以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図11において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る給水装置を示す模式図である。この給水装置は、オフィスビルやマンションなどの建物に使用される直結式の給水装置である。図1に示すように、給水装置の吸込口は、導入管5を介して水道本管4に接続されている。給水装置の吐出口には配水管7が接続されており、この配水管7は、建物の内部に配置された給水器具(例えば蛇口)に連通している。給水装置は、水道本管4からの水を増圧して建物の各給水器具に水を供給する。
図1に示すように、給水装置は、導入管5を介して水道本管4に連結されるポンプ2と、このポンプ2を駆動する駆動源としての電動機(モータ)3と、ポンプ2の温度を測定する温度センサ18と、電動機3を変速可能とするインバータ21と、給水装置の給水動作(すなわちポンプ2の運転)を制御する制御部20と、ポンプ2の下流側に配置された逆止弁22と、逆止弁22の下流側に配置された流量検出器(フロースイッチ)24、吐出側圧力センサ26、および圧力タンク28と、運転情報を表示する表示器49とを備えている。本実施形態では、これら構成要素は、キャビネット30内に収容されている。一実施形態では、上記構成要素のうちいくつかのみ(例えば、制御部20およびインバータ21のみ)をキャビネット30内に収容してもよい。
逆止弁22は、ポンプ2の吐出口に接続された吐出管8に設けられており、ポンプ2が停止したときの水の逆流を防止するための弁である。流量検出器24は吐出管8を流れる水の流量が所定の小水量以下であること(すなわち、小水量状態)を検出する装置である。流量検出器24は、例えば、フラップが接点と接触したことにより、小水量状態を検出するフラップ式流量検出器である。あるいは、流量検出器24は、例えば、フロートが接点と接触したことにより、小水量状態を検出するフロート式流量検出器であってもよい。吐出側圧力センサ26は、ポンプ2の吐出側圧力を測定するための水圧測定器である。圧力タンク28は、ポンプ2が停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。配水管7は吐出管8に接続されている。
ポンプ2の吸込口には吸込管9の一端が接続されており、吸込管9の他端は導入管5に接続されている。吸込管9には、図示しない逆流防止器と吸込側圧力センサが取り付けられている。逆流防止器は、水道本管4への水の逆流を確実に防止するために設置されている。
給水装置は、ポンプ2を迂回するバイパス管11を備えている。バイパス管11の上流側端部は吸込管9に接続され、バイパス管11の下流側端部は吐出管8に接続されている。バイパス管11には逆止弁16が取り付けられており、バイパス管11内での水の逆流を防止している。このバイパス管11は、ポンプ2が停止しているときでも、流入圧のみで給水を可能とするために設けられている。
インバータ21、流量検出器24、吐出側圧力センサ26、および温度センサ18は、制御部20に信号線を介して接続されている。小水量状態が流量検出器24により検出されると、制御部20はポンプ2の運転速度を一時的に上げるようインバータ21に指令を出し、圧力タンク28に蓄圧してからポンプ2の運転を停止させるようになっている(小水量停止)。一方、吐出側圧力(吐出管8内の水圧)が所定の値(始動圧力)まで低下すると、制御部20はポンプ2の運転を開始するようインバータ21に指令を出す。
制御部20は、インバータ21および電動機3の動作を制御することによって、ポンプ2の動作を制御する。より具体的には、制御部20は、吐出側圧力センサ26の出力信号に基づいて、ポンプ2の運転速度(すなわち回転速度)を制御する。一般的には、吐出側圧力センサ26により測定された圧力信号が設定された目標圧力と一致するようにポンプ2の運転速度を制御してポンプ2の吐出圧力が一定になるように制御する吐出圧力一定制御や、ポンプ2の吐出圧力の目標値を適切に変化させることにより給水栓における水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御などが行われる。
流量検出器24が故障すると、制御部20は、吐出管8を流れる水の流量が小水量状態であるか否かを判断することができない。その結果、建物内での水の使用が停止されているにも拘わらず、ポンプ2の運転が継続される。この場合、ポンプ2は締切運転となり、過熱状態となったポンプ2が非常停止に至る場合がある。制御部20は、過熱によりポンプ2を非常停止させるための第1のしきい値を記憶しており、ポンプ2に取り付けられた温度センサ18から出力されたポンプ温度の測定値がこの第1のしきい値以上になった場合は、ポンプ2を非常停止させる。
本実施形態の制御部20は、第1のしきい値よりも低い第2のしきい値を予め記憶している。第1のしきい値は、ポンプ2が過熱により非常停止されるポンプ2の温度であり、例えば、60℃である。第2のしきい値は、この第1のしきい値よりも低く、例えば、50℃に設定される。温度センサ18により測定されたポンプ2の温度が第2のしきい値よりも高い場合、制御部20はポンプ2を停止させる(温度停止)。ポンプ2が過熱により非常停止すると、ポンプ2の温度が自然冷却により復帰温度に低下するまで、ポンプ2の運転を再開することができない。本実施形態では、ポンプ2が非常停止に至る前に該ポンプ2を停止させる温度停止を実行することにより、ポンプ2が運転できなくなることを防止している。
流量検出器24に異物などが付着した場合も、制御部20が小水量状態を検出することができないことがある。例えば、流量検出器24がフラップ式流量検出器である場合、フラップと接点との間に異物が付着すると、流量検出器24は、制御部20に小水量検出信号を送信できない。また、フラップが接点に対してずれてしまった場合も、流量検出器24は、制御部20に小水量検出信号を送信できない場合がある。同様に、流量検出器24がフロート式流量検出器である場合、フロートと接点との間に異物が付着すると、流量検出器24は、制御部20に小水量検出信号を送信できない。このような流量検出器24の動作不良は、一時的な異常である。すなわち、ポンプ2の始動と停止が繰り返されることにより、異物が取り除かれるか、またはフラップが接点に対して正常な姿勢に戻った場合、流量検出器24は、制御部20に小水量検出信号を正常に送信することができる。したがって、流量検出器24をメンテナンスおよび/または交換する必要はない。
さらに、流量検出器24の検出接点同士が固着した場合に、流量検出器24が制御部20に小水量検出信号を出力し続けてしまう場合がある。例えば、流量検出器24がフラップ式流量検出器である場合、フラップが接点に接触した状態で該フラップが固着すると、流量検出器24は、制御部20に小水量検出信号を送信し続ける。同様に、流量検出器24がフロート式流量検出器である場合、フロートが接点に接触した状態で該フロートが固着すると、流量検出器24は、制御部20に小水量検出信号を送信し続ける。このような流量検出器24の動作不良は、一時的な異常である。すなわち、ポンプ2の始動と停止が繰り返されることにより、フラップまたはフロートの固着が解消された場合、流量検出器24は、制御部20に小水量検出信号を正常に送信することができる。したがって、流量検出器24をメンテナンスおよび/または交換する必要はない。
一方で、流量検出器24の破損などの故障が発生している場合は、流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換を促すために、流量検出器24の故障を示す警報を出力する必要がある。例えば、フラップ式流量検出器のフラップが流量検出器24の本体から外れてしまった場合は、流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換が実行されるまで、流量検出器24の故障を示す警報を発し続けるのが好ましい。したがって、流量検出器24が故障している場合は、流量検出器24の故障を示す警報の出力を維持する一方で、流量検出器24の一時的な動作不良が解消された場合は、流量検出器24の故障を示す警報を停止するのが好ましい。
そこで、本実施形態の制御部20は、流量検出器24の一時的な動作不良と故障とを明確に区別するために、流量検出器24に異常が発生したときは、以下に説明する給水装置の運転動作を実行する。図2は、図1に示される給水装置のポンプ2が停止しているときに、流量検出器24に異常が発生した場合の、給水装置の運転動作を説明するためのフロー図である。図3は、図1に示される給水装置のポンプ2が運転されているときに、流量検出器24に異常が発生した場合の、給水装置の運転動作を説明するためのフロー図である。
図2に示されるように、制御部20は、ポンプ2が停止しているときに、ポンプ2から吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態であることを示す小水量検出信号を流量検出器24が出力しているか否かを判断する(ステップ1)。ポンプ2が停止しているにも拘わらず、流量検出器24が小水量検出信号を出力していないということは、流量検出器24に異常が発生していることを示している。そこで、制御部20は、ステップ1で流量検出器24が小水量検出信号を出力していない場合は、流量検出器24の故障を示す警報を発する(ステップ2)。
ステップ2の後で、制御部20は、流量検出器24が小水量検出信号を出力したか否かを再度判断する(ステップ3)。ステップ2で制御部20が警報を発している場合でも、制御部20は、建物に断水が発生しないように、給水装置の運転を継続する。したがって、吐出側圧力(吐出管8内の水圧)が所定の始動圧力まで低下すると、制御部20はポンプ2の運転を開始する。流量検出器24が故障している場合、または流量検出器24の一時的な動作不良が解消していない場合、吐出管8を流れる水の流量が低下しても、流量検出器24は小水量検出信号を出力することができない。この場合は、ポンプ2は、温度停止動作で停止するまで運転される一方で、制御部20は、流量検出器24の故障を示す警報を維持する。ポンプ2が始動および停止を繰り返した結果、流量検出器24が小水量検出信号を出力した場合は、制御部20は、流量検出器24の異常が一時的な動作不良であると判断し、流量検出器24の故障を示す警報を停止する(ステップ4)。
このように、本実施形態では、ポンプ2が停止しているときに、流量検出器24が小水量検出信号を出力しない場合に、制御部20は流量検出器24の故障を示す警報を発する。その後、制御部20は、ポンプ2の運転状態に拘わらず、流量検出器24が小水量検出信号を出力するか否かを判断する。すなわち、制御部20は、流量検出器24から出力される小水量検出信号がOFFからONに変化するか否かを判断する。ポンプ2の運転状態が変化しても、小水量検出信号が流量検出器24から出力されない場合は、制御部20は、流量検出器24に故障が発生していると判断して、流量検出器24の故障を示す警報を維持する。一方で、小水量検出信号が流量検出器24から出力された場合は、制御部20は、流量検出器24の異常は一時的な動作不良であると判断し、流量検出器24の故障を示す警報を停止する。したがって、ユーザーは、流量検出器24の一時的な動作不良と故障とを明確に区別することができる。その結果、流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換の頻度を低減することができる。
次に、図3を参照して、ポンプ2が運転されているときに、流量検出器24に異常が発生した場合の給水装置の運転動作を説明する。図3に示されるように、制御部20は、ポンプ2が大水量状態で運転されているときに、ポンプ2から吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態であることを示す小水量検出信号を流量検出器24が出力しているか否かを判断する(ステップ1)。本明細書において、大水量状態は、ポンプ2から吐出される水の流量が所定の大水量以上である状態を意味する。制御部20は、インバータ21の電流値を監視しており、ポンプ2から吐出される水の流量が大水量状態であるか否かを決定するために、インバータ21の現在の電流値と制御部20が予め記憶している所定の電流値とを比較する。この所定の電流値は、例えば、インバータ21の定格電流値に対して70%の電流値である。インバータ21の現在の電流値が所定の電流値よりも大きい場合、制御部20は、ポンプ2から吐出される水の流量が大水量以上である、すなわち、ポンプ2が大水量状態で運転されていると決定する。
ポンプ2から吐出される水の流量が大水量状態であるか否かを決定するために、制御部20は、インバータ21の現在の電力値と制御部20が予め記憶している所定の電力値とを比較してもよい。この所定の電力値は、例えば、インバータ21の定格電力値に対して70%の電力値である。さらに、ポンプ2から吐出される水の流量が大水量状態であるか否かを決定するために、制御部20は、インバータ21の現在の運転周波数と制御部20が予め記憶している所定の周波数とを比較してもよい。この所定の周波数は、例えば、インバータ21の定格周波数に対して70%の周波数である。あるいは、制御部20がポンプ2の運転速度を推定末端圧力一定制御で制御している場合は、ポンプ2から吐出される水の流量が大水量状態であるか否かを決定するために、制御部20は、現在の目標圧力と制御部20が予め記憶している所定の圧力とを比較してもよい。この所定の圧力は、例えば、大水量状態でポンプ2を運転する際の目標圧力に対して70%の圧力である。現在の目標圧力が所定の圧力よりも大きい場合、制御部20は、ポンプ2から吐出される水の流量が大水量以上である、すなわち、ポンプ2が大水量状態で運転されていると決定する。
ポンプ2が大水量状態で運転されているにも拘わらず、流量検出器24が小水量検出信号を出力しているということは、流量検出器24に異常が発生していることを示している。そこで、制御部20は、ステップ1で流量検出器24が小水量検出信号を出力した場合は、流量検出器24の故障を示す警報を発する(ステップ2)。なお、制御部20には流量検出器24から小水量検出信号が送信されるので、制御部20は、ポンプ2の運転を停止する。
ステップ2の後で、制御部20は、流量検出器24が小水量検出信号の出力を停止したか否かを判断する(ステップ3)。ステップ2で制御部20が警報を発している場合でも、制御部20は、建物に断水が発生しないように、給水装置の運転を継続する。したがって、吐出側圧力(吐出管8内の水圧)が所定の始動圧力まで低下すると、制御部20はポンプ2の運転を開始する。流量検出器24が故障している場合、または流量検出器24の一時的な動作不良が解消していない場合、ポンプ2が始動されても、流量検出器24は小水量検出信号を制御部20に出力している。この場合は、ポンプ2は、一旦始動されるが直ぐに停止される。一方で、制御部20は、流量検出器24の故障を示す警報を維持する。ポンプ2が始動および停止を繰り返した結果、流量検出器24が小水量検出信号の出力を停止した場合は、制御部20は、流量検出器24の異常が一時的な動作不良であると判断し、流量検出器24の故障を示す警報を停止する(ステップ4)。
このように、本実施形態では、ポンプ2が大水量状態で運転されているときに、流量検出器24が小水量検出信号を出力した場合に、制御部20は流量検出器24の故障を示す警報を発する。その後、制御部20は、ポンプ2の運転状態に拘わらず、流量検出器24が小水量検出信号の出力を停止したか否かを判断する。すなわち、制御部20は、流量検出器24から出力される小水量検出信号がONからOFFに変化するか否かを判断する。ポンプ2の運転状態が変化しても、流量検出器24からの小水量検出信号の出力が停止されない場合は、制御部20は、流量検出器24に故障が発生していると判断して、流量検出器24の故障を示す警報を維持する。一方で、流量検出器24からの小水量検出信号の出力が停止した場合は、制御部20は、流量検出器24の異常は一時的な動作不良であると判断し、流量検出器24の故障を示す警報を停止する。したがって、ユーザーは、流量検出器24の一時的な動作不良と故障とを明確に区別することができる。その結果、流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換の頻度を低減することができる。
図1に示される給水装置は、1組のポンプ2、電動機3、温度センサ18、インバータ21、逆止弁22、および流量検出器24を備えているが、2組以上のポンプ、電動機、温度センサ、インバータ、逆止弁、および流量検出器を備えてもよい。2組以上のポンプと流量検出器を備えた給水装置の場合は、制御部20は、各流量検出器の故障を示す警報を上述の運転方法にしたがって発し、その後、この警報を上述の運転方法にしたがって停止または維持する。
次に、図1に示される給水装置の制御部20のより詳細な構成について図4を参照して説明する。図4に示すように、給水装置は、流量検出器24が故障していることを含む運転情報を表示する表示器49をさらに備えている。制御部20は、設定部46、記憶部47、演算部48、I/O部50、および運転パネル51を備えている。運転パネル51は、ヒューマンインターフェースとして機能する。設定部46には、ポンプ2の運転制御に関する各種設定値が入力される。設定部46および表示器49は、運転パネル51に設けられている。表示器49は液晶パネルであり、設定部46はタッチパネル式操作器でもよい。本実施形態では、表示器49は制御部20に取り付けられているが、表示器49は制御部20から離れて配置されてもよい。また、表示器49は液晶パネルと7セグメントLEDや表示灯を組み合わせた構成でもよい。
記憶部47は、流量検出器24の故障の履歴などを記憶する。演算部48としては、CPUが使用される。表示器49は、ヒューマンインターフェースとして機能し、流量検出器24が故障していることを含む運転情報を表示する。ユーザーは、設定部46上のクリアボタン53を押すことにより、表示器49での表示を消去することができる。
図5は記憶部47の詳細を示す図である。図5に示すように、記憶部47は、不揮発性メモリから構成された不揮発性記憶領域47aと、揮発性メモリから構成された揮発性記憶領域47bを備えている。不揮発性記憶領域47aは、流量検出器24の故障の履歴、ポンプ2の運転に必要な各種設定値、故障履歴、運転履歴などを記憶する領域である。揮発性記憶領域47bは、流量検出器24の故障だけでなく、圧力信号、ポンプ回転数、電流値、故障、警報などを記憶する領域である。
図6は給水装置の他の実施形態を示す図である。本実施形態では、表示器49に加えて、外部表示器61がさらに設けられている。図6に示すように、制御部20は通信部60をさらに備えている。制御部20は有線通信または無線通信によって外部表示器61に接続されている。外部表示器61として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレットの汎用端末機器または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。本実施形態では、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器であり、外部表示器61は液晶画面と液晶画面のタッチ入力方式や押圧ボタン方式用いた高機能表示器である。簡易な表示器49に比べて外部表示器61は表示できる情報量が格段に多いため、外部表示器61に流量検出器24が故障していることを表示することによって、給水装置に不慣れなユーザーは誤解することなく、流量検出器24が故障していることを認識することが出来る。
給水装置は機械室やポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。本実施形態によれば、給水装置に組み込まれる表示器49として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器を使用することにより、外部環境から発生される電気的なノイズにより外部表示器61の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示器49により給水装置の運転に必要な最低限度の表示や操作を行うことが可能なため、給水装置を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。さらに、外部表示器61として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットなどの汎用端末機器を使用すると、ユーザーは専用のアプリケーションソフトウエアを用いて、流量検出器24が故障していることを表示させることができるため、専用のアプリケーションソフトウエアを複数用意し使い分けることによりユーザーのレベルに沿った流量検出器24の故障の表示を提供することが可能である。
図7は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20に表示器49は設けられていなく、代わりに外部表示器(高機能表示器)61のみが設けられる。その他の構成は、図6に示す実施形態と同様である。図7に示す実施形態によれば、給水装置には表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水装置全体のコストを更に下げることが可能である。
図8は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。図8において、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器である。通信部60は公衆回線を介して保守管理会社または管理人室に設けられた外部表示器65に接続されている。制御部20は、流量検出器24が故障していることを判断し、外部表示器65は制御部20に公衆回線を通じて定期的に通信し、流量検出器24が故障しているか否かを制御部20に問い合わせる。そして、流量検出器24が故障している場合は、外部表示器65は流量検出器24が故障していることを表示する。外部表示器65は流量検出器24が故障していることを他の情報に追加的に表示してもよい。
本実施形態の制御部20は、図4に示すクリアボタン53を備えていなく、代わりに、外部表示器65は、図8に示すように、クリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、外部表示器65上に表示されている流量検出器24の故障の表示が消去される。
図9は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態の制御部20の基本的構成は図7に示す実施形態の制御部20の構成と同じであるが、制御部20が通信部60に代えて、制御部側アンテナ部67を備えている点、および制御部側アンテナ部67に接続された集積回路68を備えている点で異なっている。集積回路68は、不揮発性記憶領域47a、揮発性記憶領域47bを有する記憶部47に電気的に接続されている。なお、本実施形態の制御部20は表示器49を備えていないが、制御部20に表示器49を設けてもよい。
外部表示器70は、電波を送受信する表示器側アンテナ部71と、表示器側アンテナ部71で受信したデータを読み取るデータリーダー74と、データリーダー74によって読み取られたデータ(例えば、流量検出器24の故障、ポンプ2の運転状態、吐出し圧力など)を表示する表示部72と、データリーダー74、表示器側アンテナ部71、および表示部72に電力を供給するバッテリー73とを備えている。外部表示器70として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器でもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器でもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、給水装置のコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器に流量検出器24の故障を表示させることができるので、マンションやビルの管理人のような給水装置に関する専門知識のないユーザーに対しても、流量検出器24が故障していることを分かり易く知らせることができる給水装置を安価に提供することができる。
外部表示器70は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって制御部20と接続される。より具体的には、外部表示器70を制御部20に近づけた状態で、表示器側アンテナ部71が電波を発生すると、その電波を制御部側アンテナ部67が受け取り、制御部側アンテナ部67は電波を電力に変換する。この電力は集積回路68および記憶部47に供給されてこれら集積回路68および記憶部47を駆動する。集積回路68は記憶部47に記憶されている上記データを読み取り、制御部側アンテナ部67にデータを送る。制御部側アンテナ部67は、データとともに電波を表示器側アンテナ部71に送信する。データリーダー74は、表示器側アンテナ部71が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部72に表示させる。
外部表示器70は、流量検出器24の故障の表示を消去するためのクリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、表示部72に表示されている流量検出器24の故障の表示が消去される。本実施形態のクリアボタン66は、表示部72の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン66は表示部72の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。本実施形態の制御部20はクリアボタンを備えていないが、制御部20にクリアボタンを設けてもよい。なお、これらの操作には、操作制限を設けてもよい。具体的には、ユーザーが主に使用する外部表示器70にクリアボタン66を設け、メンテナンス員が主に使用する制御部20にリセットボタン52を設ける。このように制御部20にのみリセットボタン52を設けることで、ユーザーのリセットボタン52の誤操作を防ぐことができる。パスワード等の複雑な使用制限の解除方法ではなく、外部表示器70を設けることで、ユーザーの誤操作による流量検出器24の故障のクリアを防止することができる。
本実施形態では、外部表示器70と制御部20との間で無線通信が行われ、記憶部47に記憶されている流量検出器24の故障などを含むデータは、制御部20から外部表示器70に送られる。本実施形態によれば、給水装置の電源が入っていない場合でも、制御部側アンテナ部67は外部表示器70から発せられる電波から電力を発生し、集積回路68および記憶部47を駆動することができる。したがって、給水装置のメンテンナンス中などにおいて制御部20に電力が供給されていないときでも、外部表示器70は、制御部20の記憶部47から流量検出器24の故障の履歴を含むデータを取得し、該データを表示することができる。
制御部20が故障した場合には新制御部20に交換する必要がある。この制御部20の交換時に、故障した旧制御部20はすでに電源が入らない状態においても、本実施形態では、旧制御部20の流量検出器24の故障の履歴に関するデータを新制御部20の記憶部47に継承することが可能となる。具体的には、旧制御部20の記憶部47の該データを外部表示器70にて表示し、その表示を確認しながらメンテナンス員が新制御部20の操作部より入力し、新制御部20の記憶部47に該データを記憶させてもよいし、旧制御部20の該データを外部表示器70にて取得し、外部表示器70から新しい制御部20の記憶部47へと通信手段にて書き込んでもよい。制御部20が電源が入らない状態で故障しても、不揮発性記憶領域47aに記憶されているデータを新制御部20の記憶部47に継承できるので、流量検出器24の故障の履歴のデータが損失されることない。これは、給水装置が新制御部20にて自動運転を開始した後でも、流量検出器24の故障の履歴を表示することができることを意味する。
本実施形態によれば、給水装置に電力が供給されていないときでも、ユーザーやメンテナンス員が外部表示器70を制御部20に近づけるだけで、記憶部47から流量検出器24の故障の履歴を含む情報を取得することが可能である。
本実施形態で採用される近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)は、数cmの近距離でのみ相互通信が可能な技術である。したがって、外部表示器70に流量検出器24の故障やその他の各種情報を表示させるためには、ユーザーやメンテナンス員は外部表示器70を制御部20に近づける必要がある。このことは、外部表示器70を操作するときは、ユーザーやメンテナンス員は給水装置の近くにいることを意味する。したがって、ユーザーやメンテナンス員は給水装置を目視しながら外部表示器70を操作することになり、誤操作に起因した給水装置の予期しない動作を防止することに繋がる。また、複数の給水装置が設置された現場では、流量検出器24の故障を表示したい給水装置の近距離でのみ通信可能となる為、無線通信にてよくある意図しない別の給水装置の流量検出器24の故障を表示してしまうという誤表示を防止することが出来る。
図10は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20は通信部60を備えている。通信部60は、有線通信または無線通信によって外部表示器75の通信部76に接続されている。外部表示器75は制御部80を備えており、制御部80は通信部76、記憶部77、演算部78、および表示部79を備えている。制御部20は、表示器49を備えていてもよい。また、記憶部77は記憶部47と同様に図5の構成とする。
図11は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20には表示器は設けられておらず、代わりに、外部表示器75に表示部79と設定部82が設けられている。その他の構成は図10に示す実施形態と同様である。本実施形態では、流量検出器24の故障の状態は表示部79に表示され、その他各種設定値の入力は、外部表示器75の設定部82を通じて行われる。
上述した実施形態に係る給水装置は、水道本管4に直接接続される直結式の給水装置であるが、本発明の給水装置は、受水槽を介して水道本管4に接続される受水槽式の給水装置であってもよい。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。