JP2000318285A - 印刷画像左右位置調節機構を備えた版胴式印刷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 版胴式印刷装置に於て印刷実行中にも随時印
刷画像左右位置の調節を行えるようにする。 【解決手段】 機枠に対する版胴の軸線方向位置を微調
節することにより印刷画像の左右位置を調節する機構を
備えた版胴式印刷装置に於いて、印刷実行中に印刷画像
左右位置調節用制御盤にて印刷画像の左右位置を調節す
る操作が行われたときには、版胴の回転を所定時間（例
えば２〜３秒間）だけ停止させ又版胴と裏押しローラと
を引き離して印刷画像左右位置の調節を行わしめ、所定
時間が経過すると印刷画像左右位置の調節を禁止して印
刷実行を再開する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、版胴式印刷装置に
係り、特に用紙に対する印刷画像左右位置の調節を行う
印刷画像左右位置調節機構を備えた版胴式印刷装置に係
る。

【０００２】

【従来の技術】円筒状版胴を回転自在に軸支しているド
ラムユニットを、印刷機本体に対して版胴の軸長手方向
に摺動可能とし、この摺動端にて手操作により印刷機本
体に着脱自在としている孔版印刷装置において、印刷機
本体側に設けた前記ドラムユニットの前記摺動方向への
案内手段と、前記摺動方向に前記ドラムユニットを前記
案内手段に沿って微少距離移動させる運動伝達系と、前
記運動伝達系に駆動力を与えるモータと、前記運動伝達
系を前記ドラムユニットに対して任意に連結し、或は前
記連結を絶つ連断手段を有することを特徴とする孔版印
刷装置の画像左右位置調節装置が、平成8年10月9日発行
の第２５４２４８９号特許公報に記載されている。

【０００３】又、上記の特許公報に記載されている孔版
印刷装置の画像左右位置調節装置においては、印刷画像
左右位置の調節のために、ドラムユニット全体が、それ
を機体に着脱可能に装着するための案内手段により摺動
されるようになっているが、この種のドラムユニット
は、全体の重量が約１０ｋｇ或はそれ以上のかなりの重
さのものであり、長さは約４０ｃｍ或はそれ以上に及び
又その直径は約２０ｃｍ程もあるので、かかる重量と嵩
張りを有するドラムユニットを機体に対し案内する前記
案内手段は、繊細さよりも強靭さを要求される構造のも
のであるのに対し、印刷用紙上に施される印刷画像の左
右位置の調節は、高々１０ｍｍ程度であり、その繊細度
は多くの場合１ｍｍ以下の繊細度を要求され、しかもそ
の精度は高ければ高いほど好ましいものであることに鑑
み、版胴をその中心軸線の周りに回転可能に担持する第
一の枠体と、前記第一の枠体を版胴の中心軸線に沿う方
向に少なくとも印刷画像の左右位置調節代の最大値に相
当する距離だけ移動可能に担持する第二の枠体とを有
し、機枠に対する版胴の出し入れは機枠に対する第二の
枠体の大まかな係脱関係に委ね、印刷画像の左右位置の
調節は第二の枠体に対する第一の枠体の繊細な移動関係
に委ねるようにした印刷画像左右位置の調節可能な版胴
式印刷装置が特願平１１−０００６７６号に於いて提案
されている。

【０００４】一方、このような印刷画像左右位置調節手
段や、更に印刷画像の天地位置が調節可能な印刷画像天
地位置調節手段を備えた孔版印刷機に於いて、印刷画像
の左右位置や天地位置の調節をそれらの調節手段へ指示
するための制御盤が特願平５−３０６０３２号（特開平
７−１３７４１８号）に於いて提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】かかる印刷画像の左右
位置調節手段による印刷画像の左右位置の調節は、版胴
が印刷用紙を挟んで裏押しローラと押し合わされている
印刷実行時の状態ではできないので、かかる印刷画像左
右位置の調節は当然版胴が回転を停止している非印刷作
動時に行われるべきものであり、従ってかかる印刷画像
左右位置調節機構を備えた版胴式印刷装置が実現したと
すれば、版胴が回転している印刷の実行中に制御盤にて
印刷画像左右位置の調節が行われようとしても、印刷画
像左右位置調節手段は反応しないような対策がなされる
であろう。

【０００６】しかし印刷画像の左右位置の調節は、元来
その多くが微調節であり、版胴が回転を開始した印刷の
途中に於いても適宜行えるのが好ましく、そのために途
中で印刷を停止したのでは操作が面倒であり、また印刷
を途中で停止することにより印刷部数を改めて設定し直
す必要が生ずる恐れがある。

【０００７】本発明は、上記の事項に鑑み、印刷画像左
右位置調節手段を備えた版胴式印刷装置に於いて、版胴
が回転を開始した印刷実行の途中に於いても、制御盤に
て印刷画像左右位置調節のための操作を行うことにより
適宜印刷画像左右位置の調節が行えるよう改良された版
胴式印刷装置を提供することを課題としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決すべ
く、本発明は、機枠と、版胴と、前記版胴を回転可能に
支持しつつ機枠内の印刷位置と機枠外の取り出し位置と
の間に移動する枠体と、前記版胴を印刷実行のために回
転駆動する版胴回転駆動手段と、前記機枠により回転可
能に支持された裏押しローラとを有し、前記印刷位置に
於ける前記版胴の版胴中心軸線に沿う位置の微調節によ
り印刷画像の左右位置の調節を行う構造を備え、印刷画
像左右位置調節用制御盤に於ける操作により前記版胴の
印刷画像左右位置調節移動が制御されるよう構成された
版胴式印刷装置にして、印刷実行中に前記制御盤にて印
刷画像左右位置の調節が開始されたときには所定時間だ
け前記版胴回転駆動手段による前記版胴の回転を停止せ
しめ前記版胴と前記裏押しローラとを引き離す制御手段
を有することを特徴とする版胴式印刷装置を提供するも
のである。

【０００９】上記の如き構成の版胴式印刷装置によれ
ば、所要印刷枚数を設定されて印刷の実行が始まり、印
刷が実行されている途中であっても、印刷画像左右位置
の調節のために制御盤にて印刷画像左右位置調節のため
の操作がなされると、印刷の実行がそこで一旦所定時間
だけ中断されるのみであり、その間に印刷画像左右位置
の調節が行われ、例えば２乃至３秒程度の適当な時間が
経過したときには再び印刷の続きが実行されるので、印
刷実行の途中に何度でも随時印刷物に画像左右位置の微
調節を盛り込むことが容易に行える。

【００１０】前記制御手段は、前記制御盤にて印刷画像
左右位置の調節が開始されたときには、前記版胴が標準
停止位置に停止されるよう前記版胴回転駆動手段を制御
するよう構成されているのが好ましい。こうすることに
より、印刷の途中に於ける印刷画像の左右位置の調節
は、必ず印刷途中に於ける１枚の印刷用紙の印刷が終了
し、次の用紙からの印刷が開始される前に行われること
が確保され、又かかる版胴の標準停止位置に於ては版胴
と裏押しローラとは引き離されるようになっているのが
版胴式印刷装置の一般的構造であるから、印刷画像左右
位置の随時の調節のために版胴と裏押しローラの引き離
しのための構造を別途に設ける必要はなくなる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照して本発明
を実施例について詳細に説明する。

【００１２】添付の図1は本発明による印刷画像左右位
置調節機構を備えた版胴式印刷装置の第一の実施例をそ
の要部について解図的に示す平断面図であり、図2は図1
の版胴式印刷装置を断面II−IIにおいて矢印方向に見た
解図的断面図である。これらの図において、１０は印刷
装置の所謂ハウジングをなす機枠の一部を示しており、
従ってこれらの部分は後述の版胴の移動にとっては固定
された部分である。

【００１３】１２にて全体的に示された版胴は、その一
端部をなす剛固な皿状部材１４と、その他端部をなす剛
固な環状部材１６と、それらの間に橋渡しされて両者を
剛固に連結する剛固な横桁部材１８（図２）と、皿状部
材14と環状部材16の互いに整合した外周面の周りにそれ
に沿って両側縁部にて載置された展開形状が矩形状の多
孔シート２０とを有している。図には詳細には示されて
いないが、多孔シート２０の周方向一端部２０ａは横桁
部材１８の一方の側縁に沿ってそれに固定されており、
該多孔シートの周方向他端２０ｂは横桁部材１８の他方
の側縁に沿う部分にて周方向に移動可能に保持されてい
る。皿状部材１４には周縁に歯車を備えた歯車部材２２
が固定されており、皿状部材１４と歯車部材２２の中心
部にはそれぞれに孔２４及び２６が形成されており、こ
れらの孔は互いに整合して版胴の中心軸線３８に沿った
孔を形成している。環状部材１６にはその内周面に滑ら
かな表面の環軌道２８が形成されている。

【００１４】版胴１２は、その一端部を形成する皿状部
材１４に設けられた中心孔２４及びそれに整合した歯車
部材２２の中心孔２６を通って貫通する第一の軸部３０
と、それより二股に分かれて版胴の他端部を形成する環
状部材１６より突き出る方向に延在する第二の軸部３２
及び第三の軸部３４とを備えた第一の枠体３６により、
その中心軸線３８の周りに回転可能に支持されている。
この場合、版胴は皿状部材１４の部分にてはラジアル／
スラスト軸受４０により第一の軸部３０に対しラジアル
方向及びスラスト方向に軸受されており、環状部材１６
の部分にては第二及び第三の軸部３２及び３４に固定さ
れた端板４２に回転式に取り付けられた４個のローラ４
４，４６，４８，５０が環状部材１６の環軌道２８に当
接して転動することにより中心軸線３８の周りに回転す
るよう支持されている。

【００１５】皿状部材１４及び環状部材１６は、各々そ
の互いに軸線方向に対向する環状壁の端部にその内周面
に沿って環状歯１５及び１７を形成されており、これら
の環状歯には軸１９にて互いに連結されたピニオン２１
及び２３が噛み合っている。軸１９は第三の軸部３４よ
りアーム３５及び３７にて回転可能に支持されている。
かかる構造により、後述の要領にて歯車部材２２より皿
状部材１４に加えられた回転駆動力は、環状歯１５より
ピニオン２１、軸１９、ピニオン２３を経て環状部材１
６へ伝えられ、皿状部材１４、環状部材１６、横桁部材
１８、多孔シート２０により構成された版胴１２は歯車
部材２２に加えられる回転駆動力により捩れを生ずるこ
となく回転駆動される。

【００１６】第一の枠体３６は、以下の要領にて、第二
の枠体５２により版胴の中心軸線３８に沿って印刷画像
左右位置調節代の最大値に相当する距離だけ移動可能に
担持されている。

【００１７】即ち、第二の枠体５２は、図１に現れてい
る如く矩形状の枠体であり、版胴の中心軸線３８に沿っ
てみてその一端部をなす端辺部５４に中心軸線３８に整
合して設けられた孔５６には軸受５７を介してナット部
材５９の軸部６１が回転可能に装着されている。ナット
部材５９は中心軸線３８に整合したねじ孔６３を有し、
該ねじ孔には第一の枠体３６の第一の軸部３０の端部が
そこに切られたねじ部にて係合している。ナット部材５
９は歯車部６５を備えており、この歯車部に係合してピ
ニオン６７が端辺部５４に回転可能に装着され、更にピ
ニオン６７に係合してピニオン６９が端辺部５４に回転
可能に装着され且つステップモータ５３により回転駆動
されるようになっている。ステップモータ５３が適宜駆
動されることによりナット部材５９は軸３０に対し所定
の角度ずつ回転され、それに伴って版胴１２は枠体５２
に対し中心軸線３８に沿って左右に移動し、印刷画像の
左右位置が調節される。

【００１８】第二の枠体５２の他方の端辺部６０は、第
一の枠体３６の第二及び第三の軸部３２及び３４を貫通
させる位置に孔６２及び６４を備えており、これらの孔
の部分にてそれぞれ摺動案内要素６６及び６８を介して
該第二及び第三の軸部３２及び３４の端部を中心軸線３
８に平行な方向に摺動可能に支持している。

【００１９】第二の枠体５２の両側辺部７０及び７２に
は、それぞれローラ７４，７６，７８，８０がそれぞれ
の中心軸線の周りに回動可能に取り付けられている。ロ
ーラ７４及び７６は機枠１０に固定された案内レール部
材８２の長手方向溝８４に係合している。同様に側辺部
７２に取り付けられたローラ７８及び８２は機枠１０に
固定された案内レール部材８６の長手方向溝８８に係合
している。第二の枠体５２は、これらのローラ７４〜８
０が対応するレール部材８２及び８６の長手方向溝８４
及び８８に沿って転動することにより、中心軸線３８に
沿う方向に、図１に示されている如き機枠内の装填位置
即ち印刷位置とこれより機枠に対して図１にて左方へ移
動した取り出し位置との間で移動できるようになってい
る。

【００２０】第二の枠体５２の案内レール部材８２及び
８６に沿った図１に示す印刷位置への装填状態は、機枠
１０より支持された枢軸９０及び９２の各々によりその
周りに枢動可能に支持されたロック部材９４及び９６
が、それぞればね要素９８及び１００により付勢され
て、第二の枠体の端辺部６０の両端の角部に係合するこ
とにより保持されるようになっている。ロック部材９４
及び９６は、それぞれレバー部１０２及び１０４により
ばね要素９８及び１００のばね力に抗して枢軸９０及び
９２の周りに回動されることにより、第二の枠体５２と
の係合より外されるようになっている。

【００２１】第二の枠体５２には図にて１０６により解
図的に示されているインク容器及びインクポンプのため
の棚部材が一体に取り付けられている。又版胴１２内に
は、インク付けローラ１０８が図には示されていない軸
受手段によりその中心軸線の周りに回転可能に第一の枠
体３６に取り付けられており、更に図には示されていな
い回転力伝達手段により版胴１２の回転に同期してその
中心軸線の周りに回転駆動されるようになっている。更
にドクターロッド１１０が図には示されていない取り付
け手段により第一の枠体３６より支持された状態に取り
付けられている。

【００２２】第一の枠体３６は、その第二及び第三の軸
部３２及び３４の部分にて端板４２と第二の枠体の端辺
部６０との間に作用するようこれら第二及び第三の軸部
の周りに装着された圧縮コイルばね１１２及び１１４に
より、第二の枠体５２に対し図１にて右方へ移動する方
向に弾力的に付勢されており、ナット部材５９をその軸
部６１が軸受５７に係合した位置に保持している。

【００２３】版胴１２が図１に示されている軸線方向位
置及びこれより中心軸線３８に沿う方向に図にて左右に
印刷画像左右位置調節代の範囲内にて移動するとき、版
胴１２の歯車部材２２には図２によりよく示されている
如き歯車１２０が噛み合った状態に維持されるようにな
っている。歯車１２０は、図２に於いて解図的に示され
ている如く、版胴駆動用モータ１２２より途中にクラッ
チ／ブレーキ装置１２４を含む駆動系１２６を経て版胴
の回転駆動のために駆動されるようになっている。クラ
ッチ／ブレーキ装置１２４はクラッチとブレーキとが相
反的に作動し、クラッチが係合したときにはブレーキが
解除されてモータ１２２の出力が版胴へ伝達され、クラ
ッチが解除されると、版胴をモータ１２２の出力から解
放すると同時に版胴の回転を制動する装置である。

【００２４】版胴１２が印刷位置にあって上記印刷画像
左右位置調節代の範囲内にあるとき、版胴の多孔シート
２０により形成された外周面には、中心軸線１２８の周
りに回転する裏押しローラ１３０の外周面が近接して対
向するようになっており、印刷に当たってはインク付け
ローラ１０８が図には示されていない半径方向駆動機構
により版胴の半径方向外方へ向けて偏倚され、多孔シー
ト２０よりなる外周面の一部を裏押しローラ１３０の外
周面へ向けて押し出すことにより、裏押しローラ１３０
の外周面にその前縁をクランプされて版胴と裏押しロー
ラの間の挟み領域１３２へ導入される印刷用紙に対し多
孔シート２０よりなる版胴の外周面上に装着された孔版
原紙の穿孔部を経てインク付けローラ１０８により押し
出されて来るインクにより印刷画像が施されるようにな
っている。

【００２５】尚このように版胴の周壁を半径方向外方に
インク付けローラ１０８により押し出される可撓性の構
造とし、裏押しローラ１３０を版胴と同径のローラと
し、両者を互いに反対の回転方向に同期して回転させ、
版胴の中心軸線に対して裏押しローラの中心軸線の位置
を固定したまま印刷時と非印刷時とで両者の対向する外
周面間の押し合せと非押し合せとをインク付けローラに
よる版胴外周面の押し出しと非押し出しとにより制御す
る孔版装置は、特開平１−２０４７８１号公報に記載さ
れており、又そのような孔版印刷装置において印刷用紙
の前縁を裏押しローラに固定しておくことにより裏写り
のない孔版印刷画像を得ることは特開平５−３３０２２
４号公報に記載されている。

【００２６】以上の如き構造において、版胴１２、それ
を担持する第一の枠体３６、それを担持する第二の枠体
５２が図１に示されている如き印刷位置に設定されてい
るとき、印刷画像の左右位置を調節せんとするときに
は、機枠１０に対する軸線方向位置が一定に保たれてい
る裏押しローラ１３０上に所定の軸線方向位置にて装着
されて印刷位置へもたらされる印刷用紙に対し版胴１２
の軸線方向位置を調節すべく、図３に解図的に示されて
いる印刷画像左右位置調節のための制御装置によりステ
ップモータ５３の回転が制御され、歯車６９及び６７を
経てねじ部材５９が所定の角度だけ所定の方向に回転駆
動され、それに対応して第一の枠体３６が版胴の中心軸
線３８に沿って図１にて左右に移動され、第二の枠体５
２及びそれが装着された機枠１０に対して左右に移動さ
れる。

【００２７】印刷画像左右位置調節のための制御装置を
示す図３について見ると、これはマイクロコンピュータ
を用いた制御装置である。図示のマイクロコンピュータ
２００は中央制御ユニット（ＣＰＵ）２０２、リードオ
ンリメモリ（ＲＯＭ）２０４、ランダムアクセスメモリ
（ＲＡＭ）２０６、入力ポート装置２０８、出力ポート
装置２１０、これらを互いに接続する双方向のコモンバ
ス２１２を有するそれ自身この技術の分野に於ては周知
の構造のものであり、版胴式印刷装置全体を制御するも
のであって、その入力ポート装置２０８及び出力ポート
装置２１０には、図３に示す信号発信手段及び信号受領
手段以外に多数の信号発信手段及び信号受領手段が接続
されているが、図３には特にそのうちの印刷画像左右位
置調節手段に関与するもののみが示されている。即ち、
マイクロコンピュータ２００には、機械的構造について
は図には示されていないが機枠内の版胴装着部の近傍に
あって版胴が印刷を行わないときの標準の停止位置にあ
ることを検出する標準停止位置検出手段２１４より版胴
が標準停止位置にあるときそれを検出する信号が入力さ
れ、また版胴式印刷装置の制御盤に設けられた左右位置
指令手段２１６より版胴の左右位置を標準位置とすべき
か或いは左又は右へ所定量ずつ偏倚させるかの復帰指令
信号或いは左右位置指令信号が入力され、また同じく機
械的構造については図には示されていない左右標準位置
検出手段２１８より版胴の左右位置が標準位置にあるか
否かの標準位置検出信号が、それぞれ入力ポート装置２
０８を経て入力される。また出力ポート装置２１０から
は駆動回路２２０を経てパルスモータ５３を第一の枠体
３６が第二の枠体５２或いは機枠１０に対し左方向へ移
動するよう駆動するか右方向へ移動するよう駆動するか
のパルスモータ駆動信号が発信され、また駆動回路２２
２を経て版胴駆動用モータ１２２への通電を制御する版
胴駆動制御信号が発信され、また同様に駆動回路２２４
を経てクラッチ１２４を係合させ或いは係合を解除させ
る制御信号が発信される。尚、本発明による印刷画像左
右位置の調節に際して、クラッチ／ブレーキ装置１２４
のクラッチを解除している間、版胴駆動モータ１２２は
回転状態のまま保持されてもよく、その場合には駆動回
路２２２とその制御は不要である。

【００２８】図４は本発明が組み込まれた版胴式印刷装
置の作動を総合的に制御する制御盤の正面図であり、そ
の一部に印刷画像左右位置調節手段に関与する部分が含
まれている。尚かかる印刷画像位置調節手段の制御盤は
本件出願人と同一人による特願平５−３０６０３２号
（特開平７−１３７４１８号）に示されているものであ
る。図４に於て３００にて示されている部分が印刷画像
位置指令手段であり、その一部に左右位置指令手段が含
まれている。この部分には天地位置指令手段も組み込ま
れている。即ち押しボタン３０２はそれが押されること
により版胴の左右位置を標準位置に復帰させることを指
示すると同時に版胴式印刷装置に組み込まれた印刷画像
天地位置調節手段による印刷画像の天地位置も標準位置
に復帰させる指令を与える印刷画像位置復帰指令押しボ
タンである。３０４は印刷画像の左右位置を標準位置よ
り左方へ所定の偏倚量ずつ偏倚させることを指令する左
偏倚指令押しボタンであり、３０６は印刷画像の左右位
置を標準位置より右側へ所定の偏倚量ずつ偏倚させるこ
とを指令する右偏倚指令押しボタンである。尚３０８及
び３１０はそれぞれ印刷画像の天地位置を天側及び地側
へ所定偏倚量ずつ偏倚させることを指令する天偏倚指令
押しボタン及び地偏倚指令押しボタンであり、かかる印
刷画像の天地位置調節のための機構は本件出願人と同一
人による特願平５−３０６０３３号（特開平７−１３７
４１９号）に示されている。

【００２９】図４に於て３１２にて示された部分が印刷
画像位置調節手段により印刷画像位置が標準位置より偏
倚された度合を示す印刷画像位置表示手段である。図示
の印刷位置表示手段は本発明による印刷画像左右位置調
節手段による印刷画像の左右位置の調節の度合と共に前
述の特願平５−３０６０３３号による印刷画像天地位置
調節手段による印刷画像の天地位置の調節の度合も示す
装置として構成されている。印刷画像位置表示手段３１
２は、印刷機の機枠に対する版胴の左右位置及び裏押し
ローラ１３０に対する相対的回転角度位置に関する標準
位置を示す長方形の標準印刷位置表示マーク３１４と、
印刷画像左右位置調節手段及び印刷位置天地位置調節手
段により版胴が印刷機の機枠に対し標準位置より左右方
向に偏倚された偏倚量を示すと同時に版胴と裏押しロー
ラの間の相対的回転位相が標準位置より天地方向に偏倚
された偏倚量をも示す長方形の偏倚印刷位置表示マーク
３１６とを表示するようになっている。標準印刷位置表
示マーク３１４に対し偏倚印刷位置表示マーク３１６が
偏倚した一例が図５に示されている。図５の状態では、
版胴は機枠に対し標準位置より右方向に偏倚していると
同時に、印刷画像天地位置調節手段による版胴と裏押し
ローラの間の相対的回転位相の調節により印刷画像は標
準位置より天方向へ偏倚されている。

【００３０】図６は本発明による印刷画像左右位置調節
の作動制御を示すフローチャートである。このフローチ
ャートによる制御は図４に示された制御盤に於いて押し
ボタン３０２、３０４、３０６の何れかが押されたとき
実行される。

【００３１】まずこの制御が開始されると、ステップ１
０に於いて印刷実行中か否かが判断される。判断結果が
ノーのとき、即ち印刷実行中でないときには、制御はそ
のまま終了に至る。尚この場合には、本発明によらない
通常の印刷画像左右位置の調節が行われる。判断結果が
イエスのとき、即ち印刷実行中であるときには、制御は
ステップ２０へ進み、版胴が標準停止位置にあるか否か
が図３に於ける標準停止位置検出手段２１４の出力に基
づいて判断される。判断結果がノーのとき、即ち版胴が
標準停止位置にないときには、制御はステップ２０を巡
廻する保留状態とされ、版胴の回転位置が標準停止位置
に達するのが待たれる。ステップ２０の判断結果がイエ
スに転ずると、制御はステップ３０へ進み、第２図に於
ける版胴駆動用モータ１２２への通電が停止され、また
同時にクラッチ／ブレーキ装置１２４が、クラッチを解
除しブレーキを作動させる方向に切り換えられ、版胴は
標準停止位置に停止される。尚この場合、版胴の回転慣
性を考慮してステップ２０に於て検出される版胴標準停
止位置が実際に版胴が停止する標準停止位置より先行し
た位置とされる如きは設計的自明事項である。次いで制
御はステップ４０へ進み、タイマーがセットされ、２乃
至３秒程度の所定時間の計測が開始される。次いで制御
はステップ５０へ進み、タイマーにて設定された時間が
経過したかどうか即ちタイムアウトになったか否かが判
断される。判断結果がノーのときには制御はステップ６
０へ進み、制御盤の押しボタン３０２、３０４或いは３
０６が押されたことに応じて上に説明した要領によりス
テップモータ５３が作動され、印刷画像左右位置の所望
の調節が行われる。この場合制御はステップ５０及び６
０を回って巡廻し、タイマーにて設定された所定時間が
経過するまで印刷画像左右位置調節手段による印刷画像
左右位置の調節を行わせるようになっている。

【００３２】タイマーにて設定された所定時間が経過す
ると、ステップ５０に於ける判断はイエスに変わり、こ
こで制御はステップ７０へ進み、印刷画像左右位置調節
手段の作動が禁止される。次いで制御はステップ８０へ
進み、版胴回転駆動の臨時停止が解除され、即ちクラッ
チ／ブレーキ装置１２４がブレーキを解除してクラッチ
を係合させる状態に切り換えられ、版胴駆動用モータ１
２２への通電が断たれていたときには同時にそれが通電
されて残る枚数の印刷の継続へ進む。そのとき制御はス
テップ９０を通り、タイマーがリセットされた後、この
制御は終了する。印刷実行再開後に再び押しボタン３０
２、３０４、３０６の何れかが押されれば、図６に示す
フローチャートによる上記の如き制御が再び行われる。

【００３３】以上に於いては本発明を一つの実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明の範囲内にて図示の実施
例について種々の修正が可能であることは当業者にとっ
て明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による印刷画像左右位置調節手段を備え
た版胴式印刷装置を孔版印刷機において実施した一つの
実施例を示す解図的平断面図。

【図２】図１の装置を図１の断面II−IIに於て矢印方向
に見た解図的断面図。

【図３】図１及び２の印刷画像左右位置調節手段を制御
する制御装置の概略構成図。

【図４】制御盤の概略正面図。

【図５】制御盤に於ける印刷画像位置表示手段の表示態
様を例示する図。

【図６】本発明による印刷画像左右位置調節手段を備え
た版胴式印刷装置の作動態様を示すフローチャート。

【符号の説明】

１０…機枠 １２…版胴 １４…皿状部材 １５…環状歯 １６…環状部材 １７…環状歯 １８…横桁部材 １９…軸 ２０…多孔シート ２１…ピニオン ２２…歯車部材 ２３…ピニオン ２４…孔 ２６…孔 ２８…環軌道 ３０…第一の軸部 ３２…第二の軸部 ３４…第三の軸部 ３６…第一の枠体 ３８…版胴の中心軸線 ４０…ラジアル／スラスト軸受 ４２…端板 ４４，４６，４８ ５０…ローラ ５２…第二の枠体 ５３…ステップモータ ５４…端辺部 ５６…孔 ５７…軸受 ５８…摺接要素 ６０…端辺部 ６１…軸部 ６２，６４…孔 ６３…ねじ孔 ６５…歯車部 ６６，６８…摺接要素 ６７，６９…ピニオン ７０，７２…側辺部 ７４，７６，７８，８０…ローラ ８２…レール部材 ８４…溝 ８６…レール部材 ８８…溝 ９０，９２…枢支ピン ９４，９６…クランプ ９８，１００…ばね １０２，１０４…レバー １０６…棚部材 １０８…インク付けローラ １１０…ドクターロッド １１２，１１４…圧縮コイルばね １２０…歯車 １２２…版胴駆動用モータ １２４…クラッチ／ブレーキ装置 １２６…駆動系 １２８…中心軸線 １３０…裏押しローラ １３２…挟み領域 ２００…マイクロコンピュータ ２０２…中央制御ユニット ２０４…リードオンリメモリ ２０６…ランダムアクセスメモリ ２０８…入力ポート装置 ２１０…出力ポート装置 ２１２…コモンバス ２１４…標準停止位置検出手段 ２１６…左右位置指令手段 ２１８…左右標準位置検出手段 ２２０，２２２，２２４…駆動回路 ３００…印刷画像位置指令手段 ３０２…印刷画像位置復帰指令押しボタン ３０４…左偏倚指令押しボタン ３０６…右偏倚指令押しボタン ３０８…天偏倚指令押しボタン ３１０…地偏倚指令押しボタン ３１２…印刷画像位置表示手段 ３１４…標準印刷位置表示マーク ３１６…偏倚印刷位置表示マーク

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】機枠と、版胴と、前記版胴を回転可能に支
   持しつつ機枠内の印刷位置と機枠外の取り出し位置との
   間に移動する枠体と、前記版胴を印刷実行のために回転
   駆動する版胴回転駆動手段と、前記機枠により回転可能
   に支持された裏押しローラとを有し、前記印刷位置に於
   ける前記版胴の版胴中心軸線に沿う位置の微調節により
   印刷画像の左右位置の調節を行う構造を備え、印刷画像
   左右位置調節用制御盤に於ける操作により前記版胴の印
   刷画像左右位置調節移動が制御されるよう構成された版
   胴式印刷装置にして、印刷実行中に前記制御盤にて印刷
   画像左右位置の調節が開始されたときには所定時間だけ
   前記版胴回転駆動手段による前記版胴の回転を停止せし
   め前記版胴と前記裏押しローラとを引き離す制御手段を
   有することを特徴とする版胴式印刷装置。
2. 【請求項２】前記制御手段は、前記制御盤にて印刷画像
   左右位置の調節が開始されたときには、前記版胴が標準
   停止位置に停止されるよう前記版胴回転駆動手段を制御
   するよう構成されていることを特徴とする請求項１に記
   載の版胴式印刷装置。