JP6833522B2 - 車両用制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用制御装置に関する。
近年、高圧縮比のガソリンエンジンが注目を集めている。ガソリンエンジンの高圧縮比化により、熱効率の向上を図ることができる。
しかしながら、高圧縮比のガソリンエンジンでは、たとえば、吸気温度が上昇すると、燃焼室内の燃料と空気との混合気が点火プラグからの火炎伝播の前に自己着火する現象、いわゆるノッキング(エンジンノック)が発生しやすくなるので、リタード(点火時期が遅角)が必要となる。その結果、図3に示されるように、ガソリンエンジンのトルクが低下する。このリタードによるトルクの低下が生じると、車両の走行性能が低下するために、運転者が走行性能の悪化を感じるうえに、走行性能を確保するために燃料増量領域までスロットルバルブを開いた状態(アクセルペダルを踏み込んだ状態)での走行が増え、燃費が悪化する。
特開2012−229675号公報
本発明の目的は、高圧縮ガソリンエンジンにおけるリタードの影響を抑制できる、車両用制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置は、ガソリンエンジン、モータ、モータに供給される電力を蓄積するバッテリと、バッテリを充電する電力を発生するジェネレータを搭載し、モータの動力により走行をアシストする機能を有する車両に用いられる制御装置であって、ガソリンエンジンの吸気温度に対応する吸気温度対応値が第1値以上であるか否かを判別する温度判別手段と、バッテリの残量に対応する残量対応値が第2値以下であるか否かを判別する残量判別手段と、温度判別手段により吸気温度対応値が第1値以上であると判別され、かつ、残量判別手段により残量対応値が第2値以下であると判別された場合に、ジェネレータによる発電を増量させる発電増量手段とを含む。
この構成によれば、ガソリンエンジンの吸気温度に対応する吸気温度対応値が第1値以上であり、かつ、バッテリの残量に対応する残量対応値が第2値以下である場合に、ジェネレータによる発電が増量される。これにより、バッテリの残量を増やすことができ、モータの動力による走行アシスト(モータアシスト)に必要な電力を確保することができる。その結果、バッテリの残量不足のためにモータアシストが制限されることを抑制でき、車両の発進時などにモータアシストが行われることにより、運転者がリタードの影響による走行性能低下を感じることなく、ガソリンエンジンの燃料増量領域での使用率を低減させることができる。
本発明によれば、リタードのトルク低下の影響を抑制することができる。その結果、車両の走行性能を確保でき、燃料増量領域までスロットルバルブを開いた状態での車両の走行による燃費の悪化を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両の要部の構成を示す図である。 電力確保処理の流れを示すフローチャートである。 エンジンの吸気温度と点火遅角との関係および点火遅角とトルクダウンとの関係を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両1の要部の構成を示す図である。
車両1は、エンジン2を主駆動源とし、ISG(integrated starter generator:インテグレーテッドスタータジェネレータ)3を走行アシストに使用するハイブリッドシステムを搭載している。
エンジン2は、高圧縮比のガソリンである。エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。
ISG3は、電力の供給により動力を発生するモータ機能と動力を電力に回生するジェネレータ機能とを併有している。ISG3は、モータ機能による走行アシストが可能であり、また、モータ機能によるエンジン2のスタータとしての使用が可能に設けられている。ISG3がモータとして機能するときには、メインバッテリ(図示せず)とは別に設けられたアシスト用サブバッテリ4からインバータを介してISG3に電力が供給される。ISG3がジェネレータとして機能するときには、ISG3による発電電力がISG3からインバータを介してアシスト用サブバッテリ4に供給される。
車両1には、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が備えられている。複数のECUには、エンジン制御のためのエンジンECU11およびブレーキ制御(姿勢制御)のためのブレーキECU12およびアイドリングストップ(IDS)制御のためのIDSECU13が含まれる。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を含む構成であり、マイコンには、たとえば、CPU、ROM、RAM、データフラッシュ(フラッシュメモリ)などが内蔵されている。複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。また、各ECUには、制御に必要な各種センサが接続されている。
エンジンECU11に接続されているセンサには、電流センサ21および吸気温度センサ22などが含まれる。
電流センサ21には、アシスト用サブバッテリ4に供給される充電電流とアシスト用サブバッテリ4から出力される放電電流とを区別して検出可能なものが採用されている。
吸気温度センサ22は、エンジン2の吸気管を流通する空気の温度に応じた検出信号を出力する。
また、エンジンECU11には、図示されていないが、アクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力するアクセルセンサ、エンジン2のクランクシャフトの回転に同期したパルス信号を検出信号として出力するエンジン回転センサなどの各種センサが接続されている。
エンジンECU11は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、エンジン2の始動、停止および出力調整などのため、エンジン2の電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグ、ならびにISG3などを制御する。また、ECU11は、アシスト用サブバッテリ4の充電残量であるバッテリ残量を算出し、アシスト用サブバッテリ4の充電容量(満充電量)に対するバッテリ残量の比率であるSOC(State Of Charge)に基づいて、ISG3による発電およびISG3による走行アシストを制御する。
ブレーキECU12に接続されているセンサには、ブレーキセンサ23、車速センサ24およびGセンサ25などが含まれる。
ブレーキセンサ23は、車室内に配設されたブレーキペダルの操作量に応じた検出信号を出力する。
なお、車両1のブレーキ系統では、ブレーキペダルが踏み込まれると、そのブレーキペダルに入力された踏力がブレーキブースタに伝達される。ブレーキブースタに伝達された踏力は、ブレーキブースタの負圧によって増幅(倍力)され、ブレーキブースタからブレーキマスタシリンダに入力される。ブレーキマスタシリンダでは、ブレーキブースタから入力される力に応じた液圧が発生する。ブレーキマスタシリンダの液圧は、ブレーキアクチュエータ26に伝達される。ブレーキアクチュエータ26には、各車輪のブレーキに設けられたホイールシリンダの液圧を制御するためのバルブなどが内蔵されている。ブレーキマスタシリンダからブレーキアクチュエータ26に伝達された液圧は、各ブレーキのホイールシリンダに分配されて伝達される。そして、ホイールシリンダの液圧により、ブレーキから車輪にブレーキ力(制動力)が付与される。
車速センサ24は、たとえば、車両1の走行に伴って回転する磁性体からなるロータと、ロータと非接触に設けられた電磁ピックアップとを備えている。ロータが一定角度回転する度に、電磁ピックアップからパルス信号が出力され、そのパルス信号がブレーキECU12に入力される。パルス信号の周波数は、車速に対応するので、ブレーキECU12は、車速センサ24から入力されるパルス信号の周波数を車速に換算する。
Gセンサ25は、錘の変位に応じた信号を車両1の加速度に応じた検出信号として出力するものが採用されている。車速および/または路面の勾配が変化すると、錘が変位し、その変位に応じた信号がGセンサ25から出力される。ブレーキECU12は、Gセンサ25の検出信号から車両1が所在する路面の勾配(傾斜角)を求める。すなわち、Gセンサ25の検出信号から取得される加速度には、車速の変化による加速度成分と路面の勾配による加速度成分とが含まれる。一方、車速を微分して求められる加速度は、車速の変化による加速度成分のみである。したがって、Gセンサ25の検出信号から取得される加速度と車速の微分値との差を求めることにより、路面の勾配による加速度成分が得られるので、その加速度成分から路面の勾配を算出することができる。
なお、車速センサ24およびGセンサ25は、ブレーキECU12とは別のECUに接続されていてもよい。その場合、そのECUにより、車速、車両1の加速度および路面の勾配が取得されて、それらの情報がブレーキECU12に入力されるとよい。
ブレーキECU12は、車速、ブレーキペダルの操作量および他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、ブレーキアクチュエータ26などを制御し、車両1の姿勢が安定に保たれた状態で車両1が制動されるように、各ブレーキから車輪に付与される制動力を制御する。
IDSECU13には、アイドリングストップ制御に必要な情報として、IDSECU13には、ブレーキECU12から車速およびブレーキペダルの操作量などの情報が入力される。
アイドリングストップ制御では、車両1の走行中に、運転者によるブレーキ操作(たとえば、ブレーキペダルの踏操作)がなされると、IDSECU13により、アイドリングストップ条件が成立しているか否かが繰り返し判断される。アイドリングストップ条件には、たとえば、ブレーキ操作が一定時間以上継続しているというブレーキ条件、車両1のステアリング機構(ステアリングホイール)に加えられている操舵トルクがIDS禁止トルク未満であるという操舵トルク条件、車速が0km/hよりも大きいアイドリングストップ実施車速(たとえば、10km/h)以下であるという車速条件などが含まれる。すべてのアイドリングストップ条件が成立すると、IDSECU13からエンジンECU11にアイドリングストップ要求が出力され、エンジンECU11により、エンジン2が停止される。
アイドリングストップ制御によるエンジン2の停止中は、所定の復帰条件が成立しているか否かが繰り返し判断される。復帰条件には、たとえば、運転者によるブレーキ操作が解除されるという条件が含まれる。復帰条件が成立すると、IDSECU13からエンジンECU11に再始動要求が出力される。この再始動要求を受けて、エンジンECU11により、エンジン2が再始動される。
<電力確保処理>
図2は、電力確保処理の流れを示すフローチャートである。
車両1のイグニッションスイッチがオンである間、エンジンECU11により、電力確保処理が繰り返し実行される。
電力確保処理では、吸気温度センサ22の検出信号から取得されるエンジン2の吸気温度が所定温度A以上であるか否かが判別される(ステップS1)。
吸気温度が所定温度A以上である場合には(ステップS1のYES)、アシスト用サブバッテリ4のSOCが所定値B以下であるか否かが判別される(ステップS2)。
SOCが所定値B以下である場合には(ステップS2のYES)、ISG3による走行アシストが可能な電力を確保するため、発電増量制御が実行(オン)される(ステップS3)。
発電増量制御には、次の(1)〜(3)の制御が含まれる。
(1)IDS禁止
アイドリングストップ制御によるエンジン2の停止が禁止(IDS禁止)される。すなわち、アイドリングストップ条件が成立し、IDSECU13からエンジンECU11にアイドリングストップ要求が出力されても、エンジンECU11によるエンジン2の停止制御が行われない。これにより、ISG3による発電が行われる期間が増えるので、ISG3による発電量が増大し、アシスト用サブバッテリ4の残量を増やすことができる。
(2)低負荷領域での発電増量
エンジン2が低負荷領域で動作している状態では、車両1の制動中に限らず、車両1の加速走行および定常走行中にもISG3による発電が行われる。これにより、ISG3による発電が行われる期間が増えるので、ISG3による発電量が増大し、アシスト用サブバッテリ4の残量を増やすことができる。エンジン2が低負荷領域で動作しており、エンジン2に余力があるので、加速走行および定常走行中にISG3による発電が行われても、車両1の走行性能に影響はない。
(3)強ブレーキ時の発電増量
ブレーキペダルが所定量以上に踏み込まれた場合、車両1の制動中に行われるISG3による発電量が通常よりも増量される。これにより、ISG3による発電量が増大し、アシスト用サブバッテリ4の残量を増やすことができる。
一方、吸気温度が所定温度A未満である場合には(ステップS1のNO)、吸気温度が所定温度Aより低い所定温度C以下であるか否かが判別される(ステップS4)。
吸気温度が所定温度Cよりも高い場合(ステップS4のNO)、電力確保処理が一旦終了され、電力確保処理が新たに開始されて、吸気温度が所定温度A以上であるか否かが再び判別される(ステップS1)。
吸気温度が所定温度C以下である場合(ステップS4のYES)、発電増量制御中であればその発電増量制御が終了されて(ステップS5)、発電確保処理が終了される。
また、吸気温度が所定温度A以上であって(ステップS1のYES)、SOCが所定値Bよりも大きい場合には(ステップS2のNO)、SOCが所定値Bより大きい所定値D以上であるか否かが判別される(ステップS6)。
SOCが所定値D未満である場合(ステップS6のNO)、電力確保処理が一旦終了され、電力確保処理が新たに開始されて、吸気温度が所定温度A以上であるか否かが再び判別される(ステップS1)。
SOCが所定値D以上である場合(ステップS6のYES)、発電増量制御中であればその発電増量制御が終了されて(ステップS5)、発電確保処理が終了される。
<作用効果>
以上のように、エンジン2の吸気温度が所定温度A以上であり、かつ、アシスト用サブバッテリ4のSOCが所定値B以下である場合に、ISG3による発電が増量される。これにより、アシスト用サブバッテリ4の残量を増やすことができ、ISG3による走行アシストに必要な電力を確保することができる。その結果、アシスト用サブバッテリ4の残量不足のためにISG3による走行アシストが制限されることを抑制でき、車両1の発進時などにISG3による走行アシストが行われることにより、エンジン2の高負荷領域での使用率を低減させることができる。
そして、その走行アシストにより、リタードによるトルクの低下を抑制できるので、車両1の走行性能を確保でき、燃料増量領域までスロットルバルブを開いた状態での車両の走行による燃費の悪化を抑制できる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
前述の各センサは、本発明に関連するセンサを例示したものに過ぎず、エンジンECU11、ブレーキECU12およびIDSECU13には、他のセンサが接続されていてもよい。
また、エンジンECU11、ブレーキECU12およびIDSECU13の機能の全部または一部が1つのECUに集約されていてもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:車両
2:エンジン(ガソリンエンジン)
3:ISG(モータ、ジェネレータ)
4:アシスト用サブバッテリ(バッテリ)
11:エンジンECU(車両用制御装置、温度判別手段、残量判別手段、発電増量手段)

Claims (1)

  1. ガソリンエンジン、モータ、前記モータに供給される電力を蓄積するバッテリと、前記バッテリを充電する電力を発生するジェネレータを搭載し、前記ガソリンエンジンの吸気温度の上昇につれて前記ガソリンエンジンの点火時期が遅角され、かつ、前記モータの動力により走行をアシストする機能を有する車両に用いられる制御装置であって、
    前記ガソリンエンジンの吸気温度に対応する吸気温度対応値が第1値以上であるか否かを判別する温度判別手段と、
    前記バッテリの残量に対応する残量対応値が第2値以下であるか否かを判別する残量判別手段と、
    前記温度判別手段により前記吸気温度対応値が前記第1値以上であると判別され、かつ、前記残量判別手段により前記残量対応値が前記第2値以下であると判別された場合に、前記ジェネレータによる発電を増量させる発電増量手段とを含む、車両用制御装置。
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