以下、本発明を適用した画像形成装置として、A4サイズの記録シートに対する画像形成が可能なフルカラープリンタ(以下、プリンタ100という)と、スキャナー500とを搭載した複写機の一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機のプリンタ100の基本的な構成について説明する。図1は、プリンタ100を示す概略構成図である。このプリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像の作像プロセスを実施する四つの作像ユニット1Y,M,C,Kを備えている。四つの作像ユニット1Y,M,C,Kは、画像形成物質として互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。
以下、Kトナー像を作像するK用の作像ユニット1Kを例にして作像プロセスやユニット構成について説明する。作像ユニット1Kは、図2に示されるように、ドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、帯電ローラ4K、現像装置5K、薄層化ブレード12K、トナーカートリッジ13K、LEDヘッド45Kなどを有している。
潜像担持体としてのドラム状の感光体2Kは、ドラム状の導電性支持体の周面に、光導電性層と絶縁層とが被覆されたものであり、駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、帯電バイアスが印加される帯電ローラ4Kとの対向位置において、一様な電位に帯電せしめられる。帯電後の感光体2Kの表面に対しては、画像情報に基づいて駆動されるLEDヘッド45Kから照射される書き込み光による光走査が行われる。この光走査によって露光された感光体2K表面箇所は、表面電位を光減衰させて静電潜像を担持する。
LEDヘッド45Kは、感光体2Kの回転軸線方向に複数配列されたLED等の発光素子のそれぞれから発した光を、同じく回転軸線方向に複数配列されたレンズに通した後に感光体2Kの表面に到達させるものである。LEDヘッド45の照射する光は画像を結像するものであることから、LEDヘッド45Kとしては、解像度や指向性の高いものが用いられている。発光素子としては、LEDに代えて、有機EL素子など、LEDと同様の解像度や指向性をもつものを用いてもよい。
現像装置5Kは、ホッパ部6K、現像部7K、上搬送スクリュー8K、下搬送スクリュー9K、トナー供給ローラ10K、現像ローラ11Kなどを有している。また、現像装置5Kのホッパ部6Kには、これの上方に配設されたトナーカートリッジ13Kが接続されている。トナーカートリッジ13K内に収容されるKトナーは、必要に応じて現像装置5Kのホッパ部6K内に補給される。
ホッパ部6K内に補給されたKトナーは、上搬送スクリュー8Kや、これの下方に配設された下搬送スクリュー9Kの回転駆動によって撹拌されてマイナス極性に帯電しながら、自重によって現像部7Kのトナー供給ローラ10K上に落下する。
現像部7K内に配設されたトナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内から落下してきたKトナーをローラ部の表面で捕捉しながら回転する。このトナー供給ローラ10Kの図中左側方に配設された現像剤担持体としての現像ローラ11Kは、トナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する。この現像ローラ11Kには現像バイアスが印加されているのに対し、トナー供給ローラ10Kには供給バイアスが印加されている。何れのバイアスもKトナーの正規帯電極性と同じマイナス極性であるが、絶対値は現像バイアスの方が小さい。このため、トナー供給ローラ10Kと現像ローラ11Kとの当接部において、トナー供給ローラ10K上のKトナーが現像ローラ11K上に移動する。
現像ローラ11Kには、片持ち支持される薄層化ブレード12Kの自由端側が当接している。トナー供給ローラ10Kから現像ローラ11Kに供給されたKトナーの層は、現像ローラ11Kの回転に伴って現像ローラ11Kと薄層化ブレード12Kとの当接部に進入して所定の層厚に薄層化される。その後、現像ローラ11Kの回転に伴って、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部に進入する。
感光体2Kの地肌部電位(非露光部電位)や潜像電位(露光部電位)は何れもトナーの正規帯電極性と同じマイナス極性である。また、上述したように、現像ローラ11Kに印加される現像バイアスもマイナス極性である。それらの絶対値は、地肌部電位が最も大きく、現像バイアスがその次に大きい。このため、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部における全域のうち、現像ローラ11Kと感光体2Kの地肌部との間においては、Kトナーを地肌部側から現像ローラ11K側に静電移動させる電界が作用する。一方、現像ローラ11Kと感光体2Kの静電潜像との間においては、Kトナーを現像ローラ11K側から静電潜像側に静電移動させる電界が作用する。これにより、現像ローラ11K上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に付着して静電潜像を現像し、この現像によって感光体2Kの表面上にKトナー像が形成される。
Y,M,C用の作像ユニット1Y,1M,1Cにおいても、K用と同様にして、感光体2Y,2M,2Cの表面上にYトナー像,Mトナー像,Cトナー像が形成される。K用の感光体2Kの表面上に形成されたKトナー像は、後述する一次転写ニップで中間転写ベルト16の表面上に一次転写される。一次転写ニップを通過した感光体2Kの表面には、中間転写ベルト16の表面上に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置3Kによって感光体2Kの表面上から除去される。
図1において、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配置されている。この転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの一次転写ローラ19Y,19M,19C,19K、ベルトクリーニング装置21などを有している。
中間転写ベルト16は、そのループ内側に配置された駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの一次転写ローラ19Y,19M,19C,19Kによって張架されている。そして、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
Y,M,C,K用の一次転写ローラ19Y,19M,19C,19Kは、無端移動する中間転写ベルト16を感光体2Y,2M,2C,2Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2Y,2M,2C,2Kとが当接するY,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。
一次転写ローラ19Y,19M,19C,19Kのそれぞれには、転写バイアス電源によってプラス極性の一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の一次転写ニップ内では、感光体2Y,2M,2C,2Kの静電潜像と、一次転写ローラ19Y,19M,19C,19Kとの間に、トナーを感光体側からベルト側に静電移動させる一次転写電界が形成される。なお、一次転写ローラ19Y,19M,19C,19Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシ等の転写手段を用いてもよい。
Y用の作像ユニット1Yの感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の一次転写ニップに進入すると、一次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト16の表面上に一次転写される。このようにしてYトナー像が一次転写された中間転写ベルト16には、その無端移動に伴ってM,C,K用の一次転写ニップを通過するときに、感光体2M,2C,2K上のMトナー像,Cトナー像,Kトナー像が一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト16上には四色トナー像が形成される。
転写ユニット15において、中間転写ベルト16のループ外側に配置された二次転写ローラ20は、ループ内側の従動ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、二次転写ローラ20とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ20には、転写バイアス電源によってプラス極性の二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写ローラ20と、アース接続されている従動ローラとの間には、二次転写電界が形成される。
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録シートSを複数枚重ねたシート束の状態で収容している給送カセット30がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配置されている。この給送カセット30は、シート束の一番上の記録シートSに給送ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録シートSを転写前搬送路31に向けて送り出す。
転写前搬送路31の末端付近には、レジストローラ対32が配置されており、このレジストローラ対32は、給送カセット30から送り出された記録シートSをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録シートSを上述の二次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の四色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録シートSを二次転写ニップに向けて送り出す。
二次転写ニップで記録シートSに密着させられた中間転写ベルト16上の四色トナー像は、二次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録シートS上に一括二次転写されてフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録シートSは、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、後述する定着装置34に送り込まれる。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録シートSに二次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。
定着装置34は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録シートSは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧に伴うトナーの軟化によって表面にフルカラー画像が定着される。定着装置34内から排出された記録シートSは、定着後搬送路35と排紙ローラ対36とを経て機外へと排出され、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
図3は、実施形態に係る複写機を示す斜視図である。また、図4は、同複写機を示す側面図である。この複写機は、プリンタ100と、これの上に載置されたスキャナー500とを備えている。プリンタ100の正面側の上部には、タッチパネルや各種のキーを具備する操作表示部52が設けられている。また、図4に示されるように、プリンタ100の背面部には電装部60が設けられている。
図5は、複写機の電気回路の要部を示すブロック図である。プリンタ100の電装部60は、電気機器として、情報処理基板61、FAX基板62、無線LAN基板63、スピーカー64、ファン73、主制御基板74などを有している。主制御基板74と情報処理基板61とは、ハーネスによって互いに接続されている。
主制御基板74は、プリンタ100内の各種機器の駆動を制御したり、各種センサーから情報を取得したりするものである。この主制御基板74には、プリンタ100における各種センサー、各種モータードライバー、各種電源、ファン73、各色のLEDヘッド(45Y,45M,45C,45K)などが接続されている。なお、ファン73は、機内の空気を機外に排出するものである。
情報処理基板61は、各種の画像情報、音声情報、通信情報などを処理するものである。この情報処理基板61には、スキャナー500や、プリンタ100の操作表示部52などが接続されている。また、電装部60のFAX基板62、無線LAN基板63、スピーカー64なども接続されている。
FAX基板62は、電話回線を通じてFAX通信を行うためのものである。FAX基板62で受信した画像情報は、情報処理基板61によって必要な処理が施された後、主制御基板74に送られる。主制御基板74は、その画像情報に基づいて各種機器を制御することで、FAX画像をプリントする。
スピーカー64は、情報処理基板61から送られてくる音声信号をアナログ音声として出力するものである。
無線通信手段としての無線LAN基板63は、無線LANを利用した無線通信によってパソコンなどから送られてくる画像情報や各種の情報を受信したり、各種の信号を送信したりするものである。この無線LAN基板63には、無線LAN電波を受信するためのアンテナ回路が設けられている。
無線LAN基板63によって受信された画像情報は、情報処理基板61によって必要な処理が施された後、主制御基板74に送られる。主制御基板74は、その画像情報に基づいて各種機器を制御することで、受信画像をプリントする。
スキャナー500によって読み取られた原稿画像は、スキャナー500からプリンタ100の情報処理基板61に送られる。そして、情報処理基板61によって必要な処理が施された後、主制御基板74に送られる。主制御基板74は、その画像情報に基づいて各種機器を制御することで、コピー画像をプリントする。
図6は、電装部60の内部構成の一部を示す背面図である。電装部60の主制御基板74と情報処理基板61とは、互いに横並びの状態で、プリンタ100の後フレーム75にネジ止めされている。
図7は、複写機を後側から示す背面図である。プリンタ100の背面は、樹脂製の背面カバー76によって覆われている。この背面カバー76を取り外すと、電装部60を外部に露出させることができる。
図8は、本発明を適用していない複写機を後側から示す背面図である。同図においては、背面カバーを取り外した状態の複写機を示している。背面カバーを取り外すと、電装部の電磁シールド板69が露出する。同図においては、電磁シールド板69に隠れていて示されていないが、電磁シールド板69の裏側には、主制御基板や情報処理基板を固定した後フレームが存在している。図8に示される複写機においては、図9に示されるように、無線LAN通信を行うための無線LAN基板63を、電磁シールド板69のおもて面に固定している。主制御基板や情報処理基板などと同じように、電磁シールド板69の裏側に無線LAN基板63を配設すると、無線LAN通信を行うことができなくなるからである。電磁シールド板69には、無線LAN基板63と情報処理基板61とを電気接続するハーネス72を通すための貫通口が設けられている。
かかる構成では、無線LAN基板63から情報処理基板61への信号に、ハーネス72から伝搬したノイズを混入させるおそれがあった。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
図10は、実施形態に係る複写機のプリンタ100における電磁シールド板69を示す斜視図である。シールド板対の一方である電磁シールド板69には、矩形状の比較的大きな通信開口69aが設けられている。電磁シールド板69のおもて面には、無線LAN基板63が固定されていない。無線LAN基板63は、電磁シールド板69の情報処理基板61との間に配設されている。
図11は、プリンタ100の背面カバーを外した状態の同複写機を示す背面図である。電磁シールド板69よりも内側(筐体の内部側)では、図示のように、無線LAN基板63が通信開口69aに対向するように固定されている。無線LAN基板63は、その通信開口69aを介して流通する電波によって無線LAN通信を行うことができる。図示のように、無線LAN基板63と情報処理基板(図6の61)とを電気接続するハーネスは、電磁シールド板69の裏に隠れている。このようにハーネスを電磁シールド板69の裏側に位置させることで、ハーネスからのノイズの混入を抑えることができる。
図12は、電装部60の情報処理基板61、仕切板65、及び電装側板68を示す平面図である。なお、この平面図は、複写機本体を主体にすると背面図に相当するものである。つまり、電装部60を複写機本体に搭載した状態では、複写機の背面側から眺めたアングルが、図12の平面図のアングルになる。
同図において、情報処理基板61、仕切板65、及び電装側板68のそれぞれは、ネジ止めによってプリンタ(100)の後フレーム(図6の75)に固定されている。仕切板65は、後フレームと、電磁シールド板(69)との間の空間を、情報処理基板61を配設するための空間と、主制御基板(図5の74)を配設するための空間とに仕切るように、後フレームの表面から立ち上がっている。また、電装側板68は、電装部60の側板として機能するように、後フレームの表面から立ち上がっている。
図13は、仕切板65を示す斜視図である。仕切板65は、L字状に折れ曲がった形状をしており、折れ部を境にした一方が仕切りの役割を果たす。その一方には、情報処理基板(61)と主制御基板(74)との電気接続するハーネスを通すための開口が形成されている。
図14は、電装側板68を示す斜視図である。電装側板68には、情報処理基板61の後述するI/Oポートに具備される複数のコネクタを個別に露出させるための複数の開口が形成されている。
図15は、電装部60の桁板66を示す斜視図である。この桁板66は、部品や回路などを情報処理基板(61)と電磁シールド板69との間の空間に固定するためのものである。桁板66には、無線LAN基板(63)を保持するための保持体たる金属製のスタッド67が固定されている。なお、仕切板65、電装側板68、桁板66は何れも金属製である。
図16は、電装部60に固定された状態の仕切板65、電装側板68、及び桁板66を示す斜視図である。仕切板65及び電装側板68は、後フレーム(図6の75)の表面から立ち上がるように、個別に後フレームにネジ止めされる。また、桁板66は、仕切板65と電装側板68との間を架け渡しするように仕切板65と電装側板68とに係合した状態で、電装側板68にネジ止めされている。
図17は、情報処理基板61、仕切板65、電装側板68、及び桁板66を示す平面図である。図示のように、桁板66は、情報処理基板61よりも複写機の背面側(図中手前側)に位置するように固定される。
図18は、情報処理基板61、仕切板65、電装側板68、桁板66、及び無線LAN基板63を示す平面図である。また、図19は、電装部60を示す側面図である。なお、図19においては、便宜上、後述する囲いシールド部材70や庇シールド部材71の図示を省略している。
情報処理基板61の一端部には、図19に示されるように、I/Oポート61’が設けられている。このI/Oポート61’は、有線LANコネクタ61’a、USB−Bコネクタ61’b、USB−Aコネクタ61’c、debugコネクタ61’d、マイクロSDカードスロット61’e、及びSDカードスロット61’fを具備している。
また、情報処理基板61の一端部には、FAX基板62が設けられている。このFAX基板62は、電話回線から送られてくる信号を入力するためのLINE−INコネクタ62a、及び信号を電話回線に出力するためのLINE−OUTコネクタ62bが設けられている。
無線LAN基板63は、桁板66の表面に立設せしめられた二本のスタッド67の先端に固定されることで、情報処理基板61と電磁シールド板69との間の空間に保持されている。そして、この状態で、図11に示されるように、電磁シールド板69の通信開口69aに対向することで、通信開口69aを通じて外部機器と無線LAN通信を行う。
図20は、電磁シールド板69、囲いシールド部材70、及び庇シールド部材71を示す分解斜視図である。図示のように、電磁シールド板69の通信開口69aの周縁には、囲いシールド部材70と庇シールド部材71とが装着される。それらが装着されても、図21に示されるように、電磁シールド板69の通信開口69aは装着前とほぼ変わらない面積で開口している。
図22は、囲いシールド部材70を示す斜視図である。囲いシールド部材70は、角パイプ状の囲い部と、電磁シールド板69にネジ止めするためのフランジ部とを有している。そして、囲い部は、第一囲い壁70a、第二囲い壁70b、第三囲い壁70c、及び第四囲い壁70dを具備している。各パイプ状の囲い部の外径は、電磁シールド板69の通信開口69aの内径よりも少しだけ小さくなっている。この囲い部が電磁シールド板69の通信開口69aに差し込まれると、電磁シールド板69における通信開口69aの周縁部に、囲いシールド部材70のフランジ部が引っ掛かる。
囲いシールド部材70のフランジ部は、第一羽根部70e、第二羽根部70f、第三羽根部70g、及び第四羽根部70hを具備しており、それぞれの羽根部には、ネジを通すためのネジ穴が設けられている。第一羽根部70eは、角パイプ状の囲い部における第一囲い壁70aの後端から90[°]折れ曲がっている。また、第二羽根部70fは、囲い部における第二囲い壁70bの後端から90[°]折れ曲がっている。また、第三羽根部70gは、囲い部における第三囲い壁70cの後端から90[°]折れ曲がっている。また、第四羽根部70hは、囲い部における第四囲い壁70dの後端から90[°]折れ曲がっている。電磁シールド板69の通信開口69aの周縁部に引っ掛かったフランジ部がその周縁部にネジ止めされることで、囲いシールド部材70が電磁シールド板69に固定される。
図23は、電磁シールド板69に装着された囲いシールド部材70と、桁板66の表面から立ち上がるスタッド67に保持される無線LAN基板63とを示す斜視図である。同図においては、便宜上、電磁シールド板69及び桁板66の図示を省略している。電磁シールド板69に装着された囲いシールド部材70は、図示のように、スタッド67に保持される無線LAN基板63の周囲を囲い部(70a、70b、70c、70d)によって囲む。これにより、電磁シールド板69の通信開口69aに対して斜め方向に進入して内外流通(電装部60の中と外との流通)してしまう電波の量を低減することができる。
図24は、電装部60の長手方向における全域のうち、無線LAN基板63の付近の領域を示す縦断面図である。電磁シールド板69に装着された囲いシールド部材70の囲い部(70a、70b、70c、70d)は、図示のようにその先端を桁板66に接触させている。これにより、角パイプ状の囲い部における通信開口69aの側の開口である通信側開口と、情報処理基板61の側の開口である基板側開口とのうち、基板側開口を塞ぐ閉塞シールド部として、金属製の桁板66を機能させている。かかる構成では、基板側開口を通じて内外流通してしまう電波の量を低減することができる。
図23において、囲いシールド部材70の囲い部における第一囲い壁70aには、スリット70a’が設けられている。このスリット70a’は、図24に示されるように、無線LAN基板63と情報処理基板61とを接続する電線たるハーネス72を自らの中に受け入れて、ハーネス72と第一囲い壁70aとの位置干渉を避けるためのものである。このスリット70a’があることで、ハーネス72を取り付けたままで、囲いシールド部材70を電磁シールド板69に装着することができる。
ところが、そのスリット70a’があることで、スリット70a’を通じて内外流通する電波が発生してしまう。そこで、この複写機では、囲いシールド部材70に、庇シールド部材71を装着するようになっている。
図25は、庇シールド部材71を示す斜視図である。この庇シールド部材71は、庇の役割を果たす庇部71aを具備している。また、庇部71aを片持ち支持するように庇部71aから90[°]折れ曲がった片持ち支持部71bや、片持ち支持部71bから庇部71aとは反対方向に90[°]折れ曲がった羽根部71cも具備している。
庇シールド部材71は、図20、図21に示されるように、電磁シールド板69の通信開口69aの縁部に引っ掛けた羽根部(図25の71c)をネジ止めされることで、電磁シールド板69や囲いシールド部材70に固定される。このように固定された状態では、図24に示されるように、庇部71aを電磁シールド板69の通信開口(69a)の縁部から通信開口の中心に向けて延ばす。この庇部71aにより、囲いシールド部材70の第一囲い壁70aのスリット70a’を通じた電波の内外流通を阻害して、その電波の量を低減することができる。
図26(a)は、電波の放射パターンを示す模式図である。また、図26(b)は、複写機の周囲における電波の伝搬状況を説明するための模式図である。床面から天井方向に伸びる一本のアンテナがあったとすると、その電波は図26(a)にしめされるような放射パターンで伝搬する。図示のように、アンテナに垂直な方向において、アンテナに平行な方向よりも電波が良好に伝搬する。複写機が一般的な屋内に設置される条件では、床と天井とに囲まれた空間において、上下の長さよりも、それと垂直な横方向の長さが大きい。このため、図26(b)に示される上下長手方向パターンと、横長手方向パターンとのうち、横長手方向パターンで電波を伝搬させるように、無線LAN基板63のアンテナ回路を設計することが望ましい。
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した実施例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、実施例に係る複写機の構成は、実施形態と同様である。
図27は、実施例に係る複写機のプリンタ100の電装部60における桁板66及びスタッドユニットを示す分解斜視図である。スタッドユニットは、土台と、これの表面から立ち上がる二本のスタッド67とが一体成形されたものであり、全体が絶縁性の樹脂材料からなる。このスタッドユニットが図28に示されるように桁板66にネジ止めされることで、スタッドユニットの表面上に樹脂製のスタッド67を立設させている。
スタッド67を絶縁性の樹脂材料で構成したことで、機外への電磁波ノイズの漏洩を抑えることができる。具体的には、スタッド67が金属製であると、無線LAN基板63とハーネス72と情報処理基板61とスタッド67を経由して無線LAN基板63に戻る電気的ループが生じて、これによって生じた電磁波ノイズが通信開口69aから機外に漏れてしまう。これに対し、スタッド67を絶縁性の樹脂材料で構成すると、情報処理基板61からスタッド67を通じて無線LAN基板63に戻る経路を無くして、電気的ループの発生を回避する。これにより、機外への電磁波ノイズの漏洩を抑えることができる。
なお、樹脂製のスタッド67に保持される無線LAN基板63は、ハーネス72を通じてアースに接続されている。
次に、実施形態に係る複写機の変形例について説明する。
なお、以下に特筆しない限り、変形例に係る複写機の構成は実施形態と同様である。
図29は、変形例に係る複写機の電装部60の内部構成を示す斜視図である。また、図30は、前記内部構成を示す平面図(複写機を主体にした場合には背面図)である。変形例に係る複写機の電装部60においては、囲いシールド部として機能する部材を、電磁シールド板69に固定するのではなく、桁板66などに固定するようになっている。
図31は、電装部60の桁板66と、これに固定される各種部材とを示す分解斜視図である。また、図32は、桁板66とこれに固定された各種部材とを示す斜視図である。図31に示されるように、桁板66には、大開口66c、及び中開口66dが設けられている。大開口66cは、図示のように、複合電磁シールド部材77を受け入れるためのものである。
桁板66には、桁板本体から90[°]の角度で情報処理基板61に向けて折れ曲がる上囲い壁66a、及び下囲い壁66bも設けられている。これら二つの囲い壁は、囲いシールド部の一部として機能する。
桁板66の大開口66cに受け入れられる複合電磁シールド部材77は、情報処理基板61に対向する平面を具備する閉塞板部77cを具備している。また、この閉塞板部77cの左右方向における両端のそれぞれから電磁シールド板69に向けて90[°]の角度で立ち上がる右囲い壁77a、及び左囲い壁77bも具備している。右囲い壁77aにおける閉塞板部77cとは反対側の端には、その端から90[°]の角度で折れ曲がっている右羽根部77dが繋がっている。また、左囲い壁77bにおける閉塞板部77cとは反対側の端には、その端から90[°]の角度で折れ曲がっている左羽根部77eが繋がっている。
複合電磁シールド部材77の閉塞板部77cには、二本のスタッド67が一体成型された樹脂製のスタッドユニットがネジ止めされる。そして、その二本のスタッド67のそれぞれには、無線LAN基板63がネジ止めされる。スタッドユニット及び無線LAN基板63を固定した複合電磁シールド部材77は、その右囲い壁77a、左囲い壁77b、及び閉塞板部77cを桁板66の大開口66cに挿入した状態で、右羽根部77d及び左羽根部77eを桁板66に引っ掛ける。そして、右羽根部77d、左羽根部77eのそれぞれが桁板66にネジ止めされることで固定される。
このようにして複合電磁シールド部材77が固定された桁板66は、次の各部材により、無線LAN基板63の周囲を囲む。即ち、図32に示されるように、桁板66の上囲い壁66a及び下囲い壁66b、並びに、複合電磁シールド部材77の右囲い壁77a及び左囲い壁77bによって無線LAN基板63の周囲を囲む。つまり、桁板66の上囲い壁66a及び下囲い壁66b、並びに、複合電磁シールド部材77の右囲い壁77a及び左囲い壁77bの組み合わせを、囲いシールド部として機能させている。
また、その囲いシールド部における通信側開口と基板側開口とのうち、基板側開口を複合電磁シールド部材77の閉塞板部77cによって塞ぐことで、閉塞板部77cを閉塞シールド部として機能させている。
なお、図32における無線LAN基板63は、電磁シールド板69の通信開口69aに対向している。また、一端側が情報処理基板61のコネクターに接続されたハーネス(72)は、他端側が図31の桁板66の中開口66dに通された後に、無線LAN基板63のコネクターに接続される。また、変形例に係る複写機では、ハーネスと囲いシールド部との位置干渉が発生しないことから、囲いシールド部にはハーネスを受け入れさせるためのスリットを設けていない。このため、スリットを介した電波の内外流通を阻害するための庇シールド部も設けていない。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、外部機器(例えば無線LAN通信可能なパソコン)との無線通信によって画像データを受信する無線通信手段(例えば無線LAN基板63)と、前記無線通信手段に電線接続される電子回路基板(例えば情報処理基板61)と、前記電子回路基板を覆う金属製の電磁シールド板(例えば電磁シールド板69)とを備える画像形成装置において、前記無線通信手段を前記電子回路基板と前記電磁シールド板との間の空間に配設し、且つ、前記電磁シールド板における前記無線通信手段との対向領域に、前記空間内の前記無線通信手段と、外部機器との通信を行うための通信開口(例えば通信開口69a)を設けたことを特徴とするものである。
態様Aでは、電子回路基板と電磁シールド板との間の空間において、殆どの領域が電磁シールド板によってシールドされるが、電磁シールド板に設けられた通信開口に対向する開口対向領域がシールドされない。この開口対向領域に無線通信手段が存在することで、通信開口を介した外部機器との無線通信を行うことが可能である。電子回路基板と無線通信手段とを電気接続する電線については、その全部をシールド可能な領域に位置させるか、あるいは、無線通信手段に接続される端部だけをシールドされない開口対向領域に位置させるものの、大部分をシールド可能な領域に位置させる。かかる構成では、電線の端部だけでなく、多くの部分を、電磁シールド板の外側に露出させていた従来構成に比べて、電線からのノイズの混入を抑えることができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記空間内で前記無線通信手段の周囲を囲む金属製の囲いシールド部(例えば囲いシールド部材70)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、電気回路基板と電磁シールド板との間の空間内のうち、電磁シールド板の通信開口に対向しない非対向領域における開口対向領域との隣接部のシールド性を囲いシールド部によって高めることができる。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記囲いシールド部における前記電子回路基板の側の開口である基板側開口と、前記通信開口の側の開口である通信側開口とのうち、前記基板側開口を塞ぐ金属製の閉塞シールド部(例えば桁板66)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、電気回路基板と電磁シールド板との間の空間内のうち、無線通信手段と電子回路基板との間の領域のシールド性を閉塞シールド部によって高めることができる。
[態様D]
態様Dは、態様B又はCにおいて、前記無線通信手段と前記電子回路基板とを接続する電線(例えばハーネス72)を自らの中に受け入れて、前記電線と前記囲いシールド部との位置干渉を避けるためのスリット(例えばスリット70a’)を前記囲いシールド部に設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、電線を囲いシールド部に邪魔されることなく無線通信手段に接続することができる。
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、前記電磁シールド板における前記通信開口の縁部から前記通信開口の中心に向けて延びる庇を形成して、前記スリットを介した電波の流通を阻害する金属製の庇シールド部(例えば庇シールド部材71)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、電気回路基板と電磁シールド板との間の空間内のうち、電磁シールド板の通信開口に対向しない非対向領域におけるスリットとの隣接部のシールド性を庇シールド部によって高めることができる。
[態様F]
態様Fは、態様A〜Eの何れかにおいて、前記空間内で前記無線通信手段を保持する保持体(例えばスタッド67)を絶縁性材料(例えば絶縁性の樹脂)で構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、機内から通信開口を通じて外部に至る電磁波ノイズの漏洩を抑えることができる。
[態様G]
態様Gは、態様A〜Fの何れかであって、前記無線通信手段が、無線LAN基板であることを特徴とするものである。