JP6831896B1 - 導電性顔料ペースト、塗工材、及び導電性塗工膜 - Google Patents

導電性顔料ペースト、塗工材、及び導電性塗工膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 高顔料濃度においても顔料分散性と貯蔵安定性に優れる導電性顔料ペースト及び導電性塗工材であって、さらに、仕上がり性、導電性、及び耐溶剤性に優れる導電性塗工膜を提供すること。【解決手段】 顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を含有する導電性顔料ペーストであって、顔料分散樹脂(A)が、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シラノール基、アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性官能基を有し、かつ顔料分散樹脂(A)の極性官能基濃度が10〜23mmol/gであり、導電性顔料(B)の平均1次粒子径が、10〜80nmであり、顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAと溶媒(C)の溶解性パラメーターδCとが、|δA−δC|<2.0の関係である、導電性顔料ペースト。【選択図】なし

Description

本発明は、高顔料濃度においても、顔料分散性及び貯蔵安定性に優れる導電性顔料ペースト及び塗工材、並びに、仕上がり性、導電性、及び耐溶剤性に優れる導電性塗工膜に関する。
従来、顔料を顔料分散樹脂及び溶媒等の混合物中に分散させたペースト状の顔料分散体が、塗料、塗工材、コーティング材、電磁波シールド、ディスプレイパネル、タッチスクリーンパネル、着色フィルム、着色シート、化粧材、保護材、磁石改質材、印刷用インキ、デバイス部材、電子機器部材、プリント配線板、太陽電池、機能性ゴム部材、樹脂成形膜等の分野で広く用いられている。さらに、これらの材料に静電塗装性、導電性、電磁波シールド性、帯電防止性等の機能を付与するために導電性顔料や導電性高分子等を含有させている。
これらの分野では、顔料の分散性、貯蔵安定性、塗工性、導電性、仕上がり性、耐溶剤性等の性能向上がますます要求されており、そのため、優れた顔料分散能力と、形成された顔料分散体中の顔料粒子を再凝集させないだけの優れた顔料分散安定性を有する顔料分散樹脂及び顔料ペーストの開発がなされつつある。
顔料ペーストの設計にあたっては、顔料分散樹脂が塗工膜等の最終製品そのものの導電性能に悪い影響を及ぼさないように、あるいは溶媒及び顔料分散樹脂の使用量を低減することや乾燥時の使用エネルギーを低減する観点から、少量の顔料分散樹脂で高濃度かつ均一に分散された顔料ペーストを作製することが重要となっている。
例えば、特許文献1には、芯材として金属粒子を用い、当該金属粒子の表面がカーボンで被覆されてなるカーボン被覆金属粒子と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む導電性顔料ペーストが開示されている。しかしながら、銀や銅等の高価な導電性材料を使用することから汎用的な材料には用いることができなかった。
また、特許文献2には、カーボンナノチューブ及びカーボンブラックが樹脂材料に分散され、カーボン複合フィラーを10〜50重量%、及び前記樹脂材料を90〜50重量%の比率で含む導電性シートが開示されている。しかしながら、このペーストは顔料濃度が低い(樹脂比率が高い)ため導電性が十分でない場合があった。
特開2018−22598号公報 国際公開第2015/064708号
本発明の目的は、高顔料濃度においても顔料分散性と貯蔵安定性に優れる導電性顔料ペースト及び導電性塗工材であって、さらに、仕上がり性、導電性、及び耐溶剤性に優れる導電性塗工膜を提供することである。
発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を含有する導電性顔料ペーストによって、上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の導電性顔料ペースト、塗工材、及び導電性塗工膜を提供するものである。
[項1]
顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を含有する導電性顔料ペーストであって、
顔料分散樹脂(A)が、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シラノール基、アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性官能基を有し、かつ顔料分散樹脂(A)の極性官能基濃度が10〜23mmol/gであり、
導電性顔料(B)の平均1次粒子径が、10〜80nmであり、
顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAと溶媒(C)の溶解性パラメーターδCとが、|δA−δC|<2.0の関係である、
導電性顔料ペースト。
[項2]
顔料分散樹脂(A)の固形分含有量が、導電性顔料ペーストの固形分総量を基準として、0.1〜20質量%である、項1に記載の導電性顔料ペースト。
[項3]
導電性顔料(B)の含有量が、導電性顔料ペーストの固形分総量を基準として、5〜99.9質量%である、項1又は2に記載の導電性顔料ペースト。
[項4]
顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAが9.3以上であり、かつ溶媒(C)の溶解性パラメーターδCが10.4〜15.0である、項1〜3のいずれか1項に記載の導電性顔料ペースト。
[項5]
導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる頻度分布曲線が少なくとも2つのピークを有し、該ピークのピークトップが、粒子径150〜550nmの範囲に少なくとも1つ、粒子径600〜3,000nmの範囲に少なくとも1つあり、前記粒子径範囲におけるピーク面積比(粒子径150〜550nmの範囲におけるピーク面積の合計/粒子径600〜3000nmの範囲におけるピーク面積の合計)が0.2〜3である、項1〜4のいずれか1項に記載の導電性顔料ペースト。
[項6]
導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる平均粒子径(D50)が700〜1,300nmである、項1〜5のいずれか1項に記載の導電性顔料ペースト。
[項7]
導電性顔料ペーストのせん断速度0.1s−1の粘度Xとせん断速度1,000s−1の粘度Yが、500mPa・s<X<5,000mPa・s、及び、X/Y>1.0の関係である、項1〜6のいずれか1項に記載の導電性顔料ペースト。
[項8]
前記導電性顔料(B)が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性カーボンである、項1〜7のいずれか1項に記載の導電性顔料ペースト。
[項9]
さらに、導電性顔料(B)を基準として、高極性低分子量成分を0.01〜2.0質量%含有する、項1〜8のいずれか1項に記載の導電性顔料ペースト。
[項10]
さらに重量平均分子量10万以上、かつ溶解性パラメーターδDが9.3未満である皮膜形成樹脂(D)を含有する、項1〜9のいずれか1項に記載の導電性顔料ペースト。
[項11]
項1〜10のいずれか1項に記載の導電性顔料ペーストを含有する塗工材。
[項12]
さらに、少なくとも1種の金属元素を有する金属含有粒子を含有する、項11に記載の塗工材。
[項13]
項1〜10のいずれか1項に記載の導電性顔料ペーストに、少なくとも1種の金属元素を有する金属含有粒子を添加する、塗工材の製造方法。
[項14]
項11又は12に記載の塗工材を塗工して得られる導電性塗工膜。
[項15]
項11又は12に記載の塗工材を板状基材の両面に塗工して得られる導電性材料。
本発明の導電性顔料ペースト及び塗工材は、高顔料濃度においても、顔料の分散性、貯蔵安定性に優れ、比較的少ない配合量で充分にペーストの粘度を低下させることができる。また、その導電性塗工膜は、仕上がり性、導電性、及び耐溶剤性等に優れる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
本発明の「塗工材」とは、導電性顔料ペーストを含んだ液状の組成物であり、「塗工膜」とは、前記塗工材を塗工して乾燥した固形状の組成物である。
本発明では、まず適度な分散状態の導電性顔料(B)を有する導電性顔料ペーストを調整し、さらに諸性能を満足する導電性塗工膜を得るため、導電性顔料ペーストに成分を追加して塗工材を製造するものである。
[導電性顔料ペースト]
本発明の導電性顔料ペーストは、顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を含有し、顔料分散樹脂(A)が、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シラノール基、アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性官能基を有し、かつ顔料分散樹脂(A)の極性官能基濃度が10〜23mmol/gであり、導電性顔料(B)の平均1次粒子径が、10〜80nmであり、顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAと溶媒(C)の溶解性パラメーターδCとが、|δA−δC|<2.0の関係である。
ここで、溶解性パラメーターとは、一般にSP値(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、溶媒や樹脂の親水性又は疎水性の度合い(極性)を示す尺度である。また、溶媒と樹脂、樹脂間の溶解性や相溶性を判断する上で重要な尺度となるものであり、溶解性パラメーターの値が近い(溶解性パラメーターの差の絶対値が小さい)と、一般的に溶解性や相溶性が良好となる。
<顔料分散樹脂(A)>
本発明の導電性顔料ペーストの成分として用いることができる顔料分散樹脂(A)は、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シラノール基、アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性官能基を含有する。また、上記顔料分散樹脂(A)の極性官能基濃度は、分散性、貯蔵安定性、及び溶媒との相溶性の観点から、通常10〜23mmol/gであり、好ましくは11〜22.5mmol/gであり、より好ましくは12〜22mmol/gであることが好適である。
また、顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAとしては、分散性、貯蔵安定性、及び溶媒との相溶性の観点から、9.3以上が好ましく、10.0〜13.0がより好ましく、11.0〜12.5が更に好ましい。
樹脂の溶解性パラメーターは、当業者に公知の濁度測定法をもとに数値定量化されるものであり、具体的には、K.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,12,2359,1968)に準じて求めることができる。
顔料分散樹脂(A)が2種以上の場合の「顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδA」は、各樹脂の溶解性パラメーター値に質量分率を乗じたものを合計した値である。
樹脂の種類としては、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、及びこれらの複合樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
なかでも、該ペースト又は塗工材から形成される導電性塗工膜の優れた導電性を低下させることなく、導電性塗工膜に十分な造膜性を付与する観点から、顔料分散樹脂(A)としては、下記式(1)の重合性不飽和基含有モノマーを含むモノマーを重合又は共重合することにより得られるビニル(共)重合体(A−1)を含有することが好ましい。尚、本発明の「(共)重合体」とは、1種類のモノマーを重合した重合体と2種以上のモノマーを共重合した共重合体の両方を含むものである。
C(−R)=C(−R) ・・・式(1)
〔上記式において、Rは、それぞれ同じでも異なってもよく、水素原子又は有機基である。〕
上記ビニル(共)重合体(A−1)としては、その構造中に「−CH−CH(−X)−」で表される構造単位(ただし、Xは極性官能基を有する有機基である。)を含むものが好ましく、当該構造単位中の極性官能基Xとしては、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シラノール基、アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性官能基である。
上記ビニル(共)重合体(A−1)としては、例えば、水酸基含有ビニル(共)重合体、カルボキシル基含有ビニル(共)重合体、ピロリドン基含有ビニル(共)重合体、アミド基含有ビニル(共)重合体、スルホン酸基含有ビニル(共)重合体、リン酸基含有ビニル(共)重合体、アミノ基含有ビニル(共)重合体等が挙げられる。これらの(共)重合体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有ビニル(共)重合体としては、例えば、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−脂肪酸ビニル共重合体、ビニルアルコール−エチレン共重合体、ビニルアルコール−(N−ビニルホルムアミド)共重合体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとその他の重合性不飽和基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。(共)重合体中のビニルアルコール単位は脂肪酸ビニル単位を(共)重合した後に加水分解して得られたものでも良い。
カルボキシル基含有ビニル(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸の重合体、又はポリ(メタ)アクリル酸とその他の重合性不飽和基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
ピロリドン基含有ビニル(共)重合体としては、例えば、ポリビニルピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン−エチレン共重合体、N−ビニル−2−ピロリドン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
アミド基含有ビニル(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリルアミドの重合体、又は(メタ)アクリルアミドとその他の重合性不飽和基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
スルホン酸基含有ビニル(共)重合体としては、例えば、アリルスルホン酸又はスチレンスルホン酸等の重合体、アリルスルホン酸及び/又はスチレンスルホン酸とその他の重合性不飽和基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
リン酸基含有ビニル(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスフェートの重合体、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスフェートとその他の重合性不飽和基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
アミノ基含有ビニル(共)重合体としては、例えば、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの重合体、又はジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートとその他の重合性不飽和基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
これらのビニル(共)重合体(A−1)の中でも、分散性を向上させる観点、及び導電性塗工膜の表面抵抗率を低減させる観点から、水酸基含有ポリビニル(共)重合体、カルボキシル基含有ポリビニル(共)重合体、ピロリドン基含有ポリビニル(共)重合体が好ましく、水酸基含有ポリビニル(共)重合体がより好ましく、ポリビニルアルコール(共)重合体が更に好ましい。
なお、上記ビニル(共)重合体(A−1)は、上記の「−CH−CH(−X)−」で表される構造単位以外に、必要に応じて、共重合可能な重合性不飽和基含有モノマー由来の構造単位を含んでいてもよい。共重合可能な重合性不飽和基含有モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体又はビニリデン単量体;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;エチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体;3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム基含有単量体;ビニルトリメトキシシラン、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル(共)重合体(A−1)の重合方法は、それ自体既知の重合方法で製造することができ、例えば溶液重合を用いることが好ましいが、これに限られるものではなく、バルク重合や乳化重合や懸濁重合等でもよい。溶液重合を行う場合には、連続重合でもよいしバッチ重合でもよく、単量体は一括して仕込んでもよいし、分割して仕込んでもよく、あるいは連続的又は断続的に添加してもよい。
溶液重合において使用する重合開始剤は、特に限定するものではないが、具体的には、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物;アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物;ジイソプピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシバレロニトリル等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。
重合反応温度は、特に限定するものではないが、通常30〜200℃程度の範囲で設定
することができる。
このようにして得ることができるビニル(共)重合体(A−1)は、重合度が100〜4,000であることが好ましく、100〜3,000、150〜700であることがより好ましい。
また、重量平均分子量としては、1,000〜200,000であることが好ましく、2,000〜100,000、7,000〜30,000であることがより好ましい。
上記ビニル(共)重合体(A−1)は、合成終了後に脱溶媒及び/又は溶媒置換することで、固体又は任意の溶媒に置き換えた樹脂溶液にすることができる。
脱溶媒の方法としては、常圧で加熱により行ってもよいし、減圧下で脱溶媒してもよい。溶媒置換の方法としては、脱溶媒前、脱溶媒途中、又は脱溶媒後のいずれの段階で置換溶媒を投入してもよい。
<導電性顔料(B)>
本発明の導電性顔料ペーストで用いることができる導電性顔料(B)としては、形成される塗工膜に導電性を付与することができるものであれば特に制限はなく、粒子状、フレーク状、ファイバー(ウィスカー含む)状の形状の顔料を挙げることができる。具体的には、例えば、導電性カーボン;銀、ニッケル、銅、グラファイト、アルミニウム等の金属粉を挙げることができ、さらに、アンチモンがドープされた酸化錫、リンがドープされた酸化錫、酸化錫/アンチモンで表面被覆された針状酸化チタン、酸化アンチモン、アンチモン酸亜鉛、インジウム錫オキシド、カーボン又はグラファイトのウィスカー表面に酸化錫等を被覆した顔料;フレーク状のマイカ表面に酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、リンドープ酸化錫及び酸化ニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の導電性金属酸化物を被覆した顔料;二酸化チタン粒子表面に酸化錫及びリンを含む導電性を有する顔料等を挙げることができる。上記導電性顔料(B)はそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記導電性顔料(B)の平均1次粒子径としては、粘度及び導電性の関係から、10〜80nmの範囲内であることが好ましく、20〜50nmの範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、本発明の平均1次粒子径とは、顔料を電子顕微鏡で観察し、100個の粒子について、それぞれ投影面積を求めてその面積に等しい円を仮定したときの直径を求め、100個の粒子の直径を単純平均して求めた1次粒子の平均径をいう。なお、顔料が凝集状態になっていた場合は、凝集粒子を構成している1次粒子で計算をする。
上記導電性顔料(B)の比表面積としては、粘度及び導電性の関係から、1〜500m/gの範囲内であることが好ましく、30〜150m/gの範囲内であることがさらに好ましい。
上記導電性顔料(B)のジブチルフタレート(DBP)吸油量としては、顔料分散性及び導電性の関係から、60〜1,000ml/100gの範囲内であることが好ましく、150〜800ml/100gの範囲内であることがさらに好ましい。
上記導電性顔料(B)は、顔料分散性の関係から、塩基性であることが好ましく、具体的には、pHが7.5以上であることが好ましく、8.0〜12.0であることがより好ましく、8.5〜11.0であることがさらに好ましい。
また、上記導電性顔料(B)は、導電性の観点から、1次粒子が鎖状構造(ストラクチャー)を形成している状態が好ましく、ストラクチャー指数が1.5〜4.0の範囲内であることがより好ましく、1.7〜3.2の範囲内であることが特に好ましい。
ストラクチャー自体は電子顕微鏡で撮影した画像でも比較的容易に観察できるが、ストラクチャー指数はストラクチャーの度合いを定量化した数値である。ストラクチャー指数は一般的にDBP吸油量(ml/100g)を比表面積(m/g)で割った値で定義することができる。ストラクチャー指数が1.5未満であると、ストラクチャーが発達していないために、十分な導電性を得ることができず、また、4.0を超えるとDBP吸油量に対して粒子径が大きいために導電経路が減少し、十分な導電性を示さなくなるか、又は塗工材の粘度が高くなる恐れがある。
上記導電性顔料(B)の含有量としては、導電性と顔料分散性の観点から、導電性顔料ペーストの固形分総量を基準として、5〜99.9質量%が好ましく、7〜95質量%がより好ましく、10〜90質量%が特に好ましい。
上記導電性顔料(B)の種類としては、特に導電性カーボン(B−1)を好適に使用することができ、具体的には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの導電性顔料(B)は、1種を単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
上記導電性カーボン(B−1)を含有する場合、その含有量としては、導電性と顔料分散性の観点から、導電性顔料ペーストの顔料分散樹脂(A)と導電性カーボン(B−1)の固形分質量を基準として、60質量%以上が好ましく、70〜99質量%がより好ましく、80〜99質量%がさらに好ましい。
<溶媒(C)>
本発明の導電性顔料ペーストで用いることができる溶媒(C)としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;エクアミド(商品名:出光興産社製、アミド系溶剤)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
なかでも、本発明の導電性顔料ペーストで用いることができる溶媒(C)は、顔料分散樹脂(A)の溶解性及び導電性顔料ペーストの分散安定性の観点から、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基等の極性官能基を持つ溶媒を含有することが好ましい。
また、導電性顔料ペーストの分散性や樹脂を変質又は加水分解させない観点から、実質的に水を含まないことが好ましい。ここで「実質的に水を含まない」とは、導電性顔料ペーストの全量を基準として、水の含有量が、通常1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以下であることをいう。
本発明において、導電性顔料ペーストの水分含有量は、カールフィッシャー電量滴定法にて測定することができる。具体的には、カールフィッシャー水分率計(京都電子工業株式会社製、製品名:MKC−610)を用い、該装置に備えられた水分気化装置(京都電子社製、製品名:ADP−611)の設定温度は130℃として測定することができる。
また、顔料分散樹脂(A)の溶解性及び導電性顔料ペーストの分散安定性の観点から、溶媒(C)の溶解性パラメーター(SP値)が、10.0(cal/cm1/2以上であることが好ましく、10.4〜15.0(cal/cm1/2の範囲内であることがより好ましく、10.5〜13.0(cal/cm1/2の範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、溶解性パラメーターとは、一般にSP値(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、溶媒や樹脂の親水性又は疎水性の度合い(極性)を示す尺度である。また、溶媒と樹脂、樹脂間の溶解性や相溶性を判断する上で重要な尺度となるものであり、溶解性パラメーターの値が近い(溶解性パラメーターの差の絶対値が小さい)と、一般的に溶解性や相溶性が良好となる。
溶媒の溶解性パラメーターは、J.Brandrup及びE.H.Immergut編“Polymer Handbook” VII Solubility Parament Values,pp519-559(John Wiley & Sons社、第3版 1989年発行)に記載される方法に従って求めることができる。2種以上の溶媒を組合せて混合溶媒として用いる場合、その混合溶媒の溶解性パラメーターは、実験的に求めることができ、また、簡便な方法として、個々の液状溶媒のモル分率と溶解性パラメーターとの積の総和により求めることもできる。
本発明の「溶媒(C)の溶解性パラメーター」とは、導電性顔料ペーストに含まれる全ての溶媒(混合溶媒)の溶解性パラメーターのことである。
<導電性顔料ペースト>
本発明の顔料ペーストは、上記の顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、溶媒(C)の他に、必要に応じて、その他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、顔料分散樹脂(A)以外の顔料分散樹脂、皮膜形成樹脂、中和剤、消泡剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、導電性顔料(B)以外の顔料等を挙げることができる。
顔料分散樹脂(A)以外の顔料分散樹脂及び皮膜形成樹脂としては、例えば、上記顔料分散樹脂(A)以外のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、スチレン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びこれらの複合樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
なかでも、皮膜形成樹脂(D)を含有することが好ましい。皮膜形成樹脂(D)は、塗工膜の膜形成を目的とする樹脂であり、顔料分散樹脂(A)が必須成分としている極性官能基を実質的に含有していない低極性の樹脂であり、例えば、極性官能基濃度としては10mmol/g未満であり、好ましくは5mmol/g以下であり、より好ましくは1mmol/g以下であることが好適である。
皮膜形成樹脂(D)としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びこれらの複合樹脂等が好ましい。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
皮膜形成樹脂(D)は、顔料分散時に含有していてもよく、あるいは顔料分散後に添加して含有してもよい。皮膜形成樹脂(D)の重量平均分子量としては、基材との密着性、塗膜物性の補強、及び耐溶剤性の観点から、100,000以上であることが好ましく、500,000〜3,000,000であることがより好ましい。また、皮膜形成樹脂(D)の溶解性パラメーターとしては、10未満であることが好ましく、9.3未満であることがより好ましい。
また、樹脂の溶解性と貯蔵安定性の観点から、上記皮膜形成樹脂(D)の溶解性パラメーターδDと溶媒(C)の溶解性パラメーターδCとが、|δD−δC|<3.0の関係であることが好ましい。より好ましくは0≦|δD−δC|≦2.8、さらに好ましくは0.1≦|δD−δC|≦2.5の関係である。
また、本発明の導電性顔料ペーストは、導電性顔料のぬれ性及び/又は分散安定性を上げる観点から、高極性低分子量成分を含有することが好ましい。
高極性低分子量成分としては、塩基性又は酸性のものが好ましく、一部又は全部が塩であっても良い。なかでも、顔料が酸性の場合は塩基含有低分子量成分が好ましく、顔料が塩基性の場合は酸基含有低分子量成分が好ましい。
高極性低分子量成分は、溶媒蒸発(加熱乾燥)後の導電性塗工膜又は導電性材料にできる限り残留しないことが耐水性等の観点から好適であり、分子量としては、1,000未満が好ましく、400未満がより好ましい。
高極性低分子量成分としては、例えば、有機酸、無機酸、有機塩基及び無機塩基を用いることができる。有機酸としては、有機カルボン酸(ギ酸、グルタミン酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸等)、有機スルホン酸(ベンゼンスルホン酸等)等が、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が、有機塩基としては、アミン化合物(ピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、アニリン等)等が、無機塩基としては、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アンモニア等が、それぞれあげられる。
上記高極性低分子量成分の含有量としては、導電性顔料(B)を基準として、0.01〜2.0質量%含有することが好ましく、0.02〜1.0質量%含有することがより好ましい。
導電性顔料(B)以外の顔料としては、例えば、チタン白、亜鉛華等の白色顔料;シアニンブルー、インダスレンブルー等の青色顔料;シアニングリーン、緑青等の緑色顔料;アゾ系やキナクリドン系等の有機赤色顔料、ベンガラ等の赤色顔料;ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系及びキノフタロン系等の有機黄色顔料、チタンイエロー、黄鉛等の黄色顔料等が挙げられる。これらの顔料は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの導電性顔料(B)以外の顔料は、導電性を大きく損なわない範囲内で色調整や膜の物性補強等の目的で使用することができ、顔料分散樹脂(A)と導電性顔料(B)と共に同時に分散してもよく、また、顔料分散樹脂(A)と導電性顔料(B)を分散してペーストを作成した後に顔料又は顔料ペーストとして混ぜても良い。
上記導電性顔料(B)以外の顔料の含有量としては、導電性顔料ペースト中の全顔料を基準として、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
導電性顔料ペースト中の顔料分散樹脂(A)の固形分含有量は、ペーストの固形分総量を基準として、通常30質量%以下、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%であることが、顔料分散時の粘度、顔料分散性、分散安定性、生産効率及び導電性等の面から好適である。
上記組成で得られた導電性顔料ペースト中の導電性顔料(B)の粒度分布としては、導電性顔料ペーストを溶媒(C)で過希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる頻度分布曲線が少なくとも2つのピークを有し、該ピークのピークトップが、粒子径150〜550nmの範囲に少なくとも1つと、粒子径600〜3000nmの範囲に少なくとも1つあるのが好ましい。前記粒子径範囲におけるピーク面積比(粒子径150〜550nmの範囲におけるピーク面積の合計/粒子径600〜3000nmの範囲におけるピーク面積の合計)は、0.2〜3であることが好ましく、0.3〜2.7であることがより好ましく、0.4〜2.4であることがさらに好ましい。
導電性顔料(B)の粒度分布が少なくとも2つのピークを有し、上記条件を満たすことで、導電性顔料ペースト中の導電性顔料は適度な流動性を有しながらストラクチャーを形成することができ、その導電性塗工膜又は導電性材料は良好な仕上がり性及び導電性を得ることができる。
分散が弱く大粒子径側(粒子径600〜3000nmの範囲)のピークトップの頻度(各ピーク面積の合計)が多くなり、小粒子径側(粒子径150〜550nmの範囲)のピークトップの頻度(各ピーク面積の合計)が小さくなる又はなくなると、流動性が低下するおそれがある。また、分散が強く小粒子径側(粒子径150〜550nmの範囲)のピークトップの頻度(各ピーク面積の合計)が多くなり、大粒子径側(粒子径600〜3000nmの範囲)のピークトップの頻度(各ピーク面積の合計)が小さくなる又はなくなると、導電性が低下することになる。
なお、本発明においては、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定は、粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、製品名:マイクロトラックMT3000)により行った。
また、導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる平均粒子径(D50)としては、400〜1,500nmの範囲内であることが好ましく、600〜1,300nmの範囲内であることがより好ましく、650〜1,150nmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、導電性顔料(B)の1次粒子の平均粒子径(D50)を1とした場合、上記導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる平均粒子径(D50)は、15〜30となるのが好ましく、18〜25がより好ましい。
尚、上記粒度分布測定において、導電性顔料ペースト中に導電性顔料(B)以外の顔料が含有されていた場合、導電性顔料(B)のみを用いて作成した導電性顔料ペーストを測定するものとする。
また、導電性顔料ペーストの粘度としては、貯蔵時に高粘度であり、せん断応力がかかる製造時(配合、攪拌、ポンプ輸送等)又は塗工時に低粘度になる、いわゆる擬塑性のペ−ストであることが貯蔵安定性(顔料の沈降性)、製造性、塗工性、及び仕上がり性の観点から好ましい。具体的には、せん断速度0.1s−1の粘度Xとせん断速度1,000s−1の粘度Yが、500mPa・s<X<5,000mPa・s、及び、X/Y>1.0、の関係を満たすことが好ましい。
X/Yについて、より好ましくは、1.1≦X/Y≦3、さらに好ましくは、1.1<X/Y≦2の関係を満たすことが好ましい。
上記X及びYは、溶媒量、NV値(固形分含量)、顔料分散樹脂の種類及び量等に基づいて、調整することができる。さらに、X/Yは、顔料分散樹脂の種類及び量、分散条件(時間、分散機能力等)に基づき調整することができる。なお、顔料分散樹脂の量が多いと、ニュートニアンとなってしまう。
本発明の導電性顔料ペーストは、以上に述べた各成分を、例えば、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、ペブルミル、LMZミル、DCPパールミル、遊星ボールミル、ホモジナイザー、二軸混練機、薄膜旋回型高速ミキサー(商品名:クレアミックス、フィルミックス等)等の従来公知の分散機を用いて均一に混合、分散させることにより調製することができる。
また、分散としては、導電性塗工膜の導電性の観点から導電性顔料(B)の粒度分布が2つのピークを有することが好ましく、そのため1次粒子まで細かく分散しないことが好ましく、実質的にメジアを用いずに分散することが好適である。
[塗工材]
本発明の塗工材は、前記導電性顔料ペーストに含まれる顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を必須成分とするものであって、さらに必要に応じて、その他の樹脂、顔料、溶媒、添加剤等を導電性顔料ペーストに添加することができる。
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びこれらの複合樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
顔料としては、例えば、着色顔料、光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料、金属粒子等が挙げられる。これらの顔料は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、少なくとも1種の金属元素を有する金属含有粒子を添加して含有させることが好ましい。
金属含有粒子は、塗工材の製造工程で導電性顔料ペーストと混合するものであり、前述した導電性顔料ペーストに含有される導電性顔料(B)とは異なる。また、金属含有粒子は、導電性塗工膜の導電性や塗膜物性等の観点から、少なくとも1種の金属元素を有する金属含有粒子であることが好ましく、なかでも、Fe、Cu、Mn、Ni、Zr、Zn、Mo、Ag、Au、Pt、Ti、Cr、Moから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を有する金属含有粒子を含有することが好ましい。上記金属含有粒子としては、1種類の金属元素を有する金属でも複数の金属元素を有する複合金属でもよく、また、これらの窒化物、酸化物、硫化物、及び/又は水酸化物においても好適に用いることができる。
また、上記金属元素としては、金属単体の電気伝導率(20℃)が9×10S/m以上の金属元素を含有することが好ましく、12×10S/m以上がより好ましく、14×10S/m以上がさらに好ましい。
上記金属含有粒子の平均粒子径としては、塗工材を溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる平均粒子径(D50)において、1,501nm以上が好ましく、1,600〜50,000nmがより好ましく、2,000〜30,000nmがさらに好ましい。
塗工材中の金属含有粒子の含有量は、塗工材中の固形分総量を基準として、通常10質量%以上、かつ99質量%以下、好ましくは15質量%以上、かつ95質量%以下であることが、導電性や塗膜物性等の面から好適である。
溶媒としては、特に制限はないが、前述した溶媒(C)と同様の溶媒を好適に用いることができる。上記溶媒は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
添加剤としては、中和剤、顔料分散剤、消泡剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、粘性調整剤等が挙げられる。
塗工材中の顔料分散樹脂(A)の含有量は、塗工材中の固形分総量を基準として、通常0.01〜80質量%、好ましくは0.02〜50質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.08〜10質量%であることが、顔料分散時の粘度、顔料分散性、貯蔵安定性、生産効率性、及び導電性等の面から好ましい。
塗工材は、以上に述べた各成分を、例えば、ディスパー、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、ペブルミル、LMZミル、DCPパールミル、遊星ボールミル、ホモジナイザー、二軸混練機、薄膜旋回型高速ミキサー等の従来公知の撹拌機又は分散機を用いて均一に混合又は分散させることにより調製することができる。
[導電性塗工膜]
前述の塗工材を被塗物に塗布(塗工)することで導電性の塗工膜が形成される。なお、本発明における導電性塗工膜の導電性とは、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満であることをいう。
本発明において、塗工膜とは、液状の塗工材を被塗物(基材)に塗布して加熱乾燥した固形状の膜のことであり、被塗物から剥がして導電性フィルムを得ることや、板状被塗物(基材)の両面に塗工して導電性材料を得ることもできる。
被塗物は特に限定されるものではなく、例えば、金属材;各種プラスチック材;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等を挙げることができ、これらの複合材料であってもよい。また、これらの被塗物は、必要に応じて適宜、脱脂処理、表面処理等することができる。
塗布方法としては、一定の膜厚範囲内で塗布できるものであれば特に限定されず、例えば、ローラー塗装、刷毛塗装、霧化塗装、ディッピング塗装、アプリケーター塗装、シャワーコート塗装、ロールコーター塗装、ダイコーター塗装等が挙げられる。
膜厚としては、乾燥膜厚で1〜200μmが好ましく、2〜150μmがより好ましい。乾燥温度としては、60〜300℃の温度が好ましく、80〜200℃の温度がより好ましい。
加熱乾燥することにより、塗工材に含まれる溶媒が80%以上消失することが好ましく、90%以上消失することがより好ましく、95%以上消失することが特に好ましい。また、高極性低分子量成分を含有している場合、上記の加熱乾燥により、一部又は全部が消失することが好ましい。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
導電性顔料ペーストの製造
実施例1〜34及び比較例1〜5
表1〜表4に記載した顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、溶媒(C)及びその他の成分を混合し、続いて薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス社製、商品名:フィルミックス)又はボールミルにて表1〜表4に記載されている時間分散し、導電性顔料ペーストX−1〜X−39を得た。尚、表中の樹脂配合量は固形分の値である。
また、表1〜表4には、粒度(ピーク面積比、平均粒子径(D50)、2次粒子径/1次粒子径比)、粘度特性(0.10/sの粘度、TI値)及び評価試験の結果(粘度、分散性、貯蔵安定性、仕上がり性、導電性、耐溶剤性)をあわせて記載する。
なお、上記導電性顔料ペーストX−1〜X−39の水分含有量をカールフィッシャー電量滴定法にて測定したが、全て0.1質量%以下であった。
本発明においては、評価試験における全項目の性能に優れていることが重要であり、いずれか1つに「D」の評価がある場合、その導電性顔料ペーストは不合格となる。
尚、比較例1、2、3及び5に関しては、粘度、分散性及び貯蔵安定性の1つ以上の評価結果が不合格であったため、塗工膜の評価(仕上がり性、導電性、耐溶剤性)は行わなかった。
[導電性樹脂ペーストの構成成分]
<顔料分散樹脂(A)>
分散樹脂A:酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(SP値:12.0、水酸基濃度:17.2mmol/g、重量平均分子量:20,000)
分散樹脂B:酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(SP値:12.6、水酸基濃度:22.7mmol/g、重量平均分子量:15,000)
分散樹脂C:酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(SP値:10.8、水酸基濃度:9.9mmol/g、重量平均分子量:28,000)
分散樹脂D:ポリアクリルアミド(SP値:12.0、アミド基濃度:14.1mmol/g、重量平均分子量:18,000)
分散樹脂E:ヒドロキシエチルアクリレート−アクリル酸共重合体(SP値:11.8、水酸基濃度:4.3mmol/g、カルボキシル基濃度:6.9mmol/g、重量平均分子量:13,000)
分散樹脂F:ポリアクリル酸(SP値:13.0、カルボキシル基濃度:13.9mmol/g、重量平均分子量:15,000)
分散樹脂G:ポリメタクリル酸メチル(SP値:9.23、極性基濃度0mmol/g、重量平均分子量:21,000)
<導電性顔料(B)>
導電性顔料A:カーボンブラック(アセチレンブラック)(平均1次粒子径25nm、pH:9)
導電性顔料B:カーボンブラック(アセチレンブラック)(平均1次粒子径35nm、pH:9)
導電性顔料C:カーボンブラック(アセチレンブラック)(平均1次粒子径50nm、pH:9)
導電性顔料D:カーボンブラック(アセチレンブラック)(平均1次粒子径55nm、pH:9)
導電性顔料E:カーボンブラック(アセチレンブラック)(平均1次粒子径90nm、pH:9)
<皮膜形成樹脂(D)>
皮膜形成樹脂A:ポリフッ化ビニル(重量平均分子量:20万、SP値:9.5)
皮膜形成樹脂B:ポリフッ化ビニル(重量平均分子量:60万、SP値:9.5)
皮膜形成樹脂C:ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量:60万、SP値:9.1)。
[粒度]
<ピーク数>
導電性顔料ペーストを対応する溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法を用いた粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、製品名:マイクロトラックMT3000)で体積基準の粒度分布測定を行い、頻度分布曲線を得た。次いで該頻度分布曲線のピーク数を数えた。
<ピーク面積比>
上記該頻度分布曲線において、粒子径150〜550nmの範囲と粒子径600〜3,000nmの範囲におけるピーク面積比(粒子径150〜550nmの範囲におけるピーク面積の合計/粒子径600〜3,000nmの範囲におけるピーク面積の合計)を算出した。
なお、X−34については、1山であることから、計算を行わず、表中においては※と記載した。
<平均粒子径(D50)>
導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法を用いて体積基準の平均粒子径(D50)を算出した。
<2次粒子径/1次粒子径比>
上記平均粒子径(D50)を2次粒子径として、1次粒子径との比率を算出した。
[粘度特性]
<TI値>
導電性顔料ペーストをコーン&プレート型粘度計(HAAKE社製、商品名:Mars2、直径35mm、2°傾斜のコーン&プレート)を用い、せん断速度0.1s−1の粘度Xとせん断速度1,000s−1の粘度Yを測定し、X/Yの値をTI値として算出した。
なお、比較例3及び5では、導電性顔料ペーストが塊となり、TI値の算出は不可能であるため、表中には塊と記載した。
[評価試験]
<粘度>
得られた顔料分散ペーストをコーン&プレート型粘度計(HAAKE社製、商品名:Mars2、直径35mm、2°傾斜のコーン&プレート)を用い、せん断速度0.1s−1で粘度を測定し、下記基準により評価した。
A:粘度が、500mPa・sより高く、かつ1,000mPa・sより低い。
B:粘度が、1,000mPa・s以上、かつ2,500mPa・sより低い。
C:粘度が、2,500mPa・s以上、かつ5,000mPa・sより低い。
D:粘度が、5,000mPa・s以上。
<分散性>
得られた顔料分散ペーストをJIS K−5600−2−5の分散度試験に準じ、ツブゲージを用いて下記基準により分散性を評価した。
S:顔料が10μm未満で分散されている。分散性は非常に良好である。
A:顔料が10μm以上、かつ15μm未満で分散されている。分散性は良好である。
B:顔料が15μm以上、かつ20μm未満で分散されている。分散性はやや良好である。
C:顔料が20μm以上で分散されているが、目視で凝集物は確認できない。分散性はやや劣る。
D:目視で凝集物が確認される。分散性は非常に劣る。
<貯蔵安定性(粘度上昇率)>
得られた顔料分散ペーストを50℃の温度で1ヶ月貯蔵を行い、初期粘度と貯蔵後の粘度の比較を行なった。粘度は、コーン&プレート型粘度計(HAAKE社製、商品名:Mars2、直径35mm、2°傾斜のコーン&プレート)を用い、せん断速度1.0s−1で測定し、下記式により粘度上昇率を評価した。
粘度上昇率(%)=貯蔵後粘度/初期粘度×100−100
S:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、10%未満である。
A:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、10%以上、かつ50%未満である。
B:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、50%以上、かつ100%未満である。
C:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、100%以上、かつ200%未満である。
D:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、200%以上である。
<仕上がり性>
後述する導電性の評価試験で得られた試験板の外観を観察し、目視での仕上がり性を評価した。
S:極めて均一な外観を有している。
A:均一な外観を有している。
B:ややムラがあると視認される部分があるものの、ほぼ均一な外観を有している。
C:ムラが視認され、やや不良である。
D:外観が明らかに不均一であり、不良である。
<導電性>
ポリプロピレン板(10cm×15cm×3mm)の上にアルミ箔テープ(スリーエムジャパン社製、No.425)を3cm間隔で平行に2本貼り付けた。次いで、得られた導電性顔料ペーストをアルミ箔テープの間に長さ5cm、乾燥膜厚15μmになるようにアプリケーターで塗装し、室温で2分間放置してから、80℃で10分間加熱乾燥し、幅3cm×長さ5cm×膜厚15μmの乾燥塗膜を作成した。
アルミ箔テープ間に塗装した乾燥塗膜の抵抗率を計測機(横河計測社製、商品名:ディジタルマルチメーター MODEL73401)を用いて20℃、相対湿度65%の状態下で測定し、下記基準により導電性を評価した。
A:抵抗率が、0.0065Ωm未満であり、導電性は非常に良好である。
B:抵抗率が、0.0065Ωm以上、かつ0.008Ωm未満であり、導電性は良好である。
C:抵抗率が、0.008Ωm以上、かつ0.01Ωm未満であり、導電性はやや劣る。
D:抵抗率が、0.01Ωm以上であり、導電性は非常に劣る。
<耐溶剤性>
上記導電性試験で用いた乾燥塗膜の上にシクロヘキサノンを接触させた。3日後に溶剤を除去して指でラビング後の塗膜状態を観察し、下記基準により耐溶剤性を評価した。
A:塗膜の状態に変化なし。
B:塗膜に溶媒の跡(白濁状)がある。
C:塗膜が軟化する。
D:塗膜の一部又は全部が剥離する。
[応用例Y−1〜Y−34、Z−1〜Z−34]
<塗工材及び塗工膜の製造>
実施例1〜34で得られた導電性顔料ペースト100部に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを50部、及び、少なくとも1種の金属元素を有する金属含有粒子として酸化亜鉛粒子(平均粒子径:1μm、亜鉛の電気伝導率:16.8×10S/m)を20部加え、ディスパーを用いて60分間混合攪拌し、応用例Y−1〜Y−34となる塗工材Y−1〜Y−34を得た。
続いて、リン酸亜鉛処理剤(日本パーカライジング社製、商品名:パルボンド#3020)による化成処理を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))を被塗物として、上記塗工材Y−1〜Y−34をアプリケーターで乾燥膜5μmになるように塗工し、150℃の温度で40分乾燥し、応用例Z−1〜Z−34となる導電性塗工膜Z−1〜34を得た。
得られた導電性塗工膜はいずれも残存溶媒量が1%未満であり、導電性、仕上がり性、及び防食性が良好な塗工膜であった。

Claims (11)

  1. 顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を含有する導電性顔料ペーストと、
    少なくとも1種の金属元素を有する金属含有粒子と、
    を含有する塗工材であって、
    顔料分散樹脂(A)が、アミド基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性官能基を有し、かつ顔料分散樹脂(A)の極性官能基濃度が10〜23mmol/gであり、
    導電性顔料(B)が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性カーボンであって、その平均1次粒子径が、10〜80nmであり、
    顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAと溶媒(C)の溶解性パラメーターδCとが、|δA−δC|<2.0の関係であり、
    導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる頻度分布曲線が少なくとも2つのピークを有し、該ピークのピークトップが、粒子径150〜550nmの範囲に少なくとも1つ、粒子径600〜3,000nmの範囲に少なくとも1つあり、前記粒子径範囲におけるピーク面積比(粒子径150〜550nmの範囲におけるピーク面積の合計/粒子径600〜3,000nmの範囲におけるピーク面積の合計)が0.2〜3である、
    塗工材
  2. 顔料分散樹脂(A)の固形分含有量が、導電性顔料ペーストの固形分総量を基準として、0.1〜20質量%である、請求項1に記載の塗工材
  3. 導電性顔料(B)の含有量が、導電性顔料ペーストの固形分総量を基準として、5〜99.9質量%である、請求項1又は2に記載の塗工材
  4. 顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAが9.3以上であり、かつ溶媒(C)の溶解性パラメーターδCが10.4〜15.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗工材
  5. 導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる平均粒子径(D50)が700〜1,300nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗工材
  6. 導電性顔料ペーストのせん断速度0.1s−1の粘度Xとせん断速度1,000s−1の粘度Yが、500mPa・s<X<5,000mPa・s、及び、X/Y>1.0の関係である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗工材
  7. さらに、導電性顔料(B)を基準として、高極性低分子量成分を0.01〜2.0質量%含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗工材
  8. さらに重量平均分子量10万以上、かつ溶解性パラメーターδDが9.3未満である皮膜形成樹脂(D)を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗工材
  9. 顔料分散樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を含有する導電性顔料ペーストに、少なくとも1種の金属元素を有する金属含有粒子を添加する、塗工材の製造方法であって、
    顔料分散樹脂(A)が、アミド基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性官能基を有し、かつ顔料分散樹脂(A)の極性官能基濃度が10〜23mmol/gであり、
    導電性顔料(B)が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性カーボンであって、その平均1次粒子径が、10〜80nmであり、
    顔料分散樹脂(A)の溶解性パラメーターδAと溶媒(C)の溶解性パラメーターδCとが、|δA−δC|<2.0の関係であり、
    導電性顔料ペーストを溶媒で希釈し、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定により得られる頻度分布曲線が少なくとも2つのピークを有し、該ピークのピークトップが、粒子径150〜550nmの範囲に少なくとも1つ、粒子径600〜3,000nmの範囲に少なくとも1つあり、前記粒子径範囲におけるピーク面積比(粒子径150〜550nmの範囲におけるピーク面積の合計/粒子径600〜3,000nmの範囲におけるピーク面積の合計)が0.2〜3である、
    塗工材の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗工材を塗工して得られる導電性塗工膜。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗工材を板状基材の両面に塗工して得られる導電性材料。
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