以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、基板に設置されて基板と基板を貫通する外部端子とを接続するコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
[コネクタの概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1を基板100及び外部端子101とともに示す斜視図である。図2は、コネクタ1を基板100及び外部端子101とともに示す斜視図であって、コネクタ1を介して基板100と外部端子101とが接続された状態を示す図である。図3は、コネクタ1を示す斜視図である。図4は、コネクタ1を示す図であって、図4(A)は、平面図(上面図)であり、図4(B)は、正面図であり、図4(C)は、側面図であり、図4(D)は、底面図である。図5は、コネクタ1の分解斜視図である。
尚、図1及び図2は、コネクタ1が基板100に設置されて基板100に対して電気的及び機械的に接続された状態を図示している。そして、図1は、外部端子101がコネクタ1に接続されていない状態を図示している。一方、図2は、外部端子101がコネクタ1に接続された状態を図示している。尚、図2に示すように、外部端子101は、コネクタ1を介して基板100に接続される。
また、図1及び図2においては、基板100については、一部のみが切り欠き状態で模式的に図示されており、コネクタ1が設置された部分とその近傍の部分とが図示されている。コネクタ1が設置される基板100は、導電回路パターンが表裏面のうちの少なくともいずれか一方に設けられた基板として構成されている。図1及び図2では、基板101における導電回路パターンの図示は省略されている。基板101は、例えば、一例として、車載用の機器(図示省略)に設けられる基板として用いられる。基板101が設けられた機器は、バスバー(図示省略)から外部端子101及びコネクタ1を介して電源供給が行われる。
外部端子101は、導電性を有する金属材料で形成され、ピン状に形成されたオス型の端子として設けられている。外部端子101は、バスバーに固定されている。尚、バスバーには、複数の外部端子101が固定されている。複数の外部端子101は、基板100を貫通した状態でコネクタ1に対して電気的及び機械的に接続される。そして、複数の外部端子101は、基板100に接続されたコネクタ1に対して接続されることで、基板100に対して電気的に接続される。尚、本実施形態では、ピン状に形成された外部端子101の形態を例示したが、外部端子101の形状は、この例の通りでなくてもよい。外部端子101は、いわゆるオス型に形成されていればどのような形状であってもよい。例えば、外部端子101の形状が、細長い片状の金属板が折り曲げられて棒状に加工されること等によって形成された形状であってもよい。
図1乃至図5に示すコネクタ1は、基板100に設置されて基板100と基板100を貫通する外部端子101とを接続するコネクタとして構成されている。尚、本実施形態では、基板100と基板100を貫通する複数の外部端子101とを接続するコネクタ1の形態を例示している。
コネクタ1は、図1乃至図5に示すように、ハウジング部11、複数のコネクタ端子部12、複数のスライド部材13、複数の補強タブ14、を備えて構成されている。
複数のコネクタ端子部12のそれぞれは、基板100と複数の外部端子101のそれぞれとに対して接続されるように構成されている。各コネクタ端子部12は、導電性を有する金属材料で形成されている。尚、コネクタ端子部12の詳細な構成については、後述する。
ハウジング部11は、複数のコネクタ端子部12を保持するように構成されている。ハウジング部11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。ハウジング部11は、ベースハウジング15及びスライドハウジング16を備えて構成されている。ハウジング部11の詳細な構成については、後述する。
複数の補強タブ14は、ハウジング部11を基板100に対して機械的に強固に固定するための部材として設けられている。本実施形態では、補強タブ14は、一対で設けられている。一対の補強タブ14は、ハウジング部11に対して、ハウジング部11の幅方向の両側において、固定されている。尚、ハウジング部11の幅方向は、ハウジング部11に保持される複数のコネクタ端子部12がハウジング部11において並んで配置される方向として構成され、図1乃至図4において、両端矢印X1で示されている。また、ハウジング部11の幅方向がコネクタ1の幅方向となる。
一対の補強タブ14のそれぞれは、金属製のプレート状の部材の一部が折り曲げられることにより形成されている。各補強タブ14は、ハウジング部11において幅方向の両側にそれぞれ設けられた各タブ用スリット28に圧入されて固定されている(図3、図4(A)及び図4(B)を参照)。また、補強タブ14には、端部において、略90度に折り曲げられて形成された固定部14aが設けられている。固定部14aは、補強タブ14が固定されたハウジング部11が基板100に固定される際に、基板100に対してはんだ付けされる部分として設けられている。即ち、補強タブ14が圧入されて固定されたハウジング部11は、固定部14aが基板100にはんだ付けされることにより、基板100に対して機械的に強固に固定される。尚、図1及び図2では、固定部14aがはんだ102にて基板100にはんだ付けされた状態が図示されている。
図6は、コネクタ1及び基板100の断面図である。図6は、コネクタ1の前後方向に対して垂直な断面におけるコネクタ1及び基板100の断面図である。即ち、図6は、コネクタ1の幅方向及び高さ方向に沿った断面におけるコネクタ1及び基板100の断面図である。コネクタ1の前後方向は、図1乃至図4において、両端矢印X2で図示されている。コネクタ1の高さ方向は、図1乃至図4において、両端矢印X3で図示されている。尚、コネクタ1の前後方向は、ハウジング部11の前後方向となり、コネクタ1の高さ方向は、ハウジング部11の高さ方向となる。また、コネクタ1の高さ方向は、コネクタ1が基板100に設置された状態では、基板100の表面に対して垂直な方向と平行な方向となる。更に、コネクタ1の高さ方向は、外部端子101がハウジング部11に挿入される方向である外部端子挿入方向と平行な方向となる。
図6に示すように、コネクタ1が設置される基板100には、複数の外部端子101が貫通する貫通孔100aが形成されている。貫通孔100aは、基板100を表裏面方向に貫通する孔として設けられている。そして、貫通孔100aは、コネクタ1が基板100に設置された状態でコネクタ1に対向するとともにコネクタ1の幅方向に沿って長孔状に延びる孔として設けられている。複数の外部端子101は、貫通孔100aを貫通した状態でコネクタ1のハウジング部11に挿入されてコネクタ1に接続される。
[ハウジング部]
図7は、コネクタ1の断面図であって、基板100とともに示す図である。尚、図7は、コネクタ1の高さ方向に対して垂直な断面におけるコネクタ1の断面を示している。また、図7は、図6のX4−X4線矢視位置におけるコネクタ1の断面を示している。
図1乃至図7に示すハウジング部11は、ベースハウジング15、及びスライドハウジング16、を備え、複数のコネクタ端子部12を保持するように構成されている。また、ハウジング部11は、複数のコネクタ端子部12及び一対の補強タブ14を介して、基板100に設置されるように構成されている。
[ベースハウジング]
図8は、コネクタ1のハウジング部11におけるベースハウジング15を示す斜視図である。図9は、ベースハウジング15を示す図であって、図9(A)は、平面図(上面図)であり、図9(B)は、正面図であり、図9(C)は、底面図である。
図1乃至図9に示すベースハウジング15は、ハウジング部11において、複数のコネクタ端子部12を保持するハウジング要素として設けられている。ベースハウジング15は、例えば、樹脂成形により形成される。そして、ベースハウジング15は、ハウジング部11の高さ方向に延びる略角筒状の基本外形部分を有する部材として構成されている。より具体的には、ベースハウジング11は、前壁部17、後壁部18、右壁部19、左壁部20、底壁部21を有し、これらが一体に形成されている。そして、前壁部17、後壁部18、右壁部19、及び左壁部20は、略角筒状の部分を構成している。また、ベースハウジング15は、略角筒状の部分の内側の領域において、複数のコネクタ端子部12のそれぞれの大部分を収容するように構成されている。また、ベースハウジング15は、底壁部21が基板100の表面に対向する状態で、基板100に設置される。
ベースハウジング15は、その高さ方向(即ち、ハウジング部11の高さ方向)における上面側において、開口22が設けられている。即ち、開口22は、ベースハウジング15において、ベースハウジング15の高さ方向における底壁部21側と反対側の端部において開口するように設けられている。開口22は、複数のコネクタ端子部12が挿入される開口として設けられている。
また、ベースハウジング15には、その内部において、複数の端子収容室23が設けられている(図6乃至図9を参照)。複数の端子収容室23のそれぞれは、複数のコネクタ端子部12のそれぞれにおける後述の本体部33を収容する領域として構成されている。複数の端子収容室23は、開口22の内側で外部に向けて開口している。また、複数の端子収容室23は、ベースハウジング15の幅方向(即ち、ハウジング部11の幅方向)に沿って並んで配置されている。
また、各端子収容室23は、ベースハウジング15の内部に設けられた区画壁24によって、区画されている(図6乃至図9を参照)。区画壁24は、複数設けられ、ベースハウジング15の内部において、ベースハウジング15の幅方向に沿って並んで設けられている。各区画壁24は、底壁部21からベースハウジング15の高さ方向に沿って上面側に向かって片持ち状に延びる板状の壁部として設けられている。そして、隣り合う端子収容室23は、区画壁24によって区画されている。また、複数の区画壁24のそれぞれの先端部分は、開口22からベースハウジング11の外部に向けて突出している。
また、底壁部21には、底壁部21をベースハウジング15の高さ方向に貫通する外部端子挿入孔25が複数設けられている(図6、図7、図9を参照)。そして、複数の外部端子収容室23のそれぞれは、複数の外部端子挿入孔25のそれぞれを介して、外部と連通している。各外部端子挿入孔25は、各外部端子101が基板100の貫通孔100aを貫通してコネクタ1に接続される際に各外部端子101がベースハウジング15に挿入される孔として設けられている。よって、外部端子挿入孔25は、コネクタ1が基板100に設置された状態で、基板100の貫通孔100aに対向して開口するように、設けられている。
また、外部端子挿入孔25の内面における外側に開口する部分には、外部端子101の挿入方向をガイドするためのガイド面25aが設けられている。ガイド面25aは、外部端子挿入孔25における外部へ開口した領域の断面積を大きくするように形成されている。更に、ガイド面25aは、ベースハウジング15の内側に向かって、外部端子挿入孔25の断面積を減少させ、外部端子挿入孔25を窄まらせるように形成されている。
また、ベースハウジング15には、前壁部17において、複数の端子用スリット26が設けられている(図3、図4、図7乃至図9を参照)。複数の端子用スリット26は、前壁部17において、ベースハウジング15の幅方向に沿って等間隔で並んで配置されている。そして、各端子用スリット26は、前壁部17において、ベースハウジング15の高さ方向に延びる溝として設けられている。また、端子用スリット26は、コネクタ端子部12がベースハウジング15に挿入されて保持される際に、コネクタ端子部12における後述の基板実装部34が通過する溝として設けられている。尚、コネクタ端子部12のベースハウジング15への挿入が完了してコネクタ端子部12がベースハウジング15に保持された状態でも、コネクタ端子部12の基板実装部34の一部は、端子用スリット26から外部に突出している。
また、ベースハウジング15には、前壁部17の幅方向中央部分の上端部において、一対のロック凸部27が設けられている。一対のロック凸部27は、スライドハウジング16に設けられた後述のロックアーム部32と係合する部分として設けられている。コネクタ1と外部端子101との接続が完了した状態では、スライドハウジング16のロックアーム部32がベースハウジング15のロック凸部27に係合する。ロック凸部27とロックアーム部32との係合により、コネクタ1と外部端子101とが適切に接続された状態が維持される。
また、ベースハウジング15には、右壁部19の外面側において、補強タブ14が圧入されて固定されるタブ用スリット28が設けられている。同様に、ベースハウジング15には、左壁部20の外面側においても、補強タブ14が圧入されて固定されるタブ用スリット28が設けられている。
また、ベースハウジング15には、右壁部19の内側において、抜け防止凸部29が設けられている(図6を参照)。同様に、ベースハウジング15には、左壁部20の内側においても、抜け防止凸部29が設けられている(図6を参照)。ベースハウジング15の抜け防止凸部29は、ベースハウジング15の内側に向かって凸状に突出する部分として設けられ、後述するスライドハウジング16の抜け防止凸部31aと当接して係合する部分として設けられている。ベースハウジング15の抜け防止凸部29がスライドハウジング16の抜け防止凸部31aと当接して係合することで、スライドハウジング16がベースハウジング15から抜け落ちてしまうことが防止されるように構成されている。
[スライドハウジング]
図10は、ハウジング部11のスライドハウジング16を示す斜視図である。図11は、スライドハウジング16を示す図であって、図11(A)は、平面図(上面図)であり、図11(B)は、正面図であり、図11(C)は、底面図である。図1乃至図7、図10、図11に示すスライドハウジング16は、ハウジング部11において、複数のスライド部材13を保持するハウジング要素として設けられている。スライドハウジング16は、例えば、樹脂成形により形成される。
スライドハウジング16は、複数のスライド部材13を保持した状態でベースハウジング15に対して取り付けられる。スライドハウジング16には、本体部30、一対の脚部31、ロックアーム部32、等が設けられている。スライドハウジング16は、本体部30において複数のスライド部材13を保持し、一対の脚部31がベースハウジング15に挿入された状態で、ベースハウジング15に対して取り付けられるように構成されている。また、スライドハウジング16は、ベースハウジング15に取り付けられた状態では、ベースハウジング15に対して、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に垂直な面に沿って、スライド移動可能に支持されている。尚、本実施形態では、スライドハウジング16は、ベースハウジング15に対して、ベースハウジング15の前後方向(即ち、ハウジング部11の前後方向)に沿ってスライド移動可能に支持されている。
本体部30は、スライドハウジング16の高さ方向(即ち、ハウジング部11の高さ方向)を厚み方向とする厚肉の略矩形の板状の部分として設けられている。本体部30には、一対の脚部31及びロックアーム部32が一体に設けられている。また、本体部30には、複数のスライド部材13をそれぞれ保持する複数の保持穴30aが設けられている(図11(C)を参照)。複数の保持穴30aのそれぞれは、後述するスライド部材13の一部が圧入される穴として設けられている。複数の保持穴30aは、本体部30において、スライドハウジング16がベースハウジング15に取り付けられる際にベースハウジング15に対向する側である底面側にて開口している。また、複数の保持穴30aは、本体部30において、スライドハウジング16の幅方向(即ち、ハウジング部11の幅方向)に沿って等間隔で並んで設けられている。
一対の脚部31は、本体部30から片持ち状に突出する板状の部分として設けられ、本体部30から本体部30の幅方向(即ち、スライドハウジング16の幅方向)の両側において突出するように設けられている。また、一対の脚部31は、本体部30の底面側からスライドハウジング16の高さ方向に沿って片持ち状に突出するように設けられている。スライドハウジング16がベースハウジング15に取り付けられる際には、スライドハウジング16の一対の脚部31が、その先端側からベースハウジング15の開口22に挿入される。
また、一対の脚部31のそれぞれには、一対の抜け防止凸部31aが設けられている(図6、図10、図11を参照)。即ち、各脚部31には、一対の抜け防止凸部31aが設けられている。各脚部31に設けられた一対の抜け防止凸部31aのそれぞれは、各脚部31からスライドハウジング16の幅方向の外側に向かって凸状に突出して設けられている。また、各脚部31に設けられた一対の抜け防止凸部31aは、スライドハウジング16の前後方向(即ち、ハウジング部11の前後方向)に沿って並んで設けられている。
ロックアーム部32は、本体部30の前面側に設けられ、ベースハウジング15に設けられた一対のロック凸部27と係合する部分として設けられている。ロックアーム部32は、ベースハウジング15に取り付けられたスライドハウジング16がベースハウジング15に対してスライド移動することで、一対のロック凸部27に係合するように構成されている。ロックアーム部32は、スライドハウジング16の幅方向に沿って細長く延びるレバー状の部分として設けられている。そして、ロックアーム部32は、スライドハウジング16の幅方向に延びる長手方向の両端部において、本体部30に一体に設けられている。ロックアーム部32は、長手方向の両端部において本体部30に一体に支持されているため、長手方向の中央部分が長手方向の両端部に対して撓むように設けられている。
[コネクタ端子部]
図12は、コネクタ1に備えられる複数のコネクタ端子部12のうちの1つのコネクタ端子部12を示す斜視図である。図13は、コネクタ端子部12を示す図であって、図13(A)は、平面図(上面図)であり、図13(B)は、正面図であり、図13(C)は、側面図であり、図13(D)は、底面図である。図14は、コネクタ端子部12を示す図であって、図14(A)及び図14(B)は、一部を切り欠き断面の状態で示す斜視図であり、図14(C)は、図14(A)の側面図である。図15は、図6の一部を拡大して示す図であって、1つのコネクタ端子部12とその近傍におけるコネクタ1の断面を拡大して示す図である。図16は、図7の一部を拡大して示す図であって、1つのコネクタ端子部12とその近傍におけるコネクタ1の断面を拡大して示す図である。
図1乃至図7、図12乃至図16に示すコネクタ端子部12は、導電性を有する金属材料により形成されており、基板100と外部端子101とを電気的に接続する要素として設けられている。本実施形態では、コネクタ端子部12は、基板100の表面に対してはんだ付けにより実装されて接続されるとともに、外部端子101に接続される端子として構成されている。また、コネクタ端子部12は、コネクタ1において複数備えられている。尚、本実施形態では、コネクタ端子部12が5つ備えられたコネクタ1の形態を例示している。
複数のコネクタ端子部12のそれぞれは、例えばプレス打ち抜き加工により形成された板金が折り曲げられることにより形成されている。そして、複数のコネクタ端子部12のそれぞれは、本体部33、基板実装部34、圧入部35、連結バネ部36、接点部38を含む接点バネ部37、を備えて構成されている。本体部33、基板実装部34、圧入部35、連結バネ部36、接点バネ部37は、一体に設けられている。
本体部33は、基板実装部34及び圧入部35が一体に設けられた連結バネ部36と、接点バネ部37とを、一体に連結する部分として設けられている。そして、本体部33は、本実施形態では、角筒状に折り曲げられることで形成された部分として設けられている。また、本体部33は、ベースハウジング15の端子収容室23に挿入されて嵌め込まれる部分として設けられている。コネクタ端子部12は、本体部33がベースハウジング15の開口22側から端子収容室23に嵌め込まれて収容された状態で、ベースハウジング15に保持されている。
また、各筒状の本体部33の内側には、接点バネ部37が配置されている。即ち、本体部33は、接点バネ部37の周囲を囲む角筒状に形成されている。そして、本体部33は、その内側において、接点バネ部37を片持ち状態で一体に支持している。また、本体部33の内部においては、接点バネ部37を挟んで対向する本体部33の一対の内壁(33a、33b)と接点バネ部37との間に隙間がそれぞれ形成されている。本体部33の一方の内壁33aと接点バネ部37との間の隙間に外部端子101が挿入され、本体部33の他方の内壁33bと接点バネ部37との間の隙間に後述するスライド部材13が挿入される。
基板実装部34は、コネクタ端子部12において、基板100の表面にはんだ付けによって実装されて基板100に接続される部分として設けられている。そして、コネクタ1においては、コネクタ端子部12がベースハウジング15に保持されており、基板実装部34は、ベースハウジング15における前壁部17の端子用スリット26から外部に露出した状態で配置されている。ベースハウジング15から外部に露出した基板実装部34は、はんだ103によって、基板100の表面にはんだ付けによって実装される(図1、図7、図16を参照)。コネクタ端子部12は、基板実装部34において基板100の表面にはんだ付けされることによって、基板100に対して電気的及び機械的に接続される。
圧入部35は、コネクタ端子部12において、ベースハウジング15に圧入される部分として設けられている。尚、ベースハウジング15の底壁部21には、複数の圧入用孔41が貫通形成されている(図9(A)及び図9(C)を参照)。圧入部35は、ベースハウジング15の複数の圧入用孔41のそれぞれに対して、圧入される。コネクタ端子部12は、本体部33がベースハウジング15の端子収容室23に嵌め込まれて収容された状態で、圧入部35がベースハウジング15の圧入用孔41に圧入されるように、構成されている。そして、コネクタ端子部12は、本体部33が端子収容室23に収容されるとともに圧入部35が圧入用孔41に圧入された状態で、ベースハウジング15に強固に保持されている。
連結バネ部36は、基板実装部34及び圧入部35と、本体部33とを、連結するバネ部として設けられている。そして、連結バネ部36は、弾性変形することで、基板実装部34及び圧入部35に対する本体部33及び接点バネ部37の相対変位を許容するバネ部として設けられている。本実施形態では、連結バネ部36は、複数回に亘って屈曲しながら延びる細長い板バネ状の部分として設けられ、半円弧状に繰り返し湾曲しながら延びるバネ部として設けられている。
接点バネ部37は、接点部38を含むとともに弾性変形して撓んだ状態で外部端子101に接触することが可能に構成された板バネ状の部分として設けられている。また、接点バネ部37は、本体部33の内側で本体部33に一体に設けられ、本体部33に対して片持ち状に支持されている。即ち、接点バネ部37は、本体部33の内側において、本体部33から片持ち状に延びるように構成されている。そして、接点バネ部37は、接点部38、屈曲部39、及びスライド部材接触部40を備えている。
接点部38は、ハウジング部11のベースハウジング15に外部端子挿入孔25から挿入される外部端子101に接触して外部端子101に電気的に接続される板バネ状の部分として設けられている。本実施形態では、接点部38は、本体部33から片持ち状に真っ直ぐに延びるように設けられている。また、接点部38は、本体部33から、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向に垂直な面に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。
屈曲部39は、本体部33から片持ち状に延びる接点部38の端部に設けられ、接点部38と一体に設けられている。即ち、屈曲部39は、接点部38における本体部33側とは反対側の端部において接点部38と一体に設けられている。このため、接点部38は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37において、屈曲部39よりも根本側に設けられている。即ち、接点部38は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37において、屈曲部39よりも本体部33側の部分として設けられている。また、屈曲部39は、本体部33から、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向に垂直な面に沿って、屈曲して延びる部分として設けられている。
スライド部材接触部40は、後述するスライド部材13に接触する部分として設けられている。本実施形態では、スライド部材接触部40は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37において、屈曲部39よりも先端側の部分として設けられている。即ち、スライド部材接触部40は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37において、屈曲部39を挟んで接点部38と反対側の部分として設けられている。そして、スライド部材接触部40は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37における屈曲部39よりも先端側において、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向に垂直な面に沿って延びるように設けられている。
接点バネ部37は、上述の通り、本体部33から、接点部38、屈曲部39、及びスライド部材接触部40の順番で、片持ち状に延びるように設けられている。そして、接点部38、屈曲部39、及びスライド部材接触部40は、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に垂直な面に沿って延びるように設けられている。このため、接点バネ部37は、本体部33から、上記の外部端子挿入方向に垂直な面に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。また、これにより、コネクタ1が基板100に設置された状態で、接点バネ部37は、本体部33から、基板100の表面と平行な面に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。
[スライド部材]
図17は、スライド部材13を示す斜視図である。図18は、スライド部材13を示す図であって、図18(A)は、平面図(上面図)であり、図18(B)は、左側面図であり、図18(C)は、正面図であり、図18(D)は、右側面図であり、図18(E)は、底面図である。
図5乃至図7、図15乃至図18に示すスライド部材13は、直線状に細長く延びる板状のスライド本体部42を有する部材として設けられ、例えば、金属材料により形成されている。スライド部材13は、コネクタ1において複数備えられている。コネクタ1においては、スライド部材13は、コネクタ端子部12と同数備えられており、本実施形態では、スライド部材13が5つ備えられたコネクタ1の形態を例示している。
複数のスライド部材13のそれぞれには、スライドハウジング16の複数の保持穴30aのそれぞれに対して圧入される圧入部43が設けられている。圧入部43は、直線状に延びる板状のスライド本体部42における一方の端部と一体に設けられている。各スライド部材13は、圧入部43においてスライドハウジング16の各保持穴30aに圧入されることで、スライドハウジング16に保持されている。また、各スライド部材13は、スライド本体部42の一方の端部側の圧入部43にてスライドハウジング16に保持されていることで、スライドハウジング16の本体部30から片持ち状に突出した状態で、スライドハウジング16に保持されている。
また、各スライド部材13は、ベースハウジング15に対して外部端子挿入方向(外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向)に垂直な面に沿ってスライド移動可能に支持されたスライドハウジング16に保持されている。そして、各スライド部材13は、ベースハウジング15の開口22からベースハウジング15の内部に向かって突出した状態で、スライドハウジング16に保持されている。即ち、スライドハウジング16に片持ち状に支持された各スライド部材13は、スライドハウジング16から、ハウジング部11の高さ方向に沿って、ベースハウジング15の底壁部21側に向かって突出するように延びている。このため、コネクタ1が基板100に設置された状態では、各スライド部材13は、スライドハウジング16から、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に沿って、基板100に向かって延びるように、設けられている。
また、各スライド部材13は、各コネクタ端子部12の角筒状の本体部33の内部に挿入された状態で、ハウジング部11の高さ方向に沿ってスライドハウジング16から片持ち状に延びている。そして、各コネクタ端子部12の本体部33の内部に挿入された状態で延びる各スライド部材13は、本体部33の内壁33bと接点バネ部37との間の隙間において挿入されている。
上記のように、各スライド部材13は、ベースハウジング15に対して上記の外部端子挿入方向に垂直な面に沿ってスライド移動可能に支持されたスライドハウジング16に保持されている。そして、各スライド部材13は、各コネクタ端子部12の本体部33の内部にて本体部33の内壁33bと接点バネ部37との間の隙間において挿入されている。このため、各スライド部材13は、接点バネ部37に接触した状態で接点バネ部37に対してスライド移動しながら相対変位可能にハウジング部11に保持されている。更に、各スライド部材13は、上記の外部端子挿入方向に垂直な面に沿って、接点バネ部37に対してスライド移動することで、接点バネ部37を外部端子101に向かって押し付けるように撓ませるように構成されている。
また、各スライド部材13は、各コネクタ端子部12の本体部33の内部にて本体部33の内壁33bと接点バネ部37のスライド部材接触部40との間の隙間において挿入され、接点バネ部37に対して、スライド部材接触部40において接触するように配置されている。即ち、各スライド部材13は、各コネクタ端子部12の本体部33の内部において、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37に対して、屈曲部39よりも先端側で接触するように配置されている。そして、スライド部材13を保持するスライドハウジング16は、ベースハウジング15に対して、ベースハウジング15の後方側から前方側に向かってスライド移動可能に支持されている。これにより、各スライド部材13は、各コネクタ端子部12の本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37に対して、屈曲部39から先端側に向かう方向に沿って前方側に向かってスライド移動することで、接点バネ部37を外部端子101に向かって押し付けるように撓ませるように構成されている。
また、スライドハウジング16に片持ち状に支持された各スライド部材13のスライド本体部42は、スライドハウジング16から、ハウジング部11の高さ方向に沿って、ベースハウジング15の底壁部21側に向かって突出するように延びている。即ち、スライド本体部42は、その長手方向は、ハウジング部11の高さ方向に沿って延びるように配置されている。そして、スライド本体部42には、その長手方向に沿って延びるテーパ部42aが設けられている。
テーパ部42aは、スライド本体部42の前方側の縁部分として設けられ、スライドハウジング16に保持されたスライド部材13のスライド本体部42において前方側に向かって窄まるように形成された部分として設けられている。即ち、テーパ部42aは、スライド本体部42の前後方向に垂直な面における断面積が前方側に向かって減少する先細り形状の部分を有するように形成されたスライド本体部42の前方側の縁部分として設けられている。尚、スライド本体部42の前後方向は、スライド部材13の前後方向、スライドハウジング16の前後方向、及びハウジング部11の前後方向と平行な方向となる。
各スライド部材13のスライド本体部42には、前方側に向かって上記の構成のテーパ部42aが設けられている。このため、各スライド部材13が各接点バネ部37に対して屈曲部39から先端側に向かう方向に沿ってスライド移動する際には、各スライド部材13は、各コネクタ端子部12の本体部33の内部にて内壁33bとスライド部材接触部40との間の隙間に沿って、その隙間の前方側に向かって、テーパ部42aの先端側から挿入される。これにより、各スライド部材13が各接点バネ部37に対して屈曲部39から先端側に向かう方向に沿ってスライド移動する際に、各接点バネ部37を各外部端子101に向かって容易に押し付けるように撓ませることができる。
[コネクタの組み立て]
上述したコネクタ1は、ベースハウジング15、一対の補強タブ14、複数のコネクタ端子部12、スライドハウジング16、複数のスライド部材13が組み立てられることで構成される。コネクタ1の組み立てにおいては、まず、スライドハウジング16に複数のスライド部材13が取り付けられ、ベースハウジング15に一対の補強タブ14及び複数のコネクタ端子部12が取り付けられる。
図19は、スライドハウジング16に複数のスライド部材13が取り付けられた状態を示す斜視図である。図20は、スライドハウジング16及び複数のスライド部材13を示す図であって、図20(A)は、平面図(上面図)であり、図20(B)は、正面図であり、図20(C)は、底面図である。
スライドハウジング16に複数のスライド部材13が取り付けられる際には、スライドハウジング16の本体部30の複数の保持穴30aのそれぞれに対して、複数のスライド部材13のそれぞれの圧入部43が圧入される。これにより、図19及び図20に示すように、スライド部材13は、スライドハウジング16の本体部30から片持ち状に突出した状態で、スライドハウジング16に保持される。また、スライド部材13は、スライドハウジング16の本体部30から、一対の脚部31と同方向に向かって片持ち状に突出している。
一方、ベースハウジング15に対しては、一対の補強タブ14及び複数のコネクタ端子部12が取り付けられる。補強タブ14は、ベースハウジング15に対して、タブ用スリット28において圧入されることで、取り付けられる。コネクタ端子部12は、基板実装部34が端子用スリット26に挿通されるとともに、本体部33がベースハウジング15の開口22から端子収容室23に嵌め込まれ、更に、圧入部35が圧入用孔41に圧入されることで、ベースハウジング15に取り付けられる。
スライドハウジング16への複数のスライド部材13の取り付けが終了し、ベースハウジング15への一対の補強タブ14及び複数のコネクタ端子部12の取り付けが終了すると、スライドハウジング16のベースハウジング15への取り付けが行われる。
上記の取り付けの際には、複数のスライド部材13を保持したスライドハウジング16の一対の脚部31が、ベースハウジング15に対して、ベースハウジング15の開口22から挿入される。このとき、一対の脚部31のそれぞれに設けられた抜け防止凸部31aが、ベースハウジング15の開口22の奥側においてベースハウジング15の抜け防止凸部29を乗り越える位置まで、一対の脚部31がベースハウジング15の内部に挿入される。これにより、スライドハウジング16の一対の脚部31の抜け防止凸部31aがベースハウジング15の奥側まで挿入され、スライドハウジング16の抜け防止凸部31aとベースハウジング15の抜け防止凸部29とが係合可能な状態となる。そして、スライドハウジング16のベースハウジング15からの抜け止めが図られた状態となる。
上記のように、スライドハウジング16のベースハウジング15からの抜け止めが図られた状態で、スライドハウジング16のベースハウジング15への取り付けが終了し、コネクタ1の組み立てが終了する。また、この状態では、スライドハウジング16の抜け防止凸部31aとベースハウジング15の抜け防止凸部29とは、ハウジング部11の高さ方向において係合可能な状態であり、ハウジング部11の前後方向においてスライド移動可能な状態となっている。このため、スライドハウジング16は、ベースハウジング15に対して、ハウジング部11の前後方向に沿って、スライド移動可能に支持されている。
[コネクタによる基板と外部端子との接続]
次に、上述のように組み立てられたコネクタ1による基板100と複数の外部端子101との接続について更に説明する。基板100には、例えば、表裏面に導電回路パターン(図示省略)が設けられており、その基板100に対して、コネクタ1が実装されて接続される。
基板100へのコネクタ1の接続の際には、図3に示す状態のコネクタ1が、基板100に対して基板100の貫通孔100aを塞ぐように配置された状態で基板100の表面に実装され、基板100に設置される。そして、図1に示すように、コネクタ1の複数のコネクタ端子部12の基板実装部34が、基板100の表面にはんだ103にてはんだ付けによって実装されて接続される。また、コネクタ1の各補強タブ14の固定部14aも、基板100の表面にはんだ102にてはんだ付けによって実装されて固定される。
上記のように、コネクタ1の複数のコネクタ端子部12と一対の補強タブ14とが基板100に実装されることにより、図1、図6、図7に示すように、基板100とコネクタ1とが電気的及び機械的に接続された状態となる。
基板100とコネクタ1とが接続されると、コネクタ1と複数の外部端子101との接続が行われる。コネクタ1と複数の外部端子101とが接続されることで、コネクタ1を介して基板100と複数の外部端子101とが接続される。図21乃至図24は、コネクタ1の作動を説明するための図であって、コネクタ1を介した基板100と複数の外部端子101との接続動作を説明するための図である。尚、図21は、コネクタ1、基板100、及び外部端子101の斜視図である。図22は、コネクタ1、基板100、及び外部端子101の側面図である。図23は、コネクタ1、基板100、及び外部端子101の断面図である。図24は、コネクタ1及び外部端子101の断面を基板100とともに示す図である。尚、図23は、図6に対応する断面の断面図であり、図24は、図7に対応する断面の断面図である。
コネクタ1を介した基板100と複数の外部端子101との接続が行われる際には、まず、複数の外部端子101が基板100の貫通孔100aに挿入される。そして、図21乃至図24に示すように、基板100の貫通孔100aに挿入された複数の外部端子101のそれぞれは、コネクタ1のハウジング部11の複数の外部端子挿入孔25のそれぞれに挿入される。尚、複数の外部端子101は、コネクタ1に対して、複数の外部端子挿入孔25から同時に挿入される。
ベースハウジング15の各外部端子挿入孔25からコネクタ1に挿入された各外部端子101の先端部は、コネクタ1の内部において、ベースハウジング11の各端子収容室23に収容された各コネクタ端子部12の本体部33の内側を通過する。そして、各コネクタ端子部12の本体部33の内側を通過する各外部端子101は、本体部33の内壁33aと接点バネ部37の接点部38との間の隙間に挿入される。これにより、各外部端子101は、本体部33の内壁33aと接点バネ部37の接点部38とに挟まれ、接点部38に接触した状態となる。このとき、接点バネ部37は、外部端子101に接触することで、少し弾性変形して僅かに撓んだ状態となる。これにより、接点バネ部37と外部端子101とが接触して電気的に接続される。
尚、スライドハウジング16には、本体部30において、複数の確認窓44が設けられている(図21及び図23を参照)。確認窓44は、コネクタ1に複数の外部端子101を接続する作業を行った作業者が、コネクタ1に外部端子101が挿入されているか否かを視認して確認するための窓として設けられている。複数の確認窓44のそれぞれは、本体部30を高さ方向に貫通する貫通孔として設けられている。そして、複数の確認窓44のそれぞれは、ハウジング部11の高さ方向において複数の外部端子挿入孔25のそれぞれに対応する位置に設けられている。このため、作業者は、確認窓44から外部端子101が見えることを確認することで、コネクタ1に外部端子101が挿入されているか否かを確認することができる。
上記のようにコネクタ1に複数の外部端子101が挿入された状態では、各スライド部材13は、各コネクタ端子部12の接点バネ部37を各外部端子101に向かって押し付けるように付勢する前の位置に位置している(図23及び図24を参照)。この状態では、スライドハウジング16は、ベースハウジング15に対して、後方側にずれた位置に位置している(図22を参照)。
図25乃至図28は、コネクタ1の作動を説明するための図であって、コネクタ1を介した基板100と複数の外部端子101との接続動作が完了した状態を説明するための図である。尚、図25は、コネクタ1、基板100、及び外部端子101の斜視図である。図26は、コネクタ1、基板100、及び外部端子101の断面図である。図27は、コネクタ1及び外部端子101の断面を基板100とともに示す図である。図28は、コネクタ1及び基板100の断面を外部端子101とともに示す図である。尚、図26は、図6に対応する断面の断面図であり、図27は、図7に対応する断面の断面図であり、図28は、図26のX6−X6線矢視位置における断面を示している。
図21乃至図24に示す状態から、複数のスライド部材13を保持したスライドハウジング16が、ベースハウジング15に対して、ベースハウジング15の後方側から前方側に向かってスライド移動するように、作業者によって操作される。即ち、スライドハウジング16は、ベースハウジング15に対して、外部端子挿入方向(外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向)に垂直な面に沿って、ベースハウジング15の前方側に向かって、スライド移動するように、操作される。尚、図25においては、スライドハウジング16がベースハウジング15に対してスライド移動するように操作される方向が、矢印X5で示されている。
スライドハウジング16がスライド移動することで、複数のスライド部材13もスライドハウジング16とともに、ベースハウジング15の前方側に向かってスライド移動する。このとき、スライド部材13は、コネクタ端子部12の本体部33の内部にて本体部33の内壁33bと接点バネ部37のスライド部材接触部40との間において、スライド移動する。更に、スライド部材13は、上記の外部端子挿入方向に垂直な面に沿って、ベースハウジング15の前方側に向かって、接点バネ部37のスライド部材接触部40に対してスライド移動する。即ち、スライド部材13は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部37に対して、屈曲部39から先端側に向かう方向に沿ってスライド移動する。これにより、スライド部材13は、接点バネ部37を外部端子101に向かって押し付けるように撓ませる(図26及び図27を参照)。
尚、接点バネ部37のスライド部材接触部40は、スライド部材13の上記のスライド動作の前の状態において、本体部33の内壁33bとの隙間を狭めるように延びた部分を有している(図24を参照)。このため、スライド部材13が、ベースハウジング15の前方側に向かって、接点バネ部37のスライド部材接触部40に対してスライド移動することで、接点バネ部37が外部端子101に向かって押し付けられるように撓むことになる。
スライドハウジング16のベースハウジング15に対する上記のスライド移動動作が終了すると、コネクタ1と複数の外部端子101との接続動作が完了する。即ち、コネクタ1を介した基板100と複数の外部端子101との接続動作が完了する。図25乃至図28に示すように、コネクタ1と複数の外部端子101との接続動作が完了した状態では、スライド部材13によって接点バネ部37が外部端子101に強固に押し付けられているため、コネクタ1と外部端子101との間における確実な電気的接続状態が確保される。
尚、スライドハウジング16のベースハウジング15に対する上記のスライド移動動作が行われる際には、スライドハウジング16のロックアーム部32が、ベースハウジング15の一対のロック凸部27と当接し、一旦撓むように弾性変形する。そして、ロックアーム部32は、一対のロック凸部27を乗り越えた後、弾性回復し、一対のロック凸部27と係合する。このため、コネクタ1と複数の外部端子101との接続動作が完了した状態では、図28に示すように、スライドハウジング16のロックアーム部32が、ベースハウジング15の一対のロック凸部27と係合している。これにより、スライドハウジング16がベースハウジング15に対して後方側へ移動して上記のスライド移動動作の前の状態に戻ってしまうことが防止される。
コネクタ1と複数の外部端子101との接続を解除する場合は、スライドハウジング16のロックアーム部32を作業者が操作して撓ませ、ロックアーム部32と一対のロック凸部27との係合を解除する。この状態で、スライドハウジング16が、ベースハウジング15に対して後方側へスライド移動するように、操作される。これにより、スライド部材13によって接点バネ部37が外部端子101に強固に押し付けられた状態が解除される。そして、スライド部材13による接点バネ部37の押し付けが解除された状態で、複数の外部端子101がコネクタ1から引き出される。これにより、コネクタ1と複数の外部端子101との接続が解除される。
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態によると、コネクタ端子部12の接点バネ部37は、外部端子101が基板100を貫通してハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に垂直な面に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。このため、コネクタ端子部12の接点バネ部37が、外部端子挿入方向に沿って外部端子挿入方向と平行に片持ち状に延びる構造となることがない。
上記の構成により、外部端子101が基板100を貫通してハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に沿った方向におけるコネクタ端子部12の寸法を小さくすることができ、コネクタ端子部12の高さを低くすることができる。そして、コネクタ端子部12の高さを低くすることができため、コネクタ端子部12を保持するハウジング部11の高さも低くすることができる。これにより、基板100に設置された状態でのコネクタ1の基板100からの高さを低くすることができる。
従って、本実施形態によると、基板100に設置されて基板100と基板100を貫通する外部端子101とを接続するコネクタ1において基板100に設置された状態での基板100からの高さを低くすることができる。
また、本実施形態によると、スライド部材13が接点バネ部37に接触した状態で接点バネ部37に対してスライド移動することで、接点バネ部37が外部端子101に向かって押し付けられるように撓む。このため、スライド部材13のスライド移動動作によって、容易に、コネクタ端子部12と外部端子101との十分な接触圧力を確保することができる。
そして、本実施形態によると、スライド部材13は、外部端子挿入方向に垂直な面に沿って、接点バネ部37に対してスライド移動するように設けられている。このため、コネクタ端子部12と外部端子101との接触圧力の確保のためにスライド部材13をスライド移動させる際に、スライド部材13からコネクタ端子部12及びハウジング部11に対して、外部端子挿入方向に大きな力が作用してしまうことを抑制することができる。よって、スライド部材13のスライド移動動作時に、基板100に対して、基板100に垂直な方向に大きな外力が作用してしまうことを抑制することができる。これにより、スライド部材13のスライド移動動作時に、基板100の歪が生じてしまうことを抑制できる。そして、基板100においてコネクタ1の近傍に他の電子部品等が設置されている場合であっても、基板100の歪が生じることによって他の電子部品等の破損が生じてしまうことを、抑制することができる。
また、本実施形態によると、スライドハウジング16をベースハウジング15に対してスライド移動させることで、複数のコネクタ端子部12に対して、複数のスライド部材13を同時タイミングでスライド移動させることができる。よって、本実施形態によると、複数のコネクタ端子部12と複数の外部端子101との接触圧力の確保のために複数のスライド部材13をスライド移動させる動作を容易且つ速やかに行うことができる。
また、本実施形態によると、接点バネ部37の根本側に接点部38が設けられ、スライド部材13が接点バネ部37に対して接点バネ部37における屈曲部39よりも先端側で接触する。このため、接点バネ部37は、接点バネ部37の根本側で外部端子101に安定して接触した状態で、接点バネ部37の屈曲部39よりも先端側にてスライド部材13によって外部端子101に向かって押し付けられる。よって、コネクタ端子部12と外部端子101との安定した接触状態を確保しつつコネクタ端子部12と外部端子101との十分な接触圧力を容易に確保することができる。
また、本実施形態によると、スライド部材13が接点バネ部37の屈曲部39から先端側に向かう方向に沿ってスライド移動することで、接点バネ部37が外部端子101に向かって押し付けられる。このため、スライド部材13をより円滑にスライド移動させることができる。よって、コネクタ端子部12と外部端子101との安定した接触状態を確保しつつコネクタ端子部12と外部端子101との十分な接触圧力を更に容易に確保することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)前述の実施形態では、コネクタ端子部が基板の表面に実装される基板実装部を有している形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、基板のスルーホールに対して挿入されてはんだ付けされることで基板に接続される基板接続部を有するコネクタ端子部を備えたコネクタの形態が実施されてもよい。
(2)前述の実施形態では、スライド部材を備えるコネクタの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。スライド部材が備えられていないコネクタの形態が実施されてもよい。また、前述の実施形態では、ハウジング部が、スライドハウジングを備える形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。スライドハウジングが備えられていないハウジング部を有するコネクタの形態が実施されてもよい。
(3)前述の実施形態では、接点バネ部が本体部から外部端子挿入方向に垂直な面に沿って片持ち状に延びるように設けられたコネクタ端子部の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、図29乃至図31に示すような変形例が実施されてもよい。
図29は、変形例に係るコネクタのコネクタ端子部45の斜視図である。図30は、コネクタ端子部45を示す図であって、図30(A)は、平面図(上面図)であり、図30(B)は、正面図であり、図30(C)は、側面図であり、図30(D)は、底面図である。図31は、コネクタ端子部45を示す図であって、図31(A)及び図31(B)は、一部を切り欠き断面の状態で示す斜視図であり、図31(C)は、図31(A)の側面図である。尚、以下の変形例についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
図29乃至図31に示す変形例に係るコネクタ端子部45を有する変形例に係るコネクタは、基板100に設置されて基板100と基板100を貫通する複数の外部端子101とを接続するコネクタとして構成されている。そして、この変形例に係るコネクタは、複数のコネクタ端子部45と、前述の実施形態のコネクタ1におけるハウジング部11、複数のスライド部材13、及び一対の補強タブ14と、を備えて構成されている。即ち、変形例に係るコネクタは、コネクタ端子部45以外の要素が、前述の実施形態のコネクタ1と同様に構成されている。
図29乃至図31に示すコネクタ端子部45は、導電性を有する金属材料により形成されており、基板100と外部端子101とを電気的に接続する要素として設けられている。コネクタ端子部45は、本体部33、基板実装部34、圧入部35、連結バネ部36、接点部47を含む接点バネ部46、を備えて構成されている。本体部33、基板実装部34、圧入部35、連結バネ部36、接点バネ部46は、一体に設けられている。コネクタ端子部45は、接点バネ部46の構成を除き、前述の実施形態のコネクタ端子部12と同様に構成されている。即ち、コネクタ端子部45と、前述の実施形態のコネクタ端子部12とは、接点バネ部46の構成と、接点バネ部37の構成とにおいて、異なっている。
接点バネ部46は、接点部47を含むとともに弾性変形して撓んだ状態で外部端子101に接触することが可能に構成された板バネ状の部分として設けられている。また、接点バネ部46は、本体部33の内側で本体部33に一体に設けられ、本体部33に対して片持ち状に支持されている。即ち、接点バネ部46は、本体部33の内側において、本体部33から片持ち状に延びるように構成されている。そして、接点バネ部46は、接点部47、屈曲部48、及びスライド部材接触部49を備えている。
接点部47は、ハウジング部11のベースハウジング15に外部端子挿入孔25から挿入される外部端子101に接触して外部端子101に電気的に接続される板バネ状の部分として設けられている。本変形例では、接点部47は、本体部33から片持ち状に真っ直ぐに延びるように設けられている。また、接点部47は、本体部33から、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に斜めの面に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。
屈曲部48は、本体部33から片持ち状に延びる接点部47の端部に設けられ、接点部47と一体に設けられている。即ち、屈曲部48は、接点部47における本体部33側とは反対側の端部において接点部47と一体に設けられている。このため、接点部47は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部46において、屈曲部48よりも根本側に設けられている。即ち、接点部47は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部46において、屈曲部48よりも本体部33側の部分として設けられている。また、屈曲部48は、本体部33から、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に斜めの面に沿って、屈曲して延びる部分として設けられている。
スライド部材接触部49は、スライド部材13に接触する部分として設けられている。本変形例では、スライド部材接触部49は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部46において、屈曲部48よりも先端側の部分として設けられている。即ち、スライド部材接触部49は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部46において、屈曲部48を挟んで接点部47と反対側の部分として設けられている。そして、スライド部材接触部49は、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部46における屈曲部48よりも先端側において、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に斜めの面に沿って延びるように設けられている。
接点バネ部46は、上述の通り、本体部33から、接点部47、屈曲部48、及びスライド部材接触部49の順番で、片持ち状に延びるように設けられている。そして、接点部47、屈曲部48、及びスライド部材接触部49は、外部端子101がハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に斜めの面に沿って延びるように設けられている。このため、接点バネ部46は、本体部33から、上記の外部端子挿入方向に斜めの面(即ち、外部端子挿入方向に対して斜めに交わる面)に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。また、これにより、変形例に係るコネクタが基板100に設置された状態で、接点バネ部46は、本体部33から、基板100の表面と平行な面に対して斜めの面(即ち、法線方向が、基板100の表面の法線方向に対して斜めに傾いた面)に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。尚、本変形例では、基板100の表面の法線方向と、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部46が配置される上記の斜めの面の法線方向と、が成す角であって鋭角側の角が、例えば略30度であって、45度未満である形態を例示している。
尚、変形例に係るコネクタ端子部45を有する変形例に係るコネクタにおいても、スライド部材13は、前述の実施形態のスライド部材13と同様に構成されている。即ち、変形例に係るコネクタにおいても、スライド部材13は、外部端子挿入方向に垂直な面に沿って、接点バネ部46に対してスライド移動することで、接点バネ部46を外部端子101に向かって押し付けるように撓ませるように構成されている。
本変形例によると、コネクタ端子部45の接点バネ部46は、外部端子101が基板100を貫通してハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に斜めの面に沿って、片持ち状に延びるように設けられている。このため、コネクタ端子部45の接点バネ部46が、外部端子挿入方向に沿って外部端子挿入方向と平行に片持ち状に延びる構造となることがない。
上記の構成により、外部端子101が基板100を貫通してハウジング部11へ挿入される方向である外部端子挿入方向に沿った方向におけるコネクタ端子部45の寸法を小さくすることができ、コネクタ端子部45の高さを低くすることができる。そして、コネクタ端子部45の高さを低くすることができため、コネクタ端子部45を保持するハウジング部11の高さも低くすることができる。これにより、基板100に設置された状態でのコネクタの基板100からの高さを低くすることができる。
従って、本変形例によると、基板100に設置されて基板100と基板100を貫通する外部端子101とを接続するコネクタにおいて基板100に設置された状態での基板100からの高さを低くすることができる。
尚、本変形例では、基板100の表面の法線方向と、本体部33から片持ち状に延びる接点バネ部46が配置される前述の斜めの面の法線方向と、が成す角であって鋭角側の角が、45度未満であるため、本変形例に係るコネクタが基板100に設置された状態での基板100からの高さをより効率よく低くすることができる。