以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、薬剤供給装置101の外観を示す斜視図である。図1に示すように、薬剤供給装置101は、薬剤供給装置101の外郭を構成する筐体102を備えている。筐体102は、上部筐体103と、下部筐体104とを有している。上部筐体103には、複数の薬剤容器からそれぞれの薬剤を排出する薬剤収納払出装置が収納されている。下部筐体104には、薬剤を包材内に包装する包装装置が収納されている。
上部筐体103の前面には、扉105a,105bが取り付けられている。扉105aは取っ手106aを有し、扉105bは取っ手106bを有している。薬剤供給装置101を使用するユーザは、取っ手106aを持って扉105aを開閉することができ、取っ手106bを持って扉105bを開閉することができる。上部筐体103の前面には、操作部107が設けられている。操作部107は、タッチパネル機能を有するディスプレイを備えるものであってもよく、操作盤に物理的なボタンを備えるものであってもよい。
下部筐体104の前面には、扉108,109が設けられている。扉108,109は開閉可能に構成されている。薬剤供給装置101を使用するユーザは、扉108,109を開けて、薬剤が内部に収容された包装物を、下部筐体104の内部から取り出すことができる。扉108,109には、開口が形成されてもよく、この開口から、薬剤が内部に収容された包装物を取り出すことができるように構成してもよい。
図2は、実施形態に係る包装装置1の概略構成図である。包装装置1は、包装対象物を包装するために用いられる。包装対象物は、薬剤であり、具体的には固形の薬剤である。固形の薬剤としては、錠剤、丸剤およびカプセル剤などが挙げられる。固形の薬剤としては、散剤および顆粒剤であってもよい。包装対象物は、固形の薬剤に限られない。包装対象物は、半固形の薬剤であってもよく、または、液状の薬剤であってもよい。
包装装置1は、処方箋に基づいて薬剤を包装するための薬剤包装装置である。処方箋は、医師が患者に交付するものである。処方箋には、患者情報および薬剤情報が記載されている。患者情報は、患者の氏名および年齢を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。このような処方箋に基づいて薬剤を1回の服用分ずつ包装するために、包装装置1が用いられる。
包装装置1は、包材搬送部8を備えている。包材搬送部8は、包材2に駆動力を作用し、包材2を搬送する。包材2は、長尺シート状である。包材2は、この包材2の長手方向に搬送される。包材2は、巻回体3から巻き出される。巻回体3は、包材2がロール状に巻回されたものである。図2中の矢印は、包材2の搬送方向DRを示す。以下、包材2の搬送方向DRを単に「搬送方向DR」という。
包装装置1は、印刷部4と、供給部5と、収容部形成部6と、をさらに備えている。搬送方向DRの上流(巻回体3に近い側)から下流(巻回体3から離れる側)に向けて、印刷部4、供給部5、収容部形成部6の順に並んでいる。印刷部4は、包材搬送部8によって搬送される包材2に、所定の情報を印刷する。所定の情報は、薬剤に関連する情報である。供給部5は、包材搬送部8によって搬送される包材2に、薬剤を供給する。薬剤は、処方箋に基づいて1回の服用分ずつ供給される。収容部形成部6は、包材搬送部8によって搬送される包材2を用いて、収容部を形成する。収容部には、薬剤が収容される。収容部形成部6は、供給部5から薬剤が供給された後に、包材2を熱融着して、薬剤が内部に収容された包装物を形成する。
包装装置1は、ミシン目形成部7をさらに備えている。ミシン目形成部7は、収容部形成部6に設けられている。ミシン目形成部7は、包材搬送部8によって搬送される包材2に、搬送方向DRに直交する方向に延びるミシン目を形成する。ミシン目は、複数の細孔が包材2の短手方向に連続して並んだものである。
このような包装装置1では、収容部形成部6とミシン目形成部7と包材搬送部8とによって、包装部9が構成されている。包装部9において、巻回体3から巻き出された包材2を用いて、包装対象物である薬剤が順次包装される。
図3は、包装装置1の概略斜視図である。包装装置1は、包材供給部10と、方向転換バー11と、切断部12と、排出部13と、フレーム15とをさらに備えている。上述した供給部5、収容部形成部6および包材搬送部8を含む、包装装置1を構成する各機器類は、フレーム15に取り付けられている。包装装置1は、フレーム15の厚み方向に、筐体102(図1)に対して往復移動可能に構成されている。包装装置1は、下部筐体104(図1)に対して前後方向に移動可能であり、下部筐体104内に収納されている収納位置から前方へ引き出され得るように構成されている。
包材供給部10は、略箱状のケーシング20と、図2に示す巻回体3が装着される被装着部21とを有している。被装着部21は、巻回体3を支持する。巻回体3は、被装着部21に対して相対回転不能に、被装着部21に取り付けられる。ケーシング20は、平面状の外表面20aを有している。外表面20aは、箱状のケーシング20の一部表面を構成している。被装着部21は、ケーシング20の外表面20aから突出し、外表面20aに対して略垂直に延びている。
ケーシング20の外表面20aには、案内孔22が形成されている。案内孔22は、緩やかに湾曲して延びている。案内孔22の延びる方向に沿って移動可能に、ダンサーローラ23が設けられている。外表面20aには、固定ローラ24,25が取り付けられている。ダンサーローラ23と固定ローラ24,25とは、ケーシング20の外表面20aから突出し、外表面20aに対して略垂直に延びている。ダンサーローラ23と固定ローラ24,25とは、互いに平行に延びている。包材供給部10のその他の構成については後述する。
巻回体3から巻き出される包材2は、固定ローラ24、ダンサーローラ23、および固定ローラ25に、この順に巻き掛けられる。包材2はさらに、方向転換バー11に巻き掛けられる。方向転換バー11は、包材2の搬送方向を変更して、包材2を供給部5へ向く方向へ移動させる。包材2はさらに、供給部5を経由して、包装部9(図2)に巻き掛けられる。
供給部5が薬剤を包材2に供給する薬剤供給位置では、包材2が、この包材2の短手方向の中心線に沿って二つ折りされている。供給部5は、ホッパ151を有している。ホッパ151は、上部筐体103(図1)内に収納された薬剤収納払出装置から払い出された薬剤を、包材2に導く。ホッパ151の先端は、二つ折りされた包材2の内側に入り込むように配置されている。薬剤は、ホッパ151によって導かれることで、二つ折りされた包材2の内側に入る。
切断部12は、包装部9を構成している収容部形成部6および包材搬送部8よりも搬送方向DRの下流に、設けられている。切断部12は、薬剤が内部に収容された包材2を切断する。排出部13は、切断部12よりも搬送方向DRの下流に、設けられている。排出部13は、切断部12によって切断された包材2を搬送するための駆動力を発生して、包材2を外部に排出する。以下、巻回体3から巻き出されて排出部13にまで搬送される包材2が通る経路を、「搬送経路」という。
図4は、包材供給部10の正面図である。図4には、図3に示す矢印IV方向から見た包材供給部10が図示されている。ダンサーローラ23は、ケーシング20に形成された案内孔22に沿って、ケーシング20に対して相対移動する。ダンサーローラ23は、包材2の搬送経路に交差する方向に変位可能に構成されている。
包材供給部10は、ダンサーローラ23の位置を検出する位置検出部を含んでいる。この位置検出部は、定位置センサ28を有している。定位置センサ28は、磁気センサである。ダンサーローラ23が取り付けられている後述するメインアームに、磁石が取り付けられている。図4の紙面垂直方向においてダンサーローラ23が定位置センサ28と重なる位置を、定位置と称する。定位置は、搬送経路上にある。定位置センサ28は、ダンサーローラ23が定位置にあるとき、磁力を検出してオン状態になる。ダンサーローラ23が定位置から離れると、定位置センサ28はオンからオフに切り換わる。これにより定位置センサ28は、ダンサーローラ23が定位置にあるか否かを検出する。
包材供給部10は、ロック解除部26を有している。上記のメインアームは、後述するロック部によってロックされる。ロック解除部26を手動で操作することにより、ロック部によるメインアームのロックが解除される。
図5は、包材供給部10の背面を見た斜視図である。図6は、包材供給部10の背面図である。図6には、図3に示す矢印VI方向から見た包材供給部10が図示されている。ダンサーローラ23の位置を検出する位置検出部は、上述した定位置センサ28の他に、限界位置センサ27と、退避位置センサ29とを有している。限界位置センサ27、定位置センサ28および退避位置センサ29は、センサ支持部30によって支持されている。センサ支持部30は、ケーシング20の天井部に固定されている。
図4においてダンサーローラ23が配置されている位置を、限界位置と称する。限界位置は、案内孔22の一方端にある。案内孔22の他方端の位置を、退避位置と称する。限界位置センサ27および退避位置センサ29は、磁気センサである。限界位置および退避位置は、搬送経路から外れている。限界位置は、定位置よりも搬送経路から離れている。
限界位置センサ27は、ダンサーローラ23が限界位置にあるとき、磁力を検出してオン状態になる。ダンサーローラ23が限界位置から離れると、限界位置センサ27はオンからオフに切り換わる。これにより限界位置センサ27は、ダンサーローラ23が限界位置にあるか否かを検出する。退避位置センサ29は、ダンサーローラ23が退避位置にあるとき、磁力を検出してオン状態になる。ダンサーローラ23が退避位置から離れると、退避位置センサ29はオンからオフに切り換わる。これにより退避位置センサ29は、ダンサーローラ23が退避位置にあるか否かを検出する。
包材供給部10は、巻出巻取モータ35を有している。本実施の形態の巻出巻取モータ35は、ステッピングモータである。巻出巻取モータ35は、ケーシング20に支持されている。巻出巻取モータ35は、被装着部21を回転させて、巻回体3から包材2を巻き出す、または包材2を巻回体3へ巻き取るための、回転駆動力を発生する。巻出巻取モータ35の発生する駆動力は、中間ギヤ72、中間ピニオンギヤ73、ローラギヤ74を経由して、被装着部21に伝達される。中間ギヤ72と中間ピニオンギヤ73とは、一体として回転可能に固定されている。
包材供給部10は、メインアーム40と、サブアーム50と、ギヤ位置決めプレート55とを有している。メインアーム40は、第一腕部41、第二腕部42および屈曲部43を有している。図6に示す第一腕部41および第二腕部42は、それぞれ略直線状の形状を有している。第一腕部41、第二腕部42および屈曲部43は、一体として回転可能に、互いに固定されている。メインアーム40は、屈曲部43において屈曲された、略L字状の形状を有している。
第一腕部41は、先端と基端とを有している。第一腕部41の先端に、上述したダンサーローラ23が固定されている。第一腕部41は、その基端において、屈曲部43とつながっている。第二腕部42は、先端と基端とを有している。第二腕部42の基端に、ギヤ位置決めプレート55が固定されている。第二腕部42は、その先端において、屈曲部43とつながっている。屈曲部43には、ロックピン47が固定されている。メインアーム40は、アーム回転軸44を回転中心として、回転可能に構成されている。メインアーム40は、アーム回転軸44を介して、ケーシング20に支持されている。
サブアーム50は、基端部51と、先端部52とを有している。基端部51は、メインアーム40の屈曲部43から第二腕部42に亘ってメインアーム40の表面に面接触し、ボルトなどの固定部材を複数用いてメインアーム40に固定されている。これによりサブアーム50は、メインアーム40と一体に回転可能に構成されている。サブアーム50の先端部52には、円筒部53が取り付けられている。円筒部53は、スプリングヒンジ90の第2ヒンジプレート92に対して摺動し、これによりサブアーム50およびメインアーム40をアーム回転軸44回りに回動させるように構成されているが、その詳細は後述する。
サブアーム50をメインアーム40に固定する複数の固定部材のうちの一つは、ばね掛け部45を構成している。センサ支持部30にも、ばね掛け部31が設けられている。センサ支持部30に取り付けられたボルトにより、ばね掛け部31が構成されている。ばね掛け部31に、復帰ばね46の一端が係合し、ばね掛け部45に、復帰ばね46の他端が係合している。復帰ばね46は、たとえばコイルばねである。
ギヤ位置決めプレート55は、メインアーム40の第二腕部42の基端に、ボルトなどの固定部材56を複数用いて、固定されている。ギヤ位置決めプレート55には、切欠き59が形成されている。ギヤ位置決めプレート55は、第一部分57と第二部分58とを有している。第一部分57と第二部分58とは、切欠き59によって隔てられている。第二部分58の縁部の一部は、円弧縁58aを形成している。円弧縁58aは、アーム回転軸44を中心とする円弧の形状を有している。
円弧縁58aに当接して、円筒部65が設けられている。円筒部65の外周面は、円弧縁58aに対して摺動可能である。円筒部65はまた、切欠き59内に移動可能である。円筒部65の外周面が円弧縁58aに当接することにより中間ギヤ72および中間ピニオンギヤ73が位置決めされ、また円筒部65が切欠き59内へ移動することにより中間ギヤ72および中間ピニオンギヤ73がその位置を変化するように構成されているが、その詳細は後述する。
包材供給部10は、ロック部78をさらに備えている。ロック部78は、メインアーム40に取り付けられたロックピン47と係合することにより、メインアーム40をロックするように構成されているが、その詳細もまた後述する。
図7は、ダンサーローラ23が定位置にあるときの包材供給部10の正面図である。図7に示すダンサーローラ23は、図4と比較して、案内孔22に沿って図中の右方向へ移動している。図7に示すダンサーローラ23は、限界位置から離れて、定位置に位置している。ダンサーローラ23が、図4に示す限界位置から離れているため、図7では限界位置センサ27が図示されている。一方、図7では、ダンサーローラ23が定位置にあるため、定位置センサ28にダンサーローラ23が重なっており、定位置センサ28は図示されていない。
図7には図示しない巻回体3から巻き出される包材2は、上述した通り、固定ローラ24、ダンサーローラ23、および固定ローラ25に、この順に巻き掛けられる。ダンサーローラ23が定位置にあるとき、包材2には、予め定められた張力が付与されている。包材2に張力を付与することにより、包材2の弛みの発生が抑制されている。これにより、包材搬送部8(図2,3)が包材2を搬送するときの、包材2のずれおよび皺寄りなどが、抑制されている。
図8は、ダンサーローラ23が定位置にあるときの包材供給部10の背面を見た斜視図である。図8に示すメインアーム40およびサブアーム50は、図5と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。ギヤ位置決めプレート55がメインアーム40とともに回転し、円筒部65がギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aに沿って相対移動することにより、図8に示す円筒部65は、図5と比較して切欠き59に近い位置にある。図8に示すロックピン47は、図5と比較して、ロック部78に近づく方向に移動している。図8に示す復帰ばね46は、図5と比較して、その長さが増大している。
図9は、ダンサーローラ23が搬送時移動位置にあるときの包材供給部10の正面図である。図9に示すダンサーローラ23は、図7と比較して、案内孔22に沿って図中の右方向に移動している。図9に示すダンサーローラ23は、定位置から離れており、そのため図9では限界位置センサ27と定位置センサ28との両方が図示されている。図7においてダンサーローラ23が配置されている位置を、搬送時移動位置と称する。搬送時移動位置は、搬送経路上にある。
図9には、薬剤が内部に収容された包装物の一包分の長さだけ包材2が包材搬送部8によって搬送され、包材2の搬送に伴って定位置から移動した後のダンサーローラ23が、図示されている。包材搬送部8による包材2の搬送が実行されている間、巻出巻取モータ35は停止している。そのため、包材2が巻回体3から巻き出されることはない。
一方、包材搬送部8が包材2を包装物の一包分搬送することにより、巻回体3から包材搬送部8へ至るまでの搬送方向における包材2の長さが、一包分短くなる。この包材2の長さの変化を、ダンサーローラ23を移動させて、ダンサーローラ23と固定ローラ24との距離、およびダンサーローラ23と固定ローラ25との距離を短くすることにより、調節している。
つまり、図7に示す定位置にあるダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2と、図9に示す位置にあるダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2との長さを比較すると、図9の方が包材2の長さが短くなる。ダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2の長さの変化を、包装物の一包分の長さに対応させることにより、包材2に予め定められた張力が付与された状態を一定に維持しつつ、包材2を搬送することができる。
搬送方向における包装物の一包分の長さは、常に一定とは限らず、包装物内に収容される薬剤の量に従って変化させてもよい。包装物の寸法に応じて、包材搬送部8による包材2の搬送量も変更可能であり、搬送時移動位置も変動する。搬送方向における包装物の一包分の長さが大きいと、搬送時移動位置は相対的に定位置から離れた位置に設定される。搬送方向における包装物の一包分の長さが小さいと、搬送時移動位置は相対的に定位置に近い位置に設定される。
包材2は、間欠的に搬送される。包材2の搬送を実行した後、包材2の搬送を停止している間に、巻出巻取モータ35が駆動される。被装着部21に巻出巻取モータ35の駆動力が伝達されて巻回体3が回転することにより、包材2が巻回体3から巻き出される。このとき包材搬送部8による包材2の搬送は停止しているので、巻回体3から巻き出された包材2は、ダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2の長さを元に戻すために用いられる。つまり、包材2が巻回体3から巻き出されると、ダンサーローラ23は、図9に示す搬送時移動位置から、図7に示す定位置へ向けて移動する。定位置にまでダンサーローラ23が移動して、定位置センサ28がダンサーローラ23を検出すると、巻出巻取モータ35が停止される。
このように、包材搬送部8による包材2の搬送と、巻回体3からの包材2の巻き出しとを交互に繰り返すことにより、包材2に予め定められた張力が付与された状態を維持したまま、包材2を適切に搬送することができる。
図10は、ダンサーローラ23が搬送時移動位置にあるときの包材供給部10の背面を見た斜視図である。図10に示すメインアーム40およびサブアーム50は、図8と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。ギヤ位置決めプレート55がメインアーム40とともに回転し、円筒部65がギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aに沿って相対移動することにより、図10に示す円筒部65は、図8と比較して切欠き59に近い位置にある。図10に示すロックピン47は、図8と比較して、ロック部78に近づく方向に移動している。図10に示す復帰ばね46は、図8と比較して、その長さが増大している。
上述した通り、包材搬送部8による包材2を搬送しているとき、包材2に張力が付与された状態が維持され、このときダンサーローラ23が定位置と搬送時移動位置との間を往復移動する。巻回体3から全ての包材2が巻き出されると、包材2の搬送方向DRの上流側の端部が巻回体3によって支持されなくなるため、包材2に張力が付与されなくなる。張力が付与された状態の包材2によってダンサーローラ23が支持されなくなるため、復帰ばね46の弾性力によってメインアーム40が回転し、これに伴ってダンサーローラ23は限界位置へ移動する。
図11は、ダンサーローラ23が退避位置にあるときの包材供給部10の正面図である。図11に示すダンサーローラ23は、図9と比較して、案内孔22に沿って図中の右方向に移動している。図11に示すダンサーローラ23は、案内孔22の他方端の退避位置に位置している。
図7,9において、ダンサーローラ23は、固定ローラ24,25に対して、図中の左側に位置している。そのため、固定ローラ24、ダンサーローラ23および固定ローラ25にこの順に巻き掛けられた包材2は、ダンサーローラ23によって押圧され、これにより包材2に張力が付与されている。これに対し、図11では、ダンサーローラ23は、固定ローラ24,25に対して、図中の右側に位置している。巻回体3から巻き出される包材2は、図11中の左右方向におけるダンサーローラ23と固定ローラ24との間の隙間を通り、またダンサーローラ23と固定ローラ25との間の隙間を通ることが可能になっている。このとき、包材2には、張力が付与されない。
図11中の左右方向におけるダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間の隙間に包材2を通し、その状態でダンサーローラ23を定位置へ移動させることにより、包材2に張力が付与される。
ダンサーローラ23および固定ローラ24,25は、巻回体3から巻き出された包材2に張力を付与する、張力付与部を構成している。張力付与部は、ダンサーローラ23が包材2を押圧することで、包材2に張力を付与する。ダンサーローラ23は、包材2の搬送経路に交差する方向に変位可能な、変位部材を構成している。張力付与部は、ダンサーローラ23を移動させることにより、包材2に張力を付与する付与状態と、包材2に張力を付与しない非付与状態とに、切換可能である。
図12は、ダンサーローラ23が退避位置にあるときの包材供給部10の背面を見た斜視図である。図12に示すメインアーム40およびサブアーム50は、図10と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。図12に示す円筒部65は、ギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aから離れて、切欠き59内にある。図12に示すロックピン47は、図12には図示しないロック部78と係合しており、これによりメインアーム40はロックされている。図12に示す復帰ばね46は、図10と比較して、その長さが増大しており、最大の長さをとっている。
次に、メインアーム40のアーム回転軸44まわりの回転に伴う、巻出巻取モータ35から被装着部21への駆動力の伝達の切り換えについて、詳細に説明する。
図13は、伝達状態にある動力伝達部を示す模式図である。巻出巻取モータ35は、図示しないモータ本体を有しており、モータ本体はモータ支持部36により支持されている。巻出巻取モータ35の発生する回転駆動力は、モータ出力軸37に出力される。モータ出力軸37には、モータギヤ71が固定されている。モータギヤ71は、モータ出力軸37と一体に回転する。
モータギヤ71は、中間ギヤ72と噛み合っている。中間ギヤ72は、中間ピニオンギヤ73と、一体に回転可能に構成されている。中間ギヤ72と中間ピニオンギヤ73とは、中間ギヤ軸75を中心に、一体に回転可能である。
中間ピニオンギヤ73は、ローラギヤ74と噛み合っている。ローラギヤ74は、ローラ軸76を中心に回転可能である。被装着部21は、ローラ軸76に固定されている。
巻出巻取モータ35の発生する駆動力は、モータギヤ71、中間ギヤ72、中間ピニオンギヤ73およびローラギヤ74を順に経由して、被装着部21に伝達される。駆動力が伝達されて被装着部21が回転することにより、被装着部21に装着された巻回体3も回転し、巻回体3から包材2が巻き出される。巻出巻取モータ35は、被装着部21を回転させて巻回体3から包材2を巻き出すための駆動力を発生する、駆動部を構成している。モータギヤ71、中間ギヤ72、中間ピニオンギヤ73およびローラギヤ74は、巻出巻取モータ35の発生する駆動力を被装着部に伝達する、動力伝達部を構成している。
図13に示すように、包材供給部10は、ギヤアーム60を有している。ギヤアーム60は、アーム回転軸44とモータ出力軸37との間に配置されるベース部61を有している。ギヤアーム60はまた、第1部材62、第2部材63および第3部材64を有している。第1部材62と第3部材64とは、ベース部61に対してモータ出力軸37側に突出している。第2部材63は、ベース部61に対してアーム回転軸44側に突出している。
第1部材62の基端部は、ベース部61に固定されている。第1部材62の先端部は、モータ出力軸37と、ベアリングを介して係合している。第1部材62は、モータ出力軸37により支持されている。第1部材62は、モータ出力軸37に対して回転可能に構成されている。図13に示す第1部材62は、モータ支持部36の一部表面である当接面36aに、当接している。
第2部材63の基端部は、ベース部61に固定されている。第2部材63の先端部に、円筒部65が取り付けられている。図13に示す配置において、円筒部65の外周面は、ギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aに接触している。円筒部65の下方の表面がギヤ位置決めプレート55に接触することにより、第2部材63は、ギヤ位置決めプレート55によって支持されている。
第3部材64の基端部は、ベース部61に固定されている。第3部材64の先端部は、中間ギヤ軸75と、ベアリングを介して係合している。中間ギヤ軸75は、第3部材64に対して回転可能に構成されている。第3部材64は、互いに噛み合う2つのギヤ(中間ピニオンギヤ73およびローラギヤ74)のうちの1つのギヤ(中間ピニオンギヤ73)の回転軸である中間ギヤ軸75に、連結されている。
第1部材62、第2部材63、および第3部材64は、各々、ベース部61と一体に形成されていてもよく、または、ボルトなどの固定部材を用いてベース部61に固定されていてもよい。
モータ支持部36には、ばね掛け部38が形成されている。第3部材64には、ばね掛け部66が形成されている。図示しない復帰ばねの一端がばね掛け部38に係合し、他端がばね掛け部66に係合している。
図13に示す状態では、モータギヤ71と中間ギヤ72とが噛み合い、中間ピニオンギヤ73とローラギヤ74とが噛み合っているため、巻出巻取モータ35の発生する駆動力を、動力伝達部を経由して被装着部21に伝達可能である。動力伝達部は、巻出巻取モータ35の発生する駆動力を被装着部21に伝達可能な、伝達状態にある。
上述した通り、包材2の搬送と巻き出しとが繰り返されるとき、ダンサーローラ23は定位置と搬送時移動位置との間を往復移動する。このときメインアーム40は、アーム回転軸44を中心とする時計回り方向の回転移動と反時計回り方向の回転移動とを繰り返す。これにより、ギヤ位置決めプレート55と円筒部65との相対位置が変化するものの、円筒部65の外周面がギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aに当接する配置は維持される。円筒部65の外周面が円弧縁58aに対して摺動している間は、ギヤアーム60の位置は不変である。したがって、ギヤ同士の噛み合いが維持され、動力伝達部は伝達状態に維持される。
図14は、非伝達状態へ切り換わる途中の動力伝達部を示す模式図である。図14に示すメインアーム40は、図13と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。ギヤ位置決めプレート55は、メインアーム40と一体に、反時計回り方向に回転している。
このとき円筒部65は、ギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aから離れている。図14では、円筒部65の外周面は、ギヤ位置決めプレート55の第一部分57の縁に接触している。図14に示すギヤアーム60は、図13に示す配置から移動していない。図14に示す中間ギヤ72および中間ピニオンギヤ73は、図13に示す配置から移動していない。そのため図14では、動力伝達部は、依然として伝達状態にある。
図15は、非伝達状態にある動力伝達部を示す模式図である。図15に示すメインアーム40は、図14と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。メインアーム40とともにギヤ位置決めプレート55がアーム回転軸44を中心として回転する結果、円筒部65は、ギヤ位置決めプレート55の第一部分57によって押圧され、第一部分57に対して摺動して切欠き59内へ移動する。円筒部65は、切欠き59内に嵌合する。このとき、ギヤアーム60の全体が、モータ出力軸37を中心として、図中の反時計回り方向に回転している。図15に示す第1部材62は、当接面36aから離れて、モータ支持部36の他の一部表面である当接面36bに、当接している。一対の当接面36a,36bは、ギヤアーム60の移動範囲を規定している。
ギヤアーム60の全体が引き下げられる結果、中間ギヤ軸75は、ギヤアーム60の第3部材64と共に、モータ出力軸37を中心に反時計回り方向に回転移動する。これにより、中間ギヤ72および中間ピニオンギヤ73もまた、モータ出力軸37を中心に反時計回り方向に回転移動する。このとき、モータギヤ71と中間ギヤ72との噛み合いは維持されているが、中間ピニオンギヤ73とローラギヤ74との噛み合いが外れる。その結果として、巻出巻取モータ35の発生する駆動力が、動力伝達部を経由して被装着部21に伝達されなくなる。図15に示す動力伝達部は、巻出巻取モータ35の発生する駆動力を被装着部21に伝達しない非伝達状態に、切り換えられている。
図15に示す配置から、メインアーム40をアーム回転軸44を中心として時計回り方向に移動させると、図示しない復帰ばねの付勢力、およびギヤ位置決めプレート55の第二部分58により円筒部65が押圧される作用によって、ギヤアーム60の全体が図13に示す配置に戻る。このとき、中間ピニオンギヤ73とローラギヤ74とは、再び噛み合うようになる。これにより、動力伝達部は、巻出巻取モータ35の発生する駆動力を被装着部21に伝達する伝達状態に切り換えられる。ギヤアーム60の第3部材64と、中間ギヤ72および中間ピニオンギヤ73とが、モータ出力軸37を中心とする円弧状の軌跡に沿って往復移動することにより、動力伝達部が伝達状態と非伝達状態とに切り換えられる。
包装装置1は、中間ピニオンギヤ73をモータ出力軸37を中心に回転移動させる移動部を含んでいる。移動部は、メインアーム40と、ギヤ位置決めプレート55と、ギヤアーム60とを、少なくとも含んで構成されている。
次に、ロック部78の構成、およびロック部78がメインアーム40をロックする動作について、詳細に説明する。
図16は、ロック部78がメインアーム40をロックする直前の状態を示す模式図である。図16および後述する図17,18では、ケーシング20内に収納されているメインアーム40とロック部78とを正面から見た図が示されている。上述した通り、メインアーム40の屈曲部43には、ロックピン47が取り付けられている。ロックピン47は、中実丸棒の外周面の一部が面取りされた形状を有している。この面取りされた部分は、平面状の係合面48を構成している。
ロック部78は、ロック部材79を有している。ロック部材79は、一方側(図16中の右側)の端部に、傾斜部80と、係合部81とを有している。ロック部材79は、他方側(図16中の左側)の端部に、連結片83を有している。ロック部材79はまた、突起部82を有している。
ロック部材79は、保持部材84によって保持されている。保持部材84は、ケーシング20に固定されている。保持部材84は、ロック部材79を、その延在方向(図16中の左右方向)にスライド移動可能に保持している。保持部材84は、突起部85を有している。ロック部材79の突起部82と、保持部材84の突起部85とは、その先端部が互いに向き合うように配置されている。突起部82と突起部85とに亘って、スプリング86が設けられている。突起部82は、スプリング86の一方端(図16中に示すスプリング86の右端)を支持している。突起部85は、スプリング86の他方端(図16中に示すスプリング86の左端)を支持している。
ロック部78はまた、リニアソレノイドアクチュエータ87を有している。リニアソレノイドアクチュエータ87は、保持部材89によって保持されている。保持部材89は、ケーシング20に固定されている。リニアソレノイドアクチュエータ87は、本体部と、本体部から突出するステム88とを有している。ステム88は、ロック部材79の連結片83に連結されている。
図16に示すロックピン47は、ロック部材79に接触しておらず、ロックピン47からロック部材79へ押圧力は作用していない。図9,10を併せて参照して、メインアーム40が図16に示す位置にあるとき、ダンサーローラ23は、図9に示す搬送時移動位置と図11に示す退避位置との間の、退避位置寄りの位置に配置されている。
図17は、ロック部がメインアーム40をロックする途中の状態を示す模式図である。図17に示すメインアーム40は、図16と比較して、アーム回転軸44を中心として、図17中の時計回り方向に回転している。ロックピン47は、図中の下方向へ移動して、ロック部材79に接触している。具体的には、ロックピン47の外周面のうち係合面48を構成しない円筒面が、ロック部材79の傾斜部80に接触している。
ロックピン47が傾斜部80に当接した状態で押し下げられることにより、ロック部材79には、図中の左方向へ向く力が作用する。これによりロック部材79は、リニアソレノイドアクチュエータ87に近づく方向へ移動している。ロック部材79の突起部82と、保持部材84の突起部85とは、互いに接近している。スプリング86は圧縮されており、これによりスプリング86に弾性エネルギーが蓄積されている。
図18は、ロック部78がメインアーム40をロックした状態を示す模式図である。図18に示すメインアーム40は、図17と比較して、アーム回転軸44を中心として、図18中の時計回り方向に回転している。ロックピン47は、図中の下方向へさらに移動して、ロック部材79の傾斜部80から離れている。ロックピン47の外周面の一部を構成する係合面48が、ロック部材79の係合部81に接触している。
このとき、ロックピン47は傾斜部80を押圧しておらず、ロックピン47からロック部材79に図中の左右方向の力は作用していない。スプリング86は伸長して元の形状に戻っている。スプリング86は、ロック部材79に対し、図中の右方向へ向く力を作用する。これによりロック部材79は、図17に示す位置からリニアソレノイドアクチュエータ87から離れる方向へ移動して、図16に示す元の位置へ戻っている。
ロックピン47の係合面48がロック部材79の係合部81に係合することにより、ロックピン47は図中の上方向へ移動不能となっている。ロック部材79は、メインアーム40の、図中反時計回り方向の回転を妨げている。メインアーム40は、アーム回転軸44回りに最大限回動した位置で、ロックされている。図11,12を併せて参照して、メインアーム40が図18に示す位置にあるとき、ダンサーローラ23は、図11に示す退避位置にある。このとき動力伝達部は、図15を参照して上述した通り、巻出巻取モータ35の発生する駆動力を被装着部21に伝達しない非伝達状態にある。ロック部78は、動力伝達部を非伝達状態にロック可能に構成されている。
メインアーム40のロックは、ロック部材79とロックピン47との係合を外すことにより、解除することができる。上述したロック解除部26(図4)を手動で操作して、ロック部材79をロックピン47から離れる方向に平行移動することにより、ロック部材79とロックピン47との係合を外してロックを解除することができる。または、リニアソレノイドアクチュエータ87の、ソレノイドに電流を流すことで磁性体をコイル内に引き込む動作を利用して、リニアソレノイドアクチュエータ87の本体部からステム88が突出する長さを小さくするようにステム88を移動させることにより、ロック部材79を平行移動させて、ロック部材79とロックピン47との係合を外してロックを解除することができる。
図12に示すように、メインアーム40が最大回動位置でロックされているとき、復帰ばね46が伸長する長さが最大となり、復帰ばね46に弾性エネルギーが蓄積されている。メインアーム40のロックが解除されると、復帰ばね46は、その伸長長さを小さくするように変形する。復帰ばね46の弾性力の作用により、メインアーム40はアーム回転軸44回りに逆方向に回転する。このときダンサーローラ23は、案内孔22に沿って、退避位置(図11)から限界位置(図4)へ向かって移動する。
次に、包装装置1全体を下部筐体104から引き出す動作に伴う、巻出巻取モータ35から被装着部21への駆動力の伝達の切り換えについて、詳細に説明する。
図6を参照して、包装装置1は、スプリングヒンジ90を有している。スプリングヒンジ90は、第1ヒンジプレート91と、第2ヒンジプレート92と、ヒンジ軸93と、トーションスプリング94とを有している。第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92とは、ヒンジ軸93を介して連結されている。
第1ヒンジプレート91は、下部筐体104に固定されており、移動不能である。第2ヒンジプレート92は、ヒンジ軸93を回転中心として、第1ヒンジプレート91に対して相対移動可能である。第2ヒンジプレート92は、その上端が相対的に前方(図中の右方向)にありその下端が相対的に後方(図中の左方向)にあるように、上下方向に対して傾斜して配置されている。
トーションスプリング94は、ヒンジ軸93の周りに巻回されたコイル部と、コイル部から突き出る一対のアーム部とを有している。一対のアーム部のうちの一方は、第1ヒンジプレート91に当接している。一対のアーム部のうちの他方は、第2ヒンジプレート92に当接している。
トーションスプリング94は、第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92との間に弾性反発力を作用させ、ヒンジ軸93を回転中心として第2ヒンジプレート92が第1ヒンジプレート91から離れる方向に、第2ヒンジプレート92を付勢している。トーションスプリング94の付勢力および重力以外の外力がスプリングヒンジ90に作用しない状態で、第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92とは、略直交して延びている。ヒンジ軸93の軸方向に見て、第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92とは、L字状の形状に配置されている。
包材供給部10は、スプリングヒンジ90に対して、筐体102の前後方向(図6中の左右方向)に相対移動可能である。図6に示す配置では、サブアーム50の円筒部53は、第2ヒンジプレート92から離れており、円筒部53と第2ヒンジプレート92とは非接触の状態である。
図19は、包装装置1が前方へ引き出される第1の状態を示す模式図である。図6には、包装装置1が下部筐体104内の収納位置にあるときの包材供給部10とスプリングヒンジ90とが図示されている。これに対し、図19には、包装装置1が収納位置から前方へ引き出され始めたときの包材供給部10とスプリングヒンジ90とが図示されている。
図19に示す包材供給部10は、図6と比較して、前方(図中の右方向)に移動している。被装着部21、アーム回転軸44およびその他の包材供給部10の各構成は、前方へ平行移動している。このとき、サブアーム50の円筒部53は、第2ヒンジプレート92に当接している。
図20は、包装装置1が前方へ引き出される第2の状態を示す模式図である。図20に示す包材供給部10は、図19と比較して、さらに前方に移動している。サブアーム50の円筒部53は、第2ヒンジプレート92に対して摺動し、第2ヒンジプレート92に沿って下方へ移動している。サブアーム50とメインアーム40とは一体に固定されているため、サブアーム50の先端部52が下方へ移動するに従って、メインアーム40とサブアーム50とは、アーム回転軸44回りに図中の反時計回り方向に回転している。これにより、メインアーム40の先端に固定されたダンサーローラ23は、案内孔22に沿って移動している。
図21は、包装装置1が前方へ引き出される第3の状態を示す模式図である。図21に示す包材供給部10は、図20と比較して、さらに前方に移動している。サブアーム50の円筒部53は、第2ヒンジプレート92の下端の位置まで移動しており、円筒部53は第2ヒンジプレート92の下端に対して摺動している。メインアーム40とサブアーム50とは、図20と比較してアーム回転軸44回りに図中の反時計回り方向に回転しており、ロック部78によってロックされている。ダンサーローラ23は、案内孔22に沿って退避位置まで移動している。ギヤアーム60の円筒部65は、ギヤ位置決めプレート55の切欠き59内へ移動している。中間ピニオンギヤ73とローラギヤ74との噛み合いが外れている。
図22は、包装装置1が前方へ引き出される第4の状態を示す模式図である。図22に示す包材供給部10は、図21と比較して、さらに前方に移動している。図22に示す配置において、巻回体3が装着される被装着部21は、下部筐体104の外部へ引き出されている。メインアーム40はロックされた状態であり、メインアーム40およびその他の包材供給部10を構成する装置の、ケーシング20に対する相対位置は、図21と同じである。
図22では、円筒部53と第2ヒンジプレート92との係合が外れている。図22に示す配置では、円筒部53は、第2ヒンジプレート92から離れており、円筒部53と第2ヒンジプレート92とは非接触の状態である。
被装着部21を含む包材供給部10が、下部筐体104の内部空間から外部空間へ移動するのに応じて、中間ピニオンギヤ73とローラギヤ74との噛み合いが外れ、動力伝達部が非伝達状態に切り換えられている。これにより被装着部21は、両方向への自在な回転が可能になっている。
巻回体3を交換するとき、包装装置1は、作業性の向上のために、前方へ移動される。巻回体3が装着される被装着部21が少なくとも下部筐体104の外部空間へ移動するように、包装装置1は下部筐体104から前方へ引き出される。この移動に応じて、動力伝達部は、伝達状態から非伝達状態へ切り換えられている。
被装着部21に取り付けられた交換後の巻回体3の包材2を包装部9へ巻き掛ける巻き掛け作業時に、巻回体3から包材2を巻き出すために、被装着部21は回転する。巻き掛け作業の開始時に、動力伝達部を非伝達状態とし、被装着部21を自在に回転可能にすることにより、巻出巻取モータ35が被装着部21の回転に対する負荷となることが防止されている。これによって、作業者が小さな力で巻回体3から包材2を巻き出すことができるので、包材2の巻き掛け作業を容易にすることができる。
被装着部21の移動に応じて、ダンサーローラ23は、退避位置へ移動している。これにより、図11を参照して説明した通り、張力付与部は、包材2に張力を付与しない非付与状態へ切り換えられている。包材2を巻回体3から巻き出して包装部9へ巻き掛ける巻き掛け作業時に、包材2に張力が付与されていない状態で作業を行なうことができる。加えて、退避位置にあるダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に、巻回体3から巻き出した包材2を、まっすぐにして通すことができる。したがって、包材2の巻き掛け作業を容易にすることができる。
張力付与部が非付与状態に切り換わるのに応じて、動力伝達部が非伝達状態に切り換わるように構成されているため、作業者は、張力付与部と動力伝達部との各々を個別に操作する必要がない。したがって、操作に要する手間を削減することができる。
動力伝達部の伝達状態から非伝達状態への切り換え、および、張力付与部の付与状態から非付与状態への切り換えが、下部筐体104の外部空間への被装着部21の移動に応じて行なわれる。動力伝達部の非伝達状態への切り換え、および張力付与部の非付与状態への切り換えのために、特別な操作を必要としないため、操作に要する手間を削減することができる。
包材2の巻き掛け作業を終えると、ロック解除部26の操作、またはリニアソレノイドアクチュエータ87の動作により、ロックが解除される。これによりメインアーム40は逆方向に回転して、ダンサーローラ23は退避位置から限界位置へ移動する。サブアーム50は、上下方向においてスプリングヒンジ90と重なり合う位置に移動する。この状態で、包装装置1は下部筐体104内へ収納される。
包装装置1を下部筐体104内の収納位置へ移動するとき、サブアーム50がスプリングヒンジ90と干渉する。サブアーム50が第2ヒンジプレート92に接触して第2ヒンジプレート92を押圧すると、第2ヒンジプレート92はヒンジ軸93回りに回転して、第1ヒンジプレート91に近づく方向へ移動する。スプリングヒンジ90が、L字形状を閉じるように変形することにより、スプリングヒンジ90がサブアーム50の移動を妨げることはなく、包装装置1を円滑に移動させることができる。
サブアーム50がスプリングヒンジ90の位置を通過すると、トーションスプリング94の弾性力により、第2ヒンジプレート92が元の位置へ移動して、スプリングヒンジ90は再びL字状の形状になる。これにより、次回の包装装置1の移動の際にも、移動に応じてメインアーム40を回転させて、動力伝達部を非伝達状態に切り換えるとともに張力付与部を非付与状態に切り換えることが可能になる。
これまでの説明においては、包装装置1の下部筐体104に対する相対移動に応じて動力伝達部が非伝達状態に切り換わり、張力付与部が非付与状態に切り換わる例について説明した。この例に限られず、作業者が手動で、または自動で、ダンサーローラ23を退避位置へ移動させ、これに応じて張力付与部を非付与状態に切り換えるとともに動力伝達部を非伝達状態に切り換えることが可能である。
またこれまでの説明においては、モータ出力軸37を中心とする円弧状の軌跡に沿って中間ピニオンギヤ73を往復移動させることにより、動力伝達部の伝達状態と非伝達状態とを切り換える例について説明した。この例に限られず、中間ピニオンギヤ73を平行移動させることにより、動力伝達部の伝達状態と非伝達状態とを切り換える構成としてもよい。中間ピニオンギヤ73は、そのピッチ円の径方向に平行移動してもよく、または中間ギヤ軸75の軸方向に平行移動してもよい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。