JP6643118B2 - 給水装置、および給水装置の運転方法 - Google Patents

給水装置、および給水装置の運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、建物に水を供給する給水装置に関し、特に、流量検出器の一時的な異常では警報を出力せずに、流量検出器の故障を確実に検出することができる給水装置に関する。また、本発明は、このような給水装置の運転方法に関する。
オフィスビルやマンションなどの建物に水(水道水)を供給するための装置として給水装置が広く使用されている。この給水装置は、一般に、水を圧送するためのポンプと、このポンプを駆動するための電動機(モータ)と、この電動機の運転を制御する制御部とを備えている。給水装置は、水道本管に直接、または受水槽を介して接続され、水道本管を流れる水を建物内の給水器具(例えば、蛇口)に供給する。
給水装置の制御部には、流量検出器、圧力センサ、および電動機が接続される。建物内での水の使用が停止されると、ポンプから吐き出される水の流量が低下する。流量検出器により水の流量が所定の値にまで低下したことが検出されると、制御部はポンプの運転速度を一時的に上げるよう電動機に指令を出し、圧力タンクに蓄圧してからポンプの運転を停止させる。
流量検出器が故障すると、制御部は、給水装置を流れる水の流量の低下を検出することができない。その結果、建物内での水の使用が停止されているにも拘わらず、ポンプの運転が継続される。この場合、ポンプは締切運転となり、過熱状態となったポンプが非常停止に至る場合がある。ポンプが過熱により停止すると、このポンプの温度が自然冷却により復帰温度に低下するまで、ポンプの運転を再開することができない。そのため、ポンプの温度を温度センサで監視し、ポンプの温度が非常停止温度まで上昇する前にポンプを停止させていた(例えば、特許文献1参照)。
従来の給水装置の制御部は、ポンプが最高速度で運転しているにも拘わらず、流量検出器により水の流量が所定の値にまで低下したことが検出された場合には、流量検出器が故障していると判断している。あるいは、制御部は、ポンプが停止しているにも拘わらず、流量検出器により水の流量が所定の値にまで低下したことが検出されない場合に、流量検出器が故障していると判断している。例えば、ポンプの温度が非常停止温度まで上昇する前にポンプを停止させたときに、流量検出器が水の流量が所定の値にまで低下したことを検出しない場合、制御部は、流量検出器が故障していると判断し、警報を出力する。
特許第3979755号公報 特許第3570884号公報
流量検出器に異物が付着すると、流量検出器が水量の低下信号を制御部に出力できない場合がある。流量検出器から異物が取り除かれると、流量検出器は、水量の低下信号を正常に制御部に出力する。異物の付着などの外的要因による動作不良は、一時的な異常であり、流量検出器を交換する必要がない。
特許文献2に開示される給水装置は、ポンプの運転中に流量検出器に異常が発生したときに警報を出力し、その後、この給水装置は、ポンプを停止させた後に、ポンプを再始動(リトライ)させる。ポンプのリトライ動作により、流量検出器から異物が取り除かれる場合がある。この場合、流量検出器の異常は解消されているので、流量検出器をメンテナンスおよび/または交換する必要がない。
しかしながら、ユーザーは流量検出器の異常に関する警報を既に受け取っているので、ユーザーは流量検出器のメンテナンスおよび/または交換を検討することになる。したがって、流量検出器のメンテナンスおよび/または交換の頻度を低減するために、流量検出器の一時的な動作不良に対しては、警報を出力しないのが好ましい。一方で、流量検出器の破損などの故障が発生している場合には、流量検出器のメンテナンスおよび/または交換を促すために、警報を出力する必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、流量検出器の一時的な異常では警報を出力せずに、流量検出器の故障を確実に検出することができる給水装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このような給水装置の運転方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプを駆動するための電動機と、前記ポンプの吐出側圧力を測定する圧力センサと、前記ポンプから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する流量検出器と、前記ポンプの運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ポンプの停止中に、前記流量検出器が前記小水量状態を検出せず、かつ前記吐出側圧力が所定の始動圧力に到達した場合は、前記流量検出器の異常カウント値に1を加算し、前記異常カウント値が設定値に到達していない場合は、前記ポンプを所定の時間運転した後で停止させるリトライ運転を実行し、前記異常カウント値の加算および前記リトライ運転が、該異常カウント値が設定値に到達するまで繰り返された場合は、前記流量検出器の故障の警報を出力することを特徴とする給水装置である。
本発明の好ましい態様は、前記異常カウント値が前記設定値に到達する前に、前記流量検出器が前記小水量状態を検出した場合は、前記制御部は、前記異常カウント値を0に戻すことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプの温度を測定する温度センサをさらに備え、前記制御部は、前記ポンプの測定温度が前記ポンプを非常停止させる第1のしきい値よりも低い第2のしきい値以上であるときに、前記ポンプを停止させる温度停止を実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記リトライ運転が実行されていること、および/または前記流量検出器が故障していることを表示する表示器をさらに備えていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、外部表示器と有線通信または無線通信で接続することができることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、近距離無線通信(NFC)によって前記外部表示器に接続できることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記外部表示器からの電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部と、前記電力によって駆動される集積回路および記憶部とを備えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記リトライ運転の実行履歴および/または前記流量検出器の故障履歴を示すデータを前記記憶部に記憶し、前記集積回路は、前記記憶部から前記データを読み取り、前記制御部側アンテナ部は前記データを前記外部表示器に送信することを特徴とする。
本発明の他の態様は、第1のポンプおよび第2のポンプと、前記第1のポンプを駆動するための第1の電動機、および前記第2のポンプを駆動するための第2の電動機と、前記第1のポンプおよび第2のポンプの吐出側圧力を測定する圧力センサと、前記第1のポンプから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する第1の流量検出器、および前記第2のポンプから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する第2の流量検出器と、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプの運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のポンプの停止中に、前記第1の流量検出器が前記小水量状態を検出せず、かつ前記吐出側圧力が所定の始動圧力に到達した場合は、前記第1の流量検出器の異常カウント値に1を加算し、前記異常カウント値が設定値に到達していない場合は、前記第1のポンプを所定の時間運転した後で停止させ、かつ前記第1のポンプが停止する前、または前記第1のポンプが停止するのと同時に前記第2のポンプを始動させるリトライ運転を実行し、前記異常カウント値の加算および前記リトライ運転が、該異常カウント値が設定値に到達するまで繰り返された場合は、前記第1の流量検出器の故障の警報を出力することを特徴とする給水装置である。
本発明の好ましい態様は、前記異常カウント値が前記設定値に到達する前に、前記第1の流量検出器が前記小水量状態を検出した場合は、前記制御部は、前記異常カウント値を0に戻すことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1のポンプの温度を測定する温度センサをさらに備え、前記制御部は、前記第1のポンプの測定温度が前記第1のポンプを非常停止させる第1のしきい値よりも低い第2のしきい値以上であるときに、前記第1のポンプを停止させる温度停止を実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記リトライ運転が実行されていること、および/または前記第1の流量検出器が故障していることを表示する表示器をさらに備えていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、外部表示器と有線通信または無線通信で接続することができることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、近距離無線通信(NFC)によって前記外部表示器に接続できることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記外部表示器からの電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部と、前記電力によって駆動される集積回路および記憶部とを備えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記リトライ運転の実行履歴および/または前記第1の流量検出器の故障履歴を示すデータを前記記憶部に記憶し、前記集積回路は、前記記憶部から前記データを読み取り、前記制御部側アンテナ部は前記データを前記外部表示器に送信することを特徴とする。
本発明の他の態様は、ポンプの停止中に、前記ポンプから吐出される水の流量が所定の小水量値以下である小水量状態を検出する流量検出器が前記小水量状態を検出せず、かつ圧力センサによって測定される前記ポンプの吐出側圧力が所定の始動圧力に到達した場合は、前記流量検出器の異常カウント値に1を加算し、前記異常カウント値が設定値に到達していない場合は、前記ポンプを所定の時間運転した後で停止させるリトライ運転を実行し、前記異常カウント値の加算および前記リトライ運転が、該異常カウント値が設定値に到達するまで繰り返された場合は、前記流量検出器の故障の警報を出力することを特徴とする給水装置の運転方法である。
本発明によれば、流量検出器の異常カウント値が設定値に到達するまで、流量検出器の故障の警報を出力せずに、ポンプのリトライ運転を繰り返す。このポンプのリトライ運転の繰り返しにより、流量検出器に付着した異物などが取り除かれた場合は、流量検出器の故障の警報はユーザーに伝わらないので、流量検出器のメンテナンスおよび/または交換の頻度を低減することができる。一方で、流量検出器の異常カウント値が設定値に到達するまでリトライ運転が繰り返された場合は、流量検出器の故障の警報が出力されるので、流量検出器の故障を確実に検出することができる。
本発明の一実施形態に係る給水装置を示す模式図である。 図1に示される給水装置の流量検出器に異常が発生したときの、給水装置の運転動作を説明するためのフロー図である。 本発明の他の実施形態に係る給水装置を示す模式図である。 図3に示される給水装置の一方の流量検出器に異常が発生したときの、給水装置の運転動作を説明するためのフロー図である。 給水装置の制御部のより詳細な構成を示す図である。 図5に示される記憶部の詳細を示す図である。 給水装置の他の実施形態を示す図である。 給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。 給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。 給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。 給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。 給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図12において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る給水装置を示す模式図である。この給水装置は、オフィスビルやマンションなどの建物に使用される直結式の給水装置である。図1に示すように、給水装置の吸込口は、導入管5を介して水道本管4に接続されている。給水装置の吐出口には配水管7が接続されており、この配水管7は、建物の内部に配置された給水器具(例えば蛇口)に連通している。給水装置は、水道本管4からの水を増圧して建物の各給水器具に水を供給する。
図1に示すように、給水装置は、導入管5を介して水道本管4に連結されるポンプ2と、このポンプ2を駆動する駆動源としての電動機(モータ)3と、ポンプ2の温度を測定する温度センサ18と、電動機3を変速可能とするインバータ21と、給水装置の給水動作(すなわちポンプ2の運転)を制御する制御部20と、ポンプ2の下流側に配置された逆止弁22と、逆止弁22の下流側に配置された流量検出器(フロースイッチ)24、吐出側圧力センサ26、および圧力タンク28と、運転情報を表示する表示器49とを備えている。本実施形態では、これら構成要素は、キャビネット30内に収容されている。一実施形態では、上記構成要素のうちいくつかのみ(例えば、制御部20およびインバータ21のみ)をキャビネット30内に収容してもよい。
逆止弁22は、ポンプ2の吐出口に接続された吐出管8に設けられており、ポンプ2が停止したときの水の逆流を防止するための弁である。流量検出器24は吐出管8を流れる水の流量が所定の小水量以下であることを検出する装置である。流量検出器24は、例えば、フラップが接点と接触したことにより、水の流量が所定の小水量以下であることを検出するフラップ式流量検出器である。あるいは、流量検出器24は、例えば、フロートが接点と接触したことにより、水の流量が所定の小水量以下であることを検出するフロート式流量検出器であってもよい。吐出側圧力センサ26は、ポンプ2の吐出側圧力を測定するための水圧測定器である。圧力タンク28は、ポンプ2が停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。配水管7は吐出管8に接続されている。
ポンプ2の吸込口には吸込管9の一端が接続されており、吸込管9の他端は導入管5に接続されている。吸込管9には、図示しない逆流防止器と吸込側圧力センサが取り付けられている。逆流防止器は、水道本管4への水の逆流を確実に防止するために設置されている。
給水装置は、ポンプ2を迂回するバイパス管11を備えている。バイパス管11の上流側端部は吸込管9に接続され、バイパス管11の下流側端部は吐出管8に接続されている。バイパス管11には逆止弁16が取り付けられており、バイパス管11内での水の逆流を防止している。このバイパス管11は、ポンプ2が停止しているときでも、流入圧のみで給水を可能とするために設けられている。
インバータ21、流量検出器24、吐出側圧力センサ26、および温度センサ18は、制御部20に信号線を介して接続されている。水の流量が所定の小水量以下になったことが流量検出器24により検出されると、制御部20はポンプ2の運転速度を一時的に上げるようインバータ21に指令を出し、圧力タンク28に蓄圧してからポンプ2の運転を停止させるようになっている(小水量停止)。一方、吐出側圧力(吐出管8内の水圧)が所定の値(始動圧力)まで低下すると、制御部20はポンプ2の運転を開始するようインバータ21に指令を出す。
制御部20は、インバータ21および電動機3の動作を制御することによって、ポンプ2の動作を制御する。より具体的には、制御部20は、吐出側圧力センサ26の出力信号に基づいて、ポンプ2の運転速度(すなわち回転速度)を制御する。一般的には、吐出側圧力センサ26により測定された圧力信号が設定された目標圧力と一致するようにポンプ2の運転速度を制御してポンプ2の吐出圧力が一定になるように制御する吐出圧力一定制御や、ポンプ2の吐出圧力の目標値を適切に変化させることにより給水栓における水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御などが行われる。
流量検出器24が故障すると、制御部20は、給水装置を流れる水の流量の低下を検出することができない。その結果、建物内での水の使用が停止されているにも拘わらず、ポンプ2の運転が継続される。この場合、ポンプ2は締切運転となり、過熱状態となったポンプ2が非常停止に至る場合がある。制御部20は、過熱によりポンプ2を非常停止させるための第1のしきい値を記憶しており、ポンプ2に取り付けられた温度センサ18から出力されたポンプ温度の測定値がこの第1のしきい値以上になった場合は、ポンプ2を非常停止させる。
本実施形態の制御部20は、第1のしきい値よりも低い第2のしきい値を予め記憶している。第1のしきい値は、ポンプ2が過熱により非常停止されるポンプ2の温度であり、例えば、60℃である。第2のしきい値は、この第1のしきい値よりも低く、例えば、50℃に設定される。温度センサ18により測定されたポンプ2の温度が第2のしきい値よりも高い場合、制御部20はポンプ2を停止させる。ポンプ2が過熱により非常停止すると、ポンプ2の温度が自然冷却により復帰温度に低下するまで、ポンプ2の運転を再開することができない。本実施形態では、ポンプ2が非常停止に至る前に該ポンプ2を停止させることにより、ポンプ2が運転できなくなることを防止している。
流量検出器24に異物などが付着した場合も、制御部20が給水装置を流れる水の流量の低下を検出することができないことがある。例えば、流量検出器24がフラップ式流量検出器である場合、フラップと接点との間に異物が付着すると、流量検出器24は、制御部20に水の流量の低下の検出信号を送信できない。また、フラップが接点に対してずれてしまった場合も、流量検出器24は、制御部20に水の流量の低下の検出信号を送信できない場合がある。同様に、流量検出器24がフロート式流量検出器である場合、フロートと接点との間に異物が付着すると、流量検出器24は、制御部20に水の流量の低下の検出信号を送信できない。このような流量検出器24の動作不良は、一時的な異常である。すなわち、異物が取り除かれるか、またはフラップが接点に対して正常な姿勢に戻った場合、流量検出器24は、制御部20に水の流量の低下の検出信号を送信することができる。したがって、流量検出器24をメンテナンスおよび/または交換する必要はない。
一方で、流量検出器24の破損などの故障が発生している場合は、流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換を促すために、流量検出器24の故障の警報を出力する必要がある。そこで、本実施形態の制御部20は、ポンプの停止中に、流量検出器24に異常が発生したときは、以下に説明する給水装置の運転動作を実行する。図2は、図1に示される給水装置の流量検出器に異常が発生したときの、給水装置の運転動作を説明するためのフロー図である。
図2に示されるように、制御部20は、ポンプ2が停止されているとき、流量検出器24からの出力信号に基づいて、ポンプ2から吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態であるか否かを判断する(ステップ1)。流量検出器24に異常が発生している場合、ポンプ2が停止されているにも拘わらず、流量検出器24は、小水量状態を検出できない。制御部20は、ステップ1で流量検出器24が小水量状態を検出していない場合、ポンプ2の吐出側圧力が所定の始動圧力まで低下したか否か(すなわち、ポンプ2の始動条件が成立したか否か)を判断する(ステップ2)。ステップ2でポンプ2の始動条件が成立した場合は、制御部20は、流量検出器24の異常カウント値に1を加算する(ステップ3)。
次に、制御部20は、該制御部20に予め記憶された設定値と流量検出器24の異常カウント値とを比較し、異常カウント値が設定値以上であるか否かを判断する(ステップ4)。この設定値は、好ましくは、5から10の間の数値に設定される。異常カウント値が設定値に到達していない場合は、制御部20は、以下に説明するポンプ2のリトライ運転を実行する。
ポンプ2のリトライ運転は、ポンプ2を所定時間(リトライ運転時間)だけ運転した後で停止させる運転方法である。このリトライ運転時間は、任意に設定できるが、好ましくは1分に設定される。リトライ運転時間は、予め制御部20に記憶されている。制御部20は、ポンプ2のリトライ運転を実行するために、まず、ポンプ2を始動させる(ステップ5)。ポンプ2が始動された後で、制御部20は、流量検出器24が小水量状態を検出したか否かを確認する(ステップ6)。次に、制御部20は、ポンプ2が始動してからリトライ運転時間が経過したか否かを確認し(ステップ7)、リトライ時間が経過していない場合は、ステップ6に戻って流量検出器24が小水量状態を検出したか否かを確認する。リトライ運転時間が経過すると、制御部20は、ポンプ2を停止させる(ステップ8)。ステップ6で流量検出器24が小水量状態を検出した場合も、ポンプ2を停止させる。
次に、制御部20は、ステップ1に戻り、流量検出器24が小水量状態を検出したか否かを確認する。リトライ運転の後で、流量検出器24が小水量状態を検出した場合、流量検出器24に発生していた異常は、異物の付着などに起因した一時的な動作不良であると考えられる。制御部20は、ステップ1で流量検出器24が小水量状態を検出した場合は、ポンプ2の始動条件が成立したか否かを判断する(ステップ9)。制御部20は、ステップ9でポンプ2の始動条件が成立した場合は、流量検出器24の異常カウント値を0に戻し(ステップ10)、ポンプ2を始動させる(ステップ11)。ステップ11で始動されたポンプ2の運転中は、吐出側圧力センサ26の出力値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御が行われる。ステップ9で、ポンプ2の始動条件が成立しなかった場合は、制御部20は、ステップ1にて流量検出器24が小水量状態を検出したか否かを再度確認する。
リトライ運転の後のステップ1で、流量検出器24が小水量状態を検出しない場合、制御部20は、ポンプ2の始動条件が成立しているか否かを再度判断する(ステップ2)。ポンプ2の始動条件が成立した場合は、制御部20は、流量検出器24の異常カウント値に1を加算し(ステップ3)、再度、制御部20に予め記憶された設定値と流量検出器24の異常カウント値とを比較して、異常カウント値が設定値以上であるか否かを判断する(ステップ4)。
異常カウント値が設定値に到達していない場合は、制御部20は、ステップ5〜ステップ8に示されるリトライ運転を再度実行する。ステップ4で、制御部20が異常カウント値が設定値以上であると判断した場合は、制御部20は、流量検出器24の故障の警報を出力し(ステップ12)、ユーザーに流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換を促す。ステップ12で流量検出器24の故障の警報が出力された後は、制御部20は、リトライ運転を実行せずに、ポンプ2を始動させる(ステップ11)。ステップ11で始動されたポンプ2の運転中は、吐出側圧力センサ26の出力値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御が行われる。
このように、本実施形態では、流量検出器24の異常カウント値が設定値に到達するまで、流量検出器24の故障の警報を出力せずに、ポンプ2のリトライ運転を繰り返す。このポンプ2のリトライ運転の繰り返しにより、流量検出器24に付着した異物などが取り除かれた場合は、流量検出器24は正常に小水量状態を検出することができるので、ステップ10で流量検出器24の異常カウント値が0に戻される。したがって、流量検出器24の一時的な動作不良は、流量検出器24の故障としてユーザーに伝わらないので、流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換の頻度を低減することができる。一方で、流量検出器24の異常カウント値が設定値に到達した場合には、流量検出器24に破損などの故障が発生していると考えられる。したがって、制御部20は、流量検出器24の故障の警報を出力し、ユーザーに流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換を促す。このように、本実施形態によれば、流量検出器24の故障を確実に検出することができる。
上述した温度停止動作によりポンプ2が停止された場合は、流量検出器24に異常が発生している可能性がある。流量検出器24の一時的な動作不良により温度停止が発生した場合は、リトライ運転を実行することにより、流量検出器24を正常な状態に復帰させることができる。したがって、ポンプ2の温度停止が再び発生することを防止することができる。流量検出器24の故障により温度停止が発生した場合は、制御部20が流量検出器24の故障の警報を出力するので、ユーザーに流量検出器24のメンテナンスおよび/または交換を促すことができる。
図3は、本発明の他の実施形態に係る給水装置を示す模式図である。図3に示される給水装置は、2組のポンプ2a,2b、電動機3a,3b、温度センサ18a,18b、インバータ21a,21b、逆止弁22a,22b、および流量検出器24a,24bを備えている。本実施形態では、給水装置は、2組のポンプ2a,2b、電動機3a,3b、温度センサ18a,18b、インバータ21a,21b、逆止弁22a,22b、および流量検出器24a,24bを備えているが、3組以上のポンプ、電動機、温度センサ、インバータ、逆止弁、および流量検出器を備えてもよい。特に説明しない本実施形態の構成は、図1に示される実施形態の構成と同一であるため、その重複する説明を省略する。
図3に示される給水装置は、第1のポンプ2aおよび第2のポンプ2bと、第1のポンプ2aを駆動するための第1の電動機3a、および第2のポンプ2aを駆動するための第2の電動機3bと、第1の電動機3aを変速可能とする第1のインバータ21a、および第2の電動機3bを変速可能とする第2のインバータ21bと、第1のポンプ2aおよび第2のポンプ2bの吐出側圧力を測定する圧力センサ26と、第1のポンプ2aから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する第1の流量検出器24a、および第2のポンプ2bから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する第2の流量検出器24bと、第1のポンプ2aの温度を測定する温度センサ18a、および第2のポンプ2bの温度を測定する温度センサ18bと、第1のポンプ2aおよび第2のポンプ2bの運転を制御する制御部20と、を備える。インバータ21a,21b、流量検出器24a,24b、吐出側圧力センサ26、および温度センサ18a,18bは、制御部20に信号線を介して接続されている。
第1のポンプ2aおよび第2のポンプ2bが停止している状態で、建物内で水が使用されると、第1のポンプ2aおよび第2のポンプ2bの吐出側圧力が低下する。この吐出側圧力、すなわち圧力センサ26の出力値が所定の始動圧力にまで低下すると、制御部20はポンプ2a,2bのうちのいずれか一方を始動させる。以下では、第1のポンプ2aが始動される実施形態が説明される。第1のポンプ2aの運転中は、吐出側圧力センサ26の出力値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御が行われる。
建物での水の使用が停止されると、第1のポンプ2aから吐き出される水の流量が低下する。第1のポンプ2aからの水の流量が所定の小水量以下になったことが第1の流量検出器24aにより検出されると、制御部20は第1のポンプ2aの運転速度を一時的に上げるように第1のインバータ21aに指令を出し、圧力タンク28に蓄圧してから第1のポンプ2aの運転を停止させるようになっている(小水量停止)。一方、吐出側圧力が所定の始動圧力まで低下すると、制御部20は第2のポンプ2bの運転を開始するよう第2のインバータ21bに指令を出す。第2のポンプ2bの運転中は、吐出側圧力センサ26の出力値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御が行われる。
本実施形態の制御部20は、過熱により第1のポンプ2aを非常停止させるための第1のしきい値を予め記憶しており、第1のポンプ2aに取り付けられた第1の温度センサ18aから出力されたポンプ温度の測定値がこの第1のしきい値以上になった場合は、第1のポンプ2aを非常停止させる。制御部20は、さらに、第1のしきい値よりも低い第2のしきい値を予め記憶している。第1のしきい値は、第1のポンプ2aが過熱により非常停止される第1のポンプ2aの温度であり、例えば、60℃である。第2のしきい値は、この第1のしきい値よりも低く、例えば、50℃に設定される。温度センサ18により測定された第1のポンプ2aの温度が第2のしきい値よりも高い場合、制御部20は第1のポンプ2aを停止させる。第1のポンプ2aが過熱により非常停止すると、第1のポンプ2aの温度が自然冷却により復帰温度に低下するまで、第1のポンプ2aの運転を再開することができない。本実施形態では、第1のポンプ2aが非常停止に至る前に該第1のポンプ2aを停止させることにより、第1のポンプ2aが運転できなくなることを防止している。
図4は、図3に示される給水装置の一方の流量検出器24aに異常が発生したときの、給水装置の運転動作を説明するためのフロー図である。図4に示されるように、制御部20は、第1のポンプ2aが停止されているとき、第1の流量検出器24aからの出力信号に基づいて、第1のポンプ2aから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態であるか否かを判断する(ステップ1)。第1の流量検出器24aに異常が発生している場合、第1のポンプ2aが停止されているにも拘わらず、第1の流量検出器24aは、小水量状態を検出できない。制御部20は、ステップ1で第1の流量検出器24aが小水量状態を検出していない場合、第1のポンプ2aの吐出側圧力が所定の始動圧力まで低下したか否か(すなわち、第1のポンプ2aの始動条件が成立したか否か)を判断する(ステップ2)。ステップ2で第1のポンプ2の始動条件が成立した場合は、制御部20は、第1の流量検出器24aの異常カウント値に1を加算する(ステップ3)。
次に、制御部20は、該制御部20に予め記憶された設定値と第1の流量検出器24aの異常カウント値とを比較し、異常カウント値が設定値以上であるか否かを判断する(ステップ4)。この設定値は、好ましくは、5から10の間の数値に設定される。異常カウント値が設定値に到達していない場合、制御部20は、以下に説明する第1のポンプ2aのリトライ運転を実行する。
第1のポンプ2aのリトライ運転は、第1のポンプ2aを所定時間(リトライ運転時間)だけ運転した後で停止させ、かつ第1のポンプ2aが停止する前、または第1のポンプ2aが停止するのと同時に、待機中の第2のポンプ2bを始動させる運転方法である。このリトライ運転時間は、任意に設定できるが、好ましくは1分に設定される。リトライ運転時間は、予め制御部20に記憶されている。制御部20は、第1のポンプ2aのリトライ運転を実行するために、まず、第1のポンプ2aを始動させる(ステップ5)。第1のポンプ2aが始動された後で、制御部20は、第1の流量検出器24aが小水量状態を検出したか否かを確認する(ステップ6)。次に、制御部20は、第1のポンプ2aが始動してからリトライ運転時間が経過したか否かを確認し(ステップ7)、リトライ時間が経過していない場合は、ステップ6に戻って第1の流量検出器24aが小水量状態を検出したか否かを確認する。本実施形態では、リトライ運転時間が経過すると、制御部20は、待機中の第2のポンプ2bを始動させ(ステップ8)、第1のポンプ2aを停止させる(ステップ9)。第1のポンプ2aの停止を、第2のポンプ2bの始動と同時に行ってもよい。ステップ6で第1の流量検出器24aが小水量状態を検出した場合は、第2のポンプ2bを始動させずに、ステップ9で第1のポンプ2aを停止させる。
次に、制御部20は、ステップ1に戻り、第1の流量検出器24aが小水量状態を検出したか否かを確認する。リトライ運転の後で、第1の流量検出器24aが小水量状態を検出した場合、第1の流量検出器24aに発生していた異常は、異物の付着などに起因した一時的な動作不良であると考えられる。制御部20は、ステップ1で流量検出器24が小水量状態を検出した場合は、第1のポンプ2aの始動条件が成立したか否かを判断する(ステップ10)。制御部20は、ステップ10で第1のポンプ2aの始動条件が成立した場合は、第1の流量検出器24aの異常カウント値を0に戻し(ステップ11)、第1のポンプ2aを始動させる(ステップ12)。ステップ12で始動された第1のポンプ2aの運転中は、吐出側圧力センサ26の出力値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御が行われる。ステップ10で第1のポンプ2aの始動条件が成立しなかった場合は、制御部20は、ステップ1にて流量検出器24が小水量状態を検出しているか否かを再度確認する。
リトライ運転の後のステップ1で、流量検出器24が小水量状態を検出しない場合、制御部20は、第1のポンプ2aの始動条件が成立しているか否かを再度確認する(ステップ2)。第1のポンプ2aの始動条件が成立した場合は、制御部20は、第1の流量検出器24aの異常カウント値に1を加算し(ステップ3)、再度、制御部20に予め記憶された設定値と第1の流量検出器24aの異常カウント値とを比較して、異常カウント値が設定値以上であるか否かを判断する(ステップ4)。
異常カウント値が設定値に到達していない場合は、制御部20は、ステップ5〜ステップ9に示されるリトライ運転を再度実行する。ステップ4で、制御部20が異常カウント値が設定値に到達していると判断した場合は、制御部20は、第1の流量検出器24aの故障の警報を出力し(ステップ13)、ユーザーに第1の流量検出器24aのメンテナンスおよび/または交換を促す。ステップ13で第1の流量検出器24aの故障の警報が出力された後は、制御部20は、リトライ運転を実行せずに、第1のポンプ2aを始動させる(ステップ12)。ステップ12で始動された第1のポンプ2aの運転中は、吐出側圧力センサ26の出力値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御が行われる。
このように、本実施形態では、第1の流量検出器24aの異常カウント値が設定値に到達するまで、第1の流量検出器24aの故障の警報を出力せずに、第1のポンプ2aのリトライ運転を繰り返す。この第1のポンプ2aのリトライ運転の繰り返しにより、第1の流量検出器24aに付着した異物などが取り除かれた場合は、第1の流量検出器24aは正常に小水量状態を検出することができるので、ステップ11で第1の流量検出器24aの異常カウント値が0に戻される。したがって、第1の流量検出器24aの一時的な動作不良は、第1の流量検出器24aの故障としてユーザーに伝わらないので、第1の流量検出器24aのメンテナンスおよび/または交換の頻度を低減することができる。一方で、第1の流量検出器24aの異常カウント値が設定値に到達した場合には、第1の流量検出器24aに破損などの故障が発生していると考えられる。したがって、制御部20は、第1の流量検出器24aの故障の警報を出力し、ユーザーに第1の流量検出器24aのメンテナンスおよび/または交換を促す。このように、本実施形態によれば、第1の流量検出器24aの故障を確実に検出することができる。
上述した温度停止動作により第1のポンプ2aが停止された場合は、第1の流量検出器24aに異常が発生している可能性がある。第1の流量検出器24aの一時的な動作不良により温度停止が発生した場合は、リトライ運転を実行することにより、第1の流量検出器24aを正常な状態に復帰させることができる。したがって、第1のポンプ2aの温度停止が再び発生することを防止することができる。第1の流量検出器24aの故障により温度停止が発生した場合は、制御部20が第1の流量検出器24aの故障の警報を出力するので、ユーザーに第1の流量検出器24aのメンテナンスおよび/または交換を促すことができる。
次に、図1に示される給水装置の制御部20のより詳細な構成について図5を参照して説明する。図5に示すように、給水装置は、リトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを含む運転情報を表示する表示器49をさらに備えている。制御部20は、設定部46、記憶部47、演算部48、I/O部50、および運転パネル51を備えている。運転パネル51は、ヒューマンインターフェースとして機能する。設定部46には、ポンプ2の運転制御に関する各種設定値が入力される。設定部46および表示器49は、運転パネル51に設けられている。表示器49は液晶パネルであり、設定部46はタッチパネル式操作器でもよい。本実施形態では、表示器49は制御部20に取り付けられているが、表示器49は制御部20から離れて配置されてもよい。また、表示器49は液晶パネルと7セグメントLEDや表示灯を組み合わせた構成でもよい。
記憶部47は、リトライ運転の実行の履歴、および/または流量検出器24の故障の履歴などを記憶する。演算部48としては、CPUが使用される。表示器49は、ヒューマンインターフェースとして機能し、リトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを含む運転情報を表示する。ユーザーは、設定部46上のクリアボタン53を押すことにより、表示器49での表示を消去することができる。
図6は記憶部47の詳細を示す図である。図6に示すように、記憶部47は、不揮発性メモリから構成された不揮発性記憶領域47aと、揮発性メモリから構成された揮発性記憶領域47bを備えている。不揮発性記憶領域47aは、リトライ運転の実行の履歴、流量検出器24の故障の履歴、ポンプ2の運転に必要な各種設定値、故障履歴、運転履歴などを記憶する領域である。揮発性記憶領域47bは、リトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障だけでなく、圧力信号、ポンプ回転数、電流値、故障、警報などを記憶する領域である。
図7は給水装置の他の実施形態を示す図である。本実施形態では、表示器49に加えて、外部表示器61がさらに設けられている。図7に示すように、制御部20は通信部60をさらに備えている。制御部20は有線通信または無線通信によって外部表示器61に接続されている。外部表示器61として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレットの汎用端末機器または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。本実施形態では、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器であり、外部表示器61は液晶画面と液晶画面のタッチ入力方式や押圧ボタン方式用いた高機能表示器である。簡易な表示器49に比べて外部表示器61は表示できる情報量が格段に多いため、外部表示器61にリトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを表示することによって、給水装置に不慣れなユーザーは誤解することなく、リトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを認識することが出来る。
給水装置は機械室やポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。本実施形態によれば、給水装置に組み込まれる表示器49として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器を使用することにより、外部環境から発生される電気的なノイズにより外部表示器61の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示器49により給水装置の運転に必要な最低限度の表示や操作を行うことが可能なため、給水装置を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。さらに、外部表示器61として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットなどの汎用端末機器を使用すると、ユーザーは専用のアプリケーションソフトウエアを用いて、リトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを表示させることができるため、専用のアプリケーションソフトウエアを複数用意し使い分けることによりユーザーのレベルに沿ったリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障の表示を提供することが可能である。
図8は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20に表示器49は設けられていなく、代わりに外部表示器(高機能表示器)61のみが設けられる。その他の構成は、図7に示す実施形態と同様である。図8に示す実施形態によれば、給水装置には表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水装置全体のコストを更に下げることが可能である。
図9は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。図9において、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器である。通信部60は公衆回線を介して保守管理会社または管理人室に設けられた外部表示器65に接続されている。制御部20は、リトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを判断し、外部表示器65は制御部20に公衆回線を通じて定期的に通信し、リトライ運転が実行されているか否か、および/または流量検出器24が故障しているか否かを制御部20に問い合わせる。そして、リトライ運転が実行されている場合、および/または流量検出器24が故障している場合は、外部表示器65はリトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを表示する。外部表示器65はリトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを他の情報に追加的に表示してもよい。
本実施形態の制御部20は、図5に示すクリアボタン53を備えていなく、代わりに、外部表示器65は、図9に示すように、クリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、外部表示器65上に表示されているリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障の表示が消去される。
図10は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態の制御部20の基本的構成は図8に示す実施形態の制御部20の構成と同じであるが、制御部20が通信部60に代えて、制御部側アンテナ部67を備えている点、および制御部側アンテナ部67に接続された集積回路68を備えている点で異なっている。集積回路68は、不揮発性記憶領域47a、揮発性記憶領域47bを有する記憶部47に電気的に接続されている。なお、本実施形態の制御部20は表示器49を備えていないが、制御部20に表示器49を設けてもよい。
外部表示器70は、電波を送受信する表示器側アンテナ部71と、表示器側アンテナ部71で受信したデータを読み取るデータリーダー74と、データリーダー74によって読み取られたデータ(例えば、リトライ運転の実行、流量検出器24の故障、ポンプ2の運転状態、吐出し圧力など)を表示する表示部72と、データリーダー74、表示器側アンテナ部71、および表示部72に電力を供給するバッテリー73とを備えている。外部表示器70として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器でもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器でもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、給水装置のコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器にリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障を表示させることができるので、マンションやビルの管理人のような給水装置に関する専門知識のないユーザーに対しても、リトライ運転が実行されていること、および/または流量検出器24が故障していることを分かり易く知らせることができる給水装置を安価に提供することができる。
外部表示器70は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって制御部20と接続される。より具体的には、外部表示器70を制御部20に近づけた状態で、表示器側アンテナ部71が電波を発生すると、その電波を制御部側アンテナ部67が受け取り、制御部側アンテナ部67は電波を電力に変換する。この電力は集積回路68および記憶部47に供給されてこれら集積回路68および記憶部47を駆動する。集積回路68は記憶部47に記憶されている上記データを読み取り、制御部側アンテナ部67にデータを送る。制御部側アンテナ部67は、データとともに電波を表示器側アンテナ部71に送信する。データリーダー74は、表示器側アンテナ部71が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部72に表示させる。
外部表示器70は、リトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障の表示を消去するためのクリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、表示部72に表示されているリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障の表示が消去される。本実施形態のクリアボタン66は、表示部72の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン66は表示部72の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。本実施形態の制御部20はクリアボタンを備えていないが、制御部20にクリアボタンを設けてもよい。なお、これらの操作には、操作制限を設けてもよい。具体的には、ユーザーが主に使用する外部表示器70にクリアボタン66を設け、メンテナンス員が主に使用する制御部20にリセットボタン52を設ける。このように制御部20にのみリセットボタン52を設けることで、ユーザーのリセットボタン52の誤操作を防ぐことができる。パスワード等の複雑な使用制限の解除方法ではなく、外部表示器70を設けることで、ユーザーの誤操作によるリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障のクリアを防止することができる。
本実施形態では、外部表示器70と制御部20との間で無線通信が行われ、記憶部47に記憶されているリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障などを含むデータは、制御部20から外部表示器70に送られる。本実施形態によれば、給水装置の電源が入っていない場合でも、制御部側アンテナ部67は外部表示器70から発せられる電波から電力を発生し、集積回路68および記憶部47を駆動することができる。したがって、給水装置のメンテンナンス中などにおいて制御部20に電力が供給されていないときでも、外部表示器70は、制御部20の記憶部47からリトライ運転の実行の履歴、および/または流量検出器24の故障の履歴を含むデータを取得し、該データを表示することができる。
制御部20が故障した場合には新制御部20に交換する必要がある。この制御部20の交換時に、故障した旧制御部20はすでに電源が入らない状態においても、本実施形態では、旧制御部20のリトライ運転の実行の履歴、および/または流量検出器24の故障の履歴に関するデータを新制御部20の記憶部47に継承することが可能となる。具体的には、旧制御部20の記憶部47の該データを外部表示器70にて表示し、その表示を確認しながらメンテナンス員が新制御部20の操作部より入力し、新制御部20の記憶部47に該データを記憶させてもよいし、旧制御部20の該データを外部表示器70にて取得し、外部表示器70から新しい制御部20の記憶部47へと通信手段にて書き込んでもよい。制御部20が電源が入らない状態で故障しても、不揮発性記憶領域47aに記憶されているデータを新制御部20の記憶部47に継承できるので、リトライ運転の実行の履歴、および/または流量検出器24の故障の履歴のデータが損失されることない。これは、給水装置が新制御部20にて自動運転を開始した後でも、リトライ運転の実行の履歴、および/または流量検出器24の故障の履歴を表示することができることを意味する。
本実施形態によれば、給水装置に電力が供給されていないときでも、ユーザーやメンテナンス員が外部表示器70を制御部20に近づけるだけで、記憶部47からリトライ運転の実行の履歴、および/または流量検出器24の故障の履歴を含む情報を取得することが可能である。
本実施形態で採用される近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)は、数cmの近距離でのみ相互通信が可能な技術である。したがって、外部表示器70にリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障やその他の各種情報を表示させるためには、ユーザーやメンテナンス員は外部表示器70を制御部20に近づける必要がある。このことは、外部表示器70を操作するときは、ユーザーやメンテナンス員は給水装置の近くにいることを意味する。したがって、ユーザーやメンテナンス員は給水装置を目視しながら外部表示器70を操作することになり、誤操作に起因した給水装置の予期しない動作を防止することに繋がる。また、複数の給水装置が設置された現場では、リトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障を表示したい給水装置の近距離でのみ通信可能となる為、無線通信にてよくある意図しない別の給水装置のリトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障を表示してしまうという誤表示を防止することが出来る。
図11は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20は通信部60を備えている。通信部60は、有線通信または無線通信によって外部表示器75の通信部76に接続されている。外部表示器75は制御部80を備えており、制御部80は通信部76、記憶部77、演算部78、および表示部79を備えている。制御部20は、表示器49を備えていてもよい。また、記憶部77は記憶部47と同様に図6の構成とする。
図12は給水装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20には表示器は設けられておらず、代わりに、外部表示器75に表示部79と設定部82が設けられている。その他の構成は図11に示す実施形態と同様である。本実施形態では、リトライ運転の実行、および/または流量検出器24の故障の状態は表示部79に表示され、その他各種設定値の入力は、外部表示器75の設定部82を通じて行われる。
上述した実施形態に係る給水装置は、水道本管4に直接接続される直結式の給水装置であるが、本発明の給水装置は、受水槽を介して水道本管4に接続される受水槽式の給水装置であってもよい。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
2 ポンプ
3 電動機
4 水道本管
5 導入管
7 配水管
8 吐出管
9 吸込管
11 バイパス管
16 逆止弁
18 温度センサ
20 制御部
21 インバータ
22 逆止弁
26 圧力センサ
28 圧力タンク
30 キャビネット
46 設定部
47 記憶部
47a 不揮発性記憶領域
47b 揮発性記憶領域
48 演算部
49 表示部
50 I/O部
51 運転パネル
52 リセットボタン
53,66 クリアボタン
60 通信部
61,65,70,75 外部表示器
67 制御部側アンテナ部
68 集積回路
71 表示器側アンテナ部
72 表示部
73 バッテリー
74 データリーダー
79 表示部
82 設定部

Claims (17)

  1. ポンプと、
    前記ポンプを駆動するための電動機と、
    前記ポンプの吐出側圧力を測定する圧力センサと、
    前記ポンプから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する流量検出器と、
    前記ポンプの運転を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記ポンプの停止中に、前記流量検出器が前記小水量状態を検出せず、かつ前記吐出側圧力が所定の始動圧力に到達した場合は、前記流量検出器の異常カウント値に1を加算し、
    前記異常カウント値が設定値に到達していない場合は、前記ポンプを所定の時間運転した後で停止させるリトライ運転を実行し、
    前記異常カウント値の加算および前記リトライ運転が、該異常カウント値が設定値に到達するまで繰り返された場合は、前記流量検出器の故障の警報を出力することを特徴とする給水装置。
  2. 前記異常カウント値が前記設定値に到達する前に、前記流量検出器が前記小水量状態を検出した場合は、前記制御部は、前記異常カウント値を0に戻すことを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
  3. 前記ポンプの温度を測定する温度センサをさらに備え、
    前記制御部は、前記ポンプの測定温度が前記ポンプを非常停止させる第1のしきい値よりも低い第2のしきい値以上であるときに、前記ポンプを停止させる温度停止を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の給水装置。
  4. 前記リトライ運転が実行されていること、および/または前記流量検出器が故障していることを表示する表示器をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の給水装置。
  5. 前記制御部は、外部表示器と有線通信または無線通信で接続することができることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の給水装置。
  6. 前記制御部は、近距離無線通信(NFC)によって前記外部表示器に接続できることを特徴とする請求項5に記載の給水装置。
  7. 前記制御部は、前記外部表示器からの電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部と、前記電力によって駆動される集積回路および記憶部とを備えることを特徴とする請求項6に記載の給水装置。
  8. 前記制御部は、前記リトライ運転の実行履歴および/または前記流量検出器の故障履歴を示すデータを前記記憶部に記憶し、
    前記集積回路は、前記記憶部から前記データを読み取り、前記制御部側アンテナ部は前記データを前記外部表示器に送信することを特徴とする請求項7に記載の給水装置。
  9. 第1のポンプおよび第2のポンプと、
    前記第1のポンプを駆動するための第1の電動機、および前記第2のポンプを駆動するための第2の電動機と、
    前記第1のポンプおよび第2のポンプの吐出側圧力を測定する圧力センサと、
    前記第1のポンプから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する第1の流量検出器、および前記第2のポンプから吐出される水の流量が所定の小水量以下である小水量状態を検出する第2の流量検出器と、
    前記第1のポンプおよび前記第2のポンプの運転を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記第1のポンプの停止中に、前記第1の流量検出器が前記小水量状態を検出せず、かつ前記吐出側圧力が所定の始動圧力に到達した場合は、前記第1の流量検出器の異常カウント値に1を加算し、
    前記異常カウント値が設定値に到達していない場合は、前記第1のポンプを所定の時間運転した後で停止させ、かつ前記第1のポンプが停止する前、または前記第1のポンプが停止するのと同時に前記第2のポンプを始動させるリトライ運転を実行し、
    前記異常カウント値の加算および前記リトライ運転が、該異常カウント値が設定値に到達するまで繰り返された場合は、前記第1の流量検出器の故障の警報を出力することを特徴とする給水装置。
  10. 前記異常カウント値が前記設定値に到達する前に、前記第1の流量検出器が前記小水量状態を検出した場合は、前記制御部は、前記異常カウント値を0に戻すことを特徴とする請求項に記載の給水装置。
  11. 前記第1のポンプの温度を測定する温度センサをさらに備え、
    前記制御部は、前記第1のポンプの測定温度が前記第1のポンプを非常停止させる第1のしきい値よりも低い第2のしきい値以上であるときに、前記第1のポンプを停止させる温度停止を実行することを特徴とする請求項または10に記載の給水装置。
  12. 前記リトライ運転が実行されていること、および/または前記第1の流量検出器が故障していることを表示する表示器をさらに備えていることを特徴とする請求項乃至11のいずれか一項に記載の給水装置。
  13. 前記制御部は、外部表示器と有線通信または無線通信で接続することができることを特徴とする請求項乃至12のいずれか一項に記載の給水装置。
  14. 前記制御部は、近距離無線通信(NFC)によって前記外部表示器に接続できることを特徴とする請求項13に記載の給水装置。
  15. 前記制御部は、前記外部表示器からの電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部と、前記電力によって駆動される集積回路および記憶部とを備えることを特徴とする請求項14に記載の給水装置。
  16. 前記制御部は、前記リトライ運転の実行履歴および/または前記第1の流量検出器の故障履歴を示すデータを前記記憶部に記憶し、
    前記集積回路は、前記記憶部から前記データを読み取り、前記制御部側アンテナ部は前記データを前記外部表示器に送信することを特徴とする請求項15に記載の給水装置。
  17. ポンプの停止中に、前記ポンプから吐出される水の流量が所定の小水量値以下である小水量状態を検出する流量検出器が前記小水量状態を検出せず、かつ圧力センサによって測定される前記ポンプの吐出側圧力が所定の始動圧力に到達した場合は、前記流量検出器の異常カウント値に1を加算し、
    前記異常カウント値が設定値に到達していない場合は、前記ポンプを所定の時間運転した後で停止させるリトライ運転を実行し、
    前記異常カウント値の加算および前記リトライ運転が、該異常カウント値が設定値に到達するまで繰り返された場合は、前記流量検出器の故障の警報を出力することを特徴とする給水装置の運転方法。
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