JP2019128085A - 空気調和システム - Google Patents

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Abstract

【課題】多室空調ユニットと個別空調ユニットとが、最も空調効率が良い運転を行う空気調和システムを提供する。【解決手段】空気調和システムは、送風ダクトを介して複数の空調対象室に接続され、複数の空調対象室の室温を調整する多室空調ユニットと、複数の空調対象室のうちの特定空調室に設けられ、特定空調室の室温を調整する個別空調ユニットと、それぞれの空調対象室の室温を検出する複数の温度センサと、多室空調ユニット及び個別空調ユニットの動作を制御するものであって、温度センサによって検出された複数の空調対象室の室温のばらつきに基づいて、多室空調ユニットの制御対象から特定空調室を除外する制御装置と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の空調対象室の室温を調整する多室空調ユニットと、特定の特定空調室の室温を調整する個別空調ユニットとを備える空気調和システムに関する。
従来、複数の空調対象室の室温を調整する全館空調ユニットを備える空気調和システムが知られている。近年、住宅の高断熱化及び高気密化が進んでおり、空調に使用されるエネルギーが減少する傾向にある。このため、より快適な居住環境及び健康な居住生活を求めて、24時間連続で住宅内全体の空気を調整する全館空調ユニットが採用されるケースが増えている。全館空調ユニットの多くにおいて、1台の室内ユニットによって温度調整された空調空気を、空気搬送用のダクトを介して、間仕切りされた各居室に分配する方式が採用されている。空気搬送用のダクトは、例えば新築時に敷設される。全館空調ユニットの最大空調能力は、例えば新築時に決定され、各居室に送られる空気の量の上限が決定される。
ここで、居住者の生活パターンによって、特定の居室において空調能力が不足する場合がある。この場合、特定の居室に別途、個別空調ユニットが追加して設置されるケースがある。しかし、この場合、各居室を全て同じ室温に調整することができない。そこで、全館空調装置を制御する全館空調用制御装置によって、個別空調装置の運転、停止及び設定温度の変更等を指示する全館空調システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2013−64537号公報
特許文献1に開示された全館空調システムは、全館空調装置が所定のレベルにまで室温の制御を行っている状態で、空調負荷が全館空調装置の最大能力を超える状況となっても、個別空調装置は、全館空調装置の最大能力を超えた分だけの空調負荷を処理するのみである。この場合、全館空調装置は、最大能力で運転し続ける。概して、全館空調装置は、吹出し側の送風経路及び吸込み側の送風経路のいずれもが長いため、ダクトの通風抵抗も高い。このため、多くの送風動力を要し、COPが低い。これに対し、個別空調装置は、設置された居室の空気を吸い込んで、設置された居室自体に空気を吹き出すため、通風抵抗が小さい。このため、COPが高い。従って、住宅全体として、COPが高い個別空調装置が、より多くの空調負荷を処理することが望まれている。しかし、特許文献1に開示された全館空調システムは、COPが低い個別空調装置が動作しても、COPが高い全館空調装置が最大能力で運転し続けるため、全体の空調効率が悪い。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、多室空調ユニットと個別空調ユニットとが、最も空調効率が良い運転を行う空気調和システムを提供するものである。
本発明に係る空気調和システムは、送風ダクトを介して複数の空調対象室に接続され、複数の空調対象室の室温を調整する多室空調ユニットと、複数の空調対象室のうちの特定空調室に設けられ、特定空調室の室温を調整する個別空調ユニットと、それぞれの空調対象室の室温を検出する複数の温度センサと、多室空調ユニット及び個別空調ユニットの動作を制御するものであって、温度センサによって検出された複数の空調対象室の室温のばらつきに基づいて、多室空調ユニットの制御対象から特定空調室を除外する制御装置と、を備える。
本発明によれば、複数の空調対象室の室温のばらつきに基づいて、多室空調ユニットの制御対象から特定空調室を除外する。従って、COPが低い多室空調ユニットの能力を抑えつつ、COPが高い個別空調ユニットの能力を最大限活かすことができる。よって、多室空調ユニットと個別空調ユニットとが、最も空調効率が良い運転を行うことができる。
本発明の実施の形態1に係る空気調和システム1を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る多室空調ユニット2を示す回路図である。 本発明の実施の形態1に係る個別空調ユニット3を示す回路図である。 本発明の実施の形態1に係る制御装置10を示すハードウエア構成図である。 本発明の実施の形態1に係る制御装置10を示す機能ブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和システム1の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る空気調和システム100を示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係る制御装置110を示す機能ブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る空気調和システム100の動作を示すフローチャートである。
実施の形態1.
以下、本発明に係る空気調和システムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム1を示す模式図である。図1に示すように、空気調和システム1は、住宅4の空気を調整するものであり、多室空調ユニット2と、個別空調ユニット3と、複数の温度センサ9a、9b、9cと、制御装置10とを備えている。住宅4は、空調の対象となる空調対象室群からなり、例えば南側に向くLDKである空調対象室5aと、LDKに隣接する和室である空調対象室5bと、和室に隣接する寝室である空調対象室5cとを有する。
各空調対象室5a、5b、5cには、空気が供給される給気グリル7a、7b、7cと、空気が排気される還気グリル8a、8b、8cとが設けられている。多室空調ユニット2と各空調対象室5a、5b、5cとは、送風ダクト6によって接続されている。送風ダクト6は、給気ダクト6aと還気ダクト6bとを有する。給気ダクト6aは、多室空調ユニット2から給気グリル7a、7b、7cを通って各空調対象室5a、5b、5cに送られる空気が通過する。還気ダクト6bは、各空調対象室5a、5b、5cから還気グリル8a、8b、8cを通って多室空調ユニット2に戻る空気が通過する。
(多室空調ユニット2)
図2は、本発明の実施の形態1に係る多室空調ユニット2を示す回路図である。図2に示すように、多室空調ユニット2は、複数の空調対象室5a、5b、5cの室温を調整するものであり、多室用熱源装置2aと、多室用利用装置2bとを有している。多室用熱源装置2aは、多室用圧縮機20と、多室用流路切替装置21と、多室用熱源熱交換器22と、多室用熱源送風機22aと、多室用膨張部23と、多室用カスケード熱交換器24と、多室用ポンプ25とを有している。多室用利用装置2bは、多室用利用熱交換器26と、多室用利用送風機26aとを有している。
ここで、多室用圧縮機20、多室用流路切替装置21、多室用熱源熱交換器22、多室用膨張部23及び多室用カスケード熱交換器24が配管で接続されて、冷媒が流れる多室用冷媒回路27が構成されている。また、多室用ポンプ25、多室用カスケード熱交換器24及び多室用利用熱交換器26が配管で接続されて、熱媒体が流れる多室用熱媒体回路28が構成されている。熱媒体は、例えば水又はブライン等である。
多室用圧縮機20は、低温且つ低圧の状態の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して高温且つ高圧の状態の冷媒にして吐出するものである。多室用流路切替装置21は、冷媒回路において冷媒が流れる方向を切り替えるものであり、例えば四方弁である。多室用熱源熱交換器22は、例えば室外空気と冷媒との間で熱交換するものである。多室用熱源熱交換器22は、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する。多室用熱源送風機22aは、多室用熱源熱交換器22の近傍に設けられ、多室用熱源熱交換器22に室外空気を送る。
多室用膨張部23は、冷媒を減圧して膨張する減圧弁又は膨張弁であり、例えば開度が調整される電子式膨張弁からなる。多室用カスケード熱交換器24は、冷媒回路に流れる冷媒と、熱媒体回路に流れる熱媒体とを熱交換するものである。多室用ポンプ25は、熱媒体を搬送する。多室用利用熱交換器26は、還気ダクト6bから流れる室内空気と冷媒との間で熱交換するものである。多室用利用熱交換器26は、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する。多室用利用送風機26aは、多室用利用熱交換器26の近傍に設けられ、多室用利用熱交換器26に還気ダクト6bから流れる室内空気を送る。
(冷房運転)
次に、多室空調ユニット2の運転モードについて説明する。多室空調ユニット2は、運転モードとして、冷房運転及び暖房運転を有している。先ず、冷房運転について説明する。冷房運転において、多室用圧縮機20に吸入された冷媒は、多室用圧縮機20によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。多室用圧縮機20から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、多室用流路切替装置21を通過して、凝縮器として作用する多室用熱源熱交換器22に流入する。冷媒は、多室用熱源熱交換器22において、多室用熱源送風機22aによって送られる室外空気と熱交換されて凝縮して液化する。凝縮された液状態の冷媒は、多室用膨張部23に流入し、多室用膨張部23において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する多室用カスケード熱交換器24に流入し、多室用カスケード熱交換器24において、熱媒体と熱交換されて蒸発してガス化する。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、多室用流路切替装置21を通過して、多室用圧縮機20に吸入される。
また、多室用ポンプ25に搬送された熱媒体は、多室用カスケード熱交換器24に流入し、多室用カスケード熱交換器24において、冷媒と熱交換されて冷却される。冷却された熱媒体は、多室用利用熱交換器26に流入し、多室用利用熱交換器26において、多室用利用送風機26aによって送られる還気ダクト6b内の空気と熱交換されて加熱される。このとき、還気ダクト6b内の空気が冷やされて、給気ダクト6a内に流出する。加熱された熱媒体は、多室用ポンプ25に吸入される。
(暖房運転)
次に、暖房運転について説明する。暖房運転において、多室用圧縮機20に吸入された冷媒は、多室用圧縮機20によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。多室用圧縮機20から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、多室用流路切替装置21を通過して、凝縮器として作用する多室用カスケード熱交換器24に流入し、多室用カスケード熱交換器24において、熱媒体と熱交換されて凝縮して液化する。凝縮された液状態の冷媒は、多室用膨張部23に流入し、多室用膨張部23において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する多室用熱源熱交換器22に流入し、多室用熱源熱交換器22において、多室用熱源送風機22aによって送られる室外空気と熱交換されて蒸発してガス化する。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、多室用流路切替装置21を通過して、多室用圧縮機20に吸入される。
また、多室用ポンプ25に搬送された熱媒体は、多室用カスケード熱交換器24に流入し、多室用カスケード熱交換器24において、冷媒と熱交換されて加熱される。加熱された熱媒体は、多室用利用熱交換器26に流入し、多室用利用熱交換器26において、多室用利用送風機26aによって送られる還気ダクト6b内の空気と熱交換されて冷却される。このとき、還気ダクト6b内の空気が暖められ、給気ダクト6a内に流出する。冷却された熱媒体は、多室用ポンプ25に吸入される。
(個別空調ユニット3)
図3は、本発明の実施の形態1に係る個別空調ユニット3を示す回路図である。図3に示すように、個別空調ユニット3は、複数の空調対象室5a、5b、5cのうち特定空調室の室温を調整するものであり、個別用熱源装置3aと、個別用利用装置3bとを有している。特定空調室は、例えば最も空調空間が大きい室であり、本実施の形態1では、空調対象室5aである。個別空調ユニット3は、空調対象室5aに設けられており、空調対象室5aの室温を調整する。個別用熱源装置3aは、個別用圧縮機30と、個別用流路切替装置31と、個別用熱源熱交換器32と、個別用熱源送風機32aと、個別用膨張部33と、個別用カスケード熱交換器34と、個別用ポンプ35とを有している。個別用利用装置3bは、個別用利用熱交換器36と、個別用利用送風機36aとを有している。
ここで、個別用圧縮機30、個別用流路切替装置31、個別用熱源熱交換器32、個別用膨張部33及び個別用カスケード熱交換器34が配管で接続されて、冷媒が流れる個別用冷媒回路37が構成されている。また、個別用ポンプ35、個別用カスケード熱交換器34及び個別用利用熱交換器36が配管で接続されて、熱媒体が流れる個別用熱媒体回路38が構成されている。熱媒体は、例えば水又はブライン等である。
個別用圧縮機30は、低温且つ低圧の状態の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して高温且つ高圧の状態の冷媒にして吐出するものである。個別用流路切替装置31は、冷媒回路において冷媒が流れる方向を切り替えるものであり、例えば四方弁である。個別用熱源熱交換器32は、例えば室外空気と冷媒との間で熱交換するものである。個別用熱源熱交換器32は、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する。個別用熱源送風機32aは、個別用熱源熱交換器32の近傍に設けられ、個別用熱源熱交換器32に室外空気を送る。
個別用膨張部33は、冷媒を減圧して膨張する減圧弁又は膨張弁であり、例えば開度が調整される電子式膨張弁からなる。個別用カスケード熱交換器34は、冷媒回路に流れる冷媒と、熱媒体回路に流れる熱媒体とを熱交換するものである。個別用ポンプ35は、熱媒体を搬送する。個別用利用熱交換器36は、室内空気と冷媒との間で熱交換するものである。個別用利用熱交換器36は、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する。個別用利用送風機36aは、個別用利用熱交換器36の近傍に設けられ、個別用利用熱交換器36に室内空気を送る。
(冷房運転)
次に、個別空調ユニット3の運転モードについて説明する。個別空調ユニット3は、運転モードとして、冷房運転及び暖房運転を有している。先ず、冷房運転について説明する。冷房運転において、個別用圧縮機30に吸入された冷媒は、個別用圧縮機30によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。個別用圧縮機30から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、個別用流路切替装置31を通過して、凝縮器として作用する個別用熱源熱交換器32に流入する。冷媒は、個別用熱源熱交換器32において、個別用熱源送風機32aによって送られる室外空気と熱交換されて凝縮して液化する。凝縮された液状態の冷媒は、個別用膨張部33に流入し、個別用膨張部33において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する個別用カスケード熱交換器34に流入し、個別用カスケード熱交換器34において、熱媒体と熱交換されて蒸発してガス化する。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、個別用流路切替装置31を通過して、個別用圧縮機30に吸入される。
また、個別用ポンプ35に搬送された熱媒体は、個別用カスケード熱交換器34に流入し、個別用カスケード熱交換器34において、冷媒と熱交換されて冷却される。冷却された熱媒体は、個別用利用熱交換器36に流入し、個別用利用熱交換器36において、個別用利用送風機36aによって送られる室内空気と熱交換されて加熱される。このとき、室内が冷房される。加熱された熱媒体は、個別用ポンプ35に吸入される。
(暖房運転)
次に、暖房運転について説明する。暖房運転において、個別用圧縮機30に吸入された冷媒は、個別用圧縮機30によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。個別用圧縮機30から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、個別用流路切替装置31を通過して、凝縮器として作用する個別用カスケード熱交換器34に流入し、個別用カスケード熱交換器34において、熱媒体と熱交換されて凝縮して液化する。凝縮された液状態の冷媒は、個別用膨張部33に流入し、個別用膨張部33において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する個別用熱源熱交換器32に流入し、個別用熱源熱交換器32において、個別用熱源送風機32aによって送られる室外空気と熱交換されて蒸発してガス化する。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、個別用流路切替装置31を通過して、個別用圧縮機30に吸入される。
また、個別用ポンプ35に搬送された熱媒体は、個別用カスケード熱交換器34に流入し、個別用カスケード熱交換器34において、冷媒と熱交換されて加熱される。加熱された熱媒体は、個別用利用熱交換器36に流入し、個別用利用熱交換器36において、個別用利用送風機36aによって送られる室内空気と熱交換されて冷却される。このとき、室内空気が暖められ、給気ダクト6a内に流出する。冷却された熱媒体は、個別用ポンプ35に吸入される。
(温度センサ9a、9b、9c)
温度センサ9a、9b、9cは、各空調対象室5a、5b、5cに設けられており、各空調対象室5a、5b、5cの室温を検出する。
(制御装置10)
図4は、本発明の実施の形態1に係る制御装置10を示すハードウエア構成図である。図4に示すように、制御装置10は、空気調和システム1の動作を制御するものであり、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを有している。通信部11、制御部12及び記憶部13は、内部バスで接続されている。通信部11は、通信ポートに接続された送受信回路であり、通信ポートを介して通信の送受信をする。制御部12は、例えばマイクロコンピュータであり、通信部11が受信したデータを、必要に応じて記憶部13に格納する。また、制御部12は、記憶部13に格納されたデータを読み出し、読み出したデータを、通信部11を介して送信対象に送信する。記憶部13は、各種データを記憶し、例えばRAMである。
制御装置10は、ユーザからリモコン(図示せず)等によって入力される目標室温の情報を受信する。夏期の冷房運転について例示すると、目標室温は、例えば26℃である。多室空調ユニット2は、各空調対象室5a、5b、5cに設けられた温度センサ9a、9b、9cが検出する室温が、目標室温となるように24時間連続で運転している。制御装置10は、本実施の形態1のように複数の室温の情報が存在する場合、目標室温から最も離れた高温の空調対象室5aの室温が26℃となるように、多室空調ユニット2の熱交換量を調整する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る制御装置10を示す機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置10の制御部12は、温度センサ9a、9b、9cによって検出された複数の空調対象室5a、5b、5cの室温のばらつきに基づいて、多室空調ユニット2の制御対象から特定空調室を除外する。制御部12は、判定手段41と、動作制御手段42とを有している。判定手段41は、個別空調ユニット3が停止した状態で、温度センサ9aによって検出された特定空調室の室温と、温度センサ9b、9cによって検出されたそのほかの空調対象室5b、5cの室温との温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えたかを判定する。ここで、特定空調室とは、個別空調ユニット3が設置された空調対象室5aである。また、温度差閾値ΔTthは、例えば1℃である。動作制御手段42は、判定手段41によって温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えたと判定された場合、個別空調ユニット3の動作を開始させると共に、そのほかの空調対象室5b、5cの室温に基づいて多室空調ユニット2を動作させる。
(動作)
図6は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム1の動作を示すフローチャートである。図6に示すように、空気調和システム1において、各温度センサ9a、9b、9cは、それぞれの空調対象室5a、5b、5cの室温を検出している(ステップST1)。判定手段41は、温度センサ9aによって検出された特定空調室の室温と、温度センサ9b、9cによって検出されたそのほかの空調対象室5b、5cの室温との温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えたかを判定する(ステップST2)。ここで、特定空調室とは、個別空調ユニット3が設置された空調対象室5aである。
温度差ΔTが温度差閾値ΔTth以下の場合(ステップST2のNo)、ステップST2が繰り返される。温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えた場合(ステップST2のYes)、動作制御手段42は、個別空調ユニット3の動作を開始する(ステップST3)。そして、動作制御手段42は、特定空調室以外のそのほかの空調対象室5b、5cの室温に基づいて多室空調ユニット2を動作させる(ステップST4)。
本実施の形態1によれば、複数の空調対象室5a、5b、5cの室温のばらつきに基づいて、多室空調ユニット2の制御対象から特定空調室を除外する。従って、COPが低い多室空調ユニット2の能力を抑えつつ、COPが高い個別空調ユニット3の能力を最大限活かすことができる。よって、多室空調ユニット2と個別空調ユニット3とが、最も空調効率が良い運転を行うことができる。
また、特定空調室の室温とそのほかの空調対象室5b、5cの室温との温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えた場合、動作制御手段42は、個別空調ユニット3の動作を開始させると共に、そのほかの空調対象室5b、5cの室温に基づいて多室空調ユニット2を動作させる。このように、多室空調ユニット2は、個別空調ユニット3によって空調される特定空調室を、空調対象から外す。従って、COPが低い多室空調ユニット2の能力を抑えることができる。また、個別空調ユニット3は、特定空調室の空調のほとんどを賄うため、COPが高い個別空調ユニット3の能力を最大限活かすことができる。よって、多室空調ユニット2と個別空調ユニット3とが、最も空調効率が良い運転を行うことができる。
従来、複数の空調対象室の室温を調整する多室空調ユニットと、特定の特定空調室の室温を調整する個別空調ユニットとを備える空気調和システムが知られている。夏期の冷房運転時、LDKは、一般的に広い空間を有するため、冷え難い。このため、LDKに冷房負荷がかかり易い。このように、LDKに大きな冷房負荷が生じ、制御装置が、空調対象室(LDK)が目標室温である26℃になるように多室空調ユニットを動作させると、空調対象室(和室)及び空調対象室(寝室)が過剰に冷房される。これにより、空調対象室(和室)の室温及び空調対象室(寝室)の室温が目標室温である26℃よりも低くなり、居住者の不快感が増すと共に、エネルギー損失が発生する。このため、制御装置は、個別空調ユニットの運転を開始させる。個別空調ユニットは、空調対象室(LDK)の室温が目標室温である26℃となるように運転する。しかし、個別空調ユニットが運転を開始するまでの間、多室空調ユニットが既に空調対象室(LDK)の室温を26℃に近づけているため、個別空調ユニットは空調能力を抑えて運転する。このため、多室空調ユニットは、依然として大きな空調能力で運転を続けてしまい、空調対象室(和室)及び空調対象室(寝室)が過剰に冷房される状態が継続してしまう。
これに対し、本実施の形態1は、特定空調室の室温とそのほかの空調対象室5b、5cの室温との温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えた場合、個別空調ユニット3の動作を開始させると共に、そのほかの空調対象室5b、5cの室温に基づいて多室空調ユニット2を動作させる。制御装置10は、そのほかの空調対象室5b、5cの中で、目標室温から最も離れた高温の空調対象室の室温が26℃となるように、多室空調ユニット2の熱交換量を調整する。このため、そのほかの空調対象室5b、5cの過剰な冷房が解消される。
また、多室空調ユニット2は、個別空調ユニット3によって空調される特定空調室を、空調対象から外すため、特定空調室では、多室空調ユニット2から給気グリル7a、7b、7cを経由して供給される冷熱が小さくなる。これにより、空調対象室5aの室温が上昇しようとするが、個別空調ユニット3が、冷却能力を補うため、個別空調ユニット3は大きい空調能力で運転する。概して、多室空調ユニット2は、吹出し側の送風経路及び吸込み側の送風経路のいずれもが長いため、送風ダクト6の通風抵抗も高い。このため、多くの送風動力を要し、COPが低い。これに対し、個別空調ユニット3は、設置された空調対象室5aの空気を吸い込んで、設置された空調対象室5a自体に空気を吹き出すため、通風抵抗が小さい。このため、COPが高い。本実施の形態1は、個別空調ユニット3が大きい空調能力で運転するため、空気調和システム1の全体の消費電力量が減る。また、空調対象室5b、5cが過剰に冷房されないため、各空調対象室5a、5b、5cの室温のばらつきが小さくなる。このように、住宅4全体の室温が均一化される。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システム100を示す模式図である。本実施の形態2は、空調対象室5a、5b、5cの給気グリル7a、7b、7cにシャッタ114が設けられている点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態2では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図7に示すように、シャッタ114は、特定空調室における多室空調ユニット2から供給された空気が吹き出される給気グリル7a、7b、7cに設けられ、給気グリル7a、7b、7cを通過する空気の量を調整する。シャッタ114が開くと、多室空調ユニット2から供給された空気が、空調対象室5aに流れ込み、シャッタ114が閉じると、多室空調ユニット2から供給された空気が、空調対象室5aに流れない。
図8は、本発明の実施の形態2に係る制御装置110を示す機能ブロック図である。図8に示すように、制御装置110の制御部112は、開閉手段143を更に有している。開閉手段143は、判定手段41によって温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えたと判定された場合、シャッタ114を閉じる。
(動作)
図9は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システム100の動作を示すフローチャートである。図9に示すように、空気調和システム100において、各温度センサ9a、9b、9cは、それぞれの空調対象室5a、5b、5cの室温を検出している(ステップST11)。判定手段41は、温度センサ9aによって検出された特定空調室の室温と、温度センサ9b、9cによって検出されたそのほかの空調対象室5b、5cの室温との温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えたかを判定する(ステップST12)。ここで、特定空調室とは、個別空調ユニット3が設置された空調対象室5aである。
温度差ΔTが温度差閾値ΔTth以下の場合(ステップST12のNo)、ステップST12が繰り返される。温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えた場合(ステップST2のYes)、開閉手段143は、シャッタ114を閉じる(ステップST13)。また、動作制御手段42は、個別空調ユニット3の動作を開始する(ステップST14)。そして、動作制御手段42は、特定空調室以外のそのほかの空調対象室5b、5cの室温に基づいて多室空調ユニット2を動作させる(ステップST15)。
本実施の形態2によれば、特定空調室の室温とそのほかの空調対象室5b、5cの室温との温度差ΔTが温度差閾値ΔTthを超えた場合、開閉手段143は、シャッタ114を閉じる。これにより、空調対象室5b、5cのなかで最も広い空調対象室の空調負荷の全てを、個別空調ユニット3が処理する。このため、多室空調ユニット2が担う空調負荷を最大限減らすことができる。従って、より省エネルギーの空調運転を行うことができる。
上記実施の形態1及び2は、多室空調ユニット2と個別空調ユニット3とが併設された住宅4において、COPが低い多室空調ユニット2よりも、COPが高い個別空調ユニット3に、多くの空調負荷を処理させる。このため、多室空調ユニット2と個別空調ユニット3とが、最も空調効率が良い運転を行うことができる。また、空調対象室5b、5cが過剰に冷房されないため、各空調対象室5a、5b、5cの室温のばらつきが小さくなる。このため、空調負荷のアンバランス性が解消され、住宅4全体の室温が均一化される。
1 空気調和システム、2 多室空調ユニット、2a 多室用熱源装置、2b 多室用利用装置、3 個別空調ユニット、3a 個別用熱源装置、3b 個別用利用装置、4 住宅、5a、5b、5c 空調対象室、6 送風ダクト、6a 給気ダクト、6b 還気ダクト、7a、7b、7c 給気グリル、8a、8b、8c 還気グリル、9a、9b、9c 温度センサ、10 制御装置、11 通信部、12 制御部、13 記憶部、20 多室用圧縮機、21 多室用流路切替装置、22 多室用熱源熱交換器、22a 多室用熱源送風機、23 多室用膨張部、24 多室用カスケード熱交換器、25 多室用ポンプ、26 多室用利用熱交換器、26a 多室用利用送風機、27 多室用冷媒回路、28 多室用熱媒体回路、30 個別用圧縮機、31 個別用流路切替装置、32 個別用熱源熱交換器、32a 個別用熱源送風機、33 個別用膨張部、34 個別用カスケード熱交換器、35 個別用ポンプ、36 個別用利用熱交換器、36a 個別用利用送風機、37 個別用冷媒回路、38 個別用熱媒体回路、41 判定手段、42 動作制御手段、100 空気調和システム、110 制御装置、112 制御部、114 シャッタ、143 開閉手段。

Claims (4)

  1. 送風ダクトを介して複数の空調対象室に接続され、複数の前記空調対象室の室温を調整する多室空調ユニットと、
    複数の前記空調対象室のうちの特定空調室に設けられ、前記特定空調室の室温を調整する個別空調ユニットと、
    それぞれの前記空調対象室の室温を検出する複数の温度センサと、
    前記多室空調ユニット及び前記個別空調ユニットの動作を制御するものであって、前記温度センサによって検出された複数の前記空調対象室の室温のばらつきに基づいて、前記多室空調ユニットの制御対象から前記特定空調室を除外する制御装置と、
    を備える空気調和システム。
  2. 前記制御装置は、
    前記個別空調ユニットが停止した状態で、前記温度センサによって検出された前記特定空調室の室温と、前記温度センサによって検出されたそのほかの前記空調対象室の室温との温度差が温度差閾値を超えたかを判定する判定手段と、
    前記判定手段によって温度差が温度差閾値を超えたと判定された場合、前記個別空調ユニットの動作を開始させると共に、そのほかの前記空調対象室の室温に基づいて前記多室空調ユニットを動作させる動作制御手段と、を有する
    請求項1記載の空気調和システム。
  3. 前記特定空調室における前記多室空調ユニットから供給された空気が吹き出される給気グリルに設けられ、前記給気グリルを通過する空気の量を調整するシャッタを更に備え、
    前記制御装置は、
    前記判定手段によって温度差が温度差閾値を超えたと判定された場合、前記シャッタを閉じる開閉手段を更に有する
    請求項2記載の空気調和システム。
  4. 前記特定空調室は、複数の前記空調対象室のうち最も空調空間が大きい
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和システム。
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