム36の外周壁36aに巻装し、第2ドラム36の回転に同期して搬送されて来る印刷用紙20を第2プレスロール38にて第2ドラム36の孔版原紙12に押圧することによって印刷用紙20に孔版原紙12の穿孔部分からインクを転写して第2色の画像を印刷するようになっている。
排紙部7は、第2ドラム36より剥離された印刷用紙20を搬送するベルト搬送機構42と、ベルト搬送機構42より排出された印刷用紙20を載置する排紙台43とを備えている。ベルト搬送機構42は、一対のプーリ42a,42aと、この一対のプーリ42a,42a間に掛けられた無限端ベルト42bと、この無限端ベルト42bの用紙搬送面に印刷用紙20を吸引する吸引ファン42cと、無限端ベルト42bを移動させるベルト駆動手段(図示せず)とを備えており、第2ドラム36より分離された印刷用紙20を排紙台43まで搬送し、排紙台43上に載置するようになっている。また、ベルト搬送機構42には排紙センサS4が設けられている。排紙センサS4は、第2印刷部6から印刷用紙20が所定の許容タイミング内に排出されて来るか否かを検出するようになっている。
第1排版部8は、第1ドラム25に巻装された孔版原紙12の先端がクランプ解除され、このクランプ解除された孔版原紙12を第1ドラム25より引き剥がしながら搬送する一対の排版ロール44,44と、この一対の排版ロール44,44によって搬送されて来る孔版原紙12を収納する排版ボックス45とを有する。
第2排版部9は、第2ドラム36に巻装された孔版原紙12の先端がクランプ解除され、このクランプ解除された孔版原紙12を第2ドラム36より引き剥がしながら搬送する一対の排版ロール46,46と、この一対の排版ロール46,46によって搬送されて来る孔版原紙12を収納する排版ボックス47とを有する。
前記第1ドラム25及び第2ドラム36は、単一のメインモータM1の駆動力が歯車伝達機構52を介して伝達されることによって回転される。歯車伝達機構52にはブレーキ手段である電磁ブレーキ70が接続されている。また、ブレーキ手段である第1及び第2分離ポンプ50,51が歯車伝達機構52から駆動力を得て駆動されるように構成されている。
図2に示すように、歯車伝達機構52は、メインモータM1の回転軸53に固定された第1歯車54と、これに噛み合う第2歯車55と、これに噛み合う第3歯車56と、この第3歯車56に噛み合い、第1ドラム25に固定された第1ドラム歯車57と、第1ドラム歯車57に噛み合う外周ギア部58fを有する中間歯車58と、この中間歯車58の中継ギア部58eに噛み合い、第2ドラム36に固定された第2ドラム歯車64とを備えている。中間歯車58の構成は、後述するが、外周ギア部58fからの回転に対して中継ギア部58eは同一方向に同期して回転されるようになっている。
メインモータM1が回転すると、第1歯車54、第2歯車55、第3歯車56、第1ドラム歯車57の順に回転が伝達されて第1ドラム25が回転されるようになっている。また、第1ドラム歯車57の回転が中間歯車58及び第2ドラム歯車64の順に回転が伝達されて第2ドラム36が回転されるようになっている。これにより、第1ドラム25と第2ドラム36は、同一方向に同期して回転される。
また、歯車伝達機構52には中間歯車58を主要構成部品とする天地調整機構HAが連結されている。この天地調整機構HAは、天地調整用モータM2と、この回転軸に固定されたウォーム歯車59と、このウォーム歯車59に噛み合うウォームホイール60と、これに同軸上で固定された天地用第1歯車61と、この天地用第1歯車61に噛み合う大径ギア部62aを有する天地用第2歯車62と、この天地用第2歯車62の小径ギア部62bに噛み合う天地用第3歯車63と、この天地用第3歯車63が噛み合う天地入力ギア部58cを有する中間歯車58とから構成されている。
中間歯車58は、図3に示すように、支軸58aと、この支軸58aに回転自在に支持された歯車本体58bと、支軸58aに同じく回転自在に支持された天地入力ギア部58cを有している。支軸58aには太陽ギア58dと中継ギア部58eが固定されている。この中継ギア部58eには、前述したように第2ドラム歯車64が噛み合っている。歯車本体58bは回転中心を中心とする円筒部を有し、この円筒部の外周面に外周ギア部58fが、内周面に内周ギア部58gがそれぞれ形成されている。外周ギア部58fに前述したように第1ドラム歯車57が噛み合っている。天地入力ギア部58cの側面には3つの遊星ギア部58hが回転自在に支持されている。各遊星ギア部58hは、太陽ギア部58dと内周ギア部58gにそれぞれ噛み合っている。3つの遊星ギア部58hが固定された天地入力ギア部58cに前述したように天地用第3歯車63が噛み合っている。
そして、天地調整用モータM2が回転すると、ウォーム歯車59、ウォームホイール60、天地用第1歯車61、天地用第2歯車62、天地用第3歯車の順に伝達されて中間歯車58の天地入力ギア部58cが回転されるようになっている。天地入力ギア部58cが回転されると、3つの遊星ギア部58hが回転して内周ギア部58gと太陽ギア部58dが互いに逆方向に回転されるようになっている。これによって、内周ギア部58gの歯車本体58bと太陽ギア部58dの支持軸58aが互いに逆方向に回転し、その結果、第1ドラム25と第2ドラム36が互いに逆方向に回転するようになっている。これにより、第1ドラム25と第2ドラム36の相対的回転位置が可変されるようになっている。
次に、ブレーキ手段である電磁ブレーキ70の接続系と、ブレーキ手段である第1及び第2分離ポンプ50,51の駆動系を説明する。
図2に示すように、第2ドラム36にはドラム負荷歯車65が一体に固定され、このドラム負荷歯車65には負荷用第1歯車66、負荷用第2歯車67、負荷用第3歯車68及び負荷用第4歯車69の順に噛み合っており、この負荷用第4歯車69がブレーキ手段である電磁ブレーキ70の出力軸70aに固定されている。つまり、電磁ブレーキ70の回転負荷は、第2ドラム36に作用するようになっている。
また、負荷用第1歯車66には第1及び第2ポンプ用歯車71,72がそれぞれ噛み合っている。第1ポンプ用歯車71の側面の偏芯位置には、ブレーキ手段である第1分離ポンプ50のクランク部材50aの先端が連結されている。第2ポンプ用歯車72の側面の偏芯位置にはブレーキ手段である第2分離ポンプ51のクランク部材51aの先端が連結されている。つまり、第1及び第2分離ポンプ50,51の各回転負荷は、第2ドラム36に作用するようになっている。そして、第2分離ポンプ51の圧縮区間は第2ドラム36の第2プレスロール38による回転変動区間に一致するように設定されている(図5参照)。また、第1分離ポンプ50の圧縮区間は第1ドラム25の第1プレスロール27による回転変動区間に一致するように設定されている。
次に、電磁ブレーキ70に関わる制御系の概略を図4を用いて説明する。
制御部73は各ドライバ74,75を介してメインモータM1及び電磁ブレーキ70の駆動を制御する。制御部73には、メインモータM1の回転を検出するメインモータエンコーダME、第2ドラム36の回転を検出するエンコーダ76のそれぞれのパルス出力と第2ドラム36の基準回転位置を検出する基準センサ77の検出出力がそれぞれ導かれている。そして、制御部73は、基準センサ77の基準パルスとエンコーダ76もしくはメインモータエンコーダMEの連続パルス出力より、回転角度を算出し、任意の速度変動区間内で電磁ブレーキ70を駆動するように制御する(図5参照)。
次に、上記孔版印刷装置1の2色印刷時の製版、印刷制御動作を説明する。
2色製版モードが選択されると、第1ドラム25側の製版・排版処理が実行される。まず、制御部(図示せず)が第1ドラム25に孔版原紙12が巻装されているか否かをチェックし、巻装されている場合には孔版原紙12を第1ドラム25より取り除き排版ボックス45に排版する。
排版処理が終了すると、原稿読み取り動作により読み取った第1色の製版データに基づき孔版原紙12にサーマルヘッド15にて感熱穿孔する。そして、製版された孔版原紙12の先端を第1クランプ部26でクランプし、このクランプした状態で第1ドラム25が回転されて孔版原紙12が第1ドラム25の外周壁25aに巻装される着版処理が行われる。これで第1ドラム25側の製版動作が終了する。次に、第1ドラム25の製版動作が終了すると、第2ドラム36の製版・排版処理が実行される。まず、製版ユニット11は製版ユニット移動手段(図示せず)によって、第1ドラム25側の第1原紙供給位置から、第2ドラム36側の第2原紙供給位置へと移動される。次に、制御部(図示せず)が第2ドラム36に孔版原紙12が巻装されているか否かをチェックし、巻装されている場合には孔版原紙12を第2ドラム36より取り除き排版ボックス47に排版する。読み取った第2色の製版データに基づき孔版原紙12にサーマルヘッド15にて感熱穿孔する。そして、第1ドラム25と同様に、製版された孔版原紙12が第2ドラム36に巻装される着版処理が行われ、これで第2ドラム36側の製版動作が終了する。
次に、2色印刷モードが選択されると、メインモータ(図示せず)が回転して第1及び第2ドラム25,36が回転され、この回転に同期して給紙部3より印刷用紙20が第1ドラム25に給紙される。この給紙された印刷用紙20は第1プレスロール27で第1ドラム25の孔版原紙12に押圧されることによって印刷用紙20に第1色の画像が印刷される。第1色の画像が印刷された印刷用紙20は第1ドラム25の外周面より分離爪28、先端分離エアー及び分離エアーによって剥離されて中間搬送部5に導かれる。中間搬送部5では、印刷用紙20を無限端ベルト32の移動で搬送し、フラップ部材34より印刷用紙20を第2ドラム36に給紙する。この給紙された印刷用紙20は第2プレスロール38で第2ドラム36の孔版原紙12に押圧されることによって印刷用紙20に第2色の画像が印刷される。第2色の画像が印刷された印刷用紙20は第2ドラム36の外周面より分離爪39、先端分離エアー及び分離エアーによって剥離されてベルト搬送機構42に導かれる。ベルト搬送機構42では、印刷用紙20を無限端ベルト42bの移動で搬送し、ベルト搬送機構42の最下流より排紙台43に排出される。排紙台43に排紙された印刷用紙20はここに積層状態で載置される。
上記した印刷動作過程にあって、図5に示すように、第2プレスロール38が押圧位置から離間位置にカム機構によって変位する際に、カム機構より第2ドラム36側の回転負荷を加算する方向の回転負荷が作用する。また、第2プレスロール38が離間位置から押圧位置にカム機構によって変位する際に、カム機構より第2ドラム36側の回転負荷を減算する方向の回転負荷が作用する。これにより、第2ドラム36の回転速度が変動し、この速度変動する任意の角度区間を、基準センサ77とエンコーダ76もしくはメインモータエンコーダMEで検出し、この速度変動区間で電磁ブレーキ70を駆動する。また、このタイミングで第2分離ポンプ51が圧縮区間に入る。
このように歯車伝達機構52に第2ドラム36を介して電磁ブレーキ70及び第2分離ポンプ51によって回転負荷が作用する。すると、第2ドラム36の回転時に負荷変動があってもバックラッシュによるドラム位相差バラツキやドラム位相差変動の発生が抑制される。つまり、電磁ブレーキ70及び第2分離ポンプ51によって回転負荷を作用させなかった場合には第2ドラム36の回転変動が図5にて仮想線で示すものとなるのに、電磁ブレーキ70及び第2分離ポンプ51によって回転負荷を作用させることにより第2ドラム36の回転変動が図5にて実線で示すものとなる。これにより、第1ドラム25と第2ドラム36のドラム位相差バラツキやドラム位相差変動に起因する転写ゴーストの発生を防止できる。
この実施形態では、ブレーキ手段である電磁ブレーキ70及び第2分離ポンプ51は、第2ドラム36の負荷変動区間で第2ドラム36に回転負荷を作用させるので、これらの回転負荷が常時メインモータMの負荷にならないため、メインモータM1への負荷を抑えつつ第2ドラム36の負荷変動を有効に抑制できる。
この実施形態では、ブレーキ手段は電磁ブレーキ70及び第2分離ポンプ51の2つであるが、いずれか一方のみとしても良い。また、この実施形態では、印刷用紙20の剥離に使用される第2分離ポンプ51をブレーキ手段に利用したので、部品点数の増大やコストの増大等を防止しつつ転写ゴーストを抑制できる。さらに、ブレーキ手段はモータブレーキにて構成しても良い。
この実施形態では、第2ドラム36の回転を検出するエンコーダ76を有し、このエンコーダ76のパルス幅より第2ドラム36の速度変動を検出し、この速度変動を第2ドラム36の負荷変動とし、第2ドラム36の回転時の実際の負荷変動に基づいて第2ドラム36に回転負荷を作用させる構成にしてもよい。
次に、前記実施形態のブレーキ動作の変形例を図6及び図7を用いて説明する。図6はブレーキ制御の概略を示すブロック図、図7は第2ドラム36の速度変動特性とこれに基づくPWM信号の特性線図とPWM信号に基づくブレーキトルクの特性線図である。
図6に示すように、エンコーダ76及び基準センサ77によって第2ドラム36の実際速度を算出し、この実際速度と理想速度(基準速度)を比較し、その速度偏差を算出する。この速度偏差量の大きさに応じてブレーキパルスの駆動パルス幅を決定するPWM信号を作成する。このPWM信号のブレーキ駆動信号をブレーキ手段であるショートブレーキ80に出力する。これにより、速度偏差量の大きさに比例するブレーキ力が第2ドラム36に回転負荷として作用する。
以上より、ブレーキ手段であるショートブレーキ80は、図7に示すように、第2ドラム36の速度(負荷)変動区間の速度(負荷)変動量に応じて回転負荷量が制御されるので、第2ドラム36の負荷変動量をキャンセルするように回転負荷(ブレーキトルク)を作用させるため、ドラム位相差バラツキやドラム位相差変動の発生がより効果的に抑制される。
尚、前記実施形態では、ブレーキ手段による回転負荷を第2ドラム36の負荷変動に応じて作用させたが、第1ドラム25の負荷変動に応じて作用させても良い。このようにすれば、第1ドラム25側の速度変動を抑制できる。前記実施形態では、ブレーキ手段である第1分離ポンプ50の圧縮区間は第1ドラム25の第1プレスロール27による回転変動区間に一致するように設定されているため、第1分離ポンプ50によって第1ドラム25側の速度変動が抑制されている。また、前記実施形態では、孔版印刷装置1が2つのドラム(第1及び第2ドラム25,36)を有する場合を説明したが、3つ以上のドラムを有する場合にも本発明を適用可能である。さらに、孔版以外の印刷装置にも本発明を適用可能である。
本発明の一実施形態を示し、孔版印刷装置の全体概略構成図である。 本発明の一実施形態を示し、歯車伝達機構及びこれに付随した機構の概略構成図である。 本発明の一実施形態を示し、中間歯車の構成図である。 本発明の一実施形態を示し、電磁ブレーキの制御系に関わる箇所の要部ブロック図である。 本発明の一実施形態を示し、各部の出力を示すタイミングチャートである。 本発明の一実施形態を示し、ブレーキ制御の概略を示すブロック図である。 本発明の一実施形態を示し、第2ドラム36の速度変動特性とこれに基づくPWM信号の特性線図とPWM信号に基づくブレーキトルクの特性線図である。 従来例の孔版印刷装置の概略構成図である。 従来例の動力伝達機構の構成図である。
符号の説明
1 孔版印刷装置(印刷装置)
2 製版部
3 給紙部
4 第1印刷部
5 中間搬送部
6 第2印刷部
7 排紙部
8 第1排版部
9 第2排版部
25 第1ドラム
27 第1プレスロール(プレス部材)
36 第2ドラム
38 第2プレスロール(プレス部材)
50 第1分離ポンプ(ブレーキ手段)
51 第2分離ポンプ(ブレーキ手段)
52 歯車伝達機構
70 電磁ブレーキ(ブレーキ手段)
76 エンコーダ
77 基準センサ
80 モータブレーキ(ブレーキ手段)
M1 メインモータ

Claims (7)

  1. ドラムと、このドラムを押圧するプレス部材とを有する印刷部を複数配置し、この複数のドラムが歯車列からなる歯車伝達機構を介して同一のモータの駆動力で回転される印刷装置において、
    前記ドラムの基準回転位置を検出する基準センサと、
    前記ドラムの回転を検出するエンコーダと、
    前記歯車伝達機構の動力伝達下流側に配置され、前記基準センサの基準パルスと前記エンコーダのパルス幅とに基づいて算出された前記ドラムの速度変動を前記ドラムの負荷変動として、この負荷変動が生じた負荷変動区間で前記ドラムに回転負荷を与えるブレーキ手段と、
    を設けたことを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項記載の印刷装置であって、
    前記ドラムは、前記歯車伝達機構の動力伝達下流側に配置されたものであることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項記載の印刷装置であって、
    前記ブレーキ手段は、前記負荷変動区間の負荷変動量に応じて回転負荷量を制御したことを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記複数の印刷部は、第1ドラム及び第1プレス部材を有する第1印刷部と、第2ドラム及び第2プレス部材を有する第2印刷部との2つであることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記ブレーキ手段は、電磁ブレーキであることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記ブレーキ手段は、前記歯車伝達機構の動力伝達下流側に配置されたドラムより更に動力伝達下流側に接続された分離ポンプであることを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記ブレーキ手段は、モータブレーキであることを特徴とする印刷装置。
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