金属含有ポリマー材料が提供される。ポリマー材料は、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー、部分加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー、又は完全加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマーである。二価金属は、IUPAC周期表の2族又は6族〜12族から選択される。金属含有ポリマー材料を使用して、150g/mol以下の分子量を有する塩基性窒素含有化合物を捕捉することができる。この捕捉により、金属錯体含有ポリマー材料が形成される。金属含有ポリマー材料は多くの場合、塩基性窒素含有化合物に曝露した際に色が変わる。
更に、水蒸気を捕捉するために、又は水蒸気の存在を示すために使用することができる亜鉛含有ポリマー材料が提供される。亜鉛含有ポリマー材料は、典型的には、水蒸気に曝露した際に色が変わる。
「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、「少なくとも1つの」と交換可能に使用され、記載されている要素のうちの1つ以上を意味する。
「及び/又は(and/or)」という用語は、一方又は両方を意味する。例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、又はAとBの両方を意味する。
「二価金属」という用語は、+2の酸化状態を有する金属を指す。二価金属は通常、IUPAC元素周期表の2族又は6〜12族から選択される。混乱を避けるために、2族は最も軽い元素としてベリリウムを含み、6族は最も軽い元素としてクロムを含み、7族は最も軽い元素としてマンガンを含み、8族は最も軽い元素として鉄を含み、9族は最も軽い元素としてコバルトを含み、10族は最も軽い元素としてニッケルを含み、11族は最も軽い元素として銅を含み、12族は最も軽い元素として亜鉛を含む。二価金属は、金属塩、金属錯体、又は金属酸化物などの形態で使用することができる。
「ポリマー」及び「ポリマー材料」という用語は、交換可能に使用され、1つ以上のモノマーを反応させることによって形成された材料を指す。この用語は、ホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーなどを含む。同様に、「重合させる」及び「重合させること」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーなどであり得るポリマー材料を製造するプロセスを指す。
「モノマー混合物」という用語は、重合性組成物の、モノマーを含む部分を指す。より詳細には、モノマー混合物は、少なくともジビニルベンゼン及び無水マレイン酸を含む。「重合性組成物」という用語は、ポリマー材料を形成するために使用される、反応混合物に含まれる全ての材料を含む。重合性組成物には、例えば、モノマー混合物、有機溶媒、開始剤、及び他の任意の成分が含まれる。有機溶媒などの重合性組成物中の成分の一部は、化学反応を起こさない場合もあるが、化学反応及び形成される得られるポリマー材料に影響を与え得る。
「ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料」という用語は、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸、及び場合により存在するスチレン型モノマーから得られるポリマー材料のことを指す。スチレン型モノマーは、ジビニルベンゼン中に不純物としてしばしば存在する。典型的には、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は、15〜65重量%の無水マレイン酸から得られるモノマー単位、及び35〜85重量%のジビニルベンゼン又はジビニルベンゼンとスチレン型モノマーとの混合物から得られるモノマー単位を含有する。無水マレイン酸から得られるモノマー単位は、式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位であり得る。すなわち、これらのモノマー単位は、ポリマー材料が加水分解された程度に応じて、式(I)にあるような酸無水物基又は式(II)にあるような2つのカルボキシル基を有し得る。
ジビニルベンゼンから得られるモノマー単位は式(III)で表され、スチレン型モノマーから得られるモノマー単位は式(IV)で表される。
ポリマー材料は、無水マレイン酸から得られるモノマー単位の形態に応じて、加水分解されていないか、部分的に加水分解されているか、又は完全に加水分解されていると考えられ得る。マレイン酸から得られるモノマー単位の90〜100重量%が式(I)で表され、無水マレイン酸から得られるモノマー単位の0〜10重量%未満が式(II)で表される場合、ポリマー材料は、「加水分解されていない」ということができる。無水マレイン酸から得られるモノマー単位の10〜90重量%が式(I)で表され、無水マレイン酸から得られるモノマー単位の10〜90重量%が式(II)で表される場合、ポリマー材料は、「部分的に加水分解されたジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料」であるということができる。無水マレイン酸から得られるモノマー単位の0〜10重量%未満が式(I)で表され、無水マレイン酸から得られるモノマー単位の90%より高く100%までが式(II)で表される場合、ポリマー材料は、「完全に加水分解されたジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料」であるということができる。しかしながら、二価金属を組み込む前には加水分解されていない又は部分的に加水分解されているポリマー材料が、二価金属を組み込む間にいくらか加水分解されることはよくある。すなわち、通常は水性溶液中で行われる二価金属の組み込みにより、式(I)で表されるモノマー単位を有するポリマー材料は、いくらか加水分解され得る。二価金属の組み込みにより、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は部分加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料に変わる可能性があり、又は部分加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料が更に加水分解される可能性がある。
「スチレン型モノマー」という用語は、スチレン、アルキル置換スチレン(例えばエチルスチレン)、又はそれらの混合物を指す。これらのモノマーは、ジビニルベンゼン中に不純物としてしばしば存在する。
「表面積」という用語は、到達可能な細孔の内表面を含む、材料表面の総面積のことを指す。表面積は、通常、ある範囲の相対圧力にわたって極低温条件下(すなわち77°K)で材料の表面に吸着する、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの量を測定することによって得られる吸着等温線から計算される。「BET比表面積」という用語は、BET法(Brunauer−Emmett−Teller法)を使用して0.05〜0.3の相対圧力範囲にわたる不活性ガスの吸着等温線データから通常は計算される、材料1g当たりの表面積である。
「室温」という用語は、20℃〜30℃の範囲又は20℃〜25℃の範囲の温度を指す。
ポリマー材料は、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸、及び場合により存在するスチレン型モノマーから調製される。得られる未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は、その後、二価金属で処理され得る。あるいは、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料中の酸無水物基の全部又は任意の部分を加水分解剤で処理して、その後二価金属で処理される部分加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料又は完全加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料を調製することができる。
後で二価金属が組み込まれるポリマー材料は、典型的には多孔質である。より詳細には、ジビニルベンゼン架橋剤の量、無水マレイン酸の量、場合により存在するスチレン型モノマーの量、及び未加水分解ポリマー材料を調製するために使用する有機溶媒を慎重に選択して、多孔質であるポリマー材料を調製する。多孔質材料は、それらの細孔の径に基づいて特徴付けることができる。「マイクロ細孔」という用語は、2ナノメートル未満の直径を有する細孔を指す。「メソ細孔」という用語は、2〜50ナノメートルの範囲の直径を有する細孔を指す。「マクロ細孔」という用語は、50ナノメートルより大きい直径を有する細孔を指す。特に、ポリマー材料は、少なくとも二価金属を組み込む前は、通常、マイクロ細孔及び/又はメソ細孔の径範囲の細孔を有する。
ポリマー材料の多孔度は、極低温条件下での多孔質材料による窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの吸着等温線から特徴付けることができる。吸着等温線は、約10−6〜約0.98の範囲の複数の相対圧力における多孔質材料による不活性ガスの吸着率を測定することによって一般的に得られる。次に、比表面積(BET比表面積など)及び総細孔容積を計算するための様々な方法を使用して、等温線を分析する。未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料を合成するために使用される条件は、少なくとも15m2/g、少なくとも20m2/g、少なくとも25m2/g、又は少なくとも50m2/gに相当するBET表面積を有する金属含有ポリマー材料を生成するように選択される。
未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、及び場合により存在するスチレン型モノマーのモノマー混合物から合成される。典型的には、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は、15〜65重量%の無水マレイン酸から得られるモノマー単位、及び35〜85重量%のジビニルベンゼン又はジビニルベンゼンとスチレン型モノマーとの混合物から得られるモノマー単位を含有する。より詳細には、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸を形成するために使用されるモノマー混合物は、典型的には、1)15〜65重量%の無水マレイン酸、2)30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び3)0〜40重量%(又は5〜40重量%)のスチレン型モノマーを含み、スチレン型モノマーは、スチレン、アルキル置換スチレン、又はそれらの組み合わせである。各モノマーの量は、モノマー混合物中のモノマーの総重量に対するものである。
未加水分解ポリマー材料を調製するためにモノマー混合物中で使用される無水マレイン酸の量は、ポリマー材料中に組み込むことができる二価金属の量に影響を与える。無水マレイン酸の量が少なすぎる(例えば、モノマー混合物中のモノマーの15重量%未満)場合、金属含有ポリマー材料中の二価金属の量は少なすぎて、式Qの塩基性窒素含有化合物を有効にかつ効率的に捕捉することができない可能性がある。一方、無水マレイン酸の量が、モノマー混合物中のモノマーの総重量に基づいて65重量%又は60重量%を超える場合、ポリマー材料は十分に大きいBET比表面積を有さない可能性がある。BET比表面積が小さすぎれば、ポリマー材料は、適量の二価金属を組み込むために十分な多孔度を有さない可能性がある。
いくつかの実施形態では、モノマー混合物中の無水マレイン酸の量は、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、又は少なくとも40重量%である。無水マレイン酸の量は、65重量%まで、62重量%まで、61重量%まで、60重量%まで、55重量%まで、50重量%まで、45重量%まで、又は40重量%までとすることができる。例えば、この量は、15〜65重量%、15〜60重量%、20〜60重量%、25〜60重量%、30〜60重量%、35〜60重量%、40〜60重量%、15〜55重量%、15〜50重量%、15〜45重量%、20〜50重量%、20〜45重量%、25〜50重量%、又は25〜45重量%の範囲であってもよい。これらの量は、モノマー混合物中のモノマーの総重量に対するものである。
言い換えると、ポリマー材料は、15〜65重量%の無水マレイン酸から得られるモノマー単位を含有する。無水マレイン酸から得られるモノマー単位は、式(I)若しくは式(II)で表されるか、又は両方である。式(I)及び式(II)の相対量は、起こった加水分解の程度に応じて変わり得る。無水マレイン酸から得られるモノマー単位の量は、例えば、ポリマー材料の総重量に基づいて15〜60重量%、20〜60重量%、25〜60重量%、30〜60重量%、35〜60重量%、40〜60重量%、15〜55重量%、15〜50重量%、15〜45重量%、20〜50重量%、20〜45重量%、25〜50重量%、又は25〜45重量%の範囲であってもよい。
ジビニルベンゼン架橋剤の量は、それが加水分解されていないか、部分的に加水分解されているか、又は完全に加水分解されているかにかかわらず、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料のBET比表面積に強い影響を与え得る。ジビニルベンゼンは、高い架橋密度並びにマイクロ細孔及び/又はメソ細孔を有する硬質ポリマー材料の形成に寄与する。BET比表面積は、モノマー混合物中のジビニルベンゼンの量の増加とともに増大する傾向がある。モノマー混合物中のジビニルベンゼンの量が30重量%未満であれば、ポリマー材料が完全に加水分解されている場合は特に、ポリマー材料は十分に大きいBET比表面積を有さない可能性がある。一方、ジビニルベンゼンの量が85重量%を超えれば、酸無水物及び/又はカルボン酸含量が、望ましい量の二価金属を組み込むには不十分である可能性がある。
いくつかの実施形態では、ジビニルベンゼンの量は、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、又は少なくとも60重量%である。ジビニルベンゼンの量は、85重量%まで、80重量%まで、75重量%まで、70重量%まで、又は65重量%までとすることができる。例えば、ジビニルベンゼンは、30〜85重量%、30〜80重量%、30〜75重量%、30〜70重量%、30〜60重量%、30〜55重量%、30〜50重量%、40〜80重量%、50〜80重量%、40〜75重量%、50〜75重量%、又は55〜75重量%の範囲であってもよい。これらの量は、モノマー混合物中のモノマーの総重量に対するものである。
言い換えると、ポリマー材料は、30〜85重量%のジビニルベンゼンから得られるモノマー単位を含有する。ジビニルベンゼンから得られるモノマー単位の量は、例えば、30〜80重量%、30〜75重量%、30〜70重量%、30〜60重量%、30〜55重量%、30〜50重量%、40〜80重量%、50〜80重量%、40〜75重量%、50〜75重量%、又は55〜75重量%の範囲であってもよい。これらの量は、ポリマー材料の総重量に対するものである。
ジビニルベンゼンは、純粋な形態で得ることが困難である場合がある。例えば、ジビニルベンゼンは、55重量%という低い純度で市販されていることが多い。約80重量%を超える純度でジビニルベンゼンを得るには高額な費用がかかる可能性がある。ジビニルベンゼンに付随する不純物は、通常、スチレン、アルキル置換スチレン(例えばエチルスチレン)、又はそれらの混合物などのスチレン型モノマーである。このため、モノマー混合物中にはしばしば、ジビニルベンゼン及び無水マレイン酸とともにスチレン型モノマーが存在する。モノマー混合物は通常、モノマー混合物中のモノマーの総重量に基づいて0〜40重量%(又は5〜40重量%)のスチレン型モノマーを含有する。スチレン型モノマーの含量が40重量%を超える場合、望ましいBET比表面積を有するポリマー材料を提供するには、架橋密度が低すぎる可能性があり、かつ/又は架橋間距離が大きすぎる可能性がある。これは、ポリマー材料が完全に加水分解されている場合に特に当てはまる。架橋密度が低下するに従って、得られるポリマー材料の剛性は低くなり、多孔度は低くなる傾向がある。
いくつかの実施形態では、スチレン型モノマーの量は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%である。スチレン型モノマーの量は、40重量%まで、35重量%まで、30重量%まで、又は25重量%までとすることができる。例えば、モノマー混合物中のスチレン型モノマーの量は、0〜40重量%、1〜40重量%、5〜40重量%、1〜30重量%、5〜30重量%、1〜20重量%、5〜20重量%、5〜15重量%、10〜40重量%、又は10〜30重量%の範囲であってもよい。これらの量は、モノマー混合物中のモノマーの総重量に対するものである。
言い換えると、ポリマー材料は、0〜40重量%のスチレン型モノマーから得られるモノマー単位を含有し得る。例えば、この量は、1〜40重量%、5〜40重量%、1〜30重量%、5〜30重量%、1〜20重量%、5〜20重量%、5〜15重量%、10〜40重量%、又は10〜30重量%の範囲であってもよい。これらの量は、ポリマー材料の総重量に対するものである。
全体として、モノマー混合物は、モノマー混合物中のモノマーの総重量に基づいて15〜65重量%の無水マレイン酸、モノマー混合物中のモノマーの総重量に基づいて30〜85重量%のジビニルベンゼン、及びモノマー混合物中のモノマーの総重量に基づいて0〜40重量%(又は5〜40重量%)のスチレン型モノマーを含む。別の実施形態では、モノマー混合物は、25〜60重量%の無水マレイン酸、30〜75重量%のジビニルベンゼン、及び1〜30重量%のスチレン型モノマーを含有する。別の実施形態では、モノマー混合物は、30〜60重量%の無水マレイン酸、30〜60重量%のジビニルベンゼン、及び5〜20重量%のスチレン型モノマーを含有する。更に別の実施形態では、モノマー混合物は、40〜60重量%の無水マレイン酸、30〜50重量%のジビニルベンゼン、及び5〜15重量%のスチレン型モノマーを含有する。
モノマー混合物は、典型的には、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、及びスチレン型モノマーから選択されるモノマーを少なくとも95重量%含む。例えば、モノマー混合物中のモノマーの少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、又は少なくとも99.9重量%は、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、及びスチレン型モノマーから選択される。多くの実施形態において、モノマー混合物に意図的に添加されるモノマーは、無水マレイン酸及びジビニルベンゼンだけであり、任意の他のモノマー(スチレン型モノマーを含む)は、無水マレイン酸及びジビニルベンゼン中の不純物として存在する。
すなわち、ポリマー材料は典型的には、15〜65重量%の無水マレイン酸から得られるモノマー単位、30〜85重量%のジビニルベンゼンから得られるモノマー単位、及び0〜40重量%(又は5〜40重量%)のスチレン型モノマーから得られるモノマー単位を含有する。別の実施形態では、ポリマー材料は、25〜60重量%の無水マレイン酸から得られるモノマー単位、30〜75重量%のジビニルベンゼンから得られるモノマー単位、及び1〜30重量%(又は10〜30重量%)のスチレン型モノマーから得られるモノマー単位を含有する。別の実施形態では、ポリマー材料は、30〜60重量%の無水マレイン酸から得られるモノマー単位、30〜65重量%のジビニルベンゼンから得られるモノマー単位、及び5〜20重量%(又は10〜20重量%)のスチレン型モノマーから得られるモノマー単位を含有する。更に別の実施形態では、ポリマー材料は、40〜60重量%の無水マレイン酸から得られるモノマー単位、30〜55重量%のジビニルベンゼンから得られるモノマー単位、及び5〜20重量%(又は10〜20重量%)のスチレン型モノマーから得られるモノマー単位を含有する。
モノマー混合物に加えて、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料を形成するために使用される重合性組成物は、有機溶媒を含む。重合性組成物は、重合前には単一の相である。言い換えると、重合前には、重合性組成物は懸濁液ではない。有機溶媒は、モノマー混合物中に含まれるモノマーを溶解し、ポリマー材料が形成し始めるときにこれを可溶化するように選択される。
有機溶媒は、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料が形成される際にポロゲンとして機能することができる。有機溶媒の選択は、BET比表面積、及び未加水分解ポリマー材料中に形成される細孔の径に大きく影響し得る。モノマー及び形成するポリマーの両方と混和性の有機溶媒を使用することにより、マイクロ細孔及びメソ細孔を有するポリマー材料が形成されやすくなる。モノマー及び形成するポリマーに好適な溶媒を用いることにより、最終的なポリマー材料の多孔度のより多くの部分がマイクロ細孔及びメソ細孔の形態になりやすい。
モノマー及び形成するポリマー材料の両方を溶解することができる有機溶媒としては、ケトン、エステル、アセトニトリル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。得られる未加水分解ポリマー材料が少なくとも100m2/gに相当するBET比表面積を有するという条件で、これらの有機溶媒の1種以上とともに他の有機溶媒を添加することができる。好適なケトンの例としては、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのアルキルケトンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なエステルの例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、及び酢酸tert−ブチルなどの酢酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
有機溶媒は、任意の望ましい量で使用することができる。重合性組成物は、多くの場合、1〜70重量%の範囲の固形分率(%)を有する。固形分率が低すぎると、重合時間が不必要に長くなることがある。固形分率は、多くの場合、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%である。しかしながら固形分率が高すぎると、モノマーは有機溶媒とともに単一の相を形成しない。更に、固形分率を増加させると、より大きい径の細孔が形成されやすくなり、結果としてポリマー材料はより小さいBET比表面積を有しやすくなる。固形分率は、70重量%まで、65重量%まで、60重量%まで、50重量%まで、40重量%まで、30重量%まで、又は25重量%までとすることができる。例えば、固形分率は、5〜70重量%、5〜60重量%、10〜60重量%、20〜60重量%、又は25〜50重量%の範囲であってもよい。
モノマー混合物及び有機溶媒に加えて、重合性組成物は通常、フリーラジカル重合反応のための開始剤を含む。任意の好適なフリーラジカル開始剤を使用することができる。好適なフリーラジカル開始剤は、通常、重合性組成物中に含まれるモノマーと混和性であるように選択される。いくつかの実施形態では、フリーラジカル開始剤は、室温よりも高い温度で活性化され得る熱開始剤である。別の実施形態では、フリーラジカル開始剤はレドックス開始剤である。重合反応はフリーラジカル反応であるため、重合性組成物中の酸素の量を最小限に抑えることが望ましい。
開始剤の種類及び量はいずれも重合速度に影響し得る。一般に、開始剤の量を増加させることにより、BET比表面積は小さくなる傾向がある。しかし、開始剤の量が少なすぎる場合、モノマーからポリマー材料への高転換率を得ることは困難である可能性がある。フリーラジカル開始剤は、通常、0.05〜10重量%、0.05〜8重量%、0.05〜5重量%、0.1〜10重量%、0.1〜8重量%、0.1〜5重量%、0.5〜10重量%、0.5〜8重量%、0.5〜5重量%、1〜10重量%、1〜8重量%、又は1〜5重量%の範囲の量で存在する。重量%は、重合性組成物中のモノマーの総重量に対するものである。
好適な熱開始剤としては、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。アゾ化合物の例としては、E.I.du Pont de Nemours Co.(Wilmington,DE)からVAZOという商品名で市販されているもの、例えば、VAZO 64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBNと呼ばれることが多い)及びVAZO 52(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)などが挙げられるが、これらに限定されない。他のアゾ化合物は、Wako Chemicals USA,Inc.(Richmond,VA)から市販されており、例えば、V−601(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート))、V−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、及びV−59(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))などである。有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル(BPO)などのビス(1−オキソアリール)ペルオキシド、過酸化ラウロイルなどのビス(1−オキソアルキル)ペルオキシド、及び過酸化ジクミル又は過酸化ジ−tert−ブチルなどのジアルキルペルオキシド、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。熱開始剤を活性化するのに必要な温度は、多くの場合、25℃〜160℃の範囲、30℃〜150℃の範囲、40℃〜150℃の範囲、50℃〜150℃の範囲、50℃〜120℃の範囲、又は50℃〜110℃の範囲である。
好適なレドックス開始剤としては、アリールスルフィン酸塩、トリアリールスルホニウム塩、又は酸化状態の金属、過酸化物若しくは過硫酸塩と組み合わせたN,N−ジアルキルアニリン(例えば、N,N−ジメチルアニリン)が挙げられる。具体的なアリールスルフィン酸塩としては、テトラブチルアンモニウム4−エトキシカルボニルベンゼンスルフィネート、テトラブチルアンモニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネート、及びテトラブチルアンモニウム3−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネートなどのテトラアルキルアンモニウムアリールスルフィネートが挙げられる。具体的なトリアリールスルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウム陽イオンを有するもの、並びにPF6 −、AsF6 −、及びSbF6 −から選択される陰イオンを有するものが挙げられる。好適な金属イオンとしては、例えば、3族金属、遷移金属、及びランタニド金属のイオンが挙げられる。具体的な金属イオンとしては、Fe(III)、Co(III)、Ag(I)、Ag(II)、Cu(II)、Ce(III)、Al(III)、Mo(VI)、及びZn(II)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどが挙げられる。好適な過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸テトラアルキルアンモニウム(例えば、過硫酸テトラブチルアンモニウム)などが挙げられる。
重合性組成物は通常、界面活性剤を含まないか又は実質的に含まない。本明細書で使用する場合、界面活性剤に関する「実質的に含まない」という用語は、界面活性剤が重合性組成物に意図的に添加されていることはなく、存在し得る界面活性剤は、重合性組成物の成分のうちの1つに存在する不純物(例えば有機溶媒又はモノマーのうちの1つに存在する不純物)に由来するものであることを意味する。重合性組成物は通常、重合性組成物の総重量に基づいて0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満の界面活性剤を含有する。界面活性剤は多孔質材料中のマイクロ細孔及びメソ細孔への進入を制限しやすく、場合によってはこれらの細孔を塞ぎやすいため、これらの材料を含まないことが有利である。界面活性剤が存在することにより、金属含有ポリマー材料の低分子量の塩基性分子を吸着する能力が低減し得る。
重合性組成物がフリーラジカル開始剤の存在下で加熱されると、モノマー混合物中のモノマーの重合が起こる。モノマー混合物中の各モノマーの量のバランスをとることによって、かつ、モノマーの全て及び成長中のポリマー材料をその初期の形成段階において可溶化することができる有機溶媒を選択することによって、少なくとも100m2/gに相当するBET比表面積を有する未加水分解ポリマー材料を調製することができる。未加水分解ポリマーのBET比表面積は、少なくとも150m2/g、少なくとも200m2/g、少なくとも250m2/g、又は少なくとも300m2/gであり得る。BET比表面積は、例えば、1000m2/gまで又はそれ以上、900m2/gまで、800m2/gまで、750m2/gまで、又は700m2/gまでとすることができる。
大きいBET比表面積は、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料中にマイクロ細孔及び/又はメソ細孔が存在することに少なくとも部分的に起因し得る。未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料のアルゴン吸着等温線は、0.1より低い相対圧力でかなりの吸着があることを示しており、これはマイクロ細孔が存在することを示唆している。約0.95までのより高い相対圧力で、吸着は増加する。この増加は、メソ細孔が広く分布していることを示す。いくつかの実施形態では、BET比表面積の少なくとも20%は、マイクロ細孔及び/又はメソ細孔が存在することに起因し得る。マイクロ細孔及び/又はメソ細孔が存在することに起因し得るBET比表面積の比率は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%であり得る。いくつかの実施形態では、マイクロ細孔及び/又はメソ細孔が存在することに起因し得るBET比表面積の比率は、90%まで若しくはそれ以上、80%まで若しくはそれ以上、又は75%まで若しくはそれ以上とすることができる。
未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は顆粒状であり、二価金属を組み込むためにポリマー材料として直接使用して、金属含有ポリマー材料を形成することができる。あるいは、未加水分解ポリマー材料を加水分解剤で処理して、部分的に又は完全に加水分解されたジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料を提供することができる。加水分解剤は無水マレイン酸単位と反応して、2個のカルボン酸基(−COOH基)が形成する。無水マレイン酸単位の酸無水物基(−(CO)−O−(CO)−)と反応することができる任意の好適な加水分解剤を使用することができる。多くの実施形態において、加水分解剤は、水に溶解した塩基性物質などの塩基である。塩基性物質の1つの例は、水酸化ナトリウム(例えば、水酸化ナトリウムの水溶液)などのアルカリ金属水酸化物である。あるいは、加水分解剤は、高温(例えば、室温より高温〜沸点)においては水のみ、又はやや高温(例えば、室温より高温〜約80℃)においては希酸であり得る。多くの実施形態において、好ましい加水分解剤は、アルカリ金属水酸化物などの塩基である。未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料を、水又はメタノールなどのアルコール中に溶解したアルカリ金属水酸化物の溶液と混合する。混合物を、数時間(例えば、4〜12時間)にわたって80℃付近の温度で加熱する。次いで、加水分解されたポリマー材料を塩酸で処理して、全てのカルボン酸塩をカルボン酸基に変換することができる。
未加水分解、部分加水分解、又は完全加水分解酸無水物ポリマー材料中に存在するモノマー単位に関して言えば、ポリマー材料は、i)15〜65重量%の、式(I)
若しくは式(II)
で表されるか、又はそれらの混合物である第1のモノマー単位、ii)30〜85重量%の、式(III)で表される第2のモノマー単位、及び
iii)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の、式(IV)で表される第3のモノマー単位
(式中、R
1は、水素又はアルキルである)を含有する。式(I)は、無水マレイン酸から得られる未加水分解モノマー単位に相当する。この未加水分解モノマー単位は、酸無水物基(−(CO)−O−(CO)−)を含む。式(II)は、無水マレイン酸から得られる加水分解モノマー単位に相当する。加水分解モノマー単位は、酸無水物基ではなく2つのカルボン酸基(−(CO)OH)を有する。式(III)は、ジビニルベンゼンから得られるモノマー単位に相当する。芳香環と結合した2つのアルキレン基は、互いにメタ位又はパラ位であり得る。式(IV)は、スチレン型モノマー単位に関するものである。R
1基は、水素又はアルキル(例えば、1〜4個の炭素原子又は2個の炭素原子を有するアルキル)である。多くの実施形態において、R
1はエチルであり、式(IV)で表されるモノマー単位は、ジビニルベンゼン中にしばしば存在する不純物であるエチルスチレンから得られる。R
1基は、芳香環に結合したアルキレン基に対してメタ位又はパラ位であることが多い。式(I)〜(IV)中の各アスタリスク(*)は、ポリマー材料中の別のモノマー単位への、又は末端基への結合部位を示す。第1、第2、及び第3のモノマー単位のそれぞれの量は、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料を形成するために使用される各モノマーの量に関して前述したものと同じである。
部分加水分解又は完全加水分解のいずれかであれば、ポリマー材料はカルボン酸基を含む。pHが十分に高い場合、ポリマー材料は負に帯電し得る。通常、ポリマー材料自体は正に帯電した基は有さない。
加水分解(例えば、完全加水分解)ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料より小さいBET比表面積を有する。酸無水物基の開環により、主鎖の立体配座の自由度は十分に大きくなり、多孔度は低下し得る。加えて、加水分解材料中のカルボン酸間の水素結合は、細孔への進入を制限するか又は妨げる可能性がある。加水分解ポリマー材料のBET比表面積は、多くの場合、未加水分解ポリマー材料のBET比表面積の約30〜80%、30〜60%、40〜80%、又は40〜60%である。この減少のため、多くの場合、可能な限り高いBET比表面積を有しながら、更に十分な無水マレイン酸単位を有して、二価金属の適切な組み込みを可能にする、未加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料を調製することが望ましい。
加水分解(例えば、完全加水分解)ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料は典型的には、少なくとも50m2/g又は少なくとも100m2/gに相当するBET比表面積を有する。いくつかの実施形態では、BET比表面積は、少なくとも150m2/g、少なくとも175m2/g、少なくとも200m2/g、少なくとも225m2/g、少なくとも250m2/g、又は少なくとも300m2/gである。BET比表面積は、600m2/gまで若しくはそれ以上、500m2/gまで、又は400m2/gまでとすることができる。いくつかの実施形態では、BET比表面積は、50〜600m2/gの範囲、75〜600m2/gの範囲、100〜600m2/gの範囲、又は200〜600m2/gの範囲である。
加水分解(例えば、完全加水分解)ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料のアルゴン吸着等温線は、0.1より低い相対圧力でいくらかの吸着があることを示しており、これはマイクロ細孔が存在することを示唆している。約0.95までのより高い相対圧力で、吸着は増加する。この増大は、メソ細孔が広く分布していることを示すものである。いくつかの実施形態では、BET比表面積の少なくとも20%は、マイクロ細孔及び/又はメソ細孔が存在することに起因し得る。マイクロ細孔及び/又はメソ細孔が存在することに起因し得るBET比表面積の比率は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%であり得る。いくつかの実施形態では、マイクロ細孔及び/又はメソ細孔が存在することに起因し得るBET比表面積の比率は、90%まで若しくはそれ以上、80%まで若しくはそれ以上、又は75%まで若しくはそれ以上であり得る。多くの実施形態において、BET比表面積は、主にメソ細孔の存在に起因し得る。
ポリマー材料(すなわち、未加水分解、部分加水分解又は完全加水分解ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料)が形成された後、二価金属がポリマー材料中に組み込まれる。二価金属は通常、水中に溶解した金属塩の溶液でポリマー材料を処理することによって組み込まれる。金属塩は、二価金属(すなわち、酸化状態+2の金属)である陽イオン及び陰イオンを含有する、好適な金属イオン(二価金属)は、典型的には、周期表の2族又は6〜12族から選択される。二価金属の例としては、クロム、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、マンガン、カドミウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、バリウム、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態において、二価金属は、例えば、クロム、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄、又はそれらの混合物などの6〜12族金属である。いくつかの特定の実施形態では、二価金属は、銅、コバルト、亜鉛、又はニッケルである。いくつかの更により特定の実施形態では、二価金属は、亜鉛又は銅である。
金属塩は通常、水溶性のものから選択される。金属塩の陰イオンは、多くの場合、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン)、硝酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、ギ酸イオン、及びプロパン酸イオン)、又はハロゲン置換カルボン酸イオン(例えば、クロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、及びクロロ置換プロパン酸イオン)である。多くの実施形態において、陰イオンは、塩化物イオン、酢酸イオン、又は硝酸イオンである。
具体的な金属塩の例としては、酢酸亜鉛、酢酸銅、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉄、酢酸マンガン、酢酸クロム、酢酸カドミウム、ギ酸亜鉛、ギ酸銅、ギ酸ニッケル、ギ酸コバルト、ギ酸鉄、ギ酸マンガン、ギ酸カドミウム、プロパン酸亜鉛、プロパン酸銅、プロパン酸ニッケル、プロパン酸コバルト、プロパン酸鉄、プロパン酸マンガン、プロパン酸カドミウム、クロロ酢酸亜鉛、クロロ酢酸銅、クロロ酢酸ニッケル、クロロ酢酸コバルト、クロロ酢酸鉄、クロロ酢酸マンガン、クロロ酢酸カドミウム、ジクロロ酢酸亜鉛、ジクロロ酢酸銅、ジクロロ酢酸ニッケル、ジクロロ酢酸コバルト、ジクロロ酢酸鉄、ジクロロ酢酸マンガン、ジクロロ酢酸カドミウム、塩化亜鉛、塩化銅、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化鉄、塩化マンガン、塩化カドミウム、塩化クロム、塩化マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸マンガン、硫酸カドミウム、硝酸亜鉛、硝酸銅、硝酸ニッケル、硝酸コバルト、及び硝酸鉄などが挙げられるが、これらに限定されない。
二価金属は通常、水中に溶解したこれらの金属塩の溶液でポリマー材料を処理することによって組み込まれる。金属塩溶液の濃度は、多くの場合、0.1〜10mol/Lの範囲である。いくつかの実施形態では、この濃度は、0.5〜10mol/Lの範囲、1〜10mol/Lの範囲、1〜8mol/Lの範囲、2〜8mol/Lの範囲、又は3〜6mol/Lの範囲である。得られる溶液を、ポリマー材料と混合する。金属塩の量は通常、二価金属のモル数が、ポリマー材料中の酸無水物基、カルボキシル基(−COOH基)、又はこれら両方のモル数に対して過剰となるように添加される。
ポリマー材料と金属塩溶液との混合時間は、多くの場合、1時間まで、2時間まで、4時間まで、8時間まで、16時間まで、24時間まで、又は48時間までである。混合温度は、室温又はそれより高温であり得る。次いで、金属含有ポリマー材料を水から分離し、乾燥する。任意の好適な乾燥方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、金属含有ポリマー材料を、80℃〜120℃に設定したオーブン中で真空乾燥する。未加水分解ポリマー材料又は部分加水分解ポリマー材料中への二価金属の組み込みプロセスにより、酸無水物基の少なくとも一部がいくらか加水分解する又は更に加水分解する可能性がある。
いくつかの実施形態では、得られる金属含有ポリマー材料は、ポリマー材料の総重量に基づいて少なくとも10重量%の二価金属を含有する。二価金属の量は、ポリマー材料の総重量に基づいて少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%とすることができる。金属含有ポリマー材料は、100重量%まで又はそれ以上の二価金属を含むことができる(すなわち、二価金属の重量は、ポリマー材料の重量と等しいか、又はそれを超えてもよい)。例えば、この量は、ポリマー材料の総重量に基づいて90重量%まで、80重量%まで、75重量%まで、70重量%まで、60重量%まで、又は50重量%までであってもよい。例えば、この量は、多くの場合、10〜100重量%、10〜80重量%、10〜60重量%、10〜50重量%、10〜40重量%、10〜30重量%、15〜60重量%、15〜50重量%、15〜40重量%、15〜30重量%、20〜60重量%、20〜50重量%、20〜40重量%又は20〜30重量%の範囲である。
別の実施形態では、又は言い換えると、得られる金属含有ポリマー材料は、ポリマー材料1g当たり少なくとも1.5mmol(ミリモル)の二価金属を含有する。二価金属の量は、ポリマー材料1g当たり少なくとも2.0mmol、少なくとも2.25mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも3.75mmol、少なくとも4.0mmol、少なくとも4.5mmol、少なくとも5mmol、少なくとも6.0mmol、少なくとも7mmol、又は少なくとも7.5mmolであり得る。金属含有ポリマー材料は、1g当たり15mmolまで又はそれ以上の二価金属を含むことができる。例えば、この量は、ポリマー材料1g当たり14mmolまで、13.5mmolまで、13mmolまで、12mmolまで、11.25mmolまで、11mmolまで、10.5mmolまで、10mmolまで、9mmolまで、8mmolまで、又は7.5mmolまでであってもよい。例えば、この量は、多くの場合、ポリマー材料1g当たり1.5〜15mmol、1.5〜12mmol、1.5〜9mmol、1.5〜7.5mmol、1.5〜6mmol、1.5〜4.5mmol、2.25〜9mmol、2.25〜7.5mmol、2.25〜6mmol、2.25〜5mmol、2.25〜4.5mmol、3.0〜9mmol、3.0〜7.5mmol、3.0〜6mmol、又は3.0〜4.5mmolの範囲である。
要約すると、金属含有ポリマー材料は、a)ポリマー材料と、b)ポリマー材料の重量に対して少なくとも10重量%(又はポリマー材料1g当たり少なくとも1.5mmol)に相当する量の、ポリマー材料中に組み込まれた(すなわち、吸着された)二価金属と、を含む。ポリマー材料は、i)15〜65重量%の、式(I)
若しくは式(II)
で表されるか、又はそれらの混合物である第1のモノマー単位、ii)30〜85重量%の、式(III)で表される第2のモノマー単位、及び
iii)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の、式(IV)で表される第3のモノマー単位
(式中、R
1は、水素又はアルキルである)を含有する。
いくつかの実施形態では、金属含有ポリマー材料は、酸塩基指示薬を更に含む。酸塩基呈色指示薬(すなわち、酸性型から塩基性型に変化するときに色が変わる染料(通常は有機染料))は、二価金属と同時に添加されることが多い。酸塩基呈色指示薬は通常、吸着されている窒素含有化合物の塩基性度が、酸塩基呈色指示薬を酸性型から塩基性型に変化させるのに十分なものであるように選択される。
適切な酸塩基呈色指示薬の選択において更に考慮するべきこととして、二価金属の窒素含有化合物吸着能力の全て又はほとんど全てがなくなるまで酸塩基指示薬の色が変わらないように、二価金属よりも窒素含有化合物に対する親和性が十分に低い酸塩基指示薬を選択することが含まれる。すなわち、酸塩基呈色指示薬は、利用可能な二価金属原子の全部又は大部分の、窒素含有化合物の吸着能力がなくなったときに、第1の色から第2の色に変わるように選択される。その場合、色の変化は、ポリマー吸着剤が窒素含有化合物を吸着する能力の限度に達したか、又は限度に近いことを知らせる。本明細書において使用する場合、「限度に近い」という用語は、能力の限度の少なくとも60%以上に達する(すなわち、利用可能な吸着サイトの少なくとも60%以上が窒素含有化合物の吸着に使用されている)ことを意味する。例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の吸着サイトが、窒素含有化合物の吸着に使用されている。
酸塩基呈色指示薬の選択において最後に考慮するべきこととして、金属含有ポリマー材料の本来の色を考慮することが含まれる。一部の二価金属は、多孔質ポリマー材料中に組み込まれた場合、得られる金属含有ポリマー材料に色を付ける(すなわち、ZnCl2金属含有ポリマー材料はピンク色であり、CuCl2金属含有ポリマー材料は暗灰色/緑色であり、NiCl2金属含有ポリマー材料は黄褐色である)。金属含有ポリマー材料自体の本来のものであり得る色の変化を考えて、酸性型から塩基性型への色の変化が明らかな酸塩基呈色指示薬を選択することが重要であり得る。呈色による指示に広範囲な色を利用可能にするために、また場合によっては、一部の金属含有ポリマー材料の色変化の感湿性を軽減するために、窒素含有化合物を吸着する際にもともと色が変化する金属含有ポリマー材料であっても、酸塩基指示薬を添加することが有利であり得る。
酸塩基呈色指示薬の例としては、メチルレッド、ブロモキシレノールブルー、パラローザニリン、クリソイジン、チモールブルー、メチルイエロー、ブロモフェニルブルー、コンゴレッド、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、アゾリトミン、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、及びチモールフタレインが挙げられるが、これらに限定されない。酸塩基呈色指示薬は、任意の好適な方法を使用してポリマー吸着剤に添加することができる。いくつかの実施形態では、ポリマー吸着剤を、酸塩基呈色指示薬の溶液中に少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、又は少なくとも8時間、浸漬する。酸塩基呈色指示薬の溶液は、多くの場合、1〜10mg/mlの範囲の濃度である。多くの場合、約0.5gのポリマー吸着剤を、約10mlの溶液中に浸漬する。
ポリマー材料は加水分解されていなくても、部分的に加水分解されていても、又は完全に加水分解されていてもよいが、いくつかの用途では、完全加水分解ポリマー材料を使用することが好ましい場合がある。未加水分解又は部分加水分解ポリマー材料は時間とともに変化する(すなわち、性能特性を変え得る加水分解又は更なる加水分解を受けやすい)ため、加水分解ポリマー材料は、このような材料のいずれよりも安定して機能し得る。
亜鉛含有、コバルト含有、ニッケル含有、及びマグネシウム含有ポリマー材料などを用いるいくつかの実施形態では、二価金属はイオン種として存在し得る。イオン型の二価金属では、金属種を含む結晶相は通常、X線回折を使用して金属含有ポリマー材料を分析した場合に検出することができない。銅含有ポリマー材料などを用いる別の実施形態では、二価金属は酸化物として存在し得る。金属酸化物の場合、結晶相は、X線回折を使用して金属含有ポリマー材料を分析した場合に検出することができる。
赤外分光法を使用して分析した場合、二価金属が組み込まれた後のポリマー材料ではカルボニルピークのシフトが観察され得る。理論に束縛されるものではないが、二価金属は、ポリマー材料中のカルボキシル基又は酸無水物基と会合しているであろう(すなわち、金属はそれらと相互作用又は配位しているであろう)と考えられる。
金属含有ポリマー材料の一部は有色であることがある。いくつかの有色である例としては、亜鉛(II)、銅(II)、及びニッケル(II)を含有するものが挙げられるが、これらに限定されない。亜鉛含有ポリマー材料は多くの場合、ピンク色であり、銅含有ポリマー材料は多くの場合、暗い灰みの緑色であり、ニッケル含有ポリマー材料は多くの場合、黄褐色である。
金属含有ポリマー材料は典型的には、相当するポリマー材料より小さいBET比表面積を有する。二価金属はポリマー材料の細孔中に存在し、BET比表面積を減少させる。多くの実施形態において、BET表面積は、少なくとも15m2/g、少なくとも20m2/g、少なくとも25m2/g、少なくとも30m2/g、少なくとも40m2/g、又は少なくとも50m2/gである。
形成及び乾燥の後、金属含有ポリマー材料を使用して、塩基性窒素含有化合物の蒸気を捕捉することができる。よって、塩基性窒素含有化合物の捕捉方法が提供される。方法は、前述の金属含有ポリマー材料を提供する工程と、次いで金属含有ポリマー材料を式Qの塩基性窒素含有化合物の蒸気に曝露させる工程と、を含む。金属錯体が形成される。金属錯体は、前述の二価金属と少なくとも1種の式Qの化合物との反応生成物を含む。
二価金属と反応して金属錯体を形成する式Qの塩基性窒素含有化合物は、ルイス塩基、ブレンステッド−ローリー塩基、又は両方に分類され得る。好適な塩基性窒素含有化合物は、多くの場合、低分子量(例えば、150g/mol以下)を有する。すなわち、塩基性窒素含有化合物は、室温において又は室温付近で揮発性であり得、又は使用条件下で揮発性であり得る。塩基性窒素含有化合物の例としては、アンモニア、ヒドラジン化合物、アミン化合物(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルカノールアミン、アルキレンジアミン、アリールアミン)、及び窒素含有複素環式(飽和及び不飽和)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な塩基性窒素含有化合物としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ピリジン、ベンジルアミン、フェニルヒドラジン、エチレンジアミン、及び1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
塩基性窒素含有化合物の蒸気に曝露させた後、金属含有ポリマー材料は金属錯体含有ポリマー材料に変換される。金属錯体含有ポリマー材料は、a)ポリマー材料と、b)ポリマー材料中に組み込まれた(すなわち、吸着された)金属錯体と、を含む。ポリマー材料は、i)15〜65重量%の、式(I)
若しくは式(II)
で表されるか、又はそれらの混合物である第1のモノマー単位、ii)30〜85重量%の、式(III)で表される第2のモノマー単位、及び
iii)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の、式(IV)で表される第3のモノマー単位
(式中、R
1は、水素又はアルキルである)を含有する。金属錯体は、二価金属と少なくとも1種の塩基性窒素含有化合物との反応生成物を含む。
金属錯体含有ポリマー材料の多くの実施形態において、ポリマー材料中に組み込まれた二価金属は金属錯体に変換されないままである。すなわち、金属錯体含有ポリマー材料は、塩基性窒素含有化合物と錯体を形成していない二価金属と少なくとも1種の塩基性窒素含有化合物と錯体を形成している二価金属との混合物を含む。
二価金属の総量(塩基性窒素含有化合物と錯体を形成しているかいないかにかかわらず)は、ポリマー材料の総重量に基づいて少なくとも10重量%である。二価金属の総量は、ポリマー材料の総重量に基づいて少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%であり得る。この量は、100重量%まで又はそれ以上であってもよい。例えば、この量は、ポリマー材料の総重量に基づいて90重量%まで、80重量%まで、75重量%まで、70重量%まで、60重量%まで、又は50重量%までであってもよい。例えば、この量は、多くの場合、10〜100重量%、10〜80重量%、10〜60重量%、10〜50重量%、10〜40重量%、10〜30重量%、15〜60重量%、15〜50重量%、15〜40重量%、15〜30重量%、20〜60重量%、20〜50重量%、20〜40重量%又は20〜30重量%の範囲である。
言い換えると、二価金属の総量(塩基性窒素含有化合物と錯体を形成しているかいないかにかかわらず)は、ポリマー材料1g当たり少なくとも1.5mmolである。二価金属の総量は、ポリマー材料1g当たり少なくとも3.0mmol、少なくとも3.75mmol、少なくとも4.5mmol、少なくとも6mmol、又は少なくとも7.5mmolであり得る。二価金属の総量は、1g当たり15mmolまで又はそれ以上であってもよい。例えば、この量は、ポリマー材料1g当たり13.5mmolまで、12mmolまで、11.25mmolまで、10.5mmolまで、9mmolまで、又は7.5mmolまでであってもよい。例えば、二価金属の総量は、ポリマー材料1g当たり1.5〜15mmol、1.5〜12mmol、1.5〜9mmol、1.5〜7.5mmol、1.5〜6mmol、1.5〜4.5mmol、2.25〜9mmol、2.25〜7.5mmol、2.25〜6mmol、2.25〜5mmol、2.25〜4.5mmol、3.0〜9mmol、3.0〜7.5mmol、3.0〜6mmol、又は3.0〜4.5mmolの範囲であり得る。
金属含有ポリマー材料によって吸着される(例えば、錯体を形成する)塩基性窒素含有化合物の最大量は、ポリマー材料中に組み込まれた二価金属の量と関連する。吸着される塩基性窒素含有化合物の最大量は、多くの場合、金属含有ポリマー材料1g当たり少なくとも0.5ミリ当量(すなわち、金属含有ポリマー材料1g当たり吸着される塩基性窒素含有化合物は0.5ミリ当量)であり、10ミリ当量/gまで又は更に多くてもよい。多くの実施形態において、吸着される最大量は、少なくとも1ミリ当量/g、少なくとも2ミリ当量/g、又は少なくとも3ミリ当量/gである。吸着される量は、例えば、9ミリ当量/gまで、8ミリ当量/gまで、7ミリ当量/gまで、6ミリ当量/gまで、又は5ミリ当量/gまでであってもよい。
金属含有ポリマー材料中の二価金属の量は、塩基性窒素含有化合物を吸着する能力を最大にするために重要な因子であるが、それを超えると能力が増え続けなくなる二価金属の上限量に達する。すなわち、ある点を超えると、より多くの二価金属を金属含有ポリマー材料中に組み込んでも、塩基性窒素含有化合物の能力は増加しない。組み込まれた二価金属の量が多すぎれば、ポリマー材料の表面は二価金属で飽和する可能性があり、二価金属のクラスター形成及び/又は層形成をもたらす場合がある。クラスター形成及び/又は層形成は、塩基性窒素含有化合物との配位(すなわち、錯体形成)に利用可能な二価金属の量を減少させ得る。よって、ポリマー材料中に組み込まれる二価金属の量を最適化して、塩基性窒素含有化合物の最大吸着能力を得ることができる。
ポリマー材料の多孔度もまた、金属含有材料が塩基性窒素含有化合物を吸着する能力に影響を及ぼす。典型的には、多孔度がより高いポリマー材料では、官能基部位に非常に到達しやすい。より高い多孔度のポリマー材料では、おそらくポリマー材料中にメソ細孔及び/又はマイクロ細孔が存在するために、通常はより多量の二価金属が組み込まれる。より多量の二価金属を組み込むこと(少なくともクラスター形成及び/又は層形成が起こる点を超えて)により、塩基性窒素含有化合物が吸着するために利用可能な配位部位はより多くなる。ポリマー材料の多孔度及びBET比表面積は、ポリマー材料を調製するために使用する架橋の量(すなわち、ジビニルベンゼンの量)、並びにポリマー材料の形成中に存在する有機溶媒の種類(identity)及び量によって変えることができる。
いくつかの実施形態では、金属含有ポリマー材料中の二価金属の一部のみが、式Qの塩基性窒素含有化合物と錯体を形成している。すなわち、Qの最大量は吸着されていない。この場合、ポリマー材料は、金属錯体と、塩基性窒素含有化合物と錯体を形成していない二価金属との両方を含有する。
金属含有ポリマー材料上に式Qの塩基性窒素含有化合物を捕捉する(すなわち、吸着する)任意の方法を使用することができる。本方法を使用して、例えば、アンモニア又は別の式Qの塩基性窒素含有化合物への曝露があったかどうかを判定することができる。捕捉は、例えば、塩基性窒素含有化合物の有無を検出するために使用されるセンサーコンポーネント内で起こり得る。より詳細には、金属含有ポリマー材料は、センサーコンポーネントの一部であり得る。センサーは、塩基性窒素含有化合物の検出が望ましい場所に配置することができる。
いくつかの実施形態では、金属含有ポリマー材料中の二価金属が亜鉛、ニッケル、又は銅から選択される場合は特に、塩基性窒素含有化合物に曝露した際に色の変化が起こる。例えば、塩基性窒素含有化合物に曝露した際に、亜鉛含有ポリマー材料はピンク色から黄褐色に変わり、銅含有ポリマー材料は暗い灰みの緑色から青緑色に変わり、ニッケル含有ポリマー材料は黄褐色からオリーブグリーン色に変わる。この色の変化を使用して、塩基性窒素含有化合物に曝露したことを示すことができる。塩基性窒素含有化合物に曝露した後の色の強度は、曝露量に関連し得る。
塩基性窒素含有化合物への曝露を検出する呈色法に加えて、他の分析技術を使用することもできる。例えば、金属含有ポリマー材料は、窒素含量について分析することができる。別の例として、塩基性窒素含有材料の存在は、熱重量分析によって検出してもよい(例えば、温度を上昇させながら、塩基性窒素含有化合物の重量減少を検出することができる)。
式Qの塩基性窒素含有化合物を捕捉するのに有用であるだけでなく、亜鉛含有ポリマー材料は、水蒸気の存在(又はそれへの曝露)を検出するためにも使用することができる。方法は、二価金属がZn(II)である前述の亜鉛含有ポリマー材料を提供する工程と、次いで亜鉛含有ポリマー材料を水蒸気(空気中又は気体組成物中の水分など)に曝露させる工程と、を含む。亜鉛含有ポリマー材料の色は、水蒸気に曝露した後、ピンク色から黄褐色に変わる。亜鉛含有ポリマー材料は、乾燥剤における指示薬として使用することができ、又は一般に使用される発がん性の塩化コバルトの代わりに湿度インジケーターカードにおいて使用することができる。吸着される水蒸気の最大量は、亜鉛含有ポリマー材料によって吸着することができる揮発性の塩基性窒素含有化合物の最大量と同等である。
金属含有ポリマー材料、塩基性窒素含有化合物の捕捉方法、金属錯体含有ポリマー材料、金属含有化合物の調製方法、金属錯体含有ポリマー材料の調製方法、及び水蒸気の存在を検出する方法である様々な実施形態が提供される。
実施形態1Aは、a)ポリマー材料と、b)ポリマー材料中に組み込まれた二価金属と、を含む金属含有ポリマー材料であって、二価金属は、ポリマー材料の総重量に基づいて少なくとも10重量%(又はポリマー材料1g当たり少なくとも1.5mmol)に相当する量で存在する、金属含有ポリマー材料である。ポリマー材料は、i)15〜65重量%の、式(I)
若しくは式(II)
で表されるか、又はそれらの混合物である第1のモノマー単位、ii)30〜85重量%の、式(III)で表される第2のモノマー単位、及び
iii)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の、式(IV)で表される第3のモノマー単位
(式中、R
1は、水素又はアルキルである)を含有する。式(I)〜(IV)中の各アスタリスク(*)は、ポリマー材料中の別のモノマー単位への、又は末端基への結合部位を示す。
実施形態2Aは、ポリマー材料中に組み込まれた二価金属の量が、ポリマー材料の重量に対して10〜100重量%の範囲(又はポリマー材料1g当たり1.5〜15mmolの範囲)である、実施形態1Aに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態3Aは、二価金属が、IUPAC元素周期表の2族又は6〜12族金属から選択される、実施形態1A又は2Aに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態4Aは、二価金属が、IUPAC元素周期表の6〜12族金属から選択される、実施形態1A〜3Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態5Aは、二価金属が、銅、コバルト、亜鉛、又はニッケルである、実施形態1A〜4Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態6Aは、二価金属が、亜鉛又は銅である、実施形態1A〜5Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態7Aは、二価金属が亜鉛である、実施形態1A〜6Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態8Aは、ポリマー材料が、i)25〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜75重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び1〜30重量%(又は10〜30重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1A〜7Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態9Aは、ポリマー材料が、i)30〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜65重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及びiii)5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1A〜8Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態10Aは、ポリマー材料が、i)40〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜55重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1A〜9Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態11Aは、金属含有ポリマー材料が、少なくとも15m2/g又は少なくとも25m2/gに相当するBET比表面積を有する、実施形態1A〜10Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態12Aは、金属含有ポリマー材料が、金属含有ポリマー材料1g当たり0.5〜10ミリ当量の範囲の量の式Qの塩基性窒素含有化合物を吸着する、実施形態1A〜11Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態13Aは、金属含有ポリマー材料が、酸塩基呈色指示薬を更に含む、実施形態1A〜12Aのいずれか1つに記載の金属含有ポリマー材料である。
実施形態1Bは、塩基性窒素含有化合物の捕捉方法である。方法は、金属含有ポリマー材料を提供する工程と、次いで金属含有ポリマー材料を塩基性窒素含有化合物の蒸気に曝露させる工程と、を含む。塩基性窒素含有化合物は、金属含有ポリマー材料の二価金属と反応して、金属錯体を形成する。金属含有ポリマー材料は、a)ポリマー材料と、b)ポリマー材料中に組み込まれた二価金属と、を含み、二価金属は、ポリマー材料の総重量に基づいて少なくとも10重量%(又はポリマー材料1g当たり少なくとも1.5mmol)に相当する量で存在する。ポリマー材料は、i)15〜65重量%の、式(I)
若しくは式(II)
で表されるか、又はそれらの混合物である第1のモノマー単位、ii)30〜85重量%の、式(III)で表される第2のモノマー単位、及び
iii)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の、式(IV)で表される第3のモノマー単位
(式中、R
1は、水素又はアルキルである)を含有する。式(I)〜(IV)中の各アスタリスク(*)は、ポリマー材料中の別のモノマー単位への、又は末端基への結合部位を示す。
実施形態2Bは、ポリマー材料中に組み込まれた二価金属の量が、ポリマー材料の重量に対して10〜100重量%の範囲(又はポリマー材料1g当たり1.5〜15mmolの範囲)である、実施形態1Bに記載の方法である。
実施形態3Bは、二価金属が、IUPAC元素周期表の2族又は6〜12族金属から選択される、実施形態1B又は2Bに記載の方法である。
実施形態4Bは、二価金属が、IUPAC元素周期表の6〜12族金属から選択される、実施形態1B〜3Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態5Bは、二価金属が、銅、コバルト、亜鉛、又はニッケルである、実施形態1B〜4Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態6Bは、二価金属が、亜鉛又は銅である、実施形態1B〜5Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態7Bは、二価金属が亜鉛である、実施形態1B〜6Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態8Bは、ポリマー材料が、i)25〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜75重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び1〜30重量%(又は10〜30重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1B〜7Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態9Bは、ポリマー材料が、i)30〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜65重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及びiii)5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1B〜8Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態10Bは、ポリマー材料が、i)40〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜55重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態11Bは、金属含有ポリマー材料が、少なくとも15m2/g又は少なくとも25m2/gに相当するBET比表面積を有する、実施形態1B〜10Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態12Bは、金属含有ポリマー材料を式Qの塩基性窒素含有化合物に曝露させた際に、金属含有ポリマー材料の色が変わる、実施形態1B〜11Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態13Bは、式Qの塩基性窒素含有化合物が、150g/mol以下の分子量を有する、実施形態1B〜12Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態14Bは、式Qの塩基性窒素含有化合物が、アンモニア、ヒドラジン化合物、アミン化合物、又は窒素含有複素環式化合物である、実施形態1B〜13Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態15Bは、式Qの塩基性窒素含有化合物が、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ピリジン、ベンジルアミン、フェニルヒドラジン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、又はそれらの混合物である、実施形態1B〜14Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態16Bは、塩基性窒素含有化合物が、金属含有ポリマー材料1g当たり少なくとも0.5ミリ当量に相当する量で吸着される、実施形態1B〜15Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態17Bは、塩基性窒素含有化合物が、金属含有ポリマー材料1g当たり0.5〜10ミリ当量の範囲の量で吸着される、実施形態1B〜16Bのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態1Cは、a)ポリマー材料と、b)ポリマー材料中に組み込まれた金属錯体と、を含む、金属錯体含有ポリマー材料である。ポリマー材料は、i)15〜65重量%の、式(I)
若しくは式(II)
で表されるか、又はそれらの混合物である第1のモノマー単位、ii)30〜85重量%の、式(III)で表される第2のモノマー単位、及び
iii)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の、式(IV)で表される第3のモノマー単位
(式中、R
1は、水素又はアルキルである)を含有する。金属錯体は、二価金属と少なくとも1種の塩基性窒素含有化合物との反応生成物を含有する。
実施形態2Cは、金属錯体含有ポリマー材料が、金属錯体の形態ではない二価金属を更に含む、実施形態1Cに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態3Cは、二価金属の総量が、ポリマー材料の総重量に基づいて10〜100重量%の範囲(又はポリマー材料1g当たり1.5〜15mmolの範囲)である、実施形態1C又は2Cに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態4Cは、塩基性窒素含有化合物が、150g/mol以下の分子量を有する、実施形態1C〜3Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態5Cは、塩基性窒素含有化合物が、アンモニア、ヒドラジン化合物、アミン化合物、又は窒素含有複素環式化合物である、実施形態1C〜4Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態6Cは、式Qの塩基性窒素含有化合物が、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ピリジン、ベンジルアミン、フェニルヒドラジン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、又はそれらの混合物である、実施形態1C〜5Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態7Cは、二価金属が、IUPAC元素周期表の2族又は6〜12族金属から選択される、実施形態1C〜6Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態8Cは、二価金属が、IUPAC元素周期表の6〜12族金属から選択される、実施形態1C〜7Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態9Cは、二価金属が、銅、コバルト、亜鉛、又はニッケルである、実施形態1C〜8Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態10Cは、二価金属が、亜鉛又は銅である、実施形態1C〜9Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態11Cは、二価金属が亜鉛である、実施形態1C〜10Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態12Cは、ポリマー材料が、i)25〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜75重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び1〜30重量%(又は10〜30重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1C〜11Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態13Cは、ポリマー材料が、i)30〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜65重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及びiii)5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1C〜12Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態14Cは、ポリマー材料が、i)40〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜55重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1C〜13Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態15Cは、金属含有ポリマー材料を式Qの塩基性窒素含有化合物の蒸気に曝露させた際に、金属含有ポリマー材料の色が変わる、実施形態1C〜14Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態16Cは、金属含有ポリマー材料が、金属含有ポリマー材料1g当たり0.5〜10ミリ当量の範囲の量の式Qの塩基性窒素含有化合物を吸着する、実施形態1C〜15Cのいずれか1つに記載の金属錯体含有ポリマー材料である。
実施形態1Dは、金属含有ポリマーの調製方法である。方法は、a)ポリマー材料を提供する工程と、b)ポリマー材料の重量に対して少なくとも10重量%(又はポリマー材料1g当たり少なくとも1.5mmol)の量の二価金属をポリマー材料に吸着させる工程と、を含む。ポリマー材料は、i)15〜65重量%の、式(I)
若しくは式(II)
で表されるか、又はそれらの混合物である第1のモノマー単位、ii)30〜85重量%の、式(III)で表される第2のモノマー単位、及び
iii)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の、式(IV)で表される第3のモノマー単位
(式中、R
1は、水素又はアルキルである)を含有する。
実施形態2Dは、二価金属の量が、ポリマー材料の重量に対して10〜100重量%の範囲(又はポリマー材料1g当たり1.5〜15mmolの範囲)である、実施形態1Dに記載の方法である。
実施形態3Dは、二価金属が、IUPAC元素周期表の2族又は6〜12族金属から選択される、実施形態1D又は2Dに記載の方法である。
実施形態4Dは、二価金属が、IUPAC元素周期表の6〜12族金属である、実施形態1D〜3Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態5Dは、二価金属が、銅、コバルト、亜鉛、又はニッケルである、実施形態1D〜4Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態6Dは、二価金属が、亜鉛又は銅である、実施形態1D〜5Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態7Dは、二価金属が亜鉛である、実施形態1D〜6Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態8Dは、ポリマー材料が、i)25〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜75重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び1〜30重量%(又は10〜30重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1D〜7Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態9Dは、ポリマー材料が、i)30〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜65重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及びiii)5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1D〜8Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態10Dは、ポリマー材料が、i)40〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜55重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1D〜9Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態11Dは、金属含有ポリマー材料が、少なくとも15m2/g又は少なくとも25m2/gに相当するBET比表面積を有する、実施形態1D〜10Dのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態1Eは、水蒸気の存在を検出する方法である。方法は、二価金属が亜鉛である(すなわち、金属含有ポリマー材料が実施形態7Aの亜鉛含有ポリマー材料である)前述の金属含有ポリマー材料を提供する工程と、次いで、亜鉛含有ポリマー材料を水蒸気に曝露させる工程と、を含む。亜鉛含有ポリマー材料は、亜鉛含有ポリマー材料を水蒸気に曝露させた後に色が変わる。
実施形態2Eは、亜鉛含有ポリマー材料が、ポリマー材料の重量に対して10〜100重量%の亜鉛(又はポリマー材料1g当たり1.5〜15mmolの範囲の亜鉛)を含む、実施形態1Eに記載の方法である。
実施形態3Eは、ポリマー材料が、i)25〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜75重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び1〜30重量%(又は10〜30重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1E又は2Eに記載の方法である。
実施形態4Eは、ポリマー材料が、i)30〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜65重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及びiii)5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1E〜3Eのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態5Eは、ポリマー材料が、i)40〜60重量%の式(I)若しくは式(II)で表されるか、又はそれらの混合物であるモノマー単位、ii)30〜55重量%の式(III)で表されるモノマー単位、及び5〜20重量%(又は10〜20重量%)の式(IV)で表されるモノマー単位を含む、実施形態1E〜4Eのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態6Eは、金属含有ポリマー材料が、少なくとも15m2/g又は少なくとも25m2/gに相当するBET比表面積を有する、実施形態1E〜5Eのいずれか1つに記載の方法である。
ガス吸着分析
Micromeritics Instrument Corporation(Norcross,GA)製のAccelerated Surface Area and Porosimetry(高効率比表面積/細孔分布測定)(ASAP)2020装置を使用して、多孔度及びガス吸着実験を行った。吸着質は、超高純度のものであった。以下は、例示されている材料内部の多孔度を特徴付けるために使用した典型的な方法である。Micromeriticsの直径1/2インチの試料チューブ内で、ASAP2020の分析ポート上で超高真空下(3〜7μmHg)で加熱することによって50〜250mgの材料を脱気して、残留溶媒及び他の吸着質を除去した。未加水分解コポリマーの脱気処理は、150℃で2時間であった。加水分解コポリマーの脱気処理は、80℃で2時間であった。金属含有コポリマーの脱気処理は、150℃で3時間であった。
0.1未満の相対圧力(p/p°)において低圧の投入量(5cm3/g)で、及び0.1〜0.98の範囲の相対圧力(p/p°)では線形的に圧力ポイントの間隔を空けた圧力テーブルを用いて、未加水分解及び加水分解コポリマーの77°Kにおけるアルゴン吸着等温線を得た。金属含有コポリマーの77°Kにおけるアルゴン吸着等温線は、0.1未満の相対圧力(p/p°)において低圧の投入量(2cm3/g)で、及び0.1〜0.98の範囲の相対圧力(p/p°)では線形的に圧力ポイントの間隔を空けた圧力テーブルを用いて得た。全ての等温線のための方法は、以下の平衡インターバルを使用した:10−5未満の相対圧力(p/p°)では90秒、10−5〜0.1の範囲の相対圧力(p/p°)では40秒、及び0.1より高い相対圧力(p/p°)では20秒。アルゴン吸着分析の後に、周囲温度及び77°Kの両方において、フリースペース測定のためにヘリウムを使用した。多点法Brunauer−Emmett−Teller(BET)分析によって、アルゴン吸着データからBET比表面積(SABET)を算出した。非線形密度汎関数理論(NLDFT)モデルにより炭素スリット細孔で77°Kにおいてアルゴンを使用して、密度汎関数理論(DFT)分析によってアルゴン吸着データから見かけのマイクロ細孔分布を算出した。約0.98に相当する相対圧力(p/p°)において吸着したアルゴンの総量から総細孔容積を算出した。BET、DFT及び総細孔容積分析は、Micromeritics MicroActive Version 1.01ソフトウェアを使用して実施した。
元素分析
秤量前に、試料をスチームプレート(steam plate)上で1時間乾燥した。酸洗浄した1×12インチの石英試験管に、試料(約0.2〜0.5g)を約0.1mg量り取った。次に濃硝酸(4mL)を各試料の試験管、及び対照として使用する2つの空の試験管に加えた。室温で15分間、試料を予備分解した。次に、全ての容器に蓋をし、Milestone UltraWaveマイクロ波装置中に入れた。ベース容器に、150mLのH2O及び5mLの濃硝酸を満たした。所定のプログラムで、最高温度240℃で試験管を加熱した。試料が冷めたら、内容物を遠心管に移し、18MΩの脱イオン水(DI H2O)で50mLまで希釈した。ICP−AES分析の前に、試料を更に1000倍の脱イオン水で希釈した。
元素分析に使用した機器は、Perkin Elmer Optima 4300DV ICP発光分光光度計であった。0、0.2、0.5、及び1ppmの各分析物を含有する、酸濃度を一致させた標準溶液を用いて作成した検量線に対して、試料を分析した。0.5ppmの品質管理用標準物質を使用して、分析中の検量線の精度を監視した。0.5ppmのスカンジウム溶液を試料及び標準物質と一緒に測定して、内部標準とした。この分析中に選別された元素は、Zn、Cu、Ni及びMgであった。
アンモニア容量試験
単純なフロースルー型の特注の送達システムを使用して、既知の濃度のアンモニアを測定用試料に送達した。送達システム全体にわたってステンレス鋼管を使用した。アンモニアは、窒素加圧ガスボンベ(Oxygen Service Company(St.Paul,MN,USA))中の無水の1%(10,000ピーピーエム(ppm))検査済みアンモニアからシステムに送達した。デジタルマスフローコントローラ(DFC26という商品名でAalborg(Orangeburg,NY,USA)から入手可能)シリーズを使用して、アンモニア/窒素流を追加の窒素で更に希釈して、1000ppmのアンモニア流を50mL/分の流量で試験管に送達した。Gilibrator−2一次気流較正装置(Sensidyne(St.Petersburg,FL,USA))を各コントローラの出力口に設置することによって、デジタルマスフローコントローラを較正した。Gilibrator流量計を使用して、検量線を作成するために使用した各フローコントローラからの一定範囲のフローを測定した。これらの検量線を使用して、マスフローコントローラを、所望のアンモニア濃度を所望のガス流量で送達するように設定した。
以下のとおり、試験材料のアンモニア除去能力を決定した。充填後の試験管内の層の厚さ(bed depth)が0.5センチメートル(cm)になるまで、ふるい分けた試験材料粒子を計量済み試験管に加えた。試験管の内径は0.7cmであった。次いで、試験管中の試験材料の重量を量ることによって、試験材料の質量を決定した。次いで、試験管をシステムと直列につなぎ、1000ppmのアンモニア気流が試験材料を通って流れるようにした。試験管の下流側に、ガスクロマトグラフ装置(SRI 8610C、SRI Instruments(Torrance,CA,USA))に通じる管を接続した。アンモニア気流が試験材料を通過し始めた時点で、試験は開始したとみなし、タイマーを開始した。次いで、SRIガスクロマトグラフにより気流を定期的にサンプリングし、気流の試料を6’×1/8”×0.085”ATスチール製Alltech Chromosorb 103 80/100カラム(Alltech Associates,Grace Davidson Discovery Sciences(Bannockburn,IL,USA))に通した。ガスクロマトグラフ装置は、流出物中のアンモニアを検出するための10.6eVランプ光イオン化検出器を備えていた。ガスクロマトグラフにより気流を20秒間サンプリングしたところアンモニア蒸気が良好に検出されたため、気流の試料を280秒間カラムを通過させ、その後、分析する次の試料の気流を引き込む前に気流の試料を60秒間流出させた。
試験の前に、窒素加圧ガスボンベ(Oxygen Services Company(St.Paul,MN,USA))中の検査済みの57ppmアンモニアを使用して、ガスクロマトグラフソフトウェアを較正した。この流出物によって生成された信号を使用して、ソフトウェアを50ppmアンモニアに設定した。試験材料の層を通過したアンモニア流出物が、50ppmに相当する信号を超える信号をPID検出器において生成したときに相当する時点を、アンモニア蒸気試験の終点と定義した。各試験材料の性能は、前述の試験を行いながら50ppmのブレークスルーが観察されるまでの時間(分単位)として報告した。加えて、50ppmブレークスルーまでのブレークスループロットの曲線下面積を、この一定容積試験において使用された試験材料の既知の質量とともに使用して、最小二乗式の和を用いて各試験材料についてmmol/g容量を算出した。
赤外分光分析
ダイヤモンド減衰全反射(ATR)アクセサリを装備したAgilent Technologies Cary 630 FTIRを使用して、実施例2の亜鉛含有ポリマー材料の赤外線スペクトルを取得した。このアクセサリは、顆粒材料から直接赤外線スペクトルを取得することを可能にするものであり、よって材料を更に処理する必要がなかった。実施例2のスペクトルを取得する前にバックグラウンドスペクトルを取得し、実施例2のスペクトルから減算した。
X線回折分析
Bruker D8 Advance回折計、銅Kα線、及び散乱線のVantec検出器レジストリを使用して、サーベイスキャンの形態で反射配置データを収集した。回折計は、可変入射ビームスリット及び固定回折ビームスリットを備えている。0.044°のステップ幅及び4(24)秒の滞留時間(dwell time)を使用して、5〜80°(2θ)まで連動連続モード(coupled continuous mode)でサーベイスキャンを行った。40kV及び40mAというX線発生装置の設定を用いた。
比較例1〜2及び実施例1〜3
4Lの広口瓶中で、80.3g(493mmol)のDVB(80重量%純度、研究用グレード)、30.3g(309mmol)のMA及び2.25g(9.29mmol)のBPOを2153gのEtOAc中に溶解した。重合性組成物は、EtOAc中に4.9重量%の固形分を含んでおり、モノマー混合物(58.1重量%のDVB、27.4重量%のMA及び14.5重量%のスチレン型モノマー)及び2.0重量%のBPO(モノマーの総重量に基づいて)を含有していた。重合性組成物を窒素で30分間バブリングした。次いで広口瓶に蓋をし、95℃の砂浴に入れた。この高温で18時間、重合性組成物を加熱した。形成した白色の沈澱物を真空濾過によって単離し、EtOAcで洗浄した。固体を分割し、3つの1L広口瓶に入れ、700mLのEtOAcを各広口瓶に加えた。固体をEtOAc中、室温で1時間静置した。3つの広口瓶全ての固体を、EtOAcと一緒に真空濾過して再び単離し、EtOAcで洗浄した。固体を再び分割し、3つの1L広口瓶に入れ、700mLのEtOAcを各広口瓶に加えた。固体をEtOAc中で一晩静置した。固体をEtOAcと一緒に真空濾過して再び単離し、EtOAcで洗浄した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着により決定したこの未加水分解ポリマー材料のSABETは637.6m2/gであり、総細孔容積は0.637cm3/g(p/p°=0.971)であった。
未加水分解ポリマー材料を加水分解剤(水酸化ナトリウム(NaOH))で処理した。より詳細には、35.0g(875mmol)のNaOHを、1Lの広口瓶中で600mLのMeOHに溶解した。この溶液に、5.01gの上記未加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、広口瓶に蓋をし、80℃の砂浴に入れた。この高温で18時間、この懸濁液を加熱した。固体を真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。固体を4オンスの広口瓶に入れ、55mLの0.1M塩酸(HCl)を加えた。固体を塩酸中で30分間静置した。固体を再び真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着によって測定したこの加水分解ポリマー材料のSABETは503.7m2/gであり、総細孔容積は0.628cm3/g(p/p°=0.952)であった。
比較例1〜2及び実施例1〜3の5つの金属含有ポリマー材料は、それぞれ0.5、1.0、3.0、6.0、及び10.0Mの塩化亜鉛(II)(ZnCl2)水溶液を使用して調製した。以下の手順を使用して、比較例1〜2及び実施例1〜3を調製した。5つの別々のフラスコ中で、6.09gのZnCl2を適量の水に溶解して、0.5、1.0、3.0、6.0及び10.0MのZnCl2水溶液とした。各溶液に、0.5gの前述の加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、各バイアルに蓋をし、リストシェーカー(wrist shaker)にセットした。各懸濁液を室温で18時間撹拌した。亜鉛含有ポリマー材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、各バイアルの固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。各試料を調製するために使用したZnCl2溶液濃度、SABET、総細孔容積、元素分析により決定した亜鉛の重量%、元素分析により決定した亜鉛のmmol/g及び各亜鉛含有ポリマー材料の色を、表2に示す。
実施例2の亜鉛含有ポリマー材料を、赤外分光法及びX線回折によって更に特徴付けた。実施例2の亜鉛含有ポリマー材料を調製するために使用した加水分解ポリマー材料の赤外線スペクトルは、カルボン酸基のν(C=O)と一致する1735cm−1に大きなピークを有していた。実施例2の亜鉛含有ポリマー材料の赤外線スペクトルは、1735cm−1にごく小さいピークのみ、また1584cm−1及び1434cm−1に2つの新しい幅の広いピークを示した。これらの2つの新しいピークは、様々な結合様式のカルボン酸亜鉛(II)のカルボン酸基のそれぞれνas(COO−)及びνs(COO−)と一致していた。
X線回折分析による実施例2の亜鉛含有ポリマー材料の分析は、材料中の結晶構造を示さなかった。この分析の結果は、実施例2の亜鉛含有ポリマー材料中に亜鉛が非晶質の形態で存在していることと一致していた。しかしながら、この分析の限界によって、亜鉛の一部又は全部が直径1nm未満のナノ結晶の形態で存在しているという可能性は除外することができない。
比較例1〜2及び実施例1〜3の亜鉛含有ポリマー材料を、それぞれ個々に40×80メッシュサイズにふるい分けた(例えば、材料は40メッシュのスクリーンは通過するが80メッシュのスクリーンでは保持された)。このふるい分けた材料を使用して、前述のとおりアンモニア蒸気試験を行って、各亜鉛含有ポリマー材料のアンモニア容量を決定した。各試験が続いた時間(分単位)、算出した容量mmol/g及び試験終了時点での各亜鉛含有ポリマー材料の最終的な色を、表3に示す。
実施例4〜6
1Lの広口瓶中で、26.3g(162mmol)のDVB(80重量%純度、研究用グレード)、10.1g(103mmol)のMA及び0.750g(3.10mmol)のBPOを、717.6gのEtOAc中に溶解した。重合性組成物は、EtOAc中に4.8重量%の固形分を含んでおり、モノマー混合物(57.8重量%のDVB、27.7重量%のMA及び14.5重量%のスチレン型モノマー)及び2.1重量%のBPO(モノマーの総重量に基づいて)を含有していた。重合性組成物を窒素で20分間バブリングした。次いで広口瓶に蓋をし、95℃の砂浴に入れた。この高温で17時間、重合性組成物を加熱した。形成した白色の沈澱物を真空濾過によって単離し、EtOAcで洗浄した。この固体を1Lの広口瓶に入れ、この広口瓶に500mLのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中、室温で1時間静置した。固体を真空濾過により再び単離し、EtOAcで洗浄した。この固体を1Lの広口瓶に入れ、この広口瓶に500mLのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中で一晩静置した。固体を真空濾過により再び単離し、EtOAcで洗浄した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着により決定したこの未加水分解ポリマー材料のSABETは695.2m2/gであり、総細孔容積は0.746cm3/g(p/p°=0.951)であった。
未加水分解ポリマー材料を加水分解剤(NaOH)で処理した。より詳細には、13.4g(336mmol)のNaOHを、8オンスの広口瓶中で112mLの脱イオン水に溶解した。この溶液に、6.02gの上記未加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、広口瓶に蓋をし、80℃の砂浴に入れた。この高温で18時間、この懸濁液を加熱した。固体を真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。固体を4オンスの広口瓶に入れ、55mLの0.1Mの塩酸を加えた。固体を塩酸中で1時間静置した。固体を再び真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。次いで、固体を80℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着によって測定したこの加水分解ポリマー材料のSABETは386.5m2/gであり、総細孔容積は0.396cm3/g(p/p°=0.976)であった。
実施例4〜6の3つの金属含有ポリマー材料は、それぞれZnCl
2、塩化ニッケル(II)(NiCl
2)及び塩化銅(II)(CuCl
2)の水溶液を使用して調製した。以下の手順を使用して、実施例4〜6を調製した。3つの40mLバイアル中で、適量のZnCl
2、NiCl
2又はCuCl
2を30mLの脱イオン水中に溶解することによって、ZnCl
2、NiCl
2又はCuCl
2の3.0M水溶液30mLを調製した。各溶液に、1.0gの前述の加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、各バイアルに蓋をし、リストシェーカーにセットした。各懸濁液を室温で18時間撹拌した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。各試料を調製するために使用した金属塩化物溶液、SA
BET、総細孔容積、元素分析により決定した金属の重量%、元素分析により決定した金属のmmol/g及び各金属含有ポリマー材料の色を、表4に示す。
実施例4〜6の金属含有ポリマー材料を、40×80メッシュサイズにそれぞれ個々にふるい分け、この材料を使用して前述のアンモニア蒸気試験を行って、各金属含有ポリマー材料のアンモニア容量を決定した。各試験が続いた時間(分単位)、算出した容量mmol/g及び試験終了時点での各金属含有ポリマー材料の最終的な色を、表5に示す。
実施例7〜10
一連の4つの未加水分解ポリマー材料は、モノマーであるDVB(80重量%純度、研究用グレード)及びMAを異なる比率で使用して調製した。各未加水分解ポリマー材料を製造するために使用した重合性組成物は、EtOAc中50重量%の固形分、及び2.0重量%のBPO(モノマーの総重量に基づいて)を含んでいた。各未加水分解ポリマー材料について、重量によるモノマー組成を表6に示す。以下の手順を使用して、これらの4つの未加水分解ポリマー材料を調製した。各重合性組成物を窒素で30分間バブリングした。次いで各広口瓶に蓋をし、95℃の砂浴に入れた。この高温で18時間、重合性組成物を加熱した。各広口瓶中で形成した白色の沈澱物を真空濾過によって単離し、EtOAcで洗浄した。各固体を広口瓶に入れ、EtOAcで覆った。固体をEtOAc中、室温で1時間静置した。各固体を真空濾過により再び単離し、EtOAcで洗浄した。各固体を再び容器に入れ、EtOAcで覆った。固体をEtOAc中で一晩静置した。各固体を真空濾過により再び単離し、EtOAcで洗浄した。次いで、各固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着により決定した各未加水分解ポリマー材料についてのSA
BET及び総細孔容積を、表6に示す。未加水分解ポリマー材料を、調製例7−1〜10−1(PE7−1〜PE10−1)と称する。
未加水分解ポリマー材料PE7−1〜PE10−1を、加水分解剤(NaOH)で処理した。より詳細には、各未加水分解ポリマー材料につき別個の4オンスの広口瓶中で、4.20g(105mmol)のNaOHを35mLの脱イオン水に溶解することによって35mLの3.0MのNaOH水溶液を調製した。各溶液に、1.00gの、未加水分解ポリマー材料のうちの1つを加えた。次いで各広口瓶に蓋をし、80℃の砂浴に入れた。この高温で18時間、各懸濁液を加熱した。各広口瓶の固体内容物を真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。各固体を4オンスの広口瓶に入れ、100mLの1.0M塩酸(HCl)を加えた。各固体を塩酸中で30分間静置した。各固体を再び真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。次いで、各固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着により決定した各加水分解ポリマー材料についてのSA
BET及び総細孔容積を、表7に示す。加水分解ポリマー材料を、調製例7−2〜10−2(PE7−2〜PE10−2)と称する。
実施例7〜10の4つの亜鉛含有ポリマー材料は、6.0MのZnCl
2水溶液を使用して調製した。より詳細には、0.7gの各加水分解ポリマー材料PE7−2〜PE10−2を40mLバイアルに入れ、未加水分解ポリマー材料中のZnCl
2と無水マレイン酸基のモル比が32:1となるように、6.0MのZnCl
2水溶液を加えた。よって、実施例7〜10の亜鉛含有ポリマー材料は、6.0MのZnCl
2水溶液をそれぞれ16、18、20及び23mL使用して調製した。次いで、各バイアルに蓋をし、リストシェーカーにセットした。各懸濁液を室温で18時間撹拌した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、各バイアルの固体を真空濾過により単離した。次いで、各固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。SA
BET、総細孔容積、元素分析により決定した亜鉛の重量%、元素分析により決定した亜鉛のmmol/g及び各亜鉛含有ポリマー材料の色を、表8に示す。
実施例7〜10の亜鉛含有ポリマー材料を、40×80メッシュサイズにそれぞれ個々にふるい分け、この材料を使用して前述のアンモニア蒸気試験を行って、各亜鉛含有ポリマー材料のアンモニア容量を決定した。各試験が続いた時間(分単位)、算出した容量mmol/g及び試験終了時点での各亜鉛含有ポリマー材料の最終的な色を、表9に示す。
実施例11〜15
一連の5つの未加水分解ポリマー材料は、モノマーであるDVB(80重量%純度、研究用グレード)及びMAを異なる比率で使用し、異なる固形分率で重合を行って、調製した。実施例11の未加水分解ポリマー材料は、比較例1〜2及び実施例1〜3の未加水分解ポリマー材料を調製するのに使用したものと同じ手順を使用して調製した。実施例13の未加水分解ポリマー材料は、実施例7の未加水分解ポリマー材料を調製するのに使用したものと同じ手順を使用して調製した。実施例14の未加水分解ポリマー材料は、実施例9の未加水分解ポリマー材料を調製するのに使用したものと同じ手順を使用して調製した。実施例15の未加水分解ポリマー材料は、実施例10の未加水分解ポリマー材料を調製するのに使用したものと同じ手順を使用して調製した。
実施例12の未加水分解ポリマー材料は、以下の手順を使用して調製した。4オンスの広口瓶中で、2.14g(13.2mmol)のDVB(80重量%純度、研究用グレード)、1.61g(16.4mmol)のMA、及び75.3mg(311mmol)のBPOを71.25gのEtOAc中に溶解した。重合性組成物は、EtOAc中に5.0重量%の固形分を含んでおり、モノマー混合物(45.6重量%のDVB、43.0重量%のMA、及び11.4重量%のスチレン型モノマー)及び2.0重量%のBPO(モノマーの総重量に基づいて)を含有していた。この重合性組成物を窒素で10分間バブリングした。次いで広口瓶に蓋をし、95℃の砂浴に入れた。この高温で18時間、重合性組成物を加熱した。形成した白色の沈澱物を真空濾過によって単離し、EtOAcで洗浄した。固体を広口瓶に入れ、EtOAcで覆った。固体をEtOAc中、室温で1時間静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。固体を再び容器に入れ、EtOAcで覆った。固体をEtOAc中で一晩静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。次いで、固体を80℃の高真空下で18時間乾燥した。
アルゴン吸着により決定したこれら5つの各未加水分解ポリマー材料についてのSA
BET及び総細孔容積を、表10に示す。これらの未加水分解ポリマー材料を、調製例11−1〜15−1(PE11−1〜PE15−1)と称する。
実施例11〜15の5つの金属含有ポリマー材料は、6.0MのZnCl
2水溶液を使用して調製した。より詳細には、未加水分解ポリマー材料PE11−1〜15−1のそれぞれ1.0gを、別個の40mLバイアルに入れ、未加水分解ポリマー材料中のZnCl
2と無水マレイン酸基のモル比が32:1となるように、6.0MのZnCl
2水溶液を各バイアルに加えた。よって、実施例11〜15の亜鉛含有ポリマー材料は、6.0MのZnCl
2水溶液をそれぞれ15、23、23、29及び33mL使用して調製した。次いで、各バイアルに蓋をし、リストシェーカーにセットした。各懸濁液を室温で18時間撹拌した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、各固体を真空濾過により単離した。次いで、各固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。SA
BET、総細孔容積、元素分析により決定した亜鉛の重量%、元素分析により決定した亜鉛のmmol/g及び各亜鉛含有ポリマー材料の色を、表11に示す。
実施例11〜15の亜鉛含有ポリマー材料を、40×80メッシュサイズにそれぞれ個々にふるい分け、この材料を使用して前述のアンモニア蒸気試験を行って、各亜鉛含有ポリマー材料のアンモニア容量を決定した。各試験が続いた時間(分単位)、算出した容量mmol/g及び試験終了時点での各亜鉛含有ポリマー材料の最終的な色を、表12に示す。
実施例16〜18
4オンスの広口瓶中で、7.98g(49.0mmol)のDVB(80重量%純度、研究用グレード)、12.0g(122mmol)のMA及び407mg(1.68mmol)のBPOを、20.2gのEtOAc中に溶解した。重合性組成物は、EtOAc中に49.7重量%の固形分を含んでおり、モノマー混合物(31.9重量%のDVB、60.1重量%のMA及び8.0重量%のスチレン型モノマー)及び2.0重量%のBPO(モノマーの総重量に基づいて)を含有していた。この重合組成物を窒素で10分間バブリングした。次いで広口瓶に蓋をし、95℃の砂浴に入れた。この高温で17時間、重合組成物を加熱した。生成した白色の沈殿物を真空濾過によって単離し、EtOAcで洗浄した。固体を4オンスの広口瓶に入れ、この広口瓶に100mLのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中、室温で1時間静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。固体を4オンスの広口瓶に入れ、この広口瓶に100mLのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中で一晩静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着により決定したこの未加水分解ポリマー材料の表面積SABETは216.1m2/gであり、総細孔容積は0.220cm3/g(p/p°=0.979)であった。
実施例16〜18の金属含有ポリマー材料は、それぞれNiCl
2、CuCl
2及びMgCl
2の水溶液を使用して調製した。以下の手順を使用して、実施例16〜18を調製した。40mLバイアル中で、適量のNiCl
2、CuCl
2又はMgCl
2を18mLの脱イオン水中に溶解することによって、NiCl
2、CuCl
2、又はMgCl
2のいずれかの3.0M水溶液18mLを調製した。各溶液に、275mgの前述の未加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、バイアルに蓋をし、リストシェーカーにセットした。この懸濁液を室温で18時間撹拌した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。調製に使用した金属塩化物溶液、SA
BET、総細孔容積、元素分析により決定した金属の重量%、元素分析により決定した金属のmmol/g及び各金属含有ポリマー材料の色を、表13に示す。
実施例16〜18の金属含有ポリマー材料を、40×80メッシュサイズにそれぞれ個々にふるい分け、この材料を使用して前述のアンモニア蒸気試験を行って、各金属含有ポリマー材料のアンモニア容量を決定した。各試験が続いた時間(分単位)、算出した容量mmol/g及び試験終了時点での各金属含有ポリマー材料の最終的な色を、表14に示す。
実施例19〜24
4オンスの広口瓶中で、7.98g(49.0mmol)のDVB(80重量%純度、研究用グレード)、12.0g(122mmol)のMA及び407mg(1.68mmol)のBPOを、20.2gのEtOAc中に溶解した。重合性組成物は、EtOAc中に49.7重量%の固形分を含んでおり、モノマー混合物(31.9重量%のDVB、60.1重量%のMA及び8.0重量%のスチレン型モノマー)及び2.0重量%のBPO(モノマーの総重量に基づいて)を含有していた。この重合組成物を窒素で10分間バブリングした。次いで広口瓶に蓋をし、95℃の砂浴に入れた。この高温で17時間、重合組成物を加熱した。生成した白色の沈殿物を真空濾過によって単離し、EtOAcで洗浄した。固体を4オンスの広口瓶に入れ、この広口瓶に100mLのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中、室温で1時間静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。固体を4オンスの広口瓶に入れ、この広口瓶に100mLのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中で一晩静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着により決定したこの未加水分解ポリマー材料の表面積(SABET)は216.1m2/gであり、総細孔容積は0.220cm3/g(p/p°=0.979)であった。
前駆体ポリマー材料を加水分解剤(NaOH)で処理した。より詳細には、12.2g(306mmol)のNaOHを、8オンスの広口瓶中で102mLの脱イオン水に溶解した。この溶液に、5.00gの上記未加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、広口瓶に蓋をし、80℃の砂浴に入れた。この高温で18時間、この懸濁液を加熱した。固体を真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。固体を8オンスの広口瓶に入れ、200mLの1.0Mの塩酸を加えた。固体を塩酸中で30分間静置した。固体を再び真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。アルゴン吸着によって決定したこの加水分解ポリマー前駆体材料のSABETは92.6m2/gであり、総細孔容積は0.118cm3/g(p/p°=0.979)であった。
実施例19〜21の金属含有ポリマー材料は、それぞれNiCl2、CuCl2及びMgCl2の水溶液を使用して調製した。以下の手順を使用して、実施例19〜21を調製した。40mLバイアル中で、適量のNiCl2、CuCl2又はMgCl2を18mLの脱イオン水中に溶解することによって、NiCl2、CuCl2、又はMgCl2のいずれかの3.0M水溶液18mLを調製した。各溶液に、275mgの前述の加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、バイアルに蓋をし、リストシェーカーにセットした。この懸濁液を室温で18時間撹拌した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を95℃の高真空下で8時間乾燥した。調製に使用した金属塩溶液、SABET、総細孔容積、元素分析により決定した金属の重量%、元素分析により決定した金属のmmol/g及び各金属含有ポリマー材料の色を、表15に示す。
実施例22の金属含有ポリマー材料は、酢酸亜鉛(II)(Zn(OAc)2)の水溶液を使用して調製した。より詳細には、20mLのバイアル中で618mg(3.37mmol)のZn(OAc)2を5.0mLの脱イオン水に溶解することによって、Zn(OAc)2水溶液を調製した。この溶液に、300mgの前述の加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、このバイアルに蓋をし、固体をZn(OAc)2水溶液中で室温で16時間静置した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を120℃のオーブン中で2時間乾燥した。調製に使用した金属塩溶液、SABET、総細孔容積、元素分析により決定した金属の重量%、元素分析により決定した金属のmmol/g及びこの金属含有ポリマー材料の色を、表15に示す。
実施例23の金属含有ポリマー材料は、硝酸銅(II)(Cu(NO3)2)水溶液を使用して調製した。より詳細には、20mLのバイアル中で618mg(3.30mmol)のCu(NO3)2を5.0mLの脱イオン水に溶解することによって、Cu(NO3)2水溶液を調製した。この溶液に、300mgの前述の加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、このバイアルに蓋をし、固体をCu(NO3)2水溶液中で室温で16時間静置した。次いで、薄い青色からより濃い青色/灰色への色の変化が観察されるまで、1.0MのNaOH水溶液を滴下添加した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を120℃のオーブン中で2時間乾燥した。調製に使用した金属塩溶液、SABET、総細孔容積、元素分析により決定した金属の重量%、元素分析により決定した金属のmmol/g及びこの金属含有ポリマー材料の色を、表15に示す。
実施例24の金属含有ポリマー材料は、硫酸銅(II)(CuSO
4)のアンモニア性溶液を使用して調製した。より詳細には、20mLのバイアル中で799mg(5.00mmol)のCuSO
4を5.0mLの脱イオン水に溶解することによって、1Mの銅のアンモニア性溶液を調製した。完全に溶解するまで、1Mの水酸化アンモニウム溶液を滴下添加した。この溶液に、300mgの前述の加水分解ポリマー材料を加えた。次いで、このバイアルに蓋をし、固体をアンモニア性銅溶液中で室温で16時間静置した。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を120℃のオーブン中で2時間乾燥した。調製に使用した金属塩溶液、SA
BET、総細孔容積、元素分析により決定した金属の重量%、元素分析により決定した金属のmmol/g及びこの金属含有ポリマー材料の色を、表15に示す。
実施例19〜24の金属含有ポリマー材料を、40×80メッシュサイズにそれぞれ個々にふるい分け、この材料を使用して前述のアンモニア蒸気試験を行って、各金属含有ポリマー材料のアンモニア容量を決定した。各試験が続いた時間(分単位)、算出した容量mmol/g及び試験終了時点での各金属含有ポリマー材料の最終的な色を、表16に示す。
比較例3
活性炭にZnCl
2を含浸させることによって、亜鉛含浸活性炭を調製した。より詳細には、8オンスの広口瓶中で、48.0g(352mmol)のZnCl
2を100mLの脱イオン水に溶解した。この溶液に、25.0gの40×140メッシュGC炭素(Kuraray Co.(Tokyo,Japan))を加えた。広口瓶に蓋をし、容器回転装置(jar roller)にセットした。この懸濁液を室温で1時間、連続的に回転させた。材料を移す又は洗浄するために追加の蒸留水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。次いで、固体を100℃のバッチ式オーブン中で16時間乾燥した。SA
BET、総細孔容積、元素分析により決定した亜鉛の重量%、元素分析により決定した亜鉛のmmol/g及びこの亜鉛含浸活性炭の色を、表17に示す。
比較例3の亜鉛含浸活性炭を、40×80メッシュサイズにふるい分け、この材料を使用して前述のアンモニア蒸気試験を行って、亜鉛含浸活性炭のアンモニア容量を決定した。各試験が続いた時間(分単位)、算出した容量mmol/g及び試験終了時点での亜鉛含浸活性炭の最終的な色を、表18に示す。
実施例25
2LのParrステンレス鋼圧力容器中で、176.88g(1.36mol)のDVB(80重量%、研究用グレード)、240.04g(2.45mol)のMA、及び4.18g(8.64mmol)の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(VAZO52)を、417.68gのEtOAc中に溶解した。重合性組成物は、EtOAc中に50.0重量%の固形分を含んでおり、モノマー混合物(33.9重量%のDVB、57.6重量%のMA、及び8.5重量%のスチレン型モノマー)及び1重量%のVAZO52(モノマーの総重量に基づいて)を含有していた。この重合性組成物を窒素で15分間バブリングした。次いで、圧力容器を密閉し、60℃の水浴に入れた。この高温で18時間、重合性組成物を加熱した。生成した白色の沈殿物を真空濾過によって単離し、EtOAcで洗浄した。固体を4LのErylenmeyerフラスコに入れ、このフラスコに2.0LのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中、室温で1時間静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。固体を4LのErylenmeyerフラスコに入れ、2.0LのEtOAcを加えた。固体をEtOAc中で一晩静置した。真空濾過により固体を再び単離し、EtOAcで洗浄した。次いで、固体を100℃のバッチ式オーブン中で18時間乾燥した。アルゴン吸着によって決定したこの前駆体ポリマー材料のSABETは272.2m2/gであり、総細孔容積は0.450cm3/g(p/p°=0.974)であった。
未加水分解ポリマー材料を加水分解剤(NaOH)で処理した。より詳細には、323g(8.1mol)のNaOHを、5ガロンのプラスチック容器中で2.69Lの脱イオン水に溶解した。この溶液に、274gの上記未加水分解ポリマー材料を加えた。プラスチック容器を密封し、容器回転装置にセットした。この懸濁液を室温で18時間回転させた。固体を真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。固体を5ガロンの容器に戻し、この広口瓶に2.19Lの脱イオン水及び313mLの濃塩酸を満たした。容器を密封し、容器回転装置にセットした。この懸濁液を室温で18時間回転させた。固体を再び真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。固体を再び真空濾過により単離し、脱イオン水で洗浄した。次いで、固体を100℃のオーブン中で18時間乾燥した。この加水分解ポリマー材料を、40×80メッシュサイズにふるい分けた。
実施例25の染色金属含有ポリマー材料は、ZnCl2/ブロモキシレノールブルー水溶液を使用して調製した。以下の手順を使用して、実施例25を調製した。163mg(288μmol)のブロモキシレノールブルーを163mLの脱イオン水に加えることによって、8オンスの広口瓶中でブロモキシレノールブルー水溶液を調製した。広口瓶をリストシェーカーにセットし、室温で2時間撹拌した。得られた懸濁液を、シリンジを使用して1マイクロメートルのガラスフリットフィルター(Pall Corporation(Port Washington,NY,USA))で濾過して、溶解していない染料を除去した。飽和染料溶液を32オンスの広口瓶に入れた。この溶液に、134g(981mmol)のZnCl2を加えた。ZnCl2が完全に溶解したら、前述の40×80メッシュサイズの加水分解ポリマー材料20.0gを、ZnCl2/ブロモキシレノールブルー溶液に加えた。広口瓶に蓋をし、容器回転装置にセットした。次いで、この懸濁液を室温で18時間回転させた。材料を移す又は洗浄するために追加の脱イオン水を使用することなく、固体を真空濾過により単離した。固体を100℃のオーブン中で18時間乾燥した。
実施例25の染色金属含有ポリマー材料を、200mLの濃水酸化アンモニウムを入れた1.2L結晶皿からなるテストチャンバー中で、濃水酸化アンモニウム(28〜30重量%のアンモニア)に曝露させた。実施例25の染色金属含有ポリマー材料100mgを、10mL結晶皿に入れ、濃水酸化アンモニウムに浮かべた。大きい方の結晶皿の上にガラスプレートを載せた。実施例25の染色金属含有ポリマー材料の色を、経時的に観察した。曝露の15分後、染色金属含有ポリマー材料の色が変わった。濃水酸化アンモニウムの代わりに脱イオン水を1.2L結晶皿に入れたことを除いて、前述のとおりに正確にこの試験を繰り返した。水分のみに曝露させた30分後、染色金属含有ポリマー材料は色が変わったが、濃水酸化アンモニウムに曝露させた際に観察された色の変化とは異なる色への変化であった。実施例25の染色金属含有ポリマー材料の使用した染料、曝露前の色、水酸化アンモニウムへの曝露後の色、及び水分への曝露後の色を、表19に示す。