JP6990260B2 - 全館空調システム及び建物の空調方法 - Google Patents

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Description

本発明は、全館空調システム及び建物の空調方法に関する。
下記特許文献1には、建物内の複数の空間を空調するための空調システムが記載されている。この空調システムは、一台の空気調和機で空調された空気を、複数の空間に供給するセントラル空調タイプ(全館空調システム)のものである。空気調和機の室内機は、チャンバー内に配置されており、室内機からチャンバー内に吐出された空気が、複数の空間にそれぞれ供給されている。
特開2016-191483号公報
例えば、暖房運転時において、空気調和機に供給される空気の温度が低い場合、空調に有効な空気が吐出されるまでに時間を要する。また、冷房運転時において、空気調和機に供給される温度が高い場合も同様である。さらに、空気調和機が故障した場合には、空気調和機が復旧するまでの間、全ての空間の空調ができなくなる。
しかしながら、従来のセントラル空調システムは、このような課題について考慮されたものではないため、空間の快適性の向上には、改善の余地があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、居室の快適性を向上させることが可能な全館空調システム及び建物の空調方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、第1熱源で、建物内の複数の居室を空調するための全館空調システムであって、前記第1熱源が、チャンバーと、前記チャンバー内に収容された第1室内空調機と、空調された空気を前記第1室内空調機に供給可能なように前記チャンバーに取付けられた第2室内空調機とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記第2室内空調機が、前記チャンバー内に収容されていてもよい。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記チャンバーは、前記建物内の空気を取り込むための空気導入口を有し、前記第2室内空調機が、前記チャンバーの外部かつ前記空気導入口に隣接して設けられていてもよい。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の運転を制御するための制御装置をさらに備えており、前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機をともに運転させる第1運転モードと、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方のみを運転させる第2運転モードとに切り替えてもよい。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記制御装置は、前記第2運転モードにおいて、予め定められた目標温度に対して、前記居室の温度がネガティブである場合、前記第1運転モードに切り替えてもよい。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記制御装置は、前記第1運転モードにおいて、予め定められた目標温度に対して、前記居室の温度がポジティブである場合、前記第2運転モードに切り替えてもよい。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方による除霜運転が開始された場合に、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の他方による暖房運転を開始させてもよい。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方による冷房除湿運転が開始された場合に、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の他方による暖房運転を開始させてもよい。
本発明に係る前記全館空調システムにおいて、前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方が故障した場合に、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の他方のみを運転させてもよい。
本発明は、第1熱源を含む全館空調システムを用いて、建物内の複数の居室を空調するための方法であって、前記第1熱源は、チャンバーと、前記チャンバー内に収容された第1室内空調機と、空調された空気を前記第1室内空調機に供給可能なように前記チャンバーに取付けられた第2室内空調機とを含み、前記方法は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の少なくとも一方を用いて、前記複数の居室を空調する空調工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記建物の空調方法において、前記空調工程は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機をともに運転させる第1運転工程と、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方のみを運転させる第2運転工程とを含んでもよい。
本発明の全館空調システムは、上記の構成を備えることにより、前記第2室内空調機で空調された空気を、前記第1室内空調機に供給することができるため、前記居室の空調に有効な空気を、前記第1室内空調機から短時間で吐出させることができる。これにより、本発明は、前記居室に設定された温度に、前記居室の温度を早期に達成させることができるため、前記居室の快適性を向上させることができる。
また、本発明は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方が故障した場合に、他方の室内空調機によって、前記居室の空調を継続することができる。したがって、本発明は、居室の快適性が維持されうる。
全館空調システムを利用した建物の一例を示す概念図である。 図1のチャンバーの拡大図である。 制御装置の構成の一例を示す概念図である。 建物の空調方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 空調工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2運転モード及び故障時空調モードの一例を示す概念図である。 本発明の他の実施形態の空調工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明のさらに他の実施形態の空調工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明のさらに他の実施形態のチャンバーの拡大図である。 本発明のさらに他の実施形態のチャンバーの拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。なお、各図面は、発明の内容の理解を高めるためのものであり、誇張された表示が含まれる他、各図面間において、縮尺等は厳密に一致していない点が予め指摘される。
図1は、全館空調システム1を利用した建物2の一例を示す概念図である。建物2としては、住宅である場合が例示されているが、ビル等であってもよい。本実施形態の建物2は、床下空間3と、床上空間4とを含んで構成されている。
床下空間3は、基礎と地面と1階の床5とで囲まれた空間である。基礎には、外気A3を取り入れるための開口部6が設けられている。開口部6から取り入れられた外気A3は、1年を通じて温度変化の少ない地中の熱と、地面を介して熱交換される。これにより、床下空間3は、外気A3に比べて、夏期は比較的涼しく、冬期は比較的暖かい空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)A4を蓄えることができる。
床上空間4は、床下空間3の上方に設けられた空間である。本実施形態の床上空間4は、居室7と、非居室8とを含んで構成されている。本実施形態の居室7は、1階の居室7a及び7bを含んでいる。なお、居室7には、2階以上に設けられた居室(図示省略)が含まれていてもよい。一方、非居室8は、1階の居室7a、7b間に設けられたホール8aや、図示されない洗面室及びトイレ等を含んでいる。
床上空間4には、例えば、床上空間4の空気の少なくとも一部を、屋外に強制的に排出する排気用ファン(図示省略)が設けられてもよい。本明細書において、「ファン」は、空気を圧送するための機械である。また、ファンの吐出圧は、空気を圧送可能な吐出圧を有するものであれば、特に限定されるものではない。
全館空調システム1は、第1熱源9で、建物2内の複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)を空調するためのものである。本実施形態の全館空調システム1は、後述の建物2の空調方法(以下、単に「空調方法」ということがある。)の実施に用いられる。
本実施形態の建物2には、1つの全館空調システム1が設けられているが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、建物2が、少なくとも一つの居室7を含む複数の居室エリア(図示省略)に区分される場合、それらの居室エリア毎に、全館空調システム(図示省略)がそれぞれ設けられてもよい。この場合、全館空調システムごとに、熱源(例えば、第1熱源9、第2熱源(図示省略)など)がそれぞれ設けられる。
本実施形態の全館空調システム1は、第1熱源9を含んでいる。本実施形態の第1熱源9は、チャンバー10と、第1室内空調機11と、第2室内空調機12とを含んで構成されている。
本実施形態のチャンバー10は、床5の上に設置されているが、例えば、床5の下に設置されてもよいし、小屋裏18に設置されてもよい。チャンバー10は、1階の床5の上に設置されているが、例えば、2階以上の上階の床5の上に設置されても良い。本実施形態のチャンバー10は、ホール8aに設けられている。図2は、図1のチャンバー10の拡大図である。
本実施形態のチャンバー10は、その内部に空間(スペース)を有する箱状に形成されている。空間を区画する壁部19には、断熱材(図示省略)が配されていてもよい。本実施形態の壁部19は、第1壁部19a、第2壁部19b、一対の第3壁部19c、19c(図2では、一方の第3壁部19cのみを表示)、及び、第4壁部19dを含んで構成されている。第1壁部19aは、ホール8aに隣接して配されている。第2壁部19bは、第1壁部19aと対向するように配されている。一対の第3壁部19cは、第1壁部19a及び第2壁部19bの両側に配されている。第4壁部19dは、第1壁部19a~第3壁部19cの上部に配されている。
本実施形態のチャンバー10は、建物2内の空気A5を取り込むための空気導入口20を有している。本実施形態の空気導入口20は、チャンバー10の壁部19(本例では、第1壁部19a~第4壁部19d)のうち、第1壁部19aに形成された開口によって構成されている。これにより、空気導入口20は、ホール8aとチャンバー10の内部とを連通させることができる。このような空気導入口20により、建物2内の空気(本例では、居室7及び非居室8の空気)A5は、図1に示した居室7、非居室8(ホール8aを含む)、及び、隙間23を介して、チャンバー10の内部に供給されうる。
本実施形態の第1室内空調機11及び第2室内空調機12は、一般的な家庭用のセパレート型エアコンである場合が例示される。これらの第1室内空調機11及び第2室内空調機12は、建物2の外部に設置される室外機(図示省略)とセットとして構成されている。本実施形態の第1室内空調機11及び第2室内空調機12には、暖房運転及び冷房運転が可能なものが採用されているが、いずれか一方の運転のみが可能なものでもよい。
図2に示されるように、第1室内空調機11及び第2室内空調機12は、吸込口11a、12aと吐出口11b、12bとをそれぞれ有している。吸込口11a、12aから吸引された空気は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の内部に設けられた熱交換器(図示省略)によって熱交換され、熱交換された空気(以下、単に「空調空気」ということがある。)A1、A2が、吐出口11b、12bから吐出される。
本実施形態の第1室内空調機11及び第2室内空調機12には、空調空気A1、A2の風向を調整可能な風向調節手段21がそれぞれ設けられている。本実施形態の風向調節手段21としては、吐出口11b、12bに取り付けられたルーバーである場合が例示されるが、このような態様に限定されない。
第1室内空調機11及び第2室内空調機12からそれぞれ吐出された空調空気A1、A2は、例えば、チャンバー10に設けられたフィルター(図示省略)によって浄化されてもよい。これにより、全館空調システム1は、浄化された空調空気A1、A2を、居室7(図1に示す)に供給することができる。
本実施形態の第1室内空調機11及び第2室内空調機12は、チャンバー10内に収容されている。本実施形態の第1室内空調機11の背面は、第2壁部19bに固定されている。一方、第2室内空調機12の背面は、第2壁部19bと対向する第1壁部19aに固定されている。これにより、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の各正面は、チャンバー10内で対向して(向き合って)配されている。
本実施形態の第2室内空調機12は、第1室内空調機11に対して上方に設けられている。第1室内空調機11の吸込口11aは、第2室内空調機12の空調空気A2について、風向調節手段21で調節可能な風向の範囲内に設けられている。このように、第2室内空調機12は、第2室内空調機12の空調空気A2を、第1室内空調機11に供給可能なように、チャンバー10に取付けられている。なお、第2室内空調機12の取付位置は、第2室内空調機12の空調空気A2を、第1室内空調機11に供給可能であれば、特に限定されない。
本実施形態では、チャンバー10内の空気A6(空調空気A1、A2を含む)が、空気導入口20からチャンバー10の外部に排出されるのを防ぐための仕切材44が設けられてもよい。本実施形態の仕切材44は、空気導入口20の下方において、第2壁部19bと第2室内空調機12との間を水平に延びている。
本実施形態の全館空調システム1は、第1流路13、第2流路16、及び、居室温度検知手段17(図1に示す)を備えている。
第1流路13は、チャンバー10内の空気A6を、居室7(図1に示す)に供給するためのものである。図1に示されるように、第1流路13は、一端がチャンバー10に連通し、かつ、他端が建物2内の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に連通している。本実施形態の第1流路13は、チャンバー10と1階の居室7a、7bとの間を接続するダクト25によって構成されている。
図2に示されるように、本実施形態の第1流路13の一端側は、チャンバー10において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12から吐出される空調空気A1、A2の下流側(チャンバー10の第2壁部19bの下方)に設けられた開口に接続されている。第1流路13の他端(図1に示す)には、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)への風量をそれぞれ調節するためのダンパー(図示省略)が設けられている。このようなダンパーにより、居室7ごとに、チャンバー10内の空気A6(空調空気A1、A2を含む)の供給量を調節することができる。したがって、本実施形態の全館空調システム1は、例えば、各居室7に設定された設定温度に基づいて、各居室7を個別に空調することが可能となる。
本実施形態の第1流路13には、第1ファン14が設けられている。第1ファン14は、チャンバー10内の空気A6を、第1流路13を介して、居室7(図1に示す)に供給(圧送)するためのものである。
本実施形態の第1ファン14は、チャンバー10の内部に設けられているが、チャンバー10の外部に設けられていてもよい。また、本実施形態では、1個の第1ファン14で構成されている場合が例示されているが、複数個の第1ファン14で構成されてもよい。本実施形態の第1ファン14は、第1流路13の一端に接続されている。このような第1ファン14により、チャンバー10内の空気A6は、第1流路13を介して居室7に供給(圧送)されうる。
図1に示されるように、第2流路16は、チャンバー10に、床下空気A4(外気A3)を供給するためのものである。図1及び図2に示されるように、本実施形態の第2流路16は、一端がチャンバー10に連通し、かつ、他端が床下空間3に連通するダクト26によって構成されている。図2に示されるように、第2流路16(ダクト26)の一端は、チャンバー10において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の各吸込口11a、12a側(チャンバー10の第4壁部19d)に設けられている。第2流路16の他端側には、床下空気A4(外気A3)を、チャンバー10側に送るための第2ファン27が設けられている。このような第2流路16及び第2ファン27により、床下空気A4(外気A3)が、チャンバー10に供給(圧送)されうる。
図1に示されるように、居室温度検知手段17は、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)内の温度を測定するためのものである。本実施形態の居室温度検知手段17は、各居室7にそれぞれ取り付けられた温度センサーとして構成されている。
本実施形態の全館空調システム1は、制御装置15をさらに備えている。制御装置15は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の運転を制御するためのものである。さらに、本実施形態の制御装置15は、第1ファン14、第2ファン27及び居室温度検知手段17も制御する。
本実施形態の制御装置15は、例えば、居室7の間仕切り壁等に設置されているが、このような態様に限定されない。図3は、制御装置15の構成の一例を示す概念図である。
制御装置15は、CPU(中央演算装置)からなる演算部31と、処理手順が記憶されている記憶部32と、記憶部32に記憶された処理手順等を読み込むための作業用メモリ33とを含んで構成されている。
演算部31には、入力手段34が接続されている。入力手段34は、例えば、制御装置15の筐体(図1に示す)に設けられた操作ボタンやタッチパネル等によって構成されている。このような入力手段34により、例えば、居住者等によって入力された情報が、演算部31に伝達されうる。
入力される情報としては、例えば、空調運転(暖房運転又は冷房運転)の開始及び停止に関する指示情報や、図1に示した居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に予め定められた設定温度等が含まれる。本実施形態の設定温度は、空調方法(全館空調システム1)で空調されることによって達成させ、かつ、維持されるべき各居室7の温度である。また、本実施形態の設定温度は、1階の居室7a、7bごとに設定される。これらの情報は、記憶部32のデータ部36に記憶される。
演算部31には、出力手段35が接続されている。本実施形態の出力手段35は、制御装置15の筐体(図1に示す)に設けられたディスプレイとして構成されている。演算部31は、出力手段35に信号を伝達することにより、例えば、全館空調システム1の運転状況等を、出力手段35に表示させることができる。
演算部31は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12に接続されている。これにより、演算部31は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12に信号を伝達することにより、空調運転(暖房運転又は冷房運転)を開始及び停止させることができる。また、演算部31は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12への信号の伝達により、空調空気A1、A2(図2に示す)の風向や風量を調節することができる。
演算部31は、第1ファン14及び第2ファン27が接続されている。これにより、演算部31は、第1ファン14及び第2ファン27に信号を伝達することにより、第1ファン14及び第2ファン27の運転を開始及び終了させることができる。また、演算部31は、第1ファン14及び第2ファン27への信号の伝達により、第1ファン14及び第2ファン27の風量の制御をすることができる。
演算部31は、居室温度検知手段17が接続されている。これにより、演算部31は、各居室7内の温度を居室温度検知手段17に検知させ、かつ、その検知結果を演算部31に伝達させることができる。
記憶部32は、例えば、不揮発性の情報記憶装置である。記憶部32には、データ部36及びプログラム部37が含まれる。データ部36は、上述の居住者等によって入力された情報や、演算部31による計算結果等を記憶するためのものである。プログラム部37は、演算部31によって実行されるプログラムである。
本実施形態のプログラム部37は、判断部41、空調運転開始・停止部42、及び、風向調節部43を含んでいる。なお、プログラム部37には、他のプログラムが含まれていてもよい。
判断部41は、空調運転の開始及び停止の指示の有無や、全館空調システム1による空調制御(空調方法)の終了の指示の有無等を判断するためのものである。空調運転開始・停止部42は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の空調運転を開始及び停止させるためのものである。風向調節部43は、空調運転の状況に応じて、第1室内空調機11の空調空気A1の風向、及び、第2室内空調機12の空調空気A2の風向を調節するためのものである。
次に、本実施形態の空調方法の処理手順が説明される。図4は、建物2の空調方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の空調方法では、先ず、第1室内空調機11及び第2室内空調機12(図1及び図2に示す)の少なくとも一方による空調運転開始の指示があるか否かが判断される(工程S1)。工程S1は、図3に示したプログラム部37に含まれる判断部41が、作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。空調運転開始の指示があるか否かの判断は、例えば、居住者等が入力手段34に入力した空調運転(暖房運転又は冷房運転)の開始に関する指示情報に基づいて行われる。
図4に示されるように、工程S1において、空調運転開始の指示があると判断された場合(工程S1で、「Y」)、次の空調工程S2が実施される。一方、工程S1において、空調運転開始の指示がない(例えば、空調運転停止の指示がある)と判断された場合(工程S1で、「N」)、全館空調システム1による空調制御の終了の指示があるか否かを判断する工程S3が実施される。
次に、本実施形態の空調工程S2では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12(図1及び図2に示す)の少なくとも一方を用いて、建物2内の複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)が空調される。図5は、空調工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の空調工程S2では、先ず、第1室内空調機11及び第2室内空調機12(図1及び図2に示す)が故障しているか否かが判断される(工程S21)。工程S21は、図3に示したプログラム部37に含まれる判断部41が、作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。第1室内空調機11及び第2室内空調機12の故障に関する情報は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12から、演算部31が取得しうる。
図5に示されるように、工程S21において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12(図2に示す)がともに故障していないと判断された場合(工程S21で、「故障なし」)、次の工程S22が実施される。一方、工程S21において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方が故障していると判断された場合(工程S21で、「一方が故障」)、次の故障時空調工程S23が実施される。また、工程S21において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12がともに故障していると判断された場合(工程S21で、「双方が故障」)、空調停止工程S24が実施される。
次に、本実施形態の工程S22では、予め定められた目標温度に対して、各居室7の温度がネガティブか否かが判断される。工程S22は、図3に示したプログラム部37に含まれる判断部41が、作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の温度は、居室温度検知手段17から取得されうる。
本明細書において、ネガティブとは、予め定められた目標温度に対して、居室7(図1に示す)の温度が不利な方向に乖離していることを意味している。例えば、暖房運転時において、居室7の温度が目標温度よりも低い場合(居室の温度<目標温度)に、ネガティブであると判断される。一方、冷房運転時において、居室7の温度が目標温度よりも高い場合(居室の温度>目標温度)に、ネガティブであると判断される。このように、居室7の温度がネガティブな場合には、居室7の空調に有効な空気を、図1及び図2に示した第1熱源9(第1室内空調機11及び第2室内空調機12)から短時間で供給させるのが望ましい。本実施形態では、暖房運転時において、空調に有効な空気とは、目標温度よりも高い温度の空気である。一方、冷房運転時において、空調に有効な空気とは、目標温度よりも低い温度の空気である。
目標温度については、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の温度がネガティブか否かを判断することができれば、適宜定められうる。本実施形態では、居室7(図1に示す)に予め定められた設定温度が、目標温度として設定される。なお、本実施形態のように、居室7毎に設定温度が設定されている場合、暖房運転時には、それらの設定温度のうち、最も高い設定温度が、目標温度として定められるのが望ましい。一方、冷房運転時には、それらの設定温度のうち、最も低い設定温度が、目標温度として定められるのが望ましい。これにより、後述の第1運転工程S25及び第2運転工程S26において、全ての居室7(1階の居室7a、7b)の空調に有効な空気を、第1熱源9から供給させることが可能となる。なお、居室7(1階の居室7a、7b)の各設定温度への空調は、図1に示した第1流路13の他端にそれぞれ設けられたダンパー(図示省略)を用いて、チャンバー10内の空気A6(空調空気A1、A2を含む)の供給量が、個別に調節されることで行われる。
工程S22において、居室7(本例では、1階の居室7a、7bの少なくとも1つ)の温度がネガティブであると判断された場合(工程S22で、「Y」)、居室7の空調に有効な空気を、第1熱源9(図1に示す)から短時間で供給させる必要がある。この場合、次の第1運転工程S25が実施される。
一方、工程S22において、居室7(本例では、全ての居室7a、7b)の温度がネガティブでない(即ち、ポジティブである)と判断された場合(工程S22で、「N」)、居室7の空調に有効な空気が、第1熱源9から供給されている。この場合、次の第2運転工程S26が実施される。
第1運転工程S25では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12をともに運転させている(第1運転モード)。第1運転工程S25では、図3に示したプログラム部37の空調運転開始・停止部42、及び、風向調節部43が作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。
第1運転工程S25では、演算部31が、空調運転(暖房運転又は冷房運転)の開始に関する指示情報に基づいて、第1室内空調機11及び第2室内空調機12に、暖房運転又は冷房運転を開始させるための信号を伝達する。これにより、第1運転工程S25では、図2に示されるように、第1室内空調機11及び第2室内空調機12が、指示された空調運転(暖房運転又は冷房運転)を開始する。本実施形態の第1運転工程S25では、暖房時において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12をともに暖房運転させている。一方、冷房時においては、第1室内空調機11及び第2室内空調機12をともに冷房運転させている。
第1室内空調機11及び第2室内空調機12が、指示された空調運転(暖房運転又は冷房運転)を既に実行している場合には、空調運転を開始させるための信号の伝達が省略される。また、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の設定温度は、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の空調に有効な空気を供給するために、例えば、上述の目標温度に基づいて適宜設定される。
図3に示されるように、本実施形態の第1運転工程S25では、演算部31が、第1ファン14及び第2ファン27に、予め定められた風量で運転させるための情報がそれぞれ伝達される。なお、第1運転工程S25において、第1ファン14及び第2ファン27が停止していた場合には、これらの運転が開始される。これにより、第1運転工程S25では、図1に示した建物2内の空気A5を循環させながら、床下空気A4(外気A3)をチャンバー10内に供給しつつ、チャンバー10内の空気A6(空調空気A1、A2を含む)を各居室7に供給することができる。したがって、建物2内の複数の居室7を、換気及び空調することができる。
第1ファン14の風量及び第2ファン27の風量は、適宜設定される。第1ファン14の風量及び第2ファン27の風量は、例えば、建物2に必要な換気回数に基づいて設定されるのが望ましい。本明細書において、「第1ファン14の風量」は、複数個の第1ファン14で構成されている場合、それらの第1ファン14の総風量として特定される。また、第2ファン27の風量は、第1ファン14と同様に特定される。
本実施形態の第1運転工程S25では、図2に示されるように、演算部31(図3に示す)が、第2室内空調機12の風向調節手段21に、第2室内空調機12の空調空気A2が、第1室内空調機11の吸込口11aに供給されるように、空調空気A2の風向を調整させるための信号を伝達する。これにより、第1運転工程S25では、第2室内空調機12の空調空気A2を、第1室内空調機11に供給することができる。
第1運転工程S25では、第2室内空調機12の空調空気A2が、第1室内空調機11に吸引される。第2室内空調機12の空調空気A2の温度は、空気導入口20から取り込まれる建物2内の空気A5(空調される前の空気)の温度に比べて、目標温度に近づいている。したがって、第1運転工程S25では、第2室内空調機12の空調空気A2を、第1室内空調機11が吸引して熱交換することにより、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の空調に有効な空気(空調空気A1)を、第1室内空調機11から短時間で吐出させることができる。このような空調空気A1が各居室7に供給されることにより、各居室7の設定温度に、各居室7の温度を早期に達成させることが可能となる。したがって、本実施形態の全館空調システム1は、各居室7の快適性を向上させることができる。
第1運転工程S25では、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の温度のネガティブな程度が大きいほど、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の設定温度を、各居室7の空調により有効な温度に設定されてもよい。なお、「居室7の温度のネガティブな程度が大きい」とは、目標温度に対して、各居室7の温度が不利な方向に乖離している度合が大きいことを意味している。また、「各居室7の空調に有効な温度に設定する」とは、暖房運転時において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の設定温度を、相対的に高い温度に設定することを意味している。一方、冷房運転時においては、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の設定温度を、相対的に低い温度に設定することを意味している。これにより、各居室7の温度のネガティブな程度が大きいほど、各居室7の空調に有効な空気(空調空気A1)を、第1室内空調機11から、より短時間で吐出させることが可能となる。
次に、第2運転工程S26(図5に示す)は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方のみを運転させている(第2運転モード)。第2運転工程S26では、先ず、図3に示したプログラム部37の空調運転開始・停止部42、及び、風向調節部43が作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。図6は、第2運転モード及び故障時空調モードの一例を示す概念図である。
第1室内空調機11及び第2室内空調機12のうち、運転させる室内空調機については、適宜選択される。本実施形態の第2運転工程S26では、第2室内空調機12のみを運転させ、かつ、第1室内空調機11を停止させているが、第1室内空調機11のみを運転させ、かつ、第2室内空調機12を停止させてもよい。
第2運転工程S26では、空調運転(暖房運転又は冷房運転)の開始に関する指示情報に基づいて、演算部31(図3に示す)が、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)に、空調運転を開始させる信号を伝達する。これにより、第2運転工程S26では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)によって、指示された空調運転(暖房運転又は冷房運転)が開始される。
第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)が、指示された空調運転(暖房運転又は冷房運転)を既に実行している場合には、空調運転を開始させるための信号の伝達が省略される。また、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)の設定温度は、例えば、目標温度に基づいて適宜設定される。
さらに、第2運転工程S26では、演算部31(図3に示す)が、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)に、空調運転を停止させるための信号を伝達する。これにより、第2運転工程S26では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)による空調運転を停止させることができる。なお、第2運転工程S26において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)の空調運転が停止している場合には、空調運転を停止させるための信号の伝達が省略される。
本実施形態の第2運転工程S26では、第1運転工程S25と同様に、演算部31(図3に示す)が、第1ファン14及び第2ファン27に、予め定められた風量で運転させるための情報がそれぞれ伝達される。なお、第2運転工程S26において、第1ファン14及び第2ファン27が停止していた場合には、これらの運転が開始される。これにより、第2運転工程S26では、建物2内の空気A5を循環させながら、床下空気A4(外気A3)をチャンバー10内に供給しつつ、チャンバー10内の空気A6(空調空気A2を含む)を複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に供給できる。したがって、建物2内の複数の居室7を、換気及び空調することができる。
このように、本実施形態の第2運転工程S26では、図6に示されるように、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方の空調空気(本例では、第2室内空調機12の空調空気A2)が複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に供給されることで、各居室7が空調される。第2運転工程S26では、各居室7(本例では、全ての居室7a、7b)の温度がネガティブでないため、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)の空調運転のみで、複数の居室7の快適性を維持することができる。また、第2運転工程S26では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方のみによる空調運転が実施されるため、省エネルギー性を向上させることができる。
本実施形態の第2運転工程S26では、演算部31(図3に示す)が、第2室内空調機12の風向調節手段21に、第2室内空調機12の空調空気A2が受ける空気抵抗を小さくするための信号を伝達するのが望ましい。本実施形態では、第2室内空調機12の空調空気A2の風向が、第1室内空調機11と第1壁部19aとの間の領域に設定されており、第2室内空調機12の空調空気A2が、第1室内空調機11に衝突するのを抑制している。これにより、第2運転工程S26では、空調空気A2の圧力損失が大きくなるのを抑制することができる。
次に、本実施形態の故障時空調工程S23(図5に示す)では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方が故障した場合に、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方のみを運転させる(故障時空調モード)。故障時空調工程S23では、図3に示したプログラム部37の空調運転開始・停止部42が作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。図6では、第1室内空調機11が故障しており、第2室内空調機12が運転させる態様が例示される。
本実施形態の故障時空調工程S23では、先ず、図6に示されるように、演算部31(図3に示す)が、故障している第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第1室内空調機11)に、空調運転を停止させるための信号を伝達する。なお、故障時空調工程S23において、空調運転が既に停止している場合には、空調運転を停止させるための信号の伝達が省略される。
故障時空調工程S23では、空調運転(暖房運転又は冷房運転)の開始に関する指示情報に基づいて、演算部31(図3に示す)が、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第2室内空調機12)に、空調運転を開始させる信号を伝達する。なお、故障時空調工程S23において、空調運転が既に実行されている場合には、空調運転を開始させるための信号の伝達が省略される。また、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方の設定温度は、例えば、目標温度に基づいて適宜設定される。
本実施形態の故障時空調工程S23では、第1運転工程S25と同様に、演算部31(図3に示す)が、第1ファン14及び第2ファン27に、予め定められた風量で運転させるための情報がそれぞれ伝達される。なお、故障時空調工程S23において、第1ファン14及び第2ファン27が停止していた場合には、これらの運転が開始される。これにより、故障時空調工程S23では、建物2内の空気A5を循環させながら、床下空気A4(外気A3)をチャンバー10内に供給しつつ、チャンバー10内の空気A6(空調空気A2を含む)を複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に供給できる。したがって、建物2内の複数の居室7を、換気及び空調することができる。
このように、故障時空調工程S23は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第1室内空調機11)が故障したとしても、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第2室内空調機12)によって、複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の空調を継続することができる。したがって、この実施形態の全館空調システム1(空調方法)は、各居室7の快適性が維持されうる。
故障時空調工程S23では、図3に示した制御装置15が出力手段35に、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第1室内空調機11)の故障に関する情報を表示させるのが望ましい。これにより、故障に関する情報を居住者等に知らせることができ、全館空調システム1の迅速な復旧が可能となる。
次に、本実施形態の空調停止工程S24(図5に示す)では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12による空調運転を停止させる。空調停止工程S24では、図3に示したプログラム部37の空調運転開始・停止部42が作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。
本実施形態の空調停止工程S24では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の双方に、空調運転を停止させるための信号を伝達する。なお、空調停止工程S24において、空調運転が既に停止している場合には、空調運転を停止させるための信号の伝達が省略される。このように、空調停止工程S24では、複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)を適切に空調することができない第1室内空調機11及び第2室内空調機12を停止させることができる。また、空調停止工程S24では、故障時空調工程S23(図5に示す)と同様に、図3に示した制御装置15が出力手段35に、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の故障に関する情報を表示させるのが望ましい。
空調停止工程S24では、第1運転工程S25と同様に、演算部31(図3に示す)が、第1ファン14及び第2ファン27に、予め定められた風量で運転させるための情報がそれぞれ伝達される。なお、空調停止工程S24において、第1ファン14及び第2ファン27が停止していた場合には、これらの運転が開始される。これにより、空調停止工程S24では、図1に示されるように、建物2内の空気A5を循環させながら、複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に、床下空気A4(外気A3)を供給して換気することができる。そして、空調停止工程S24が実施された後に、空調工程S2の一連の処理を終了させる。
次に、本実施形態の空調工程S2では、図5に示されるように、空調運転停止の指示の有無が判断される(工程S27)。工程S27は、図3に示したプログラム部37に含まれる判断部41が、作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。空調運転停止の指示があるか否かの判断は、例えば、居住者等が入力手段34に入力した空調運転(暖房運転又は冷房運転)の停止に関する指示情報に基づいて行われる。
工程S27において、空調運転停止の指示があると判断された場合(工程S27で、「Y」)、第1室内空調機11及び第2室内空調機12による空調運転を停止させる工程S28が実施され、空調工程S2の一連の処理が終了する。この工程S28では、上述の空調停止工程S24と同一の手順に基づいて、空調運転が停止される。
一方、工程S27において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12による空調運転停止の指示がないと判断された場合(工程S27で、「N」)、工程S21~工程S27が再度実施される。これにより、空調工程S2では、空調運転の停止の指示があるまで、建物2内の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)を継続して空調することができる。
そして、再度実施される工程S22では、全館空調システム1の第2運転モードにおいて、目標温度に対して、各居室7(本例では、少なくとも1つの居室7a、7b)の温度がネガティブであると判断された場合(工程S22で「Y」)、制御装置15が、第1運転モードに切り替える(第1運転工程S25)。一方、工程S22では、全館空調システム1の第1運転モードにおいて、目標温度に対して、各居室7(本例では、全ての居室7a、7b)の温度がネガティブでない(ポジティブである)と判断された場合(工程S22で、「N」)、制御装置15が、第2運転モードに切り替える(第2運転工程S26)。このように、本実施形態の空調方法(全館空調システム1)では、時々刻々と変化する各居室7(図1に示す)の温度に基づいて、制御装置15が、第1運転モード(第1運転工程S25)及び第2運転モード(第2運転工程S26)に切り替えることができる。これにより、本実施形態の空調方法(全館空調システム1)は、複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の快適性を維持しつつ、省エネルギー性を向上させることができる。
図4に示されるように、本実施形態の工程S3では、全館空調システム1による空調制御(空調方法)の終了の指示があるか否かが判断される。工程S3では、図3に示したプログラム部37に含まれる判断部41が、作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。空調制御の終了の指示があるか否かの判断は、例えば、居住者等によって入力手段34に入力された指示情報や、割り込み処理等の異常終了の発生に基づいて行われる。
工程S3において、全館空調システム1による空調制御の終了の指示があると判断された場合(工程S3で、「Y」)、空調方法の一連の処理が終了する。この場合、図1及び図2に示した第1室内空調機11及び第2室内空調機12の双方に、空調運転を停止させるための信号が伝達される。さらに、第1ファン14及び第2ファン27に、運転を停止させるための信号が伝達される。なお、第1ファン14及び第2ファン27の運転は、継続させていてもよい。
一方、工程S3において、空調制御の終了の指示がないと判断された場合(工程S3で、「N」)、工程S1~工程S3が再度実施される。これにより、本実施形態の空調方法(全館空調システム1)は、終了の指示があるまで、建物2の空調(換気)を継続して行うことができる。
図7は、本発明の他の実施形態の空調工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の空調工程S2では、工程S21において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12がともに故障していないと判断された場合(工程S21で、「故障なし」)、次の工程S29が実施される。
この実施形態の工程S29では、図2に示した第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方による除霜運転(デフロスト運転)が開始されたか否かが判断される。工程S29は、図3に示したプログラム部37に含まれる判断部41が、作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。除霜運転に関する情報は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12から、演算部31が取得しうる。
図7に示されるように、工程S29において、図2に示した第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方による除霜運転が開始されたと判断された場合(工程S29で、「Y」)、次の工程S30が実施される。一方、除霜運転が開始されていないと判断された場合(工程S29で、「N」)、これまでの実施形態と同様に、工程S22が実施される。
工程S30では、演算部31(図3に示す)が、除霜運転が行われていない第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方に、暖房運転を開始させる(除霜運転モード)。工程S30では、図3に示したプログラム部37の空調運転開始・停止部42、及び、風向調節部43が作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。
図6において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)による除霜運転中は、その室外機についた霜を除去するために、暖房運転が一時的に停止する。このため、除霜運転中の室内空調機の吐出口(本例では、第2室内空調機12の吐出口12b)からは、冷たい空気が吐出される。したがって、図6に示した第2運転モードにおいて、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)の除霜運転が開始すると、複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の空調(暖房)を継続できない場合がある。このため、この実施形態の除霜運転モードでは、図2に示されるように、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)による暖房運転を開始させることにより、各居室7の空調を継続させている。
工程S30では、演算部31(図3に示す)が、除霜運転が行われていない第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)に、暖房運転を開始させるための信号を伝達する。これにより、工程S30では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)に、暖房運転を開始させることができる。
第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)は、複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の空調に有効な空気(空調空気A1)を吐出することができる。このような空調空気A1が複数の居室7に供給されることにより、この実施形態の空調方法(全館空調システム1)は、複数の居室7の快適性を維持することが可能となる。
この実施形態の工程S30では、演算部31(図3に示す)が、第2室内空調機12の風向調節手段21に、第2室内空調機12の空調空気A2を、第1室内空調機11の吸込口11aに供給させるための信号を伝達するのが望ましい。これにより、工程S30では、第2室内空調機12から吐出される冷たい空気(空調空気A2)を、第1室内空調機11に吸引させて熱交換させることができるため、その冷たい空気(空調空気A2)が、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に供給されるのを抑制することができる。
この実施形態の工程S29において、第1室内空調機11による除霜運転が開始されたと判断された場合、工程S30では、第2室内空調機12の暖房運転が開始される(除霜運転モード)。なお、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の快適性を維持するために、制御装置15は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の除霜運転が、同時に実施されないように制御するのが望ましい。
この実施形態において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)の除霜運転が終了すると、図7に示した工程S27、工程S21、工程S29及び工程S22を経て、第1運転工程S25及び第2運転工程S26の一方が実施される。したがって、この実施形態では、各居室7の設定温度に、居室7の温度を早期に達成させることができる。
図8は、本発明のさらに他の実施形態の空調工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の空調工程S2では、工程S21において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12がともに故障していないと判断された場合(工程S21で、「故障なし」)、工程S31が実施される。
この実施形態の工程S31では、図2に示した第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方による冷房除湿運転が開始されたか否かが判断される。工程S31は、図3に示したプログラム部37に含まれる判断部41が、作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。冷房除湿運転に関する情報は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12から、演算部31が取得しうる。
図8に示されるように、工程S31において、図2に示した第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方による冷房除湿運転が開始したと判断された場合(工程S31で、「Y」)、次の工程S32が実施される。一方、冷房除湿運転が開始していないと判断された場合(工程S31で、「N」)、これまでの実施形態と同様に、工程S22が実施される。
工程S32では、演算部31(図3に示す)が、冷房除湿運転が行われていない第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方に、暖房運転を開始させる(除湿運転モード)。工程S32では、図3に示したプログラム部37の空調運転開始・停止部42、及び、風向調節部43が作業用メモリ33に読み込まれ、かつ、演算部31によって実行されることで処理される。
図6において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)による冷房除湿運転中は、吸引された空気(建物2内の空気A5や、床下空気A4)の温度を下げて、空気中に含まれる水蒸気を液化させている。このため、冷房除湿運転中の室内空調機の吐出口(本例では、第2室内空調機12の吐出口12b)からは、冷たい空気(本例では、空調空気A2)が吐出される。したがって、図6に示した第2運転モードにおいて、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)の冷房除湿運転が開始すると、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の温度が必要以上に低下する場合がある。このため、この実施形態の除湿運転モードでは、図2に示されるように、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)に暖房運転を開始させることにより、各居室7の温度低下を抑制している。
工程S32では、演算部31(図3に示す)が、冷房除湿運転が行われていない第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)に、暖房運転を開始させるための信号を伝達する。これにより、工程S32では、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)に、暖房運転を開始させることができる。
第1室内空調機11及び第2室内空調機12の他方(本例では、第1室内空調機11)は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)から吐出される低湿度かつ低温の空気を暖めることができる。これにより、工程S32では、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)を除湿しつつ、各居室7の温度低下を抑制することができるため、居室7の快適性を維持することができる。
この実施形態の工程S32では、演算部31(図3に示す)が、第2室内空調機12の風向調節手段21に、第2室内空調機12の空調空気A2を、第1室内空調機11の吸込口11aに供給させるための信号を伝達するのが望ましい。これにより、工程S32では、第2室内空調機12から吐出される冷たい空気(空調空気A2)を、第1室内空調機11に吸引させて熱交換させることができるため、その冷たい空気(空調空気A2)が、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に供給されるのを抑制することができる。
この実施形態の工程S31において、第1室内空調機11による冷房除湿運転が開始されたと判断された場合、工程S32では、第2室内空調機12の暖房運転が開始される(除湿運転モード)。なお、各居室7の快適性を維持するために、制御装置15は、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の冷房除湿運転が、同時に実施されないように制御するのが望ましい。
この実施形態において、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の一方(本例では、第2室内空調機12)の冷房除湿運転が終了すると、図8に示した工程S27、工程S21、工程S31及び工程S22を経て、第1運転工程S25及び第2運転工程S26の一方が実施される。したがって、この実施形態では、各居室7の設定温度に、居室7の温度を早期に達成させることができる。
この実施形態の空調工程S2には、図7に示した除霜運転モードに切り替える工程S29及び工程S30が組み合わされてもよい。これにより、1年を通して、複数の居室7(本例では、1階の居室7a、7b)の空調を継続することができるため、各居室7の快適性を向上させることができる。
これまでの実施形態では、図2及び図6に示されるように、第1室内空調機11の正面と第2室内空調機12の正面とが、チャンバー10内で対向して(向き合って)配されたが、このような態様に限定されない。図9は、本発明のさらに他の実施形態のチャンバー10の拡大図である。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の第2室内空調機12の背面は、第1室内空調機11の背面と同様に、第2壁部19bに固定されている。これにより、第1室内空調機11及び第2室内空調機12の正面は、チャンバー10内で、同一方向(本例では、ホール8a側)に向くように配されている。これにより、この実施形態では、例えば、第1壁部19aに扉(図示省略)等が取り付けられることにより、チャンバー10の一方側(第1壁部19a側)から、第1室内空調機11及び第2室内空調機12を容易にメンテナンスすることができる。
また、この実施形態では、チャンバー10内の空気A6(空調空気A1、A2を含む)が、空気導入口20からチャンバー10の外部に排出されるのを防ぐための仕切材45が設けられてもよい。この実施形態の仕切材45は、空気導入口20の下方において、第1壁部19aと第2室内空調機12との間を水平に延びている。
この実施形態の第2室内空調機12は、これまでの実施形態と同様に、第2室内空調機12の空調空気A2を、第1室内空調機11に供給可能なように、チャンバー10に取り付けられている。したがって、この実施形態の全館空調システム1では、これまでの実施形態と同様に、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に設定された温度に、各居室7の温度を早期に達成させることができるため、各居室7の快適性を向上させることができる。
これまでの実施形態では、図2、図6及び図9に示されるように、第1室内空調機11及び第2室内空調機12が、チャンバー10内に収容されている態様が例示されたが、このような態様に限定されない。図10は、本発明のさらに他の実施形態のチャンバー10の拡大図である。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の第2室内空調機12は、チャンバー10の外部に設けられている。さらに、第2室内空調機12は、空気導入口20に隣接して設けられている。この実施形態の第2室内空調機12の背面は、チャンバー10の外部において、第1壁部19aの外側に固定されている。空気導入口20は、第2室内空調機12の吐出口12bの下方に設けられている。さらに、第1室内空調機11の吸込口11a、12aは、空気導入口20の下方に配置されている。
第1ファン14による圧送等により、チャンバー10内が負圧になっているため、第2室内空調機12の空調空気A2は、空気導入口20を介して、チャンバー10内に供給される。したがって、第2室内空調機12は、第2室内空調機12の空調空気A2を、空気導入口20を介して、第1室内空調機11に供給可能なように、チャンバー10に取付けられる。
この実施形態の全館空調システム1では、これまでの実施形態と同様に、各居室7(本例では、1階の居室7a、7b)に設定された温度に、各居室7の温度を早期に達成させることができるため、各居室7の快適性を向上させることができる。なお、この実施形態では、チャンバー10内の空気A6(空調空気A1を含む)が、空気導入口20からチャンバー10の外部に排出されるのを防ぐための仕切材46が設けられてもよい。この実施形態の仕切材46は、空気導入口20の下方において、第1壁部19aと第1室内空調機11との間を水平に延びている。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
1 全館空調システム
2 建物
7 居室
9 第1熱源
10 チャンバー
11 第1室内空調機
12 第2室内空調機

Claims (11)

  1. 第1熱源で、建物内の複数の居室を空調するための全館空調システムであって、
    前記第1熱源が、チャンバーと、前記チャンバー内に収容された第1室内空調機と、空調された空気を前記第1室内空調機に供給可能なように前記チャンバーに取付けられた第2室内空調機とを含み、
    前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の内部には、熱交換器がそれぞれ設けられている、
    全館空調システム。
  2. 前記第2室内空調機が、前記チャンバー内に収容されている、請求項1記載の全館空調システム。
  3. 前記チャンバーは、前記建物内の空気を取り込むための空気導入口を有し、
    前記第2室内空調機が、前記チャンバーの外部かつ前記空気導入口に隣接して設けられている、請求項1記載の全館空調システム。
  4. 前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の運転を制御するための制御装置をさらに備えており、
    前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機をともに運転させる第1運転モードと、
    前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方のみを運転させる第2運転モードとに切り替える、請求項1ないし3のいずれかに記載の全館空調システム。
  5. 前記制御装置は、前記第2運転モードにおいて、予め定められた目標温度に対して、前記居室の温度がネガティブである場合、前記第1運転モードに切り替える、請求項4記載の全館空調システム。
  6. 前記制御装置は、前記第1運転モードにおいて、予め定められた目標温度に対して、前記居室の温度がポジティブである場合、前記第2運転モードに切り替える、請求項4又は5記載の全館空調システム。
  7. 前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方による除霜運転が開始された場合に、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の他方による暖房運転を開始させる、請求項4ないし6のいずれかに記載の全館空調システム。
  8. 前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方による冷房除湿運転が開始された場合に、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の他方による暖房運転を開始させる、請求項4ないし7のいずれかに記載の全館空調システム。
  9. 前記制御装置は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方が故障した場合に、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の他方のみを運転させる、請求項4ないし8のいずれかに記載の全館空調システム。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の全館空調システムを用いて、建物内の複数の居室を空調するための方法であって、
    前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の少なくとも一方を用いて、前記複数の居室を空調する空調工程を含む、
    建物の空調方法。
  11. 前記空調工程は、前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機をともに運転させる第1運転工程と、
    前記第1室内空調機及び前記第2室内空調機の一方のみを運転させる第2運転工程とを含む、請求項10記載の建物の空調方法。
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