以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。なお、各図面は、発明の内容の理解を高めるためのものであり、誇張された表示が含まれる他、各図面間において、縮尺等は厳密に一致していない点が予め指摘される。
図1は、空調ユニット1が配置された建物2を概念的に示した断面図である。図2は、空調ユニット1の配置状態の一例を示す斜視図である。本実施形態の空調ユニット1は、建物2の内部に設けられた複数の空間3を空調するためのものである。本実施形態の空調ユニットの配置構造(以下、単に「配置構造」ということがある。)において、空調ユニット1が配置される建物2は、例えば、住宅やビル等である場合が例示される。空調ユニット1による空調効果を高めるために、建物2は、優れた断熱性能、遮光(遮熱)性能、及び、気密性能を有しているのが望ましい。
本実施形態の空間3は、床下空間4と、床上空間5とを含んでいる。本実施形態では、空調ユニット1によって、床上空間5が空調される。
床下空間4は、基礎6と地面7と1階の床8とで囲まれた空間である。基礎6には、外気17を取り入れるための開口部9が設けられている。開口部9から取り入れられた外気17は、地面7を介して、1年を通じて温度変化の少ない地中の熱と熱交換される。これにより、床下空間4は、外気に比べて、夏期は比較的涼しく、冬期は比較的暖かい空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)10を蓄えることができる。
床上空間5は、床下空間4の上方に設けられた空間である。本実施形態の床上空間5は、複数の居室11と、洗面室やトイレ等の非居室(図示省略)とに区分されている。居室11は、1階の居室13と、2階の居室14とを含んでいる。床上空間5には、例えば、床上空間5の空気(以下、単に「床上空気」ということがある。)15の少なくとも一部を、屋外に強制的に排出する排気用ファン(図示省略)が設けられてもよい。
空調ユニット1は、床8の上に設置可能に構成されたユニット本体21を具えている。さらに、本実施形態の空調ユニット1は、ユニット本体21の内部に収容された空気調和機22の室内機23を含んで構成されている。
図3は、空調ユニット1の内部の一例を示す斜視図である。図4は、空調ユニット1の側面から見た断面図である。図4に示されるように、空気調和機22は、例えば、一般的な家庭用のセパレート型エアコンである。空気調和機22は、室内機23と、建物2の外部に設置された室外機(図示省略)とをセットとして含んでいる。室内機23は、吸込口24と吹出口25とを有している。吸込口24は、室内機23の内部の熱交換器(図示省略)に空気を取り込むためのものである。吹出口25は、熱交換器で空調された空気(以下、単に「空調空気」ということがある。)18(図1に示す)を吐出するためのものである。
図1に示されるように、本実施形態のユニット本体21は、2階の床8の上に設置されているが、このような態様に限定されない。ユニット本体21は、例えば、1階の床8の上に設置されても良いし、2階よりも上階の床8の上に設置されても良い。
図2に示されるように、本実施形態のユニット本体21は、その前側を除いた後面21a、及び、左右面(左面21b、右面21c)が、隣接した間仕切り壁31で囲まれている。ここで、本明細書において、「隣接した間仕切り壁31」とは、ユニット本体21の各面21a〜21cからの距離L1が、1〜100mmの範囲内で設置された間仕切り壁31を意味している。本実施形態のユニット本体21の前側には、開閉可能な扉32が設けられている。扉32には、床上空気15を、空間34内に取り入れるための開口部35が設けられている。
このように、本実施形態のユニット本体21は、建物2(図1に示す)において、間仕切り壁31と、扉32と、天井33(図1に示す)で囲まれた空間34の中に配置されている。これにより、ユニット本体21の騒音が、居室11などの空間3に伝わるのを抑えることができる。
図3及び図4に示されるように、ユニット本体21は、その内部に複数のスペース(空間)40を有する箱状に形成されている。スペース40は、第1スペース41、第2スペース42、第3スペース43、第4スペース44、及び、第5スペース45を含んで構成されている。さらに、ユニット本体21は、チャンバー50を含んで構成されている。これらの第1スペース41〜第5スペース45、及び、チャンバー50は、例えば、枠材51、及び、枠材51に支持される面材52等によって区分されている。
本実施形態のユニット本体21には、その下部と床8との間に、防振材54が設けられている。本実施形態の防振材54は、枠材51によって形成されたユニット本体21の各脚部26に、それぞれ設けられている。図5は、ユニット本体21の防振材54の一例を示す側面図である。
防振材54は、第1固着部56、第2固着部57、及び、振動吸収材58を含んで構成されている。第1固着部56には、ネジ軸56aが設けられている。このネジ軸56aは、脚部26の孔部26aに挿入された後に、ナット59等で締結されている。これにより、防振材54は、脚部26に固定される。一方、第2固着部57は、床8の上面に、ボルト60等で固定されている。振動吸収材58は、第1固着部56と第2固着部57との間に配置されている。
このような防振材54は、図3に示した室内機23や、後述の送風手段77の運転中に生じるユニット本体21の振動を、振動吸収材58で吸収することができる。従って、防振材54は、ユニット本体21の振動が、床8に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。
振動吸収材58としては、適宜選択することができる。本実施形態の振動吸収材58は、例えば、シリコーンを主原料とするゲル状のものが採用されている。このような振動吸収材58は、図3に示した室内機23や、送風手段77等の運転中に生じるユニット本体21の低周波数帯の振動(例えば、25Hz〜63Hz)に対して、制振性能を効果的に発揮することができる。
図3及び図4に示されるように、第1スペース41は、第2スペース42の上側に区分されている。本実施形態の第1スペース41は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。第1スペース41には、空気調和機22の室内機23が収容されている。
図2及び図4に示されるように、第1スペース41の前側を区分する前面材61は、開閉可能な扉として形成されるのが望ましい。これにより、ユニット本体21は、室内機23のメンテナンス性を向上しうる。
第1スペース41の上側を区分する上面材62には、給気口63と、外気取込口64とが設けられている。給気口63及び外気取込口64は、室内機23の吸込口24側(本実施形態では、吸込口24の上方)に設けられている。
図2に示されるように、給気口63は、ユニット本体21の上部かつ前側に設けられている。本実施形態の給気口63は、平面視において、横長矩形状に形成されている。図4に示されるように、給気口63は、空間34(図2に示す)と、第1スペース41との間を連通している。これにより、給気口63は、扉32の開口部35(図2に示す)から空間34内に取り入れられた床上空気15(図1に示す)を、室内機23の吸込口24に供給することができる。
給気口63には、吸音材66が配されている。吸音材66は、空気の振動を吸収するためのものであり、グラスウールやロックウール等、公知のものが種々用いられる。本実施形態の吸音材66としては、ポリエステル繊維をボード状に形成したものが用いられている。
図6は、吸音材66の一例を示す断面図である。本実施形態の吸音材66は、第1吸音材67、及び、第2吸音材68を含んで構成されている。
第1吸音材67は、第1スペース41内に配置されている。本実施形態の第1吸音材67は、第1片71及び第2片72を含んで構成されている。
第1片71は、給気口63の後側において、第1スペース41の上面材62から下方にのびている。第2片72は、第1片71の下端からユニット本体21の前側にのびている。本実施形態の第2片72は、室内機23の吸込口24の上方の少なくとも一部、及び、給気口63の下方の少なくとも一部を遮っている。
これらの第1片71及び第2片72により、第1吸音材67は、断面L字状に形成されている。このような第1吸音材67は、室内機23から第1スペース41の給気口63までの経路69を延長することができる。また、第1吸音材67には、第1片71及び第2片72の両側を覆う側片70、70が設けられている。
第2吸音材68は、空間34内に配置されている。本実施形態の第2吸音材68は、第1片73及び第2片74を含んで構成されている。
第1片73は、給気口63の前側において、第1スペース41の上面材62から上方にのびている。本実施形態の第1片73は、ユニット本体21の前後方向において、扉32の開口部35の後側の少なくとも一部を遮っている。第2片74は、第1片73の上端からユニット本体21の後側にのびている。本実施形態の第2片74は、給気口63の上方の少なくとも一部を遮っている。
これらの第1片73及び第2片74により、第2吸音材68は、断面L字状に形成されている。このような第2吸音材68は、第1スペース41の給気口63から扉32の開口部35までの経路69を延長することができる。また、第2吸音材68には、第1片73及び第2片74の両側を覆う側片75、75が設けられている。
これらの第1吸音材67及び第2吸音材68により、本実施形態の吸音材66は、室内機23から扉32の開口部35までの経路69を、S字状に屈曲させて延長させることができる。これにより、吸音材66は、給気口63からユニット本体21の外部(居室11)に漏れやすい室内機23の騒音(空気の振動)を、効果的に吸収することができるため、居室11内の静粛性の向上に役立つ。
本実施形態の第1吸音材67は、室内機23が収容されている第1スペース41内に配置されているため、室内機23の騒音を効果的に吸収することができる。一方、第2吸音材68の第1片73は、給気口63の前側において、第1スペース41の上面材62から上方にのびているため、室内機23の騒音の漏れを効果的に防ぐことができる。
第1吸音材67には、その形状を維持するための第1芯材53が固定されてもよい。本実施形態の第1芯材53は、金属や樹脂等の板材で形成されている。本実施形態の第1吸音材67は、第1芯材53に対して室内機23側に配置されている。これにより、第1吸音材67は、室内機23の騒音を効果的に吸収することができる。
第2吸音材68には、第1吸音材67と同様に、第2芯材55が固定されてもよい。本実施形態の第2吸音材68は、第2芯材55に対して、給気口63側に配置されている。これにより、第2吸音材68は、給気口63から漏れる室内機23の騒音を効果的に吸収することができる。
室内機23の騒音の漏れを効果的に防ぐために、ユニット本体21の前後方向において、第1吸音材67の前端67t(第2片72の前端)は、第2吸音材68の後端68t(第2片74の後端)よりも前側に位置していてもよい。これにより、室内機23の吸込口24から扉32の開口部35までの経路69を、効果的に延長することができるため、室内機23の騒音を、効果的に吸収することができる。
室内機23の騒音の漏れを効果的に防ぐために、ユニット本体21が配置される空間34には、吸音部材76が配置されるのが望ましい。本実施形態の吸音部材76は、図2及び図6に示されるように、間仕切り壁31及び天井33に配置されている。吸音部材76としては、吸音材66と同一のものを採用することができる。これにより、吸音部材76は、空間34内での室内機23の騒音の反射を抑制しつつ、室内機23の騒音を吸収できるため、居室11内の静粛性をさらに向上することができる。
図4に示されるように、外気取込口64は、給気口63の後側に設けられている。外気取込口64には、図1及び図4に示されるように、第1スペース41と、床下空間4とを連通するダクト80が接続されている。ダクト80の床下空間4側の端部には、床下空気10(外気17)を、外気取込口64側に送るための外気供給ファン81(図1に示す)が接続されている。この外気供給ファン81の運転により、外気取込口64は、床下空気10(外気17)を、室内機23の吸込口24に供給することができる。
図3及び図4に示されるように、第1スペース41の下側を区分する下面材83には、第1スペース41と第2スペース42とを連通する開口部84が設けられている。この開口部84は、室内機23の吹出口25の下方に設けられている。これにより、ユニット本体21は、吹出口25から吐出された空調空気18を、開口部84を介して、第2スペース42に供給することができる。
第2スペース42は、第3スペース43の上側に区分されている。本実施形態の第2スペース42は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。この第2スペース42には、フィルター85が収容されている。
フィルター85は、第1スペース41から供給される空調空気18を浄化するためのものである。図3に示されるように、本実施形態のフィルター85は、板状に形成されており、上下方向でジグザグ状に折り曲げられている。このようなフィルター85は、第2スペース42を上下方向に通過する空調空気18に対して、濾過面積を効果的に増やすことができる。フィルター85としては、適宜選択されうる。フィルター85は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター、光触媒フィルター、活性炭脱臭フィルター、又は、電気集塵フィルター等が単独、又は、組み合わせて配置されるのが望ましい。
図2及び図4に示されるように、第2スペース42の前側を区分する前面材87は、開閉可能な扉として形成されるのが望ましい。これにより、ユニット本体21は、フィルター85の設置や交換を容易にできるため、メンテナンス性を向上しうる。
図3及び図4に示されるように、第2スペース42の下側を区分する下面材88には、第2スペース42と第3スペース43とを連通する開口部89が設けられている。この開口部89は、フィルター85の下方に設けられている。これにより、ユニット本体21は、フィルター85で浄化された空調空気18を、開口部89を介して、第3スペース43に供給することができる。
第3スペース43は、チャンバー50の上側、かつ、第4スペース44の前側に区分されている。本実施形態の第3スペース43は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。
図3に示されるように、本実施形態の第3スペース43は、ユニット本体21の幅方向において、2つのスペースに区分されている。第3スペース43は、一方の第3スペース43A、及び、他方の第3スペース43Bを含んで構成されている。これらの第3スペース43A、43Bには、フィルター85で浄化された空調空気18がそれぞれ供給される。
第3スペース43の後側を区分する後面材90には、一方の第3スペース43Aと第4スペース44との間を連通する開口部91(図4に示す)、及び、他方の第3スペース43Bと第4スペース44との間を連通する開口部92(図4に示す)が設けられている。
図3及び図4に示されるように、第4スペース44は、第1スペース41、第2スペース42及び第3スペース43の後側、かつ、チャンバー50の上側に区分されている。本実施形態の第4スペース44は、正面視において、縦長矩形の箱状に形成されている。
第4スペース44の下側を区分する下面材93には、第4スペース44とチャンバー50との間を連通する開口部94が設けられている。さらに、第4スペース44には、浄化された空調空気18を、ユニット本体21の外部(図1に示した床上空間5)に供給するための送風手段77が配されている。
図1及び図3に示されるように、本実施形態の送風手段77は、第1送風手段78、及び、第2送風手段79を含んで構成されている。本実施形態の第1送風手段78、及び、第2送風手段79としては、シロッコファン等が採用されているが、このような態様に限定されない。
第1送風手段78は、一方の第3スペース43Aに供給された空調空気18を、チャンバー50に供給するためのものである。第1送風手段78の吸込口は、一方の第3スペース43Aの開口部91(図4に示す)に接続されている。第1送風手段78の吹出口は、第4スペース44の開口部94(図3及び図4に示す)に接続されている。これにより、第1送風手段78は、一方の第3スペース43Aに供給された空調空気18を、チャンバー50に供給することができる。
第2送風手段79は、他方の第3スペース43Bに供給された空調空気18を、ユニット本体21の外部(例えば、小屋裏96等)に設けられた分岐部97(図1に示す)に供給するためのものである。本実施形態の分岐部97は、複数の空間(本実施形態では、2階の各居室14)3に、空調空気18を分岐させて供給するためのチャンバーである。この分岐部97と各空間3との間には、ダクト98がそれぞれ接続されている。
第2送風手段79の吸込口は、他方の第3スペース43Bの開口部92(図4に示す)に接続されている。第2送風手段79の吹出口は、第4スペース44内に形成された空気流路(角ダクト)82を介して、第2送風手段79と分岐部97との間を連通するダクト99に接続されている。これにより、第2送風手段79は、他方の第3スペース43Bに供給された空調空気18を、分岐部97に供給することができる。
本実施形態の送風手段77は、防振材110(図3に示す)を介して、ユニット本体21に固定されている。防振材110は、例えば、各送風手段77(第1送風手段78、及び、第2送風手段79)の四隅に固定されている。図7は、送風手段77の防振材110の一例を示す断面図である。
本実施形態の防振材110は、上述のユニット本体21の下部に設けられた防振材54と同様に、第1固着部111、第2固着部112、及び、振動吸収材113を含んで構成されている。第1固着部111には、ネジ軸115が設けられている。このネジ軸115は、送風手段77を支持するためのブラケット116の孔部117に挿入された後に、ナット118等で締結される。これにより、防振材110と送風手段77とが固定される。第2固着部112には、ネジ軸119が設けられている。このネジ軸119は、第4スペース44の下面材93に設けられた孔部120に挿入された後に、ナット121等で締結される。これにより、防振材110と下面材93とが固定される。振動吸収材113は、第1固着部111と、第2固着部112との間に配置されている。振動吸収材113としては、防振材54の振動吸収材58(図5に示す)と同様のものが採用されるのが望ましい。
このような防振材110は、送風手段77の運転中に生じる低周波数帯の振動を、振動吸収材113が吸収することができる。従って、防振材110は、送風手段77の振動が、ユニット本体21に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。
図3に示されるように、第5スペース45は、第1スペース41の下側、かつ、第2スペース42及び第3スペース43の側方(ユニット本体21の幅方向の一方側)に区分されている。本実施形態の第5スペース45は、正面視において、縦長矩形の箱状に形成されている。
本実施形態の第5スペース45には、空気調和機22や送風手段77を制御するための制御装置(図示省略)等が収容されている。さらに、第5スペース45の前側を区分する前面材101(図2に示す)には、空気調和機22や送風手段77などの運転及び停止を切り替えるスイッチ102(図2に示す)等が設けられている。このように、空調ユニット1は、第5スペース45に、制御装置等が収容されるため、ユニット本体21の大型化や、構造の複雑化を防ぐことができる。従って、空調ユニット1は、メンテナンス性を向上させることができる。
図3及び図4に示されるように、チャンバー50は、第3スペース43及び第4スペース44の下側に区分されている。本実施形態のチャンバー50は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。チャンバー50は、床8の上面よりも上方の位置に、その底面103を有している。
チャンバー50は、床8の上面よりも上方の位置に、複数の接続口49が設けられている。各接続口49は、底面103側に設けられている。各接続口49は、図1に示した複数の空間3(本実施形態では、1階の各居室13)に空調空気18を供給するためのダクト48がそれぞれ接続可能に形成されている。ダクト48の一端は、接続口49に接続されている。ダクト48の他端は、空間3に接続されている。本実施形態のダクト48の少なくとも一部は、空調ユニット1が設置された床8の下方の空間107(図1に示す)に配置されている。
このような複数の接続口49が設けられたチャンバー50は、第1送風手段78から供給された空調空気18を、複数の空間3に分配して供給することができる。このため、本実施形態の空調ユニット1は、上記特許文献1のように、接続口49毎に送風手段77を設ける必要がなく、チャンバー50に接続された一つの送風手段77(本実施形態では、図3に示した第1送風手段78)で足りる。従って、本実施形態の空調ユニット1は、ユニット本体21の大型化を防ぎつつ、ランニングコストを低減しうる。
本実施形態の空調ユニット1は、床8の上面よりも上方の位置に、接続口49が設けられているため、床上空間5において、空間107(図1に示す)に配置されているダクト48を、接続口49に容易に着脱することができる。従って、本発明の空調ユニット1は、上記特許文献1のような床8に面して設けられた接続口(図示省略)にダクト48を着脱するために、例えば、床8の下方の空間107(図1に示す)内で作業する必要がない。このため、空調ユニット1は、メンテナンス性、及び、施工性を向上することができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、床8の上面からの接続口49までの高さH1は、300〜600mmが望ましい。なお、高さH1が300mm未満であると、上記作用を十分に発揮できないおそれがある。また、高さH1が600mmを超えると、ユニット本体21が必要以上に大きくなるおそれがある。
本実施形態の接続口49には、ダクト48(空間3)への風量を調節するためのダンパー108が設けられている。ダンパー108の開閉は、例えば、制御手段(図示省略)によって制御される。これにより、空調ユニット1は、空間3への空調空気18の供給量を調節することができる。本実施形態のダンパー108は、床8の上面よりも上方に設けられている。これにより、本実施形態の空調ユニット1は、ダンパー108を容易にメンテナンスすることができる。
次に、本実施形態の空調ユニット1の作用について説明する。図1及び図4に示されるように、ユニット本体21の第1スペース41には、扉32の開口部35(図2及び図6に示す)を介して、床上空気15が供給される。さらに、第1スペース41には、外気供給ファン81(図1に示す)の運転により、床下空気10(外気17)が、外気取込口64を介して供給される。これにより、床上空気15及び外気17の混合気が、室内機23の吸込口24に供給され、かつ、空調される。室内機23の吹出口25から吐出された空調空気18は、第1スペース41の下面材83の開口部84を介して、第2スペース42に供給される。
第2スペース42及び第3スペース43A、43Bは、送風手段77(図1及び図3に示した第1送風手段78、及び、第2送風手段79)の運転によって負圧に保たれる。これにより、空調ユニット1は、第2スペース42に供給された空調空気18を、フィルター85、及び、第2スペース42の下面材88の開口部89を介して、第3スペース43A、43B(図3に示す)にそれぞれ供給することができる。これにより、各第3スペース43A、43Bに供給された空調空気18は、フィルター85によって浄化される。
一方の第3スペース43A(図3に示す)に供給された空調空気18は、第1送風手段78を介して、チャンバー50に供給される。チャンバー50に供給された空調空気18は、各接続口49に接続されたダクト48を介して、図1に示されるように、複数の空間3(本実施形態では、1階の各居室13)に供給される。
他方の第3スペース43B(図3に示す)に供給された空調空気18は、第2送風手段79、空気流路(角ダクト)82、及び、ダクト99を介して、分岐部97(図1に示す)に供給される。分岐部97に供給された空調空気18は、図1に示されるように、ダクト98を介して、複数の空間3(本実施形態では、2階の各居室14)に供給される。
このように、本実施形態の空調ユニット1によれば、床上空気15及び外気17の混合気を空調した空調空気18を、フィルター85で浄化して、複数の空間3(本実施形態では、1階の居室13及び2階の居室14)に供給することができる。このため、本実施形態の空調ユニット1が設置された建物2は、床上空気15を循環させながら空調できるため、空気調和機22の負荷を小さくすることができる。
また、空気調和機22の停止時においては、床上空気15及び外気17の混合気を、フィルター85で浄化して、複数の空間3(本実施形態では、1階の居室13及び2階の居室14)に供給することができる。これにより、本実施形態の空調ユニット1が設置された建物2は、床上空間5の空気を循環させることができるため、床上空間5の温度変化を最小限に抑えることができる。さらに、本実施形態の外気17は、床下空間4で地中の熱と熱交換された床下空気10である。従って、本実施形態では、外気17が直接供給される場合に比べて、空間3を快適に換気することができる。
上述したように、本実施形態の配置構造は、図6に示した吸音材66により、給気口63から漏れやすい室内機23の騒音を吸収することができる。また、本実施形態の配置構造は、ユニット本体21の下部の防振材54(図5に示す)により、図3に示した室内機23や送風手段77の運転中に生じるユニット本体21の振動が、床8に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。さらに、ユニット本体21を囲む間仕切り壁31(図2に示す)により、ユニット本体21の騒音が、居室11などの空間3に伝わるのを防ぐことができる。従って、本実施形態の配置構造は、吸音材66、防振材54、及び、間仕切り壁31の相乗効果により、居室11内の静粛性を効果的に向上することができる。
さらに、本実施形態の配置構造は、図7に示した防振材110により、送風手段77の振動が、ユニット本体21に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。これにより、本実施形態の配置構造は、ユニット本体21の振動を小さくできるため、居室11内の静粛性をさらに向上させることができる。
居室11内の静粛性をさらに向上させるために、ユニット本体21を囲む間仕切り壁31(図2に示す)は、遮音壁として構成されてもよい。図8は、間仕切り壁31の一例を示す断面図である。
本実施形態の間仕切り壁(遮音壁)31の内部には、吸音材36と制振材37とが配置されている。これらの吸音材36及び制振材37は、間仕切り壁31の厚さ方向に重ねて配置されており、例えば、石膏ボード等の一対の化粧材38、38で覆われている。本実施形態の吸音材36は、制振材37に対して、空調ユニット1側に配されている。
吸音材36としては、従来と同様に、グラスウールやロックウールなどが適宜選択される。本実施形態の吸音材36としては、ロックウールが採用される。制振材37としては、従来と同様に、アスファルト系制振シートやゴム系制振シートなどが適宜選択される。本実施形態の制振材37には、アスファルト系制振シートが採用されている。このような制振材37は、石膏ボード(化粧材38)の2〜6倍程度(本実施形態では、3倍)の比重を有している。このような比重が大きな制振材37を保持するために、間仕切り壁31には、制振材37を固定するための補強材(例えば、木質の合板)39が、化粧材38の内側に配置されるのが望ましい。
間仕切り壁31は、ユニット本体21から伝達される中高周波数帯の騒音(例えば、500Hz〜8KHz)を、吸音材36で吸収することができる。さらに、間仕切り壁31は、低周波数帯の騒音を受けて発生する振動を、制振材37で吸収することができる。従って、本実施形態の間仕切り壁31は、居室11内の静粛性をさらに向上させるのに役立つ。
間仕切り壁31の振動を効果的に吸収するために、吸音材36と化粧材38との間には、例えば、木質の合板で構成された補強材47が配置されるのが望ましい。このような補強材47は、低周波数帯の騒音を受けて発生した空調ユニット1側の化粧材38の振動を、吸収することができるため、居室11内の静粛性をさらに向上させるのに役立つ。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。