以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図14において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は一実施形態に係る給水装置を示す模式図である。図1に示すように、給水装置1の吸込口は、導入管5を介して水道管4に接続されている。給水装置1の吐出口には給水管7が接続されており、この給水管7は、建物の各階の給水器具(例えば蛇口)に連通している。給水装置1は、水道管4からの水を増圧して建物の各給水器具に水を供給する。
水道管4にポンプの吸込側が導入管5を介して直結される給水装置1は、2台のポンプ2,2と、これらのポンプ2,2を駆動する駆動源としてのモータ(電動機)3,3と、モータ3,3を可変速駆動する駆動装置としてのインバータ20,20と、ポンプ2,2の吸込側に配置された逆流防止装置25と、逆流防止装置25の吸込側に配置された圧力センサ(吸込側圧力センサ)21と、ポンプ2,2の吐出側に配置された逆止弁22,22と、逆止弁22,22の吐出側に配置されたフロースイッチ24,24、圧力センサ(吐出側圧力センサ)26、および圧力タンク28を備えている。これら構成要素は、給水装置1のキャビネット30内に収容されている。なお、キャビネット30を備えていないタイプの給水装置もある。
図1に記載されている符号2aは、2台のポンプ2,2のうちの一方のポンプである1号ポンプを示しており、符号2bは他方のポンプである2号ポンプを示している。これら1号ポンプ2aおよび2号ポンプ2bを特に区別して呼ぶ必要がない限り、1号ポンプ2a,2号ポンプ2bを単にポンプ2,2と呼び、いずれか一方のポンプを意味する場合は単にポンプ2と呼ぶ。図1の符号3a,3bは、1号モータ3a,2号モータ3bを意味し、符号24a,24bは、1号フロースイッチ24a,2号フロースイッチ24bを意味する。これらについても同様に、特に区別して呼ぶ必要がない限り、単にモータ3,3,フロースイッチ24,24と呼ぶ。
本実施形態では、2組のポンプ2,2、モータ3,3、逆止弁22,22、およびフロースイッチ24,24が設けられ、これらは並列に設けられている。なお、1組、または3組以上のポンプ、モータ、逆止弁、およびフロースイッチを設けてもよい。各ポンプ2の構成部品として、ポンプ2の主軸部に取り付けられて、ポンプ2内の水を外部に漏らさない役割をするメカニカルシール(図示しない)がある。また、各モータ3の構成部品として、モータ3の主軸の回転時の摩擦低減と荷重支持の役割をする軸受(図示しない)がある。これらメカニカルシールや軸受も定期的に交換が必要な消耗部品である。
水道管4の圧力のみで給水を行うためのバイパス管8が導入管5と給水管7との間に設けられている。このバイパス管8には逆止弁23が設けられている。直結式給水装置では、図1に示すようにポンプ2,2の吸込側が水道管4に接続されているが、受水槽式の給水装置では、ポンプ2,2の吸込側は導入管5を介して受水槽に接続される。この受水槽式の給水装置の場合、図1に示す逆流防止装置25、吸込側の圧力センサ21、およびバイパス管8は設けられない。
逆止弁22,22は、ポンプ2,2の吐出口に接続された吐出管32,32にそれぞれ設けられている。これら逆止弁22,22は、ポンプ2,2が停止したときの水の逆流を防止するための弁である。フロースイッチ24,24は吐出管32,32を流れる水の流量が所定の値にまで低下したことを検出する流量検出器である。圧力センサ26は、吐出側圧力(すなわち、給水装置1に加わる背圧)を測定するための水圧測定器である。圧力タンク28は、ポンプ2,2が停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。
給水装置1は、給水動作を制御する制御部40を備えている。インバータ20,20、フロースイッチ24,24、圧力センサ21、圧力センサ26は、制御部40に信号線を介して接続されている。フロースイッチ24により水の流量が所定の値にまで低下したことが検出されると、制御部40はポンプ2の運転速度を一時的に上げるようインバータ20に指令を出し、圧力タンク28に蓄圧してからポンプ2の運転を停止させる。このようなポンプ2の停止動作を小水量停止という。吐出側圧力(吐出管32内の水圧)が所定の始動圧力まで低下すると、制御部40はポンプ2の運転を開始するようインバータ20に指令を出す。制御部40には、ポンプ2を始動させるトリガーとなる始動圧力が予め記憶されている。
ポンプ2,2が停止している状態で、建物内で水が使用されると、ポンプ2,2の吐出側圧力が低下する。この吐出側圧力、すなわち圧力センサ26の出力値が上記所定の始動圧力にまで低下すると、制御部40はポンプ2,2のうちのいずれか一方を始動させる。ポンプ2の運転中は、圧力センサ26の出力値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御が行われる。
建物での水の使用が停止されると、ポンプ2から吐き出される水の流量が低下する。フロースイッチ24は、ポンプ2からの水の流量が所定の値まで低下したことを検出すると、その検出信号を制御部40に送る。制御部40はこの検出信号を受け、インバータ20に指令を出して吐出側圧力が所定の停止圧力に達するまでポンプ2の回転速度を増加させ、その後ポンプ2を停止させる。
本実施形態の給水装置1は2台のポンプ2,2を備えており、2台のポンプ2,2のうちのいずれかが故障した場合、他方のポンプ2がバックアップ運転する。また、ポンプ2,2の積算運転時間の平準化や、ポンプ2,2の内部の死水防止のため、ポンプ2,2の始動順序を変えたり、あらかじめ設定した時間で、運転中のポンプ2を他方のポンプ2に強制的に切り替えたりする。また、省エネのため、給水量に応じてポンプ2を追加したり、解列したりする。その他、様々な方法に従って、ポンプ2,2のローテーションおよび台数制御を行っている。通常、給水装置1は常時通電されており、上述したように建物内での水に使用に応じてポンプ2,2の発停や回転速度を制御する自動運転モードにて使用されている。以下の説明ではこの自動運転モードを給水装置1の自動運転と記す。また、ポンプの運転とは実際にポンプが電動機により駆動されている状態を示す。
図2は制御部40の詳細を示す図である。図2に示すように、給水装置1は、給水動作を制御する制御部(制御装置)40と、給水装置1の運転情報を表示する表示器49とを備えている。制御部40は、設定部46、記憶部47、演算部48、I/O部50、及び運転パネル51を備えている。運転パネル51は、ヒューマンインターフェースとして機能する。設定部46には、ポンプ2,2の運転制御に関する各種設定値が入力される。設定部46及び表示器49は、運転パネル51に設けられている。表示器49は液晶パネルであり、設定部46はタッチパネル式操作器でもよい。本実施形態では、表示器49は制御部40に取り付けられているが、表示器49は制御部40から離れて配置されてもよい。また、表示器49は液晶パネルと7セグメントLEDや表示灯を組み合わせた構成でもよい。
記憶部47は、各消耗部品が交換時期に達したか否かを判断するためのしきい値と、各消耗部品の使用期間を記憶する。しきい値は、記憶部47に予め記憶されていてもよいし、あるいは設定部46を通じて記憶部47に入力されてもよい。演算部48は、各消耗部品の使用期間を計測し、記憶部47はこの使用期間を記憶する。演算部48としては、CPUが使用される。表示器49は、ヒューマンインターフェースとして機能し、給水装置1の各消耗部品の交換案内を表示する。
消耗部品の使用期間は、その消耗部品の使用が開始されてからの給水装置1の通電時間、またはその消耗部品の使用が開始されてからのポンプ2の積算運転時間に相当する。ポンプ2の積算運転時間とは、2台のポンプ2,2のうち、その消耗部品とともに動作する方のポンプ2の積算運転時間である。ポンプ2のメカニカルシールおよびモータ3の軸受は、給水装置1の通電時間と、ポンプ2の積算運転時間から交換時期を推定できる消耗部品である。
上述したように給水装置1の自動運転中はポンプ2の駆動中でも停止中でも給水装置1の内部に水圧がかかる。この水圧が部品の寿命に影響する消耗部品は、その部品の使用開始からの給水装置1の自動運転の期間が一定期間経過すると交換時期を迎える。このような消耗部品としては、圧力タンク28、圧力センサ21、圧力センサ26、および各ポンプ2内のメカニカルシール、が挙げられる。
軸受は、モータ3が運転していなくても、内部の潤滑用グリースが経年劣化する。よって軸受はその使用開始から一定期間経過すると交換時期を迎える。また、センサや制御機器等の給水装置1内の電気電子部品は通電にて劣化する消耗部品である。このような消耗部品は、その使用開始からの通電時間が一定期間経過すると交換時期を迎える。具体的には、圧力センサ21、圧力センサ26、フロースイッチ24,24、インバータ20,20、制御部40が挙げられる。これらの消耗部品の電源は制御部40と同時に入り切りされる。
通常、給水装置1はメンテナンスや停電時など特殊な場合を除いて、設置後は常時通電され且つ自動運転にて使用されているため、給水装置1の通電時間と自動運転時間は等しく、給水装置1の通電時間と設置時間も等しい。上述した消耗部品の交換時期は、各消耗部品の使用を開始してからの給水装置1の通電時間にて判断できる。よって、各部品の使用期間が給水装置1の通電時間に相当する消耗部品としては、圧力タンク28、圧力センサ21、圧力センサ26、フロースイッチ24,24、インバータ20,20、制御部40、各ポンプ2内のメカニカルシール、および各モータ3の軸受が挙げられる。給水装置1の消耗部品の耐用年数は消耗部品によって異なる。したがって、交換時期を示すしきい値は消耗部品ごとに設定される。例えば、圧力タンク28のしきい値は3年、圧力センサ21および圧力センサ26のしきい値は5年、フロースイッチ24のしきい値は3年、インバータ20のしきい値は5年、制御部40のしきい値は5年、メカニカルシールのしきい値は1年、モータ3の軸受の交換時期は3年である。
ポンプ2,2の積算運転時間にて交換時期を判断することができる消耗部品としては、各ポンプ2内のメカニカルシールおよび各モータ3の軸受が挙げられる。メカニカルシールは、ポンプ2の運転時に回転環と固定環が摺動して軸封を行うため、使用開始からのポンプ2の積算運転時間にてメカニカルシールの交換時期を推測することが可能である。また、軸受はモータ3の主軸の回転時の荷重や、摩擦を低減するための部品なので、使用開始からモータ3の積算運転時間にて交換時期を推測することが出来る。モータ3はポンプ2を駆動しているので、モータ3の積算運転時間はポンプ2の積算運転時間と等しい。例えば、ポンプ積算運転時間によるメカニカルシールの交換時期を示すしきい値は8000時間であり、ポンプ積算運転時間による軸受の交換時期を示すしきい値は10000時間である。メカニカルシールおよび軸受の使用期間は、使用を開始してからの給水装置1の通電時間に相当し、メカニカルシールおよび軸受の積算運転時間は、使用を開始してからのポンプ2の積算運転時間に相当する。
演算部48は、消耗部品の使用が開始されてからの給水装置1の通電時間および/またはポンプ2の積算運転時間を計測し、計測した通電時間および/または積算運転時間を記憶部47に送る。記憶部47は、消耗部品ごとに給水装置1の通電時間および/またはポンプ2の積算運転時間を記憶する。
使用期間が給水装置1の通電時間によって示される消耗部品に関しては、演算部48は、通電時間をしきい値と比較し、通電時間がしきい値以上であるか否かを判断する。通電時間がしきい値以上であるとき、表示器49は、消耗部品の使用期間がしきい値を超えたこと、および消耗部品が交換時期に達したことを示す通知を表示する。同様に、使用期間がポンプ2の積算運転時間によって示される消耗部品に関しては、演算部48は、ポンプ2の積算運転時間をしきい値と比較し、ポンプ2の積算運転時間がしきい値以上であるか否かを判断する。ポンプ2の積算運転時間がしきい値以上であるとき、表示器49は、消耗部品の使用期間がしきい値を超えたこと、および消耗部品が交換時期に達したことを示す通知を表示する。
次に、記憶部47について説明する。図3は記憶部47の詳細を示す図である。図3に示すように、記憶部47は、各消耗部品のしきい値を記憶するしきい値記憶領域47aと、消耗部品の使用期間を示す通電時間および積算運転時間を記憶する使用期間記憶領域47bとを備えている。図3において、しきい値記憶領域47aは、給水装置1の通電時間から推測されるメカニカルシールの交換時期を示す第1のしきい値(以下、メカニカルシール用の第1のしきい値と示す)、ポンプ2の積算運転時間から推測されるメカニカルシールの交換時期を示す第2のしきい値(以下、メカニカルシール用の第2のしきい値と示す)、給水装置1の通電時間から推測される軸受の交換時期を示す第1のしきい値(以下、軸受用の第1のしきい値と示す)、ポンプ2の積算運転時間から推測される軸受の交換時期を示す第2のしきい値(以下、軸受用の第2のしきい値と示す)、フロースイッチ24の交換時期を示すしきい値(以下、フロースイッチ用のしきい値と示す)、圧力タンク28の交換時期を示すしきい値(以下、圧力タンク用のしきい値と示す)、圧力センサ21,26の交換時期を示すしきい値(以下、圧力センサ用のしきい値と示す)、および制御部40の交換時期を示すしきい値(以下、制御部用のしきい値と示す)等の消耗部品の種類毎のしきい値を記憶している。
使用期間記憶領域47bは、各消耗部品の使用が開始されてからの給水装置1の通電時間、各消耗部品の使用が開始されてからの各ポンプ2の積算運転時間を記憶するように構成されている。図3に示す例では、使用期間記憶領域47bは、1号ポンプ2aのメカニカルシールの使用開始からの給水装置1の通電時間と、2号ポンプ2bのメカニカルシールの使用開始からの給水装置1の通電時間とを個別に記憶する。さらに、使用期間記憶領域47bは、1号ポンプ2aのメカニカルシールの使用開始からの1号ポンプ2aの積算運転時間と、2号ポンプ2bのメカニカルシールの使用開始からの2号ポンプ2bの積算運転時間とを個別に記憶する。
使用期間記憶領域47bは、1号モータ3aの軸受の使用開始からの給水装置1の通電時間と、2号モータ3bの軸受の使用開始からの給水装置1の通電時間とを個別に記憶する。さらに、使用期間記憶領域47bは、1号モータ3aの軸受の使用開始からの1号ポンプ2aの積算運転時間と、2号モータ3bの軸受の使用開始からの2号ポンプ2bの積算運転時間とを個別に記憶する。
同様に、使用期間記憶領域47bは、1号フロースイッチ24aの使用開始からの給水装置1の通電時間、2号フロースイッチ24bの使用開始からの給水装置1の通電時間、圧力タンク28の使用開始からの給水装置1の通電時間、圧力センサ(吸込側圧力センサ)21の使用開始からの給水装置1の通電時間、圧力センサ(吐出側圧力センサ)26の使用開始からの給水装置1の通電時間、および制御部40の使用開始からの給水装置1の通電時間を個別に記憶する。
次に、消耗部品の交換案内を実行するためのプロセスについて、図4を参照して説明する。図4は1号ポンプ2aのメカニカルシールが交換時期に達したことを示す消耗部品の交換案内を表示するためのフローチャートである。図4に示される第1の使用期間は、図3の1号ポンプ2aのメカニカルシールの使用開始からの給水装置1の通電時間として、定期的に記憶部47に記憶される。また、第2の使用期間は、図3の1号ポンプ2aのメカニカルシールの使用開始からの1号ポンプ2aの積算運転時間として、定期的に記憶部47に記憶される。
図4に示すように、メカニカルシールの使用が開始されると(ステップ1)、演算部48は第1の使用期間をカウントする(ステップ2)。ステップ1は、給水装置1が現場に設置され、給水装置1の自動運転が開始された直後に開始される。ステップ1における第1の使用期間の値と第2の使用期間の値は0である。
制御部40からインバータ20へ出力される運転指令値が所定の始動回転速度以上である場合(ステップ3)、演算部48は第2の使用期間をカウントする。(ステップ4)。運転指令値が所定の始動回転速度よりも低い場合、演算部48は第2の使用期間をカウントしない。
上述したように、メカニカルシールの交換時期は給水装置1の通電時間で1年、または1号ポンプ2aの積算運転時間で8000時間である。しきい値記憶領域47aは、メカニカルシールの交換時期を示すしきい値として、メカニカルシール用の第1のしきい値(通電時間で1年)およびメカニカルシール用の第2のしきい値(1号ポンプ2aの積算運転時間で8000時間)を予め記憶している。
演算部48は、第1の使用期間をメカニカルシール用の第1のしきい値と比較し、第1の使用期間がメカニカルシール用の第1のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップ5)。第1の使用期間がメカニカルシール用の第1のしきい値以上である場合、表示器49は、「1号ポンプのメカニカルシールの使用期間が1年を超えました。1号ポンプのメカニカルシールの交換時期です。」という通知1を表示する(ステップ6)。
表示器49が通知1を表示した後、演算部48は第2の使用期間をメカニカルシール用の第2のしきい値と比較し、第2の使用期間がメカニカルシール用の第2のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップ7)。第2の使用期間がメカニカルシール用の第2のしきい値以上である場合、表示器49は、「1号ポンプの運転時間が8000時間を超えました。1号ポンプのメカニカルシールの交換時期です。」という通知2を表示する(ステップ8)。
図5は表示器49の表示画面を示す図である。図5に示すように、表示器49は、1号ポンプ2aおよび2号ポンプ2bのそれぞれの運転状態を表示しており、さらに、消耗部品の交換案内として、通知1または通知2を表示している。この例では、通知1は、「1号ポンプのメカニカルシールの使用期間が1年を超えました。1号ポンプのメカニカルシールの交換時期です。」という表示であり、通知2は、「1号ポンプの運転時間が8000時間を超えました。1号ポンプのメカニカルシールの交換時期です。」という表示である。
表示器49は、消耗部品の交換案内として、消耗部品の使用期間の現在値(すなわち、その消耗部品について計測された給水装置1の通電時間またはポンプ2a若しくはポンプ2bの積算運転時間)は表示せずに、消耗部品を交換すべき理由(根拠)である使用期間が交換時期のしきい値を超えたことと、交換が必要な消耗部品を明確に表示する。消耗部品の交換案内として、消耗部品の使用期間の現在値を表示すると、ユーザーは消耗部品毎の使用期間の現在値の差異に気付き易くなる。例えば、上述したように給水装置の特徴として、給水装置1の1号ポンプ2aの積算運転時間と2号ポンプ2bの積算運転時間を平準化することは困難である。そのため、給水装置1の1号ポンプ2aの積算運転時間と2号ポンプ2bの積算運転時間を同時に表示すると、積算運転時間の短いポンプ2に不具合があるとか、ローテーション方法に不具合があるといった誤解を招く虞がある。したがって、消耗部品の使用期間の現在値を表示しないことにより、ユーザーの誤認識によるメンテナンス過多を防止することができるとともに、ユーザーは消耗部品の交換が必要であることのみを容易に認識することができる。
制御部40は、第1の使用期間および第2の使用期間を並行して計測する。したがって、第1の使用期間がメカニカルシール用の第1のしきい値に達した後に、第2の使用期間がメカニカルシール用の第2のしきい値に達する場合がある。通知1および通知2が混在して表示器49に表示されると、通知1の1号ポンプ2aのメカニカルシールと通知2の1号ポンプ2aのメカニカルシールが個別に存在し且つ其々の交換案内が表示されたとユーザーが誤解してしまうおそれがある。そこで、通知1のみを表示してもよいし、追加的に通知2を表示してもよい。
このような交換案内の表示により、ユーザーは、交換時期に達した消耗部品を正確に認識できると同時に、消耗部品の交換頻度を取扱説明書と同じレベルで把握できる。給水装置を使用するユーザーによりメンテナンスの頻度は様々である。断水を避けることを最優先し、消耗部品に不具合が発生する前に定期的にメンテナンスしたいユーザーもいれば、メンテナンス費用を極力控えるために、警報が発報されるまで消耗部品の使用を継続したいユーザーもいる。上述のような表示であれば、ユーザーごとに異なるメンテナンスの重要度にかかわらず、どのようなユーザーにも同じ表示で交換案内が可能である。
図4に示すように、交換案内が表示された後、ユーザーは、設定部46上のクリアボタン53(図2参照)を押すことにより(ステップ9)、通知1、通知2を消去することができる(ステップ10)。
消耗部品の交換は、給水装置専門のメンテナンス員が行うのが一般的である。メンテナンス員は1号ポンプ2aのメカニカルシールを交換した後(ステップ11)、設定部46上のリセットボタン52(図2参照)を押して、第1の使用期間と第2の使用期間を0にリセットする(ステップ12)。上述したステップ7において、第2の使用期間がメカニカルシール用の第2のしきい値よりも小さい場合であっても、1号ポンプ2aのメカニカルシールを交換する場合がある。このような場合も、図2に示すリセットボタン52を押して第1の使用期間と第2の使用期間を0にリセットする。なお、これらのリセット操作には、パスワード等による操作制限を設けてもよい。具体的にはクリアボタン53はユーザーもメンテナンス員も操作可とし、リセットボタン52は、ユーザーは操作不可とし、メンテナンス員のみが操作可能とする等の使用者制限を設けてもよい。
消耗部品が交換されたことを制御部40に自動認識させてもよい。具体的には、識別番号を有するICチップなどの識別装置をそれぞれの消耗部品に予め埋め込んでおく。全ての消耗部品にはそれぞれ異なる識別装置が取り付けられている。例えば、メカニカルシールには軸受とは異なる識別装置が取り付けられ、現在使用されているメカニカルシールには予備品としてのメカニカルシールと異なる識別装置が取り付けられる。メカニカルシールが交換されたとき、制御部40は異なる識別装置を認識し、メカニカルシールが交換されたことを判断する。メカニカルシール以外の消耗部品についても同様の方法にて、消耗部品が交換されたことを、制御部40に自動認識させることができる。
上述したように、制御部40は消耗部品であり、制御部40の使用開始後5年で交換時期に達する。制御部40を交換する場合には、使用期間記憶領域47bに保存された通電時間と各ポンプ2a,2bの積算運転時間に関するデータは、新しい制御部の記憶部に継承される。
図6は交換回数記憶領域47cをさらに備えた記憶部47を示す図である。図6において、しきい値記憶領域47aおよび使用期間記憶領域47bは簡略的に示されている。このように、記憶部47は、消耗部品の交換回数を記憶する交換回数記憶領域47cをさらに備えてもよい。制御部40が、消耗部品が交換されたと認識すると、演算部48は消耗部品の現在の交換回数に1を加えて交換回数を更新し、消耗部品の更新された交換回数を交換回数記憶領域47cに記憶する。図4に示す例では、1号ポンプ2aのメカニカルシールの交換回数が「1」だけ追加される(ステップ12参照)。
交換回数記憶領域47cは、1号ポンプ2aのメカニカルシールの交換回数、2号ポンプ2bのメカニカルシールの交換回数、1号モータ3aの軸受の交換回数、2号モータ3bの軸受の交換回数、1号フロースイッチ24aの交換回数、2号フロースイッチ24bの交換回数、圧力タンク28の交換回数、圧力センサ(吸込側圧力センサ)21の交換回数、圧力センサ(吐出側圧力センサ)26の交換回数、および制御部40の交換回数を記憶する。
表示器49は、給水装置1の消耗部品の交換回数をさらに表示するように構成されてもよい。表示器49は、消耗部品の交換案内を表示するとき、消耗部品の交換回数を追加的に表示する。例えば、1号ポンプ2aのメカニカルシールが既に1回交換されている場合、表示器49は「1号ポンプのメカニカルシールの2回目の交換時期です。」という通知を追加的に表示する。
これまで、1号ポンプ2aのメカニカルシールの交換案内の表示について説明したが、給水装置1の中に複数個存在する他の消耗部品も同様の表示形態とすることが可能である。以下、圧力タンク28の交換案内の表示方法について、図7を参照して説明する。給水装置1において圧力タンク28は1つだけ存在する。給水装置の技術的知識を持たないユーザーの混乱を避けるために、消耗部品の交換案内は、給水装置1内における構成として、複数存在する消耗部品でも1つだけ存在する消耗部品でも共通化されたひな形で表示することが望ましい。
図7は圧力タンク28が交換時期に達したこと示す消耗部品の交換案内を表示するためのフローチャートである。図7に示される第3の使用期間は、圧力タンク28の使用開始からの給水装置1の通電時間として、定期的に記憶部47に記憶される。図7に示すように、圧力タンク28の使用が開始されると(ステップ1)、演算部48は第3の使用期間をカウントする(ステップ2)。ステップ1は、給水装置1が現場に設置され、給水装置1の自動運転が開始された直後に開始される。ステップ1における第3の使用期間の値は0である。
上述したように、圧力タンク28の交換時期は、圧力タンク28の使用が開始されてから計測された給水装置1の通電時間に基づいて判断される。一例では、圧力タンク28の交換時期は給水装置1の通電時間で3年なので圧力タンク用のしきい値は3年である。演算部48は、第3の使用期間を圧力タンク用のしきい値と比較し、第3の使用期間が圧力タンク用のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップ3)。第3の使用期間が圧力タンク用のしきい値以上である場合、表示器49は、消耗部品の交換案内として「圧力タンクの使用期間が3年を超えました。圧力タンクの交換時期です。」という通知3を表示する(ステップ4)。
上記通知3が表示された後、ユーザーは、設定部46上のクリアボタン53を押すことにより(ステップ5)、通知3を消去することができる(ステップ6)。メンテナンス員は圧力タンク28を交換した後(ステップ7)、設定部46上のリセットボタン52を押して、第3の使用期間を0にリセットする(ステップ8)。制御部40が圧力タンク28が交換されたと認識すると、演算部48は圧力タンク28の現在の交換回数に1を加えて圧力タンク28の交換回数を更新し、圧力タンク28の更新された交換回数を交換回数記憶領域47cに記憶してもよい。表示器49は圧力タンク28の交換回数を追加的に表示してもよい。上述したステップ3において、第3の使用期間が圧力タンク用のしきい値よりも小さい場合であっても、圧力タンク28を交換する場合がある。このような場合も、図2に示すリセットボタン52を押して第3の使用期間を0にリセットする。なお、これらのリセット操作には、パスワード等による操作制限を設けてもよい。具体的にはリセットボタン52は、ユーザーは操作不可とし、メンテナンス員のみが操作可能とする等の使用者制限を設けてもよい。
給水装置専門のメンテナンス員が定期点検を行う現場であれば、メンテナンス員のみが確認できるように消耗部品の交換案内を表示してもよい。消耗部品の交換時期を示すしきい値を変更可能としてもよい。この場合、しきい値の上限値および下限値を設けてもよい。上述した実施形態では、表示器49は1つの消耗部品のみの交換案内を表示するが、2つ以上の消耗部品が同時に交換時期に達する場合もあり得る。そこで、2つ以上の消耗部品の交換案内を表示器49に同時に表示できるようにしてもよい。
図8は給水装置1の他の実施形態を示す図である。本実施形態では、表示器49に加えて、外部表示器61がさらに設けられている。図8に示すように、制御部40は通信部60をさらに備えている。制御部40は有線通信または無線通信によって外部表示器61に接続されている。外部表示器61として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレットの汎用端末機器または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。本実施形態では、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器であり、外部表示器61は液晶画面と液晶画面のタッチ入力方式や押圧ボタン方式用いた高機能表示器である。簡易な表示器49に比べて外部表示器61は表示できる情報量が格段に多いため、外部表示器61に消耗部品の交換案内を表示することによって、給水装置に不慣れなユーザーは誤解することなく、消耗部品の交換時期を認識することが出来る。
図9は外部表示器61の表示画面を示す図である。消耗部品の使用期間を示す給水装置1の通電時間および/またはポンプ2の積算運転時間がしきい値以上である場合、図9に示すように、外部表示器61は消耗部品の交換案内を表示する。すなわち、外部表示器61は、消耗部品の使用期間がしきい値を超えたこと、および消耗部品が交換時期に達したことを表示する。このような消耗部品の交換案内の表示により、ユーザーやメンテナンス員は、給水装置1の表示器49の正面以外の場所で、消耗部品が交換時期に達したことを確認することができる。給水装置1は屋外や操作がしにくい場所に設置されることもある。外部表示器61を持たない場合、表示面が地面近くの場所や高い場所に設置されたり、屋外の場合は表示器49に直射日光が当たり消耗部品の交換案内の可視性が非常に悪くなる現場がある。外部表示器61の設置場所は現場毎に最適な場所に設置したり、手元で操作することが可能となるので、表示確認や操作がし易い場所に設置したり、直射日光を避けた場所にて交換案内を表示することできる。外部表示器61は消耗部品の交換回数を追加的に表示してもよい。
給水装置1は機械室やポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。本実施形態によれば、給水装置1に組み込まれる表示器49として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器を使用することにより、外部環境から発生される電気的なノイズにより外部表示器61の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示器49により給水装置1の運転に必要な最低限度の表示や操作を行うことが可能なため、給水装置1を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。給水装置1において最低限必要な表示操作、例えば警報やポンプ2,2の運転を表示器49で表示し、緊急度の低い消耗部品の交換案内は、情報量の多い外部表示器61にてユーザーに分り易い表示を提供することができる。さらに、外部表示器61として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットなどの汎用端末機器を使用すると、ユーザーは専用のアプリケーションソフトウエアを用いて、消耗部品の交換案内を表示させることができるため、専用のアプリケーションソフトウエアを複数用意し使い分けることによりユーザーのレベルに沿った消耗部品の交換案内の表示を提供することが可能である。
図10は給水装置1のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部40に表示器49は設けられていなく、代わりに外部表示器(高機能表示器)61のみが設けられる。その他の構成は、図8に示す実施形態と同様である。図10に示す実施形態によれば、給水装置1には表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水装置1全体のコストを更に下げることが可能である。
図11は給水装置1のさらに他の実施形態を示す図である。図11において、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器である。通信部60は公衆回線を介して保守管理会社または管理人室に設けられた外部表示器65に接続されている。制御部40は、消耗部品の使用期間がしきい値以上であるか否かを判断し、外部表示器65は制御部40に公衆回線を通じて定期的に通信し、消耗部品の使用期間がしきい値以上であるか否かを制御部40に問い合わせる。そして、消耗部品の使用期間がしきい値以上である場合は、外部表示器65は消耗部品の交換案内を表示する。具体的には、外部表示器65は、消耗部品の使用期間がしきい値を超えたこと、および消耗部品が交換時期に達したことを表示する。外部表示器65は消耗部品の交換回数を追加的に表示してもよい。
本実施形態の制御部40は、図2に示すクリアボタン53を備えていなく、代わりに、外部表示器65は、図11に示すように、クリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、外部表示器65上に表示されている交換案内が消去される。消耗部品が交換された後に、制御部40のリセットボタン52を押すと、その消耗部品の使用期間を示す給水装置1の通電時間またはポンプ2の積算運転時間が0にリセットされる。
図12は給水装置1のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態の制御部40の基本的構成は図10に示す実施形態の制御部40の構成と同じであるが、制御部40が通信部60に代えて、制御部側アンテナ部67を備えている点、および制御部側アンテナ部67に接続された集積回路68を備えている点で異なっている。集積回路68は、しきい値記憶領域47a、使用期間記憶領域47b、および交換回数記憶領域47c(図3および図6参照)を有する記憶部47に電気的に接続されている。なお、本実施形態の制御部40は表示器49を備えていないが、制御部40に表示器49を設けてもよい。
外部表示器70は、電波を送受信する表示器側アンテナ部71と、表示器側アンテナ部71で受信したデータを読み取るデータリーダー74と、データリーダー74によって読み取られたデータ(例えば、消耗部品の交換案内、ポンプ2,2の運転状態、吐出し圧力など)を表示する表示部72と、データリーダー74、表示器側アンテナ部71、および表示部72に電力を供給するバッテリー73とを備えている。外部表示器70として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器でもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器でもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、給水装置のコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器に給水装置の消耗部品の交換案内を表示させることができるので、マンションやビルの管理人のような給水装置に関する専門知識のないユーザーに対しても、給水装置の消耗部品が交換時期に達したことを分かり易く知らせることができる給水装置を安価に提供することができる。
制御部40は、先に述べた実施形態と同じように、各消耗部品の使用期間を示す給水装置1の通電時間および/またはポンプ2の積算運転時間を計測し、これらを記憶部47に記憶する。制御部40は、記憶部47に記憶されている通電時間または積算運転時間がしきい値以上であるか否かを判断し、その判断結果をデータとして記憶部47に記憶する。さらに、制御部40は、通電時間または積算運転時間がしきい値以上である場合には、消耗部品の交換案内の表示内容をデータとして記憶部47に記憶する。この消耗部品の交換案内の表示内容は、上述の実施形態と同じように、消耗部品の使用期間がしきい値を超えたこと、および消耗部品が交換時期に達したことを示す通知である。
外部表示器70は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって制御部40と接続される。より具体的には、外部表示器70を制御部40に近づけた状態で、表示器側アンテナ部71が電波を発生すると、その電波を制御部側アンテナ部67が受け取り、制御部側アンテナ部67は電波を電力に変換する。この電力は集積回路68および記憶部47に供給されてこれら集積回路68および記憶部47を駆動する。集積回路68は記憶部47に記憶されている上記データを読み取り、制御部側アンテナ部67にデータを送る。制御部側アンテナ部67は、データとともに電波を表示器側アンテナ部71に送信する。データリーダー74は、表示器側アンテナ部71が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部72に表示させる。
外部表示器70は、消耗部品の交換案内の表示を消去するためのクリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、表示部72に表示されている消耗部品の交換案内が消去される。本実施形態のクリアボタン66は、表示部72の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン66は表示部72の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。本実施形態の制御部40はクリアボタンを備えていないが、制御部40にクリアボタンを設けてもよい。なお、これらの操作には、操作制限を設けてもよい。具体的には、ユーザーが主に使用する外部表示器70にクリアボタン66を設け、メンテナンス員が主に使用する制御部40にリセットボタン52を設ける。このように制御部40にのみリセットボタン52を設けることで、ユーザーのリセットボタン52の誤操作を防ぐことができる。パスワード等の複雑な使用制限の解除方法ではなく、外部表示器70を設けることで、ユーザーの誤操作による消耗部品の使用期間のクリアを防止することができる。
本実施形態では、外部表示器70と制御部40との間で無線通信が行われ、記憶部47に記憶されている消耗部品の交換案内の表示内容などを含むデータは、制御部40から外部表示器70に送られる。本実施形態によれば、給水装置1の電源が入っていない場合でも、制御部側アンテナ部67は外部表示器70から発せられる電波から電力を発生し、集積回路68および記憶部47を駆動することができる。したがって、給水装置1のメンテンナンス中などにおいて制御部40に電力が供給されていないときでも、外部表示器70は、制御部40の記憶部47から消耗部品の交換案内を含むデータを取得し、該データを表示することができる。
制御部40が故障した場合には新制御部40に交換する必要がある。この制御部40の交換時に、故障した旧制御部40はすでに電源が入らない状態においても、本実施形態では、旧制御部40の使用期間記憶領域47bに保存された各消耗部品毎の通電時間および/またはポンプ2,2の積算運転時間に関するデータを新制御部40の記憶部47に継承することが可能となる。具体的には、旧制御部40の記憶部47の該データを外部表示器70にて表示し、その表示を確認しながらメンテナンス員が新制御部40の操作部より入力し、新制御部40の記憶部47に該データを記憶させてもよいし、旧制御部40の該データを外部表示器70にて取得し、外部表示器70から新しい制御部40の記憶部47へと通信手段にて書き込んでもよい。制御部40が電源が入らない状態で故障しても、使用期間記憶領域47bを新制御部40の記憶部47に継承できるので、消耗部品毎の使用期間のデータが損失されることない。これは、給水装置1が新制御部40にて自動運転を開始した後でも、各消耗部品の使用期間が各しきい値を超えたタイミングにて各消耗部品の交換案内を表示することができることを意味する。
水の安定供給と水質低下を防止する観点から、給水装置1は、定期的なメンテナンスが必要とされる。通常、給水装置1のメンテナンスは、給水装置1の電源をオフにした状態で実行される。この給水装置1のメンテナンス時に消耗部品の交換作業を行えば、作業の効率化が実現できるのみならず、給水装置1の運転停止時間を短くすることができる。特に、給水装置1は、ライフラインの一部として機能する設備であるので、給水装置1の運転停止時間を可能な限り短くすることが望まれる。
本実施形態によれば、給水装置1に電力が供給されていないときでも、ユーザーやメンテナンス員が外部表示器70を制御部40に近づけるだけで、記憶部47から消耗部品の交換案内を含む情報を取得することが可能である。したがって、ユーザーやメンテナンス員は、給水装置1のメンテナンス時に消耗部品の交換が必要か否かを外部表示器70を通じて確認することができ、必要に応じて消耗部品を交換することができる。
本実施形態で採用される近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)は、数cmの近距離でのみ相互通信が可能な技術である。したがって、外部表示器70に消耗部品の交換案内やその他の各種情報を表示させるためには、ユーザーやメンテナンス員は外部表示器70を制御部40に近づける必要がある。このことは、外部表示器70を操作するときは、ユーザーやメンテナンス員は給水装置1の近くにいることを意味する。したがって、ユーザーやメンテナンス員は給水装置1を目視しながら外部表示器70を操作することになり、誤操作に起因した給水装置1の予期しない動作を防止することに繋がる。また、複数の給水装置1が設置された現場では、交換案内を表示したい給水装置の近距離でのみ通信可能となる為、無線通信にてよくある意図しない別の給水装置の交換案内を表示してしまうという誤表示を防止することが出来る。
図13は給水装置1のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部40は通信部60を備えている。通信部60は、有線通信または無線通信によって外部表示器75の通信部76に接続されている。外部表示器75は制御部80を備えており、制御部80は通信部76、記憶部77、演算部78、および表示部79を備えている。制御部40は、表示器49を備えていてもよい。また、記憶部77は記憶部47と同様に図3の構成とする。
制御部40の演算部48は、各消耗部品の使用期間を示す給水装置1の通電時間およびポンプ2,2の積算運転時間を計測する。計測された通電時間および積算運転時間は、記憶部47に記憶され、通信部60,76を介して、外部表示器75に送られた後、外部表示器75内の記憶部77内に記憶される。外部表示器75の演算部78は、消耗部品の使用期間を示す通電時間または積算運転時間と記憶部77内のしきい値とを比較する。通電時間または積算運転時間がしきい値以上である場合、表示部79は消耗部品の交換案内を表示する。すなわち、表示部79は、消耗部品の使用期間がしきい値を超えたこと、および消耗部品が交換時期に達したことを表示する。表示部79は消耗部品の交換回数を追加的に表示してもよい。
図14は給水装置1のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部40には表示器は設けられておらず、代わりに、外部表示器75に表示部79と設定部82が設けられている。その他の構成は図13に示す実施形態と同様である。本実施形態では、交換案内表示の消去、通電時間および積算運転時間のリセット、その他各種設定値の入力は、外部表示器75の設定部82を通じて行われる。
なお、上述した説明では、消耗部品の交換案内のしきい値と比較する積算値には消耗部品毎の使用期間(通電時間および/または積算運転時間)を用いたが、消耗部品によっては、ポンプ毎の積算始動(運転)回数や小水量停止回数等のカウント値を用いてもよく、その場合の消耗部品の交換案内は、カウント回数がしきい値を超えたこと、および消耗部品が交換時期に達したことを表示部に表示することとする。上記積算値として小水量停止回数のカウント値を使用することができる消耗部品の例としては、圧力タンク28が挙げられる。また、上記積算値として全てのポンプの総積算始動(運転)回数のカウント値を使用することができる消耗部品の例としては、圧力タンク28が挙げられる。上記積算値としてポンプ毎の積算始動(運転)回数のカウント値を使用することができる消耗部品の例としては、フロースイッチ24,24、逆止弁22,22、軸受、メカニカルシールが挙げられる。また、上述した他の部品でも何らかの積算値をカウントし、積算値を任意のしきい値と比較することにより、部品の寿命が推定できる部品は、消耗部品の交換案内として同様の表示とすることができる。つまり、消耗部品が交換時期のしきい値を超えたことと、交換が必要な消耗部品とを明確に表示する。このことにより、給水装置1の操作に不慣れなユーザーでも消耗部品の交換時期を認識することが出来る。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。