JP6842858B2 - 換気装置および給気量調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の居室に外気を給気する換気装置(および給気量調整方法)に関する。特に、本発明は、給気先に生じる通風経路の変化にも対応可能な換気装置に関するものである。
近年、住宅の高気密化が進み、自然換気だけでは十分な換気量(給気量)が得られなくなっている。このため、複数の居室に外気を強制的に供給(給気)することのできる換気装置が、多くの住宅に導入されている。更に、空調機能を兼ね備えた換気装置、つまり、取り入れた外気を加温又は冷却してから各居室に供給する、いわゆるオールフレッシュ方式の空調装置(換気装置)が導入されるケースも増えている。
このような換気装置は、一般的に、住宅への設置時(初期設定時)に、各居室に対して必要給気量が供給されるように調整されている。それでも、給気口から排気口までの通風経路に何らかの変化が生じてしまうと、必要給気量が供給されない可能性がある。例えば、通風経路の途中にあるドアが開いているか閉まっているか、あるいは、何れかの居室に設置された排気装置(一例として、浴室排気装置やレンジフード)が稼働しているか停止しているかによって、排気口からの排気量が変化したり、排気口の場所そのものが変わることになる。これらのような、給気先における通風経路の変化に起因して、何れかの居室に必要給気量が供給されない状況が発生し得る。
このような必要給気量が供給されない状況を回避する先行技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の空調システムでは、各居室の排気側にもダクト(排気ダクト)を設置すると共に、分岐経路毎(給気経路毎)に送風ファンを設置することで、各居室への必要給気量を確保している。
特開2011−127845号公報
しかしながら、特許文献1に開示された先行技術では、余分な排気ダクトや給気ファン(分岐経路毎の送風ファン)が必要となるため、機器コストの増大が避けられず、その上、これらの設置スペースが確保できない事態も生じ得る。また、換気装置とは独立して運転される排気装置の稼働に伴う通風経路の変化には依然として対応できないため、特許文献1に開示された先行技術では、各居室への必要給気量を常に確保できるとは言い難い。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、各居室に対して必要給気量を適切に供給できる換気装置および給気量調整方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る換気装置は、
複数の給気経路を介して空気を送風する送風手段と、
前記送風手段の送風量を検出する送風量検出手段と、
前記複数の給気経路にそれぞれ設けられており、当該給気経路を通る空気の風量を調整する複数の風量調整手段と、
前記送風量検出手段により検出された送風量に従って、前記複数の風量調整手段のうちの何れかを閉止する制御手段と、
前記複数の風量調整手段の初期設定時に、前記送風量検出手段にて検出された送風量を前記送風手段の通常値として記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記送風量検出手段により検出された送風量が、前記記憶手段に記憶された通常値と異なる場合に、前記複数の風量調整手段を順番に1つずつ閉止しながら、前記送風量検出手段により検出された送風量を収集し、当該収集した送風量のうち最も小さな送風量に対応する前記風量調整手段を閉止する。
本発明によれば、送風量検出手段により検出された送風量が、例えば、風量調整手段を初期設定した際の通常値(通常送風量)と異なっている場合に、給気先の通風経路に変化が生じたと特定し、制御手段は、複数の風量調整手段のうちの何れか(一例として、最も風量が増大している給気経路の風量調整手段)を閉止する。これにより、風量(給気量)が著しく減少する給気経路(風量が増大する給気経路の影響で風量が減少する他の給気経路)を生じさせず、何れかの居室への給気量が不足する事態を回避することができる。しかも、複数の給気経路でそれぞれ風量を検出する必要がなく、安価な構成で、給気先に生じる通風経路の変化に対応することができる。
この結果、各居室に対して必要給気量を適切に供給できる。なお、空調機能を併せ持った換気装置では、局所的な給気量不足(風量不足)がなくなることで、空調機能を喪失する事態を回避することができ、快適な空間を提供することができる。
本発明の実施形態に係る換気装置と、その設置状況を示す概略構成図 換気装置の接続構成を説明するためのブロック図 換気装置の初期設置時における調整作業を説明するための模式図 通風経路に変化が生じた際における給気量バランスが損なわれた状態を示す模式図 本発明の実施形態に係る給気量調整処理の一例を示すフローチャート 給気量調整処理によって、給気量が調整された状態の一例を示す模式図 間仕切壁のドアが開放されたケースを示す模式図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。以下では、本発明が空調機能を兼ね備えた換気装置に適用される場合について説明するが、空調機能を有さない単機能の換気装置についても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素又は全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る換気装置10と、その設置状況を示す概略構成図である。まずは、図1を参照して換気装置10の全体構成について説明する。なお、図1では、家屋30における3つの居室に外気(又は温調空気)を供給(給気)する場合を一例とした換気装置10を示している。なお、これ以外の数の居室に外気を供給する場合であれば、換気装置10の構成(例えば、後述する給気ダンパ16や給気グリル23の数)を適宜変更することで対応可能である。
図1に示すように、換気装置10は、外気を取り入れるための外気導入口11と、外気からゴミや埃を除去するためのフィルタ12と、外気を加温又は冷却するための熱交換器13と、外気(又は温調空気)を各居室に送風するための送風機14と、送風機14の送風量を検出するための風速センサ15と、居室への給気量を調整するための給気ダンパ16(16a〜16c)と、全体を制御するためのコントローラ17とを備えている。なお、換気装置10(熱交換器13)は、配管を介して室外ユニット21と接続されている。また、換気装置10(給気ダンパ16a〜16c)は、給気ダクト22を介して給気グリル23(23a〜23c)と接続されている。
このような換気装置10が導入(設置)される家屋30では、例えば、間仕切壁31a,31bによって、3つの居室が形成されている。なお、間仕切壁31a,31bには、隙間32a,32b(一例として、ドアのアンダーカット)が設けられており、後述するように、通風経路の一部となる。各居室には、給気口となる給気グリル23a〜23cが設置されており、給気ダクト22を通じて、換気装置10から外気が供給されるようになっている。つまり、給気ダンパ16aから(給気ダクト22を介して)給気グリル23aまで、給気ダンパ16bから給気グリル23bまで、そして、給気ダンパ16cから給気グリル23cまでが、別々の給気経路となる。そして、送風機14は、これらの給気経路を介してそれぞれの居室に外気を送風する。
すなわち、換気装置10は、送風機14を稼働させることで、外気導入口11から外気を吸込み、フィルタ12で異物を除去した後、給気ダンパ16a〜16c、給気ダクト22、及び、給気グリル23a〜23cを通じて、各居室に外気を供給する。なお、後述するように、給気ダンパ16a〜16cの開度が調整され、各居室には、必要給気量が供給される。
家屋30における1つの居室は、例えば、台所であり、換気装置10とは独立して運転される排気装置33aが配置されている。この排気装置33aは、例えば、レンジフードであり、家人が調理をしているときに稼働する(それ以外は停止している)。また、他の居室の1つは、例えば、サニタリエリアであり、排気装置33bが配置されている。この排気装置33bは、通常の排気口となるため、24時間常時稼働している。
なお、換気装置10は、居室へ供給する外気(空気)を温調する機能(空調機能)も備えている。つまり、室外ユニット21を稼働させることで、熱交換器13によって温調した空気(温調空気)を各居室へ供給する。室外ユニット21は、例えば、圧縮機と、水冷媒熱交換器と、膨張弁とを備えている。これらは、熱交換器13も含めて、環状に接続され、冷媒を循環させるための冷凍サイクル回路(冷媒回路ともいう。)が形成されている。そして、熱交換器13によって外気(導入外気)を、冬期では加温し、一方、夏期では冷却(冷却除湿)する。換気装置10は、このようにして温調した空気を上述したように各居室に供給する。
次に、コントローラ17を中心として、換気装置10を説明する。図2は、換気装置10の接続構成を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、コントローラ17は、例えば、制御部171と、記憶部172とを含んでいる。
このようなコントローラ17には、入力として、風速センサ15が接続されている。なお、風速センサ15は、送風機14から送風される外気(又は温調空気)の風速を基に、送風機14の送風量を検出する。そして、検出した送風量(送風量のデータ)をコントローラ17に入力する。また、コントローラ17には、出力として、送風機14、給気ダンパ16a〜16c、及び、室外ユニット21が接続されている。なお、コントローラ17には、この他にも、例えば、換気装置10に対する指示入力が可能な、図示せぬリモコンが接続されている。このリモコンからは、例えば、後述する初期設定時に、給気ダンパ16a〜16cの開度をそれぞれ調整するための調整指示が、入力可能となっている。
制御部171は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)を備え、換気装置10全体を制御する。つまり、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、例えば、ROMに記憶される各種プログラムを適宜実行して、換気装置10全体を制御する。なお、ROMに記憶されるプログラムには、後述する給気量調整処理のプログラムが含まれている。
記憶部172は、例えば、不揮発性メモリによって構成され、換気装置10の制御に必要な種々のデータを記憶する。一例として、記憶部172は、後述する初期設定時に調整された給気ダンパ16a〜16cの開度(後述する標準開度)や、初期設定時における送風機14の送風量(後述する通常送風量)を記憶する。
<初期設定時における調整作業>
続いて、換気装置10の初期設定時における調整作業(送風量配分調整作業)について、図3を参照して説明する。
まず、調整者40は、排気装置33aが停止しており、かつ、排気装置33bが稼働している状態で、換気装置10(送風機14)を稼働させると共に、給気グリル23a〜23c(すべての居室の給気グリル23)から排気装置33bまでの通風経路にある窓やドア等の開口部を閉止する。すなわち、給気口となる給気グリル23a〜23cから、排気口となる排気装置33bまでの通風経路の抵抗が最も大きくなるように設定する。これにより、給気グリル23aを起点とした通風経路は、隙間32a,32bを通じて、排気装置33bに至るまでとなり、また、給気グリル23bを起点とした通風経路は、隙間32bを通じて、排気装置33bに至るまでとなる。なお、給気グリル23cを起点とした通風経路は、そのまま排気装置33bに至るまでとなる。そして、これらが、換気装置10の通常運転時における通風経路となる。
次に、調整者40は、給気グリル23a〜23cから供給される空気の風量を風速センサ41によって計測し、それぞれの風量が大凡同じになるように給気ダンパ16a〜16cの開度を調整する。具体的に調整者40は、3つの給気ダンパ16a〜16cの開度がすべて全開となった状態から、最も風量の大きい給気グリル23に対応する給気ダンパ16の開度をやや絞るという操作を数回実施し、全開のままの給気ダンパ16に対応する給気グリル23からの風量が最大となった時点における給気ダンパ16a〜16cの開度を、それぞれの標準開度とし、調整作業を終了する。
なお、図3の例では、排気口となる排気装置33bから最も近い給気グリル23cに対応する給気ダンパ16cの開度が絞られ、排気装置33bから最も遠い給気グリル23aに対応する給気ダンパ16aの開度が全開となっている状態で、初期設定が完了される。
コントローラ17は、このような初期設定時に調整された給気ダンパ16a〜16cの開度(各標準開度)を記憶部172に記憶する。また、コントローラ17は、初期設定時(給気ダンパ16a〜16cが標準開度の状態)に、風速センサ15が検出した送風量を送風機14の通常送風量(つまり、通常値)とし、この通常送風量を記憶部172に記憶する。すなわち、通常送風量は、各居室に必要給気量が供給されている状態であり、かつ、通風経路の抵抗が最大であるため、送風機14の送風量が最も小さい状態の値となっている。
<通常運転>
続いて、上述した初期設定を終えた換気装置10による通常運転について説明する。通常運転では、換気装置10は、排気装置33bと同様に24時間常時稼働している。その際、給気ダンパ16a〜16cの開度が各標準開度に調整されているため、各居室には、必要給気量が供給されている。
このような状態で、停止していた排気装置33aが稼働すると、通風経路に変化が生じ、給気グリル23a〜23cからの給気量バランスが大きく損なわれることがある。図4は、通風経路に変化が生じた際における給気量バランスが損なわれた状態を示す模式図である。
図4に示すように、排気装置33aが稼働すると、その排気装置33aが新たな排気口となり、通風経路の変化が生じることとなる。つまり、排気装置33aに最も近い給気口となる給気グリル23aからの給気量(風量)が増大し、それに伴い、給気グリル23b,23cからの給気量が減少する。これによって、給気グリル23b,23cが設置されている2つの居室に、必要給気量が供給されないことが懸念される。
そこで、本発明の実施形態に係る換気装置10では、このような通風経路の変化を、送風量検出手段である風速センサ15に基づいて特定し(検出し)、給気量を調整する。すなわち、コントローラ17は、風速センサ15により検出された送風機14の送風量が、記憶部172に記憶された通常送風量よりも大きくなったと判別すると、給気量を調整する。このような一連の動作を以下、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る給気量調整処理の一例を示すフローチャートである。この給気量調整処理は、例えば、換気装置10の稼働に伴い、コントローラ17(制御部171)により実行される。なお、図5のフローチャートでは、室外ユニット21(熱交換器13)の記載を省略しているが、室外ユニット21を動作させる際には、コントローラ17は、室外ユニット21への制御も適宜行い、熱交換器13によって温調された空気が、各居室に給気されるものとする。
まず、コントローラ17は、送風機14を稼働させる(ステップS101)。つまり、通常運転が開始されると、コントローラ17は、常時稼働のために、送風機14を稼働させる。
コントローラ17は、給気ダンパ16a〜16cの開度を標準開度に設定する(ステップS102)。すなわち、コントローラ17は、記憶部172に記憶された標準開度を読み出し、給気ダンパ16a〜16cの開度を、初期設定時に調整した標準開度にする。
コントローラ17は、風速センサ15により、送風機14の送風量を検出する(ステップS103)。
コントローラ17は、通常送風量と等しいか否かを判別する(ステップS104)。例えば、コントローラ17は、ステップS103にて検出した送風量が、記憶部172に記憶された通常送風量と等しい(若しくは、差があっても、予め定められた許容範囲内に収まる)か、どうかを判別する。
コントローラ17は、通常送風量と等しいと判別すると(ステップS104;Yes)、上述したステップS102に処理を戻し、給気ダンパ16a〜16cを標準開度のままで、通常運転を継続する。
一方、通常送風量と等しくない(例えば、検出した送風量が通常送風量よりも大きい)と判別した場合(ステップS104;No)に、コントローラ17は、何れかの給気ダンパ16を閉止中であるか否かを判別する(ステップS105)。
コントローラ17は、何れかの給気ダンパ16を閉止中である(つまり、給気量を調整済みである)と判別すると(ステップS105;Yes)、上述したステップS103に処理を戻す。
一方、何れの給気ダンパ16も閉止中でないと判別した場合に(ステップS105;No)、コントローラ17は、i番目の給気ダンパ16を閉止する(ステップS106)。なお、i(変数i)は、1〜3(自然数)の間で変化する変数であり、初期値として1が定められている。また、給気ダンパ16a〜16cには、同じく1〜3の値が予め割り当てられている。
つまり、ステップS105にて、送風機14の送風量が通常送風量(つまり、通常値)ではないと判別されたので、コントローラ17は、給気先の通風経路にどのような変化が起こったのかを探索するために、以降、給気ダンパ16を順番に1つずつ閉止して、その際の送風機14の送風量を収集する。
コントローラ17は、風速センサ15により検出された送風量を記憶する(ステップS107)。すなわち、コントローラ17は、i番目の給気ダンパ16を閉止した状態で検出された送風機14の送風量を、記憶部172に記憶する。なお、一時的な記憶で構わないため、例えば、制御部171が備えるRAM内にこの送風量を記憶するようにしてもよい。何れにしても、コントローラ17は、検出された送風量を、閉止しているi番目の給気ダンパ16と対応可能に記憶する。
コントローラ17は、全ての給気ダンパ16で実施したか否かを判別する(ステップS108)。すなわち、3番目の給気ダンパ16を閉止した状態で検出された送風量を記憶し終えたかどうかを判別する。
コントローラ17は、全ての給気ダンパ16で実施していないと判別すると(ステップS108;No)、変数iに1を加算する(ステップS109)。そして、上述したステップS106に処理を戻す。
一方、全ての給気ダンパ16で実施したと判別した場合(ステップS108;Yes)に、コントローラ17は、最小の送風量に対応する給気ダンパ16を閉止する(ステップS110)。つまり、コントローラ17は、ステップS107にて記憶(収集)した各送風量(給気ダンパ16を順番に1つずつ閉止した状態で検出された各送風量)のうち、最も値が小さい送風量に対応する給気ダンパ16を特定し、その給気ダンパ16を閉止する。これにより、最も風量が増大していた給気経路の給気ダンパ16が閉止されるため、給気量が1カ所に偏ることなく分配することができる。そして、コントローラ17は、上述したステップS103に処理を戻す。
図6は、このような給気量調整処理によって、給気量が調整された状態の一例を示す模式図である。つまり、稼働した排気装置33aに最も近い給気グリル23aに対応する給気ダンパ16aが閉止されているので、給気は給気グリル23b,23cから行われる。そのため、給気グリル23b,23cから給気された外気が、隙間32a,32bを経由して排気装置33aから排気されるという通風経路を形成する。このようにして、排気装置33aの稼働に伴って、給気量不足になり易い居室にも、確実に外気導入されることとなる。この結果、通風経路の変化が生じても、各居室に必要給気量を適切に供給することができる。
また、このような排気装置33aの稼働に依らず、他の要因で通風経路の変化が生じた場合でも、本発明の実施形態に係る換気装置10では、同様に対応可能である。例えば、図7は、間仕切壁31bのドア34が開放されたケースを示す模式図である。このようなケースでは、給気グリル23bから排気装置33bまでの通風経路の抵抗が減少するため、それよりも遠い位置にある給気グリル23aからの給気量が不足することが懸念される。
しかしながら、このようなケースでも、上述した給気量調整処理により、給気ダンパ16を順番に1つずつ閉止した状態で検出された各送風量のうち、最も値が小さい送風量に対応する給気ダンパ16bが特定され、その給気ダンパ16bが閉止される。つまり、図7に示すように、給気ダンパ16bが閉止され、給気が給気グリル23a,23cから行われる。そのため、給気グリル23aから給気された外気が、隙間32aとドア34(隙間32b)とを経由して排気装置33bから排気されるという通風経路を形成する。このようにして、ドア34の開放に伴って、給気量不足になり易い居室にも、確実に外気導入されることとなる。この結果、通風経路の変化が生じても、各居室に必要給気量を適切に供給することができる。
特に、室外ユニット21を稼働して空調負荷も同時に処理する場合では、従来であれば、給気量が不十分な居室には室温調整が行われず、不快な環境を形成してしまっていた。しかしながら、本発明の実施形態に係る換気装置10では、上述したように、各居室に必要給気量を適切に供給できるため、温調機能が損なわれることが無く、快適な環境形成を行うことができる。
また、本発明の実施形態に係る換気装置10では、給気経路毎にセンサを配置することなく、1つの風速センサ15を用いた送風機14の送風量変化(トータルの風量変化)だけで給気量バランスが損なわれたことを特定できるので、より安価なシステム構成とすることができる。
なお、上述した換気装置10では、排気装置33a,33bの稼働状態を検出していないが、例えば、集中コントローラによって、排気装置33a,33bの稼働状態(ON/OFF信号)を検出し、換気装置10がその検出結果を取得できるようにしてもよい。この場合、例えば、排気装置33aが稼働したのと同時に、最も近い給気経路を遮断(給気ダンパ16aを閉止)できるので、空気のショートサイクルによる過剰換気状態を回避し、空調負荷を低減することができる。
このように、空調機能を併せ持った換気装置10において、局所的な給気量不足(送風量不足)がなくなるので、空調機能(温調機能)を喪失することを回避することができ、快適な空間を提供することができる。
(他の実施形態)
上記の実施形態では、初期設定時に、給気グリル23a〜23cから排気装置33bまでの通風経路の抵抗が最も大きくなるように設定した上で、給気ダンパ16a〜16cの開度を調整し、標準開度として記憶する場合について説明したが、この他にも、起こり得る通風経路の変化を想定し、その際に適した給気ダンパ16の開度を調整して、記憶しておいてもよい。
例えば、上述したように、排気装置33aが稼働する場合には、給気ダンパ16aを閉止することになるが、この状態における給気ダンパ16b,16cの開度を同様に調整しておき、給気ダンパ16aの閉止時における開度として、記憶部172に記憶する。そして、コントローラ17は、上述した給気量調整処理(ステップS110)にて、給気ダンパ16aを閉止して給気量を調整する際に、給気ダンパ16b,16cの開度を、この給気ダンパ16aの閉止時における開度に設定する。
この場合、通風経路の変化に応じて、より調整された給気量を各居室に供給することができる。
また、上記の実施形態では、風速センサ15を用いて、送風機14の送風量を求める場合について説明したが、送風機14の送風量の求める手法は、他の手法であってもよい。
例えば、フィルタ12の前後差圧を検出するための差圧センサを用い、その差圧センサにより検出された値を基に、送風機14の送風量を求めてもよい。この他にも、送風機14の消費電力を検出するための電流トランス(CT:Current Transformer)を用い、その電流トランスにより検出された消費電力を基に、送風機14の送風量を求めてもよい。
上記の実施形態では、換気装置10のコントローラ17が、上述した給気量調整処理を実行する場合について説明したが、他の装置が、換気装置10に代わって給気量調整処理を実行するようにしてもよい。
例えば、家屋30に、HEMS(Home Energy Management System)が導入されており、HEMSコントローラ(管理装置)から、換気装置10を制御可能である場合に、HEMSコントローラが、換気装置10に代わって給気量調整処理を実行する。
更に、このようなHEMSコントローラに限られず、給気量調整処理を行うためのプログラムを既存のパーソナルコンピュータや情報端末機器に適用することで、当該パーソナルコンピュータをHEMSコントローラと同様に機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
10 換気装置、11 外気導入口、12 フィルタ、13 熱交換器、14 送風機、15,41 風速センサ、16(16a〜16c) 給気ダンパ、17 コントローラ、21 室外ユニット、22 給気ダクト、23(23a〜23c) 給気グリル、30 家屋、31(31a,31b) 間仕切壁、32(32a,32b) 隙間、33(33a,33b) 排気装置、34 ドア、171 制御部、172 記憶部、40 調整者

Claims (5)

  1. 複数の給気経路を介して空気を送風する送風手段と、
    前記送風手段の送風量を検出する送風量検出手段と、
    前記複数の給気経路にそれぞれ設けられており、当該給気経路を通る空気の風量を調整する複数の風量調整手段と、
    前記送風量検出手段により検出された送風量に従って、前記複数の風量調整手段のうちの何れかを閉止する制御手段と、
    前記複数の風量調整手段の初期設定時に、前記送風量検出手段にて検出された送風量を前記送風手段の通常値として記憶する記憶手段を備え、
    前記制御手段は、前記送風量検出手段により検出された送風量が、前記記憶手段に記憶された通常値と異なる場合に、前記複数の風量調整手段を順番に1つずつ閉止しながら、前記送風量検出手段により検出された送風量を収集し、当該収集した送風量のうち最も小さな送風量に対応する前記風量調整手段を閉止する、
    気装置。
  2. 前記送風手段が送風する空気を温調する温調手段を更に備える、
    請求項1に記載の換気装置。
  3. 前記送風量検出手段は、前記送風手段の風速を基に送風量を検出する、
    請求項1又は2に記載の換気装置。
  4. 前記送風量検出手段は、前記送風手段の消費電力を基に送風量を検出する、
    請求項1からの何れか1項に記載の換気装置。
  5. 複数の給気経路を介して空気を送風する送風手段と、前記送風手段の送風量を検出する送風量検出手段と、前記複数の給気経路にそれぞれ設けられており、当該給気経路を通る空気の風量を調整する複数の風量調整手段と、前記複数の風量調整手段の初期設定時に、前記送風量検出手段により検出された送風量を前記送風手段の通常値として記憶する記憶手段とを有する換気装置の給気量調整方法であって、
    前記送風量検出手段により検出された送風量が、前記記憶手段に記憶された通常値と異なるか否かを判別する判別ステップと、
    前記判別ステップにより、検出された前記送風量が前記通常値と異なると判別された場合に、前記複数の風量調整手段を順番に1つずつ閉止しながら、前記送風量検出手段により検出された送風量を収集し、当該収集した送風量のうち最も小さな送風量に対応する前記風量調整手段を閉止する制御ステップと、
    を備える給気量調整方法。
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