以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物が、複数の建物ユニットが互いに組み合わされてなるユニット式建物となっている。ユニット式建物では、当該建物を構成する各建物ユニットがユニット製造工場にて予め製造され、その後、製造された各建物ユニットが施工現場へトラック等により搬送される。そして、それら搬送された各建物ユニットが施工現場において互いに組み合わせられることでユニット式建物が構築される。そこでまず、ユニット式建物を構成する建物ユニット20について図2を用いながら説明する。
図2に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなり、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなる。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
天井小梁25の下面側には天井面材27が取り付けられている。天井面材27は、例えば2枚重ねされた石膏ボードからなる(図5等も参照)。また、床小梁26の上面側には床面材28が取り付けられている。床面材28は、例えばパーティクルボードからなる。
続いて、ユニット式建物10の構成について図1に基づいて説明する。図1は、ユニット式建物10の概要を示す正面図である。
図1に示すように、建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、その上方に設けられた屋根部13とを備える。基礎11は、建物10の外周部に沿って設けられた外周基礎(布基礎)からなる。建物本体12は、一階部分14と二階部分15と三階部分16とを有する三階建てとされ、複数の建物ユニット20が互いに組み合わせられることで構成されている。この場合、建物本体12の各階部分14〜16がそれぞれ横並びに設けられた複数の建物ユニット20により構成されている。
建物本体12には、一階部分14、二階部分15及び三階部分16に跨がって吹き抜け空間18が形成されている。吹き抜け空間18は、上下に隣接して設けられる各階部分14〜16の建物ユニット20の内部空間を用いて形成されている。以下においては、これら吹き抜け空間18を形成する各建物ユニット20のうち、一階部分14の建物ユニット20の符号にAを付し、二階部分15の建物ユニット20の符号にBを付し、三階部分16の建物ユニット20の符号にCを付す。
各建物ユニット20A〜20Cのうち、一階部分14及び二階部分15の各建物ユニット20A,20Bには階段19が設置されている。これらの階段19は折り返し階段からなり、吹き抜け空間18に設置されている。建物ユニット20A内の階段19により一階部分14と二階部分15との行き来が可能とされ、建物ユニット20Bの階段19により二階部分15と三階部分16との行き来が可能とされている。
なお、吹き抜け空間18に階段19が設置されている点からすると、吹き抜け空間18を階段室ということもできる。また、以下においては、階段19が設置された各建物ユニット20A,20Bを階段用ユニット20A,20Bともいう。
次に、各階段用ユニット20A,20Bの構成について図3及び図4に基づいて説明する。図3は、吹き抜け空間18を形成する各建物ユニット20A〜20Cの構成を示す斜視図である。なお、図3では各建物ユニット20A〜20Cを互いに離間させた状態で示している。また、図4は、(a)が階段用ユニット20Aの床部の構成を示す平面図であり、(b)が階段用ユニット20Aの天井部の構成を示す平面図であり、(c)が階段用ユニット20Bの床部の構成を示す平面図である。なお、図4(a)では便宜上、階段19を一点鎖線で示している。また、図4(a)〜(c)では天井面材27及び床面材28の図示を省略している。
まず、一階部分14の階段用ユニット20Aの構成について説明する。なお、以下では、通常の建物ユニット20との相違点を中心に説明を行う。
図3及び図4(a)に示すように、階段用ユニット20Aの床部には、短辺側の床大梁23とその床大梁23に隣り合う床小梁26との間にさらに床小梁31が架け渡されている。床小梁31は、床小梁26と同じ断面構造(詳しくは同じ断面形状でかつ同じ断面サイズ)を有する角形鋼からなる。床小梁31は、平面視において、階段19(詳しくは後述する上側階段部77)の側面部に沿って配置されている。なお、床小梁26が第1床小梁に相当し、床小梁31が第2床小梁に相当する。
図3及び図4(b)に示すように、階段用ユニット20Aの天井部には、吹き抜け空間18を形成するための天井開口部33が形成されている。階段用ユニット20Aの天井部では、この天井開口部33以外の領域に天井小梁25が設けられている。各天井小梁25のうち、天井開口部33に隣接する天井小梁25(以下、天井小梁25aという)は短辺側の天井大梁22と天井開口部33を挟んで隣り合っている(対向している)。この天井小梁25aは、他の天井小梁25よりも断面が大きくされており、それにより他の天井小梁25よりも高強度に形成されている。詳しくは、天井小梁25aは、天井大梁22よりも幅の小さい溝形鋼からなる。
短辺側の天井大梁22と天井小梁25aとの間には、さらに天井小梁36が架け渡されている。天井小梁36は、天井小梁25aと同じ断面構造を有する溝形鋼からなる。したがって、天井小梁36も、天井小梁25aと同様、他の天井小梁25よりも高強度に形成されている。また、天井小梁36は、床小梁31と上下に対向する位置に配置され、床小梁31と同方向に延びている。なお、天井小梁25が第1天井小梁に相当し、天井小梁36が第2天井小梁に相当する。
階段用ユニット20Aの天井部では、上記天井開口部33が2つの天井大梁22と天井小梁25aと天井小梁36とにより囲まれて形成されている。この場合、天井開口部33を囲むそれら各天井梁22,25a,36(いずれも溝形鋼)のうち、各天井大梁22と天井小梁25aとがその溝部を天井開口部33側(換言すると吹き抜け空間18側)に向けて配置されているのに対し、天井小梁36はそのウェブを天井開口部33側に向けて配置されている。
階段用ユニット20Aには、柱21と異なる位置に2つの中柱41,42が設けられている。これら中柱41,42はいずれも角形鋼からなり、同じ構成を有している。各中柱41,42のうち、中柱41は、階段用ユニット20Aにおいて上下に対向する短辺側の天井大梁22及び床大梁23の間に配設され、それら両大梁22,23を互いに連結している。また、中柱42は、階段用ユニット20Aにおいて上下に対向する天井小梁36及び床小梁31の間に配設され、それら両小梁31,36を互いに連結している。なお、図4(a)〜(c)では、各中柱41,42を四角の記号で示している。また、中柱41が第1支柱に相当し、中柱42が第2支柱に相当する。
続いて、これら中柱41,42及びその周辺の構成について図5及び図6を用いながら説明する。図5は、(a)が中柱41周辺の構成を示す縦断面図であり、(b)が正面図である。図6は、中柱42周辺の構成を示す正面図である。
図5(a)及び(b)に示すように、中柱41は、その上端部がブラケット44を介して天井大梁22に固定され、その下端部がブラケット45を介して床大梁23に固定されている。ブラケット44はL字型の鋼板からなり、水平板部44aと鉛直板部44bとを有している。水平板部44aは中柱41の上端部に溶接により固定され、鉛直板部44bは天井大梁22(のウェブ)の外側面にボルト46及びナット47により固定されている。また、ブラケット45は、上記ブラケット44と同様、L字型の鋼板からなり、水平板部45aと鉛直板部45bとを有している。水平板部45aは中柱41の下端部に溶接により固定され、鉛直板部45bは床大梁23の(ウェブの)外側面にボルト48及びナット49により固定されている。
天井大梁22には、その下面に野縁51が取り付けられ、その野縁51の下面には天井面材27が取り付けられている。また、床大梁23には、その上面に根太52が取り付けられ、その根太52の上には床面材28が取り付けられている。野縁51及び天井面材27には、上側のブラケット44及び中柱41との干渉を回避すべく切り欠き54が設けられ、根太52及び床面材28には下側のブラケット45及び中柱41との干渉を回避すべく切り欠き55が設けられている。
また、天井大梁22及び床大梁23には、外壁パネル57が取り付けられている。図5(a)では、その外壁パネル57を二点鎖線で示している。外壁パネル57は、外壁面を形成する外壁面材58と、その裏面側に固定された下地フレーム59とを備える。外壁面材58は窯業系サイディングよりなり、下地フレーム59は複数の鋼材が矩形枠状に組み合わされてなる。下地フレーム59は、フレーム上端部及び下端部に壁幅方向に延びる横フレーム材59aを有しており、それら各横フレーム材59aがそれぞれ天井大梁22及び床大梁23の各外側面にボルト61により固定されている。これにより、下地フレーム59ひいては外壁パネル57が天井大梁22及び床大梁23に固定されている。
外壁パネル57には、その一部に窓部62が形成されている(図3の二点鎖線参照)。窓部62は、階段用ユニット20A内(吹き抜け空間18)と屋外とを連通する開口部であり、中柱41を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。これらの窓部62は、階段19の折り返し部19aよりも高い位置に配置されている。なお、図示は省略するが、各窓部62にはガラス窓が配設されている。
続いて、中柱42に関する構成について説明する。図6に示すように、中柱42は、その上端部がブラケット64を介して天井小梁36に固定され、その下端部が台座65を介して床小梁31に固定されている。ブラケット64はL字型の鋼板からなり、水平板部64aと鉛直板部64bとを有している。水平板部64aは中柱42の上端部に溶接により固定され、鉛直板部64bは天井小梁36の(ウェブの)側面にタッピングネジ66により固定されている。この場合、鉛直板部64b(ブラケット64)は、吹き抜け空間18側(天井開口部33側)から天井小梁36に固定されている。
台座65は、断面コ字状の鋼板からなり、その溝部を下方に向けた状態で床小梁31上に溶接により固定されている。この場合、台座65は、その水平板部65aが床小梁31から上方に離間して配置され、その水平板部65a上に中柱42の下端部が固定されている。詳しくは、中柱42の下端部には、平板状の柱脚プレート67が溶接固定され、その柱脚プレート67が水平板部65a上に載置された状態でボルト68及びナット69により水平板部65aに固定されている。
なお、中柱41側と同様、天井小梁36の下面側には野縁51を介して天井面材27が取り付けられ、その天井面材27及び野縁51には中柱42及びブラケット64との干渉を回避すべく切り欠き71が設けられている。また、床小梁31の上面側には根太52を介して床面材28が取り付けられ、その床面材28及び根太52には中柱42及び台座65との干渉を回避すべく切り欠き72が設けられている。この切り欠き72は、柱脚プレート67を上方からボルト固定する関係で他の切り欠きよりも大きくされている。そのため、この切り欠き72をロックウール等で埋めるようにしてもよい。
続いて、二階部分15の階段用ユニット20Bの構成について説明する。
階段用ユニット20Bは、一階部分14の階段用ユニット20Aと床部の構成が相違している一方、天井部の構成が同じとなっている。そこで、以下では、階段用ユニット20Bの床部の構成についてのみ説明を行い、天井部の構成については階段用ユニット20Aと同じ符号を付してその説明を省略する。
図3及び図4(c)に示すように、階段用ユニット20Bの床部には、床開口部34以外の領域に床小梁26が設けられている。各床小梁26のうち、床開口部34に隣接する床小梁26は短辺側の床大梁23と床開口部34を挟んで隣り合っている(対向している)。これら隣り合う床小梁26及び床大梁23の間には、さらに床小梁74が架け渡されている。床小梁74は、床小梁26と同じ断面構造を有する角形鋼からなる。床小梁74は、階段用ユニット20Bの天井部に設けられた天井小梁36と上下に対向する位置に配置され、天井小梁36と同方向に延びている。なお、床小梁26が第1床小梁に相当し、床小梁74が第2床小梁に相当する。
階段用ユニット20Bには、階段用ユニット20Aと同様、2つの中柱41,42が設けられている。これらの中柱41,42は、階段用ユニット20Aの中柱41,42と同じ構成からなる。以下においては、各階段用ユニット20A,20Bの中柱41,42を区別するために、場合によって、階段用ユニット20Aの中柱41,42の符号にAを付し、階段用ユニット20Bの中柱41,42の符号にBを付す。
階段用ユニット20Bでは、中柱41Bが、上下に対向する天井大梁22及び床大梁23の間に配設され、それら両大梁22,23を互いに連結している。また、中柱42Bが、上下に対向する天井小梁36及び床小梁74の間に配設され、それら両小梁36,74を互いに連結している。この場合、中柱41Bは階段用ユニット20Aの中柱41Aの真上に配置され、中柱42Bは階段用ユニット20Aの中柱42Aの真上に配置されている。そのため、各中柱41A,41Bは上下に直列に並んでおり、各中柱42A,42Bは上下に直列に並んでいる。
中柱41Bの天井大梁22及び床大梁23に対する固定構成は中柱41Aの当該構成と同じである。また、中柱42Bの天井小梁36及び床小梁74に対する固定構成は中柱42Aの天井小梁36及び床小梁31に対する固定構成と同じである。このため、それらの説明については割愛することとする。
以上が、各階段用ユニット20A,20Bの構成についての説明である。なお、三階部分16の建物ユニット20Cには、二階部分15の建物ユニット20Bと同様、その床部に吹き抜け空間18を形成するための床開口部34が形成されている。
次に、各階段用ユニット20A,20Bに設けられた階段19について説明する。図7は、階段19の構成を示す斜視図である。図8は、階段19の構成を示す平面図である。
階段19は、上述したように、平面視U字状の折り返し階段からなる。階段19は、図7及び図8に示すように、その途中に折り返し部19aを有しており、その折り返し部19aを挟んだ両側が直進部19b,19cとなっている。本実施形態では、階段19が、直進部19b,19cに加え折り返し部19aにおいても段差状とされており、したがって階段19がいわゆる回り階段となっている。
階段19は、折り返し部19aにて階段昇降方向に分割された上側階段部77及び下側階段部78を備える。上側階段部77は、上側の直進部19bと折り返し部19aの(階段昇降方向における)上側半分とを構成しており、下側階段部78は、下側の直進部19cと折り返し部19aの下側半分とを構成している。上側階段部77と下側階段部78とはいずれも平面視にて長方形状をなしており、互いに横並びで隣接配置されている。これら各階段部77,78は互いに非連結でかつ非接触の状態で配置されている。なお、本実施形態では、これら両階段部77,78が全体として平面視略正方形状をなしている。
上側階段部77は、複数の踏み板81と、それら踏み板81に跨がって延び各踏み板81を支持する一対の桁部82とを備える。各踏み板81はいずれも鋼板からなり、各桁部82は長尺状の鋼材からなる。各桁部82は、平面視にて(直進部19bの)階段昇降方向に平行に延びている。具体的には、桁部82は、直進部19bを構成する傾斜部82aと、折り返し部19aを構成する水平部82bとを有し、これら各部82a,82bが支柱82cを介して連結されている。
各桁部82の傾斜部82aには、踏み板81が架け渡されている。踏み板81の両端部には金属製の固定板83が固定され、それら固定板83を介して踏み板81が各傾斜部82aに固定されている。また、各桁部82の水平部82bには、その先端部に鋼材からなる連結梁84が架け渡されている。これら水平部82b及び連結梁84の上には、踏み板81が架け渡されている。この踏み板81は、傾斜部82aの踏み板81と異なり、台形形状をなしており、図7では便宜上、この踏み板81の図示を省略している(後述する下側階段部78においても同様)。また、各桁部82と連結梁84とにより踏み板支持部91が構成されている。
下側階段部78は、上側階段部77と同様、複数の踏み板86と、それら各踏み板86に跨がって延び各踏み板86を支持する一対の桁部87とを備える。各踏み板86はいずれも鋼板からなり、各桁部87は長尺状の鋼材からなる。各桁部87は、平面視にて階段昇降方向に平行に延びている。具体的には、桁部87は、(下側の)直進部19cを構成する傾斜部87aと、折り返し部19aを構成する水平部87bとを有し、これら各部87a,87bが支柱87cを介して連結されている。
各桁部87の傾斜部87aには、踏み板86が架け渡されている。踏み板86の両端部には金属製の固定板88が固定され、それら固定板88を介して踏み板86が各傾斜部87aに固定されている。また、各桁部87の水平部87bには、その先端部に鋼材からなる連結梁89が架け渡されている。これら水平部87b及び連結梁89の上には、踏み板86が架け渡されている。この踏み板86は、傾斜部87aの踏み板86と異なり、台形形状をなしている。なお、各桁部87と連結梁89とにより踏み板支持部92が構成されている。
上記のように、上側階段部77及び下側階段部78は各構成部材81,91(86,92)がいずれも鋼材により形成されている。そのため、本階段19はいわゆる鋼製階段とされている。したがって、火災発生時に階段19が燃えてしまうのを防止することができ、その結果、火災発生時に階段19を通じて避難できなくなる事態が生じるのを防止することができる。
なお、階段19の意匠性向上を図るために、各階段部77,78において各踏み板81,86の上面に木質系材料からなる段板を設けるようにしてもよい。また、各段板間に同じく木質系材料からなる蹴込み板を設けるようにしてもよい。
次に、階段用ユニット20A,20Bにおける階段19の設置構成について図3を用いながら説明する。なお、各階段用ユニット20A,20Bにおける階段19の設置構成はいずれも同じ構成とされているため、以下ではそれらの設置構成をまとめて説明する。
図3に示すように、階段19を構成する上側階段部77及び下側階段部78は、階段用ユニット20A,20B内において同ユニット20A,20Bの短手方向(ユニット短手方向)に並んで配置されている。この場合、各階段部77,78は、平面視にて、その(詳しくは直進部19b,19cの)階段昇降方向を階段用ユニット20A,20Bの長手方向(ユニット長手方向)に向けて配置されている。詳しくは、各階段部77,78(階段19)は、その折り返し部19aを階段用ユニット20A,20Bの短辺側の側面部(中柱41を有する側面部)に向けて配置されている。また、各階段部77,78のうち、上側階段部77が中柱42に隣接して配置されている。
かかる階段部77,78(階段19)の配置状態において、各中柱41,42は階段19の互いに異なる側面側にそれぞれ位置している。詳しくは、階段19は、その(平面視における)側面部として、各階段部77,78に跨がる折り返し部19a側の側面部19dと、その側面部19dと直交する上側階段部77による側面部19eとを有する(図4(a)や図8参照)。そして、中柱41が階段19の側面部19dに隣接して配置され、中柱42が階段19の側面部19eに隣接して配置されている。また、中柱41は、各階段部77,78の境界部付近に配置され、中柱42は上側階段部77の水平部82bに隣接して配置されている。
上側階段部77は、天井小梁25aと各中柱41,42とに跨がるようにして設けられている。上側階段部77の踏み板支持部91(詳しくは桁部82)は、その上端側が天井小梁25aに固定され、その下端側(水平部82b)が各中柱41,42に固定されている。下側階段部78は、中柱41と床面材28とに跨がるようにして設けられている。下側階段部78の踏み板支持部92(詳しくは桁部87)は、その上端側が中柱41に固定され、その下端側が床面材28上に固定されている。なお、下端側については必ずしも床面材28上に固定する必要はなく、床小梁26上に固定するようにしてもよい。
続いて、各中柱41,42に対する階段部77,78の固定構成について図9及び図10を用いながら説明する。図9は、(a)が中柱41に対する各階段部77,78の固定構成を示す平面図であり、(b)が側面図である。図10は、(a)が中柱42に対する上側階段部77の固定構成を示す平面図であり、(b)が側面図である。
まず、中柱41に対する各階段部77,78の固定構成について図9に基づき説明する。図9(a)及び(b)に示すように、中柱41には、上側階段部77の踏み板支持部91がブラケット93〜95を介して固定されている。各ブラケット93〜95のうち、ブラケット93は中柱41に固定され、ブラケット94は踏み板支持部91の桁部82(詳しくは水平部82b)に固定され、ブラケット95は上記各ブラケット93,94にそれぞれ固定されている。また、これらブラケット93〜95はいずれも鋼板により形成されている。
ブラケット93は、中柱41に溶接固定された固定部93aと、その固定部93aに対して階段19側に突出して延びる突出部93bとを有する。また、ブラケット94は、桁部82に溶接固定された固定部94aと、その固定部94aに対して桁部82から離間する側に突出して延びる突出部94bとを有する。各ブラケット93,94の突出部93b,94bは、平面視にて互いに直角をなすように配置されている。
ブラケット95は、平面視L字状をなし、各ブラケット93,94の突出部93b,94bにそれぞれ固定される一対の固定部95a,95bを有する。各固定部95a,95bのうち、固定部95aはブラケット93の突出部93bにボルト96及びナット97により固定され、固定部95bはブラケット94の突出部94bにボルト98及びナット99により固定されている。なお、突出部94b及び固定部95bは各階段部77,78の並ぶ階段並び方向(以下、X方向という)に延びており、突出部93b及び固定部95aは階段並び方向と直交する方向(以下、Y方向という)に延びている。
上記の構成では、ブラケット95をブラケット93に対しY方向に若干の位置調整をすることが可能である。また、ブラケット94をブラケット95に対しX方向に若干の位置調整をすることが可能である。そのため、ブラケット94が固定される上側階段部77を、ブラケット93が固定される中柱41に対しX方向及びY方向のそれぞれに位置調整することが可能である。この場合、上側階段部77を設置するに際し、上側階段部77の設置位置をX方向及びY方向にそれぞれ調整することができるため、上側階段部77と下側階段部78とを適正な位置関係で設置することが可能となる。
中柱41には、上側階段部77の踏み板支持部91に加え、下側階段部78の踏み板支持部92がブラケット93〜95を介して固定されている。下側階段部78の踏み板支持部92は、上側階段部77の踏み板支持部91よりも低い位置で中柱41に固定されている。中柱41に対する踏み板支持部92の固定構成は、中柱41に対する踏み板支持部91の固定構成と基本的に同じ構成となっている。詳しくは、中柱41に対する踏み板支持部92の固定構成は、平面視において、中柱41に対する踏み板支持部91の固定構成とX方向に対象となる構成となっている。そのため、中柱41に対する踏み板支持部92の固定構成については、中柱41に対する踏み板支持部91の固定構成と同じ符号を付して、その説明を割愛することとする。
続いて、中柱42に対する上側階段部77の固定構成について図10に基づき説明する。
図10(a)及び(b)に示すように、中柱42には、上側階段部77の踏み板支持部91がブラケット105を介して固定されている。ブラケット105は、コ字状の鋼板からなり、対向する一対の板部105a,105bを有する。それら板部105a,105bのうち一方の板部105aは中柱42に溶接により固定され、他方の板部105bは踏み板支持部91の桁部82(詳しくは水平部82b)にボルト106及びナット107により固定されている。
次に、中柱41が固定された床大梁23とその下方部材との間に配設されるスペーサについて図11を用いながら説明する。図11は、各階段用ユニット20A,20Bの中柱41周辺の構成を示す正面図である。
図11に示すように、一階部分14の階段用ユニット20Aにおいて、中柱41Aが固定された床大梁23の下方には、下方部材としての基礎11が設けられている。基礎11は、床大梁23に沿って延びており、その基礎11の上面と床大梁23の下面との間にはスペーサ108が配設されている。スペーサ108は、樹脂材料又は金属材料により平板状に形成され、その厚みが基礎11と床大梁23との間の隙間と略同じ大きさとされている。スペーサ108は、上記隙間において中柱41Aの下方(真下)に配置されている。
二階部分15の階段用ユニット20Bにおいて、中柱41Bが固定された床大梁23の下方には、階段用ユニット20Aの天井大梁22が下方部材として設けられている。天井大梁22は、上記床大梁23に沿って延びており、その天井大梁22の上面と床大梁23の下面との間にはスペーサ109が配設されている。スペーサ109は、スペーサ108と同様、樹脂材料又は金属材料により平板状に形成され、その厚みが各大梁22,23間の隙間と略同じ大きさとされている。スペーサ109は、中柱41Bの下方(真下)に配置されているとともに、中柱41Aの上方(真上)に配置されている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
上下に対向する天井大梁22及び床大梁23に中柱41を連結し、上下に対向する天井小梁36及び床小梁31(74)に中柱42を連結した。そして、それら各中柱41,42に階段19を構成する踏み板支持部91,92を固定した。この場合、階段19からの荷重(階段19の自重や階段19上の人の荷重)が各中柱41,42を介して異なる床梁23,31(74)に分散して伝達されるため、特定の床梁に階段19からの荷重が大きく作用するのを抑制することができる。そのため、床梁23,31(74)の下方へのたわみを抑制することができる。また、各中柱41,42が互いに異なる天井梁及び床梁に連結されているため、各中柱41,42が同じ天井梁及び床梁に連結されている場合と比べ、天井梁22及び床梁23の間に窓部62を配置する際、その配置に関する制約を緩和することができる。
各中柱41,42のうち、中柱42を上下に対向する天井小梁36及び床小梁31(74)に連結した。天井小梁36及び床小梁31(74)は大梁とは異なり、その配置に関する自由度が高い。そのため、小梁に中柱42を連結することで中柱42の位置を階段19の設置態様(階段の大きさや種類、向き等)に応じて適宜設定することが可能となる。これにより、階段19の各種設置態様に好適に対応することが可能となる。
具体的には、天井小梁36を隣り合う天井小梁25a及び短辺側の天井大梁22の間に架け渡し、床小梁31(74)を隣り合う床小梁26及び短辺側の床大梁23の間に架け渡した。そして、それら天井小梁36及び床小梁31(74)に中柱42を連結した。この場合、天井小梁36及び床小梁31(74)の位置をユニット短辺方向に調整することができるため、中柱42の同方向の位置を階段19の設置態様に応じて適宜設定することが可能となる。そのため、階段19の各種設置態様により好適に対応することが可能となる。
階段19を上側階段部77と下側階段部78とに分割して構成し、そのうち上側階段部77の踏み板支持部91については、その上端側を天井小梁25aに固定し、その下端側を各中柱41,42に固定した。この場合、上側階段部77を床部から上方に離間させた状態(床部から浮かせた状態)で設置することができる。また、各中柱41,42は互いに異なる天井梁及び床梁に連結されているため、各中柱41,42は上側階段部77における異なる側面側にそれぞれ配置される。そのため、上側階段部77を異なる側面側で各中柱41,42により支持することができ、その結果、上側階段部77を床部から浮かせた状態であっても安定した状態で設置することができる。
各中柱41,42のうち、中柱41を各階段部77,78の境界部付近に配置し、その中柱41に上側階段部77の踏み板支持部91とともに下側階段部78の踏み板支持部92を固定した。この場合、中柱41には、各階段部77,78からの荷重がそれぞれ作用することとなる。その点について詳しくは、上側階段部77は、各中柱41,42に固定されているため、上側階段部77の荷重は各中柱41,42に分散して作用することになる。そのため、中柱41に上側階段部77の荷重が大きく作用することが抑制されている。また、下側階段部78は、その下端側が床面材28上に固定されているため、その荷重は概ね床部上に作用することとなる。そのため、中柱41に下側階段部78の荷重が大きく作用することが抑制されている。よって、各階段部77,78が中柱41に共通に固定される構成にあっても、中柱41を介して床大梁23に大きな荷重が加わるのを抑制することができる。その結果、床大梁23にたわみが生じるのを抑制することができる。したがって、かかる構成は、折り返し階段を構成する各階段部77,78を2つの中柱41,42を用いて支持させる上で好適な構成といえる。
中柱41には、上述したように各階段部77,78からそれぞれ荷重が作用する一方、中柱42には上側階段部77からのみ荷重が作用する。そのため、中柱41には、中柱42よりも大きな荷重が作用すると考えられる。その点、中柱41を天井大梁22及び床大梁23に、すなわち小梁よりも高強度である各大梁22,23に連結したため、この場合、床梁(床大梁23)のたわみをより一層抑制することができる。また、中柱42については天井小梁36及び床小梁31(74)に連結したため、階段19の各種設置態様に好適に対応することが可能となる。
階段19を鋼製階段としたため、階段19の重量が大きくなると考えられるが、階段19からの荷重は各中柱41,42を介して異なる床梁23,31(74)に分散して伝達されるため、鋼製階段であっても床梁23,31(74)のたわみを好適に抑制することができる。
中柱41Aが連結された床大梁23とその下方に設けられた基礎11との間にスペーサ108を配設し、そのスペーサ108を中柱41Aの下方に配置した。この場合、床大梁23のたわみをより一層抑制することができる。
また、中柱41Bが連結された床大梁23とその下方に設けられた(階段用ユニット20Aの)天井大梁22との間にスペーサ109を配設し、そのスペーサ109を中柱41Bの下方に配置した。この場合、床大梁23のたわみをより一層抑制することができる。また、スペーサ109を中柱41Aの真上に配置したため、床大梁23のたわみをさらに抑制することができる。
外壁パネル57(ひいては外壁)が天井大梁22及び床大梁23に固定される構成では、外壁パネル57に風が当たる等して同パネル57が水平方向の荷重を受けると、その荷重が天井大梁22及び床大梁23に伝わり各大梁22,23が水平方向にたわむおそれがある。その点、上記の実施形態では、それら各大梁22,23に中柱41を連結したため、大梁22,23が水平方向にたわむのを抑制することができる。また、中柱41は階段19を介して床面材28や天井小梁25aに連結されているため、水平方向の荷重に対し抵抗力を付与することができる。そのため、かかる中柱41に連結された各大梁22,23のたわみについてより一層抑制することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)階段用ユニット20A,20Bにおける階段19の設置向きは必ずしも上記実施形態の向きに限定されず、他の向きとしてもよい。その場合の例を図12(a)〜(c)に示す。なお、図12(a)〜(c)では、階段用ユニット20Bに階段19を設置した場合を示しており、また階段19を一点鎖線で示している。
図12(a)では、階段19が、各階段部77,78がユニット長手方向に並ぶようにして(換言すると、平面視における直進部19b,19cの階段昇降方向がユニット短手方向となるように)配置され、その折り返し部19aが階段用ユニット20Bの長辺側の側面部に隣接している。そして、当該側面部において上下に対向する天井大梁22及び床大梁23に中柱41が連結され、上下に対向する天井小梁25(第1天井小梁に相当)及び床小梁26(第1床小梁に相当)に中柱42が連結されている。中柱41は各階段部77,78の境界部付近に配置され、その中柱41に各階段部77,78が固定されている。また、中柱42に上側階段部77が固定されている。また、上側階段部77は、その上端側が天井小梁36に固定されている。かかる構成においても、各階段部77,78を2つの中柱41,42を用いて好適に支持することが可能となる。
図12(b)では、各階段部77,78が、図12(a)の場合と左右逆になって配置され、それに伴い、中柱42が短辺側の天井大梁22及び床大梁23に連結されている。そのため、この場合には、各中柱41,42がそれぞれ天井大梁22及び床大梁23に連結されている。この場合も、図12(a)の場合と同様、中柱41に各階段部77,78が固定され、中柱42に上側階段部77が固定されている。そのため、各階段部77,78を2つ中柱41,42を用いて好適に支持することができる。
図12(c)では、階段19が、各階段部77,78がユニット短手方向に並ぶようにして配置され、その折り返し部19aが平面視にて上下に対向する天井小梁25(第1天井小梁に相当)及び床小梁26(第1床小梁に相当)に隣接している。そして、それら各小梁25,26に中柱41が連結されている。また、図12(c)では、階段19のユニット短手方向の位置が図12(a)及び(b)と相違している。そして、それに伴い、上下に対向する天井小梁36及び床小梁74の位置が図12(a)及び(b)と相違している。具体的には、図12(c)では、上下に対向する天井小梁36(第2天井小梁に相当)及び床小梁74(第2床小梁に相当)が平面視にて階段19(上側階段部77)の側面側に位置するよう配置されている。この場合も、中柱41に各階段部77,78が固定され、中柱42に上側階段部77が固定されている。また、上側階段部77は、その上端側が短辺側の天井大梁22に固定されている。そのため、この場合も、各階段部77,78を2つ中柱41,42を用いて好適に支持することができる。
(2)上記実施形態では、踏み板81,86と踏み板支持部91,92とを鋼材により形成し階段19を鋼製階段としたが、階段19は必ずしも鋼製階段とする必要はない。例えば、踏み板81,86を木製材料により形成したり、さらに踏み板支持部91,92を木製材料により形成したりしてもよい。
(3)階段用ユニット20Aにおいて中柱42Aが連結された床小梁31の下方に基礎(例えば独立基礎)を設け、その基礎と床小梁31との間にスペーサを設けるようにしてもよい。その場合にも、スペーサを中柱42Aの下方に配置することで、床小梁31のたわみをより一層抑制することができる。また、中柱42Bが連結された床小梁74とその下方に設けられた階段用ユニット20Aの天井小梁36との間にスペーサを設けてもよい。その場合にも、スペーサを中柱42Bの下方に配置することで、床小梁74のたわみをより一層抑制することができる。
(4)上記実施形態では、階段19を階段昇降方向に分割された複数の階段部77,78により構成したが、階段19を一の階段構成体により構成してもよい。この場合、階段構成体(つまり階段)を、複数の踏み板と、それら踏み板を支持する踏み板支持部とを有する構成とする。そして、踏み板支持部を、その上端側で天井小梁25aに固定し、下端側で床面材28上に固定し、中間部(折り返し部)で各中柱41,42に固定することが考えられる。
また、上記の構成とした場合、中柱41を、階段19を挟んで中柱42とは反対側に配置し、上下に対向する長辺側の天井大梁22及び床大梁23に連結するようにしてもよい。その場合、踏み板支持部を各中柱41,42に固定することで、階段19を互いに対向する両側面側で各中柱41,42により支持することができる。
(5)上記実施形態では、階段19を平面視U字状の回り階段としたが、平面視J字状の回り階段としてもよい。また、階段19を回り階段に代え、折り返し部19aに踊り場を有する屈折階段としてもよい。さらに、階段19を直進階段とする等、折り返し階段以外の階段としてもよい。これらの場合にも、階段を、複数の踏み板とそれら踏み板を支持する踏み板支持部とを有して構成し、踏み板支持部を各中柱41,42に固定するようにすればよい。なお、階段19を直進階段とした場合には、階段幅方向における階段19を挟んだ両側に各中柱41,42を配置し、それら各中柱41,42により階段19を上記両側から支持することが考えられる。
(6)上記実施形態では、一階部分14及び二階部分15の各階段用ユニット20A,20Bを上下に隣接させて配置したが、これら各階段用ユニット20A,20Bを上下に隣接させないで配置してもよい。つまり、各階段用ユニット20A,20Bを平面視にて互いに異なる位置に配置してもよい。
また、上記実施形態では、階段19が設置された一階部分14及び二階部分15の各階段用ユニット20A,20Bに本発明を適用したが、各階段用ユニット20A,20Bのうちいずれか一方にのみ本発明を適用してもよい。
(7)上記実施形態では、3階建てのユニット式建物に本発明を適用したが、2階建てや4階建て以上のユニット式建物に本発明を適用してもよい。